朝のコーヒー

朝起きると、まあばあちゃんはお布団の中にいました。昨夜は、恭子ちゃんとお春ちゃんのお話を聞きたいと思っているのに、いつの間にか眠ってしまっていつお布団に連れて行ってもらったかも覚えていません。まあばあちゃんの横ではジロとミミちゃんがクウクウと眠っています。お春ちゃんもゴーゴーと気持ちよさそうにイビキをかいています。
まあばあちゃんは、起こさないようにそっと起きました。
朝ごはんの支度をするためです。
そっと起きたつもりでしたが、ジロとミミちゃんはすぐに気づいてまあばあちゃんの傍にいました。
いつもなら、朝の散歩に行くのですが、最近は冷え込んできたので、9時ごろになってから行くようになりました。
朝の支度をしてると、お父さんが起きてきました。
「お母さん、お早うございます。」
「あら、お早う、すぐに暖かいコーヒーを入れるわね。」
そう言うと、お父さんのためにお湯を沸かしました。


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お茶にしよう

「ま、家なら任しとき! 私が大家さんに頼んでええとこ探してもらうわ。」
そう言って、お春ちゃんがポンと胸をたたきました。
まあばあちゃんは、お春ちゃんと恭子ちゃんの話を聞いていると、頼もしく感じて嬉しくなってきました。
「まあちゃん、何嬉しそうな顔してるんや?」
お春ちゃんがまあばあちゃんを不思議そうに見つめました。
「ほんとや。さっきまで泣きそうな顔してたのに。」
恭子ちゃんも言いました。
「頼りになるなぁっと思ったら、なんかホッとして……」
「まあちゃんは、心配症やな。なんとかなるで。」
お春ちゃんが、まあばあちゃんの肩を優しくたたきました。
「お茶でも入れよか。」
そう言って、お春ちゃんがお湯を沸かしました。
お春ちゃんの背中を見ていると、昔を思い出してあったかい気持ちになりました。
(お春ちゃんには本当に助られたわ。世話好きでお節介で、一生懸命に力になってくれたお春ちゃん。時には、報われないこともあるけど……)
まあばあちゃんは、疲れが出たのかお茶を待っている間になんだか眠くなってきました。


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お豊ちゃんがみてる

「なあ、あの子ら、この近くに家探したらどやろ?」
お春ちゃんが言いました。
「え?」
「小さい子抱えて働くの大変やんか、近くにおったら私らで赤ちゃんみるけどな。」
「そうね、それが良いわ。」
まあばあちゃんも、いい考えだと思いました。
「あ、それは、大丈夫やよ。」
恭子ちゃんが言うとお春ちゃんが聞きました。
「なんでや、保育所に預けてるんやろ? 今、大変やろ?」
「ルリちゃんが働いてる間、お豊おばちゃんがみてくれてるから。」
と言う恭子ちゃんにまあばあちゃんが、
「お豊ちゃん、事情を知ってるの?」
「どうかな……、知らんけど……」
「ま、うちらもおるし、こっちに越してきた方がええわ。ルリちゃんもあっから通うの大変やろ。」
お春ちゃんが、言いました。


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納得できない……

「健ちゃんは、なんて言ってるの?」
まあばあちゃんが、恭子ちゃんに聞くと、
「オッチャンが間に入ってくれて、現金でってことになってん。」
「いくらぐらいなの?」
「17万とか言ってたわ。」
「17万!?」
まあばあちゃんは、ビックリしてしまいました。
「今日明日に払いに行くって言ってたわ。」
「17万ってひどい会社ね。退職金もあるでしょうに……」
「確かに……。赤ちゃんもいるのに、えげつないなと思うわ。」
恭子ちゃんも納得できないようです。
「でもな、ものは考えようやで、聞いてたらひどい会社やんか、そんな会社にはもうオサラバしたほうがええで……」
お春ちゃんが、諭すように言いました。
「それは、そうだけど……」
まあばあちゃんは、ションボリしてしまいました。


