二つの奇跡


「まあちゃん、お豊ちゃんが助かったんやて?」
驚いたことに、ひろ子ちゃんとお春ちゃんが手を繋いで、部屋に入ってきました。その後から邦ちゃんが入ってきました。
「……お春ちゃん……」
お豊ちゃんに名前を呼ばれて、そっちを向いたお春ちゃんは、驚いた声を上げました。
「いやー。あんた、痩せてしもてぇ。無事で良かった良かった。心配してたんやでぇ……」
お春ちゃんはお豊ちゃんに抱きつきました。
「あれ、まあちゃんは?」
お春ちゃん、まあばあちゃんがお布団で寝ていないので、キョロキョロしています。
「ここよ。お茶をどうぞ。」
「痛い!」
お春ちゃんがお豊ちゃんの頬をつねったのです。
「まあちゃんが、歩いてるなんて、私は夢見てるんか? お豊ちゃんが助かったんも夢か?」
「何言ってるの。」
まあばあちゃんは呆れたように言いました。
「それとも、あれか? ここはあの世か? それで、3人揃ってお茶してるんか?」
「お春ちゃん。」
まあばあちゃんが、お春ちゃんを呼びました。
「せやかて、さっきまで寝たきりやったまあちゃんが歩いてるわ、お豊ちゃんがあの家から逃げてくるわ。そんな奇跡が同時に起きるやろか?」
お春ちゃんは、まあばあちゃんとお豊ちゃんを見て、ポカーンとしていました。

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お春ちゃんに知らせよう!


「お豊ちゃん、しっかり暖まった?」
お風呂でホカホカ暖まった顔のお豊ちゃんに、まあばあちゃんが嬉しそうに言いました。
お豊ちゃんはずいぶん痩せていましたが、キレイになりました。
「有り難う。迷惑かけてゴメンね。」
お風呂にお湯が入るまでの間、お豊ちゃんは何度も帰ろうとしましたが、皆で引き止めて、お風呂をすすめました。
まあばあちゃんは、やっと外にできたお豊ちゃんをあの家に帰すのは危険だと思いました。
「そうだわ。お春ちゃんにも教えてあげましょう! お豊ちゃんが来てれたこと。」
「もう、電話したよ。お母ちゃん。邦ちゃんに電話したらすごく喜んでた。お春おばちゃん誘って一緒に来るって言ってたよ!」
と恭子ちゃんが言いました。
「ありがとう。」
―――ピンポーン、ピンポーン―――
「あつ! 来た!」
トモちゃんが、走って行きました。まあばあちゃんの側から離れなかったジロとミミちゃんがトモちゃんと一緒に出迎えに行きました。
ハッピーちゃんは、お豊ちゃんの膝に顔を置いて眠っています。
まあばあちゃんには、ハッピーちゃんもホッとしているように見えました。

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再会

「……お豊ちゃん……」
まあばあちゃんはお豊ちゃんの姿を見て、名前を呼ぶのがやっとでした。
お豊ちゃんとは思えない有様でした。やつれて痩せて、町ですれ違っても分からないのではと思うくらい変わり果てていました。
でも、最悪の事も考えていたまばあちゃんの目からは、安堵の涙がこぼれました。
まあばあちゃんの小さな目から後から後からポロポロと涙が出てきました。
「ヒック……心配してたんよ。お豊ちゃん、会いに来てくれてありがとうね。……ヒック、ありがとうね。」
ホッとしたのか、まあばあちゃんの膝がガクッと折れてしまい、トモちゃんも支えられなくなってしゃがみました。
「まあちゃん!」
お豊ちゃんが慌てて駆け寄りました。
まあばあちゃんは、お豊ちゃんの手を優しく握って、自分の頬に当てました。
「ああ、ずっと、神様にお願いしててんよ。お豊ちゃんに会わせてくださいって。」
「まあちゃん、まあちゃん!」
二人は肩を抱き合ってワンワンと大泣きしました。それからしばらくして、お豊ちゃんはハッとしたようにまあばあちゃんから離れました。
「どうしたの? お豊ちゃん?」
「私、凄く汚いから、近寄らんとくね。」
「何言うてんの!?」
まあばあちゃんは大きな声を上げました。
「でも、見て、手も顔もこんな垢だらけで、あちこち剥がれてきてる。髪もゴワゴワでフケだらけなんよ。こんなん、シラミがおるかもしれへんわ。恭子ちゃんも手ぇ洗ってね。」
お豊ちゃんは、ヨッコショと手をついて立ち上がろうとしました。まあばあちゃんは、その手をグッとつかみました。驚くほど強い力でした。
「お豊ちゃん、お茶しましょう!! あっ、その前にお風呂やね! こっちよ!」
「まあちゃん!?」
「おかあちゃん!?」
「おばあちゃん!?」
みんな、目を丸くして驚きました。それもそのはずです。
さっきまで足が立たず、トモちゃんに支えられてやっと、玄関まで来たまあばあちゃんが、―――ほとんど寝たきりだったまあばあちゃんが、立ち上がってお豊ちゃんの手をひいて歩いているのです。

