助かるわぁ!


まあばあちゃんの家の電話の呼び出し音が鳴りました。恭子ちゃんがパタパタと走って受話器をとりました。
「はい。」
『恭子ちゃん?』
「邦ちゃん! どうしたの?」
『うん。あのね、私、家の用事済ませたから、そっちに行ってもいい? 私、まあおばちゃんにお料理教えてもらってた時、ちょっとだけ家事もお手伝いしてたの……それで、家の事できたらいいなって……その……』
邦ちゃんが、差し出がましい事を言ってるのではと遠慮がちに話していると、恭子ちゃんは大喜びで、
「わぁ! いいの? 助かる。今日からどないしようと思ってたんよ。家のことやったら私よりトモちゃんの方が出来るくらいやもん!」
『じゃあ、今から行くね』
「あっ、登校時間まだでしょ? ひろ子ちゃんも連れておいでよ。」
『うん。ありがとう、ひろ子、喜ぶわ。待っててね。』
「ほな、おおきに~! ほんまに有り難う!」
今日もお父さんは先に出ているので、恭子ちゃんは、邦ちゃんとひろ子ちゃんが来るのを待って、自転車を勢いよくこいで行きました。

「ひろ子、おばあちゃんの側にいる。」
「ひろちゃん、まあおばちゃん、寝てるから、静かにね。」
「はーい。」
ひろ子ちゃんは、ジロとミミちゃんとハッピーちゃんに案内されて、まあばあちゃんのお部屋に行きました。
オッチャンの好みのお料理を教えてもらうために、まあばあちゃんの家を訪ねていたことが、こんなふうに役立てられるとは思いもしませんでした。
お豊ちゃんのお弁当の材料は昨日のうちに揃えていたので、それを持ってきました。台所の事は、よく分かっています。洗濯物もよく取り込んでいました。タンスになおしたことありませんが、分かりやすいように置いておけば、次の日に使えるはずです。
恭子ちゃんが、帰った時に困らないように、晩御飯も作っておこうと思いつきました。
冷蔵庫を開けると、まあばあちゃんらしく、キレイに整理されて野菜やお肉が並んでいます。卵もたくさんあります。
「今日の晩御飯は、温めたらいつでも食べられるオデンにするわね。恭子ちゃん。」
恭子ちゃんが、“助かるわぁ”と言ってるのが聞こえてくるようでした。

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胸騒ぎ


「お母さん、まあおばちゃんに、お弁当を渡せなかったことなんて言おう……」
邦ちゃんは、今の一番の気がかりを口にしました。
「それやねん。まあ、そのままいうしかないわな……。まあちゃん、ガッカリするやろなぁ。」
「……うん……」
確かにそうなのですが、邦ちゃんは、まあばあちゃんのガッカリする顔が浮かんで、申し訳ない気持ちになりました。

「まあちゃん、行ってきたで。」
「お帰りなさい。」
まあばあちゃんは二人が戻ってきたのに気付いて、起き上がろうとしました。
「まあちゃん、そのままそのまま、寝とき寝とき。」
「まあおばちゃん、無理しないで。」
と、邦ちゃんが、慌ててまあばあちゃんの体を支えました。
「ねぇ、今日は、どうだった?」
「それがなぁ……。挨拶もせんと、顔見るなりピシャッと玄関、閉めてしもてん……」
「まあ……」
「私が思うに……」
お春ちゃんが、神妙な顔つきで言いました。
「なに?」
「邦子が一緒やったからやと思うわ。」
「どうして?」
「うちらはずーっと弁当届けて、それなりに顔見知りやろ? そやのにいきなり知らん顔が来て、へそを曲げたんちゃうか?」
「そうかしら?」
まあばあちゃんには、あの女の人が、そんな繊細な心を持ってるようには思えませんでした。
「ごめんね。お母さん。」
邦ちゃんが、すまなそうに言いました。
「かめへん、かめへん。明日は私が一人で行ってみるわ。な、せやから、まあちゃんは心配せんときや!」
お春ちゃんは、胸を張って言いましたが。まあばあちゃんは胸騒ぎがしてなりませんでした。
今まで、無愛想ながらお弁当を受け取っていた連れ子の女の人。それが、今日は打って変わった態度です。まるで、まあばあちゃん達とのかかわりを一切断ち切ろうとしているように感じて、心配でたまりませんでした。
(お豊ちゃん、無事でいて……)
まあばあちゃんは祈りました。

