明るく……


そう言って、まあばあちゃんは、お豊ちゃんの手に通帳を握らせました。
お豊ちゃんは、そのまま動きませんでした。
「樺山さんは、お豊ちゃんを母親のように慕っているのよ。でなければ、ここまでしてくれないわ。息子からだなんて、とっても言えないと思うの。だから、樺山さんの為にも受け取って……。ね?」
お豊ちゃんは、やはり固まったように動きません。
「お豊ちゃん、まあちゃんの言う通りやで。人の好意は受け取っとくもんや。あんたが、樺山さんの犬を自分の子供みたいに誠心誠意に世話しこと、有難いと思ってくれてるんや。」
「……わたし、前に樺山さんから預かった通帳、取られてしもてんよ。」
お豊ちゃんは、それだけ言って口をつぐみました。
まあばあちゃんは、言葉を失いました。
お春ちゃんは、話を続けました。
「あんたが、大変な目に遭ってるて分かったはる。そんな事、なんも思いはれへんわ。」
「…………」
「それにやで、アンタは樺山さんの命の恩人やで。いくら犬が騒いだからって、普通、いちいち家まで様子見に行くか? あんたは、心根が優しいから行ったんや。あの時、面倒がってほっとかれてみ? あの人、もうこの世におらんかもしれん。樺山さんは、よう分かったはんねん。あんたに不幸になって欲しいないねん。明るうに笑っててほしいんやと思うで。」
「…………」
お豊ちゃんは、黙ったままです。
「わたしなぁ、前にまあちゃんが言うてたことよう覚えてるねん。」
お豊ちゃんは少しだけ顔を上げました。
「親切にしたら、もっと使ったれと思う輩と、親切には親切で返す人がおるって言うてたやろ。あれや。ほんまやなって思うねん。樺山さんは、お豊ちゃんに感謝してんねん。それを受け取るのも人としての礼儀やで。」
お春ちゃんはきっぱりと言いました。

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樺山さんの心遣い


お春ちゃんの大泣きに、お豊ちゃんも泣き出しました。
「いいの? お春ちゃん、ほんとに行ってもいいの? こんな私やのに……」
「何言うてんの。それは、こっちのセリフや。良かったわ。来てくれるやな。あー、ホッとしたわ。ほな、今日から2匹と二人やな。嬉しいわぁ! まあちゃんもありがとうな。」
涙でクシャクシャになった顔でニカッと笑いました。まあばあちゃんも微笑みました
「今日から、お豊ちゃんとお春ちゃんは一緒に暮らすのね。じゃあ、お豊ちゃんにお話があるの。本当は、もっと早くに言いたかったんだけど、なんだか、目まぐるしく話が進んで、言い出せなかったの。ごめんなさいね。」
まあばあちゃんがキリッとしたので、二人もつられて姿勢を正しました。まあばあちゃんはゆっくり立ち上がると、奥の部屋に入って行きました。
「まあちゃん、どないしたんやろ?
「うーん」
「なんや、緊張するなぁ。」
「うん。」
お豊ちゃんも、不可解そうな顔をしています。
戻ってきたまあばあちゃんが、居住まいを正して座りました。そして、封筒をお豊ちゃんに渡しました。
「これは?」
「まず、中を見てちょうだい」
「なんや?」
お春ちゃんが、お豊ちゃんの横から封筒を覗いています。
お豊ちゃんは、慎重に封筒の中の物を取り出しました。そして、目を見張りました。お豊ちゃんの手は震えていました
「まあちゃん、これ……」
お豊ちゃん名義の通帳でした。
「……ど、どうして……」
お豊ちゃんは、喉を詰まらせながら言いました。
「樺山さんの心遣いなの。もし、あの家を出れたら、真っ先にここへ来ると信じて、私に……」
お豊ちゃんは、
「頂けないわ。とても、頂けない……もったいなくて……」
「でも、受け取ってもらえないと、言付かった私は樺山さんにどう言えばいいの。困るわ。お豊ちゃんに渡してとお預かりしたんだもの。」
お豊ちゃんは首を振りました。
「そんな事言わずに、……樺山さんの……」
お豊ちゃんは、通帳をまあちゃんの前に置きました。
「……こんなにしてもらって、お礼の言葉もないくらい嬉しいけど……でも、頂けないわ。」
お豊ちゃんは、滝のように涙を流しました。まあちゃんが笑い出しました。
「まあちゃん? どないしたんや? 何が可笑しいんや?」
「樺山さんとね、お豊ちゃんは、そう言うとだろうって話していたの。それでね。もし、なかなか受けとってもらえなかったらこう言ってほしいて、おっしゃってたわ。」
「なんて?」
お豊ちゃんが聞きました。
「私の母親の様な人だから、息子からと言って下さいって……」

