ここがええもん

「なんで、まだ、おやつも食べてないし……」
「うちの子をイジメてるのに、何言ってるの!?」
「え、別にイジメてなんかないよ。冗談やん……。おばちゃん、なんで、そんなに怒ってるん? それにおばちゃんの子と違うやん。」
キララちゃんは、キョトンとしていました。
「そんなこと言って、ヒロ子が傷つくと思わへんの。ボール当てられたら、その子が痛いと思わへんの? そんな恐ろしいことが出来る子を家に入れるわけにいかへんから、出てってちょうだい!」
「なんで? 明日から春休みやから、おばあちゃんに、おばちゃんところに行きって言われてるねん。わたしもここに来た方がええもん。」 
キララちゃんは、当たり前のように言いました。


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酷い言葉

「キララちゃん、ワンちゃんのこと見ててどう思う?」
邦ちゃんに犬のことを聞かれると、キララちゃんは、
「犬は、汚いし毛が抜けるし、キライや。」
「おばちゃんも、よく毛が抜けるなって思うわ。」
邦ちゃんと意見があったと思い、調子に乗ったらしいキララちゃんは、
「そやろ、せやから、ボール当てたるねん。あの小さい犬なんか、部屋の角で小さくなるねん。面白いわ。」
キララちゃんは、得意げに言いました。
「キララちゃん、うちの子にボール当てたの……」
邦ちゃんの声の調子が変わっていました。ヒロ子ちゃんから聞いてはいましたが、本人が悪びれもなく言っているのを聞くと、相手が子どもと思っても、怒りがこみ上げてきます。
キララちゃんは、犬をイジメることが楽しいのか話が止まりません。そして、きららちゃんが、こんなことを聞いてきました。
「なあ、ママが、おばちゃんはアホやから、捨てられた子を育ててるって、ホンマ?」
「え?」
「なあ、ほんま?」
「キララちゃんのママが……そんなこと……言ってったの……」
邦ちゃんの声は震えていました。キララちゃんは、自分が話すことに夢中で気付いていません。
「なあ、なんで、ヒロちゃん、親に捨てられたん? うちのママがヒロちゃんの母親は男と逃げたんやって言うてた。ほんま?」
「帰って……」
「え?」
「帰りなさい!」
邦ちゃんは、大きな声で言いました。


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おばちゃんの子

「ヒロ子ちゃんは、優しいお母ちゃんがいていいね。」
ヒロ子ちゃんは、嬉しそうに頷きました。
「いっつもかわいい服着ていいね。」
キララちゃんは、立て続けにほめます。
「うちのママは、アカンわ。家では寝てばっかり。昨日かて……」
「キララちゃんのお母さんは、遅くまで仕事して疲れてるのよ。もうすぐお引越しやし、たくさんやることがあるんよ。キララちゃんが、お母さんを手伝ってあげたら、きっと、喜ぶわよ。」
「ママは、そんなんせんよ。それに、うちらのこと、のけ者やの。」
「お父さんやお母さんの事そんな風に言わないの。」
「なあ、おばちゃんの子にしてくれへん?」
キララちゃんが、二カッと笑って言いました。
「な、なに言ってるの?」
邦ちゃんはビックリして言いました。
「なんで、そんなにびっくりするん? 私も可愛い服着たいし、いろんなところ連れて行ってほしいねん。あの子はおばちゃんの子にしたんやろ? 私もしてよ。」
キララちゃんは、当然のように言いました。


