桜の下でお弁当

お豊ちゃんもおいしそうなお弁当をたくさん作ってきてくれました。シートの上に広げると、おかずのお花畑です。
ヒロ子ちゃんもキララちゃんも美鈴ちゃんも目を輝かせています。
お豊ちゃんが、
「急いで作ってきたから、オニギリの具がオカカと梅干と、昆布だけなの。嫌いなものない?」
お豊ちゃんが子ども達に聞くと、
「みんな大好き!」
と、嬉しそうに言いました。
「そう、良かったわ。じゃあ、たくさん召し上がれ。」
と、オニギリの入ったお重を子どもたちに差し出しました。
子ども達は、桜そっちのけで、お弁当を食べていました。
「卵焼き、もう一個ある?」
キララちゃんが元気よく言いました。
「はいはい。どうぞ。」
「わーい。」
みんな幸せそうに笑っています。
「ふう、苦しいよ。動けないよ。」
と、キララちゃんが、おなかに手を当てて言いました。


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お豊ちゃんも、シルバーカー

「あ、あの、母がまた、仕事頼みたいって言ってるんですけど……」
キララちゃんのお母さんが、少しだけ機嫌を取るような笑みで言いました。すると、オッチャンは、
「あの、すんません。もう、ずっと、お断りさせてもらってるんですわ。」
「……聞いてます。」
キララちゃんのお母さんは、困ったような顔になりました。
「そういうことですんで……。」
「いいえ、いいえ。分かります。」
キララちゃんのお母さんはやっぱりというように頷きました。その様子から、もしかしら、キララちゃんを預けていたのは、お姑さんなのかもしれないとまあばあちゃんは思いました。そして、詳しいことは分かりませんが、ご近所でお仕事を受けてるオッチャンの大変さを垣間見たような気がしました。
「あんたら、早う。ビニールシート敷くで! 弁当食べよ!」
「わーい」
と、ヒロ子ちゃん達はキャッキャッ言いながら、桜の下に走っていきました。
まあばあちゃんが、ビニールシートを出すと、オッチャンがヒョイと受け取って、上手に広げてくれました。
「あ、ハッピーちゃんのおばちゃん来た!」
ヒロ子ちゃんはそう言うと、お豊ちゃんのもとへ走っていきました。お豊ちゃんはシルバーカーを押しています。
「あれ、アンタもシルバーカー押すようになったんかいな。」
「そうよ。荷物が多いときは、便利やもん。疲れたら座れるしね。」
お豊ちゃんが、ヒロ子ちゃんの頭を撫でながら、嬉しそうに笑いました。


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離れておきたい……

「あ、来た来た!」
邦ちゃんとヒロ子ちゃんが、チビちゃんとヒメちゃんを連れてきました。
キララちゃんと美鈴ちゃんも、お母さんと一緒に家から出てきました。
「本当にすみません。キララが、ヒロ子ちゃんやワンちゃんに酷いことしたみたいで……」
キララちゃんのお母さんがオッチャンと邦ちゃんに丁寧に謝りました。
「いいえ、わしも言いすぎました。子どもの事やのに……」
「いいえ、ちょっと私、おかしくなってたんです。新しい家に引っ越してきて嬉しいのと同じくらいローンが心配で……。そのくせ、車も古いまんまで、でも、なかなか新しいの買えないから周りに馬鹿にされてないかと気になって気になって……。キララもヒロ子ちゃんしか友達いないのに、あんなことして……」
「でも、もう仲良く遊んでますわ。子どもってすごいですなぁ。」
オッチャンがヒロ子ちゃんとキララちゃんが、嬉しそうに話している姿を見て言いました。
キララちゃんがヒメちゃんとチビちゃんに話しかけています。
「ヒメちゃん、チビちゃん。ゴメンね。もう叩いたりしないから!」
ヒメちゃんはキララちゃんに撫でられていましたが、体が硬いです。チビちゃんはオッチャンの後ろに隠れてでてきません。
それを見て、キララちゃんのお母さんが、
「犬も、いろいろ感じてるんですね。」
申し訳なさそうに口調で言いました。
キララちゃんは、チビちゃんやヒメちゃんもヒロ子ちゃんのように謝れば解決と思っていたらしく、しょんぼりしました。
「犬やのに、謝っても許してくれへん。」
キララちゃんは、ちょっとむくれています。
「そんなんと違う、あんたが怖いんや。あんたが怖いことしたから……離れときたいんや。」
お春ちゃんが、口をへの字に曲げて言いました。