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お豊ちゃんが来た

また、トモちゃんが、タタッとまあばあちゃんの元に戻ってきました。
「おばあちゃん、インターフォンでお話ししてみたら!」
と言いました。そして、トモちゃんの大きめダウンをまあばあちゃんに着せました。小さなまあばあちゃんだと、足まですっぽりです。
まあばあちゃんはトモちゃんに支えられて、なんとか台所に向かいます。トモちゃんがイスに座らせてくれました。
まあばあちゃんの家のインターフォンは旧式なので、台所にある受話器まで行かねばなりません。
トモちゃんが受話器を取って、まあばあちゃんに渡しました。受話器を耳に当てると、お豊ちゃんの声が聞こえてきました。
『こんな姿の私をみたら、まあちゃん、余計にひっくり返るわ。ごめんね。無性に会いたくなって来てしもたけど、やっぱりこのまま帰るわ。ごめんね。恭子ちゃん。』
「お豊ちゃん! お豊ちゃん!!」
まあばあちゃんは、お豊ちゃんが言ってしまうと思って必死で呼びました。
『え? まあちゃん?』
突然、まあばあちゃんの声がして、お豊ちゃんは驚いているようでした。旧式のインタフォンは、受話器を取ると、すぐに話せます。
「お願い顔見せてよ。ウチに入って! お願いよ。」
『まあちゃん。……』
トモちゃんも、一生懸命にお豊ちゃんに言いました。
「お豊おばあちゃんが来てくれなかったら、おばあちゃん、パジャマでそこまで行っちゃうよ。」
『え? え?』
お豊ちゃんは、戸惑った様子でした。
『お豊おばちゃん、とにかく入ってよ。』
『恭子ちゃん、ちょっと、ちょっと』
恭子ちゃんが、強引にお家に入れたようです。
トモちゃんは、かかえるようにしてまあばあちゃんを玄関まで連れて行ってくれました。まあばあちゃんの足はどうも言う事をきかなくなっていました。
お豊ちゃんが、恭子ちゃんにぐいぐい押されて、上り口に立っていました。
「まあちゃん……」

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インタフォンを押したのは……


恭子ちゃんが、なにか驚いたような声を出しています。
まあばあちゃんは心配で、はってでも恭子ちゃんの所へ行こうと思いました。
トモちゃんが、ダダダっと走って家の中に入ってきました。そして言いました。
「おばあちゃん、お豊おばあちゃんだよ!」
「―――え?」
まあばあちゃんは、一瞬、トモちゃんが何を言ってるのか分かりませんでした。
「だから、お豊おばちゃん!」
「ええ!! 入ってもらって、入ってもらって!」
「うん、ちょっと待っててね。」
トモちゃんが、タタッと表の方へ行きました。
耳を澄ませていると、恭子ちゃんの声が聞こえてきました。
「ね!! お豊おばちゃん、お母ちゃんに会っていってよ。ずーっと心配してるんよ。顔見せたげたら、安心するから!」
「…………」
お豊ちゃんの声は聞こえてきません。
「実は、今ね、お母ちゃん、寝たきりなんよ。」
「ええ!! どうして!?」
お豊ちゃんの驚いた声が聞こえてきました。確かにお豊ちゃんの声です。
「お豊おばちゃんのこと心配して、ずーっと泣いてるわ。お願い、会っていって! ね!!」
恭子ちゃんの必死な声が聞こえてきました。