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独りぼっち


「私に頼み? 私にできることなんて、何にもないわよ。」
お豊ちゃんは、驚いた顔をして言いました。
「あるで、あんたにしか出来へん事が……」
「私にしか出来ないこと……?」
お豊ちゃんは首をかしげました。
「そやで。」
「私にできることがあるんなら、何でもさしてもらうけど……」
「ほんま? ほんなら、今日から私のとこ来てくれへんか? 私、一人暮らしやろ、淋しい淋しいて、しゃーないねん。一人で寝床で天井見てたら、なんや、この世に一人取り残されたような気になって、淋しいて泣けてくる時もあるくらいや。」
「お春ちゃん。」
「私な、あんたが、あの家から逃げることが出来たら、一緒に暮らそうと思って布団も買ってあるねん。私、アンタを待ってたんや。」
「お春ちゃん……でもね。」
「な、頼むわ。このとおり。」
お春ちゃんは手を合わせて言いました。
「ありがとう。私にそんなん言うてくれるなんて。でも、ダメやわ。」
「なんでや?」
「私は、一円もないんよ。大げさに言うてるんちゃうよ。ほんまに着の身着のまま。この服かて、恭子ちゃんが自分のを着せてくれたものなんよ。そんな私が、お春ちゃんの所に行って何が出来るの? 負担になるだけやないの。ダメダメ。」
「負担なんかないで……。お金なんかなくてもええやん。私だって、年金だけが頼みの年寄りやで……」
「でも、その年金が私には無いのよ。主人がお前に年金なんかいらん言うて怒鳴りまくって、入ってくれへんかったから。私は本当の一文無しなんよ。」
「別に、側におってくれるだけでええんよ。別に何かしてほしいんとちゃうねんで。」
「お春ちゃんの気持ちはホントに嬉しい。でもね……」
「そんなん言うて、ホンマは私が口が悪いから、一緒に住んだら、うるさいと思てるんやろ!」
「何言うてんの。お春ちゃん、そう言う意味じゃなくて。」
「そら、まあちゃんの所の方がええわな。可愛いトモちゃんもおるし。元気いっぱいの恭子ちゃんに、頼りになる息子もおる。」
「お春ちゃん……」
お春ちゃんは、肩を震わせて涙声で言いました。
「……わ、私は、独りぼっちや。邦子もちっとも家に寄りつかん。近所に住んでんのに……」
「それは……」
お豊ちゃんが何か言おうとすると、
「続きは言わんでええで! 私が、昭雄を家に入れたからやろ! そんなん分かってる。私がみんな悪いって分かってる。でも、淋しいんやもん。なあ、お豊ちゃん、うちの家に来てくれてもええやんか~。わぁ~~」
お春ちゃんは、子どものように大泣きしました。

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柿をみんなで


「散歩でも行く?」
とまあばあちゃんが言いました。
「まだ、ちょっと暗いで。もうちょっと明るくなってからにしよ。その方がぬくいで。」
お春ちゃんが、オコタにコポッと入って言いました。
「ほんとね。暖かくなるしね。じゃ、お茶を入れなおしてくるわね。柿をむいてくるわ。」
「わあ! 私、柿大好きや。それに、今年はようさんもらえて嬉しかったわ。」
お春ちゃんが喜びました。
「邦ちゃんの所の柿が豊作だったの。」
「あれま、ほな、あれ、いつもの奥さんのと違うの?」
「今年は虫がついてしまって、残念だったみたい。いつももらってばかりだから、おすそ分け出来て良かったわ。」
「そうかいな。」
お春ちゃんはふうんと頷きました。
「まあちゃん達が、柿を持って来てれた時、嬉しかったわぁ。」
お豊ちゃんはそう言うと、ポロポロと涙を流しました。
「そうやで、うちら二人で持って行ったんやで! ホンマに心配してたんやで!」
「うん、うん、ありがとう。ありがとう……。ごめんね心配かけて……」
「でも、無事やったんやから、良かったわ。なぁ、まあちゃん」
まあばあちゃんは、嬉しそうにうなずきました。
「それはそうとな、私、あんたに頼みがあるねん。」
お春ちゃんが、お豊ちゃんに神妙そうな顔になって言いました。

