固まってしまったお豊ちゃん

邦ちゃんが、看護婦さんに呼ばれて、病室を離れました。
その後ろ姿を見ながらお春ちゃんが、
「ほんまは、邦子に鍵渡して家を見てもうたほうがええとは思うねんで。……お豊ちゃんばっかりに頼らんと……、アンタにばっかり言うてごめんやで……」
「わたしは、そんなん……。でも、邦ちゃんはお春ちゃんに頼ってもろたら、嬉しいと思うわ。」
「でもな、邦子の一人でいる時に、昭雄が来たらと思うと、心配でなぁ。」
「邦ちゃんを一人で行かせたりしないから、大丈夫よ。それに、お春ちゃんもすぐに帰るやない。」
「う~ん。でもなぁ。」
「どうしたの?」
「もう、明後日には退院やろ?」
「そうやね。」
「あ! お春ちゃんが退院したら、3人で退院祝いしましょうね。」
まあばあちゃんが、いいことを思いついた、ポンと両手を合わせて言いました。
「わぁ、嬉しいわ。お祝いしてな!」
「そうしましょう!」
「ほな、また、お豊ちゃん、二人でやっていこな!」
お春ちゃんが、ニカッと笑って言いました。
「え?」
お豊ちゃんは、キョトンとして言いました。
「なんちゅう顔してんの。今はまあちゃんとこに、いてるけど、私が家に帰ったら私のところに来るやろ?」
お豊ちゃんは固まってしまい、返事ができないようでした。

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お春ちゃんの大きな声

「あー、やっと来たわ! 明後日、退院やて~~。ホッとするわ。こういうところは長いところおるもんと違うわ。」
お春ちゃんが、奥のベッドから、手を振って大きな声で言いました。
何日か前にまあばあちゃんがお見舞いに来た時は、そうでもなかったのに、元気になるにつれて、どんどん声が大きくなるようでした。
お春ちゃんは、もともと声が大きいので、本当なら元気になってきた良い証拠なのです。でも、ここは病室なので、困ったことです。お春ちゃんの声だけが、病室中に響き渡っています。
「お春ちゃん、体調がいいなら、ちょっと歩かない? エレベータの前にイスがあるの。いい気分転換になるわよ。」
まあばあちゃんは、同じ病室の人に気を使って、言ってみましたが、
「なんで? ここでええやん。あそこやったら、公衆電話にいつも誰かおって落ち着かんでぇ。」
「あそこは、みんなが、電話をしていい場所だから……」
「そやねん。せやから、あそこ落ち着かんわ。」
お春ちゃんは、あっけらかんと言いました。


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病室から電話!?

邦ちゃんの車で病院に向かってる途中に、お春ちゃんから電話がかかりました。
「お春ちゃん? もう着くわよ。あんまりウロウロしてると、体に障るわよ。」
「大丈夫やで、寝ながらかけてるから。」
「え?」
「今どの辺におるの?」
「もうすぐ着くから、後でお話ししましょうね。」
まあばあちゃんはそう言って、電話を切りました。
「お春ちゃん、寂しいんやね。日に何回もかけてくるね。」
「え? ええ……」
まあばあちゃんは、お春ちゃんの思いがけない言葉に、ビックリしてしまいました。
―――寝ながらかけてるから――――
お春ちゃんは、電話をかけてはいけない場所から、かけていたようです。今までの電話はどうだったのでしょうか?
邦ちゃんに言ったほうがいいのかどうか、まあばあちゃんは判断できませんでした。
邦ちゃんが知ったら、お春ちゃんに電話をする場所を選ぶように言うしょう。でも、お春ちゃんはどうも邦ちゃんに素直になれないようなので、話がややこしくなるに違いありません。
 悩んでいるうちに、病院の駐車場に着きました。

