邦ちゃんも帰った。

「まあちゃん、お春ちゃん、私も帰ります。ごちそうさまでした。あ、唐揚げもらって帰ってもいい?」
吉川さんはそう言うと、お皿にある食べきれなかった唐揚げをお豊ちゃんが入れてきたタッパーに戻すと、帰っていきました。
あとに残されたまあばあちゃんとお春ちゃんの心に残ったのは何とも言えない後味の悪いものでした。
しばらく二人は黙ったままでした。
「まあおばちゃん、お母さん、お茶をどうぞ。」
邦ちゃんがお茶を入れてくれました。
「おおきに、ええ香りやな。重ぉなった心がスーッと軽ぅなっていくわ。」
お春ちゃんは、湯飲みを両手で大事そうに持ちながら言いました。
「ほんとね。」
まあばあちゃんもうなずきました。
「……お母さん、吉川さん、お家賃、返してくれましたか?」
「それが、まだやねん。口座がどうの言うて……」
「お母さん、お金のことはちゃんとしないと……」
「そんなこと、分かってる。あんたは心配せんでもええ。」
お春ちゃんは、そう言ってブスッとしました。
「でも、邦ちゃんの言う通りよ。」
まあばあちゃんも言いました。
お春ちゃんは黙り込んでしまいました。
邦ちゃんはその様子を見て、小さくため息をつくと、
「じゃあ、私も帰ります。ごちそうさまでした。」
と言って、帰ってしまいました。


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お豊ちゃんは、帰っちゃった。

「吉川さん、ちょっと……!」
お豊ちゃんが、たまりかねたように言いました。
「なに?」
「ちょっと、今の言い方……」
「え? 私、なんか悪いこと言った?」
「お花ちゃんのことよ。」
「え? なんで?」
吉川さんはお豊ちゃんの言うことが分からないようでした。
まあばあちゃんは、なんだか息が詰まりそうになりました。
「あ、こら、ハッピー。」
お春ちゃんが慌てた声で言いました。
ハッピーがテーブルの唐揚げを加えて隣の部屋へ走っていきました。
「あ、ごめんね。ハッピー唐揚げが大好きなもんだから。普段、一緒に食事してるから。ごめんね。」
お豊ちゃんがハッピーちゃんを追いかけようと慌てて立ち上がりましたが、ハッピーちゃんが先に戻ってきました。
「なんや。唐揚げほしかったんか。言うてくれたらなんぼでもやるのに。ほい。口開けや。」
お春ちゃんは、ハッピーちゃんとジロちゃんとミミちゃんに唐揚げを食べさせました。
それを見た吉川さんは、
「まあちゃんとこのワンちゃんは賢いのに、お豊ちゃんのとこのワンちゃんは食い意地が張ってるわね。」
それを聞いたお豊ちゃんは、たまりかねたように
「じゃあ、まあちゃん、ごちそうさまでした。迷惑だからハッピーを連れて帰ります。」
「なんでやな。もっとゆっくりしていきよ。」
とお春ちゃんが引き止めましたが、お豊ちゃんは、まあばあちゃんとお春ちゃんに頭を下げると、帰ってしまいました。
「え? なんか、こんな風に帰ったら、私が悪いこと言うたみたいやんね。あの人感じ悪いわねぇ」
吉川さんは、釈然としない様子で言いました。


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クリスマスに鶏の唐揚げ

「あら、うどん作ったの? 私、今日クリスマスだからと思って鶏の唐揚げ揚げてきたの。」
お豊ちゃんが、少し残念そうに言いました。
「そんな、ションボリすることあらへんがな。唐揚げも一緒に食べたらええがな。」
お春ちゃんが、唐揚げと聞いて嬉しそうに言いました。
「やっぱり、おうどんは温まるわね。」
お豊ちゃんが、麵をふうふう冷ましながら言いました。
「ほんと、お豊ちゃんの唐揚げもおいしいわ。」
と話していると、食べ終わったらしいお花ちゃんが、
「ご馳走様、わたし、お寺に行くわね、コナンが待ってるの。」
「今日も、お寺に行ってたんか?」
お春ちゃんが驚いたように言いました。
「そうよ。毎日行ってるんよ。」
「ここから、お寺まで遠いのに、また行くの?」
吉川さんが言いました。
「じゃあ、またね。」
お花ちゃんは返事をそこそこに、急いだ様子で行ってしまいました。
「あの人何のために来たの?」
お花ちゃんが言った後、吉川さんがポツリと言いました。
「え?」
冷たい言い方にまあばあちゃんはドキッとしました。
「お花ちゃんは、お寺の奥さんが気になるのよ。いつもお手伝いしてるから。信者さんにも評判良いのよ。」
「ほんと? さっきもそうだけど痴呆症だから、やることが支離滅裂じゃない。向こうで迷惑かけてるんじゃないの?」
吉川さんの言葉にみんな凍り付いたようになりました。


