百日紅の……

また、まあばあちゃんとトモちゃんがさらにオカズをもって部屋に戻ってきました。
オカズにチビちゃんやミミちゃん。ハッピーちゃんにヒメちゃん。そして、ジロもついてきました。
「ごめんなさいね。みんな連れてきてしまって。」
まあばあちゃんが、樺山さんに謝りました。
「いえ、いつもハッピーも一緒に食べているので、ハッピーがみんなを連れてきたんだと思いますよ。」
「ああ、それで……」
まあばあちゃんはホッとしたように言いました。
その時、弁護士さんは、緊張した様子でまあばあちゃんに話しかけました。
「あの、私を覚えておいででしょうか?」
「え?  あの……」
まあばあちゃんは、思いがけない事にビックしたようでした。
まあばあちゃんは、思い出そうとするように、しばらく弁護士さんを見つめましたが、
「ごめんなさい。年を取ると、物忘れがひどくて……申し訳ありません。」
まあばあちゃんは、深く頭を下げました。
「あ、いえ、覚えておられないのも無理はないんです。私は、あの百日紅の家の者なんですよ。母がお世話なりまして、本当にありがとうございました。」
「まあ、……ああ、あの時の……」
まあばあちゃんもやっと思い出したようでした。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ
スポンサーサイト

トモちゃんも呼ぶの?

「え? 私も?」
「うん!」
「でもぉ……」
さすがに初対面の弁護士さんを名前で呼ぶのは気が引けました。それに、マコちゃんと呼んでいるのを知った時のまあばあちゃんの顔を思い出すと、なかなかウンと言えません。
「トモ子お姉ちゃん……」
トモちゃんが、いい顔をしないので、ひろ子ちゃんはトモちゃんの手を繋いだままションボリしてきました。トモちゃんは慌てて、
「フミちゃんね?」
「うん!」
途端に、ひろ子ちゃんは嬉しそうな顔をしました。
「トモちゃん、これお願いね。」
みんなに会釈しながら、まあばあちゃんがトモちゃんにお料理を渡しました。トモちゃんがなかなか台所に戻ってこないので、呼びに来るついでに少しだけお料理を持って来たようです。
トモちゃんが自分も呼んでいいのかなと心配になって弁護士さんを見ると、弁護士さんは固まっていました。視線の先はまあばあちゃんでした。
「お前、どないしたんや。」
樺山さんが、弁護士さんに聞きました。
「知ってる人によく似てて、驚いたんや。」
「ばあちゃんをご存知ですか?」
オッチャンが、興味深そうに聞きました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

頼りになるひろ子ちゃん

「そうか、ひろ子ちゃん。かわいい名前やね。おじちゃんの名前は、フミヒロって言うんだ。字はまだ難しいと思うけど、フミって呼んでくれるかな?」
「フミ?」
ひろ子ちゃんは、口の中でモゴモゴしながら小さな声で言いました。
「マコだろ? お父ちゃんやろ? それからおじちゃんはフミ……」
弁護士さんはニコニコ顔でひろ子ちゃんに話しかけています。
ひろ子ちゃんは、初めてみる弁護士さんに緊張して困ってしまいました、
「みんな、名前で呼んでるみたいやのに、おじちゃんだけ弁護士さんって呼ばれてるんや。なんか淋しいなと思って……。みんなが友達になってくれるようにひろ子ちゃん、おじちゃんを助けてくれへんかな?」
それを聞いてひろ子ちゃんは、パーッと嬉しそうな顔をしました。邦ちゃん達の元に来るまで、いつものけ者にされていたひろ子ちゃん、弁護士さんに助けてほしいと頼られて嬉しくなったようです。
「分かったよ。フミって呼ぶね!」
「ありがとう。」
そこへトモちゃんが、お料理を持って来ました。
「ねえ、ねえ、トモ子お姉ちゃん、弁護士のオッチャンの名前、フミって言うんだよ。」
「ひろ子ちゃん、名前、教えてもらったんだ。」
「うん。友達になったんだよ。」
「へぇ。弁護士さんと友達なんてスゴイね。」
「うん。でもね。みんなが友達になってくれなくて淋しいんだって! だから、トモ子お姉ちゃんもフミって呼んであげて!」
ひろ子ちゃんが弾けるような笑顔で言いました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