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どうしたの? お春ちゃん

「お豊ちゃんは、どないしてるの?」
「お豊ちゃん、今ここにいるわよ。一緒にお昼食べてたの。」
「そうかいな、ええなぁ……。私も早よう帰りたいわ。」
「そうよ。早く、一緒にお昼食べましょう。お豊ちゃんにかわるわね。」
「お春ちゃん、具合どう?」
『調子ええで、もう帰れると思うわ。』
「そう、良かったわ。」
『なあ、お豊ちゃん、前に来た時、まあちゃんの家にいてるって言うてたな。』
「え? ええ。」
『私の家は、ほったらかしかいな?』
お豊ちゃんは、一瞬、何を言ってるの分からず、固まってしまいました。
「あ、ああ、お掃除のこと? 大丈夫よ。今日も二人で風を通しに行ったんよ。」
『まあちゃんも? おおきに。助かるわ。』
「早く、帰っていらっしゃいね。邦ちゃんもホッとすると思うわ。」
『邦子が? そやろか……。新しい生活があるし、うちの事はいらんのとちゃうやろか。』
「何言ってるんよ。邦ちゃん、お春ちゃんが入院してから、毎日、着替えや洗濯やって甲斐甲斐しく、お世話してるのに、そんなこと言うたらアカンよ。」
『そんなん、いちいち言われんでも知ってるわ。』
「お春ちゃん、そんな言い方したらもったいないよ。邦ちゃんは、お春ちゃんが意識のない時、ずっーと、病院に詰めてお春ちゃんのこと見守ってたんよ。」
お豊ちゃんが、さらに邦ちゃんの様子を言うと、
『……なんや、薬が効いてきたみたいで、ウツラウツラしてきたわ。もう切るわ。』
そう言うなり、プツッと電話を切ってしまいました。
「え? お春ちゃん? ……切ってしもたわ……」
「まあ……」
まあばあちゃんは返事に困ってしまいました。お春ちゃんはどうしてそんな事をしたのでしょう。
「わたし、なんや気に障る事、言うたやろか……」
「ううん、私も同じこと言ったと思うわ。」
「まあちゃんも?」
まあばあちゃんの言葉にお豊ちゃんは、ホッとしたような顔をしました。

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お春ちゃんから電話

まあばあちゃんとお豊ちゃんとがお昼ごはんの洗い物を押している時、
―――リリリリリ―――
と、まあばあちゃんの割烹着のポケットの携帯電話から大きな音が鳴りました。
「あっ、お春ちゃんからだわ。ええっと、ワンちゃんのシール……」
と、まあばあちゃんが、携帯電話の画面を見て言いました。
画面には、お春ちゃんの難しそうな顔とミィちゃんが写っています。
お豊ちゃんも洗い物の手を止めて、まあばあちゃんのそばに来ました。
その頃、まあばあちゃんは、やっと携帯電話の通話ボタンを押しました。二人で顔を近づけて、聞きます。
「はーい。お春ちゃん。」
『今、何してるん? 私は、ご飯食べたとこや~。まずいわ~。お豊ちゃんとはえらい違いや』
「ちょっ、ちょっと、そんなん言うたら……」
まあばあちゃんが慌てて言いました。
『今、何してるの?』
「今? 今は食べ終わって、洗い物してるの。」
『今日は、来てくれるの?』
「ええ、行くわよ。もう少ししたら、ジロ達の散歩に行って、それから、お見舞いに行くわね。」
『まあちゃん、最近来てくれへんから……』
「ごめんなさいね。足の調子が悪いものだから……」
『分かるわ……。うちらの年になると、膝がどうもなぁ……。あっ、ミィは、どないしてる?』
「ミィちゃんは、今、ジロのおなかで寝ているわ。」
『そうか? まあちゃんとこ犬ばっかりやから、どないかなと思っててんけど、良かった~』
「可愛いわよ。写真を撮っていくわね。」
『最近の電話は、写真が送れるんやろ?』
「そうらしいわ。私のも出来るそうなんだけど、何回教えてもらっても聞いても忘れるのよ。なかなか難しいわ。でも、写真は撮れるようになったのよ。後で見せるわね。」
「そうかいな……。ほな、待ってるわ。」
お春ちゃんは嬉しそうに言いました。

