うちにおいでよ


「せや! ばあちゃん、また大学いも作ってくれへんか? この前から、ばあちゃんの大学いもが食いとうてしゃーないねん。」
オッチャンが言うと、
「ねっ!」
邦ちゃんが、オッチャンの事を子どもみたいでしょ? と言うようにまあばあちゃんに目配せしました。
「分かったわ。今度、作ってくるわね。」
まあばあちゃんはニッコリ笑って言いました。

しばらく、みんなでお話しして、オッチャンが、また昼過ぎに出かけて行きました。
邦ちゃんと、まあばあちゃんが、洗い物をしています。
「はあ、やっぱり家はええなぁ。」
あんなにごねていたお春ちゃんのものとは思えない言葉に、お豊ちゃんは少し戸惑いましたが、
「娘さんの側が一番よ。あんなにいい娘はいないわよ。」
「ホンマにそう思うわ。あんたらにも背中を押してもろうて、良かったわ。」
そう言うと、お豊ちゃんに手の平を小さくヒラヒラさせて、耳を貸してと合図しました。そして、
「まあちゃんの家に居辛くなったら、いつでもおいでや。」
「え?」
「うちらやったら、年寄り二人きりで暮らしていこともあるから、気心知れてるやん。まあちゃんの家やったら、一人で寂しいやろ?」
お豊ちゃんは、言葉が出ませんでした。
年金も貯金もなく、そして、最後の頼みの綱だった、あの古い家さえも失った自分の現実をつきつけられたように感じたからです。
「お春ちゃん、考え過ぎよ。わたし、家族のようにしてもらってるんよ。家事の事でも頼りにされてるし……」
お豊ちゃんは、やっとそれだけ言いました。
「お豊ちゃんは、人がええからな……」
お春ちゃんは、呆れたように言いました。

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しあわせ

「邦子は、ええ人と結婚できたんやなぁ……」
お春ちゃんがしんみり言うと、邦ちゃんが、
「はい。ほんとにいい人と巡り合えたと思います。」
邦ちゃんが、幸せそうな笑顔で答えました。
「邦子は乗り気やなかったのに、大学でのハンサムから、好かれてるって聞いたら舞い上がってしもて……。邦子にえらい目に合わせてしもたわ。ほんまにごめんやで。」
「お母さん、もう、昔の事よ、忘れましょう。」
「ほんまに悪いことしたわ。邦子を大事にしてくれる上に、私にまでこんなええ部屋用意してもろて。有難い事や。」
「お茶が、冷めてしまうわ。早くおはぎを頂きましょう。」
「邦ちゃん、わし、昼、おはぎもらうわ。みんなと一緒のもん食べたいわ。」
「はい。すぐにお茶入れますね。」
邦ちゃんが、嬉しそうに笑って言いました。

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オッチャンが帰ってきた

「まあちゃんが、いつも持って来てくれる、サクランボの砂糖漬けは、ここのんかいな。」
「そうよ。今年はみんなでつけましょう 。」
まあばあちゃんが、ニコニコして言いました。
「みんなで作るってええわね。」
お豊ちゃんもニコニコ顔で言いました。
「ただいま~! 邦ちゃん、今、帰ったで~」
オッチャンの声がしました。
「お帰りなさい。」
「お、ただいま。お母さんは?」
「うん、今帰ってきたとこ。」
「そうかそうか。良かった良かった。ワシ、一緒に行かれんで、ごめんやで。」
オッチャンと邦ちゃんの会話が玄関から聞こえてきます。
「今、お茶してるの。すぐにご飯の支度するから、早く上がって。」
「よっしゃ。顔と手ぇ洗ってから行くわ。」
少しして、オッチャンがまあばあちゃん達の所に来ました。
オッチャンは、緊張した面持ちで、お春ちゃんに丁寧に頭を下げました。それから、
「お母さん、よう来てくれはりました。邦ちゃんにはようしてもろて、有難い思ってます。未熟者ですが、宜しくお願いします。これから一緒に暮らしましょ。いたらんところがあったら遠慮のう言うてください。」
と、言いました。お春ちゃんも神妙な表情で聞いていました。