ひろ子ちゃん、カチンコチン

「じゃあ、トモちゃん、ひろ子ちゃん、お料理を運んでくれる?」
「はーい。」
と、トモちゃん、
「はい!」
と、ひろ子ちゃん。
まあばあちゃんは、ニコニコ笑いながら、箸を箸置きを乗せたお盆をひろ子ちゃんに渡しました。
「テーブルの上に上手に並べてね。」
「はい!」
ひろ子ちゃんは、まあばあちゃんから丁寧に受け取ると、しずしず歩いて、樺山さんたちのテーブルにお箸をそろえて行きました。
「マコちゃん、マコちゃんのお友達のオッチャン、お父ちゃん……」
ひろ子ちゃんがキレイにお箸を並べていきます。
「お嬢ちゃんのお名前はなんて言うの? 良かったらおじちゃんに教えてくれるかな。」
弁護士さんがひろ子ちゃんに聞きました。
「はい! ひろ子と言います。」
ひろ子ちゃんは、カチンコチンになって答えました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

一安心

台所で夕飯の支度をしている まあばあちゃん達の所に邦ちゃんが戻ってきました。トモちゃんも来ています。
「邦子おばちゃん……」
トモちゃんが心配そうにしています。
「どうだった?」
まあばあちゃんも真剣です。お豊ちゃんも邦ちゃんの言葉を待っています。
「丁寧にお話を聞いて下さって、心配しないでくださいと言って下さいました。」
「わぁ!」
トモちゃんが、パンと手を叩いで喜びました。
「良かった!」
お豊ちゃんもホッとしたように言いました。
「そうよ。邦ちゃんには優しいご主人がいるんだから、大丈夫!」
まあばあちゃんがそう言うと、
「弁護士さんも、家族の理解があれば解決の道はあると……」
「そう!」
「はぁ~、安心したらお腹すいてきたわ。」
お豊ちゃんが、おなかに手を当てて言いました。
ハッピーちゃんが、お豊ちゃんの足に前足をチョンチョンとしました。
「はいはい。夕飯にしましょうね。」
その言葉を聞いて、ヒメちゃん達もジロ達もハタハタし始めました。初めてのお家でおとなしくしていたようですが、みんなのホッとした顔を見たら、我慢できなくなったようですね。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

解決しますか?

「初めまして。私のために大切なお時間を頂いて有り難うございます。」
そう言って、邦ちゃんは弁護士さんに深々と頭を下げました。弁護士さんも頭を下げました。そして樺山さんに椅子に掛けるよう勧められると、オッチャンの隣に腰掛けました。
邦ちゃんは、これまでの経緯と、今のお春ちゃんの状態と、邦ちゃん達の事情を話し始めました。
「それは、大変だったでしょう。世の中にはそれぞれの事情で苦しまれている方がたくさんいらっしゃいます。ですが、みんな、法律で守られています。そんな不安な顔をなさらずに、ひとつひとつ解決していきましょう。」
「解決するんでしょうか? 母を助けることが出来るでしょうか?」
邦ちゃんの頬を涙が伝いました。 


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

オッチャンを紹介


「こちらが、本田さんや。」
樺山さんが、オッチャンをお友達の弁護士さんに紹介しました。
「初めまして。概要は聞いております。」
オッチャンは、弁護士さんということでとても緊張しているようでした。
「今日は、来てもろてホンマに有り難うございます。」
オッチャンは深々と頭を下げました。
「ここではなんですから、どうぞ中へ……」
お豊ちゃんが、促しました。
「そうや、母さんが焼いたケーキがあるで。」
樺山さんが言いました。
「そら、うまそうやな。」
 