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ベランダから手を振って

まあばあちゃんが、ふっと振り返りました。そして、ふっと笑って言いました。
「ほら、見て!」
オッチャンも振り返ると、二階のベランダから、キララちゃんと美鈴ちゃんが、力いっぱい手を振っていました。
「オッチャン、ごめんね。ヒロ子ちゃんに嫌なこと言って。チビとヒメをイジメてごめんね。」
キララちゃんが言うと、美鈴ちゃんも、
「オッチャン、ごめんね。」
オッチャンは、驚いた顔をしていました。
「ほら、早くお返事してあげて。」
まあばあちゃんが言いましたが、オッチャンは戸惑っているようでした。そこで、まあばあちゃんが、
「おばあちゃん達、今から公園に行くの。一緒に行かない?」
「行く!」
二人は元気よく返事しました。
「お母さんも一緒じゃないとだめよ。」
「うん。分かった~!」
二人は急いで、家の中に入りました。ふと周りを見ると、邦ちゃんもヒロ子ちゃんもいません。
「あら、邦ちゃんとヒロ子ちゃんは?」
まあばあちゃんが、キョロキョロしていると、お春ちゃんが、
「あの二人なら、ヒメとチビを連れに行ったわ。もう戻って来るやろ。」
と言いました。


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反省してる?

「それなら、なおの事、しっかり怒らないと、それで、「はい、そうですか」って、許したら、キララちゃんは、また口先だけ謝って、同じことを繰り返すわよ。堂々巡りよ。そんなことになったら、ヒロ子ちゃんは、心の行き場かなくなるわよ。これで良かったのよ。」
「ほんまやな。」
オッチャンは、ウンウンと頷きました。
「それにね。子どもだもの。今頃、反省してるわよ。」
「そうかなぁ。ばあちゃんは、キララちゃんを知ってるんか?」
「知らないけど……」
「今日、キララちゃんが邦ちゃんとヒロ子としゃべってるの聞いたんやけど、あれは、大変やなと思ったわ。今日、ワシが怒ってたのかって、こうるさいぐらいにしか思ってへんのちゃうかなぁ。」
オッチャンは、よほど驚いたらしく、また頭をひねりました。
「でも、母親にすがって泣いてた姿を見ると、キララちゃんもお母さんに怒られたくないし、おなかは空いてるしで、一生懸命だったのよ。もう、小学校5年でしょ。大人びた口をきいても不思議じゃないわよ。もう一年もたてば中学生よ。女の子の方が大人になるのは早いしね。その分、浅知恵が働いてしまうのよ。」
「そうかなあ」
「だから、今回のことは、キララちゃんにとっても良かったと思うわよ。ズルいことや悪いことはいけないって頭に入ったと思うわ。」
「そうやとええけど……」
オッチャンは、釈然としない様子で頷きました。


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今の子どもは難しい?