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ええ家族


「行ってきます!!」
トモちゃんが、学校へ行きました。
「トモちゃん、お弁当持った?」
恭子ちゃんが聞きました。
「うん。持った! 行ってきまーす!」
「えへへ。こんなん言うたら、わたしが、お弁当作ったみたいやね。」
と、恭子ちゃんが笑いました。
「恭ちゃんらしいわ。」
と、お父さんも笑って言いました。
「あはは、なんか人聞き悪いやんか。」
と、恭子ちゃんがまた笑いました。
「あの……、昨日は泊めていただいて有り難うございました。これで、失礼しますね。」
と邦ちゃんが頭を下げました。ひろ子ちゃんもペコリと頭を下げました。
「邦ちゃん、いつもごめんね有り難う。」
「ううん。まあおばちゃんが良くなって本当に良かった。お豊おばちゃんも……」
二人は、手を繋いで家に帰って行きました。チビちゃんと姫ちゃんが嬉しそうについて歩いていました。
「わしも、そろそろ出るわ。せっかく起きたから。ちょっと済ませたいことあるし。」
「じゃあ、私も行く。」
「うん。行こう。」
というわけで、お父さんとお母さんも仕事に行ってしまいました。
みんな出かけて、おばあちゃん3人と猫のミィちゃんとジロちゃんとミミちゃんとハッピーちゃんだけになりました。
「なんだか静かになってしもて、淋しいわね。」
まあばあちゃんが、みかんを食べながら言いました。
「ほんと」
お豊ちゃんが、美味しそうにお茶を飲みながら言いました。すると、お春ちゃんが、
「せやけど、なんや、まあちゃんは、ええ家族に恵まれたな。幸せやな。まあちゃんがええからやなぁ。私はアカンわ」
ほんとにしみじみ言いました。


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お父さんの感謝の気持ち

「お世話になっております。お先に頂いてしまって……」
と、お豊ちゃんが、深々と頭を下げました。
邦ちゃんも一緒に頭を下げました。ひろこちゃんも、邦ちゃんの様子をまねるようにペコリとしました。
お春ちゃんも、慌てた様子で頭を下げました。
恭子ちゃんが、お父さんの分のお茶碗を持ってきました。
「こちらこそ! ありがとうございます。皆さんが来てくれて、母が元気になったように思います。いつも陰に日向に僕らの事を支えてくれてる母が、元気をなくしているので、本当に心配していたんです。いつも感謝しているのに、母が弱っている時に、何もできず辛かったです。」
「まあ、そんな風に思っててくれてたなんて……! ごめんなさいね。」
まあばあちゃんは、泣き出しました。
「なによ。私だって、すごく心配してたんよ。なんでお父さんだけ感動するのよ。」
恭子ちゃんが、口をとがらせて言いました。
「一家の大黒柱に、そんな事言ってもらえるなんて、本当に有難い事なんよ。」
まあばあちゃんは、まだ泣いています。
「おばあちゃんは、大げさだよ。みんな同じ気持ちよ。おばあちゃんの事、大好きよ。」
と、トモちゃんが言いました。
「トモ子」
「はい?」
「トモ子のこともそうやで、わしらは大きい商売と違うから、やっぱり人を雇うと大変や。おばあちゃんがいなかったら、小さいトモ子を保育所か何かに預けるか、お母さんが、トモ子の世話をせなアカン。今でも、トモ子は学校から帰ってきたら一人や。」
トモちゃんは、頷きました。
「安心して任せられる人がいるのは、これ以上ないほど有難いことやで。」
お父さんの言葉に、まあばあちゃんはまた泣き出しました。

