本当の友達

今日も朝から先生のお父さんは柵につかまって歩いています。
「だいぶん、軽やかになってきましたね。」
まあばあちゃんが声をかけると、先生のお父さんがにっこり笑っていいました。
「みなさんのおかげです。歩けるって事はいいですね。」
「せやで、人間、自分の足で歩けんようになったらそら寂しいもんやで。」
お春ちゃんが言うと、
「本当にそうですね。」
と先生のお父さんがうなずきました。
「わたしも、いっとき寝たり起きたりの時があってんけど、あん時は何をする気も起きへんかったわ。」
「そんな時があったんですか? シッカリしてはるから、そんな時があったなんて感じがしませんね。」
先生のお父さんが、意外そうに言いました。
「そんなことないで。そけやどな。グズグズしてたら、まあちゃんに布団を引っぺがされて、外に引きずり出されてん。」
「ええ!」
先生のお父さんは、驚いたようにまあばあちゃんをマジマジと見つめました。
「お春ちゃん!」
あの時は、邦ちゃんが昭雄さんに追い出されて、お春ちゃんが悔しいさから寝込んでしまったからです。
「ホンマやんか。ウソ言うてないで~」
お春ちゃんは、まあばあちゃんがキュッとにらんでもどこ吹く風です。
「でも、心から心配してくれる友達は、本当に有難いですね。」
先生のお父さんが、しんみりとした口調で言いました。


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爽やかな朝

「あの子ら見てたら、日本もなかなかやと思うなぁ」
お春ちゃんは、男の子達の後姿を見て、ポツリと言いました。
「ほんとね。」
「なあ、まあちゃん。この頃、若い人のさんざんな事件多いやんか、女の子がえらい目に遭わされたりするやん。大人になるまでに自分の人生かて滅茶苦茶になるって分からへんのかなぁ。」
お春ちゃんは、テレビのニュースを見てはよくため息をついています。
「死ぬんやったら、畳の上で往生して死にたいわ。玄関開けるなりグサリと包丁で刺されたら浮かばれんがな。痛いし怖いし……」
この前、老夫婦が若い女の人に襲われた事件を見て、怖がっていました。
世の中には楽しいこともいっぱいあるのに、どうしても悲しい事件や恐ろしい事件が心の中に深く入り込みます。
お春ちゃんは自分が事件にあったように、嘆いてばかりいます。
だから、いたずらな男の子にあったけれど、かえって心の中が晴れ晴れしたようです。
小さな男の子と少し話をしただけなのに、登校していく子どもたちの姿が、生き生きと感じられる爽やかな朝になりました。


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分かってくれた。

「うわ~ん。かんに~ん。」
さっきの子どもたちの声が聞こえてきました。大きなカバンを持った中学生の男の子に、さっきの一人が襟首を捕まえられて引きずられています。もう一人の子はオロオロとついてきています。
そうして、まあばあちゃん達のところまで来ると、グイッとまばあちゃん達の前に突き出しました。
「あやまれ!」
「ごめんなさい。ごめんなさい。もう言いません。かんにんしてくださ~い。」
小学生の男の子は、涙と鼻水でクチャぐちゃになった顔で謝りました。
「ちゃんと謝れ!」
中学生の男の子は、小学生の男の子の頭をグイっと前に倒しました。
「うわ~ん。兄ちゃん、かんにん~。おばあちゃん。ごめんなさ~い。」
「すみません。弟がひどい口の利き方をして、申し訳ありませんでした。」
キリッとした言葉遣いで中学生の子は深く頭を下げました。
「ええんや。私も小さい子相手に大人げなかったわ。せやけど、なんぼ小さい子でも言うたらアカンことは、アカンのやで。」
お春ちゃんが言うと、小学生の男の子たちは
「ごめんなさい。」
とまた謝りました。
「分かってくれたら、ええんや。かしこい子やな。二人とも。ええお兄ちゃんがいて幸せやな。お兄ちゃんの言うことよう聞きや。」
小学校の男の子たちは、「うん」とうなずきました。
「ほな、学校へ行き。遅刻したら今度は先生に怒られるがな。」
男の子たちとお兄ちゃんは、丁寧に頭を下げて、走っていきました。
少し行くと、立ち止まって振り返り、大きく手を振りました。
お春ちゃんとまあばあちゃん、先生たちも大きく手を振りました。


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長生きって……

あれから数日が立ちました。
いつものように先生のお父さんは、歩く練習をしています。
みんなで
「1~2~3~」
と数えながら頑張っていました。
すると、後ろから
「ヨンの5の~ろく~」
と小学生くらい男の子の声が聞こえてきました。そして、
「10~11~ひゃく~」
と言いながら、走って通り過ぎて行きました。
明らかに馬鹿にした口調でした。お春ちゃんは怒って、
「そこのボウズ待たんか!」
と言いましたが、
「なんや、バアサン!」
「なんちゅう口の利き方や!」
「バアサンにバアサン言うてるだけやで。」
小学生とは思えない返事が返ってきました。
「何年生や! 名前言うてみ!」
お春ちゃんが声を荒げて言いました。
「ここまで追っかけてきたら教えたるわ。死にぞこないのクソババア!」
なんという口の利き方でしょう。お春ちゃんは追いかけることもできず、怒りのあまりプルプル体を震わせていました。目には涙を浮かべています。
お春ちゃんだけでありません。
先生も先生のお父さんもお母さんも、そして、まあばあちゃんもションボリしてしまいました。
「長生きするのはそんなにいけないことかしら……」
まあばあちゃんは、気落ちした声で言いました。


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良かったなぁ

「良かったなぁ。まあちゃん。先生のお父さん、そのうちしっかり歩かはるようになるわ。」
お春ちゃんが嬉しそうに言いました。
「ほんとね。」
「なんか、立ち上がるのも大変やったみたいやのに、言葉までハッキリしてきてたなぁ。」
「ええ。」
「ぜったい良うならはるわ。なあ、まあちゃん。」
お春ちゃんの言葉に、まあばあちゃんもニッコリうなずきました。
次の日も次の日も、先生のお父さんは公園にやってきて、柵を頼りにつかまり歩きをします。
今では、公園を一周回ることが出来るようになりました。柵が途切れたところは、娘さんに手伝ってもらいながら頑張ります。
額には汗が浮かんでいます。
「大分、歩けるようになりましたね。」
まあばあちゃんが声をかけると、
「はい。本当に嬉しいです。」
先生のお父さんは、満足そうに頷きました。
まあばあちゃんも嬉しそうです。先生も先生のお母さんも幸せそうに笑っています。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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