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お見舞いに連れて行って

「お豊ちゃん、今日、お春ちゃんのお見舞いに行くんでしょ?」
「そのつもりよ。昼から邦ちゃんが迎えに来てくれるんよ。」
「私も、連れて行ってもらってもいい?」
「だけど、足、痛いでしょ? まあちゃんは、今日は休んだら?」
「今日は調子がいいの。前もいけなかったし、今日は行きたいわ。連れて行ってね。」
「でも……」
「お願い……」
まあばあちゃんは膝を擦りながら言いました。少し前までお豊ちゃんと邦ちゃんとまあばあちゃんの3人で毎日行っていたのですが、駐車場から病室までがあんまり遠いので、まあばあちゃは足を痛めてしまいました。そして、痛めてからも、頑固に車イスに乗ろうとしないので、だんだんと足の痛みがひどくなっていったようです。
「でも、まあちゃん、行くんだったら、車イスよ。お医者様にも叱られたでしょ!」
お豊ちゃんが、珍しく強い口調で言いました。
「分かったわ。お豊ちゃんの言うとおりにするわ。」
「そうよ。私といる間に、まあちゃんに何かあったら、ご家族に顔向けできないわ。」
「何言ってるのよ。みんな、お豊ちゃんに感謝してるのよ。わたしも家事を手伝ってもらって大助かりよ。」
「そう言ってもらえたら、本当に嬉しいわ。」
お豊ちゃんは、目に涙を浮かべて嬉しそうに笑いました。

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お見舞いと車イス

今日は、お春ちゃんをお見舞いに行きます。
なんと、邦ちゃんが自動車で迎えに来てくれました。
「まあ、邦ちゃん、免許取ったの?」
まあばあちゃんが目を丸くして言いました。
「そうなんです。あの人がその方がいいって。足の負担も少ないし。ひろ子を習い事へ連れて行くのも便利やからって……」
「そう。」
「すごいわねぇ。わたしら、車の運転なんて考えられへんわ。偉いわぁ……」
と、お豊ちゃんも感心したように言いました。
「わたしも、運転なんて出来るかなって、不安やったんですけど、なんか運転するの好きみたいです。」
「……でも、こんなすぐに、私たち、行っても大丈夫なの?」
まあばあちゃんが聞きました。
「はい。発見が早かったので。大事にならなかったんです。お豊おばちゃんのおかげです。」
邦ちゃんの運転する自動車が、病院の駐車場に入りました。
「あら、駐車場と病院がずいぶん離れてるのねぇ……。まあちゃん、大丈夫?」
「これくらい、平気よ。」
と、まあばあちゃんは強がりを言いましたが、シルバーカーが無いので、心配でした。
「そうなんです。でも、この病院の車イスを借りられるんです。主人がまあおばちゃんを心配して、ちゃんと確かめてます。だから、大丈夫ですよ。」
「あら、もしかして、私たちのせいでご主人と一緒に来られなかったんじゃ……」
「あっ、違います。主人は仕事の帰りに行ってくれてるので……」
「そう? 迷惑じゃない?」
「まさか、母も喜びます。車イス、借りてきますね。」
「待って、待って、邦ちゃん。」
「まあおばちゃん?」
「大丈夫、歩けるわ。お見舞いに来てるのに、車イスに座って行くなんて、おかしいわ。大丈夫! 歩いて行きます。」
「でも、まあちゃん、無理したらアカンよ。」
「大丈夫よ。行きましょう!」
まあばあちゃんが先頭に立って歩き出しました。

