いたー!

「コナン、コナン、おばあちゃんは一緒なの?」
コナン君のお母さんがコナン君に聞きますが、コナン君はピョーンと腕から飛び出して、またジロに遊んで遊んでと言っています。
「ほんまに、みんな心配してるのに能天気やな。」
お春ちゃんがあきれたように言いました。
「犬だもの」
吉川さんが言いました。その言葉にみんな、なんだかシーンとなりました。
まあばちゃんは気を取り直したように、
「奥さんに訪ねてみましょう。コナン君だけで来ることはないわ。」
お寺のきれいにお手入れされたお庭にも、本堂にもお花ちゃんの姿はありません。
「ごめんくださーい。奥さんおられますかー?」
まあばあちゃんが声をかけました。
「はーい。今、行きますー。」
奥さんたちが住んでいる家のほうから声がしました。
なんと、
出てきたのは、
「「「お花ちゃん!」」」
でした。


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コナン君だ!

「ここのお寺、こんな大きかったんやな。」
お春ちゃんが驚いたように言いました。
「ほんとね。」
まあばあちゃんもうなずきました。
「ここがあの寺の裏手やって、よう気ぃついたな。」
「ジロが教えてくれなかったら、分からなかったわ。」
「ここへはよく来たの? だいぶ遠いわね。それに、いつもの散歩コースと反対側でしょ?」
お豊ちゃんが聞きました。
「そやねん。一人でようここまで来たな。うちらと何回か来ただけやろ?  ホンマにここやろか?」
「とりあえず、奥さんに聞いてみましょう。」
お寺の門はいつも開いています。
まあばあちゃんたちは、お寺のお庭に入りました。
ワンワンワン 
突然走ってきた白い塊がジロに飛びつきました。
「コナン!」
コナン君のお母さんが、コナン君を抱きかかえました。コナン君はジロと遊びたくて手足をパタパタさせています。
「コナン、おばあちゃんと一緒に来たの?」
コナン君のお母さんが聞くと、コナン君はお母さんの顔をペロペロと顔をなめました。


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ここだ!

「もう少し先を探してみましょうか?」
まあばあちゃんたちはまた歩き始めました。
しばらく行くと、土壁の塀が続きます。そこで、ジロがまあばあちゃんの足をツンツンとしました。
「ジロ、どうしたの? あ!」
まあばあちゃんは、そう言うとハッと気が付いたようでした。
「どないしたんや?」
お春ちゃんが、慌てて聞きました。
「ここよ。お花ちゃんはここにいるわ。」
「ここ?」
「ここよ! お寺よ!」
「あ、そうか!」
お春ちゃんもパンと手をたたきました。
お豊ちゃんと吉川さん、そして、コナン君のお母さんもキョトンとしていました。
「早う、行こ! 待ってるかもしれへんわ。」
「母はここにいるんですか?」
「あんた、覚えてへんか、ひと月ほど前に、ここの住職さんが亡くなって奥さんが塞いでるから、まあちゃんとお花ちゃんと私でここに掃除の手伝いに来てたやろ?」
「あ!」
コナン君のお母さんも気が付いたようでした。
「でも、私が風邪をひいてしまってから、足が遠のいて……」
まあばあちゃんが申し訳なさそうに言いました。
「お花ちゃん、ここに来てるんやわ。」
お春ちゃんの言葉にみんなの顔を明るくなりました。


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どこにいるんだろう……

「お花ちゃんは、いったいどこへ行ってしもたんやろ……」
お春ちゃんは、途方に暮れて言いました。
「そうね。ちょっと疲れたから、そこの公園で休みましょう。ジロ、ミミちゃん、お水のもう。」
まあばあちゃんが言うと、お豊ちゃんも
「ハッピーもおいで。」
と、言って水道のそばに行きました。
「それにしてもこんだけ探しても、見つからへんとは、どういうこっちゃ……、まさか事……痛い!」
お春ちゃんは、事故と言いそうになって、お豊ちゃんにお尻をつねられました。
コナン君のお母さんは青くなっています。
「大丈夫よ。今日はパトカーも救急車のサイレンも鳴ってないもの。その心配はないわよ。」
「そや。聞いてへんわ。大丈夫やわ。良かった良かった。」
お春ちゃんはバツが悪そうに頭をかきました。
「ねえ、警察に捜索願出したら?」
吉川さんが言いました。
「え?」
コナン君のお母さんが飛び上がりました。
「だって、そうでしょ? 見つからないんだから。」
「もっと、よく探してからにしましょう。暗くなるまでまだ時間あるんやから。」
お豊ちゃんが言いました。
「そうやな。昼間は暑いけど夜になると、冷えるからな。」
お春ちゃんが頷きました。
まあばあちゃんは、泣きたい気持ちになりました。心当たりはもうありません。