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お土産ちょうだい

「お母ちゃん、キララちゃんが、お土産ちょうだいって……」
ヒロ子ちゃんが張り詰めた表情で、邦ちゃんのところに来ました。ヒロ子ちゃんの後からキララちゃんがついてきていました。邦ちゃんはビックリしましたが、
「キララちゃん、どこまで来てるの? 居間で待ってなさい。」
「おばちゃん、おみ……」
「居間で待っててくれる?」
キララちゃんは、少しだけ不満そうな顔を見せましたが、戻っていきました。
「ヒロ子、お茶とお菓子を持っていくわ。今日はお母ちゃんも、ずっと一緒やからね。」
ヒロ子ちゃんはしっかりと頷きました。
邦ちゃんがお菓子を持っていくと、キララちゃんが、
「有難うございます。ヒロちゃんは優しいお母さんがいていいね。」
ヒロ子ちゃんは嬉しそうに頷きました。
「おばちゃん、旅行楽しかったですか?」
キララちゃんは、いきなりお土産と言うのは良くないと思ったのか、旅行のことを聞いてきました。
「楽しかった?」
「楽しかったわよ。」
「おばちゃん、お土産は?」
少しイラついた口調でキララちゃんは言いました。美鈴ちゃんもムスッとしています。
いつもなら、キララちゃん達が来たら一番にお土産を渡していたことでしょう。キララちゃんもそれを見越していたはずです。ところが、目当てのものをもらえないためか、本来の姿が、見え隠れしています。
邦ちゃんは、本当はキララちゃん達のために、お土産を用意していました。でも、それは、ヒロ子ちゃんを大切にしてくれてると思っていたからです。ヒメちゃんやチビちゃんと仲良く遊んでくれていると思っていたからです。
「お土産って?」
「旅行、行ったんでしょ。」
キララちゃんの直球の言葉に面食らいましたが、邦ちゃんは、
「キララちゃん達は、ここへは勉強しに来てるんよね。」
邦ちゃんは、落ち着いた口調で言いました。
「え……」
今度は、キララちゃんが驚いた顔をしましたが、
「……はい……」
と言いました。
「じゃあ、始めましょうか。ノート見せてくれる?」
邦ちゃんはにっこり笑って言いました。


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また、来ました。

次の日、早速、キララちゃん達が家にやって来ました。
「なあ、ヒロちゃん、あんたのお父さん、どっかに行ってきたんやろ? お土産は?」
「え?」
「うちらにお土産ないの?」
キララちゃんは高飛車に言いました。
「…………。」
「聞いてきてよ。」
「……うん。……」
今日の邦ちゃんは、いつものように子ども達のためにお菓子を作っていません。隣の部屋で、ジッと子どもたちのやり取りを聞いていました。
耳が聞こえにくい邦ちゃんにとっては、とても大変なことです。それでも、自分のいない時、どんな振る舞いをしているのか、知らなければなりません。
「は・や・く」
美鈴ちゃんの声です。
「……うん……」
ヒメちゃんはヒロ子ちゃんにぴったりくっついてます。チビちゃんはいません。ミィちゃんは、お春ちゃんのところです。
(チビちゃんはどこかしら?)
部屋の隅で小さくなっていました。
(私はどうして、今まで気が付かへんかったのかしら……)
邦ちゃんは、お春ちゃんに言われるまで全く気が付かなかったことを悔やみました。


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反省のオッチャン

「そうか。ヒロ子、ごめんやで。ワシが、気軽によその子預かったせいで、嫌な目にあっとたんやなぁ。堪忍してや。」
ヒロ子ちゃんは、下を向いたままです。
「ううん。私が悪かったんです。きちんと見てなかったから。明日からは、そんなことさせないからね。ごめんね。ヒロ子。お母ちゃんを許してね。」
ヒロ子ちゃんは、邦ちゃんを見ましたが、ジッとしています。
「あかんあかん。そんな子、家に来てもらわう訳にはいかん。考えたら、邦ちゃんかて大変や。余計な仕事が増えるだけや。気ぃ回らんでごめんやで。」
「ううん。ヒロ子、大丈夫やよ。キララちゃんは、もうすぐ引っ越すし。なんともないよ。だから、大丈夫。」
ヒロ子ちゃんは、大げさにしたくないようでした。きっと、今までそうして、辛いことや苦しいことを耐えてきたのでしょう。
「何言うてんのや。そんな子は友達と違う。大きいくせして小さい子をイジメるやなんて。父ちゃん許さん。」
ヒロ子ちゃんはその言葉を聞いて目を輝かせました。そして、ぶわっと涙が溢れました。
オッチャンと邦ちゃんは、キューっとヒロ子ちゃんを抱きしめました。