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まあばあちゃんはガッカリ

「恭子ちゃん、力になってあげてくれてありがとう。」
まあばあちゃんが言うと、
「ひろ子ちゃんは、あの時の私やもん。ひろ子ちゃんを送ってくれた優しい健ちゃんにも不幸になってほしくやん。」
恭子ちゃんの言葉に、まあばあちゃんはホロっとしました。
「それにね、クビになってよかったかもよ。あんな働き方じゃ、体、壊すと思うわ。」
「そうね……」
「そやねんで、まあちゃん!」
お春ちゃんが、また戻ってきました。
「事故した車の修理代、まとえって言うねんで。あんなほったらええ様な車!」
「保険に入ってなかったの?」
まあばあちゃんが恭子ちゃんに聞くと、
「入ってるんやけど、次の年の保険代が高くなるでしょ。それで、健ちゃんにただ働きするか、お金を払うかって……」
「前の社長さんは、助けてくれないのかしら」
「ないと思うわ。健ちゃんは、いい人って言うてるけど、前の給料も安すぎるし、お金には厳しい人と思うわ。」
「そうなの……」
まあばあちゃんはいい案が浮かばずガッカリしました。


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勤め先の社長さん

「え? どうして?」
まあばあちゃんが驚いて聞きました。
「今は、うちとオッチャンとこの仕事を手伝ってるねん。若いし、また自分に合うとこ見つけるかもしれへんけど……」
「じゃあ、今、勤めてるところはダメなのね。」
まあばあはんはションボリしました。すると、お春ちゃんが、
「まあちゃん、落ち込むことあらへんで、前の社長はええ人やったらしいけど、今の社長は頭も性格も悪いらしいわ。」
「社長さん、変わったの?」
恭子ちゃんが頷きました。
「そやねん、息子に代わったらしいわ。前から仕事のせぇへんで難儀してたらしいで。」
「お春ちゃん、どうしてそんなに新しい社長さんに詳しいの?」
まあばあちゃんが、不思議そうに聞くと、
「それがな、世間狭いで。そこに配送頼んでる会社の事務員してる奥さんが、前に住んでた家の近所の人やってん。」
「あら……」
「難癖つけて給料も下げられたらしいわ。そやのに、自分がドジした仕事も、健ちゃんにさせて、あの子いっぱいいっぱい働かされてたらしいわ。そんで、居眠りやわ。」
まあばあちゃんは、小さく頷きました。
「その時に道路脇の柵に当たって車へこましたんやて、ほんで……」
お春ちゃんは、自分の首を手でチョンとする仕草をしました。
「もう、お春おばちゃん! 私が話するからあっち行ってて。」
恭子ちゃんに強く言われて、お春ちゃんは、詰まらなさそうに口をへの字に曲げて、居間に行きました。


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健ちゃん?

「ねえ、恭子ちゃん……」
夕食が終わって後片付けをしているとき、洗い物を持ってきた恭子ちゃんに声をかけました。
「なに~。」
「あのね……」
「どうしたん?」
まあばあちゃんは、どこから話したらいいのか分からなくなり、黙ってしまいました。
お春ちゃんもチラチラこちらを見ています。
「あのね、ひろちゃんを助けてくれた、運転手さんのことなんだけど……」
「ああ~。健ちゃん。」
「ケンちゃん?」
「うん。ひろちゃんを送ってくれた運ちゃん、健ちゃんていうんよ。」
「そう……」
まあばあちゃんは、恭子ちゃんが運転手さんのことを名前で呼んだので、なんだかホッとして、気が楽になりました。
「今、大変って聞いたんだけど……」
「ああ、その事? 心配しなくてもいいよ。」
恭子ちゃんは、屈託なく言いました。


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心配な、まあばあちゃん

「みんな知ってたのに、私だけ知らなかったのね。」
まあばあちゃんは、ポツンと言いました。
「もう、言うてしもうたから言うけどな。勤めてたのが小さい運送会社やからな。事故、起こした人はいらん言われてるらしいから、もうクビになってるかもしれん。」
お春ちゃんは、深刻そうな顔をして言いました。
「そんな……」
「そりゃそうよね。会社側からしてみれば、心象悪いものね。」
吉川さんが納得したように言いました。
家賃を未だに返してもらってないお春ちゃんは、不愉快そうに吉川さんを見ましたが、吉川さんに気付いた様子はありません。さらに、吉川さんは続けます。
「事故を起こしてクビになったじゃ、次の就職も難しいかもねぇ。」
「あんた、そういうのは、お金返してから言うてや。」
と、お春ちゃんが言うと、吉川さんは困ったような顔をして、
「ごめんね。通帳がね……、」
と言い訳を始めたので、お春ちゃんはプイと横を向いてしまいました。
「これから、ルリ子さんたちどうやって暮らしていけばいいのかしら……。小さな子もいるのに……」
まあばあちゃんの心に重い物がのしかかりました。