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なかなか見つからない。

早速、お花ちゃんが行きそうな、公園の花壇、池のほとりと探してみましたが、全く姿がありません。道行く人に尋ねてみましたが、見ていないようでした。
ジロが心配そうにまああばあちゃんを見上げました。ジロたちを連れてきたから、コナン君を見つけてくれるはずと思うのに、気配も感じないようです。
「あれ、あんたどないしたん。」
お春ちゃんが、驚いたように声をあげました。吉川さんでした。
「また、寂しくなって、まあちゃんとこに行こうと思ったら留守だったから、探してたんよ。」
当然のように吉川さんは言いました。
「……あんた、また来たんかいな……。」
お春ちゃんは、少し物憂げな感じで返事しました。
「こんな雨の降りそうな日に、揃ってどこへ行くの?」
吉川さんが聞きました。
「う~ん。ちょっと、人を探してるんや。」
お春ちゃんは、言いにくそうに言いました。
「誰を?」
「あ、コナン君のお母さんやわ!」
お豊ちゃんが、手を振りました。コナン君のお母さんはとっても疲れた様子でした。朝からずっと探しているのですから無理もありません。
「ちょっと、休んできたら? 分かったことがあれば、電話するから。ね?」
「気になって、とても休んでいられないんです。一緒に探させてください。一人でいると悪いことばかり考えてしまって……」
そう言って、コナン君のお母さんは泣き出しました。


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みんなで探そう!

まあばちゃんは、コナン君のお母さんのキズをキレイにして消毒した後、
「よかった、深い傷はないわね。」
「そやけど、そんだけすりむいたら、痛いやろー。」
お春ちゃんが聞きましたが、
コナン君のお母さんは、小さく首を振りました。
「コナン君のお母さんは一度家に帰って着替えてきたほうがいいわ。私たちは戸締りをした後、すぐに探しに行くわ。」
「アテあるんか?」
お春ちゃんが聞きました。
「アテというほどじゃ……、でも花ちゃんと出会うのが、駅のほうより西側とか北側が多かったから、そっち側を探そうと思うの。」
コナン君のお母さんは、ぱっと顔をあげました。
「そうやったんかいな。散歩してるつもりかもしれんな。よし、ほな行こか!」
お春ちゃんが元気よく言いました。
「ジロ、ミミちゃん、ハッピーちゃん、お花ちゃんとコナン君を探しに行きましょう。」
まあばあちゃんが言うと、ジロたちはパッと立ち上がりました。


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どこへ行ったの?

「でも、母を探さないと……、探さないと……」
コナン君のお母さんはブツブツと同じ言葉を繰り返しています。
「とにかく、お話聞かないと、……ね?」
まあばあちゃんはコナン君のお母さんを玄関の上り口に座らせました。
お豊ちゃんがお茶を入れて来てくれました。
「お母さんがいないのに気が付いたのはいつ頃?」
まあばあちゃんが聞くと、
「朝、起きたときはいました。ごはんが出来たから呼びに行ったときはいなくて……」
「ほな、そんなに遠く行ってへんのと違うん?」
お春ちゃんが、怪訝そうに言いました。
「はい。わたしもそう思ってすぐに探しに出たんですけど、ぜんぜん見つからないんです。」
と言って、コナン君のお母さんは泣き出しました。
「何時ごろ?」
「6時ごろだったと思います。」
「雨がようさん降ってた時間やんか」
お春ちゃんが驚いたように言いました。
「そうなんです。傘を持って出てないし……」
「早く探さないと、風邪ひいてしまうやん。」
コナン君のお母さんの目に涙がまた溢れてきました。
「あれ、あんた、犬は? ちっこいのおったんちゃうん?」
お春ちゃんが聞くと、
「コナンを連れて出たみたいなんです。」
「えらいまた派手やなぁ。」
お春ちゃんはあきれたように言いました。


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コナン君のお母さんが!