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いわくつき


女の人が家の中に入ってしまったので、お春ちゃんは、慌ててインターフォンを何度も押しました。でも、それきり、女の人は出てきませんでした。
「なんや! 感じ悪い! 私の顔覚えてるはずやのに、挨拶もせんと!」
お春ちゃんは、顔を真っ赤にして悔しがりました。
「お母さん、今日は帰ろ……。また、明日来ましょ……。」
邦ちゃんが、言うと、
「そやな、ここにおってもしゃーないもんな。今日は帰ろうか……」
お春ちゃんが、不満そうに言いました。
「せやけどなぁ……、邦子、この班は呪われとるちゃかと思うねん。」
「え?」
「いゃな、私、家が借家になってものすごい落ち込んだけど、病気せぇへんようになったと思うねん。昔はなんやかんやと入院ばっかりで、邦子にも苦労かけてたやろ……」
「お母さん……」
「それにや、あんたもあの家出たとたん、気の合う人と一緒になって、キレイになったしなぁ……。家を盗られたんは惜しいてしゃーないけど、出て良かったかもしれん。」
お春ちゃんのものとは思えない言葉に、邦ちゃんは、返事するのを忘れていました。お春ちゃん自身も、大変な状況に変わりないのに、こんなに前向きな言葉を聞けるとは思っていなかったのです。
「それに、お豊ちゃんも災難続きやろ……、他の家も何どあるかもしれんで……。きっと、この班の土地にはいわくがあるで……」
何とも不謹慎は言葉に、邦ちゃんは、やっぱり返事が出来ませんでした。

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なにごと?


「邦子、あんたはここらで待っとき。」
「え?」
「わたし、一人で行ってくるから。なっ、そうし!」
もう少しで着くという時に、お春ちゃんが邦ちゃんに言いました。でも、邦ちゃんは、
「大丈夫! 昭雄さんは籍も外れて、全くの他人やもの。関係のない人やもん。怖くない。一緒に行こう。一緒に、お豊おばちゃんにお弁当届けに行こう。」
「そうか? ほな、行こう。」
邦ちゃんは、お豊ちゃんの家の庭を見て驚きました。
「お母さん……」
「えらいことなってるやろ。お豊ちゃんは、キレイ好きやったからな。花もメチャクチャや。」
「お豊おばちゃん、大丈夫かな……」
この家の状態を見て、お豊ちゃんが、大切にされていると到底思えませんでした。
「怪我した姿を見たきり、一回も会わせてもうてへんから、さっぱり分からんねん。怪我の具合も心配や。うちらの年になったら、しっかり治ることは無いからなぁ。」
邦ちゃんは、頷きました。邦ちゃんも自転車をぶつけられた時のケガの後遺症がまだ残っています。
「だいたいな。普通は友達が訪ねてきたら、おおきに言うて、会わせてくれるもんや。」
お春ちゃんは、そう言ってから深呼吸をして、インターフォンを押しました。
ガラガラと引き戸の玄関が開きました。
「おっ、開いたで。」
いつもの女の人でした。
「こんにちは! ええ天気やねェ。お昼持って来たで! お豊ちゃん、どないしてる?」
と、お春ちゃんが大きな声で言いました。
女の人は、ギロっと怖い目をして二人を睨むと、ガシャンと力任せに玄関を閉めてしまいました。
「な、なんや……」
お春ちゃんの声は震えていました。

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親子の会話


「邦子が一緒に来てれて、助かったわ。ほんまは心細かってん。」
「……お母さん。」
「今日は、天気ええなぁ。」
「ほんまやね。気持ちええね。」
久しぶりに話すためか、どうも会話がかみ合いません。邦ちゃんも、何か話そうと思うのですが、いい話題が思いつきません。
「あんなぁ……」
お春ちゃんが、そう言って口ごもりました。邦ちゃんは、何を言い出すのかと、少し緊張しました。
「まあちゃん、いつもお昼こしらえて、持って来てれるやけど、私、きちんとお礼、言うた事ないねん。『お春ちゃん、一緒に食べよう」って、自然な感じで言うてくれるもんやから、甘えっぱなしや。」
邦ちゃんもいつも感謝していました。本当は邦ちゃんがしなくていけないのに、昭雄さんと顔を合わさずに済むようにと、まあばあちゃんが、かって出てくれたのでした。まあばあちゃんには、いつもいつも励まされてきました。
「お豊ちゃんのことかてそうや。毎日毎日、あの無愛想な娘の顔しか見られへんのに、まあちゃんは、お弁当を届けに行くねん。私も一緒に届けに行ってるんやけどな。せやから、私、出来るだけ大きな声だして、“お豊ちゃん、まあちゃんとお春が来てるで”って知らせてるねん。」
邦ちゃんもお家に誰かが入り込んでくる恐怖は骨の髄まで味わっています。お豊ちゃんはご主人の連れ子という話ですが、あまりいい人ではないようなので、とても心配していました。
「まあちゃん、早う、良うなって欲しいわ。」
お春ちゃんが、しみじみ言いました。。

