お春ちゃんとランドセル

「おばあちゃん、ただいま~!」
元気のいい声です。ヒロ子ちゃんが学校から帰ってきました。
「ほ~ら、うるさいのが帰ってきたで。どっこいしょ。」
と、言ってお春ちゃんが立ち上がりました。
「おばあちゃん、ヒロ子、おなか空いた~。」
「はいはい。すぐに用意しますからね。ヒロ子ちゃんはその間に、手を洗ってうがいをしましょうね。」
「は~い!」
“お帰りお帰り”と言うように、ヒロ子ちゃんにじゃれついているジロとミミちゃんとヒメちゃんとチビちゃんの頭をなでながら返事しました。
「おばあちゃん、ランドセル、ここに置いていい?」
と、ヒロ子ちゃんがお春ちゃんに聞くと、
「お、お帰り! 100点取ってきたか?」
「うん。漢字のテストで100点取れたよ!」
「そうか! えらいえらい! ランドセル持ったろ。……えらい重たいな。持ち上がらん
がな。子どもにこんな重たいもん持たせてええんかいな。」
「おばあちゃん、ヒロ子が持つよ。」
「そうか? 優しい子やなぁ……」
と言って、お春ちゃんはヒロ子ちゃんの頭を撫でました。
まあばあちゃんは、その様子をほほえましい気持ちで見ていました。


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今頃どこかしら?

「邦ちゃんたち、今頃。どのあたりしら? もう兼六園を出たかしら?」
「ま~た、その話かいな。見たいとこ見たら帰ってくるがな。」
お春ちゃんが、詰まらなさそうな顔で言いました。
「あら、邦ちゃん、まだ、新婚旅行行ったことないのよ。どんな風に過ごしてるか気にならない?」
「新婚ちゃうやろ、お互い再婚やねんから。それに、家族で、東条湖やらスペイン村やら、どこやら行った言うてたがな。」
まあばあちゃんは、お春ちゃんが、あんまり憎まれ口を聞くので、少しだけイジワルを言いたくなりました。
「あら、聞いてたの?」
「なにが?」
お春ちゃんが、なんのこっちゃっと言う顔で言いました。
「だって、お春ちゃん、興味なさそうだったから、聞いてないのかと思ったの。」
「そりゃ、あんだけ繰り返し繰り返し、聞かされたら、誰かて覚えるわな。」
「今度は、みんなで行きましょうか?」
「どこへ?」
「そうねぇ。スペイン村? 外国の人がたくさんいるんでしょ?」
「外人なんか、テレビ見てたら、ようさんおるがな。それに、まあちゃん、そんなん言うて、いっつもそこの公園の花見ですますんやから。」
「あら、お春ちゃん、お花見嫌いなの?」
「そうやのうて、まあちゃんは、何やかんや言うけど、結局簡単にすますなぁって言うてんの。」
まあばあちゃんが、次の言葉に詰まってしまうと、
お春ちゃん、してやったりといった顔で、またお饅頭を頬張りました。


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今頃、着いたかな

「邦ちゃん、今頃、金沢のホテルに着いたかしら?」
まあばあちゃんが、お湯のみを持ったまま言いました。
「どないやろ? そんな心配せんかて、晩御飯に間に合ったらええやんか。そやけど、やっぱり惜しかったかな。お豊ちゃん、私にくれたのに……」
そう言いながら、お春ちゃんは、邦ちゃんが置いていったホテルのパンフレットを、キラキラした目で眺めています。
「何言ってるの。」
まあばあちゃんはあきれ顔で言いました。
「これ見てみ。こんだけの料理、二人で食べられるやろか?」
「大丈夫よ。」
「ああ、おいしそうやな。よだれ出てきたわ。」
「明日は、兼六園に行くって言ってたわね。」
「そうや。それから、婿さんの生まれたところに行くって言うてたわ。」
「今の季節だと、能登の方は寒いでしょうね。」
「婿さん、半島の人やったんかいな。」
「そうよ。いい骨休みになるといいわね。」
「そうやな。あの婿さん、働きモンやからな。たまにはゆっくりせんとな。」
春ちゃんは、そう言って、お饅頭を頬張りました。


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伝わったかな?