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朝食

「あっ、今日は私とトモ子でするわ。お母ちゃんもお豊おばちゃんもオコタに入ってて。 トモ子~。」
と恭子ちゃんが、思いついたように言いました。
「でも、トモちゃん、帰って来たばかりなのに……」
と、まあばあちゃんは言いましたが、恭子ちゃんが急かすので、オコタに入りました。
恭子ちゃんは、まあばあちゃんがハタハタしたら、お豊ちゃんも居場所に困ると思ったのでしょう。
「みんな、コーヒーでいい?」
と、トモちゃんが、聞きました。
「頼むわ。」
と、お父さん。
「私も、甘いの。お母ちゃんは?」
と恭子ちゃん。
「わたしも。」
「お豊おばあちゃんは、コーヒー飲む?」
と、トモちゃんがお豊ちゃんに聞きました。
「ありがとう。」
「お砂糖いくつ入れる?」
「二つ入れてもらっていい?」
恭子ちゃんが、パンの用意をしています。
「パンに何塗る?」
「わたし、イチゴジャム!」
とトモちゃん。
「お豊おばちゃんは?」
「わたしも、みんなと一緒がいいわ。」
「了解~」
と、恭子ちゃんは、食パン2枚をトースターに入れました。

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お豊ちゃんとミィちゃんが来た


「お母ちゃん、お豊ちゃんも来るって!」
恭子ちゃんが、大きな声でまあばあちゃんに言いました。
「そう!!  良かったわ。」
まあばあちゃんもホッとしました。
まあばあちゃんは、やっと立ち上がって、玄関の所へ行くと、
「あっ、お父さん、お帰りなさい。」
とトモちゃんの声が聞こえてきました。
「お邪魔します。」
お豊ちゃんの声です。
「お豊ちゃん、いらっしゃい!」
「まあちゃん……」
お豊ちゃんに抱かれたミィちゃんは、お春ちゃんのことが心配なのか、どこか落ち着きがありません。
「お春ちゃん、どう?」
「トイレに立った時に、急にフラフラッとしたみたいで……。」
と、お豊ちゃんが言いました。
「私たちの年頃になると、怖いわね。」
まあばあちゃんがしんみり言いました。
「大ごとにならないと良いんだけど……」
「でも、発見が早いと、ぜんぜん違うって、テレビで聞いたわ。」
「ええ……」
お豊ちゃんが、心配そうに頷きながら言いました。
「おばあちゃん、おなか空いたぁ。」
トモちゃんの能天気な声がしました。
「はいはい。朝ごはんにしましょう。今日は食パンを焼いて食べましょう。」
まあばあちゃんがキッチンに向かいました。

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トモちゃんが帰ってきた


まあばあちゃんも恭子ちゃんも、お豊ちゃんのことが心配で、会話が途切れがちです。そのうちシーンとしていまいました。
「遅いねェ……」
と恭子ちゃんがポツリと言いました。
「……ええ……」
まあばあちゃんも言葉少なに返事します。

「ただいまー!」
トモちゃんが元気よく帰ってきました。
「あっ! 帰ってきた!」
恭子ちゃんが、玄関へ走っていくと、トモちゃんが、ハッピーちゃんの足を洗っていました。
「お父さんとお豊おばちゃんは!?」
恭子ちゃんが、トモちゃんだけなので、ビックリして聞くと、
「お豊おばあちゃんと一緒よ。後から来るよ。」
「お豊おばちゃんと!」
恭子ちゃんの嬉しそうな声を上げました。
「うん。もう来るともう思うよ。」
「そう!! 良かったぁ……。本当に良かったぁ……」
恭子ちゃんが、あんまりホッとした様子なので、トモちゃんはキョトンとしていました。