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一緒に行こう


「ね、邦ちゃん、お昼を届けるのは、お春ちゃんに任せて……。ね! 邦ちゃんが行くって言うなら、私が行くわ。」
まあばあちゃんは邦ちゃんの事が心配で必死に言いました。お春ちゃんも
「邦子、私一人で、大丈夫やで、まだまだシッカリしてるから。昭雄さんに会ったら嫌やろ?」
お春ちゃんが、こんなこと言うなんて驚きです。昭雄さんとよりを戻して欲しいなんて言っていたお春ちゃんの言葉とは思えません。今日、生き生きとしている邦ちゃんと話をして、考えが変わったのかもしれません。
邦ちゃんは、二人が心配しないように、
「はい。」
と、言いましたが。本当は、お春ちゃんと一緒にお豊ちゃんの家にお昼を届けに行こうと心に決めていました。
いつまでも昭雄さんの影を恐れていては、大事にしてくれるオッチャンや自分を頼ってくれるひろ子ちゃんに申し訳ないと思ったのです。
しばらく雑談をして、邦ちゃんは先にまあばあちゃんの家を出て、公園で待つことにしました。まあばあちゃんの家からお豊ちゃんの家に行くには、公園の前を通るのが一番、歩きやすいからです。
案の定、お春ちゃんの姿が見えてきました。
「お母さん!」
「邦子、あんた、待っててくれたんかいな!」
「やっぱり気になって。一緒に行こう。ね?」
「せやけどなぁ。私も心配やわ。」
「大丈夫やよ。お母さんと一緒やもん。」
「そやな。昭雄が出てきたら、私が、やっつけたるわ。」
と、かっこいい事をお春ちゃんが言いました。

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まあばあちゃんの頼みごと


「お春ちゃん、お願いがあるの。」
「なんや? なんでも言うてや。」
お春ちゃんは力強く言いました。
「お豊ちゃんの所にお弁当を届けてほしいの。」
「うん! 分かった。任せてや! ……せやけどなぁ……」
「なあに?」
「ほんまに、あの娘、まあちゃんの弁当をお豊ちゃんに渡してるやろか?」
まあばあちゃんもその不安はありましたが、
「でも、もし、そうだとしても……お豊ちゃんに私たちが訪ねてきてるのを感じてくれてるんじゃないかと思うの……」
「せやけどなぁ……。もうそろそろ、どないか外に出てきてくれてもええと思うねんけどなぁ……」
「お母さん、お弁当、届けに行きましょう。」
「邦ちゃん……!」
まあばあちゃんは驚いて声を上げました。
「私、昭雄さんの連れてきた女の人のお世話をさせられてた時、お母さんやまあおばちゃんや恭子ちゃんやみんなが私のこと心配してくれてると思うだけで、ほんとうに勇気づけられました。」
「邦ちゃん、邦ちゃんは行かないほうがいいわ。昭雄さんの家はお豊ちゃんの隣よ。ばったり会うかもしれないわ。」
「そうやねん。昭雄さんの出て行く話もなかなか進まへんしなぁ。」
お春ちゃんも渋い顔をしました。
「お豊ちゃんがおったら、またなにグズグズしてるねんて言われるわ。そやけど、長年住んでるもんを追い出すのんとか、先に離婚してるのんとか、家のローンは昭雄さんが払うてたやろ? 簡単にいかんのや……。悔しいわぁ! 大卒の頭を悪い事にばっかり使ってるんやで……!」
お春ちゃんは、涙目になって言いました。

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お春ちゃんは心配


「まあちゃん! まあちゃん!! 大丈夫か!! お春が来たで!」
「ありがとう。来てくれたん……」
「私が来たから、もう大丈夫やで!」
「お春ちゃん、ごめんね。心配かけて……。急に力が入らなくなって……。でも、お医者様にも見てもらったし、たくさん寝たから、ずいぶん良くなったわ。」
「そうかいな……。よかった~。邦子に聞いたときは、心臓ひっくり返ったわ。邦子も邦子や。電話して知らせてくれたら良かったのに……」
「大丈夫よ。大したことないんだけど、みんなが心配してくれて寝てるように言うから、甘えて寝てるんよ。」
「そうか? 思ったより元気そうで、良かったわ。」
「ねぇ。お春ちゃん、お昼、もうすんだ?」
「いや、まだやで。邦子に聞いて、すっとんできたから……。ああ、それにしても、お豊ちゃんは監禁されたまんまやし、まあちゃんは倒れるし……、どないなってるんやろ……。そのうちになんやもっと恐ろしい事が起きるんやないかと怖なってくるわ……」
「なに言ってるのよ……。大げさな……。こんなの病気のうちに入らないわよ。」
「そんなん言うたかて、うちら歳やもん。いつどないなってもおかしないやんか……」
お春ちゃんは、涙目になって言いました。

