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コナン君はお花ちゃんのところ

「あ、まあちゃん、見てみ! お花ちゃんがいてるわ。コナンもおる! 良かった~!」
お春ちゃんはホッと胸を撫でおろしました。
二人に気づいたお花ちゃんが二人に手を振りました。
「ごめんやで。お花ちゃん。コナンのこと。私が玄関ちょっと開けたらその間から出て行ってしもうたんや。あんたに頼まれてたのに役に立たんでゴメンやで。」
「ううん。コナンが来たから、お春ちゃん達も一緒かなと思って探してたの。」
お花ちゃんが嬉しそうに言いました。
「そうかいな。」
「うん。」
「それにしても、今日はにぎやかな。」
「そうなんよ。今日はたくさんお参りに来てはるんよ。」
お花ちゃんはそう言ってからお寺の奥さんに頭を下げると、
「今日は有難うございました。私の作ったアメちゃん入れ皆さんに喜んでもらえて嬉しいです。また、晦日の日にお掃除しに伺います。よろしくお願いします。」
お花ちゃんは、本当に幸せそうな顔で奥さんに言いました。プレゼントを喜んでもらえて嬉しかったんでしょうね。


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お寺に行ってみると……

「お花ちゃ~ん! お花ちゃ~ん! お春やで~! 来てるか~!」
お寺に着くとさっそく大きな声でお花ちゃんを呼びました。その声を聞いてバタバタと走ってきたのはお寺の奥さんでした。
「あら、まあちゃんとお春ちゃん、来てくれたの! みんなもう集まってるの。上がって上がって!」
「え?」
まあばあちゃんとお春ちゃんは意味が分からずキョトンとしていました。
「今ね、みんなで歌を歌ったり、プレゼントの交換をしているのよ。」
奥さんに急かされて二人は本堂の方に行きました。
「歌やプレゼントって……なんやクリスマスみたいやなぁ。」
お春ちゃんは不思議そうに言いました。
「まあ、そうかもしれないけど、うちのお寺だって歌を歌ったりプレゼントを交換してもいいでしょう。」
「そらそうや。私、お寺言うたら、お供えしたりお経をあげたりするもんやと思ってたさかいビックリしたんや。」
本堂に入ると誰もいません。
「あら、本堂に集まってるんじゃ?」
「こっちよ。」
さらに案内された先の部屋のふすまを開けると、大きな部屋あってたくさん人が集まっていました。


ミミちゃんはマイペース

「えらいこっちゃ!」
「お春ちゃん、どうしたのよ。落ち着いて!」
「まあちゃん、考えてみ! お寺でクリスマスプレゼントを渡すなやんて! 早よう、止めたらんと!」
「私も行くわ。」
「ジロらは?」
「連れて行くわ。」
「ほな、行こ!」
「私も上着、着てくるわ。先に出てて。」
まあばあちゃんは、支度をしに隣の部屋へ行きました。
しばらくて、
「まあちゃ~ん。どないしょう~!」
春ちゃんの悲鳴が聞こえてきました。
「どうしたの?」
「コナンが……、コナンがちょっと扉を開けたら飛び出てしもた~。」
「ええ!」
「どないしょう~」
お春ちゃんは半泣きになって言いました。
「大丈夫よ。きっとお花ちゃんのところよ。お寺で待ってるわよ。もし違ってもジロが探してくれるわ。」
「そや、そうやんな……」
お春ちゃんは、心配そうに言いました。
「そうよ、さ、行きましょう。」
「ミミは?」
「ミミちゃんは寒がりだから、湯たんぽ作ってたの。ごめんね。遅くなって。」
シルバーの中を見ると、ミミちゃんが湯たんぽの上に乗ってふわふわ寝ています。
「うちら、大慌てやのに、マイペースな子やなぁ。」
「ふふふ。そうね。」
ミミちゃんの寝顔を見て、二人はほっこりしました。


どうしたの? お春ちゃん!