「いやいや。そんなん悪いですよって、お二人で楽しんできてください。」
オッチャンが、慌てて言いました。
「私、あんたにあげる言うてるんちゃいますねん。邦子に言うてますねん。邦子、どや?」
お春ちゃんは、嬉しいやろ?っと言うように邦ちゃんに言いました。でも、邦ちゃんの表情は硬いものでした。
「でも……」
そう言ったきり、黙ってしまいました。
「邦ちゃん、いいじゃないの! 雪の金沢、きっと素敵よ。いい思い出になるわよ。ヒロ子ちゃんとチビちゃんとヒメちゃんは、きちんとお預かりしますから。安心していってらっしゃい。ね?」
「邦子、婿さんっと一緒に行っといで。な! まともな旅行、したことないやろ? 悪いと思ってるねん。受け取って。な?」
お春ちゃんは、邦ちゃんの手に招待券を握らせました。
邦ちゃんは、目にジワッと涙を浮かべて頷きました。
邦ちゃんにも、お春ちゃんが変わってきたことが伝わったのかもしれません。


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お春ちゃんの心遣い

「それにしても、うまい具合やな。」
お春ちゃんは、また言いました。
「さっきから、どうしたの?」
まあばあちゃんが言うと、
「それがな、さっき、あんまりええイチゴやったから、お豊ちゃんにも食べさせたろう思って、持っていったんや。ほんだら、これもろてん。」
お春ちゃんが、巾着をごそごそと探しています。
「あれ、どこ行ったんかいな。……あ、あったあった。ほらこれ見てみ!」
お春ちゃんが、ドーンとまあばあちゃんに見せましたが、老眼のせいでよく見えません。
「それ、なあに?」
「金沢にあるホテルの券や!」
「へぇ!」
「これを持っていったら、ここに載ってるカニ料理食べて、こんなすごい風呂に入れるねん。」
「そうなの。」
「それでな、この券は、まあちゃんと行っといでって、お豊ちゃんにもろたモンやねんけど、邦子にやってもかめへんか?」
お春ちゃんが、申し訳なさそうにまあばあちゃんに言いました。
まあばあちゃんは、お春ちゃんの優しい気づかいに内心驚きましたが、とっても心が温かくなりました。邦ちゃんに母親らしい気遣いをみせたのは、本当に久しぶりのような気がします。
「それは、いい考えだわ。大賛成よ!」
まあばあちゃんは、にっこり笑って言いました。


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あら、お豊ちゃん?

「どないしたん? 家族揃って。」
お春ちゃんが不思議そうに言いました。
オッチャンも邦ちゃんもグッと詰まって言葉が出ないようです。ヒロ子ちゃんもまあばあちゃんと話している時とは調子が違うのか、何も言いません。
「お風呂が壊れたんですって。」
まあばあちゃんが言うと、お春ちゃんは、
「あれ、まあ、風呂が壊れたんかいな。へぇ……」
オッチャンも邦ちゃんも、またどんなイヤミが繰り出されるのかと、ドキドキしているようです。
「そりゃ、また、うまい具合になぁ……」
お春ちゃんは、良し良しっと頷くように言いました。
「え?」
この言葉には、まあばあちゃんもビックリしました。
「お春ちゃん、私も中に入れてよ。」
と、お豊ちゃんの声がしました。
「ああ、ごめんごめん。」
お春ちゃんが、横に避けると、お豊ちゃんの姿が現れました。
「あ、お豊おばちゃん、いつも主人がお世話になってます。」
邦ちゃんが、丁寧にお辞儀しました。オッチャンもペコッと下げました。
「やだ、こっちがお世話になってるのに……」
「なんの話や?」
お春ちゃんが、聞くと、
「邦ちゃんのご主人に、家をあっちこっち直してもらってるんよ。」
「あんたの家、まだ、直してるんかな。」
「あっちこっちあるもんだから……」
「そうか……。広いから、やりがいあるやろ?」
お春ちゃんがオッチャンに言うと、オッチャンは、少しだけ笑ってペコッと頭を下げました。