「さあ、行きましょ!」
まあばあちゃんが、オッチャンを促しました。
キララちゃんの家から、離れたほうがいいと思ったからです。
「なあ、ばあちゃん……、ええ大人が、子ども相手にちょっと、言い過ぎたかなぁ……」
歩きながら、オッチャンがまあばあちゃんに言いました。
これは、いくら悩んでも解決なんてしません。これは、時間が経って、気持ちが落ち着いてからでないと……、キララちゃんも、キララちゃんのお母さんも気が高ぶっているでしょうし、オッチャンも、ヒロ子ちゃん達にイジワルしたキララちゃんを許せないし、かと言って子ども相手に……と心苦しい部分もあるでしょう。
「何言ってるの。悪いことに大人も子どももないわ。」
「それは、ワシもそう思うんやけど……」
「悪いことをしたら、しっかり怒らないと。怒るときは怒る。いいことをしたら思いっきりほめてあげる。」
「それがな、邦ちゃんやったら、友達みたいな口きいてゴネてな。ワシがもう来んといてくれ言うたら、大人しいなって、さっそく謝るねん。もうしませんから許してください。言うて大人みたいな言い方するねん。邦ちゃんとワシで態度がコロッと変わるもんやから、なんちゅう世ズレした物言いやと思って、カッとなってしもうて……今の子どもは難しいわ」
オッチャンは頭を振りながら言いました。


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仲良くできれば……

「ええ、今、送ってきたんですわ。」
オッチャンが、複雑そうな顔で言いました。
「そうか、そうか、ほな、一緒に花見でもしよ。」
と、お春ちゃんがオッチャンに言うと、まあばあちゃんが、
「そうよ。手毬ずしを作ったの。みんなでお花見しましょ。」
「早う、行かんと、昼になったら桜の下が、青だらけになるからな。」
「え?」
邦ちゃんが、目を丸くすると、
「せやから、町内の人が桜の下で弁当食べるやろ? 青いビニールシート敷くからちゅうこっちゃ。早う、行こ行こ。」
春ちゃんのシルバーカーのミミちゃんとミィちゃんがパタパタとはしゃぎました。
ジロがオッチャンに、足をかけて小首をかしげました。(一緒に行こうよ!)と言っているようです。
「なんや。ジロはいつも幸せそうやな。」
オッチャンはそう言って、ジロの頭を大きな手で優しくなでました。
オッチャンは、どこか元気がありません。きっと、小さな子ども相手にモメたことを気に病んでいるのでしょう。
でも、キララちゃんのしたことは悪いことです。小さな子をイジメたり、犬を叩いたりボールを投げつけたり。特にチビちゃんはミニチュアダックスフンドという室内犬です。同じくらいの大きさのボールを投げつけるなんて酷いことです。それを楽しんでいるなんて、恐ろしいことです。
みんなで仲良くしていければ、一番いいのですが、相手次第でもあります。
こういう解決の出来ないことは、いつまでもモヤモヤするものです。


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お春ちゃんが詰め寄る

「はー! やっと追いついた。まあちゃんは、足が速すぎるわ。」
「そうよ。一生懸命歩いてるもの。この年になったら、歩くのもスポーツよ。」
「まあ、そらそうやけどな。」
お春ちゃんが、納得したように頷きました。
おっちゃん達は、そんな二人をどこか羨ましそうに見ていました。
大きな声で話していたので、まあばあちゃんにも、大体の内容が聞こえていきました。
図らずも、キララちゃんのお母さんの友達の前で恥をかかせる形に、なったこと。
「おなかすいた」と喚いていた。キララちゃん。
オッチャンも邦ちゃんも、気にかかっているに違いありません。
「なんや。元気ないやんか。どないしたん?」
お春ちゃんも気が付いたようで、オッチャン達に聞きました。
「いえ。なんともないですよ。」
「そや。もう子ども預かってへんやろな。」
お春ちゃんが、詰め寄るようにして聞きました。