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インターフォンが鳴った


「おいしいね。邦ちゃんは、何でも上手ね。」
と恭子ちゃんが感心したように言いました。
「そうでしょ。お母さん。」
トモちゃんもドーナツを頬張りながら返事します。
「お春おばちゃんも一緒にお茶すれば良かったにね。」
「そうだね。」
トモちゃんが返事しました。お春ちゃんは、邦ちゃんが帰ったらすぐに私も帰るわと言って、帰ってしまいました。
まあばあちゃんも、少しずつ口に入れて、美味しそうに食べています。
「お母ちゃん、ココアも一緒にね。ドーナツは、ちょっとだけのっつくでしょ?」
恭子ちゃんが、心配してココアを近づけました。
「大丈夫よ。有り難う。恭子ちゃん。」
「お母さん。チョコかかったドーナツとって。」
「はい。どうぞ!」
まあばあちゃんが、二人を嬉しそうに見ていましたが、ふっと心配そうな顔をして、
「冷えてきたわね。」
と言いました。恭子ちゃんは、側に置いてあった自分の上着をまあばあちゃんに掛けました。
「そうやね。これからどんどん寒くなるね……」
恭子ちゃんが、沈んだ声で言いました。
みんな、口にはしませんでしたが、お豊ちゃんのことを心配していました。

――――ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン――――
「あれ、お父さん?」
トモちゃんが、インターフォンの音に驚いて言いました。
「ううん。今日は、遅くなるはず……。私が出るわ……」
恭子ちゃんが、警戒した様子で言いました。硬い表情でインターフォンを取ります。
「はい。」
『―――――』
返事はありません。イタズラでしょうか?
恭子ちゃんは、気になって表へ見に行くことにしました。

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邦ちゃんが困ったら


ひろ子ちゃんがランドセルを背負って、タタタッと邦ちゃんの所へ走ってきました。
「じゃあ、私たちは帰るわね。また明日ね。」
「ほんまに有り難う!そこまで送るわ。」
「いいわよ。寒いから……」
「何言うてんのよ。ほらほら、行こう。」
と表まで、恭子ちゃんは見送りに行きました。トモちゃんもついて行きました。
ひろ子ちゃんも邦ちゃんは、なんども振り返って、手を振ってくれました。
恭子ちゃんとトモちゃんも大きく手を振りかえしました。二人は手を繋いで帰って行きました。
「邦子おばちゃんは、優しいね。」
「そうよ。邦ちゃん程、優しい人はそういないわよ。お母ちゃんが倒れてから、家の用事してくれて、すごい助かるわ。」
「うん。」
「ヘルパーやってたから言うて、お母ちゃんのお風呂までしてくれて、暖かい昼間に入れてくれて……。」
「うん。」
「邦ちゃんは、恩着せがましいところが、ちっともないから素直に甘えられるわ。だから、お母さんも邦ちゃんが困ってたら、精一杯、力になりたいと思うねん。」
「邦子おばちゃん、今は、幸せそうだね。」
「ほんま、ホッとしたわ。あのままじゃ、あんまりやもんね。」
「お母さん、邦ちゃんの作ってくれたドーナツ美味しいよ。食べようよ。」
「ご飯の前に食べたら太るで。」
「成長期だから大丈夫!」
恭子ちゃんとトモちゃんは、楽しそうに笑いながら家に入って行きました。

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ありがとう、邦ちゃん!


「ただいま~! 邦ちゃん、遅くなってごめんね~。」
恭子ちゃんが帰ってきました。
「「お帰りなさい」」
「はー。ただいま!」
「邦ちゃん、ごめんね。遅くなって。」
「お仕事、大丈夫なの?」
「うん。有り難う。邦ちゃんのおかげで、しっかりやってます。今日の分はキリがついてん。」
「ほんまに、毎日ゴメンね。」
「何言ってるんよ。私は、お手伝いさせてもらって嬉しいわ。」
邦ちゃんが、ニッコリ笑いました。
「今日のおかずは、トンカツにしたの。サラダは冷蔵庫、シチューは温めて食べてね。」
「わあ! ありがとう。いつも助かるわ。邦ちゃんは料理上手やね。」
「まあおばちゃんに、教わったからね。恭子ちゃん好みだと思うよ。」
「う……。それを言われるとツライ。わたしは、どうも家事はアカンわ。」
と、困ったように笑いました。
「じゃあ、帰るわね。」
「ほんとにありがとう、邦ちゃん!」
「恭子ちゃんは、いつもそう言ってくれるから、すごくやりがいがあるわ。」
邦ちゃんは、嬉しそうに笑いました。

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みんなでドーナツを!