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全速力


「……あんた、えらいキレイになって……。へぇ……、ちょっと分からんかったわ。……へぇ……」
お春ちゃんは、よほど驚いたらしくマジマジと邦ちゃんを見ました。
邦ちゃんは、オッチャンと一緒になって、本当にキレイになりました。
薄化粧をして、髪は、ゆるくパーマをかけカラーを入れています。服装も今の流行を自分らしく取り入れて、とってもオシャレです。そして、なにより優しいオッチャンと楽しく暮らしているからでしょう。心が幸せだと体の中から、フワフワしたよい雰囲気が出てくるものです。
「で? どないしたん? ん? それ、まあちゃんの車やないか?」
お春ちゃんは、まあばあちゃんのシルバーカーを邦ちゃんが押しているのを見て驚きました。
「まあおばちゃん、疲れから倒れてしまって、今、寝てるんよ。」
「ええ!! そら、えらいこっちゃ! なんで、それを先に言わんねん!」
お春ちゃんは自分のシルバーカーをつかむと表に出ました。
「お母さん、もう落ち着いたから、心配ないんよ。」
「うちらの年になるとな、気の合う友達の励ましが一番の薬になるねん!」
お春ちゃんは、お春ちゃんの全速力でシルバーカーをグイグイ押していきました。

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邦ちゃんがお春ちゃんの家へ


「ふう……」
邦ちゃんは、小さくため息をつきました。
恭子ちゃんにはああ言いましたが、お昼の時間が近づくにつれ、気が重くなってきました。
昭雄さんと鉢合わせしてから、一度も行ってません。また来ているのではないかと思うと、ゾッとして足が向かないのです。まあばあちゃんから、お春ちゃんもずいぶん変わったと聞いていますが、過去の色々なことが思い出されて、恐ろしくなってしまうのです。
でも、まあばあちゃん達が自分を頼ってくれるなんて事は、初めてです。邦ちゃんは決心しました。まあばあちゃんを見ると、よっぽど疲れがたまっているらしく、よく眠っています。
「まあおばちゃん、お弁当を届けてきますから、安心してくださいね。」
まあばあちゃんの肩を軽くトントンとして、そう言うと、まあばあちゃんはウツラウツラしながら、
「ありがとう」
と言いました。

まあばあちゃんのシルバーカーに、お春ちゃんとお豊ちゃんのお弁当を入れると、まず、お春ちゃんの家に向かいました。
(なんて言おう……、こんにちは? 母親に“こんにちは”って……、お久しぶり? もっとおかしいわねぇ……)
と悩んでいるうちに、お春ちゃんの家に着いてしまいました。
とりあえず、インターフォンを押します。
しばらくすると、お春ちゃんが大きな声で何か言いながら、玄関を開けました。
「なんや、まあちゃん、今日はえらい早いな……」
お春ちゃんは、驚いたように、邦ちゃんを見ました。
「……え? ……邦子?」

どうして、お春ちゃんの家に行くのを悩んでいるのかは『訪問者』に……
もしも、ご興味を持っていただければすごく嬉しいです。

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邦ちゃんの心遣い

「ねぇ、恭子ちゃん、お仕事、忙しいんでしょ? 私が、まあおばちゃんの側にいるわ。」
「え? いやぁ……、それは助かるけど、悪いわ……」
「もう、お医者さんにも来てもらったし、私でも大丈夫でしょ? お母さんとお豊おばちゃんのお昼は私が届けるわ。まあおばちゃんの目が覚めたら、オカユをつくるわ。」
「……うーん。でも……」
「お母さんのお昼なんて、本当は私がしないといけないのに、まあおばちゃんに頼りっぱなしだし……。辛い時にいつも助けてもらって……。まあおばちゃんや恭子ちゃんには、いくら感謝してもしきれないもん。それぐらいさして。ね?」
「……でも、お春おばちゃん、……ええの?」
お春ちゃんの事を言われて、邦ちゃんの顔が少しだけ曇りました。
「大丈夫よ。自分の母親よ。今は、少しへそを曲げているだけやと思うの。」
「わたしも、そう思うけど、なんせ、口が悪いからなぁ……。あ……」
恭子ちゃんが、慌てて自分の口を押えました。そんな恭子ちゃんを見て、邦ちゃんはフフフと笑って、
「口は悪いけど、おなかに持ってないから、大丈夫……」
「そやね。ほんなら、甘えさせてもらってもいい?」
「大丈夫! 任せといて。ね?」
「ほな、今から行って来るわ。おおきに!」
そう言うと、恭子ちゃんは、仕事に行きました。

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気持ちは元気?