応接室にみんなを案内すると、
「それでは、さっそく本題に入りましょう。詳しく聞かせて下さい。」
「は、はい。あのですね。もうどうしていいか途方に暮れている状態でして。嫁さんの母親の事なんですが。嫁とは再婚なんですが、前の相手がですね……」
オッチャンは、緊張しすぎて、なんだか要領を得ません。
オッチャンも自分でそう思うらしく、
「すみません。嫁さんと一緒に話してもエエですか?」
すると、邦ちゃんが応接室に入ってきました。台所にいた邦ちゃんをお豊ちゃんがオッチャンの様子を見かねて呼びに行ったようです。邦ちゃんは耳が不自由なので、来客に気付いていないようでした。ひろ子ちゃんとチビちゃん達は台所でお手伝いをしてます。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

昔を思い出して……

「それにしても、ビックリしたわ。お母さんがガレージ開けてくれはった時、昔に戻ったみたいでビックリしたわ。」
「え?」
お豊ちゃんが不思議そうに聞くと、
「こいつって、なかなか出てきませんやろ? いっつもお母さんが先に出迎えてくれるんですけど、その雰囲気というかいろいろ、昔よく寄せてもらってた頃と同じやったんで……」
「ああ……」
お豊ちゃんは納得したように頷きました。
樺山さんときたら、もうすぐお友達の弁護士さんが来るというのに、“何度も来てるし、着いたらインタフォンを鳴らしますよ”と言って、のんびりコーヒーを飲んでいるので、お豊ちゃんが気を利かせて、先に外で待っていたんです。何十年かぶりに来るのですから、場所が分かりにくいかもしれないと思ったからです。
「あの、厚かましいですけど、またちょくちょく遊びに寄らせてください。」
「どうぞ、どうぞお待ちしております。こちらこそ早速に来ていただいて、無理を申しまして……、宜しくお願い致します。
そう言って、お豊ちゃんは、深々と頭を下げました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

第一印象は?

樺山さんの友達の弁護士さんは、歳よりうんと若く見える爽やかな人でした。
「おっ、久しぶりやな~。」
車から降りてきた弁護士さんと懐かしそうに抱き合っています。
「お前、歳いったな~。」
と会うなり友だちの弁護士さんが樺山さんに言いました。樺山さんも負けずに、
「お前もや。誰か分からんかったぞ。電話で話はするけどなぁ。会うのは何年振りやろ?」
と、言っています。
「最後に会ったのは、お前が急に料理人になりたいって言うて、フランスに行くときに見送りに行ったきりや。お前が日本に帰って来た時は、俺がアメリカに行っとたしなぁ。」
樺山さんと弁護士さんは懐かしそうに話しています。若い頃に戻ったようです。
その様子をお豊ちゃんとオッチャンは微笑ましそうに見ています。
「あっ、お母さんお土産です。」
弁護士さんがお豊ちゃんに、お土産を渡しました。
「ご丁寧に、ありがとうございます。」
お豊ちゃんが頭を下げて受け取りました。
「挨拶に来るの遅くなってすみません。頼りない奴ですけど、エエ奴ですから宜しくお願いします。」
弁護士さんは、丁寧に頭を下げました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

高校時代からのお友達

「へぇ! お友達に弁護士さんがいはるんですか! へぇ!」
オッチャンが、感心したように言いました。
「高校時代 からの友達で、いい奴ですよ。お春さんの事は私も心配だったし……」
「母の事、ご存じだったんですか?」
邦ちゃんが言うと、お豊ちゃんが、
「あ。ごめんね。私、マコちゃんにもどうにかならへんかなぁって、相談してたんよ。」
「ごめんだなんて、違うんです。なんとなく聞いてみただけです。」
邦ちゃんは、お豊ちゃんが謝るので、恐縮したように言いました。
「さっきの母からの話で、それならと思って電話してみたら、大阪にいてるって言うんで、話をしてみたらどうかと思って……」
「大阪にいてるって言うと、お住まいは大阪と違うんでっか?」
オッチャンが、驚いて聞きました。
「あ、いや、家は大阪なんですけど、落ち着きのない奴なんで……」
「そうですか、忙しい弁護士さんなんですね。頼りになります。助かります。そんな人紹介してもろてホンマに有り難うございます。なんか胸のつかえが下りたような気がします。」
「お役にたてればいいんですが、随分と話がこじれているようなので、会っていろいろ聞いてみてください。気のいい奴なんで……」
その時、樺山さんのスマホが鳴りました。
「……ああ、そうや。家、分かるか? ……そや。お前が来てた時と一緒や。……はいはい。」
通話を終えると、樺山さんはオッチャンに、
「もう、着くみたいです。」
と、言いました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