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気づいてね


「ねぇ、お母ちゃん、お豊おばちゃん、突然どこかに行ったりしないよね。」
と、恭子ちゃんが、心配そうに言いました。
「大丈夫よ。ハッピーちゃんやミィちゃんのこともあるし……」
まあばあちゃんは、ポロッと出た自分の言葉にハッとしました。
(そうだわ。あの優しい、お豊ちゃんが、ハッピーちゃんやミィちゃんをおいて、どこかに行ったりしないわよ。)
まあばあちゃんは、ホッとしました。すると、恭子ちゃんが、
「それは、そうやけど、そうじゃなくて、今日明日のことじゃなくて……、ある日、ポストに置手紙が入ってたりとか……」
恭子ちゃんは、自分で言っていて心配になったらしく、
「こういうことは、お父さん達だけじゃ、頼りないわ。私、行って来る! うちにおいでよって言うてくる!」
恭子ちゃんは、立ち上がりました。
「待って、待って、恭子ちゃん、私たちはここで待ってましょう。」
「でも、ほんまは、私よりお母ちゃんのほうが、心配してるんちゃう?」
「急に、今頃行っても、ビックリするだけよ。待ちましょう。」
「でも、お父さんも、トモ子も、そういうこと気ィつかんと思うわ。」
恭子ちゃんが言うことも分かりました。
帰る家がないという状況になったことがない二人です。そんな話もせずに帰ってくるかもしれません。
それでも、やっぱり、まあばあちゃんは、待つ方がいいと思いました。
不思議なことに、恭子ちゃんの話すことが、自分の心の写し鏡になって、冷静に考えることが出来ました。
恭子ちゃんが行っても、まあばあちゃんが行っても、何を心配してるのか、お豊ちゃんはすぐに気づくでしょう。
それが、いけないと思うのです。
まあばあちゃんの世代は、お金がなくて、食うに困っていても他人の世話になりたくない、という気持ちが強くあります。
お豊ちゃんは、特にそうでしょう。
だから、そういう事にうとい、お父さんとトモちゃんに頼るのが一番だと、まあばあちゃんは思うのです。

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救急車が行ってしまって……


「なかなか帰ってこないねェ……」
救急車が行ってしまってしばらく経ちましたが、トモちゃんとお父さんは、帰って来ませんでした。さすがの恭子ちゃんも落ち着かないようです。
「一緒に行ったんかな?」
「まさか、でも、もしそうなら、連絡してくるわ。」
「そうやんねぇ……」
恭子ちゃんも、そう思っているようでしたが、思いのほか遅いので言ってみたのでしょう。ハッとしたように恭子ちゃんが言いました。
「お豊おばちゃん、どうしてるかな……」
まあばあちゃんも、そのことが気がかりでした。
恭子ちゃんが言ったように、お父さんは、邦ちゃんに連絡したでしょう。お春ちゃんに付き添ったのは、きっと、邦ちゃん……。
お春ちゃんがいなくなったあの家で、お豊ちゃんは過ごすことが出来るでしょうか……。もう、まあばあちゃんの年になったら、このまま入院生活という事も十分に考えられます。
そんなことになったら、お豊ちゃんは、また、どこかへ……
まあばあちゃんは、そこまで考えて、頭を振りました。

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お春ちゃんが!