「おばあちゃん、ただいま!」
「おかえりなさい。トモちゃん」
「お春おばあちゃん、こんにちは! あ……」
ともちゃんは、ハッとして口を押えました。
お春ちゃんは、まあばあちゃんのお布団の横にコタツを置いてもらって、コックリコックリしていました。こたつの上にはひろ子ちゃんの宿題が広げてありました。
「ひろ子ちゃん、宿題手伝おうか?」
「ううん! もう終わったの!」
「そう! ひろ子ちゃん、えらいね!」
そこへ邦ちゃんが、美味しそうなドーナツをカゴいっぱいに入れて持って来てくれました。お盆には暖かいココアも人数分乗っています。
「みんな、お茶にしましょう!」
「お姉ちゃんが帰ってくるの待ってたんよ!」
「ありがとう! 食べよ食べよ! ドーナツ大好き!」
「良かったわ。たくさん食べてね。」
「お春おばあちゃん、起きて! ドーナツ食べよ。」
トモちゃんが、お春ちゃんを起こします。
「……? あら、トモちゃん、お帰り。」
寝ぼけ顔で、トモちゃんを見ています。
邦ちゃんが、まあばあちゃんの体を起こして、小皿に入れた一口大の丸いドーナツを手に持たせました。まあばあちゃんも嬉しそうに頬張っています。
「お姉ちゃん、チョコレートかけたの美味しいよ。」
「美味しいね。 お砂糖掛けたのも美味しいよ。」
「ひろ子も大好き! はい。みんなにも!」
と言って、お行儀よく待っている。ジロ、ミミちゃん、ハッピーちゃん、チビちゃん、姫ちゃんにも、砂糖のかかってないドーナツを小さく切ってあげました。みんな美味しそうに食べていました。

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ゆりかごの歌


「ただいま~」
トモちゃんが元気よく帰ってくると、歌声が聞こえてきました。
―――♪ゆーりかごの歌を、カーナリヤが歌うよ~♫―――
まあばあちゃんとひろ子ちゃんの声です。
「あ! ゆりかごの歌だ。これ、小さい頃によく歌ったなぁ。」
トモちゃんが懐かしい気持ちで聞いていると、
「お帰りなさい。」
邦ちゃんが出迎えてくれました。
まあばあちゃんが臥せってから、ジロ達は、まあばあちゃんから片時も離れず側にいます。そのため、以前のようにハタハタと忙しそうに「おかえり、おかえり」とダンスするジロ達の姿はありません。トモちゃんは、それをちょっぴり寂しく思っています。
「ただいまデス。お弁当、とっても美味しかったです。」
「良かった。明日は何にする?」
と、邦ちゃんが聞いていると、
「お姉ちゃん、お帰りなさーい!」
と、ひろ子ちゃんが抱きついてきました。
「ひろ子ちゃん、ただいま~!」
お返しにトモちゃんもひろ子ちゃんをギューッと抱きしめました。
「今日は何してたん?」
「おばあちゃんに、お歌を教えてもらってたの!」
「どんな歌?」
「♪ゆーりかごの歌を~」
ひろ子ちゃんが、歌い始めると、奥の方からまあばあちゃんも調子を合わせて、歌い始めました。トモちゃんも一緒に続けて歌います。
「「♪ねーんねこー、ねんねーこ~、ねんね~こ~よ~」」
と歌います。
邦ちゃんが、微笑ましい様子ににっこり笑いました。

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元気が出ないまあばあちゃん

お豊ちゃんを訪ねる方法が思いつかないまま、もう何日も経ちました。
まあばあちゃんの体調も今一つです。どこが特に悪いわけありませんが、元気が出ません。大きな病院に連れて行ってもらって も、こわい病気が隠れているというのではありませんでした。
でも、起き上がって歩こうとすると、フラフラしてしまいます。
まあばあちゃんは、このまま寝付いてしまったらどうしようと心配でたまりません。
お豊ちゃんの様子も見に行けないし、無事かどうか知りたいのにその術さえ分かりません。
心配事が絶えないまあばあちゃんは、ため息ばかりついてしまいます。
「おばあちゃん、ため息ばかりついてるね。」
「そう? あらぁ、自分じゃ気付かないわ。」
「すぐに良くなるよ。おばあちゃんはいつも忙しくしてるから、疲れがたまってるんよ。」
トモちゃんもまあばあちゃんの悩みがそれだけではないと分かっていましたが、お豊ちゃんの事は口にしませんでした。
トモちゃんだけではありません。恭子ちゃんも邦ちゃんもあえてお豊おばちゃんの事を言いませんでした。みんな、お豊ちゃんのことを心配していましたが、何を言えばいいのか分かりませんでした。
お昼頃、お春ちゃんがやって来ました。
「まあちゃん、お豊ちゃんの家の前通ってきたけど、家中締め切ってたわ。庭も荒れ放題や。昭雄さんに盗られたうちの家と2軒続きであばら家みたいになってるわ。あんだけ汚かったら近所も迷惑やで。借金取りでも来てるんやろか?」
お春ちゃん!」
まあばあちゃんは小さな声で注意しました。
「あ! 昭雄さんは言うたらアカンかったわ。
お春ちゃんは、急に声を小さくして言いました。
邦ちゃんが台所で食事の支度をしてくれています。お春ちゃんの話が聞こえたのではと、ドキドキしました。
「それにしても、朝晩冷えてきたなぁ。明日はもっと冷え込むらしいわ。」
お春ちゃんが、心配そうに言いました。
お豊ちゃん、暖かく出来てるでしょうか?
まあばあちゃんは、またため息をつきました。
ジロが心配そうにペロペロとまあばあちゃんの手を舐めました。ミミちゃんはまあばあちゃんのお布団に入って寝ています。ハッピーちゃんは、心配そうに話を聞いているように見えました。