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お春ちゃんの話

「邦子、あんた、よその子の面倒見てるんやってな。」
「えっ、あの、そんな大げさじゃなくて、少し、勉強を見てるんです……」
藪から棒に言いだしたお春ちゃんに、邦ちゃんは驚いたようで、ドギマギした様子で答えました。
「そんなんどっちでもええ。ヒロ子がその子らにイジメられてんのにも、気ぃ付かへんとは……」
「え!?」
邦ちゃんは、はじかれたようにヒロ子ちゃんを見ました。
ヒロ子ちゃんもビックリして固まっています。あんなにお春ちゃんに頼んだので話す
と思ってなかったのでしょう。お春ちゃんはさらに続けます。
「ホンマのかーちゃんどんな人やて聞かれたり、なんで捨てられたんや言われてるんや。おまけに、勉強なんか教えるから、ヒロ子はその子どもの宿題まで押し付けれてるんやで。
そんなんされてるのに、ご飯やらオヤツやら出してるんやて?」
「ヒロ子、ほんま、そんなん言われてたんか?」
オッチャンはびっくりしてヒロ子ちゃんに聞きました。
ヒロ子ちゃんは、ビクッとしてオッチャンを見ました。ヒロ子ちゃんの目にいっぱい涙がたまっていました。
「ヒロ子、そんなんされてたんか?」
オッチャンがもう一度聞くと、ヒロ子ちゃんは、下を向いてブンブン首を振りました。


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お春ちゃんが、起きた

「お父ちゃん、お帰りなさい!」
ヒロ子ちゃんが、嬉しそうにオッチャンに飛びつきました。
「ヒロ子、起きてたの?」
「ううん。お姉ちゃんが起こしてくれた。」
「そう、ありがとう、トモちゃん。」
後から、部屋に入ってきたトモちゃんに邦ちゃんが、嬉しそうに言いました。
ヒメちゃんもチビちゃんも大喜びです。オッチャンと邦ちゃんの周りをパタパタしています。パタパタしているヒメちゃん達を見て嬉しくなったのか、ジロたちも落ち着きがありません。みんなが起きだして途端ににぎやかになりました。
まあばあちゃんが、入り口の方を、ふと見ると、ミィちゃんを抱いたお春ちゃんが、ジッとこっちを見ていました。
「お春ちゃん、起きたんならいらっしゃいよ。」
まあばあちゃんが声をかけました。
「まあちゃん、邦子が帰ってきたら起こしてって言うてたやんか……」
お春ちゃんが、まあばあちゃんを責めるような口調で言いました。
「ああ、そうだったわ。ごめんなさいね。うっかり忘れてたわ……」
まあばあちゃんは、あら! というように言いました。
「邦子、ちょっと、話があるねん。ここに座ってくれるか。」
お春ちゃんは、強い口調で言いました。


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故郷の海

「邦ちゃん、オッチャンの故郷ってどんなところやったん?」
と恭子ちゃんが聞きました。
「海がよく見えるきれいなところやったわ。もう、生まれた家も無くなって、知ってる人もいなかったんやけど……、でも、主人がこの海だけは昔と変わらんなって……」
「へぇ、オッチャンは、その海を見て育ったんやもんね。懐かしかった?」
「そりゃ、故郷ってええもんやで。」
「そっか、私は、ずーっとここ! 故郷から離れたことがないから、離れた故郷を懐かしむ気持ちっていうの、そういうのなんか憧れるわ。」
「でもな、恭子ちゃん、ワシにはもっとええ場所がある。」
「ここやね!」
恭子ちゃんがすかさず言いました。
「そうや! 邦ちゃんが側におってくれて、ばあちゃんもおる、恭子ちゃんもおる。ワシの好きな人ばっかりおる、この堺の町が大好きや。」
「オッチャンは、故郷の海に、邦ちゃんを見てもらいたかったんやね。」
と恭子ちゃんが言うと、
「そうやねん! ワシの大事な嫁さんですって言うてきたんや。」
「海はなんて言ったん?」
「世界一の幸せもんやなって、言うてた。」
オッチャンは、幸せそうに笑いました。邦ちゃんは、照れ臭そうに笑いました。