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丁寧なあいさつ

「あっ! どうしよう話しちゃった。」
ヒロ子ちゃんは、慌てて口を押えました。
「お春おばあちゃん、怒るかな?」
「怒ったりなんかしないわよ。でも、お春おばあちゃんが、自分で言いたかったことだから、ヒロ子ちゃんに聞いたことを内緒にしとくわね。そしたら、お春おばあちゃんもガッカリしないでしょ?」
まあばあちゃんが言うと、ヒロ子ちゃんは、嬉しそうに頷きました。
「ただいま~。まあちゃん、帰ったで~」
お春ちゃんの声を聞いて、オッチャンは大慌てで、
「わし、帰るわ!」
と言って、裏口のほうへ行きかけました。
「靴は表でしょ。靴も履かずに帰るつもり?」
「うわーー。難儀やな。逃げるが勝ちやと思たんやけどなぁ。困ったなぁ。また、ムスッとして嫌味を言われるわ。」
「なにをビクビクしているの。もっと、ドンと構えて! お父さんでしょ!」
「そうは言うけどなぁ。」
オッチャンが、弱ったなという顔で頭をかきました。
「まあちゃん、駅前のスーパーにおいしそうなイチゴがあったから買ってきたで!」
と、言いながら部屋に入ってきました。
「あら、いらっしゃい!」
「お、お邪魔してます。」
と、オッチャンが、カチコチになって頭を下げました。邦ちゃんも下を向いています。
ヒロ子ちゃんはチョコンと頭を下げました。
「邦子がいつもお世話になっております。ふつつかな娘ですが、どうぞよろしく頼みます。」
以前のお春ちゃんからは想像もできないような丁寧な挨拶に、オッチャンと邦ちゃんは、びっくりした様子でした。


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「こうして、お茶するの。久しぶりねぇ」
まあばあちゃんが、お茶をすすりながら言いました。
「いやぁ。ヒロ子も寂しそうやねんけど、どうも足が向かへんのや。」
「どうして?」
まあばあちゃんは分かっていましたが、あえて聞きました。
「なんでって……。そりゃー。お春さんがおると思うと、気が重うなって……、どうも、あのお人は、難しいわ……」
そう言いながら、オッチャンは、ヒロ子ちゃんを膝の上に載せました。ヒロ子ちゃんは嬉しそうに笑っています。
「何言ってるのよ。お義母さんでしょ。お春ちゃんも本当は寂しいと思うの。だから、時々でいいから、来てあげて……」
「そうは言うけど、ばあちゃん。あのお人がワシらを遠ざけてるんやで? それに、それだけやないやろ?」
「お春ちゃん、ずいぶん変わったわ。だから、新しい気持ちで接してあげて欲しいの。それから、どうお付き合いするか決めていもいいでしょ?」
「…………。」
オッチャンも邦ちゃんも、返事に困って黙ってしまいました。無理もないことです。
「ヒロ子、仲良くするよ。」
「まあ、ヒロ子ちゃんは、お春おばあちゃん、スキ?」
「うん。お春おばあちゃん、ヒロ子をお勉強がんばって偉いねってほめてくれたよ。」
「ヒロ子、本当?」
邦ちゃんが、驚いた様子で言いました。
「うん。この間、学校の帰りに会ったの。」
「どうして、教えてくれなかったの?」
「お春おばあちゃんが、内緒にしてやって。お母ちゃんにヒロ子はいい子やねって、おばあちゃんから言いたいからって。」


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新しいお風呂

「今日は、もう、夕飯の作ってしまったから、お湯だけいただきに来ます。」
「分かったわ。」
―――ピンポーーン、ピンポーン―――
「あら、だれかしら」
まあばあちゃんが言うと、外からおっちゃんの大きな声がしました。
「ばあちゃん、ワシや! 邦ちゃんが、ばあちゃんトコにおるいうて、メモがあってんけど。なんぞあったんかー!」
「あ、お父ちゃんだ!」
その声を聞いて、ヒロ子ちゃんが、外へと走っていきました。
「お、ヒロ子、お母ちゃんは?」
おっちゃんが、ヒロ子ちゃんに手を引かれて家に入ってきました。
「いらっしゃい。今、お茶を入れるわね。」
「ばあちゃん、おおきに、ヒロ子がお湯もらいに来る言うてるけど……」
「そうなのよ。にぎやかでいいわ。」
「ガス屋さんに電話したら、2,3日かかるって……」
邦ちゃんが、おっちゃんに言うと、
「あ、それなんやけどな。もう、風呂釜も古いし、この際、風呂場そっくり変えてしまうのはどやろ? 今エエの出てるやろ? ヒロ子も風邪ひかんですむやろと思うねん。」
「新しいお風呂?」
ヒロ子ちゃんが目を輝かせました。