「情けないわ。こんなことになって……健康だけが取り柄だと思っていたのに……」
まあばあちゃんは、涙ぐんで言いました。
「なにいってんの。ちょっと疲れが出たくらいで。そんなん、しっかり寝てたら治るわ。」
「あら! 恭子ちゃん、お仕事は? 今、すごく忙しいんでしょ? お父さん、一人じゃ大変よ。行って行って!」
急にシッカリした口調で恭子ちゃんに言いました。
「今日は休むわよ。心配やもん。」
「何を言ってるのよ。私は寝てるだけだから、恭子ちゃんは仕事に行きなさい。」
と言って、起き上がろうとします。
「ちょっと、ちょっと……。お母ちゃん……。」
恭子ちゃんは慌てて、まあばあちゃんを横にしました。
「それに、お春ちゃん達のお弁当もやりかけだし、お洗濯もまだだし……」
また、寝かせたと思ったら、また起き上がってきます。
「お弁当は、お母ちゃんがオカズ作っといてくれたから、ちゃんとお弁当箱につめといたよ。私が届けに行くから……。お洗濯もしたよ。だから、今日は寝ててよ。」
「まあ……。恭子ちゃんがちゃんとしてくれてるのね……」
まあばあちゃんは、ちょぴり淋しそうに笑ってパタンと寝てしましました。
「じゃあ、ちゃんと寝てるから、恭子ちゃんはお父さんの所に行って。お父さん、大変でしょ。」
しばらくすると、まあばあちゃんはウトウトしはじめました。

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邦ちゃんがお見舞いに

「あっ、オッチャン! お早うございます!」
「おう! ばあちゃんどないしたんや!」
「母はですねー」
と言いながら、恭子ちゃんは大慌てて階段を下りました。まあばあちゃんが倒れたことを大きな声で言いたくなかったのです。特に理由は無いのですが、なんだか大きな声で言いたくなかったのです。
「はあ、そうかぁ……。疲れか……。ばあちゃん、友だちのことで気をもんでたもんなぁ。わしも、ばあちゃんに知らせたろう思って、家の前を通ったりしてんねんけど、サッパリや……。これ、野菜持って来てん。また、みんなで食べたって。ほな、わし、これで帰るわ。」

―――ピンポーン、ピンポーン―――
しばらくして、インターフォンが鳴りました。
「あら! 邦ちゃん!」 
「今、主人に聞いて、まあおばちゃんが心配で、居てもたってもいられなくて……」
「上がって、上がって!」
「お邪魔します。」
「あー。まだ、眠ってるわ。そこ座っててよ。もう、だいぶん眠ったから、しばらくしたら目を覚ますと思うねん。ごめんな。」
「ううん。顔見に来ただけやから……」
「あっ、お茶入れるわ。お菓子もあるよ。100円菓子ばっかりやけど……」
「あっ、恭子ちゃん、お構いなく……。すぐ帰るから……」
「なんでよ。私も今日は、仕事休むし、しゃべろうよ。」
恭子ちゃんと邦ちゃんがお話していると、まあばあちゃんが目を覚ましました。
「あら? 邦ちゃん?」
邦ちゃんが、いるので不思議そうな顔をしています。
「お母ちゃん、目ぇ覚めた? 気分はどない? 邦ちゃんが心配して見舞いに来てくれたんよ。」
「これは?」
まあばあちゃんが、チューブを見て言いました。
「点滴よ。」
「まあおばちゃん、具合はどうですか?」
「まあ、ふたりともありがとうね。」
まあばあちゃんは力なく笑いました。

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洗濯を干しに

「ええ~と。洗剤の量はこれくらいやんな……。」
恭子ちゃんは、説明書きを良く確かめながら、洗濯機に洗剤を入れました。
「洗濯もん出来るまで何しよう……。掃除しよう。ええ~っと、雑巾は……っと……。あったあった! はぁ、いつもお母ちゃんに任せきりやったから、どこに何があるか分からへんわ。」
と、恭子ちゃんは、ため息をつきました。でも、そんなことはありません。まあばあちゃんは、自分が倒れた時のために、身の回りのことや何をどこに直しているか、いつも恭子ちゃんにいろいろお話しています。が、恭子ちゃんはまあばあちゃんにいつでも聞けると思って、きちんと聞いていなかったのです。
恭子ちゃんは、まあばあちゃんの様子を見に行きました。よく眠っています。
「掃除機かけたら起きてしまうかなぁ……。あっ、そうや、その前に、お豊おばちゃんとお春おばちゃんにお弁当作ってるんやったなぁ。あと、詰めるだけやんな。それをやってしまおう!」
まあばあちゃん達のお昼をお弁当箱に詰め終え、2階の洗濯干し場に洗濯物を干していると、おっちゃんに声を掛けられました。
「恭子ちゃんやないか! どないしたんや? 洗濯もんなんかして、ばあちゃん、どないかなったんか!?」
驚いたオッチャンがご近所中に聞こえるような大きな声で言いました。