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お花ちゃんのしぐさ

「花ちゃん、お昼ごはんは?」
まあばあちゃんが聞くと、
「これからよ。」
「娘さん、待ってはるんか?」
「ううん。今日は出かけてるんよ。私とコナンで留守番よ。」
「じゃあ、一緒にお昼食べましょう。」
と、まあばあちゃんが誘うと、お花ちゃんは、
「いいの? 嬉しいわぁ!」
と、ポンと手をたたいて喜びました。
「そやけど、お花ちゃんは、何さしても上品やなぁ。見てみ。」
お花ちゃんが玄関の上り口を上がる時、邦ちゃんが手助けしようとしましたが、そっと手のひらの仕草で(大丈夫です)と伝えて、キレイに膝をつくと、そっと玄関の隅に靴を揃えて置きました。
「ほんとね。」
まあばあちゃんも感心して言いました。
「あ、邦子、今日のお昼何するの?」
「寒いから、おうどんにしようかなって。」
「そらええな。」
お春ちゃんは嬉しそうに言いました。
「でも、おうどんやったら持って行かれへんから、吉川さんに電話せんとアカンな。」
「さっき、電話したからもう着くと思うわ。」
まあばあちゃんは、にっこり笑って言いました。


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お春ちゃんのカバン

まあばあちゃんが邦ちゃんについて表に出ると、お豊ちゃんとお花ちゃんがいました。
「あら! お花ちゃんどうしたの?」
「あ! まあちゃん! これお春ちゃんがカバンを道端においてたで!」
お春ちゃんはブリの切り身りみとほうれん草の入った買い物袋を道において行ったようです。
最後に出てきたお春ちゃんは目を丸くして、
「よう、わたしのんて分かったなぁ。」
と言いました。
お花ちゃんは、
「そりゃ、わかるわよ。これ三人で作ったカバンでしょ。お春ちゃんはこの柄を作ったでしょ?」
「……え……、そうやったかいな。」
お春ちゃんは言葉に詰まりました。
なぜなら、このカバンは先週の日曜日に、介護施設のバザーで買ったものだからです。 
お春ちゃんは、このカバンの桔梗の刺繡を一目見て気に入って選びました。
「そうよ。桔梗が好きやね。お春ちゃんは。」
その言葉で、まあばあちゃんとお豊ちゃんは、お花ちゃんの言いたいことがわかりました。
少し前に、刺繡の得意なお花ちゃんを先生に、クッションに刺繍をしました。お春ちゃんはその時も桔梗の図柄でした。それで、お花ちゃんはこのカバンも一緒に作ったものだと思ったのでしょうね。


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お家に着いて……

「あ、邦子! あんたも鏡餅買うたんか!」
お春ちゃんが嬉しそうに言いました。
「はい。それを目当てで!」
「そうかそうか。なかなかや。やっぱり私の娘やわ。」
お春ちゃんは満足そうに言いました。
いくらもしないうちに、まあばあちゃんのうちに到着しました。
「やっぱり、車は早いな。あっちゅう間に着くな。」
お春ちゃんが、感心したように言いました。
「ほんとね。邦ちゃん、有難う!」
まあばあちゃんも嬉しくてお礼を言いました。
「そうだわ。邦ちゃんもお昼まだでしょ。一緒に食べましょう。」
邦ちゃんも嬉しそうに頷きました。
「邦子、すまんけど、荷物運んでくれるか。今日はよう頑張ったから足が棒みたいやわ。」
邦ちゃんは、お春ちゃんが頼む前にもう買い物を運び始めていました。
「あら、お母さん。鏡餅とお菓子しか買ってないやん。」
「そんなことないで。ブリとほうれん草も買ったで。」
「でも、ないわよ。」
「おっかしいな。ちょっと自分で見るわ。」
―――ピンポーン、ピンポーン――
「インターフォンが鳴ったで、誰やろ?」
「私、出ます。」
「ありがとう、邦ちゃん。」
まあばあちゃんの返事を聞いて、邦ちゃんがインターフォンを取りました。
「はい。あ、お豊おばちゃん。」
お豊ちゃんが来たようです。