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朝の挨拶

「あれ? 恭子ちゃん、ご主人は?」
とお春ちゃんが、聞きました。
「ああ、父ちゃんは、今日は、朝、ゆっくりでええの。」
「そうか。自営業は、気楽でええな。」
「そんな事ないよ。朝も晩もないときあるよ。仕事が無かったら、お給料ないんよ。厳しいよ。」
「無い時あんの!? ゆっくりしてそうに見えたけど……」
お春ちゃんがビックリして聞きました。邦ちゃんは、お春ちゃんの言葉にこめかみを抑える仕草をしました。
「ご心配なく、お陰様で大丈夫やよ。」
「ああ、ビックリした。うちらに続いて、まあちゃんまでと思ってビックリしたわ。驚かさんといて……」
とお春ちゃんは、ホッとして胸をなでおろしました。
「お早うございます。」
と、お父さんが起きてきました。
「「「「「「お早うございます」」」」」
とみんな口々に返事しました。
お豊ちゃんと邦ちゃんひろ子ちゃんは、居住まいを正してキチンと、トモちゃんと恭子ちゃんは元気よく、まあばあちゃんは微笑みながら……
「もう、起きたん。今日は、ゆっくりでええんちゃうん?」
「うん、なんか楽しそうやから、仲間に入れてもらおうと思って……」
「うちらがやかましいからやな。すみません……」
お春ちゃんは、さっき話の内容を気にしたのか、珍しく小さくなって言いました。

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お春ちゃんの失言


「あ、おばあちゃん、おはよう!」
「ああ、ひろ子ちゃん、おはよう。なんや、私が一番最後かいな。まあちゃんもお豊ちゃんも、起してくれたらよかったのに……。」
「わたしも今起きたところよ。ぐっすり寝れたわ。」
「そうやねん。私もや。やっぱり、家で一人で寝てるんと違うて、安心して寝れるんやな。朝までグッスリやわ。頭がハッキリしてるわ。若返った感じや。」
「ご飯、出来たよ。」
恭子ちゃんが、ご飯をお茶碗につぎながら言いました。
「ささ、食べよう!」
「「「「「いただきます」」」」」
と、みんなで手を合わせました。
「わぁ! これは美味しそうやな。やっぱり、まあちゃんとお豊ちゃん、早ように起きたんやろ。」
「これは、邦ちゃんと恭子ちゃんが用意してくれたんよ。」
とお豊ちゃんが言いました。
「へへ、私は、手伝っただけ。ほとんど邦ちゃんやけどね。」
と恭子ちゃんがペロッと舌を出しました。
お春ちゃんはそれを聞いて、なんだか、しんみりしていました。
「お春ちゃん? どうしたの?」
まあばあちゃんが心配そうに聞くと、
「いや、なんもないで。せやけど、お豊ちゃん、良かったな。元気で。私、心配しててん。」
「ありがとう。」
「わたしな、あんた、殴る蹴るされてたから、しばらく寝たきりになると思ったわ。」
恭子ちゃんが、お味噌汁を吹き出しそうになりました。
トモちゃんも卵焼きをのどに詰まらせてゴホゴホとむせました。
まあばあちゃんも固まっています。
邦ちゃんは、ハラハラして身の置き所に困った様子でした。
ひろ子ちゃんだけ、美味しそうにウィンナーを頬張っていました。