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おとし


「先生、母はどんな感じですか?」
「心音もキレイだし、意識もはっきりしているし。夏の疲れが今頃に来たんでしょう。」
「そうですか。」
「点滴を打っておいた方がいいと思います。後で、看護婦をよこしますから、その時に薬も持たせます。」
「ありがとうございます。」
先生は帰り際に玄関口で、
「なにぶん、お年ですから、用心なさってください。」
「…………はい……」
恭子ちゃんは、“お年”と言う言葉に、ドキッとして返事するのがやっとでした。
いつも健康に気を付けていて、いつも元気なまあばあちゃん。恭子ちゃんだって、まあばあちゃんが、何歳かなんて分かっていますが、先生から“お年”とか“用心”という言葉を聞くと、現実を突き付けられたようで、心がキュッとなったのです。
「ほな、わし、今日は一人で行くわ。」
お父さんの声で、恭子ちゃんはハッと我に返りました。
「ごめんね。お父さん。」
「お母さんの側におったって。」
と言って、お父さんは仕事に出かけて行きました。
「ええっと、何しようか……。あっ!! お父さんに朝ごはんするの忘れてたわ。あ~しまった~」
恭子ちゃんは、頭を抱えました。
「あんたら、一回目の散歩の後に、ご飯すんでるもんな。二回目の散歩は、もうちょっとしてからやったね……」
ジロとミミちゃんとハッピーちゃんは、心配そうにまあばあちゃんの側に寄り添っています。
「ええっと。洗濯でもしよっか! うん。そうしよう。よし!」
恭子ちゃんは、気合いを入れて家事を始めることにしました。

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めまい


「……あら、変ね……。……どうしたのかしら?」
と言って、まあばあちゃんは、流し台につかまりました。
いつものようにお弁当箱にオカズを詰めていると、突然めまいがしました。そのまま立っていられなくって、倒れ込んでしまいました。
いち早く気付いたジロが、すぐにトモちゃん達を起こしに行きました。ミミちゃんもハッピーちゃんもついて行きました。
トモちゃんとお父さんとお母さんの顔を舐めまくります。そして、こっちこっちというように、頭を台所の方へ向けて、ステップを踏みます。その様子でみんなハッとして、台所に走って行きました。
「おばあちゃん!!」
慌てて、布団を敷いて、まあばあちゃんを寝かせます。
「……大丈夫よ。少し休めば良くなるから……。みんな自分の事をしてね。」
まあばあちゃんは、こんな時でも、自分のことは後回しです。
お父さんは、いつもお世話になっている近所のかかりつけの先生に電話しました。まだ朝早いというのに、先生は駆け付けて下さいました。
「先生!」
トモちゃんが、出迎えました。
「トモちゃん、トモちゃんは、このまま学校へ行きなさい。」
と、お母さんが言いました。
「ええ! いややよ。せめて先生の診察が済んでから行くよ。」
「そんなことしてたら、遅刻するでしょ! ハイ! お弁当と鞄。忘れ物ない?」
「ねぇ、お母さん、今、仕事忙しいんでしょ? 私、学校休もうと思っててんよ。」
「おばあちゃんは、トモちゃんが元気に休まず学校に行くのが一番嬉しいの。おばあちゃんのために学校を休んだなんて知ったら、それこそ寝込むわよ。」
「でも……」
「さあ! 行った行った! 行ってらっしゃい!」
と、トモちゃんはお母さんに追い立てれるように家を出ました。