気乗りしないオッチャン

「ええんかなぁ。」
オッチャンが、申し訳なさそうに言いました。
「気が進まないの?」
「いや、そういう訳やなくて、なんちゅうか……、お春さんを病院連れて行くやら、弁護士やらいうて、暗い話やのに、これやと、だれかの誕生日会みたいやんか……」
オッチャンは、どうもしっくりこない様子です。
「お春ちゃんに、悪く感じるのね?」
まあばあちゃんの言葉に、ハッとしたような顔をしました。
優しいオッチャンは、お春ちゃんにあんなことを言われているのに、気遣っているのですね。
「暗い気持ちのままじゃ、いい案も浮かばないわ。わたしなんて、お春ちゃんも呼びたいくらいよ。」
「ええ!?」
オッチャンは、ビックリしたようにまあばあちゃんを見ました。
「さっ、わたしは、今から洗濯物を取り込んで、お豊ちゃんを手伝いに行くわ。お豊ちゃん一人じゃ大変だと思うから。」
「私も一緒に行っていいですか? ひろ子とチビちゃんとヒメちゃんのこと、主人にお願いして……」
邦ちゃんが言うと、
「ほな、わし、帰ってひろ子の帰り待ってるわ。ほんでみんなお豊ちゃんトコ連れて行くわ。」
とオッチャンが返事しました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

お豊ちゃんの家に行く?

しばらくして、お豊ちゃんのらくらくホンが鳴りました。
「あら、マコちゃん、今大丈夫なの?」
早速、電話をかけてくれたようです。オッチャンが相談したいことを伝えました。
「……そう? 分かったわ。……じゃ、気をつけて……はい。は~い。待ってます。」
スマホを切ると、お豊ちゃんが、
「マコちゃん、今梅田にいるんやって、2時間ぐらいしたら帰るから、今日はうちで食事しませんかって。どうする?」
「どうするって……。ワシらの相談事聞いてもらうのに、ええんやろか?」
おっちゃんが心配そうに言いました。
「もちろんよ。家に来てもえるとうれしいわ。うちは、マコちゃんもハッピーも寂しがり屋やから大歓迎よ! まあちゃん、トモちゃんも来てもらえるかなぁ? 恭子ちゃん達にも伝えてもいてね。ひろ子ちゃんにも喜んでもらえそうなお料理を考えなくちゃね。」
そう言うと、はりきった様子で、お豊ちゃんは、家に帰っていきました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

お医者様に診せる

「それで、弁護士さんはなんて?」
「それがな、まずはお春さんを医者に診せてから、どないするんか決めよう思うんや?」
「それって……」
まあばあちゃんは、ゴクンとつばを飲み込みました。お豊ちゃんも緊張しています。
「結果によっては施設に行くことも考慮してほしいって言われたんや。」
「……施設……」
「今までの事もやけど、なにより今の事をちゃんと認識できてるか、そこが大事ならしいわ。」
まあばあちゃんは、施設という言葉に愕然として、ただただ頷くだけでした。
「昭雄さんが居座ってることについてはな……」
「なに?」
「お春さんが、こっちにくるのを嫌がってはるし……。お春さんは、昭雄さんが気に入って一緒におるいうたり、邦ちゃんのために他人ばっかり住ませるわけにはいかん言うたり。コロコロ変わるやろ? その上、あの家はお春さんの名義 やろ?」
お春ちゃんの、煮え切らない態度が話を複雑にしているようです。
「それでな、中之島にある……法律なんとかいうところに行きなさい言われてな。地図ももらったんやけど、よう分からんからマコちゃんにも聞いてもらおう思ってな。……お豊さん、マコちゃんのええ日に寄らしてもうてもええやろか?」
「ちょっと待って、聞いてみるわ。」
お豊ちゃんは、器用にパネルにタッチしながら言いました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