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兼六園は素敵

「金沢、どうだった?  兼六園にも行ったのよね?」
まあばあちゃんが、オッチャンと邦ちゃんにお茶を入れながら聞きました。
「はい。良かったです。テレビで素敵だなって思っていたんですけど、実際行ってみて、もっと好きになりました。趣のある庭で、いつまでも見てたい感じでした。武家屋敷も、そこだけその時代に戻ったような……」
楽しそうに邦ちゃんが話しています。
「でも、大変だったんちゃう? いきなり寒くなって。」
「そうなんよ。びっくりした。春みたいに暖かやったのに、次の日は雪なんやもん。」
「やっぱり~」
恭子ちゃんが、残念そうな顔で言いました。
「でもね、主人がね。穏やかな金沢と雪の金沢を両方楽しめて良かったって言うんよ。それ聞いて、私もホンマやって思ったわ。」
「なるほど~! いいこと言うね。」
恭子ちゃんが感心したように言いました。
オッチャンは照れ臭そうに笑いながら頭をかきました。


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オッチャンと邦ちゃんが帰ってきた

「ばあちゃん、ヒロ子のこと、ありがとうな。」
金沢から帰ってきたオッチャンが、夜遅くにまあばあちゃんの家を訪ねてきました。
「何言ってるのよ。それより、これどうしたの?」
上り口にたくさんの物をオッチャンが置いたので、まあばあちゃんはびっくりしました。
「これお土産や。」
そう言って、オッチャンが袋の説明を始めました。
「これが、饅頭やろ。魚の干物やろ、それから……、あ、カニが送られてくるから、あそこのは、なんでも旨かったわ。」
「こんなにたくさん。ありがとう。さ、上がって上がって! お茶でも飲んで!」
まあばあちゃんが、そう言いながら台所に行きかけると、
「あの、まあおばちゃん、私たち、ヒロ子たちを連れに来ただけなので、このまま失礼して帰ります。……あの、ヒロ子たちは?」
邦ちゃんは、きっとヒロ子ちゃん達も出迎えてくれると思っていたのでしょう。ところが、なかなか出てきません。出てきたのは、
「邦ちゃん、上がんなさいよ。私たちも待ってたんよ。」
恭子ちゃんでした。恭子ちゃんが邦ちゃんの手を引っ張る仕草をすると、
「でも……」
邦ちゃんは、困った顔をしました。
「お春おばちゃんなら寝てるから。……待ってるつもりやったみたいやけど、眠くなったみたいやわ。」
恭子ちゃんが、ニマッと笑いました。


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ヒロ子ちゃんは学校へ

「おばあちゃん、行ってきまーす!」
「いってらっしゃい。」
「気ぃ付けて行きや~」
「は~い! 行ってきま~す。ヒメもチビもミィもいい子でね~!」
お母さんのような口ぶりで、ヒメちゃん達に言うと、ヒロ子ちゃんは学校へ行きました。
「はー、みんな出て行ったら、静かやな。」
トモちゃん、トモちゃんのお父さんとお母さんは、もう先に出かけています。
おうちにいるのは、お春ちゃんとまあばあちゃんだけです。
まあばあちゃんは、洗い物を始めました。
「まあちゃん、こっちおいでよ。ちょっと、ゆっくりしようよ。」
お春ちゃんが、まあばあちゃんを呼びました。
「これを洗ったら行くわね。」
「やれやれ、まあちゃんもせわしないわ。そやけど、あんなに小さい子でも、イジメてあるんやな。子どもの世界も厳しいなぁ。」
「ほんとね。」
「なんか。あの子、我慢する我慢する言うて、可哀想やったな。」
まあばあちゃんも頷きました。
「そやけど、悪ガキは、どっかに行ってしまうらしいから良かったなぁ。」
「ほんとうに、そうね。」
まあばあちゃんはしんみりとした口調で言いました。