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桜に気づかなかったね

「わしらも帰ろか……。ヒメとチビが待ってるわ。」
オッチャンが、邦ちゃんとヒロ子ちゃんに言いました。
「そうですね。帰りましょう。」
邦ちゃんもスッキリしたような疲れたような表情で言いました。
「あら! おはよう! お散歩?」
まあばあちゃんでした。
「ばあちゃん、おはようさん。」
「どうしたの? みんな疲れてるみたいよ。」
「そんなことないで。ばあちゃんこそ、どうしたんや?」
「町内のお花見よ。ほら、見て! 満開よ。」
「お花見? ああ、今日が一番の見頃やな。」
オッチャンが見上げると、美しい桜がこちらを見下ろしています。
「ほんとうやわ。来るときは気が付かなったわ。ね、ヒロ子は?」
「ヒロ子も……」
キララちゃん達のことで頭がいっぱいで、オッチャン達は、こんなに美しい桜に気づかなかったようです。
「公園はもっと見事よ。一緒に行きましょう。」
「まあ~ちゃ~ん。早いわ。待ってぇな~」
お春ちゃんが、少し遅れてシルバーカーを押して近づいてきました。
「あ! お春ちゃん。早く早く~!」
まあばあちゃんが、お春ちゃんに手を振りました。


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遊ばない!

「あんたらかて、子ども誰かに預けて、今から遊びに行くちやうの? なんでそんなん言うの?」
キララちゃんのお母さんがキッとにらんで言いました。
「そうや。今日は主人が見てくれてるねん。それが?」
「私ところは、もう中学生やもん。ご飯作っといたら、自分で片づけも出来るわ。」
「……あんた、聞いたけど、カラオケやらなんやら言うて、あっちこっち遊びまわってるみたいやんか!」
「そうなん?」
一人は初耳らしく驚いた声を出していました。
「子育て中のわたしらは、そんなにいつもいつも遊んでられへんで!」
「うるさいな!!! キララ! 美鈴! 早う家に入り!」
キララちゃんのお母さんはそう言って、キララちゃん達を家の中に押し込みました。
そして、今度は友達の方を向いて、
「アンタら、もう行ったら! アンタらとはもう遊ばんから!」
と言って、ピシャッと玄関を閉めました。
「……なに? あれ……」
残された友達たちは、ビックリしてしばらく固まっていましたが、
「行こうか?」
「そうやね。体動かして、スッキリしよう。」
と言って、自転車に乗りました。
オッチャン達の横を通るとき、頭を下げて通り過ぎていきました。


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ちがうねん。

「キララ、あんた、そんなことしたんか!」
「うあーん。ごめん。」
キララちゃんのお母さんが、キララちゃんを怒鳴りました。
「そんなに怒ることあらしまへんやろ。お宅さんも、うちの家内をアホや言うてたって聞きましたで。」
キララちゃんのお母さんが、びっくりして、
「あんた、そんなことしゃべったんか!」
と言いました。キララちゃんはバツが悪そうにサッと目をさらしました。
「そういう訳で、お宅の子どもは預かれませんので。これからも来させんといてください。ほな、失礼します。」
オッチャンが、キララちゃん達に背を向けました。
いろんな声が聞こえてきました。
「あんた、どんな教育してるん?」
「あんた、犬叩くって何? うちのコにも何かしてへんやろな……」
「あんた、いつも料理の自慢ばっかりしてるのに、ご飯ぐらい作ったりや!」
「変やとおもててん。キララちゃんを好きな夫婦が預かりたい言うてるやなんて……」
「預け先って、本田さんやったんや……」
みんな、オッチャンとキララちゃんのお母さんの話を聞いて、驚いているようです。中には、オッチャンのことを知ってる人もいるようです。
「ちがうねん。ちがうねん。」
キララちゃんのお母さんが必死に言います。
「何が違うのよ。困ってはったやん。あそこの子、おとなしいええ子やのに、イジメてたんやろ?」
「うるさい!!!」
キララちゃんのお母さんが、怒鳴りました。