「ええ!! お春ちゃんが……」
「それで、今、どうなってるん?」
「まだ、よく分からないよ。病院が決まらないみたい……」
「ええ、なんで!」
恭子ちゃんがビックリして聞きました。
「わかんないけど……、なにか分かったら、知らせに来るね。」
と言って、トモちゃんはまた走って行きました。
「あ。トモちゃん! あのね……」
まあばあちゃんが、トモちゃんに声を掛けましたが、
「もう、行っちゃったわ。」
「お豊ちゃんのこと聞きたかったんだけど……」
まあばあちゃんがションボリして言いました。
「わたし、見てこよか?」
恭子ちゃんが、湯たんぽをまあばあちゃんの足元に入れながら言いました。
「ありがとう。でも、いいわ。そんな大勢でいっても、邪魔になるから……。ここで、二人で待ってましょう。」
「うん。そうしよ。」
恭子ちゃんもオコタに入りました。
「あ、トモちゃん、邦ちゃんに連絡してくれたかしら……。知らせなくていいかしら。」
「お父さんも、ついてるし、そこらへんは大丈夫よ。」
「そうね。そうよね。あ、でも、ひろ子ちゃんもいるし……、やっぱり、様子を見に行った方が……」
「ひろ子ちゃんは、オッチャンがいるから大丈夫よ。もし、手が必要なら、オッチャンから連絡あるわよ。」
「そうね。でも、お豊ちゃん、心細くないかしら、こういう時は、同じ年寄りが側にいたほうが……」
「お母ちゃん、大丈夫だから! お父さんもトモちゃんも行ってるんだから。お母ちゃんは、なんだかんだで、病み上がりみたいなもんでしょ? 大事にしないと、また寝込んだら。トモ子が悲しむよ!」
恭子ちゃんにそう言われて、まあばあちゃんはシュンとなってしまいました。
外は、凍えるような寒さです。恭子ちゃんが、心配して強く言うのも当然でした。
救急車のサイレンの音が鳴りました。
「あ、今、家の前、通って行ったわ。」
「ええ。」
(お春ちゃんが、大事に至りませんように……)
まあばあちゃんは手を合わせて、神様にお祈りしました。

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夜明け前の救急車


まあばあちゃんは、救急車のサイレンの音で目が覚めました。
時計を見ると、まだ午前4時でした。
まあばあちゃんは、胸騒ぎを覚えて、急いで服を着ました。
「おばあちゃん、救急車、近くで停まったね。」
トモちゃんも起きてきました。
「そうなのよ。なんだか、心配だから、ちょっと見てくるわ。」
「おばあちゃん、こんな朝早く、外に出たらアカンよ。私、見てくる。」
「だめよ。まだ、こんな暗いうちに、若い娘が出歩くんじゃありません。」
と、まあばあちゃんとトモちゃんが言いあっていると、お父さんもお母さんも起きてきました。
「救急車、近所で停まったね。」
恭子ちゃんも、救急車のサイレンで目が覚めたようです。
「そうなんよ。私見てくる。」
と、トモちゃんが行ってしまいました。
「わしも行って来るわ。」
と、お父さんも上着を着て、慌ててトモちゃんの後を追いかけて行きました。
「お母ちゃん、わたしらは、オコタで待ってよ。」
「でも……」
「こんな寒い日に出て行ったら、お母ちゃんも救急車やで! 早く、コタツに入って!」
恭子ちゃんが、怖い顔するので、まあばあちゃんはしぶしぶコタツで待つことにしました。
今日は冷え込みがきつく、なかなかコタツが暖まりません。
「冷えるねぇ。ちょっと、湯たんぽ作ってくるわ。」
恭子ちゃんが、お湯を沸かしに立ち上がりました。玄関の方からバタバタっと足音がしました。
「あら、もう帰ってきた。」
恭子ちゃんが言いました。
「おばあちゃん、おかあさん、大変! お春おばあちゃんが倒れたって!」
「ええ!!」
恭子ちゃんもまあばあちゃんも飛び上がりました。

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ばあさま三人


「お豊おばちゃん、お弁当は私が届けます。母も連れて帰ります。今日は、まあばあちゃんと一緒にゆっくりしていってください。」
と、邦ちゃんが、申し訳なさそうに言いました。
「え?」
「ごめんなさい。母はいつもお豊おばちゃんに、迷惑ばかりかけていたんですね。」
邦ちゃんがそう言って、お豊ちゃんに頭を下げました。
「何言ってんのよ。私の方こそ、お春ちゃんに助けてもらってありがたいと思っているのよ。それに、お春ちゃんの足が心配だから、私が好きでやってるのよ。だから、気にしないでね。邦ちゃん。」
「そうよ。邦ちゃん、私たちは友達なんだから。戦時中なんて食べるものは無いし、みんなで助け合って生きてきたんだもの。お豊ちゃんだって、お春ちゃんとケンカしたら、私の所に来ればいいんだから。ね! お豊ちゃん。」
と、まあばあちゃんは、お豊ちゃんににっこり笑って言いました。
お豊ちゃんは、少し面喰っていましたが、まあばあちゃんの意図が分かったのか、
「ええ!」
と、しっかり頷きました。
(よかった!)
とまあばあちゃんは思いました。
辛かったらウチにおいでと、重い雰囲気でなく、明るく言えたので、まあばあちゃんはホッとしました。
「だから、邦ちゃんは心配しなくていいの。」
お豊ちゃんが、言いました。
「でも……」
「ばあさま、三人で、気長にやっていきますので。ね!」
まあばあちゃんも言いました。