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お春ちゃんがとっちめる

「そんなもん、我慢することあるかい! 私がとっちめたる!」
「おばあちゃん、ほんとに大丈夫だから!」
「何を言うてんのや!」
お春ちゃんはカンカンです。でも、その様子を見て、まあばあちゃんは少しだけホッとしました。ヒロ子ちゃんのことを“どこの馬の骨とも分からん”などと言っていたのに、自分のことのように必死になっています。
もしかすると、昭雄さんに何か吹き込まれて、あんな酷いことを言ってたのかもしれないと、まあばあちゃんは思いました。
「それにしても、邦子は相変わらず、どんくさいな。なんで気ぃ付かへんのや。」
「おばあちゃん、怒らんといて、トモ子お姉ちゃんがね。お勉強できるようになるのが、キララちゃん達に勝つ一番いい方法だよって。だから、ヒロ子、頑張る。」
そう言って、ヒロ子ちゃんは、お春ちゃんの手に自分の手を重ねました。
「アンタの手はキレイやな。見てみ、ばあちゃんの手はシワシワや。」
「おばあちゃんの手、あったかくて気持ちいいよ。」
「そうか、アンタの手も気持ちエエで。大福もちみたいや。」
そう言って、お春ちゃんは嬉しそうにヒロ子ちゃんの手を握りました。


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我慢するよ

「それにね、キララちゃん達は、ヒメの事、叩くよ! ボールをぶつけたりするんよ。」
ヒロ子ちゃんは、話し始めたら止まらなくなったようで、次々と話し始めました。
「そんなこと、犬にしたら噛まれるやろ?」
「ううん。ヒメは我慢するよ。ヒロ子のそばでじっと我慢してるんよ。」
「なんや。ヒメ、嚙んだれ!」
お春ちゃんが、ヒロ子ちゃんに寄り添っているヒメちゃんに向かって言いました。
「そやけど、それ、女の子やろ? 末恐ろしいな。これは、放ってはおけんな。邦子に言わんと!……そや、ミィは、何もされてへんのか?」
「ミィちゃんは、キララちゃん達が来たら、二階から降りてこないよ。」
「そうか。ミィは賢いな。ヨシヨシ。」
そう言って、お春ちゃんは、ミィちゃんの頭を撫でました。
「そやけど、邦子はなんで知らんのや?」
「キララちゃんは、お母ちゃんがいるとお利口にしてる。お母ちゃんが、いない時にイジワルするの。」
「ほんまに、悪知恵の働く子どもやな。邦子が帰ってきたら、言うとかんとあかんな。」
お春ちゃんは、カンカンです。
「おばあちゃん、お母ちゃんに言わんといて。もうすぐ、キララちゃん達は東京に行くもん。ね! ヒメともそれまで頑張ろうねって約束したもん。お願い、おばあちゃん!」
ヒロ子ちゃんは、必死になって言いました。


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ご飯を食べに

「でも、お付き合いをなるべく控えたほうがいいわね。そんなこと言う子じゃ、兄弟どころか、お友達にも慣れないわ。」
まあばあちゃんが、心配して言いました。
「ほんまや。」
お春ちゃんも頷きました。
「なんでまた、そんな話が出たんや。」
お春ちゃんが、ヒロ子ちゃんに聞きました。
「キララちゃんは、お母さんが帰ってくるまで、おばあちゃんところにいるの。」
「ふーん。ほんで?」
「おばあちゃんが、お父ちゃんに家の修理を頼んだら、うるさくて勉強が出来へんって……」
「なんや。口ばっかり達者やな。そんで、あんたに宿題押し付けるんかいな。ほんで?」
「それで、うちで勉強しようって……でも、修理が終わってもずっと来るんよ。はじめはお昼だけやったのに、朝ごはんも食べにくるの。晩御飯食べるの。」
「母親は迎えに来んのか?」
「いつも、晩御飯食べ終わったころに、キララちゃんのお母さんが迎えに来るの。」
「はー! なんちゅう親や! え? 朝から? 学校は?」
「あ、お父ちゃんが、仕事してたのは、冬休みの時やから……」
「なんや。託児所代わりに使ってるんやな。厚かましいやっちゃ!」
お春ちゃんは、怒って言いました。