「ごめんくださーい! ごめんくださーーい!」
表から、女の人の焦っているような声が聞こえます。
「コナン君のお母さん?」
まあばあちゃんが、まさかっというような顔で言いました。
「なんやなんや。インターホンも鳴らさんと!」
お春ちゃんが、ヨッコラショッと立ち上がりました。ジロたちもついていきました。
様子を見に出たまあばあちゃんとお春ちゃんとお豊ちゃんはビックリしました。
「大丈夫?」
「ど、どないしたんや!」
コナン君のお母さんは、血だらけの顔で立っていました。手から血が滲んでいます。派手に転んだらしくパンツの膝のところに穴が開いています。そこからも血が出ていました。
「ごめんなさい! 急に押しかけて……。母がいなくなってしまったんです。どこを探してもいなくて……それで、助けていただきたくて……」
「先に手当しましょう。血だらけよ。」
「あ、さっき転んだから……でも、母を探さないと……」
「そんな姿をお母さんが見たら卒倒するわよ。話は中で聞くわ。さ、入って。」
「でも……でも……」
コナン君のお母さんは、呆然としていました。まあばあちゃんは、手当をして落ち着かせたほうがいいと思いました。


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苦になってきたわ~……

「まあちゃん、ごめんやで……。どないしよう……」
お春ちゃんはションボリして言いました。
「大丈夫よ。吉川さんは長年、学校の先生を勤めてきた人なのよ。心配いらないと思うわ。」
まあばあちゃんは、ニコっとして言いましたがどこか暗いです。お春ちゃんも、
「そやかて、まあちゃんもあんなん言わんほうがええ言うてたやんか……。今頃荷造りしてたらどうしよ……」
「大丈夫よ。」
「うちら心配していろいろ助けたつもりやけど、頭から𠮟りつけたりするやん。ビックリするようなことするんちゃかと思うねん。」
お春ちゃんが、力なく言いました。
「なに、どうしたの?」
お豊ちゃんが、聞きました。
「前にな、天皇陛下がテレビでお話しはったときな。」
「あ、お気持ち?」
「そや、うちらがその話してたら……、いきなり人が変わったように怒り出してん。」
「あ、吉川さん嫌いなんや……」
「そら、ええわ。それぞれやからな。」
お豊ちゃんは頷きました。お春ちゃんは続けます。
「吉川さんな。息子にお金みぃんな取り上げられてしもて丸裸やねん。そやから、気の毒に思って家賃の建て替えまでしたのに、なんであんな……」
お春ちゃんはため息をつきました。
「そんなことあったのに、なんでそんなん言うたん?」
お豊ちゃん、ちょっと怒った口調になって言いました。
「なんかあの人、話を持っていくの上手いねん。なんかそう言わな話が、その……変ちゅうか……、はあ、苦になってきたわ。」
お春ちゃんは、おまんじゅうを食べる手をとめてしまいました。


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お春ちゃんはがっくり……

「わたしなぁ……。まあちゃんに悪いことしてしもてん。」
「どうしたの?」
お豊ちゃんが心配そうに聞きました。
「お春ちゃん、まだそうなるって決まってないから……」
まあばあちゃんが、少し笑って言いました。
「まあちゃんも少し元気がないみたい。」
「わたしなぁ。行きがかり言うか、なんちゅうか……。エライこと言うてしもてん。」
「お春ちゃんが、気にするなんて何言うたん?」
「わたしなぁ……、そんなん言うつもりなかってんで、……流れちゅうか……」
「何よ。何言うたんよ。」
「あんたも寂しかったら、ここに来たらええねんて、言うてしもてん。」
「ええ!! それは大変やわ。」
「そ、そやろか……?」
お豊ちゃんは難しそうな顔をして首を傾けました。
「わたしも助けてもらった身でこんなん言うのはナンやけど……。それは言わんほうが良かったと思うわ。」
お豊ちゃんの言葉を聞いて、お春ちゃんはがっくりと肩を落としました。