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お春ちゃんを迎えに

「さっ、出来たわよ。あとは、お弁当箱に詰めるだけね。」
「ひろちゃん、入っていいわよ。」
揚げ物が終わったので邦ちゃんが、呼ぶと、
「はーい。」
という、ひろ子ちゃんの元気な返事とともに、ジロ達もバタバタっと入ってきました。
「いいにおいが、家中してるよ。おなかすいたー。」
と、ひろこちゃんが嬉しそうに言いました。
「そうでしょ。もうすこしで、食べられるから、待ってね。」
まあばあちゃんが、ニッコリ笑って言いました。
「邦ちゃん、天つゆと、お味噌汁も持って行ってあげてね。」
「はい。」
「あ、邦ちゃん、わたし、お春ちゃん迎えに駅前に行くから、私が持って行くわ。」
「え?」
「お春ちゃんのあんまが終ったから、きたんでしょ?」
「それが、髪切りたくなったって言って、そのあと美容院に行ったのよ。」
「まあ……」
「お春ちゃんは、あれで、なかなかオシャレなのよ。」
日頃のお春ちゃんを見ていると、あんまりそんな風には言えないので、近所の散髪屋さんで切ってもらっていると思っていました。
まあばあちゃんなんて、恭子ちゃんに切ってもらっています。そのあと、お風呂に入ると、サッパリして気持ちのいいものです。
「でも、帰りぐらい一人で帰れるでしょうに……」
まあばあちゃんは、自分が言ってしまったのかとドキッとしましたが、そうではありませんでした。
「お豊おばちゃん、ごめんなさい。」
邦ちゃんの言葉でした。

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天ぷらの準備

3人で天ぷらの支度を始めました。
「ひろ子も手伝う!」
「今日は、油を使うから。とっても危ないの。だから、ジロ達が台所に来ないように、ひろ子ちゃんに見ててほしいの。油が飛んで、怪我したら可哀想でしょ。お願いしていい?」
まあばあちゃんがそう言うと、ひろ子ちゃんは、
「はい! みんな、ひろ子と遊ぼう!」
と言って、ジロ達をオコタの部屋へと連れて行きました。
まあばあちゃんが、イワシの背骨とワタを取る係。
お豊ちゃんが、野菜を切る係。
邦ちゃんが、揚げる係になりました。
「あら、まあちゃん、簡単に取るわねぇ。どうしてるの?」
「これはね。ここをクイクイッとすると……ね。」
まあばあちゃんが、お豊ちゃんにしてみせました。
「へぇ! わたしも今度はそうしよう!」
「衣の溶き時具合は、これくらいでいいですか?」
と、邦ちゃんがお豊ちゃんに聞きました。
「もう少し柔らかい方がいいかな。箸を上げた時、するっと落ちるくらいがいいと思うの。」
「はい。」
邦ちゃんは、少しだけ水を足しました。
「油の温度は?」
「それはね……」
と、お豊ちゃんは、邦ちゃんにあれこれと教えてあげています。
料理上手なお豊ちゃんは、教えるのもとても上手です。
その様子を微笑ましい気持ちで、まあばあちゃんは見ていました。