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こまった邦ちゃん

「ヒロ子、お風呂、2,3日で直るから、それからにしない?」
「え?」
ヒロ子ちゃんは、ビックリしたようでした。
「ね? もう、帰ろう……」
邦ちゃんは、ヒロ子ちゃんの手を引っ張って言いました。
「お母ちゃん、どうしたの?」
ヒロ子ちゃんは、邦ちゃんの様子に戸惑っているようでした。
邦ちゃんは、まあばあちゃんの家にあまりいたくないようでした。
きっと、お春ちゃんが、帰ってくるのを気にしているのでしょう。
お春ちゃんと邦ちゃんのわだかまりは、そう簡単に解けるものではありません。
お春ちゃんを避けていることは明らかでした。
確かに、無かったことに出来るほど、小さな問題ではありませんが……

でも、親子なのです。
(お風呂が壊れたのは、神様の思し召しかも……、これをきっかけに出来れば……)
「邦ちゃん、2日も3日もお風呂に入らないなんて、ダメよ。この寒いのに、体に障るわ。夕飯もうちで食べて、お風呂に入ったら、順序良く行くんじゃない? ね? そうしましょう! ヒロ子ちゃん、夕飯、おばあちゃんと食べる?」
「うん!」
と、ヒロ子ちゃんは、元気よく返事しました。邦ちゃんは困った顔をしましたが、小さくうなずきました。


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お春ちゃんの気分

「お春ちゃんが、そういう冗談を言うときは、とっても気分のいい時なのよ。」
それをを聞いて邦ちゃんは、やっと笑顔を見せました。
「この前なんて、パンツのゴムがきつくなったって言って、慌ててたわ。きっと、心にゆとりが出てきて、太ってきたのね。それからは、散歩も張り切って行ってるの。私のほうがついてけないくらいよ。」
まあばあちゃんがにっこり笑って言うと、邦ちゃんもつられたように、にっこり笑いました。ヒロ子ちゃんは、幸せそうにケーキを食べています。
「お風呂、入っていく? お湯を入れればすぐだけど……、ヒロ子ちゃんどうする?」
「すみません。私は2,3日くらい入らなくても平気なんですけど……、ヒロ子がお風呂好きで……」
「女の子だものね。キレイにしなくちゃね。ヒロ子ちゃんは、いつもはどうしてるの?」
「ヒロ子はね。ご飯を食べて、宿題をしてから、お風呂に入って寝るの。」
「じゃあ、ご飯食べてから、うちに来る?」
まあばあちゃんは、ヒロ子ちゃんを優しい目で見ながら言いました。


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お春ちゃんと見返り美人

「まあおばちゃん、母のこと、本当にありがとうございます。」
邦ちゃんは、キッチンに入るなり、まあばあちゃんに言いました。
「何言ってるの。お春ちゃんとは長い付き合いだし。気にしないで。そんなことよりヒロ子ちゃんとご主人のこと大切にするのよ。年寄りのことは年寄りに任せたほうがうまくいくのよ。」
まあばあちゃんはお茶を沸かしながら、
「お春ちゃんは、最近、体の調子が良くなってきて、今日みたいに一人で美容院に行ったり、買い物に行ったりするの。帰りにおいしいお饅頭お買ってくれるのよ。」
と、言いました。
「おまんじゅう?」
ヒロ子ちゃんは、ケーキと聞いていたので不思議な顔をしました。まあばあちゃんは、ヒロ子ちゃんの頭をなでると、
「今日のケーキは、お豊ちゃんからの頂き物よ。さ、お茶が入ったわ。奥のお部屋を見てほしいの。」
と言って、まあばあちゃんは、自分の部屋に案内しました。
「ここで、お春ちゃんとお布団を二つ敷いて、眠くなるまでお話してるのよ。起きてるときは、こたつの部屋で、編み物したり、縫物したり、勉強の休憩に来たトモちゃんとお話したり……」
そこまで言うと、まあばあちゃんは急にクスクス笑いだしました。
「まあおばちゃん?」
「昨日なんかね。お春ちゃんが、『私の若い時分は、みんな振り返るくらい美しかってんで! ほら、あの見返り美人ってあるやろ?』ってお春ちゃんがいうもんだから、トモちゃんびっくりして、『え!! あれ、お春おばあちゃんだったの?』って言うからみんなで大笑いしたわ。」
邦ちゃんは、苦笑いしました。
「トモちゃんもすぐに気が付いて、『あ、時代が合わないね』って。そしたら、お春ちゃんが、『昭和の見返り美人やで』って」
邦ちゃんは、複雑そうな顔をして、少しだけ笑いました。


