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弱い者いじめはアカン

「冗談だったの?」
まあばあちゃんの言葉に何を誤解したのか、
「そやねん、冗談やねん。別に悪気があったわけじゃなかったんです。こんな大ごとになるとは思えへんかったし……」
「…………心愛ちゃんは、震えて泣いていたのよ? そんな様子を見ても、冗談でやってるって言うの?」
「だって、こいつが……」
「今はあなたの話してるの。あなたもやったんでしょ?」 
男の子はムスッとして黙りました。
「あんた、いくつや?」
「14です。」
「あんたは?」
「13です」
「あのな、このババがあんたぐらいの自分には、もう家の働き手やった。事の善悪もしっかり親から教えてもらっとった。もっと小さい子も親が畑に出てる間は赤ん坊の守りしてたんやで。そうやって親を助けてたんや。あんたらはそんなんする必要ないんやろけど、その代わり、勉強して運動して、エエ学校はいるのが親孝行やろ? 「冗談や冗談や」ばっかり言うて、弱い者いじめがアカンいうことが分からへんのやったら、せめて親のこと考えたらどや? ほなら、こんな問題起こさへんやろ?」


冗談のつもり?

「お前ら、また心愛をイジメたくなったら、わしの顔思い出しや。この子にはワシがついてるからな。忘れんようにな。」
オッチャンはいつもの優しいオッチャンではありませんでした。
中学生の男の子は小さくなっていました。
「もう、分別のついてええ年や。そやのに、悪いことしたと認めることも謝ることも出来へんねんからな。……そんな奴らを許すほどわしも寛大と違うからな」
まあばあちゃんもお春ちゃんもオッチャンの毅然とした態度に感心しました。
オッチャンは心愛ちゃんの手を取ると、スタスタと教室の出口に向かいました。
お春ちゃんも後に続きました。教室を出るとき、3人の母親と男の子たちを睨みました。
3人の母親はポカンとして黙っていました。
「僕、ホンマは嫌やったんやけど……、こいつがイジメたら面白いでって、僕らを誘ったんや」
「あいつの父ちゃんも母ちゃんも不潔やからアイツも不潔やから、やっつけようって……」
「やっつけるって何を言うてるんや? 心愛があんたらになんぞしたんか?」
「…………」
「言うてみ!」
「話したこともない……」
「面白いからやろうって……」
「おどかしたろうって……、はじめは小突いたりしてただけなんやけど……なんか、ハデになってしまって……、冗談のつもりやし……」
まあばあちゃん達は男の子たちの言い分に唖然としました。


心配の種

この母親に何を言っても無駄だと、まあばあちゃん達は思いました。
人としての何かが欠けていると思いました。
「教頭先生、お忙しいのに、時間とらせてすみませんでしたな。悪い奴らをわざわざ呼び出してもらったのに……。ほんまに親の子いうやつですな。この親が育てたんでは、こんなしょうもない子しか育ちませんな。よう勉強させてもらいました。解決してもらおうと思ってきたのに、余計に心配事が増えてしまいましたわ。明日から、こいつらが心愛にちょっかいかけても困りますんで、教室の隅にでもわしのイス、置いてといてもらえまっか?」
「いや……それは~……」
担任の先生が渋い顔をしました。
「今日のことがヤブヘビになって、わしらの目の届かんところで、また心愛がえらい目にあわされたら困りますよってな。毎日見張りに来たいんですわ。よろしいですな!」
オッチャンは、いつもは頭の低い人です。でも、今日は教頭先生たちに頭を下げませんでした。
「お手数かけたのに、なんですけど、お礼は言いとうありません。心配の種が増えただけですからな。これで、失礼しますわ。」
結局、後味の悪い結果になってしまいました。


弁償するがな

まあばあちゃんの言葉に、あれほど騒いでいた母親が静かに聞いていましたが、
「……ウルサイばあさんやな。なんやかんや言うて、制服、弁償してほしいだけやろ! 弁償してほしいんやったら、ハッキリそう言うたらどや!」
「では、あなたが弁償してください。蹴られて背中についた靴跡や、踏みにじられたスカートは元には戻りません」
まあばあちゃんは、一言一言、かみしめるように言いました。
母親はまあばあちゃんをギュウと睨みつけました。まあばあちゃんもしっかりと見返しました。
「今週中に、先生に渡しとくはそれでええやろ?」
「ちょっと大事なこと忘れてへんか? あんた、心愛の顔見てみ! この顔、腫れてしもて、なんとも思わんか!」
「私に言うたかて知らんがな。医者に行きや」
「あ、あんたなぁ~」
お春ちゃんは次の言葉が出ませんでした。


約束

「おばあちゃん」
心愛ちゃんがまあばあちゃんの手をぎゅっと握ってきました。
まあばあちゃんはゆっくりと立ち上がりました。小さなまあばあちゃんは立ち上がってもあまり背の高さが変わりません。
でも、苦労を重ねてきたまあばあちゃんの言葉には重みがありました。
「私たちが謝ってほしいと言ってるのは理由があります。目の前に座っている7人の男の子たちの中には、女の子のことを殴ったり蹴ったりして申し訳ないと思っている子もいると思います。」
まばあちゃんが男の子たちを見ると、すまなそうに目を伏せる男の子が数人いました。
「……謝るというのは、許しを請うというだけではありません。お母さん方はそれを不満に思っておいでなのかもしれませんが……。私たちが一番望んでいるのは、この先、一切、心愛をイジメたりしないと約束すること。そして、その約束を守ることです。」


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
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