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お春ちゃんの部屋

車から出ると、家の外壁にちょうどいい高さに手すりがついています。
お春ちゃんは、自然につかんで歩いていました。
「邦ちゃん、この手すり、ご主人がお春ちゃんのために?」
お豊ちゃんが聞きました。
「はい。」
玄関に入ると、上り口を低い階段のようにしてありました。もちろん、壁には手すりがついています。
「まあ、便利よさそう!」
お豊ちゃんが、嬉しそうに言いました。
「まあちゃんの家みたいやなぁ。わたし、まあちゃんの家、手すりがあっちこっちについてて羨ましいなぁて思っててん。いやぁ、おおきにおおきに。」
お春ちゃんも嬉しそうに笑いました。
「ここがお母さんの部屋よ。」
「えらい広いなぁ。こんなええ部屋に住ませてもらってええんかいな。」
お春ちゃんが、部屋をキョロキョロ見回しました。
「お母さん、縁側に出てみて。」
邦ちゃんに言われて縁側に立つと、早咲きの桜が満開で風に揺られて、ヒラヒラと花びらを散らしていました。
「キレイな庭やなぁ……。へぇ……、これ、旦那さんがしたんか?」
お春ちゃんが感心して言いました。
「そうよ。」
「えらい器用やなぁ。」
「うちの人、庭仕事とか大工仕事が好きで、趣味でいろいろ手を入れているうちに、見かけたご近所さんに頼まれるようになって、どんどん上手になったみたい。」
「へぇ……」
「隣の部屋にベッドを置いたんよ。ベッドの方が寝起きが楽でしょ?」
「そやな、ありがとさん。」
邦ちゃんが、隣室の襖を開けると、
「あら!」
とまあばあちゃん。
「まあ!」
とお豊ちゃん。
「なんや、先客がおるやんか。」
ミィちゃんとチビチャンがお春ちゃんのベッドでスヤスヤ寝ていました。
「私のベッドは、よっぽど寝心地がええらしいな。占領されとるわ。」
お春ちゃんはミィちゃんを抱き上げると、
「ミィや。私がおらんで寂しかったやろ。」
と言いました。
「あら、姫ちゃんがいないわ。姫ちゃん、どこかな? 姫~。」
邦ちゃんが呼ぶと、姫ちゃんがベッドの下から、ほふく前進のような動作で出てきました。

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車庫入れも上手

邦ちゃんは、ハンドルを右に左にと回して、上手にバックしながら、車庫に車を入れました。
「車庫入れもお手のもんて感じやなぁ。」
「ありがとう。でも、駐車はいつも緊張するわ。」
「そうか? 余裕みたいに見えるで。」
まあばあちゃんとお豊ちゃんは、二人の会話を微笑ましい気持ちで聞いていました。お春ちゃんが頑ななので心配していましたが、この様子なら大丈夫そうです。
邦ちゃんは、エンジンを切って車を降りると、まあばあちゃんとお豊ちゃんのためにドアを開けてから、お春ちゃんのいる助手席側に回りました。
「ありがとうな」
お春ちゃんは、邦ちゃんの差しだす手を取って、ヨッコラショッと車を降りました。

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オシャレになった邦ちゃん

お春ちゃんは、しげしげと邦ちゃんを見ていました。
「邦子、パーマあててんのか?」
邦ちゃんの軽いウェーブのかかった髪を触りながら言いました。
「そうよ。似合う?」
「うん、よう似合ってるわ。化粧もしてるんか?」
「そうよ。」
「そうやわな。邦子かて、結婚する前は、化粧やらパーマやらかけてたもんな。働いてるねんし、家は困ってないねんから、それが普通やわな。」
「お母さん、今は、働いてないんよ。専業主婦してるの……」
「え? ヘルパーは?」
「足もこんなだし、ひろ子のために家におって欲しいって言ってくれるから……」
「そうか……せやけど、化粧もパーマもさしてもらわれへん邦子が普通になってたわ。でも、そんなんオカシイわな。昭雄さんいうたら、体一つしかあれへんのに、車3台も持ってたもんな。あの時は、さすが大卒やと自慢に思ってたけど、邦子のパート代もそんなんに消えてたんとちゃうんか?」
「…………」
邦ちゃんは、答えませんでした。
「邦子には、服ひとつ自転車ひとつ、買ってくれへんのに……。大卒でハンサムやいうんで目くらになってたわ。……ええ服着てるなぁ。旦那に選らんでもらったんか?」
邦ちゃんは、ベージュのタートルネックセーターに黒のカーディガンを羽織っています。カーディガンはグレーの細い縁取りがあって、とってもオシャレです。
「ううん。恭子ちゃんと一緒に買い物行ったんよ。パーマ屋さんに連れて行ってくれたんも、恭子ちゃんよ。」
「へぇ、恭子ちゃんかいな。センスええなぁ。せやけど、恭子ちゃんいうたら、作業着ばっかり着てて、髪は一つに括っただけやし、普段着いうたらあんまり見たことないけど……」
「ううん。恭子ちゃん、オシャレやよ。」
そう言って、邦ちゃんは、ハンドルを左に切りました。そして、少し行くとウィンカーを出しました。
「さ、着いたよ。」
「え? もう着いたんか? 早いなぁ~。」
お春ちゃんは驚いたように言いました。