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お春ちゃんがのどを詰まらせた

「なんて、書いたぁるんかな。」
お春ちゃんが、老眼鏡をかけて、お饅頭の包み紙を見ました。
「あ! これ、源の吉兆庵のやんか! へぇ。ええのん。おいしそうやなぁ。」
「いただきものなんよ。」
「あんたんところ、貰い物多いなあ。羨ましいわ。」
「でも、マコちゃんは、まあちゃんのあんころ餅が一番好きみたいよ。」
「まあちゃんのあんころ餅はおいしいからな。でも、ええもん分けてもらえて嬉しいわぁ。」
お春ちゃんは上機嫌です。
「上品な甘さでおいしいわね。」
まあばあちゃんも嬉しそうに言いました。
「ほんまに上品やわ。」
お春ちゃんもほおばりました。
「そういえば、吉川さん元気? 帰りにお饅頭届けてくるわ。」
吉川さんの名前が出て、お春ちゃんはグッと喉を詰まらせました。
ゴホゴホ
「大丈夫? お春ちゃん!」
「ゴホゴホゴホ……」
「はい。お茶。」
まあばちゃんがお茶を差し出すと、お春ちゃんはゴクンと飲み込みました。
「あ、ビックリした。上手に食べんと、うちらはすぐに喉詰まるから……」
「あんたが、急に吉川さんの名前出すから……」
お春ちゃんは、まだゼイゼイ言ってます。
「どうしたの?」
お豊ちゃんは、怪訝そうに聞きました。


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女子会?

お豊ちゃんはよっぽど可笑しかったのか笑いが止まりません。
「なにがそんなに可笑しいんや?」
お春ちゃんがもっけな顔をして言いました。
「だって、お茶をしに来たら、いきなりそんなん言うから……アハハハ」
「そ、そやな。なんでそんなこと言うたんやろ?」
お春ちゃんも自分の頭をかきながら笑いました。
「これ、おまんじゅう持ってきたの一緒に食べよ!」
「あ、そらええな。お茶入れるわ。」
お春ちゃんが、おまんじゅうを受け取りながら言いました。
ハッピーちゃんがお豊ちゃんの足を鼻でつんつんします。
「あ、ごめんごめん。足を拭かないとね。」
お豊ちゃんがハッピーちゃんの足をキレイにすると、ジロとミミちゃんとで家の中でピョンピョンしながら遊びだしました。
「久しぶりやから喜んでるわ。」
「ほんと、嬉しそう。」
ジロたちは家の中を走り回って遊んでいます。
「こんだけ、バタバタされたらゆっくりしてられへんな。」
お春ちゃんがあきれ顔で言いました。
「知ってる? こういう風に集まって、おしゃべりするのを今時は女子会って言うんやって」
お豊ちゃんが、嬉しそうに言うとお春ちゃんが、
「何を言うとんのや。ばあさん会の間違いやろ。」
つまらなさそうに言いました。


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マコちゃんは東京へ

「でもね。吉川さん、今、すごく不遇だから心も不安定だと思うの。だから、言葉通り受け取ってしまうこともあると思うわ。だから気軽にあんなこと言わないほうがいいと思う。」
「ごめんやで。私、調子に乗りすぎたわ。この口がどうも勝手にペラペラとしゃべるんやわ。」
まあばあちゃんは、お春ちゃんに分からないように小さくため息をつきました。
―――ピンポーン―――
「あら、誰かしら」
迎えに出ると、お豊ちゃんでした。
「あら、いい匂い、今日はお好み焼きやったのね。」
「そやで、もう少し早よ来たら、一緒に食べられたのに……」
「ほんとや~。失敗したわ。おいしいのに~! ね、ハッピー。今日は一緒にお昼食べたいなって思ってたんやけど、すごい雨やったでしょ? ちょっと小降りになってきたから、お茶したいなって思って。」
「そうかいな。今日はハッピーも一緒かいな。マコちゃんは?」
「今日から、一週間、東京に行ってるの。だから寂しくて。ハッピーも雨で散歩もなかなかでしょ? ジロちゃんたちにも会いたいんじゃないかと思って!」
お豊ちゃんがそう言うと、ハッピーちゃんは嬉しそうにお豊ちゃんの足にチュッっと鼻を当てました。
「あんた、まさか……」
お春ちゃんが、
急に深刻そうな顔をして言いました。
「え? なになにどないしたん?」
「マコちゃんとうまいこといってへんのんか……」
お豊ちゃんは、お春ちゃんの言葉に目を丸くしましたが、声を出して笑いだしました。