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満員電車

お春ちゃんが、洋服を脱ぐと、ミィちゃんを抱いて、さっさと布団に入ってしまったので、
「お春おばちゃん、パジャマあるよ。」
「おおきに。でもな、そんなハイカラなもんはいらんわ。いつもヌクヌクのシャツとバッチで寝てるねん。夏はシミーズ一丁や。」
「シミーズって何?」
「シミーズってスリップや!」
トモちゃんは、分かったような分からないような顔をして頷きました。
「まあちゃん、シミーズ着ぃひんのか?」
「私はタンクトップとパッチなの。」
「ああ、そうか、それもええな。ハァーええな。布団中温いわ。布団乾燥機と違って手軽やしな。私も電気毛布にしよう。食わず嫌いはアカンな。今まで損してたわ。」
お春ちゃんは、電気毛布を大変気に入ったようです。
「お豊ちゃん、あんたもここにおいで、アンタは真ん中や。」
お豊ちゃんも、嬉しそうに笑って真ん中に敷いたお布団に入りました。お豊ちゃんもぬくぬくシャツで寝るようです。ハッピーちゃんが慌てたように、お豊ちゃんのお布団にもぐりこみました。お豊ちゃんはキューッとハッピーちゃんを抱きしめました。
まあばあちゃんはそれを見て嬉しそうに微笑みました。
「わたしもここで寝る!」
トモちゃんが枕を持ってまあばあちゃんのお布団に入りました。
「あらあら、小さい子みたいよ。」
ジロとミミちゃんは、トモちゃんの上に乗っかりました。ここは自分たちの場所だと言っているようでした。
「うーん。重いけどあったかーい。」
トモちゃんは、布団越しにキューッとジロとミミちゃんを抱っこしました。
まあばあちゃんはどこで寝ればいいのか分からなくなってしまいました。
「まあちゃん、ここ詰めたから、ここに入ったら?」
お豊ちゃんとハッピーちゃんが詰めてくれました。
「お母ちゃん、もうひとつ掛布団持って来たよ。」
と恭子ちゃんが、持って来てくれました。
「ワハハハ、なんや満員電車やな。」
とお春ちゃんが可笑しそうに笑いました。
3人のおばあちゃんはどうにか川の字で寝ることが出来ました。

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電気毛布


「お母ちゃん、これでしょ。」
恭子ちゃんが、お布団を持って来てれました。
「まあ、ありがとう!」
「お母ちゃん、お豊おばちゃんが来るって信じてたんやね。それで、いろいろ揃えてたんでしょ?」
まあばあちゃんは、嬉しそうに微笑みました。
「まあちゃん……。」
お豊ちゃんは、目にいっぱい涙をためてまあばあちゃんを見ました。
恭子ちゃんとトモちゃんが、パパッとお布団を敷きました。
「えらい可愛い花柄やな。若い子向きやで。」
とお春ちゃんが、照れ臭そうに言いました。
「まだ、電気入れたとこやから。暖まるまで待ってね。」
「まあちゃんところは、アンカー入れへんのか?」
お春ちゃんが、不安そうに言いました。
「アンカーって何?」
トモちゃんが不思議そうに言いました。
「マメこたつや。」
「アンカーも足が暖かくていいけど、電気毛布の方がいいわよ。全体に暖かいから……。」
「電気毛布……。聞いたことあるけど、毛布に電気て、頼りない感じで使ったことないわ。」
「大丈夫よ。お春ちゃんにはミィちゃんがいるし、お豊ちゃんはハッピーちゃん、わたしにはジロとミミちゃんがいるでしょ。暑いくらいよ。」
「そうか?」
お春ちゃんは心もとなさそうです。
「あったまったよ。みてみて。」
とトモちゃんが言いました。
「どれ……。」
さっそくお春ちゃんがお布団に手を入れました。
「おや!」
「どう?」
「これはええわ! ひろ子ちゃん、見てみ! あ、寝てるな……」
「じゃあ、寝ましょうか。」
まあばあちゃんが、嬉しそうに言いました。

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お泊り

「ねぇ、二人とも、今夜は遅いから、泊まっていったら?」
まあばあちゃんg、ポツリと言いました。
「それがええわ。」
と恭子ちゃんも言いました。
「私は遠慮しとくわ。枕が変わると寝られへんから。」
とお春ちゃんがすげなく言います。
「そんなこと言わずに、お豊ちゃんを真ん中にして3人で寝ましょうよ。」
まあばあちゃんがそう言うと、お春ちゃんはまあばあちゃんの言いたいことが分かったみたいで、
「せやな。私も泊まっていくわ。そやけど、そんなに布団あるんかいな。」
「大丈夫よ。よく干してある暖かいお布団があるから。お春ちゃん、戸締りは大丈夫?」
「一応、鍵は掛けたぁるで。まっ、泥棒が入ったかて盗るもんはないけどな。」
「馬鹿なこと言わないの。じゃ、決まりね。」
まあばあちゃんは、いつかお豊ちゃんが自分を訪ねてくれると信じて、お豊ちゃんの身の回りの物を用意していました。きっと、やっとの思いで訪ねてくると思ったからです。

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おっちゃんは?