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まあばあちゃんトコで

「はい。お湯が出なくなってしまって。主人もいろいろ見てくれたんですけど、どうしても出ないんです。」
「あら~。」
「それで、直らなかったら、おばあちゃんとこにお風呂入れてらいましょうねっていったら、走って行ってしまって……」
そう言うと邦ちゃんは、ヒロ子ちゃんのことを困った子というように見ました。
ヒロ子ちゃんは、嬉しそうに邦ちゃんに抱きつきました。
「あらあら。じゃあ、ヒロ子ちゃん、おうちのお風呂が直るまで、おばあちゃんとこのお風呂に入りましょうね。」
と、まあばあちゃんが言うと、ヒロ子ちゃんは大きくうなずいて、まあばあちゃんの手をつなぎました。
楽しそうにしているヒロ子ちゃんとは対照的に、邦ちゃんはキョロキョロして落ち着きません。その様子を見てまあばあちゃんは
「お春ちゃんなら美容院よ。帰りにスーパーにも寄るって言ってたから、まだまだ帰らないと思うわ。」
「そうですか……。あ、そういうんじゃ……」
邦ちゃんは、口ごもると、苦笑いしました。
お春ちゃんが来てから、邦ちゃんの足はずいぶん遠のきました。野菜を届けに来てくれても、裏口にそっと置いて帰ってしまいます。
「ヒロ子ちゃん、おいしいケーキを頂いたの。一緒にお茶しない?」
「わーい!」
ヒロ子ちゃんはピョンピョンして喜びました。
「久しぶりにゆっくりお話しましょ。」
まあばあちゃんがニッコリ笑いました。


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お風呂が壊れたよ!

「おばあちゃ~ん!」
玄関で大きな声がしました。
「あら、ヒロ子ちゃんだわ。どうしたのかしら。」
まあばあちゃんが、表に出ると、走ってきたのかヒロ子ちゃんはほっぺたを真っ赤にさせてハアハア言っていました。
「どうしたの? 走ってきたの?」
「うん!」
「そんなに急いで。なんのご用でしょう~っか?」
まあばあちゃんがおどけて言うと、
ヒロ子ちゃんは、よくぞ聞いてくれましたと言うように、
「ヒロ子のおうちのお風呂が壊れたの!」
「あら!」
「ヒロ子~。ヒロ子~!」
邦ちゃんが、ヒロ子ちゃんの名を呼びながら走ってきました。
邦ちゃんも走ってきたので息を切らせています。
「ハァ、ハァ、まあおばちゃん、こんにちは。」
「邦ちゃん、お風呂が壊れたって本当?」
まあばあちゃんが聞くと、
「ま、ヒロ子、もう話したの?」
邦ちゃんが驚いて言うと、
「エヘヘ。」
ヒロ子ちゃんが嬉しそうに笑いました。



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お手入れする?

「はあ、お先に~。ええお湯やったわ~。」
お春ちゃんが、気持ちよさそうな様子で言いました。
「ほんと、気持ち良かったわね。」
まあばあちゃんも嬉しそうに返事しています。
「おばあちゃん、飲み物、持ってこようか?」
トモちゃんが聞くと、
「せやな。冷たいお茶もらおっかな。」
とお春ちゃんが返事しました。
まあばあちゃんもにっこり頷いています。
「おばあちゃんも、お春おばあちゃんも、お肌ツルツルしてすごくいい顔してるよ。」
「そんなにツルツルしてるか?」
「ホッペ触ってみれば?」
お春ちゃんが自分の頬を撫でました。
「そやな、気持ちええわ。もうエステは行かんでええな。…………」
お春ちゃんは、それだけ言うと黙ってしまいました。
「どうしたの?」
まあばあちゃんが、聞くと、
「顔はツルツルしてるけど、おなかはタルンタルンや。これは、どないもならんな。」
「いいじゃない。見えないとだもの。」
「見えへんところこそ、お手入れせなあかん。言うてへんかったか?」
「誰が?」
「誰やろ? 忘れたわ。年いったらすぐに忘れてあかんなぁ……」
と言って、お春ちゃんは、カカカッと笑いました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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