家に行ってみると……

「まあちゃん、あれなんやろ?」
「…………。」
買い物の帰り、回り道をして昭雄さんが住んでいた家の様子を見に行ったのですが、
「車何台や? 4台、5台?」
「うん。」
「それに、なんや、ようさん来てるけど……」
スーツを着た男の人たちが家の中と外を出てきたり入ったりしています。
なんだか物々しい雰囲気です。
まあばあちゃんとお春ちゃんは家の前まで行かず、離れたところから様子をうかがっていました。
「……お葬式屋さんって感じしないわね。」
「まあちゃんもそない思うか?」
「ええ、なんか怖いわ。」
二人はしばらくそこに立っていましたが、お春ちゃんが、
「……帰ろっか……」
「そうね、一度戻りましょうか。」
2人は思わぬことに勢いを失ってしまいした。


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お春ちゃん、大笑い

「あはははは!」
お春ちゃんが急に大きな声で笑いだしました。
「お春ちゃん?」
まあばあちゃんが驚いて声をかけましたが、お春ちゃんの笑いは止まりません。
お春ちゃんは、笑いが止まらずヒーヒー言っています。
「大丈夫?」
「あー、なんでやろ。自分でも、よう分からんけど、笑いが込み上げてきた、と思ったら、止まらへんようになってん。」
お春ちゃんは、すっきりしたようなお顔で言いました。
「葬式終わったら、あの家出て行ってもろて売ることにするわ。」
「そんなに急がなくても、もっとゆっくり考えたら……」
「何言うてんの、早うせんと居座られたら大変や。今日の買い物の帰りに家の様子見に行ってくるわ。まあちゃんも一緒に行ってくれるやろ?」
「もちろん。」


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頭がスッキリ

「なぁ、まあちゃん、私アホなことばっかりやってたような気がするわ。」
お春ちゃんはポツリと言いました。
「邦子に300万円って言いにいったんは、私が昭雄さんに渡してたからかな。」
「……うん。」
「そやけど、なんで邦子のとこに行ったんやろ? 一番、行かれへん所やろ? 赤の他人より、行ったらアカンところやんか……。考えられへんわ。」
「普通の人じゃないことは、さんざん思い知らされてるでしょ。昭雄さんは、その人が良くて一緒にいたんだから。」
「3日ほど前に渡した10万はどないなったんやろ。みんなあの女にとられたんやろか?」
「お春ちゃん、死んでしまった人のことをどうこう言っても始まらないわ。忘れましょうよ。」
「ほんまやな。これで、ほんまに縁が切れるんやな。」
「そうよ。」
まあばあちゃんは答えました。
「昭雄さんは、家族やった人やけど、あの女やオバハンらは、私とな~んも関係ないもんな。頭の中がスッキリしてええわ。」
お春ちゃんは、うんとしっかり頷きながら言いました。


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私ばっかり悪いんかなぁ

「お春ちゃん、大丈夫?」
まあばあちゃんが、心配そうに言いました。
「うん。なんでや?」
「元気ないから……」
「ひとつもシンドイことないで。……恭子ちゃんに言われたこと考えててん。私がぜ~んぶ悪いんかなぁ。あんなに言われんとアカンか? ……恭子ちゃんは、言い方キツイわ。いっつも邦子の味方や。わたしかて、ひどい目に遭ってんのに……なあ、まあちゃん……」
お春ちゃんは、ショボンとした様子で言いました。
まあばあちゃんは、返事できませんでした。まあばあちゃんも恭子ちゃんと同じ考えだからです。
「まあちゃんは、どない思う。私ばっかり悪いと思うか?」
お春ちゃんは、また聞きました。
「正直に言ってもいいの?」
「……まあちゃんも私が悪いと思てるんやな……」
お春ちゃんはさらにションボリしました。
「悪いというより、今朝のことは、お春ちゃんが昭雄さんにお金渡し続けてたからと思うわ。」
「そやかて、家族やった人が困ってたら、ほっとかれへんで?」
「お春ちゃんのそれが分からない。私、あんなひどい人、嫌いだから。」
「まあちゃん、亡くなった人のことそんなんよう言うな……」
お春ちゃんは、ほんとうに驚いていました。確かに、亡くなった人にこんなこと言うのは、いけないことかもしれませんが、なんだか、スルッと口から出てしまったのです。


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お春ちゃんのせい!