お春ちゃんと入れ違いに……

まあばあちゃんもお豊ちゃんと同じことを思っていました。でも、
「お春ちゃんに、邦ちゃんを思う心がある限り、大丈夫だと思うのよ。」
「そうやね。私もそう思うわ。」
お豊ちゃんは、ウンウンと頷いて言いました。
まあばあちゃん達が家に入ろうとした時、邦ちゃんとオッチャンの姿が見えました。ションボリして帰って来るかと気が気でなかったのですが、二人とも割と明るい顔をしていたので、ホッとしました。
「どうだった? お話できた?」
まあばちゃんは、開口一番に聞きました。
「はい。短い時間なので、大まかなんですが、頭の整理が出来ました。」
と、邦ちゃんが言いました。
「ほんでな、ばあちゃんにも相談したい思うてな。その足で来たんや。」
と、オッチャンが言いました。
「難しいことは分からないけど、出来ることは何でもするつもりよ。」
「……有り難うございます。いつも、……ほんとに……」
まあばあちゃんの言葉に、邦ちゃんは頭を下げてました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

お春ちゃん、以前のように……

「お春ちゃん、もう帰らずにここにいたら? ここで、一緒に暮らしましょう。」
まあばあちゃんが止めました。
「何言うてんの? 自分の家に帰るのに、何を心配してるんや?」
こんな会話を何度繰り返したでしょう。いつも返事は同じです。
お春ちゃんは心もとない足取りで、車イスを押して帰って行きました。あの日、車イスで昭雄さんたちと、オッチャンの家を出て行ってから、シルバーカーはそのままオッチャンの家にあります。
その背中を見つめるまあばあちゃんとお豊ちゃんは、何とも言えない気持ちになりました。
「邦ちゃん、……助けてもらえるやろか……」
お豊ちゃんがポツンと言いました。
「もし、昭雄さんらと縁が切れても、お春ちゃんは、元に戻るやろか……」
「……お豊ちゃん……」
「いじわるされてもエエから、以前のお春ちゃんに戻って欲しいわぁ。」
お春ちゃんに、あんなにズケズケ言われていたのに、お豊ちゃんは、そんなことを言いました。
「大丈夫、心配事が解決すれば、きっと元に戻るわよ。」
「そうやんね。そうやないと、あんまり邦ちゃんが可哀想やわ。」


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

オッチャンと一緒に行った邦ちゃん

「お春ちゃん、美味しい?」
と、まあばあちゃんが聞いてみても、ガツガツ食べていて聞こえないようです。
「まあちゃん、昨日のケーキまだある?」
と突然聞いてきます。
「え? あるわよ。」
お春ちゃんは食べ過ぎだろうし、それに、トモちゃんが楽しみとってあるケーキなのに、思わず返事してしまいました。
「それも、ちょうだい!」
と、お春ちゃんは嬉しそうに言いました。
「お春ちゃん、邦ちゃんが、心配してるわよ。」
お春ちゃんは、知らんぷりをしてるわけでもないようなのですが、返事をしません。
言いたいことだけ言うのです。

今朝、邦ちゃんとオッチャンが、まあばあちゃんの家を訪ねてきました。
「主人と一緒に弁護士さんに相談してきます。母の状態も含めて、相談してみます。」
「でも、お春ちゃんの事は、私たちの思い違いかもしれないし、お春ちゃんの事は、お医者様に診てもらってからでも……」
いきなり、見ず知らずの弁護士さんに母親の事を認知症かもしれないと告げるのは、邦ちゃんにとって辛すぎるのではと思ったのです。
「そうも思ったんですけど、出来るだけ、自分の見たままを伝えないと、弁護士さんも答えようがないのではと思うんです。」
そう言った邦ちゃんの目には、不安と決意が、ないまぜになっていました。
「ご馳走になりました。」
お春ちゃんの声に、まあばあちゃんはハッと我に返りました。
お春ちゃんは、三つ指ついて、頭を下げています。初めて見た時は驚いて止めましたが、何度言っても辞めないので、まあばあちゃんも根負けしてしまいました。
「あ、お春ちゃん、おなか一杯なった?」
お春ちゃんは、顔を上げてニカッと笑うと、玄関の方へ行きました