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邦ちゃんの車

「お春ちゃん、そんなに真剣に言わないでよ。私たちの一番の心配事って言えば、ボケることと寝たきりやもん。ほんとはお春ちゃんも良かったって思ってるでしょ?」
まあばあちゃんがニコニコ笑って言いました。
「そら、そやけど……」
お春ちゃんは、少しバツが悪そうに言いました。
「なにはともあれ、今日からまたおしゃべりが出来るわね。お春ちゃん、明日から散歩に誘うわね。」
と、まあばあちゃんが言うと、
「えー!」
お春ちゃんが目を丸くして言いました。
「ふふ、実は、私もずっとお休みしてるの。家の周りをクルッと回るくらいなんよ。」
「あー、ビックリした。なんや。それくらいか……。病み上がりに何させるんか思たわ。」
邦ちゃんが車を停めました。信号待ちです。
「邦子、あんた、運転上手いな。」
「そうでしょ?」
「せやけど、邦子が運転してるなんて、信じられへんわ。旦那さん、何も言えへんの?」
「主人に勧められて免許とったんよ。」
「えー。そうかいな。」
「自転車だと、私、足が不自由だから、こけた時に危ないからって。それに、買い物も楽やろって。」
「そらそうやけど……。これ、旦那の車か? エライ派手やけど……」
「免許が取れたお祝いに、主人が買ってくれたんよ。私も、真っ赤は恥ずかしいなと思ったんやけど、ひろ子が気に入って」
「まあ、確かに可愛らしい色やもんな。子どもは好きやろなぁ。へぇ、気前のええ旦那やなぁ……。昭雄さんとは、えらい違いやなぁ。自転車の買い替えにも煩いこと言うて、邦子、キコキコ鳴らして乗ってたもんなぁ。」
「…………」
邦ちゃんは黙っていました。
「ほんで、私が買うわぁ言うたら、『僕が買いますから』言うて、後、ほったらかしや。私も何回も言いにくいし……。しまいには、邦子、歩いて買い物に行ってたもんなぁ。ほんで、あの女や……」
お春ちゃんは、しんみり言いました。

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そんな風に聞こえるの?


邦ちゃんの車の中で、まあばあちゃんたち3人が嬉しそうにお話しています。
「今日はね、お春ちゃんの退院祝いでしょ。だから、二人で早起きして、お春ちゃんの大好きなおはぎや、ちらし寿司を作ってあるのよ。ね、お豊ちゃん。」
「そうやよ!」
「わあ、嬉しいわぁ! おおきに!」
「わたしらもお春ちゃんが無事に帰ってきてくれて、ほんまに嬉しい。うちらの年やと、入院して寝たきりになってしまう人もいるのに、お春ちゃんは本当に運がいいわ。」
とお豊ちゃんが言いました。
「本当ね。寝たきりになったら辛いもんね。私も起き上がれなくなった時、このまま寝たきりになるんじゃないかと思って不安だったわ。」
と、まあばあちゃんが頷きながら答えました。
「この歳になったら、それが一番の心配やね。お春ちゃんは幸せ者よ。」
お豊ちゃんが、お春ちゃんに言いました。
「なんや、そんな風に言われたら、寝たきりになって欲しかったみたいに聞こえるわ。」
「え? なんで?」
お豊ちゃんが、目を丸くして言いました。まあばあちゃんも驚いてお春ちゃんを見ました。
「なんでって、そないに聞こえるもん……」
お春ちゃんが、口をへの字に曲げて言いました。
「ごめんね。そんなつもりで言うたんやないんよ。言い方が悪かったんやね。」
お豊ちゃんは、戸惑った様子でお春ちゃんに謝りました。