恭子ちゃんのスマホが鳴りました。
お春ちゃんは耳を澄ませましたが、恭子ちゃんは画面を見たままです。
「なんや。電話と違うんか?」
「うん。今のは違うよ。ほらここ見て」
恭子ちゃんが、お春ちゃんにスマホの画面を見せました。
「オッチャンが今、帰ってきたって……、安心です。って書いてる。邦ちゃんはオッチャンのことが大好きなんやね。」
「えらい仲のええこっちゃ、朝も早よから騒がしいして。こっちは心臓が上がったり下がったりしてんのに、私にあやまりもないんかいな。」
「なに言ってんの。あるわけないやん。」
「なんでや。」
「なんでって。だって、みんなお春ちゃんのせいやもん。」
恭子ちゃんの言葉にお春ちゃんはカッとなりました、
「私のせい? なんでや! それは聞き捨てならんわ。」
「もう、さっきも言うたやんか。お春ちゃんが、いつまでも昭雄さんにかまうからやろ! そうでなかったら、邦ちゃんのところにあの女が来ることないわよ。」
お春ちゃんはグッと黙りました。
「ちょっと、考えてみてよ。お春ちゃんは昭雄さんのどこがよくて助けたげてたん? ええ加減にせんと邦ちゃんが可哀そうすぎるわ。みんなが巻き込まれてしまうわ。」
お春ちゃんは黙ったままです。
「だいたい、お春ちゃんは気に入ると、すぐに肩入れてして入れ込みすぎる。自分はいい気分かもしれんけど、周りのみんなにもちょっとくらい気ぃ使ってよ。」


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恭子ちゃんからの話

「それでも、邦子のところに行くのはおかしいやろ? 邦子の旦那がなめられてるんやな。」
お春ちゃんはあきれ返って言うので、恭子ちゃんが、
「お春ちゃんが、昭雄さんにお金を渡すから、邦ちゃんまで甘く見られてんの。」
お春ちゃんは、意外そうに言いました。
「え? 私のせいか?」
「そうよ。」
恭子ちゃんにはっきり言われて、お春ちゃんはションボリしました。
「なんでお金、渡してたこと知ってるんや?」
「そんなん分かるわよ。それよりしばらく様子見てから、あの家出て行ってもらわないと、あの女の家族に乗っ取られてしまうわよ。しっかりしてよ!」
恭子ちゃんのことばにお春ちゃんは、
「ほんまや。恭子ちゃんの言うとおりや……」
お春ちゃんはがっくりと肩を落としました。
「ほんで、どないなったんや。」
「いつまでも怒鳴りちらして帰らないから、邦ちゃんが110番して収まったって。」
「邦子は無事なんか?」
「それは大丈夫。警察の人も、あの女がまた来たら呼んで下さいって言ってくれたらしいよ。」
「そうか。良かった。」
お春ちゃんはホッと胸をなでおろしました。
「そやけど、なんで邦子は私に電話かけへんのや? 恭子ちゃんの、それに電話してきたんやろ?」
恭子ちゃんのスマホを見て言いました。 


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なんで、オッチャンが?

「そやけど、なんで邦子の婿さんが、昭雄さんのこと言うてくんのやろ? 余計な事教えにけぇへんかったら、私も悩むことあらへんのに……。迷惑なこっちゃ。」
お春ちゃんが、オッチャンが帰った後にポツリと言いました。
「あの女が、邦ちゃん所に『葬式するから300万出せ』って言いに来たからやよ。」
恭子ちゃんでした。
「え?」
「うわ、ビックリした。起きてたんかいな。」
「ねぇ、恭子ちゃん、あの女って……、まさか……」
まあばあちゃんが恭子ちゃんに聞くと、
「昭雄さんが連れてきたあの薄気味悪い女よ。まだ暗いうちに来たらしいよ。」
「なんで、邦子のところへ……ほんで、どないしたん?」
お春ちゃんが、驚いた様子で聞きました。
「そりゃ、そんなお金ないって言うわよ。そしてら、『なんで300万くらい無いねん』って、怒鳴り散らしたって。それで、うちにも来るんじゃないかって。オッチャン、心配して来てくれたんよ。」


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まあちゃんったら、どうするの?