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吉川さんが帰った後で

吉川さんが帰った後、お春ちゃんとまあばあちゃんは、お好み焼きの後片付けをしていました。
「なあ、なんか吉川さんが来てから、まあちゃん、暗い顔してるけど、なんでやのん?」
お春ちゃんが、心配そうにまあばあちゃんに聞きました。
「そう?」
「うん。ずーっと暗いで。」
まあばあちゃんはため息をつきました。
「ほら、また溜め息ついて……」
お春ちゃんは、そう言ってから、申し訳なさそうに続けました。
「私のせいちゃうか? 私が恭子ちゃんのことまでペラペラしゃべってしもたから……」
まあばあちゃんは、片付けの手を止めて考え込んだように返事をしませんでした。
「あ! もしかしてアレで怒ってるんか? 私があんなこと言うから……」
まあばあちゃんはまた溜め息をつきました。
「大丈夫やと思うで、そんなん本気にせぇへんよ……」
お春ちゃんは、自信なさそうに言いました。


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みんな一緒!

「わたし、自分ばっかり、ひどい目に合ってると思ってたけど、まあちゃんもお春ちゃんも大変な時があったのね。」
「そうやで! みんな、なんやかんや大変なことあるもんや。」
お春ちゃんの言葉に吉川さんは勇気づけられたのか、
「もうウジウジしないわ。これからは一人でも生きていける自信がついてきたわ。」
そう言うと、決心したようにギュッと口を結びました。
「一人じゃないで、私らおるやん。辛いことや腹立つこと何でも聞いたるから、これからはシャキッとして生きていきや。」
とお春ちゃん。
「うん。わたしには、まあちゃんとお春ちゃんがいるもん。もう息子たちなんて怖くないわ。」
「そやで、年寄りは年寄同士、あんたええ加減に子離れしいや。あんたが頼るから、向こうも頼ってくるねん。」
「そうやろか?」
吉川さんもお春ちゃんの堺弁がうつったようです。
「せやで!」
お春ちゃんの返事にまあばあちゃんもニッコリ笑って頷きました。


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のんびり……

「それにしても、結婚式もしないなんて。……まあちゃん寂しかったでしょう。恭子ちゃんの一生に一度の晴れ姿ですもんね。」
吉川さんが言いました。
まあばあちゃんは、あいまいに微笑みました。
「あの子は、美人で可愛いて頭もええけど、サバサバしてて男みたいやからな。」
とお春ちゃんが言いました。
「それに、結婚式に力入れたからって、エエかどうか分からへんで~。うちとこなんか。家が傾くくらい張り込んだけど、アカンかったわ。」
お春ちゃんの言葉に、吉川さんは、「え?」という表情をしました。
「うちの娘は離婚してんねん。前のダンナは一流の大学出て、一流の会社なんやけど、ほんまにアカンかったわ。」
吉川さんは、しんみりした様子で頷きました。
「ええ学校に入って、ええ会社に入ったら、ええ人と結婚できると思って、邦子に、やいやい言うてたけどな。こんなことになるんやったら、もっとのんびりさせたったら良かったわ……と思たで。」
「じゃ、今のご主人……」
「再婚やねん。そやから結婚式も何もないんやけど、幸せそうやわ。」
そう言って、お春ちゃんは目頭を押さえました。


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恭子ちゃんの花嫁衣裳は……

「じゃあ、恭子ちゃんの花嫁衣装を作るときは、さぞ……」
と吉川さんが言うと、
「それがやねん!恭子ちゃん言うたら、花嫁衣装も結婚式もいらん言うてな。してへんねん! まあちゃん、ガッカリしてたわ。」
「あら、まあ……」
吉川さんはあんぐりしました。
「ガッカリ言うたら、恭子ちゃん、中学出てすぐに働きに出てしもてな。あの子、頭良かったんやわ。そやから、まあちゃんは、大学に入れたげよ思って、一所懸命にお金貯めてたんやで。なあ。」
まあばあちゃんはその時のことを思い出すのか、しょんぼりした様子でうなずきました。
「ほんで、好きな人や言うて連れてきたのが、ここのご主人なんや。」
「恭子ちゃんのご主人カッコいいわね。」
吉川さんが言いました。
「そやろ? わたしもビックリしたわ。まあちゃんも一目で気に入ったな。」
まあばあちゃんは嬉しそうにうなずきました。
「でも、じゃ、ご主人、婿養子?」
「そやで! 田舎の人やからすぐにこっちで暮らすことになってん。それからトモちゃんが生まれて賑やかになったなあ。」
まあばあちゃんは幸せそうに笑いました。


