カイちゃんの過去

「なあ、まあちゃん、お豊ちゃんなんて?」
受話器を置いたとたんにお春ちゃんが聞いてきました。
「あの住所は、カイちゃんのおうちだったって。」
「そうかいな。良かったな。帰れたんやな。」
「それがね。お母さん犬や兄弟犬とケンカするから一緒に連れて帰ってきたらしいわ。」
「なんや。お豊ちゃんとこのコとは、うまいこといってたのに。そうかいな。」
「そうなのよ。」
「ほんで? なんで太子のコがこんなところにおるん?」
「2ヵ月の時、車から飛び出してしまったんですって。一生懸命探したけど、見つけられなかったそうよ。」
「へぇ。ほんだらその時やったら、首輪の住所もはっきり見えてたやろに、可愛らしいよって盗んだんやな。」
まあばあちゃんも、そうかもしれないと思いました。
「ほんで、あのコの年は分かったん?」
「ええ、2歳ですって。」
「2歳。6歳違うの?」
「そう、2年前に行方不明になって、その時の首輪を今までしてたのよ。」
「ひどい話やな。」
お春ちゃんは、プンプンしてトウモロコシの皮をビリビリと向きました。


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カイちゃんのとし

次の日の夕方、お豊ちゃんから電話がかかりました。
『まあちゃん、カイちゃんのおうちすぐに分かったわ。』
「そう! 」
『すごい喜んではったわ』
「やっぱり……良かった。」
『2ヶ月くらいの時に、カイちゃんを欲しいっていう人に届ける途中で車から飛び出してしまったんですって。』
「まあ……!」
『2ヶ月でしょ? 必死で探したそうなんだけど、そのまま見つからずじまいだったんですって……』
「じゃあ、あの首輪は、2ヶ月の時のままってことなの!?」
『そうなんよ。』
「なんてひどい! カイちゃんがいなくなったのはいつ頃?」
『2年前だそうよ。』
「2年?」
『そう、先生の年齢と違うでしょ?』
「ええ」
『帰りに先生の所に行ったら、犬種によっても違うし、ひどい苦労してたからやろうって……。今は目も輝いてるし、若いからすぐ回復するって!』
「あら、カイちゃんと帰ってきたの?」
まあばあちゃんが聞くと、
『そう! それがね。カイの兄弟とお母さんに会わせたら、もう親の仇みたいに吠えあうのよ。』
「あら~」
『それで、一緒に帰ってきたの』
お豊ちゃんはおかしそうに笑いました。


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一緒に・・・・・・

「どうですか? ご一緒にいかがですか?」
マコちゃんがカイちゃんの頭をなでながら言いました。
「マコちゃん、今回は私たちは遠慮します。大勢で言ったらカイちゃんのおうちの人がビックリしてしまうと思うの。」
まあばあちゃんが言いました。お春ちゃんも
「ほんまやで。ようさんで行ったら何事かと思われるわ。落ち着いたら連れて行ってもらうことにするわ。」
「そうですか?」
「おおきにおおきに。それより、せっかく冷やしてきたからヨウカン食べよう。」
「切ってきたわよ。」
お豊ちゃんがちょうどヨウカンを切ってきてくれました。
「ありがとありがと。あ、まあちゃん、今日は栗入りかいな。おいしそうやな。」
お春ちゃんが嬉しそうに言いました。
「ほんとに冷たい麦茶とよく合うわ。まあちゃんは、ほんとうに水ようかんが上手よね。」
お豊ちゃんも嬉しそうに言いました。
「ほんとです。私の大好物です。ほら、ハッピー、カイ一口ずつ。……うまいだろ?」
それを見て、ジロとミミちゃんが羨ましそうにしています。
まあばあちゃんもジロとミミちゃんに一口ずつあげました。
甘いものが大好きなミミちゃんは“もっと”と言うようにまあばあちゃんの足をトントンと叩きました。


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居ながらの旅行?

「マコちゃん、カイちゃんの首輪に住所が書いてあったんですって! 太子町ですって。」
お豊ちゃんが、メモをマコちゃんに渡しながら言いました。
「へぇ……、ここからだとすぐですね。明日行ってみますか?」
「え? いいの?」
「はい。首輪に住所を書いてるぐらいだから、カイは大切にされてたんでしょう。まだ、探しているかもしれません。」
マコちゃんは本くらいの板を見せてくれました。
「ほら、近つ飛鳥のそばのようだから、ジロたちも連れてみんなで行きませんか?」
「へえ。ここにこのコおったんか。この地図やと…うちの家どこや?」
お春ちゃんは興味津々です。
「この辺ですね。もう少し大きくすると屋根が見えますよ。」
マコちゃんがすっと指を大きく動かすと、写真が大きくなりました。
「へぇ。ほんまや!」
そして、お豊ちゃんの家の門前の写真が出てきました。さらに画面が動くと、
「あれ? うちらがいつも通ってる道やん! へぇ! こんなん出んの? へぇ! ほんで、首輪の住所はどこですか?」
「ここです。」
「へぇ! あの住所がここですか。まあちゃん。すごいなぁ。居ながらにして旅行してるみたいやな。」
お春ちゃんは、感心したように言いました。


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いい子のカイちゃん

「ああ、やっぱり家の中は気持ちええな!」
お春ちゃんが玄関に入るなりいいました。
まあばあちゃんは、ジロとミミちゃんの足を持参した雑巾で拭いています。それから、
「お豊ちゃん、これ……」
まあばあちゃんが、ボロボロの首輪をお豊ちゃんに手渡しました。
「これは?」
「あのコの首輪よ。これ以上はキレイにならなくて……」
「まあちゃんがあの時はずした?」
「そう、苦しそうだったから、すぐに外したんだけど……、ここを見て」
まあばあちゃんが、指でなぞりました。
「……あ、なんか書いてある。」
「うっすらだけど、字が書いてあるでしょ? 私も目が悪いから、トモちゃんにメモしてもらったの。」
まあばあちゃんがカバンからメモを出しました。
「太子町? ここからずいぶんあるわ。」
「名前も書いてあったみたいなんだけど、擦り切れて読めないのよ。」
そんな話をしていると、マコちゃんが、ハッピーちゃんとあのコを連れて玄関まで出てきました。
「こんにちは。ハッピーちゃん、お顔見に来ました。こんにちは。えーっと……」
まあばあちゃんがお豊ちゃんを見ると、お豊ちゃんはにっこり笑っていいました。
「カイちゃんて名前にしたの。甲斐犬のカイちゃん」
「カイちゃん。こんにちは。仲良くしてね。」
「カイちゃんは、動物の先生にすごく気に入られて、『いい子だいい子だ』って抱っこまでしてくれはったの。生粋の日本犬なんやって。」
「そう!」
「傷もだいぶ治ってるでしょう。早くてビックリしてるんよ。ワンちゃんて早いんかな?」
「早く治ってくれると安心ね。」
「そうなんよ。それに、ハッピーとも相性が良くていつも一緒にいるんよ。」
お豊ちゃんは嬉しそうに言いました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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