冷たい麦茶

3人の嬉しそうな笑い声が聞こえてきます。
お春ちゃんは、
「まあちゃん、そんな暑いところにおらんと、入ってもらいいな。」
「あ、ほんとだわ。」
まあばあちゃんは、慌てて中に入るように促しましたが、二人は畑からの帰りで泥だらけだからと、遠慮しました。
「じゃあ、冷たいお茶だけでも、表は暑いですから、少し入ってください。」
と前栽に案内しました。
「あ…の、野菜、どこに……置き、ましょ、うか?」
先生のお父さんがニコニコして言いました。
「あ、大丈夫です。私たちで運びますから。」
まあばあちゃんが言いましたが、お春ちゃんが
「あ、すんませんな。ちょっとだけ、ここまで」
と玄関に手招きしました。
たくさん野菜の入った袋をドサッと玄関の上り口に置きました。
まあばあちゃんは冷たく冷やした麦茶を、二人にすすめました。
二人はごくごくと飲み干しました。
それから、まあばあちゃんは、二人の水筒に麦茶を満タンに入れました。


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配達さんかな?

ピンポーン、ピンポーン
まあばあちゃんの家のインターフォンが鳴りました。
時計を見ると、10時です。
「配達やろか? よっこらしょ」
お春ちゃんが立ち上がろうとすると、
「あ、お春ちゃん、私が近いから行くわ。」
と洗濯物を干していたまあばあちゃんが表に出ました。
「あらぁ! おはようございます。まあ、二人とも真っ黒になって! どこに行ってこられたんですか?」
まあばあちゃんの嬉しそうな声が聞こえてきました。
「ん? 誰やろ?」
大きな麦わら帽子をかぶっているので、お春ちゃんには誰だか分かりません。
男の人が二人来ているようです。
お春ちゃんは、ドッコラショッっと玄関をおりました。
「まあ、こんなにたくさん頂いていいんですか?」
「はい。……今朝は……5時から……二人で、本田さんの……畑に……」
「じゃあ、これはお二人が?」
「……は・い……」
3人の楽しそうな笑い声が聞こえてきました。
訪問者は先生のお父さんと、あのカッコイイ人のお父さんでした。


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お散歩、いつ行こう?

ここ2,3日の堺の町は、まあばあちゃんがお散歩する4時半ごろ、強い雨が音を立てて降っていたり、雷が鳴る日もあって、朝のお散歩はお休みしていました。日中はというと、カンカン照りです。とても散歩には行けません。
夕方になってまあばあちゃんは外に出ました。アスファルトにそっと手を置いてみます。一日中、太陽の熱にさらされたアスファルトは、焼けつくような熱さです。
お春ちゃんも、アスファルトに手を置きました。
「うわぁ! あっついな! まあちゃん、この上に鉄板置いたらお好み焼きが焼けるで!」
そう言うと、お春ちゃんは流れる汗をタオルでぬぐいました。
「ほんとね。ジロ、ミミ、散歩は無理やで。家の中で遊ぼか。な?」
お春ちゃんにそう言われても、ジロもミミちゃんも不満そうです。
「そうだわ。暗くなってから行ってみない? そしたらアスファルトも冷めてくるでしょ? もう少し後で散歩しましょ。」
まあばあちゃの言葉にジロは納得したのか、家の中に入りました。
「そないしょ。私らも歩かんとな。それがええわ。」
お春ちゃんが、嬉しそうにうなずきました。


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お話が弾むね

「でも、お食事とか大丈夫?」
心配そうにまあばちゃんが言いました。
「大丈夫、うちの隣のマンションだから。マコちゃんがよく食事に誘ってるわ。私が持って行ったり……」
「それやったら安心やな。アンタんとこやったら、ええモン食べられるしな。」
と、お春ちゃんが言いました。
「そんなことないよ。普通よ。ドンブリとかそうめんとか冷麺、そんな感じよ。この暑さでみんな食欲ないもん。」
「それが一番おいしいんやんか。一人で食べるより、みんなで食べるほうがええもんな。」
「そうなんよ。」
「そやけど、あの3人話が合うみたいやな。いつまでもしゃべってはるなぁ。うちらみたいやな。」
お春ちゃんが、面白そうに言いました。
「うん。ピアノの先生のお父さんは大学の先生やってはって、篠崎さんのお父さんは、本の編集をしてはったんですって。だから、マコちゃんとっても勉強になるって、お話が楽しいみたい。」
「ひぇ~、インテリばっかりやな。紳士やし。へぇ。」
お春ちゃんは、感心したように何度も繰り返しました。
「でも、言葉も不自由だし手足も満足に動かせないのに大丈夫なの? なにか手伝うことがあるなら私のほうがお役に立てると思うわ。これでも中学校で国語を長年教えてきたのよ。マコちゃんによろしく言っといてくれない?」
吉川さんが、お豊ちゃんにニコッと笑っていいました。
「え?」
お豊ちゃんが面食らっていると、さらに、
「ね! お願いしたわよ。」
吉川さんがダメ押しのように言いました。