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キララちゃんのお母さんのお友達も来た

「あんた、行こうか!」
数人の女の人たちがキララちゃんの家に来ました。
キララちゃんのお母さんの友達が迎えに来たようです。みんな自転車の前かごにテニスラケットを入れています。みんなとってもお洒落です。
「あ、ちょっと待ってな。」
「キララ、あんた、なんかしたんやろ? 謝っといで。あの親やったら許してくれるわ。」
「なんもしへんけど、謝ったで。そやけど、帰れ帰れって言うねん。」
「もう、なんやねんな~。」
「ママ、おなかすいた!」
「なんや。なんも出してもらわれへんかったんかいな。」
「ママ~」
キララちゃんが、キララちゃんのお母さんの上着を引っ張りました。
「そんなに言うても、なんも作ってないで。ママはこれから出掛けるし、もう一回行っといで!」
キララちゃんの服を持つ手をはがしながら言いました。
「すんませんな。」
オッチャンが、キララちゃんのお母さんに声をかけました。
「あ、急に帰されても困りますわ~。こっちにも都合がありますから!」
キララちゃんのお母さんは苛立った口調で言いました。
「そう言われましても、キララちゃん、うちのヒロ子に酷いこと言うたり、犬を叩いたり、あのボールを投げつけたりするんですわ。」
オッチャンがキララちゃんの持ってる黄色いボールに眼をやりながら言いました。


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ヒマそう?

「お母ちゃん、ヒロ子のせいでゴメンね。」
ヒロ子ちゃんが邦ちゃんの手をキュッと握りしめて言いました。
「お母ちゃんこそ、気づけなくてゴメンね。辛かったね。これからは、何でも言ってね。」
「うん」
角を曲がるとキララちゃんのお家です。
「あら、お父さん。」
邦ちゃんが角を曲がったところで、オッチャンが立っていました。オッチャンは、キララちゃんの家の方を見ています。
「どうしたの?」
「キララちゃんの母親が出てくるの待ってるんや。」
「え? いるの?」
「今帰ったら、お母ちゃんに怒られる言うてたから、まだおるんやろう。」
「あ、出てきはったわ。」
キララちゃんのお母さんは友達と玄関から出てきました。
「あんた、ええなぁ。気楽に子ども預けられるところ出来て!」
「そやねん。ええやろ! 春休み苦にしてたから。助かったわ。」
「私も頼まれへんかなぁ!」
「言うたろか? 私ら、4月からおらんし。あの人もヒマそうにしてるから。」
「頼むわ。」
ヒマそうにしてるから……
邦ちゃんは悔しくて唇をかみしめました。ずいぶんな言いようです。自分は子どもを人に預けて遊びに行くというのに……
キララちゃんのお母さんが、キララちゃんに気付きました。
「あ! あんた、なんで帰ってきたん? お母ちゃん、今日は出かける言うたやろ!」
「そんなん言うたって、オッチャンもおばちゃんもえらい怒って帰れって言うねん。明日から来んとってって……」
「えー!!」
キララちゃんのお母さんが、びっくりするぐらい大きな声で言いました。



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悪いことに決まってる

「オッチャン……」
「送っていくから、帰る用意してや。」
オッチャンは、いつも通りに話していますが、明らかに怒りをこらえています。
「オッチャン、ごめんなさい。これからは、ヒロちゃんのこと大事にするから、許してください。」
キララちゃんが、大人びた口調で言いました。
「アカンアカン。もう、こりごりや。早う帰ってくれ。」
「オッチャン。ホンマにホンマです。信じてください。」
キララちゃんは、頼み込むように言いました。
「小さい子や犬をイジメるのは、悪いことに決まってる。せぇへん子は始めからせん。あんたは、イジメるのを楽しい言うてた。楽しんでることを止めることは出来へんやろ。」
オッチャンにそう言われて、キララちゃんはギッとオッチャンをにらみました。
そして、文房具を乱暴にカバンに投げ入れました。
「ほな、行こうか……」
オッチャンが、先に歩き出しました。キララちゃん達もノソノソと立ち上がりました。その少し後を邦ちゃんとヒロ子ちゃんが手をつないで、ついていきました。