「……そんなん言うたかて、私も分からんねん。」
「お春ちゃん。」
「そやから、まあちゃんやったらどないするんか聞いてるねん。」
お春ちゃんがまあばあちゃんに聞きました。
「……私なら、放っておくわ。それは、今一緒にいる人の仕事だもの。それにあの家はお春ちゃんのものなのよ。早く出て行ってもらわないといけないでしょ。」
まあばあちゃんの厳しい言い方にお春ちゃんも顔を引き締めました。
オッチャンはお春ちゃんの様子に、何かを感じたのか納得したように
「ほな、帰ります。お義母さん、余計なことをお耳に入れてすみませんでした。」
と言って、まあばあちゃんとお春ちゃんに頭を下げました。
「あ、見送るわ。」
「いらんいらん。あ、ばあちゃん、困ったことあったら何でも言うてや。わし、すぐに来るから。」
「ありがとう。お願いします。」
まあばあちゃんは手を振ってこたえました。
それにしても、オッチャンは、なぜ昭雄さんが亡くなったことを知っていたのでしょう。
まあばあちゃんは不思議に思いました。


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まあばあちゃんには、大嫌い

「お春ちゃん、そんなこと町会に言っちゃだめよ!」
まあばあちゃんは、慌ててお春ちゃんを止めました。
「え、なんで……?」
「だって、そんなこと町会に相談することじゃないでしょ? それに、町内の人中に知られることになるわよ。それこそ仏様に恥をかかせることになるわ。」
まあばあちゃんの言葉に、お春ちゃんは、
「……ほんまやな。……そやけど、……ほな、私、どないしたらええんや。昭雄さんのこと、あのまま放っておけ言うんか? なあ、まあちゃん。」
まあばあちゃんは、黙ってしまいました。
「なあって、私どないしたらええのん?」
「…………」
「まあちゃんやったらどないすんのん?」
「ねぇ、お春ちゃんは、昭雄さんの何が良くて目をかけているの?」
今度は、お春ちゃんが黙りました。
まあばあちゃんには、お春ちゃんがまた昭雄さんの関わろうとしていることが理解できませんでした。
ましてや、邦ちゃんをいじめていじめた上に、放り出して離婚した人です。
国立だか何だか知りませんが、まあばあちゃんは昭雄さんが大嫌いでした。


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お春ちゃん、なんで?

「……邦子、ほんまに……そない、言いましたか……?」
お春ちゃんは、驚いたように言いました。
「……はい。」
お春ちゃんは、まあばあちゃんを見ました。
「私もそう思うわ。お春ちゃん、あなたの生んだ子は邦ちゃんなのよ。その娘が今まで、されてきたこと考えてみてよ。」
突然女の人を連れてきて、邦ちゃんに世話をさせて、雨の日に追いだしたうえに、お金の無心に来る昭雄さん。いつまでも、関わっているお春ちゃんがおかしいのです。
「ほんまやね。昭雄さんが死んだかて、関係ないな。それより、あの家は、うちらのもんやから出て行ってもらわんとな。」
「そうよ。」
まあばあはんは、うなずきました。
「ほんまや。放り出された娘の母親が、前の旦那の葬式出すのは、おかしいわ。町内の笑いもんになるわ。」
「そうよ。」
「ほな、わたし、今から、町内会長さんとこ相談に行って来るわ!」
お春ちゃんは、そう言うとヨッコラショッと立ち上がりました。
まあばあちゃんもオッチャンも、【え!】っと面喰いました。