シャッターの上がる音がしました。
「あっ! お父さん帰ってきた!」
トモちゃんとジロ達が慌てて迎えに行きました。
しばらくして、お父さんと一緒に、戻ってきました。
「おかえりなさーい! 遅かったね。電話くれた時、姫路って言ってたやん。」
「そやねん。帰りがけに鈴木さんにつかまってしもてな。」
「あ~……」
と恭子ちゃんは納得したような顔をしました。
「あの……、突然、押しかけて……」
と、お豊ちゃんが、申し訳なさそうに体を小さくして言いました。
「無事で良かったですね。みんな心配してたんですよ。」
お父さんがそう言うと、お豊ちゃんは、少しだけホッとしたような表情になりました。
「邦子、あんた、ご主人ほっといてええんか?」
と、お春ちゃんが邦ちゃんに尋ねました。
突然、お春ちゃんが、“ご主人”なんていうので、みんな戸惑ってしまいましたが、邦ちゃんは、
「あの人は、老人会の旅行に行ってるの。」
「老人会の? もうそんな年かいな。えらい若う見えるな。」
「老人会にはまだ入ってないんやけど、家の修理を頼まれてうちに、老人会の世話もすることになったみたい。」
「なんや、一家の主人を気安く使ってもろたら困るがな。」
お春ちゃんは、口をへの字に曲げて言いました。邦ちゃんは、あいまいに笑いました。
「ねぇ、邦子ちゃん、オッチャンにお豊おばちゃんの事、電話したら。」
と、恭子ちゃんが言いました。
「もう、電話した。すごく喜んでたわ。明日、帰ってくるし、顔見に来ると思うわ。」
邦ちゃんは、ニッコリ笑って言いました。

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思い出さないで……


「そんなんで、どないして生活してたんや?」
お春ちゃんは、さらに問い詰めます。
お豊ちゃんは泣くばかりで、声になりません。
「お豊ちゃん!」
「お春おばあちゃん、大きい声だしたら、ひろ子ちゃんが起きちゃう。」
トモちゃんがシーッという仕草をして言いました。
ひろ子ちゃんは、いつの間にか邦ちゃんのお膝で眠っていました。
「お春おばちゃん、もういいじゃない。お豊おばちゃんは、こうして無事にここにいるんだし、もう辛い事は思い出さない方がええよ。」
恭子ちゃんが言いました。お春ちゃんは、ハッとしたように黙りました。そして、
「ほんまやな。お豊ちゃん、ごめんやで……。あんたに言うてもしゃーない。あの大女に言わんとな。」
お豊ちゃんは、俯いたまま頭を振りました。
「お豊おばちゃんがうちに来てくれたら、お母ちゃんが助かるわ。今まで、一人でやってたから。お母ちゃん倒れてしもたんやわ。お豊おばちゃんがいてくれたら、私、安心して、お父さんの仕事の手伝いを頑張れるわ!」
恭子ちゃんが、これで決まり!というように明るい声でワハハと笑いながら言いました。

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物置に……


「それからしばらくして、物置に閉じ込められてん。」
「物置!?」
みんな飛び上がって驚きました。
「あんた、物置に一日中、閉じ込められてたんか……」
「そうやよ。」
「ご飯は、もろてたんか……」
「ごはんは、時々……。片手鍋に味噌汁からおかずから一緒くたに入れて、置いて行くの。」
「そんなん、食べられへんやろ……」
「いつもやったらそうやと思うけど、おなか空いてしゃーないから食べてたわ。」
お豊ちゃんは淡々とした様子で言いました。
「うちらは、アンタのために弁当持って行ってたんやで……」
お春ちゃんの声は震えていました。
「……うん、ごめんね。」
「あの大女! お豊ちゃんの弁当、自分らで食べてしもて、お豊ちゃんにはそんな……! なんちゅう性悪や!」
お豊ちゃんは、悲しそうに目を伏せました。
「トイレは? うちらの年になったら近いやろ?」
「昼ごろと晩にトイレに行かしてもらってて、でも忘れられることもしばしばで……」
そこで、お豊ちゃんは口をつぐんでしまいました。
「この寒いのに、日に二回かいな、そんで、それを忘れる?」
お春ちゃんの体は怒りに震えていました。
お豊ちゃんは、俯いてポタポタ涙を落としました。

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お豊ちゃん、どうしていたの?