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お春ちゃんが退院

今日は退院の日です。まあばあちゃんとお豊ちゃんと邦ちゃんで、お春ちゃんを迎えに行きました。
「お! 待ってたで! 帰ろ、帰ろ!」
お春ちゃんは、上機嫌です。
「いやぁ、嬉しいわぁ。これで、お豊ちゃんと一緒に暮らせたら文句ないねんけどな。」
「お母さん……」
「そら、邦子の気持ちは有難いと思ってるで、最期の面倒見たいって言うてくれて嬉しいで。娘に死に水取ってもらえ……」
まあばあちゃんがお春ちゃんの言葉を遮りました。
「お春ちゃん、邦ちゃんは母親のあなたと一緒にいたいだけよ。どうして、そんな言い方するの?」
お春ちゃんは、つまらなそうに口をつぐみました。
「せやかて、まあちゃん、考えてみてみ? 親子3人で暮らしてるとこへ、ポンと年寄りが放り込まれても、居心地悪いで~。まあちゃんには分からんと思うわ。」
「邦ちゃんのご主人はいい人だし、ひろ子ちゃんも可愛い子よ。お春ちゃんも知ってるでしょ?」
「あの子は可愛らしいけど……。でもなぁ……」
「でも、なに?」
「……やめとくわ。また、まあちゃんに怒られるもん……」
「お春ちゃん……」
お春ちゃんの言いたいことは、なんとなくわかりました。ひろ子ちゃんと血の繋がりのない事を言おうとしたのでしょう。
まあばあちゃんは、皆に気付かれないように、小さくため息をつきました。

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トモちゃんは孫

「看護婦さんになぁ、お孫さんですか? て聞かれたから、そうです言うててん。」
お春ちゃんは、口に手を当てて周りに聞こえないような小さな声で言いました。
「トモちゃんは、まあちゃんの孫ちゃんやけど、うちら3人の孫みたいなもんやもん。」
お豊ちゃんが、うんうんと頷きながら言いました。
「そやろ。これ見てみ。私の似顔絵も書いてくれてんねん。うまいやろ。」
お春ちゃんが嬉しそうに笑っている絵がありました。
「ほんとう、上手ね。」
と、お豊ちゃんが感心したように言いました。
「トモちゃんは、将来は絵の先生になると思うわ。」
お春ちゃんが、自慢そうに言いました。
(トモちゃん、ありがとう……。トモちゃん、わたしが、足を痛めて行けなくなって、お春ちゃんのことを気にして、そればかり言っていたから、お春ちゃんのお見舞いに行ってくれていたのね。本当に優しい子……)
まあばあちゃんは、嬉しくて涙が滲んできました。そして、折り紙をそっと胸に当てました。
「まあちゃん、丁寧に扱ってや。私の宝もんやで。」
「あっ、ごめんなさい。」
まあばあちゃんは、お春ちゃんに折り紙を返しました。

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トモちゃんのお見舞い

「引き出し見てみ。他にもあるねんで。」
お春ちゃんに言われて、引き出しを見ると、
「あら、ヤッコだこに、だまし船があるわ。」
お豊ちゃんが嬉しそうにいいました。
「まあちゃん、これ、広げてみ。」
お春ちゃんに渡された和柄の折り鶴と、広げてみると、
「まあ……」
“お春おばあちゃん、お身体どうですか? 邦子おばちゃんに病院を聞いて、お顔を見に来ました。お春おばあちゃん、早く良くなってくださいね”と書かれてありました。
「この日は、私、寝ててなぁ。看護婦さんに預けて帰ったらしいわ。そんで、トモちゃん『早よ、良くなってね。』、言うて、私の手を握ってくれたんやて。」
「お豊ちゃんも広げてみ。」
「これ?」
「そうや。」
お豊ちゃんは、ヤッコだこを広げました。ヤッコだこの裏側には、“みんな待ってますよ”
「そんな風に、私が寝てしもてるときは、手紙残してくれて……。トモちゃんは、ホンマに優しいなぁ。……」
お春ちゃんは、折り紙の一つ一つを丁寧に撫でました。