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お春ちゃんにとっての縁

「……まあちゃん……」
「……なに……」
「あんな……、ごめんやで、なんやかんや言うても一回は私らの縁のあった人やし……、葬式ぐらいは出さんとな……、な?」
お春ちゃんはまあばあちゃんに同意を求めるように言いました。まあばあちゃんが黙っていると、
「死んだまま寝かしとかれへんやろ?」
「でも、お春ちゃん、昭雄さんのほうから縁を切ってほしい言ってきたのよ。一緒に暮らしてる人に任せたらどうなの?」
まあばあちゃんの思いのほか強い口調に、お春ちゃんは驚いた顔をしていました。
まあばあちゃんは、もうこれ以上あの家と関わってほしくなかったのです。
「……あの、邦子は、どない言うてましたか?」
お春ちゃんは、帰るに帰れないでいたオッチャンに聞きました。
オッチャンは、息を詰まらせたようにジッと固まっていましたが、
「『もう、関わりのない人のことやから、知らないことです。』言うてました。」
と、いいました。


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昭雄さんが……

お春ちゃんは、オッチャンの言葉に次の言葉が出てこないようでした。
お春ちゃんは、2、3日前に昭雄さんに会っているのです。
まあばあちゃんは、お春ちゃんが、昭雄さんに何をか渡しているのを見ました。たぶんお金でしょう。
お春ちゃんは、昭雄さんが国立大出というだけで、頭が上がらないようでした。
昭雄さんが、女の人を家に引き入れたときも、邦ちゃんが追い出された後も、昭雄さんを援助していました。
そして、お春ちゃんが自分の家を処分して家を出た後もお金を無心に来ました。
邦ちゃんが再婚してお春ちゃんと一緒に住んだ時も、きました。
お春ちゃんは、それでも、断れないようでした。
そんな最低の男の人が死んで、まあばあちゃんはスッキリするかと思ったのに、なんだか胸になにかモヤの模様なものが溜まって何とも言えない気持ちでした。
「わたしな、まあちゃんに怒られる思ってな。こっそり昭雄さんにお金渡しててん。ほんの2、3日前にもお金渡したんやで。そのお金はどないなってるんやろか……」
お春ちゃんは、ぼんやりした表情でポツンと言いました。


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知らせ……

今朝は早くから、大変なことがありました。
邦ちゃんの前のご主人昭雄さんが亡くなったというのです。
昨夜、遅くお風呂に入ったまま亡くなったそうです。
知らせてくれたのは、今の邦ちゃんのご主人のオッチャンでした。

(じゃあ、あの時のサイレンは……)
まあばあちゃんは、昨日の夜のことを思い出しました。遠くでサイレンの音が鳴っていたのは気が付いていましたが、まさか昭雄さんだったとは……
お春ちゃんを見ると明らかにうろたえていました。
「……あの、お知らせしたほうがええのか……どうか悩んだんですけど、やっぱりお耳に入れといた方がええと思いまして……」
「……そうですか。……知らせてくださって有難うございます。」
お春ちゃんは、それだけ言うのがやっとの様子でした。
「……あの……」
オッチャンは、何か言いかけてやめました。
「なんですか?」
オッチャンは、お春ちゃんに聞かれて、悩んだように首を傾けました。
「言うて下さい。」
「……なんでも、あの家では葬式出す金がのうて、ご遺体はそのまんま寝かしたぁるらしいですわ。」
そう言って、オッチャンは黙ってしまいました。


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ハートマークはダメ?

「ハトマークじゃなくて、ハ・ー・ト・マークよ。お春おばあちゃん。」
と恭子ちゃんが笑うと、
「恭ちゃん、ばあちゃんて言われたない。お春ちゃんでええで!」
トモちゃんにおばあちゃんと言われるのは嬉しそうなのに、恭子ちゃんに言われるとプンプンしています。
「ほんで、そのハトマークって何のことや?」
「だから、ハート・マーク。心のことよ」
恭子ちゃんは、自分の胸をトンと手のひらを当てました。
「健ちゃんのことが好きなのね。子どもも小さくて忙しいのに……」
「なんや、恭子ちゃん羨ましいんか? 私書いたろか?」
お春ちゃんがそう言うので、恭子ちゃんは(え?)って顔をして、
「ううん。いらないわよ。私もお父さんのこと大好きだけど、ああいうのは出来ないから羨ましいなってことやよ。」
「ま、ええがなええがな。書いたるがな。どんなマークや?」
お春ちゃんがあんまりいうので、恭子ちゃんが指で書きました。
すると、お春ちゃんは、
「なんや。それは! やらしいヤツやんか!」
「へ?」
恭子ちゃんはキョトンとしています。
「仕事始めから、遊んでるんかいな。そんなこっちゃ、まともな仕事できへんで! ガツンとやっとかな。」
お春ちゃんはそう言ってムスッとしました。