「じゃあ、私、行くわ。」
「え? もう?」
「ええ、早くお寺に持って行きたいの。」
「そうか……ほな、行っといで……」
お春ちゃんは少し寂しそうです。
コナン君はお花ちゃんの膝に頭を乗せています。まあばあちゃんが、
「コナン君、預かりましょうか? 帰りに迎えに来たらどうかしら?」
「いいの?」
お花ちゃんは嬉しそうに笑いました。
「ええ。」
「じゃあ、コナン、まあちゃんところで待っててね。すぐに帰ってくるね!」
お花ちゃんはコナン君にそう言うと、
「じゃあ、行ってきます!」
「気を付けてね。」
お花ちゃんは、元気に手を振ってくれました。  

「なぁ、お花ちゃんが帰った後は、なんか優しいもん残ってるような気がせぇへんか?」
お春ちゃんは、傍らで寝ているコナン君の頭を撫でながら言いました。
「ほんとね。」
お春ちゃんはさっきもらったアメをポンと一つ口に入れました。
「美味しいわ。……ええクリスマスや。あ! こりゃ、えらいこっちゃ!」
お春ちゃんは慌てて、ヨッコラショっと立ち上がりました。
「どうしたの?」
「お花ちゃん、行ったん、お寺やろ?」
「そうよ。」
「えらいこっちゃ! えらいこっちゃ!」
お春ちゃんは、慌てた様子で上着を羽織ると、帽子をかぶりました。


かわいいプレゼント

「これ、まあちゃんとお春ちゃんにプレゼント!」
お花ちゃんが、カバンから取り出したのは、きれいな色の小さな布袋でした。
「アメちゃん入れよ。お寺にお参りに来はる人に貰ってもらおうと思って作ったの。」
「へぇ! 可愛らしいな。な! まあちゃん。」
「ほんと、あったかい感じがするわ。お花ちゃんの心みたい。ありがとう。」
まばあちゃんが大事そうに両手で包みました。
「あら?」
「どないしたん?」
まあばあちゃんが不思議そうな顔をすると、お花ちゃんは嬉しそうにいました。
まあばあちゃんが袋を開けました。
お春ちゃんも袋の中を見ました。
「あらま、もうアメちゃん入れてくれたある。へぇ! 可愛い袋にアメまで入れてくれたある。こんなエエもんもろたら誰かて大喜びや。あんたってエライなこんなエエもん考えて!」
お春ちゃんはお花ちゃんの手を握ってぶんぶん振りました。


お花ちゃんの足ふき

「コナン君も上がって上がって!」
まあばあちゃんが言うと、お花ちゃんが不器用にカバンから布を出してコナン君の足を拭きました。
コナン君は慣れた様子で足を順番に上げています。
ジロとミミちゃんも嬉しそうにパタパタしています。
「あんた偉いなぁ。足ふき持って歩いてるんかいな。」
とお春ちゃんが感心した様子で言いました。
「お寺の奥さんもコナンを上げてって言うてくれはるの。だからいつも持ってるの。」
嬉しそうにお花ちゃんが言いました。
「そうかいな。うちらも見習わなアカンな。」
すると、お花ちゃんは、
「わたし、まあちゃんが持ってるのを見て私もしようと思ったんよ。いつもジロちゃんとミミちゃんの足ふき持ってるんよ。」
「そうやったかいな。私は気が利かんからな。」
お春ちゃんはバツが悪そうに頭をかきました。



コナン君の笑顔

「あれ、お花ちゃんと違うか?」
お春ちゃんが、拭き掃除の手を止めて言いました。
「お花ちゃーん」
お春ちゃんが呼ぶとどこから聞こえてきたか分からない様子で、キョロキョロしているのが垣根の隙間から見えます。
「あら、ほんと! お花ちゃん、一緒にお茶を飲みましょう。」
まあばあちゃんも気づいて声を掛けました。
縁側を下りて前栽の小道の先に玄関があります。
お父さんの仕事で自動車が必要なので、まあばあちゃんは庭を全部車庫にしようと思いましたが、お父さんが前栽を半分そのままにしました。
おかげで季節の移り変わりや虫の声を聞くことができます。
玄関を開けると、お花ちゃんが待ってくれていました。
「お花ちゃん、どこかへお出かけなの?」
「ううん。コナンのお散歩してるの。コナンが一生懸命、私の服を引っ張って誘うから。」
お花ちゃんが笑うと、足元でコナン君が思い切りしっぽを振っていました。
「嬉しいよ」っと言っているようです。
思い切り笑っているように、まあばあちゃんには見えました。