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まあばあちゃんには内緒

「あ、どないしょ!」
お春ちゃんはしまったというように、口を押さえました。
「どうしたの?」
まあばあちゃんが聞くと、お春ちゃんはすまなそうに
「このこと、まあちゃんには内緒やってん……」
「え、どうして?」
「まあちゃん、心配するやろ?」
うちのムコさんも言うてたし、邦子もやし恭子ちゃんもやで……」
「そんな……」
まあばあちゃんはしょんぼりしました。
「そんな、ションボリせんといてぇな……」
「そりゃ、私はこんな年寄りだし……、たいした役には立たないと思うけど……」
まあばあちゃんはうつむいて黙り込んでしまいました。
「まあちゃん、そんな心配することないわよ。若いんだから何とかするわよ。仕事もすぐに見つかるわよ。それに、奥さん、いいとこ見つかったじゃない。」
吉川さんが、言いました。
まあばあちゃんは、小さくため息をつくと、力なくシルバーカーを押しました。


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まあばあちゃんは知りませんでした

「まあちゃん、私やっぱり年かな~。」
お豊ちゃんの家からの帰り道、お春ちゃんが、ポツリと言いました。
「どうしたの? 急に……」
「周りのことが変わってても、気ぃつかへんようになったなぁと思ってな。」
お春ちゃんはルリ子さんがお豊ちゃんの家で働いていたことに驚いたようです。
「ルリ子さんのこと?」
「わたしも、あの子らのこと気にしてたんや。そやけど、やっぱり、まあちゃんはさすがやわ。」
「なんのこと?」
「え? ルリちゃんのことやがな。」
「ルリちゃん、喜んでたわね。」
「そら、助かったと思うで。あの子の主人が事故起こして、今、休職中やもんな。」
「ええ! ほんと?」
まあばあちゃんは飛び上がりました。
「まあちゃん、知らんかったんかいな。なんか居眠りしてたらしいわ。」
「まあ……」
まあばあちゃんは驚いて次の言葉が出ません。
「去年の暮の話やと思うわ。うちのムコさんが野菜持って行ったった時にな、相談されたらしいわ。」
まあばあちゃんは、頭が真っ白になってしまいました。


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まあばあちゃんはお昼過ぎ……

「ほんとに有難うございます。」
ルリ子さんは、またお礼を言いました。
「私は何にもしてないわよ。」
「いいえ、私、いつも感謝しています。小さな子を抱えてどうして働こうかと思ってた時に、こんないい話をいただいて。」
「良かったわ。」
まあばあちゃんは嬉しくて涙をがこぼれました。恭子ちゃんを育てていた時のことを思い出したんのです。お春ちゃんやいろんな人に助けてもらって何とかやってきました。
「まあちゃん、あんまり遅いから……どうしたの?」
お豊ちゃんでした。
「いえね。ルリ子さんと話してたのよ。ありがとう。お豊ちゃん。」
「ううん。有難いのは、こっちよ。ルリちゃんに手伝ってもらって本当に助かってるの。こんなに優しくていい娘さんを紹介してくれて。でも、まあちゃん、ここでルリちゃんに会うのは初めてだった?」
お豊ちゃんが不思議そうな顔をしました。
「ええ。ちょこちょこお邪魔していたけど、ルリ子さんに会うのは初めてよ。」
まあばあちゃんが答えると、お豊ちゃんが、
「ああ、ルリちゃんに来てもらってるのは朝の8時からお昼までなの。」
「ああ、それでやな。私らが来るのはお昼過ぎからやもんな。」
お春ちゃんが言うと、まあばあちゃんとお豊ちゃんはアハハと笑いました。