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恭子ちゃんたちにお弁当

今日から、本格的に健ちゃんは、お父さんのところで働くことになりました。
といっても、今までと大きく変わることはないのですが……
健ちゃんは、お父さんより15歳年下です。商品の配送や修理をする機械を預かってきたりします。配送がない日や早く終わる日は、工場の仕事をします。
今まで配送に充てていた時間を工場での仕事に回せるので、お父さんは仕事を増やしました。一日のほとんどを工場で過ごします。恭子ちゃんはお父さんと一緒に仕事ができるので嬉しそうです。
工場は駅一つ向こうにあります。
お父さん達はお昼はお弁当を持って行くことにしました。
まあばあちゃんはいつもに増して張り切ってお弁当を作りました。
可愛いお弁当箱は、トモちゃんの。大きくて保温のできるお弁当箱は、お父さんと恭子ちゃん。まあばちゃんは、健ちゃんの分も作ったのですが、帰ってきた恭子ちゃんは、
「ごめんね。お母ちゃん、お弁当渡されへんかったわ。」
「あら、どうして?」
「なんでや。」
まあばあちゃんとお春ちゃんは二人同時に言いました。
「だって、健ちゃん、愛妻弁当を持って来てたもん。出しかけたんやけど慌ててひっこめたんよ。」
「あら。」
まあばあちゃんは、納得したようにうなずきました。
「それしにもて、若い二人には当てられるわ~。ルリちゃんたらね。紅しょうがをハートマークにしてるんよ。」
「なんや? ハトマークって。」
お春ちゃんが不思議そうに聞きました。


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まあばあちゃんへの気遣い

「お母さんをのけ者にしたみたいになって、本当にすみませんでした。」
お父さんは、まあばあちゃんにまた謝りました。
「ううん。みんなの言う通りよ。もし私が相談されてたら、オロオロするばっかりで何にもできなかったと思うわ。」
そこまで言ってからニコッと笑って、
「で、すごく落ち込んでたと思うわ。だから、本当に有難いと思ってるの。」
まあばあちゃんは、感謝の気持ちを込めて言いました。
「これからまた、お義母さんに心配かけることがあるかもしれませんが、健ちゃんと一緒にやっていこうと思います。今まで恭ちゃんに負担をかけてきましたが、少しは楽させてやれると思うんです。」
「ありがとう。いつも気遣ってもらって本当にありがとう。で、……あの、健ちゃんはお父さんのいい仕事仲間になるかしら……」
まあばあちゃんは少し心配しながら聞きました。


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まあばあちゃんにお話

「お母さん、健ちゃんのことで寂しい思いをさせてすみません。」
恭子ちゃんは、さっそくお父さんに話したようです。
「ううん、そんな事ない! 私に心配かけまいと気遣ってくれたからだもの。有難く思ってるわ。」
まあばあちゃんがお父さんのコーヒーを入れながら答えました。
「健ちゃんのことなんですが・・・・・・」
お父さんの口から健ちゃんの名前が出て、まあばあちゃんは何故だか緊張しました。
「どうしたの?」
まあばあちゃんは、コーヒーをお父さんの前に置きながら言いました。
「昨日の夜、健ちゃんの方からうちで働かせてほしいと言われて、そうしてもらうことに決めました。このことだけはお義母さんに一番に話そうと思っていました。」
「大変なのに、ありがとう。でも、恭子ちゃんはどう言うかしら……」
「それは大丈夫だと思います。うちにおいてあげたらって何度か言ってくれてましたから。」
「健ちゃん、いつも幸せそうに笑ってたから、いい職場で働いてると思ってたのに、……みんなに聞いてびっくりしたの。」
お父さんも、そう思っていたのか静かに頷きました。


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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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