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ウチにいらっしゃい

「じゃあ、お春ちゃん、ウチにいらっしゃい。そして、3人で暮らしましょ。」
「いやや。」
「え? どうして?」
まあばあちゃんはビックリしました。
「恭子ちゃんは、コワイし……」
「恭子ちゃんが?」
「ああいう、シャキシャキものを言う子は、難儀や。」
「そんなことないわよ。恭子ちゃんは、気のいい子よ。」
「気のええのは分かってる。引っ越しまで手伝ってもらって……。それに旦那さんは優しい人やけど、気ィ使うし……」
「そんなぁ……」
まあばあちゃんは、そんな風に言われて情けない気持ちになりました。
「トモちゃんはええな! この鶴なぁ。トモちゃんが届けてくれてん。」
お春ちゃんがヨッコラショッと体を起こして、ベッド脇にある引き出しを開けながら言いました。
大きい鶴や小さな鶴に二連鶴。可愛い和紙の鶴もいます。
「まあ、これ、トモちゃんが?」
まあばあちゃんの目が輝きました。
「そやで。」
お春ちゃんは、大切そうに鶴を取り出して膝の上に乗せました。

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お春ちゃんがすねた

「お春ちゃん、邦ちゃんに甘えなさい。邦ちゃんは、お春ちゃんの事いつも心配しているのよ。」
お春ちゃんはだんまりです。
「お母さん、そうしてください。」
「ね、お春ちゃん……」
お春ちゃんは口をへの字に曲げて言いました。
「私、邦子の家に行きとうない。私、退院したら、またお豊ちゃんと一緒に住みたいと思ってたのに、なんでそんなん言うの? なんで、私のことのけ者にするの?」
まあばあちゃんたちは、お春ちゃんの思いがけない言葉に驚きました。
「何を言うの?」
「だってそうやんか? 入院してる間に、なんや、みんな冷たなったわ。」
「お母さん、まあおばちゃんもお豊おばちゃんも、いつもお母さんの事、心配してくれてはったんよ。こんないいお友達をもって、お母さんが羨ましい。」
お春ちゃんは、ムーッとしたまま、しゃべりません。
「ね、お母さん、もう年なんだから、最期は私と一緒に暮らしましょうよ。親孝行させてください。」
「最期ってなんや? 最期って! 私に早よ死ねって言うんか? この歳になって、娘にそんな事言われるなんて思ってなかったわ。」
と言って、プイッと横を向いてしまいました。

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お豊ちゃん、来てよ。

「どないしたん? お豊ちゃん、来るんやろ? 私、アンタと一番気が合う見たいやわ。」
お豊ちゃんが返事を出来ずにいるので、お春ちゃんは不思議そうに言いました。
まあばあちゃんは、お豊ちゃんの様子から、やっぱりお春ちゃんに振りまわされて、大変だったのだろうと思いました。
「お母さん、退院したら、ウチに来て。部屋も用意してるんですよ。」
病室に戻ってきた邦ちゃんがお春ちゃんに言いました。
「私、邦子のとこ行きたない。どうも、あの旦那さんと合わんねん。」
お春ちゃんは、つまらなそうな顔をして黙ってしまいました。
「私、退院したら、また、お豊ちゃんと暮らしたいと思ててん。お豊ちゃんは優しいし、話しも合うし、家の事もしてくれるし、世話もしてくれるし、細やかでエエわ。なっ、お
豊ちゃん、また一緒に暮らそう。ええやろ?」
「……え、ええ……」
お豊ちゃんの声は震えていました。
「お母さん、退院しても、まだ病院に通わないといけないから、ウチに来た方が楽でしょ。私、運転免許を取ったから、お母さんにも乗って欲しいわ。」
「邦子が免許?」
「そうよ。」
「あんた、足、悪いのに、免許取れるんか?」
「大丈夫よ。ちゃんと試験に受かってるし、車もちゃんと見てもらってるんだから。ぜんぜん心配ないんよ。」
「う~ん。」
お春ちゃんは、唸ったきり黙ってしまいました。

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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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