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

お春ちゃんの食事事情

「いよいよね。」
まあばあちゃんが、緊張した表情で言いました。
「いい方法があると良いけど……」
お豊ちゃんも、緊張しています。
今日は、無料法律相談の日です。
まあばあちゃんは、心配で朝からお灯明を上げて、昭雄さんとの問題がうまく解決できますようにと、何度もご先祖様にお祈りしました。
お豊ちゃんも、今日は朝からまあばあちゃんの家に来ていました。
「やっとやね。次の日でも相談できると思ってたから、ビックリしたわ。」
「週に2回と言う事だしね。でも、相談に乗ってもらえるのは有難いことよ。」
「ホンマやね。」

―――ピンポーン――――
「まあちゃん、お春が来たで~。」
「あ、来た来た。」
お春ちゃんは、あれから毎日お昼を食べに来ます。
昭雄さんを連れてきたら家に入れないつもりでしたが、意外にもお春ちゃんは、一人で来ました。
でも、ついて来てるかもしれないと思い、いつも用心しています。
「まあちゃん、おかわり頼むわ。」
「お春ちゃん、大丈夫、おなか一杯じゃないの?」
「え? なんで、まだまだいけるで、あんたこそ食細いなぁ」
と、お春ちゃんは言いますが、お春ちゃんのおかわりは、もうご飯5杯目です。
始めの頃は、お腹が空いているんだと思っていたのですが、毎日毎日、たくさん食べるので、これは様子がおかしいと思いました。
――――やっぱり――――
まあばあちゃんは、邦ちゃんの苦労を思うと、いたたまれない気持ちになりました。


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

再トライ 無料相談

「……だから、もし、認知症やなくても、もう自分で判断する力が無いと思うんよ。これは、お春ちゃんがと言うより私がそうやったから、……そう思うんやけど……」
邦ちゃんは、静かに頷きました。
「それに、もう内輪では、片付かへん所まで来てるんちゃうかなって思うんよ。」
「はい。」
「片付くんやったら、もう、とっくに、片付いてると思うわ。相手は、最初から邦ちゃんとお春ちゃんから搾り取るつもりなんやから……」
「…………はい。」
「そやから、弁護士さんに頼んだ方がええと思うんよ。このままでは、昭雄さんとあの女の人に食いモンにされてしまう。」
邦ちゃんは、黙ってしまいました。また、話が大きくなったら、お春ちゃんが騒がないかと気がかりなのかもしれません。
「なぁ、まあちゃん」
お豊ちゃんは、まあばあちゃんに意見を求めました。
「わたしも、そう思うわ。振出しに戻ったと思って、もう一度、堺の区役所……ほら……」無料の……」
「無料法律相談ですね?」
「そう! 邦ちゃん、よく知ってるわね。」
「母が、まあおばちゃんに教えてもらった時、何回も言ってましたから……」
「……あ……」
あの時は、あんなに張り切っていたお春ちゃんなのに……、どうして、昭雄さんにとりこまれてしまったのでしょう……


読んでいただいて有り難うございます。
もし良かったら、ポチしてくださると嬉しいです。 にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ
sidetitleプロフィールsidetitle

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
良かったらポチお願いします。
にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ

sidetitleフリーエリアsidetitle
sidetitlePRsidetitle


sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle最新コメントsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleカウンターsidetitle
sidetitle天気予報sidetitle

-天気予報コム- -FC2-
sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitle最新トラックバックsidetitle
sidetitlePRsidetitle


アフィリエイト・SEO対策



sidetitleRSSリンクの表示sidetitle
sidetitleブロとも申請フォームsidetitle

この人とブロともになる

sidetitleリンクsidetitle
sidetitleQRコードsidetitle
QR