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家に帰ろう

「篠崎さんのこと? 電動車いすを持ってはるんよ。」
「あら、お豊ちゃん。おはよう」
「おはよう。」
いつの間にか、お豊ちゃんがハッピーちゃんとカイちゃんを連れて立っていました。
「へぇ~、そうなんや~。電動車いすって高いん違うん? バッテリーが切れたら大変なんやろ?」
吉川さんが聞きました。
「え? さあ、よく知らないけど……」
あれこれ聞かれて、お豊ちゃんは困り顔で答えました。
「カイちゃんの故郷に出かけた時も、先生のお父さんと意気投合してたものね。」
とまあばあちゃんが言うと、
「そう! そうなんよ! よく電話してるみたい。施設も出ることにしたみたい。来週末には帰ってくるんじゃないかしら。」
「えらい思い切ったもんやな。そやけど、息子さん働いてはるやろ。いけるんか?」
「うん、先生のお父さんに歩けるようにならんと息子に悪いでって言われて、奮起して練習したみたい。」
「偉いわ! 二人とも立派ねえ!」
お豊ちゃんとお春ちゃんの話を聞いていて、まあばあちゃんは感心しました。
「それにしても、お豊ちゃん、あんた、えらい詳しいな。」
お春ちゃんが聞くと
「マコちゃんと息子さんもやりとりしてるみたい。ほら、吹き出しがいっぱい出てくるやつ……、え~っと、なんて言ったけ」
「あ、それ知ってるわ。トモちゃんも使ってるわ。ラインや!」
お春ちゃんが得意げに言いました。


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一緒に頑張る

それから、しばらくたった朝、いつものように池のほうに散歩に行くと、驚くことがありました。
あのカッコいい男の人のお父さんが先生のお父さんと一緒に柵につかまっていました。
先生のお父さんと一緒に柵につかまりながら一生懸命歩いていました。
途中、休んでは楽しそうにお話ししています。
先生のお父さんが何やら身振り手振りをしています。すると、もう一人のお父さんも同じように動きます。ストレッチの仕方を教えているようです。
「見てみ、先生のお父さん弟子が出来たから張り切ってはるわ。」
お春ちゃんが感心したように言いました。
「ほんとね。張り合いが出るわね。」
まあばあちゃんも嬉しそうに頷きました。
二人ともなんともぎこちない動きですが、とっても楽しそうです。
「あれ、でも、あの男の人の親御さん、一人で車いす押してこられへんやろ? どうやってここまで来たんやろ?」
吉川さんが不思議そうに言いました。


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健康を願って

恭子ちゃんは、しばらく考え込んでいましたが、
「もう! 分からへんわ。もっとヒントちょうだい!」
「あのね。お春おばあちゃんがキューピットの人。」
トモちゃんが言うと、恭子ちゃんは
「ああ! なるほど! へぇ! そうなん、私も行きたかったわ~。カッコよかった?」
「うん。すごくカッコよかったよ。」
「お父さんとどっちがカッコいい?」
「……う~んと、お父さん?」
「なんか、今、間があった……」
恭子ちゃんは不満そうです。
「そりゃ、お父さんはカッコいいけど、タイプが違うし……」
「ふ~ん。」
「あ、あのね。その人のお父さんも車いすなんよ。お父さんを大事そうに車に乗せてはった。」
「そう、先生のお父さんもだし……、みんな大変やね。うちはお母ちゃんもお春ちゃんも健康でありがたいわ。」
と言って、恭子ちゃんはまあばあちゃんとお春ちゃんを抱きしめました。
「ほんとうにね。こればっかりは自分ではどうにもならないものね。みんな健康を願ってるんだけどね。」
まあばあちゃんはしんみり言いました。


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ビックリすること

「そやけど、今日はビックリしたな。」
お春ちゃんが急に言いました。
「あ、ビックリしたわね。」
まあばあちゃんはそれだけで何の話か分かったようです。
「まあちゃん、知ってた?」
「知らなかったわ。」
「私も、いろいろ聞きたかってんけど、吉川さんがおったから聞きにくかってん。あの人、なんか話を暗いほうに持っていくから、気ぃ使うわ。」
まあばあちゃんもうなずきました。
「どうしたの? なになに?」
恭子ちゃんが、身を乗り出して聞きました。
「あ、そうか、恭子ちゃん、今日、来てへんかったからな。」
恭子ちゃんが聞くと、お春ちゃんは急に意味深に笑いました。
「なによ。」
「今日な、ビックリするようなことがあってん。」
「うん。聞いたよ。」
「なんやと思う?」
「分からへんわよ。行ってへんもん。ヒントは?」
「ヒントはな……、ビックリするような人が来てん!」
お春ちゃんは得意げに言いました。
「びっくり……、芸能人?」
「ちゃう! そんなん、ちがう。うちらが来て欲しいような人はみんな死んでるわ。それか石原軍団ぐらいや。」
「そう……、そうか……え~、誰やろ……」
恭子ちゃんは考え込んでしまいました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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