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左手のヤケド


「そ、そんな……」
まあばあちゃんは、思わずヤケドの痕のある左手を擦りました。
「お豊ちゃんにもヤケドの痕あるなぁ」
「そうなんよ。わたしは囲炉裏に落ちてね。よう覚えてないけど、こっちの手をついたんやと思うわ。お兄ちゃんが大慌てで冷やしてくれたわ。」
「親もビックリしたやろ。」
「うちの両親は厳しいっていうか。ほったらかしやったから、心配してくれたのは二番目のお兄ちゃんだけ……」
「……そうか……」
「私らの時代は、ちょっとしたことで、親や兄弟に、よう殴られたからね……。お豊ちゃんとこのご両親は優しかったみたいで、痕を治そうとあっちの病院こっちの病院って治してくれるお医者様を探してくれたみたいやけど……」
「今みたいに、自分の皮を治したいところに引っ付けるちゅう訳にいかんもんなぁ……」
「ほんまに、今はええ時代やね。」
「なぁ、まあちゃんはどない思う?」
「どないって……」
「わたしら、口は達者でも、体はか弱い年寄りや。ちょっと殴られたり、この寒いのに外へ放り出されたら、いっぺんで死ぬで……」
「うん。でも、死んだりはしてないと思うの。こんなほんまに同じようなところに同じような形のヤケドがあるんだもの。わたしが元気にしていれば、お豊ちゃんは、生きていると思うの。なにより、私より若いんだもの。」
「そうは言うてもなぁ。」
お春ちゃんは、良い案が出ないらしく頭を抱えました。

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今日の様子


まあばあちゃんが起き上がろうとすると、お春ちゃんが、
「ああ、ええで、そのままそのまま、ゆっくりしとき。」
と言いました。
「お春ちゃん、どう?」
「それがなぁ……。アカンかってん……」
(やっぱり……)
まあばあちゃんは思いました。昨日の様子を聞いて、今日もダメなのではと不安に思っていたからです。
「今日は、昨日より酷かったわ。ちょびっとだけ玄関開けて、ピシャッと閉めてしもたわ。」
「お春ちゃん、辛かったでしょう……」
「辛い事あらへん。せやけど、私だけの方がうまい事いくと思たのに……ごめんやで……」
「そんな……」
まあばあちゃんは何と言葉をかけて良いか分からず、言葉が続きませんでした。
「せやけど、昨日今日と、どないなったんやろか? 前まではそんな事なかったのに……」
「そうなのよ……」
「お豊おばさんに何かあったんでしょうか?」
お茶を持ってきた邦ちゃんが心配そうに言いました。
「何かって、何や?」
お春ちゃんが、驚いたように聞きました。
「それは……、分からないけど……」
邦ちゃんは、口ごもりました。そして、お春ちゃんがハッとしたように、
「まさか!」
「なに? お春ちゃん!」
「お豊ちゃん、死んだんちゃうやろな……」
「ええ!」
「だって、急にこないに態度が変わるっておかしいわ。あの娘、もらえるモンはもろとこっちゅうタイプやろ? それが急に弁当を受け取らんて、よっぽどのことがないと!」
「そんな馬鹿な……」
まあばあちゃんは、そんな恐ろしい事を考えたくないのですぐに否定しました。でも、お春ちゃんは、尚も言いました。
「せやけど、まあちゃん、次の日に会いに行ったら、お豊ちゃんは、大ケガしてたんやで!」