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出発の合図

「ミミちゃん、ミミちゃん、今日は歩いてちょうだい。ね?」
ミミちゃんは、アスファルト舗装の道を歩くのが苦手です。なので、絶えずまあばあちゃんにシルバーカーに乗せてと飛びついてきます。
「難儀やなぁ。ごめんやで。ミミちゃん。今日は堪忍してや。」
とお春ちゃんも謝りましたが、ミミちゃんは聞いていません。
「それに、やっぱり買いすぎたなぁ。なんやもう疲れてきたわ。」
「何言ってるの。お春ちゃん、まだいくらも歩いてないわよ。」
―――プップー―――
クラクションの音がしたので振り返ると、邦ちゃんでした。
「あれ、あんたもあのスーパーで買い物してたんかいな。」
「そうよ。今日のチラシは、お買い得品でいっぱいだったから。」
「そやろ! そやけど、買いすぎたわ。」
「まあおばちゃん、お母さん、後ろの席に乗って! 買い物はトランクに入れるから。
邦ちゃんがそう言うと、お春ちゃんが嬉しそうに、
「そうか? 助かるわ。」
「シルバーカーの買い物少し軽くしてもいい?」
「好きにしてや。うまいことせんと2台も乗らへんやろ。」
邦ちゃんが、手際よく荷造りしている間に、お春ちゃんは後部座席に乗りました。
まあばあちゃんは、邦ちゃんを手伝おうとしましたが、
「大丈夫。乗って待っててください。」
と言われてしまいました。
ジロは、器用にまあばあちゃんの足元で寝ました。ミミちゃんは膝の上で寝ています。
邦ちゃんが運転席に戻ってきました。
「さ、出発しますよ。OKですか?」
邦ちゃんが声を掛けると、お春ちゃんとまあばあちゃんは元気よく、
「OKやで。」
「OKで~す。」
と返事しました。
それを合図に車は動きだしました。


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いいものが、たくさん

お春ちゃんは、自分のシルバーカーの中の買い物を整理しますが、なかなか上手くいきません。
「お春ちゃん、ミミちゃんを出すから、こっちにも入れよう。」
まあばあちゃんが、ミミちゃんをシルバーカーから降ろしながら言いました。ミミちゃんも、慌ただしい空気を感じるのかチョコンと立ちました。
「そやけど、ミミは歩かへんやろ?」
「でも、早くしないと、お兄ちゃんも大変よ。」
「そやな。すんませんな。そっちの車にも入れてもろてよろしいか?」
と、お春ちゃんはまあばあちゃんのシルバーカーを指しました。
お兄ちゃんはまあばあちゃんのシルバーカーに買い物を入れてくれました。
「ホンマに手間かけてすんませんな。」
「いえ。こちらこそたくさん買っていただいて有難うございます。でも、大丈夫ですか? 持って帰れますか?」
「はい。大丈夫です。持って帰れます。有難うございます。」
とお春ちゃんが丁寧に言いました。まあばあちゃんも会釈しました。
お兄ちゃんは心配そうに見ていましたが、お店に戻っていきました。
「なあ、まあちゃん、ええ人やな。親切でやさしゅうて、あの人見てたら、日本の若者ももナカナカやと思うわ。」
急ぎ足で戻っていく店員さんを見送りながらお春ちゃんがうっとりと言いましたが、まあばあちゃんの返事がありません。
「なあって、まあちゃん……」
まあばあちゃんを見ると、買い物の荷造りに追われていました。お春ちゃんが買いすぎたようです。
「ちょっと、買いすぎたなあ。鏡餅は今度でも良かったなぁ。ごめんやで。まあちゃん。」
「いいじゃないの。いいものいっぱいあったんだから。ゆっくり歩いて帰りましょ。」
まあばあちゃんは、ニッコリ笑って言いました。