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難しい問題

「ううん。ヒロ子嬉しい。キララちゃん、意地悪やもん。」
ヒロ子ちゃんは、ホッとしたように言いました。
「え!」
まあばちゃんは、ヒロ子ちゃんの言葉にびっくりしました。
「だって、“あんたのほんとのお母さんて、どんな人?”とか、なんで、“捨てられたん?”とか聞くからキライ。」
「なんや。ヒネタこと聞く子供やな。そんなん子ども知らんやろ? 親の入れ知恵やな。」
お春ちゃんが、忌々しそうに言いました。
「このプリント。キララちゃんの宿題なんよ。なのに、ヒロ子にやって来いって言うの。5年生の子の問題なんて分からへんよ~! わ~ん!」
ヒロ子ちゃんが、わんわん泣き出しました。
ヒメちゃんたちが慰めるように寄り添います。
「じゃあ、今までのも……」
トモ子ちゃんの独り言に、ヒロ子ちゃんは、泣きながら頷きました。
「どうしたの? なんのこと?」
まあばあちゃんが、トモ子ちゃんに聞くと、
「うん。今までも何回か……。一年生なのに、難しい問題がんばってるなって思ってて……。そっか、ごめんね。ヒロ子ちゃん。気づいてあげられなくて……。」
「ううん。ううん。だって、お姉ちゃんが、教えてくれるから。ヒロ子、大丈夫。」
「そうよ。勉強なんて、やった回数だけ覚えるんだから、頑張ったもの勝ちよ。お姉ちゃんと一緒に頑張ろう!」
「うん。」
ヒロ子ちゃんは、泣きながら、大きく頷きました。


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一緒にお勉強

「お姉ちゃん、ありがとう!」
「分かった?」
トモちゃんがヒロ子ちゃんに聞きました。
「うん。分かった!」
「でも、ヒロ子ちゃん、まだ一年生なのに、難しい問題やってるんやね。」
と、トモちゃんがヒロ子ちゃんに聞くと、
「まだ、習ってないよ。」
「え? じゃあどうして?」
「今ね、お母ちゃんが、田中さんとこのキララちゃんと美鈴ちゃんにお勉強を教えてるの……」
「なんや、邦子は学習塾やってるんか?」
「う~ん。」
ヒロ子ちゃんは、よく分からないようで首をかしげていました。
「ほかにも、邦ちゃんに習ってる子いるの?」
まあばあちゃんが聞くと、
「ううん。二人だけ。お母ちゃんは、ヒロ子に兄弟がいないからって、土曜日に一緒に勉強してるの。」
「そう、邦ちゃん、いろいろヒロ子ちゃんのために考えてるのね。」
「でも、もうすぐいなくなるの。」
「あら、どうして?」
まあばあちゃんが聞くと、お春ちゃんが、
「転勤かなんかやろ?」
「うん。お父さんが東京に行くんだって。」
「あら、寂しくなるわね。」
まあばあちゃんが残念そうに言いました。


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お春ちゃんは国語が得意

「お姉ちゃん、この問題教えて!」
「どれどれ、あ、速さの問題やね。」
「……うん。」
「ええと、歩く人の速さが4km、自転車の人が……」
っと、トモちゃんがヒロ子ちゃんに説明し始めると、
「なんや、まだ、自転車の問題やってるんかいな。」
「うん。難しくて……」
ヒロ子ちゃんが、小さな声で言いました。
「お姉ちゃんも、この問題苦手だったよ。」
「お姉ちゃんも?」
「そうよ。だから大丈夫。一緒に勉強しよ。」
「うん!」
ヒロ子ちゃんが、ホッとしたように返事しました。
「せやけど、歩く人の速さは何キロ、自転車の人は何キロ言うて決めたかて、実際はみんな歩く速さなんか違うやん。」
「歩く人の平均が、4kmって言われてるからじゃないかな。」
トモちゃんが、答えると、
「それやったら、うちらみたいな年寄りやったら、どないすんねんな。なあ、まあちゃん?」
「お春ちゃん! もう、邪魔しないの!」
「はいはい。すみません。静かにしています。」
お春ちゃんは、また大福餅をパクッと頬張りました。
「あ、あんた、国語やったら、少々のことは分かるから、聞きにおいでや!」
とお春ちゃんが、ヒロ子ちゃんに言いました。
「ありがとう!」
ヒロ子ちゃんは嬉しそうに返事しました。