お茶に干し柿を

「なあ、まあちゃん、今年もわずかやなぁ。いろいろあったけど、ええ年やったと思うわ。」
お春ちゃんは縁側のガラスを拭きながら言いました。
「高野山には連れて行ってもろたし、ピアノ先生のお父さんも、あのかっこエエ人のお父さんも、体、ようなってきはったし、干し柿ようさんもろたしな。今時は、干し柿冷凍庫に入れるんやなぁ。教えてくれた人には悪いけど、干し柿って長持ちさせるために干しとくもんやと思ってたわ。」
「私もよ。でもいいこと教えてもらったわ。冷凍しとくと、なんだか安心だし。おいしさも変わらないし溶かすと柔らかいし、カビの心配もなしね。」
まあばあちゃんも一緒に建具を拭きながら言いました。
「この年になっても教えられることばっかりやなぁ。」
お春ちゃんは嬉しそうに笑って雑巾をすすぎました。
「ね、お春ちゃん、拭き掃除終わったら、お茶にしましょう。」
「そやな。お花ちゃんにもろた干し柿もつけてや。」
「は~い。もちろんよ。」
まあばあちゃんも嬉しそうに返事しました。


干し柿と想い出

「コナン君のお母さんからたくさん干し柿を頂いたので、お知り合いにおすそ分けすることにしました。
柔らかくて本当に美味しい干し柿です。
「お豊ちゃんとピアノの先生と太郎ちゃんのお母さんと、え~っと……モモちゃんのお母さんと……お春ちゃん、みんな干し柿好きかしら? ……お春ちゃん?」
お春ちゃんが干し柿を食べながらしんみりしています。
「どうしたの?」
「え? ああ、あのな、私が小さい頃なぁ、家に柿の木あってん。」
「昔の家って、柿の木やら、キンカンやら生り物よく植えてたものね。」
「そやねん。まあちゃんとこは干し柿したか?」
「したわ。おばあちゃんが向いてくれて私たちが結わえるの」
「うちは母ちゃんが干し柿作ってくれたわ。でもな。死んでしもうて……。その後、後妻が来てな、柿の木、切ってしもてん。」
初めて聞く話でした。
「寂しかったわ。生まれた時からあったんやもん。大きな実が鈴なりになってな。」
お春ちゃんは遠い昔を思い出すのが暫く干し柿を見つめていました。


コナン君のお母さんも来た

「ごめんくださ~い。」
ピンポーンと言う音よりも早く、慌てた様子の声が聞こえてきました。
「どうしたの?」
何かなと思って、出て行くコナン君のお母さんでした。
「あ! ジロちゃんのお母さん、うちの母、お邪魔してませんか?」
「ええ、今一緒にお茶を……、それより干し柿、ありがとうございます。」
まあばあちゃんはぺこりと頭を下げました。
「まあ! お茶を! ありがとうございます! ……あの、ご迷惑かけてませんか?」「え? いえ。お母さんとお話してるとこっちまでいい笑顔になれて……」
「良かった~。ジロちゃんのお母さんのお宅に届けようと思って、干し柿を用意してたら母の姿がなかったので、もしかしてと思って急いできたんです。」
コナン君のお母さんはホッとした様子で言いました。
「あの、それより、あんなにたくさん頂けないと思ったので、伺おうと思ってたんです。」
まあばあちゃんがそう言うと、コナン君のお母さんは困ったような顔をして、
「いえ、あの、押し付ける様で申し訳ないのですが、うちには食べる者がいなので受け取っていただけると嬉しいのですが……」
と言って頭を下げました。


無心の笑顔に

お花ちゃんは幸せそうな顔をして、干し柿を包んだラップを丁寧に外すと、パクリと食べました。
まばあちゃんもお春ちゃんも、お花ちゃんの可愛い笑顔に癒されます。
「高野山の紅葉、キレイやったね。お大師さん、あんなキレイなお山に住んで幸せやね。」
お花ちゃんはそう言って、二人に笑いかけました。
お花ちゃんの笑顔は屈託なくて、この世の美しい物だけをみて生きてるように思います。
まあばあちゃんは嬉しくなってお花ちゃんの手をそっと握りました。お花ちゃんもキュッと握り占めてくれました。
お春ちゃんもその上に手を重ねてきました。
「お花ちゃんといると天国にいる気分になるわ。」
「ほんと?」
お花ちゃんは、嬉しそうに聞き返しました。
「ほんまや。どないしたらそんな笑顔になれるんやろう。」
お花ちゃんは、また笑いました。
本当にその通りで、無心に笑うお花ちゃんを見ていると、そこだけ暖かい日差しに包まれているように見えるのでした。


み~んな、まあちゃんの?