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お春ちゃんの忘れ物

「まあちゃん、ほな、今日は、私が買モンしてくるわ。ジロらとここでまってくれるか?」
そう言って、お春ちゃんは、お店の中へと入っていきました。
今日は買い物が多いので、お春ちゃんはなかなか出てきません。
「お春ちゃん、大丈夫かしら……」
まあばあちゃんが心配していると、お春ちゃんが出てきました。
「大丈夫? 大変だったでしょ?」
「大丈夫や。今日のスーパーの人優しい人でな。私の荷物包んで車に入れてくれはってん。」
お春ちゃんは、嬉しそうにシルバカーをポンポンと叩きました。
2人で話しているとお店のエプロンをした若い男の人が、大きな荷物を持って慌てて出てきました。
「あ、あの人やねん。ハンサムな人やろ。爽やかなええ人やわ。」
とお春ちゃんが嬉しそうに言いました。
その男の人は、キョロキョロしていましたが、お春ちゃんを見つけると、
「あ、奥さん、奥さん!」
と言って走ってきました。
「あれ、どないしたんやろ。奥さんて私のことやろか?」
お春ちゃんは不思議そうに言いました。
「奥さん、お忘れ物です!」
「え? 私、なんぞ忘れましたか?」
お春ちゃんらしからぬ丁寧な口調で答えました。
「これ、お忘れですよ!」
お春ちゃんに大きな三つのレジ袋を見せました。
「え? わたしこんなに買いましたか?」
「はい。お買い上げいただいたものですよ。」
「あらー。おおきに……エライすんませんなぁ……」
お春ちゃんは謝ると、慌ててシルバーカーの荷物を片付け始めました。


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お春ちゃんとチラシ

「えっと、今日の安売りは鏡餅4割引や! まあちゃん、これ買うとこ。4割引やて!」
お春ちゃんはチラシを見ながら、新しいメモ用紙に書き始めました。
「私にも見せて。」
「ホラここや。」
「ほんとだ。あら?」
「どないしたん?」
「お春ちゃん、メモにお正月用品しか書いてないわ。今日のおかずは?」
「あ、ほんまや。すっかり忘れてたわ。頭の中お正月でいっぱいや。あかんなぁ。」
「まだ、クリスマスも来てないのに。」
「ほんまや。トモちゃんケーキ楽しみにしてるのにな。」
お春ちゃんが頭をかきました。
「そうよ。」
まあばあちゃんがニッコリ笑いました。
「ほんで、今日は何しよ」
「ブリが安いわ。ブリにしない?」
「そやな。あ、ホウレン草も安いわ。これも買お。」
「そうしましょう。じゃあ、この洗濯物、干したら買い物に行こう!」
「そないしょ。」
お春ちゃんは元気よく返事しました。


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お春ちゃんとメモ

「なあ、まあちゃん駅前のスーパーのチラシに数の子が安いって書いたあるわ。年末になったら高うなるから今のうちに買っとこな。」
お春ちゃんがこたつの上にチラシを広げて、ずり落ちてくるメガネを上げならメモを取っています。
「まあ、お春ちゃん、買い物たくさん書いたのね。」
メモ用紙に何枚も書いてるお春ちゃんに驚いて、まあばあちゃんは声を掛けました。
「あ、まあちゃん、ちょっと見てくれへんか? 足らんもんあったらアカンからメモにとっとこ思ってな。」
そう言って、お春ちゃんは、まあばあちゃんにメモ用紙を渡しました。
メモを見ると、大きな10センチ角の紙に、四つしか書いてません。
「そうや。そやけど、大きな字で書いたあるからメガネなしでもよう見えるやろ?」
「ほんとだ。お春ちゃん賢いわ。」
まあばあちゃんは嬉しそうに笑いました。


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お春ちゃんとサツマイモ

なあ。まあちゃん、うちらの町の柿の木もすっかり、葉っぱがなくなってしもたな。もう冬支度やな。」
お春ちゃんが、朝の散歩で言いました。
柿の木だけではありません。銀杏の木も残り少ない黄金色の葉っぱを風にひらひらと舞い落ちています。
「今年は、暑なったり寒なったりで紅葉キレイやろなと思ったけど、やっぱり、公園の木も邦子の柿の木もいつもよりキレイやったわ。」
「ほんと、今年もきれいな紅葉を見せてもらって、私もお春ちゃんも幸せね。」
「な、公園に着いたら、最後の紅葉見ながら焼き芋食べへんか?」
「え? 最期?」
まあばあちゃんはビックリして、固まってしまいました。
「どないしたん。明日には、もう葉っぱみんな、のうなってしまうやろ? 今日までやで。」
どうも、お春ちゃんが急に眠くなったあの日から、まあばあちゃんは神経質になっているようです。
「焼き芋って?」
「ほれ、さっき出かける前にサツマイモ、レンジでチンしてきたんや。ほれ、まだあったかいで。」
お春ちゃんは嬉しそうにサツマイモを見せてくれました。