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お春ちゃんが帰ってきた


ガラガラガラと玄関の開く音がしました。
まあばあちゃんも邦ちゃんもドキッとしました。
「誰かしら……?」
まあばあちゃんが心配そうに言いました。
お春ちゃんなら、大きな声で何かしら言うのに、嫌な予感がして邦ちゃんは走って行きました。
いつもはしっかり締めている玄関のカギを今日に限って開けておいたのです。
お春ちゃんが、すぐに戻ってくるだろうからとまあばあちゃんが開けておこうと言ったからです。
優しいまあばあちゃんの気遣いは、間違いだったかも……
邦ちゃんが行ってみると、お春ちゃんでした。
「お母さん、何も言わずに入ってくるから、ドキッとしたわ。」
「……すまんな……」
そう言って、玄関に座ってしまいました。
「お弁当は、渡せた?」
お春ちゃんは首を振りました。
「車に入ってる。」
「嫌なこと言われたの?」
「いいや……」
「どんな感じだった?」
邦ちゃんが聞いているのに、お春ちゃんはドッコイショと立って、
「まあちゃんに話してくるわ……」
とションボリした様子で奥に行きました。

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お春ちゃんが一人でお弁当を届けに……

―――ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン―――
「お春が来たでー。」
お春ちゃんがあんまりけたたましくインターフォンを鳴らしながら呼ぶので、邦ちゃんが慌てて出て行きました。
「お母さん!」
「あっ、邦子、弁当、出来てるか? まあちゃんはどないや……。」
「今日は、だいぶ楽そうよ。」
「そうか、そら良かった。私、今日は一人でお豊ちゃんところ、行って来るから、あんた待っとき。その方が、受け取ると思うねん。な!」
「まあおばちゃんに会ってから行かないの?」
「まあちゃんの顔見てから行きたいけど、ゆっくりしてしまうよって先にお豊ちゃんの家に行って来るわ。早よ、弁当、持って来て!」
「はい。」
邦ちゃんは、お春ちゃんを一人で行かせるのは心配でしたが、言い出したら聞かないので黙っていました。
「ほな、行って来るわ!」
お春ちゃんは、気合いを入れて出発しました。

「邦ちゃん、お春ちゃんは?」
「先にお弁当を渡してくるって行きました。今日は受け取ってもえるでしょうか?」
「…………」
まあばあちゃんは、答えることが出来ませんでした。

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オカユを食べよう


「お母さん、おばあちゃんの目が覚めたよ。」
ひろ子ちゃんが、邦ちゃんに知らせに来ました。
「ありがとう。」
と言って、邦ちゃんはエプロンでパパッと手を拭くと、まあばあちゃんの所へ行きました。
「まあおばちゃん、気分はどうですか?」
「邦ちゃん……今日も来てくれたの。ごめんね。世話かけて……」
そして、誰かを探すような仕草をしていたので、
「トモちゃんは、学校へ行きました。恭子ちゃんも仕事に出ましたよ。」
「そう……」
まあばあちゃんは、ホッとしたような寂しいような顔をしました。
「恭子ちゃんも、今仕事が忙しいのに、昨日は早く帰って来てれて……」
「まあおばちゃん、オカユ食べませんか?」
「ごめんなさいね。動いてないからか、食欲がないのよ。」
「わたし、なんだかお腹すいてきて、一緒に食べませんか? ひろちゃんは?」
「ひろ子も食べる。おばあちゃんも食べよう!」
「まあ、ひろ子ちゃん、オカユ食べられるの?」
「うん!」
「そう、偉いわね。トモちゃんは、小さい頃はオカユが苦手でね。風邪をひいたときは困ったものよ。」
と言って、微笑みました。まあばあちゃんはトモちゃんの事を話す時、いつもいい笑顔になります。
「まあ、トモちゃんがまあおばちゃんを困らせたんですか?」
邦ちゃんもつられて笑いました。
「そうよ。でも、風邪をひいたときはオカユが一番でしょ? 頑張ってトモちゃんは食べたわ。」
「エライ!」
「でしょ?」
まあばあちゃんと邦ちゃんがアハハと笑いました。ひろ子ちゃんは意味が分からずに、キョトンとしていました。
「あはは、あー可笑しい。笑ったら、おなか空いてきたわ。オカユ作ってもらっていい?」
「はい!」
邦ちゃんは元気よく返事しました。

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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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