「あ、まあちゃん」
お花ちゃんがまあばあちゃんを見つけて大きな声で呼びました。
「まあ、たくさん、お花ちゃん一人で来たの?」
まあばあちゃんはお花ちゃんのシルバーカーを見て驚きました。
シルバーカーいっぱいに干し柿が入っていたからです。
「そうよ! 早く持ってきたかったのよ。」
お花ちゃんは嬉しそうに言いました。
「まあちゃんも食べて! 美味しいわよ!」
後から来たまあばあちゃんに、お花ちゃんが干し柿を渡しました。
お春ちゃんもたくさん干し柿の入った袋を持っています。
「まあちゃん、おかしいで……」
まあばあちゃんも思いました。
「お花ちゃん、ほかにも届けるところがあるんじゃないの?」
「ないわよ。みーんな、まあちゃんのよ。」
お花ちゃんは、シルバーカーをポンとたたきました。
「お花ちゃん、一緒に干し柿を頂きましょう。お茶を入れるわ。みんなで食べたらもっと美味しいわ。」
お花ちゃんは、目を輝かせて頷きました。


干し柿をどうぞ

お洗濯も掃除も片付いた頃、ピンポーンとインターフォンが鳴りました。
「誰やろ?」
お春ちゃんは、ヨッコラショっと立ち上がると玄関に行きました。
「お早うございます。」
にこやかに挨拶してくれたのはお花ちゃんでした。
「あれ、おはようございますって、言うたかて朝会ったやんか。」
お春ちゃんがそう言うと、お花ちゃんはにっこり笑うと、シルバーカーから何かを取り出しました。
「見て!」
お花ちゃんが包みを開いて見せました。
「へえ! 干し柿やんか! 大きいなぁ。おいしそうやなぁ!」
「さっき、田舎から送ってきたの。これが一番おいしいわ! お春ちゃん好きかなと思って!」
「そら、大好きやけど~」
そう言ってお春ちゃんは困り顔になりました。
「どうしたの? 嬉しくないの?」
お花ちゃんは不思議そうです。
「嬉しいで‼ 嬉しいけど……」


美しい朝焼け

「まあちゃん、ちょっとお願いするの早かったやろか?」
お春ちゃんが、少し心配そうに言いました。
「どうして?」
「まだ、お天道様、顔出してはれへんやろ?」
「大丈夫よ。こんなにきれいな朝焼けだもの。」
「そやな、今日は特に奇麗やな。金剛山がくっきり見えて。」
山際が薄紫になって、とっても神秘的です。毎日歩いてると、驚くほど美しい景色に会うことがあります。
「ほんと、神様はいつも私たちを見守ってくれてるわ。毎日毎日こうしてジロやミミちゃんの散歩に行けるって、とっても幸せなことよ。」
「ほんまやなぁ。」
「さ、池を回りに行きましょう。」
「あれ、まあちゃん、見てみ! お豊ちゃんもコナン君ところも来てるわ。」
「あら、ほんと!」
「お豊ちゃーん、お花ちゃーん!」
お春ちゃんが大きな声で呼びました。
「見て、ピアノ先生のお父さん達も歩いてはるわ。」
まあばあちゃんが気づくと、二人も気づいたのか手を振ってくれました。
「ちょっと明るくなってきたらよう見えるなぁ。」
明るくなってきた池の周りをお春ちゃんが嬉しそうに見ていました。


来年はジロ達の年やね!

「お早うさん。今日は寒いなぁ。」
「ホンマやねぇ」
昨日は、高野山へ行ったというのに、翌朝もいつも通り目が覚めて散歩をしています。
二人とも遠出をしたのにとっても元気です。
「今年は、高野山へもお参りできたし。偉い人のお墓も行けたし。ええ年やったなぁ。」
「ほんと、モミジもきれいだったわね。」
まあばあちゃんもお春ちゃんが嬉しそうにお話しするので、幸せそうに頷きました。
「あ! 来年は戌年やな! ジロ達の年や。来年は、ジロらになんかエエことせなアカンなぁ。」
「ほんとだわ。」
「何がええやろ?」
「そうねぇ……」
「そうや! 元旦はお雑煮セなアカンけど、二日は奮発して肉尽くしにするのはどうやろ! 邦子もお豊ちゃんも呼んで、盛大にするんや。焼肉パーティもええけど、寒いからな。肉をようさん入れたすき焼きはどうやろ?」
「いいわ! 名案よ! そうしましょう! 楽しそう!」
「そしたら、犬の神様が天からいっぱい福を巻いてくれはるで!」
お春ちゃんはそう言うと、天に向かって手を合わせました。
まあばあちゃんも、一緒に手を合わせました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
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