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お春ちゃんの漬物

「おはよう!」
トモちゃんが、二階から降りてきました。
「おはよう。早よ、顔洗って、ここおいで。」
お春ちゃんが嬉しそうに言いました。
「はーい!」
トモちゃんが元気よく言いました。
「おはよう。」
大きなあくびをしながら、お父さんも現れました。
みんなが食卓に揃いました。いつもと同じ風景です。
まあばあちゃんは、朝のこの時間が大好きです。家族みんなの幸せそうな顔を見ていると、心が温まってきます。
お春ちゃんがトモちゃんに、
「この大根の漬物、食べてみ、花形に切ってあってキレイやろ?」
「うん。かわいいし、おいしいね。お春おばあちゃんは、お漬物つけるの上手やね。」
「ははは。漬けたんは、まあちゃんやけどな。」
お春ちゃんは、大きな声で笑いました。
まあばあちゃんは、その様子を見てほっこりしました。
あのまま、眠ったまま、もう目を覚まさないのではと、まあばあちゃんはドキドキしていました。


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朝のひととき

今日は天気予報のとおり、今年一番の寒さとなりました。
「お~お、さむ~。」
そう言って起きてきたのは恭子ちゃんでした。
「わあ、おいしそうなにおい、今日の朝ごはんはなあに?」
「みそ汁と鮭と卵焼きや。恭子ちゃん、先に食べるか?」
お春ちゃんが恭子ちゃんの前にあったかいお茶を出しながら尋ねました。
「ううん。お父さんもトモ子も起きてるから、すぐに来ると思うよ。」
恭子ちゃんは2階を見上げながら言いました。
「あ、そうや。今朝はだいぶん冷え込んでるから、ジロたちの散歩は私とトモ子で行くわ。お春おばちゃんとお母ちゃんは、うちでゆっくりしときよ。」
恭子ちゃんがそういうと、お春ちゃんが、
「何を言うとんのや。朝の散歩はもう済ませたわ。まだ暗いけど6時やで。」
「え? そうなん?」
「ホンマに恭子ちゃんは、のんびりしてるなあ。」
とお春ちゃんはあきれたように言いました。


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まあばあちゃんにお任せ

「お春ちゃん、ごはんは?」
まあばあちゃんが聞くと、お春ちゃんは首を横に振りました。
「まだ食べてへん。早よ帰って、まあちゃんと食べよう思って。」
「じゃあ、お味噌汁、温めるから。待っててね。」
「うん。」
と頷いてから、
「やっぱり、家が一番ええわ。私はまあちゃんの傍が一番ええわ。電気の明かりまであったこう見えるわ。」
そう言うと、お春ちゃんはまあばあちゃんの手を握りました。
「恭子ちゃん、ごめんね。こんな遅くに……」
邦ちゃんが申し訳なさそうに言いました。
「お母さん、目を覚ましたとたんに泣き出して……、『まあちゃんとこへ帰る、一人でも帰る』っていうもんだから。みんなで来たの。」
「ひろ子ちゃんも心配できたのね。もう、おねむの時間じゃないの。お春おばちゃんのことは私たちに任せて、もう気にせんと帰りよ。わたしも、お母ちゃんに任せて寝るわ。」
「ごめんね。」
「何言ってんの。ほら、トモ子も早よ寝なさいよ。」
恭子ちゃん、1階に降りてきたトモちゃんに声を掛けました。
「ほら、邦ちゃんも帰り。明日早いやろ?」
「うん。ごめんね。有難う。」
邦ちゃんは、申し訳なそうに笑いながら言いました。


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お春ちゃんが、帰ってきた!

「え? お春おばちゃんが?  ……うん。すぐ行くわ。」
「お春ちゃんに何かあったの?!」
まあばあちゃんは飛び上がって言いました。
「お春おばちゃんが来たみたい。」
恭子ちゃんが、小首をかしげながら言いました。
「え?」
まあばあちゃんも意味が分からずキョトンとしました。
「ちょっと、迎えに出てくる。」
「私も行くわ。」
迎えに出ると、お春ちゃんが、
「ごめんやで。まあちゃん。寝てしもうて。起きたら、まあちゃんがおらんからビックリしてもうて。」
お春ちゃんの顔を見ると涙の跡がありました。
「お春ちゃん、中に入って外は寒いから中に入って……」
お春ちゃんは、コクンと頷きました。


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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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