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お豊ちゃんが心配で

「いつも気にかけていただいて、本当に有難うございます。」
ルリ子さんは、まあばあちゃんの手を取ってお礼を言いました。
「そんな……、私は何にもしてないわ。それにここのところ、バタバタしていてご無沙汰しててごめんなさいね。」
「いいえ。早くにお話しいただいてたのに、遅くなってしまって……、本田さんにお話し伺ったときに訪ねたんですけど、あんまり大きなお家で怖気づいてしまって、お会いせずに帰ってきてしまったんです。」
「まあ」
「それで、柿狩りのバーベキューに誘っていただいたとき、樺山さんの奥さんとお会いして、働かせていただくことになったんです。」
「そう!」
「なに? 何の話や?」
お春ちゃんが、わからないといった様子で聞きました。
「マコちゃんがね。お豊ちゃんが一日お掃除ばかりしてるものだから心配してね。それで、誰かいい人いないか相談されてたのよ。」
「ああ、あの話かいな。この家、広いもんな。お豊ちゃんも年やからな。シンドイわなぁ。」
お春ちゃんの返事にルリ子さんはあいまいに笑って、
「それで、報告しようと思って伺ったんですけど、まあばあちゃんはお留守で、奥様がお話を聞いてくださいました。」
「奥様? 恭子ちゃん?」
「はい。」
奥様だなんて、恭子ちゃんが聞いたら大喜びしそうです。まあばあちゃんは、恭子ちゃんからルリ子さんのことを聞いていません。きっと忙しくて忘れてしまったのですね。
「でも、ルリ子さんが来てくれたらマコちゃんも安心ね。お豊ちゃんのこと、心配してたから。」
「お役に立てるように頑張ります。」


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あの運転手さんの奥さん

「へー。お豊ちゃんて、大きな家に住んでるのね。お金持ちの奥さんだったのね。」
吉川さんは驚いた様子でマジマジとお豊ちゃんの家を見ていました。
お春ちゃんが、インターフォンを押すと、
『はい』
「あ、お豊ちゃんか? お春や。まあちゃんと吉川さんも一緒やねん。」
『あら、いらっしゃい! すぐ行きます。』
ハッピーちゃんが一番に出てきました。
お豊ちゃんも来ました。
お春ちゃんが、
「お豊ちゃん、一緒に焼きパン食べへんか? 買いすぎてしもたんや。」
お春ちゃんが、大きなパンの袋を持ち上げて言うと、
「あら、美味しそう。紅茶を入れるわ。入って入って。」
お豊ちゃんが嬉しそうに言いました。
まあばあちゃんが、ジロの足を拭いていると、そっと手助けしてくれる優しい手に触れてビックリしました。
「あら!  ルリ子さん!」
「去年からここのお屋敷で働かせてもらってます。」
にっこり笑って答えたのは、ひろ子ちゃんを助けてくれた運転手さんの奥さんでした。


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お豊ちゃんの家に着いた。

「なあ、まあちゃん、パン、買いすぎてしもうたなぁ。」
お春ちゃんはシルバーカーに乗せたパンを見て言いました。
「そんな事ないわ。今日のお昼はパンにしましょ。お豊ちゃんにも手伝ってもらいましょ。」
まあばあちゃんが言うと、
「そやな。恭子ちゃん、朝から仕事に出たみたいやなけど、お昼は帰って来るやろか?」
「忙しいみたいだから、お昼は私たちだけね。」
「そうかいな。」
お春ちゃんは、ガッカリしたように言いました。
「あそこのパン屋のねぇちゃん、愛想良すぎるわ。ついいっぱい買ってしもうたわ。」
お春ちゃんは、嬉しそうに言いました。
「今から、お豊ちゃんの家に行くの?」
吉川さんが聞きました。
「そうよ。」
「この近くなの?」
「あ、ピアノの音が聞こえてきたわ。マコちゃんもいるのね。」
まあばあちゃんの声にお春ちゃんと吉川さんは2階を見上げました。
「ここ?」
吉川さんが驚いた顔をしました。


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初仕事

「いいの?」
吉川さんは嬉しそうにホウキをしまうと、鍵をかけました。
「あんたって、キレイ好きやなぁ。いっつも家キレイにして……。わたしが住んでた時なんか部屋の隅に埃がたまってたで。」
キレイになった玄関のガラスを見ながら感心したように言いました。
「まあちゃん、私、ジロちゃん持つわ。」
吉川さんはそう言ってジロのリードを落ちました。
「あ、吉川さん、大丈夫よ。」
まあばあちゃんは、そう言いましたが、
「いいからいいから。」
と言って、吉川さんはジロのリードを離しません。
「正月明けてからの初めての買い物やから。初買い物やな。」
「もう、お春ちゃんは新年になってから、なんにでも初をつけるわねぇ。」
「え? そうかいな。」
「そうよ。初笑い、初小言、初仕事って。」
「初仕事?」
吉川さんが不思議そうに聞きました。
「そやねん。わたしも、昨日な朝から庭掃除してん。あんたと一緒や。」
吉川さんは、嬉しそうに笑いました。