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ミィちゃんのお母さん

「ただいま~」
トモちゃんの声です。
「あ、お姉ちゃん、お帰りなさ~い!」
ヒロ子ちゃんが、トモちゃんに抱きつきながら言いました。
「ただいま! ヒロ子ちゃん、来てたの?」
「うん。お父ちゃんとお母ちゃんが、新婚旅行だから!」
「ああ、今日から……。じゃあ、お姉ちゃんの家にお泊りする?」
「うん。する!」
「じゃあ、今晩は、一緒に寝よう!」
「チビとヒメも?」
「いいよ。」
「わーい!」
ヒロ子ちゃんは、嬉しそうに笑いました。
「今日は、みんな泊まるんでしょ? ミィちゃんは?」
トモちゃんが、キョロキョロしながら言うと、
「ミィはここやで。」
お春ちゃんが、自分の膝を指さしました。
「ミィは、私の膝から離れようとせんのや。邦子、イジメとったんちゃうか?」
「おばあちゃん、お母さんはミィちゃんの事、大事にしてたよ。イジメてないよ。」
ヒロ子ちゃんが、必死に言うので、
「ごめんごめん、冗談やがな。あの子はそんなこと出来る子ちがうからな。」
「ミィちゃんにとっては、お春おばあちゃんがお母さんだから、一番好きなんやね。」
「……そうか……そうやな……」
お春ちゃんは、トモちゃんの言葉に、なぜかしんみりして、何度も「そうか」と繰り返しました。


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お春ちゃんの先生

「さ、お汁粉が出来ましたよ。いただきましょうね。」
まあばあちゃんが、お汁粉をテーブルに並べました。
「わぁ! おいしそう!」
ヒロ子ちゃんが、嬉しそうに言いました。
「ウガイした?」
まあばあちゃんが言うと、ヒロ子ちゃんは、
「まだ~。」
と言って、洗面所のほうへ走っていきました。

おやつを食べたら、宿題です。お春ちゃんは興味津々です。
「どれ、勉強見たろ? 分からんところあるか?」
「おばあちゃん、これ、教えて。」
「どれどれ……、え~と、ひろし君がA駅から歩いて……たけし君が家から自転車で迎えに行きました。どこで会うでしょうか……、そんなん、どっかで会うわな。けったいな問題やな。」
「お春ちゃん、ヒロ子ちゃんにプリント返してあげて……」
まあばあちゃんが、お春ちゃんに言いました。
「それにしても、難しい問題やってるんやなぁ。うちらの時とは大違いやな。」
「おばあちゃんは、どんなこと習ってたの?」
「わたしらは、裁縫と修身、それにソロバンやな。」
「修身?」
「そや。親孝行して兄弟は仲良く、先生の言うことよう聞くようにって、先生に習うねん。今みたいに、自転車かて、みんながみんな乗ってへん。金持ちの子くらいや。そやから、自転車の問題は無かったわ。」
「へぇ、いいな。」
「そやけど、その問題で出来へんかったら、先生にサシで叩かれるんちがうか?」
「え? 先生はそんなことしないよ。」
ヒロ子ちゃんが、ビックリして言いました。
「そうか、ほな、水の入ったバケツ持って、廊下で立たされるくらいか?」
「そんなことしないよ。先生は優しいよ。」
「そうか、ええなぁ。うちらの時代の先生言うたら、怖かったんやで~。」
お春ちゃんは、お話が止まりません。まあばあちゃんは、ヒロ子ちゃんの宿題が進まないのではとヤキモキしました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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