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さあ、始めましょ

まあばあちゃんたちが、天ぷらの下ごしらえを始めていると、
「ただいまあ。」
ひろこちゃんの元気な声がしました。
「あら、もう、帰ってきたわ。 早いのね。走ってきたの?」
「姫とチビチャンが走るから!」
「そう、お帽子ぬいで、うがいして、顔を洗ってらっしゃい。」
「はーい!」
「美味しいおまんじゅうがあるわよ。」
「わーい!」
ひろ子ちゃんは、嬉しそうに言いました。
「あら、まあおばちゃん、もう始めてしまったんですか?」
邦ちゃんが、残念そうに言いました。
「何言ってるの。やるここは、まだまだあるわよ。年寄りはやることが遅いから、早く始めたくなるのよ。」
と、お豊ちゃんが、クスッと笑って言いました。
「さっ、手伝って手伝って!」
お豊ちゃんが急かすと、邦ちゃんも嬉しそうに
「はい!」
と、返事しました。

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ひろ子ちゃんを追いかけて

「たいへん! ひろ子、カギ持ってないわ! ごめんなさい。ちょっと、行ってきます。」
「あらあら、たいへん、早く行ってあげて。」
「すぐに戻ります。」
「待ってるわ。」
邦ちゃんは、慌てた様子で追いかけて行きました。
「邦ちゃんとひろ子ちゃん、ほんとに仲良さそうで、見てるこっちまでいい気持ちになるわ。」
と、お豊ちゃんが言いました。
「ほんとうね。暖かい気持ちになるわね。」
まあばあちゃんもニッコリ笑って頷きました。
「ねぇ、お豊ちゃん、邦ちゃんには、待ってるって言ったけど、イワシたくさんあるし、下ごしらえ、始めましょうか?」
と、まあばあちゃんが言うと、お豊ちゃんも、
「そうね。ちょっと、早めから始めないと、若い邦ちゃんに追い抜かれてしまうものね。」
イタズラっぽく笑って言いました。

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ハッピーちゃんが来た

「じゃあ、邦ちゃんが戻ってくるまでに、下ごしらえだけでもしておきましょうか。」
「そうね。」
「おばあちゃん、ただいまー!」
ひろ子ちゃんです。
「あら、もう?」
「ハッピーちゃんも来たよ!」
「え?」
お豊ちゃんが、慌てて玄関の方へ行きました。
「あら、ハッピー……、どうしたの?」
「お豊おばあちゃん、こんにちは!」
「こんにちは。きちんとご挨拶が出来て偉いわねぇ。」
ひろ子ちゃんが嬉しそうに笑いました。
「それが、もう、ひろ子がハッピーちゃんと一緒に、こっちに来てて。」
と、邦ちゃんが言いました。
「お友達の家から帰るときに、ハッピーちゃん走ってたから、どうしたのって聞いたら、こっち行こうって! もう足も洗ったよ!」
「まあ、ありがとう。優しいのね。」
「ひろ子、姫の足もチビチャンの足も洗えるよ。」
「ひろ子ちゃんは、エライのね……」
ひろ子ちゃんは嬉しそうにエヘヘと笑いました。
「まあ、ハッピー、お家で待ってて言ったのに……」
お豊ちゃんはハッピーちゃんの頭を撫でました。
「ひろちゃん、今日は、まあおばちゃんのところで、お夕飯食べるの」
「ほんと? 姫とチビチャンも連れて来ていい?」
ひろ子ちゃんが、まあばあちゃん聞きました。
「いいわよ。」
まあばあちゃんがニッコリして答えると、
「わーい! じゃあ、行って来る。」
「あ、ひろ子、お母さんも行くから。」
「一人で大丈夫!」
と、言ってひろ子ちゃんが駆け出していきました。
「ハッピーちゃん、一時もお豊ちゃんと離れていたくないのね。」
まあばあちゃんが、ハッピーちゃんの頭を撫でました。

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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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