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パンが食べたくなった、お春ちゃん

「なあ、まあちゃん、駅前のスーパー行けへんか?」
お春ちゃんがまあばあちゃんに言いました。
「あ、今日は初売りね。」
「そやねん。わたし、パン買いたいねん。なんや。お餅ばっかりでなんか胃が重ぅなってきたわ。」
「お春ちゃん、お餅、食べ過ぎよ。」
「わたし、お餅大好きやねん。そやけど、食べ過ぎたわ。」
「じゃあ、お散歩がてらに買い物に行きましょうか? お豊ちゃんの家にも寄ってみましょう。」
「そや。あの子にもパン、買うてきたろ! ほな、行こか。」
「ジロ、ミミちゃん、お散歩行く?」
まあばあちゃんが声をかけると、ジロは話を聞いていたのか、もう行く気です。ミミちゃんは億劫そうです。
「ミミ、あんたはネコみたいやなあ。散歩に行っても寝てばっかりや。走り回るのは家の中だけやな。」
そう言いながら、お春ちゃんはミミちゃんのために、あったかい毛布をシルバーカーの中に入れました。
駅に向かって歩いてると、吉川さんが家の前をきれいにしていました。
「あんた、正月からエライなぁ。もう掃除してるんか?」
お春ちゃんが声をかけると、吉川さんは嬉しそうに、
「どこかへ出かけるの?」
と聞きました。
「駅前のスーパーや。あんたも行けへんか?」


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おせちをいただこう

「もう、お山から離れたわ。あんなに高いところに。」
と、お豊ちゃん。
「ほんとね。もう、お正月のお祝いも済ませてきたし、かえっておせちでも頂きながら、お茶でも飲みましょう。」
と、まあばあちゃん。
「じゃあ、おばあちゃん、車イス、動かすよ。」
トモちゃんの声に、まあばあちゃんのひざ掛けの間からミミちゃんが顔をのぞかせました。
二枚重ねたひざ掛けの間にいるのでミミちゃんはホコホコです。
ジロは元気よくシッポを振りました。ハッピーもチビちゃんも嬉しそうにステップしています。ひろ子ちゃんは一緒にステップをしています。
コナン君は、コナン君のお母さんとお花ちゃんのそばで、ピョンピョンしています。ミーちゃんはお春ちゃんのひざ掛けの中にいるのですが、顔も出しません。寒いからでしょう。
「お母さん、車いすを動かしますよ。」
と、邦ちゃん。
「なあ、まあちゃん、今年は、近所の池の道がキレイになって良かったなあ。」
「ほんとね。」
「ここやったら。みんなで来れるもんな。」
今年は、まあばあちゃん一家、おっちゃん一家、お豊ちゃん一家とコナン君一家、それに、吉川さんでご来光を拝みに来ました。


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ご来光!!

「わぁー、まあちゃん、ご来光やご来光や!」
お春ちゃんが大きな声をあげました。ご来光のために池の周りに集まった人たちも拍手をしたり、手を合わせたりしてとても感動的でした。
金剛葛城連峰の山並みから、少し太陽が顔を出しました。すると、ピカーッと神々しい光が放たれて、新しい世界が始まる! そんな感じがしました。
「今年の初日の出は最高や! 晴れ渡った空にご来光の光が黄金色に広がって! 今年はええことあるような気がするわ。」
「ほんとね。」
「来年も見られるようにしっかり生きていかなアカンな。な、頑張ろうな、まあちゃん。」
まあばあちゃんはニッコリ頷きました。
「な、まあちゃん、ここ最高の日の出スポットやったやろ。池に金剛山が映って。」
「ほんとう! お春ちゃんのおかげで、いいご来光を拝めたわ。長生きして良かったなぁって思ったわ。」
そう言いながら、まあばあちゃんは、光り輝くご来光にいつまでも手を合わせていました。
「今年もいい年でありますように……」


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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