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もうすぐ


―――もう10月になりました。まだ、お豊ちゃんに会えていません。―――

インターホンを押して出てくるのは、いつもの大柄な女の人です。
少しだけ、変化が表れました。
「すまんね」から「ありがとう」に変わったのです。
このことが、まあばあちゃんにはとても大きな変化に感じられました。
もう少しすれば、お豊ちゃんに会わせてもらえるかもしれない、そんな気がしてきました。
インターホンを押す指にも、期待が込められます。
秋風が爽やかに頬を撫でていきます。日差しもずいぶんと柔らかくなってきました。お天道様も応援してくれているような気がします。
「ねぇ、ジロ、ミミちゃん、ハッピーちゃん、もうすぐお豊ちゃんに会えるような気がするの。そしたら、一番に何を話そうかしら。」
ハッピーちゃんをお豊ちゃんに代わって預かることになった翌日、お豊ちゃんの家に行くときハッピーちゃんを連れてくのを迷っていましたが、ジロとミミちゃんにリードを付けているのを見ると、自分もつけてほしいとハタハタしました。それで、一緒に連れて歩いてるのですが、上手に歩くので、ちっとも苦になりません。最近では、お昼を届ける時は、特に嬉しそうにピョンピョンするようになりました。これは、ハッピーちゃんもお豊ちゃんに会える日が近いと感じているのではと、まあばあちゃんは思いました。
(もうすぐ、もうすぐ、きっともうすぐ会えるわね。そしたら、たくさんお話ししましょうね!)
まあばあちゃんは、力強く歩き始めました。

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秋の気配が……


今日もまあばあちゃんは、朝からみんなのお弁当を作っています。お豊ちゃんの分も……
今日は、美味しいサツマイモを頂いたので、イモご飯にしました。みんなの大好物で。お春ちゃんもお豊ちゃんも大好物です。おかずはシャケに、ちくわにチーズを挟んだもの。それからひじきの煮物にしました。
お弁当箱に詰めると、彩りよくまとまりました。お弁当もすっかり秋の気配です。
たくさんあるので大学芋も作りました。
オッチャンと邦ちゃん、そしてひろ子ちゃんの分も……

あれから、毎日通っていますが、一度もお豊ちゃんの顔を見ていません。去年の今頃は、秋の紅葉を待ちながら、公園でお弁当を食べたものでした。お花が好きな豊ちゃんは、まあばあちゃんが、
「まあきれいなお花ねぇ。なんていうのかしら?」
と聞くと、
「それは、マリーゴールドよ。」
「へぇ、お豊ちゃん、詳しいのね。」
「これは?」
「これはね……」
お豊ちゃんは、いつも優しく答えてくれました。
お豊ちゃんの鉢植えは庭に転がったまま、片付けられていません。
あんな放り出しておくのなら、お豊ちゃんが大事にしてるものなのに、そっとしておいてくれればいいのに……
お春ちゃんが話していたように、会わせてほしいと言っても、今は寝てるとか、忙しいとか言い訳ばかりされて、会わせてもらえないけれど、お豊ちゃんの家に通うのを止めてしまったら、このまま縁が切れて、お豊ちゃんと永遠に会えなくなるような気がしました。
あれから、お春ちゃんと二人で訪ねて行くようになったので、お豊ちゃんに声が届くようにと、二人で出来るだけ大きな声で話をしています。
(お豊ちゃんに聞こえていますように……)
まあばあちゃんはそう願ってやみません。

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一人より二人で


「それにお弁当は受け取ってくれるでしょ。顔合わせる回数が増えれば、なんとなく親しみがわくもんだと思うの。」
「う~ん。そういうタイプには見えへんけどなぁ。……それに、昭雄さんの事でつくづく思ったけど、この世には二通りの人間がおると思うねん。親切に親切で応えたいと思う人、お豊ちゃんが預かってた犬の飼い主なんかはそうやわな。」
まあばあちゃんは頷きました。お春ちゃんの言いたいことは分かっていました。
「昭雄さんやあの薄気味悪い女は、親切したら、こいつアホやから、ええように使ったれて考える人間やと思うねん。これは、今、お豊ちゃんの所にいるあの連れ子もそうやわな。」
「…………」
「あのお豊ちゃんや、連れ子にも尽くしたと思うわ。それをあんな扱いや。ぜったいおっとろしい人間やと思うねん。まあちゃんの気持ちに応えるとは思えんわ。」
「そうかもしれないけど、わたし、お豊ちゃんの家に行ったとき、出来るだけ大きな声を出してるの。お豊ちゃんも私が毎日来てるってことで、少しでも元気づけられたらって……今は外へ出ないようにきつく言われてるのかもしれないけど、勇気が出れば、お豊ちゃんが自分で外に出てくるかもしれないでしょ。怪我のことだって、本当の事を教えてくれるかもしれないでしょ。一人じゃないって、心配してる人がいるって伝えたいんよ。」
まあばあちゃんは、辛い目にあってるお豊ちゃんの事を思うと涙がにじんできました。
「そうやな。まあちゃんの言う通りやな。わたしもお弁当持ってくのついて行くわ。どうせ、家の前うろうろしてても、ちっともお豊ちゃんに会われへんしな。一人より二人の方が、大きな声になるで。二人もいっぺんに来てるて分かった方が、お豊ちゃんが元気でるかもしれんで……」
まあばあちゃんは何度も頷きました。