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可愛い親子

「そやけど、まあちゃん、あんた、ほんまに頑張ったなぁ。留袖から喪服から、……振袖も仕立てられるねん。」
お春ちゃんが言うと、吉川さんが、
「花嫁衣装も縫えるんでしょ。凄いのね。」
「邦子の和服は、みんな、まあちゃんがしてくれてん。その頃からやなぁ。まともな仕事がきだしたな。これが、来だしたら、次から次へと頼み来るから大変や。」
お春ちゃんが、まるで昨日のことのように興奮して言います。
「良かった。」
吉川さんもニッコリ笑って頷きました。
「私も、時間のある時はよう手伝ったんやで。できた着物を着物掛けにかけてまあちゃんが、点検するんやけど、そら、ええ着物ばっかりで目の保養になったわ。」
「へぇ、私も見たかったわぁ。」
と吉川さんが羨ましそうに言いました。
「ほんまやな。値打ちあったで。」
とお春ちゃんが、二カッと笑っていいました。
「まあちゃんはな、着物頼みに来た人を三つ指ついて出迎えるんやけど、そこへ小さい恭子ちゃんも来てな。一緒に三つ指ついて出迎えてくれるんやわ。まあちゃんも小さいけど、もっと小さい恭子ちゃんと並んで挨拶するから、そら可愛らしかったで!」
お春ちゃんはニコニコ笑っていいました。


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恭子ちゃんは私の子ども

「ま、そういうことで、まあちゃんは、女手一つで恭子ちゃんを育てたわけや。」
「ほんと恭子ちゃんてエライのね。ちゃんとお春ちゃんをつかまえて。人を見る目があるのね。エライわ。」
吉川さんが納得したようにうなずきました。
「なにがエライねん。次の仕立て頼むために着物をほどかなアカンし、忙しいこっちゃ。そのうち疲れてしもて、着物のまま、まあちゃんトコに持って行くことにして、ホッとしたわ。」
お春ちゃんはフーッと息を吐いて言いました。
「でも、本当に仲が良くて羨ましいと思ってたから、恭子ちゃんのこと、まあちゃんの子と思ってたわ。」
吉川さんがしみじみ言いました。
「私の子よ。私の大事な子どもよ。」
まあばあちゃんが、微笑みながら言いました。
「でも苦労したでしょ。」
吉川さんが聞くと、まあばあちゃんは、
「ううん。苦労だなんて……、私がこうして幸せいられるのは恭子ちゃんのおかげよ。心から感謝してるの。」
「本当に羨ましい、おなかを痛めた子でもうまくいかないのに……」
吉川さんは、涙を浮かべていました。


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看板をカランカラン

「それがな、まあちゃんの家の前を通った時にな、恭子ちゃんが看板をカランカラン揺らすんや。しゃあないから、単衣の反物を持って行ってワンピース作ってもらったんや。」
「へえ!」
吉川さんが感心したように言いました。
「ところがや! 恭子ちゃんいうたら、まあちゃんの家の前を通る度にガランガランと看板の板を鳴らすから、一枚目も出来てないのに、また頼みに行ったんや。」
「そうよ。お春ちゃんが一番のお客さんだったの。」
「そやで! 着物の仕立てで、あんなに大変やのにお好み焼き屋なんかやってみ? 毎日毎日買わされて、うちの家はお好み焼き以外のモン食べられへんかったと思うわ。」
お春ちゃんの言葉に、吉川さんは
「そんなことないと思うわ。まあちゃんだったら、きっと、うどんとか焼きそばとか卵焼きとか、いろいろ作ってくれたと思うわ。お好み焼き屋さんだったら、私、毎日、買いに来たのに~」
と言いました。
「何言うとんのや。もういい加減に引退してるやろ。」
お春ちゃんが嬉しそうに言いました。
「ほんでや。まあちゃんに作ってもろた服が着心地が良うてな。そればっかり着るようになってな。その頃からやな?」
「そうよ。あっちこっちからお仕事をいただくようになって。……お春ちゃんが勧めてくれたのよね。」
「そんなんちゃうねんて。ええモンやからええって言うててん。」
お春ちゃんが照れくさそうに笑いました。


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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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