「お豊おばあちゃん、これ……」
トモちゃんが、シップを持ってきました。
「ありがとう」
お豊ちゃんがホロッと涙を流しました。
お豊ちゃんの腕には、いろんな色の痣がありました。青いの赤いの茶色のと……
「知ってたか? うちら毎日、アンタを訪ねて行ってたんやで、まあちゃんの作った弁当持って……」
お春ちゃんが、言いました。
「知ってたわ。出て行きたかった……」
お豊ちゃんが湯呑みを見つめながら言いました。
「そやったら、あんた、なんで、出てけぇへんかったん?」
お豊ちゃんは、言うのを迷っているらしく、お湯呑みをまわしながら、お茶を見つめていました。
「お豊ちゃん、私らものすごい心配してたんやで!」
お春ちゃんがじれったそうに言いました。
「……うん。私のことクサイクサイって言い出して……」
「なんやそら……」
「初めは、家の中やったんよ。ゴハンも一緒に食べてたんやけど……、そのうち私の前だけ食事を置いてもらえなくなって、私は汚いから、お風呂も使うなって言われて……」
「そら、誰でも臭なるわ。」
お春ちゃんが、怒ったように言いました。

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他人事

お豊ちゃんの目からは後から後から涙が溢れ出ていましたが、まるで他人事のように話すのです。
まあばあちゃんは思いました。
お豊ちゃんは、ひどい目に遭わされている間、心を閉ざして耐えていたのではないかと……
「あんた、なんか他人事の見たいに話すなぁ。えらい目にあわされてんのに……。大丈夫か?」
お春ちゃんが心配そうに言いました。
「うん。そうなんよ。殴られたり蹴られたりしてるとき、頭の中で違う事考えてたわ。せやから、なんか半分、自分のことと違うみたいに思てるねん。」
「せやかて、体の痛みは本物やろ。」
「うん。そうやけど……。いつもまあちゃんとお春ちゃんに会いたい会いたいばっかり考えて、他の事考えへんようにしててん。」
「あんた、えらいわ。せやから、頭はしっかりてるんや。」
お春ちゃんは感心したように言いました。

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あざ


「お春ちゃん、大丈夫よ。わたしらは、みんな生きてるよ。」
と、お豊ちゃんが言いました。
「そ、そやな。」
お春ちゃんが、なんだかホッとしたような顔をしました。
「生き地獄やったけど……」
お豊ちゃんの手にポタポタっと、涙が落ちました。
「あんた、顔にアザあるやんか……。ちょっと見せてみ」
「ちょ、ちょっと!」
と言うが早いか、お豊ちゃんの止めるのも聞かず、お春ちゃんはお豊ちゃんの袖をまくりました。どこもかしこも青あざだらけでした。
お茶とお菓子を持って来た恭子ちゃん達は、固まってしまいました。ひろ子ちゃんはお豊ちゃんの青あざを見て、自分の過去の記憶を思い出したのか邦ちゃんの腰にしがみつきました。
「これは、かばい傷やな。あの大女にやられたんか……。ひどいな、力いっぱい殴ったんちゃうか……」
「ひどい……なんで……」
まあばあちゃんが、呟くように言いました。
「年金出せって言われて、でも、私、年金入ってもらってないやんか。だから、あんたの父親にお前に年金なんかいらんて言われてたからって言うたんよ。でも、年金のない年寄りなんかおらんわって言うて、殴る蹴るよ……。熱いお湯をかけられたりもしたわ。」
「そんなん、役所にでも行けば分かるやろに……」
「あと、家の権利書出せって言われたわ。私、言わなかってん。今まで言いなりやったのに、なんか意地になって……。またそれで、殴る蹴るよ……。」
みんな、言葉を失って、シーンとしていました。

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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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