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根競べ

まあばあちゃんは、肩を落としたままお春ちゃんの家に向かっています。お春ちゃんの家に着くまでに、気を持ちなおさなくてはと思っていたら……
「あっ! まあちゃん、来た来た。」
お春ちゃんが、家の前に立っていて、まあばあちゃんに手を振ってくれました。
「あら、お春ちゃん、外で待っててくれたの?」
「せやねん。まあちゃんの事やから、今日もお豊ちゃんの所に、お昼持って行ってるやろ思うて、気になって……。どうやった? 会えた?」
まあばあちゃんは首を振りました。
「そうか……」
お春ちゃんもションボリして言いました。それから、パッと顔を上げて、
「お豊ちゃんの話は聞けた? ケガはどないて?」
「ごめんね。それも聞けなかったんよ……。どうも話がうまく出来なくて……」
「せやけど、弁当だけはとったんとちゃうん?」
まあばあちゃんは驚いて目を丸くしました。
「どうして、受け取ったって分かるの?」
「見るからに、食い意地の張った顔してるもん。ちゃんとお豊ちゃんに渡してるんかいな……」
お春ちゃんが、口をへの字に曲げて言いました。
「それは大丈夫よ。ちゃんと、お豊ちゃんにってお願いしたから……」
「そうやとええけど……」
「なかなか会わせてもらえないけど、毎日、尋ねて行けばそのうちに会わせてもらえると思うの。」
「うーん……」
お春ちゃんが、難しそうな顔をしました。
「それに、毎日会わせてほしいと言い続ければ、断ってばかりも悪いなって思ってくれるかもしれないでしょ。こうなったら根競べよ。それなら、わたし、負けないわ!」
まあばあちゃんは自分を励ますように言いました。

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会えますように

次の日もまあばあちゃんは、お豊ちゃんの家に行きました。
―――ピンポーン―――
まあばあちゃんは、お豊ちゃんが出てきてくれることを願って待ちます。
今日はちらしずしを作ってきました。
(今日は会えますように……)
まあばあちゃんの願いもむなしく、例の女の人が出てきました。
「あの……、これ、お豊ちゃんに……、少しですが、良かったら皆さんも……」
「すまんね。」
昨日と同じ言葉を言って受け取りました。
「あの……、お豊ちゃんのケガの具合はどうですか……」
「おかげさんで……」
「あ、あの……」
まあばあちゃんが、なんとか声を掛けると、チラッとだけ見て、家に入ってしまいました。
少しだけでもお豊ちゃんの事を聞きたかったのですが、ポツンと置き去りにされたような気持ちになりました。
しばらく待っていましたが、お豊ちゃんが出てくる気配はありません。
仕方がなく、まあばあちゃんはその場を離れました。

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5人


「5人って……」
「娘夫婦やろ、孫娘やろ、その孫娘が離婚して子どもが二人……。全部で5人……」
「5人……」
「5人いうたら、大層な数やで、お豊ちゃん、追いやられてしもて、居場所あらへんのと違うか……」
「でも、よく分かったわね。」
「警察の人が聞いたら、しゃべったそうやわ。」
そう聞いて、まあばああちゃんは納得したように頷きました。
「でも、5人も一度に来たら、大変よね。」
「そうやねん。考えただけども、おとろしいわ。私、お昼食べたら、お豊ちゃんの家に行ってみるわ。なんや落ち着かへんわ。」
「私も行くから、お春ちゃん、無理せんといてよ。膝の調子良くないんでしょ?」
「ははは、まあ、そうやねんけど、まあちゃんかて一緒やろ。まあちゃんはよう歩いてるさかい、だいぶシッカリした足してるけど。なんや、お豊ちゃんが心配で行くから、歩き回るのも苦にならへんのよ。あんまり心配せんといて。」
まあばあちゃんは、小さく頷きました。
「せやけど、なんやな、この部屋に3人も来たら狭いなぁと思ててんけど、お豊ちゃん一人来ぇへんだけで、ポカーンと大きな穴が空いたみたいに広く感じるわ。寂しい昼ごはんやなぁ。お豊ちゃんは、いつもシャカシャカ動いてるから、今ぐらいは、食器でも洗い始めてるで……」
ショボンと、食べ終わったお皿を見つめていました。
「『あんたも、しぃや』とか言うもんやから、うるそうに思てたけど、寂しいわぁ。お豊ちゃん、どないしてるんやろ。一人しか顔見てへんけど、大事にしてくれるような面構えちゃうもんなぁ……。大丈夫やろか……」
お春ちゃんが、心配そうに言いました。

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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
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