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オッチャンが帰ってきた。

「……キララちゃん……」
邦ちゃんは、自分が情けなくなってきました。
キララちゃん相手に太刀打ちできません。
(学校はこんな子たちばかりなのかしら、ヒロ子は、ちゃんとやっていけてるのかしら……)
「おばちゃん! おなかすいた!」
邦ちゃんは、諦めて何か作ろうと、席を立った時、
「すまんけど、帰ってくれるか? 腹減ったんやったら、家でなんか作ってもらい。」
「お父ちゃん」
「おっちゃん!」
キララちゃんは、びっくりしたように言いました。
「キララちゃん、あんた、怖い子やな。あんた、犬、大好きやけど、母ちゃんがアレルギーで欲しいゆうても買ってくれへんねん。小さい子は大事にする言うてたのに、みーんな嘘やったんやな。」
オッチャンの嘘という言葉に、邦ちゃんは、胸が痛みました。昭雄さんにさんざん言われてきたからです。
「なによ。嘘くらいみんなついてるわ。」
「そやな。誰かて、嘘はつく。そやけどな。アンタみたいに、人の家に上がり込んで、大事なもんをわざわざイジメに来るのはアカン。」
オッチャンの怒りを殺したような、低い声に、さすがのキララちゃんも黙っています。
「早う、帰ってくれるか……」


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おなかすいた!

キララちゃん達は、怖い顔して動きません。ジィーッとしています。
その様子を見て、邦ちゃんは、
(誰かに、似てるわ。誰かしら……)
と思いました。
「ここに居座っても、お菓子もご飯も出さないわよ。帰ってちょうだい。」
それでも、まだ、ジーッとして動きません。
「おばちゃん、おなかすいた。」
「おうちに帰ってから、食べなさい。」
「おなかすいた! おなかすいた! おなかすいた! おなかすいた! おなかすいた!」
キララちゃんは、狂ったように繰り返します。
「キララちゃん……!」
「おばちゃん、なんで、帰れ帰れって言うん? 私らがママに怒られてもええの?」
「子供が帰ってきて怒る親なんおらへんわよ。」
「ママは、今日、テニスに行くから、帰ったら怒られる。」
「おばあちゃんがいるでしょ。」
「……おばあちゃんは……」
少し答えに詰まりましたが、
「おばあちゃんもおらん……!」
と言いました。
「あのね、キララちゃん。」
「おばちゃん、おなかすいた!」


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オモチャじゃない!

「それなら、なんで、ヒロ子やヒメたちをイジメるの!」
邦ちゃんは、声を荒げて言いました。
「なんでって、面白いやん。ヒロちゃんは、メソメソするし、犬はブルブル震えるし。」
「そんなことしたら、アカンでしょ!」
「なんでアカンのん? 面白いやん。おばちゃんもやってみ?」
何言ってるの? アホなん? と言うような口ぶりです。
「なんでって……。キララちゃんだって自分がそんなことされたら、悲しいでしょ?」
「ヒロちゃんは、いらん子やんか。あの犬も野良犬やろ? 私、捨てられてないもん。ママがいるもん。」
「じゃあ、ママのとこに帰ってちょうだい。」
「そやから、ママが、ここに行けって……」
「私は、キララちゃんのママともおばあちゃんとも、キララちゃんを預かるなんて約束してないわよ。今日かて、勝手にキララちゃんが、来てるだけでしょ。」
「なんで、そんなん言うん? 勉強、教えたるって言うてたやんか!」
いつも優しく接してきた邦ちゃんを軽く見ているのか、キララちゃんも食ってかかるように言いました。
「おばあちゃんのお家を修理してる間だけのはずでしょ。それに、キララちゃん、まじめに勉強したことないでしょ。宿題も自分でしてないでしょ。お菓子とご飯を食べて帰るだけでしょ。うちの子をイジメる子は置いとけないから早く帰って。ヒロ子もヒメ達もキララちゃんのオモチャじゃないの。」
邦ちゃんはきっぱり言いました。


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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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