解決


「仕事で疲れてるところゴメンやで。」
お巡りさんが、お兄ちゃんの車にへばりついているお春ちゃんの横から、声を掛けました。
「悪いんやけど、運転免許証だけ見せてくれるかな?」
「はい。」
お兄ちゃんは、お巡りさんに運転免許証をすぐに見せました。
「はい。それでは、どうぞ行ってください。」
お巡りさんは、お兄ちゃんに敬礼するとそう言いました。
お兄ちゃんは、おまわりさんとお春ちゃんに頭を下げると行ってしまいました。
「なんか、この辺りがモヤモヤするわ。」
お春ちゃんが、胸のあたりを擦って言いました。
「それでは、私たちも行きますので、お散歩気をつけて続けて下さいね。」
お巡りさんは、まあばあちゃん達にキチッと敬礼すると、パトカーに乗りました。
まあばあちゃん達も敬礼して、パトカーのお巡りさんを見送りました。パトカーのお巡りさんは、軽くクラクションを鳴らして発信しました。3人のおばあちゃんたちはパトカーの姿が小さくなるまで手を振って見送りました。
「パトカーの人、どっちもイケメンやったなあ。」
お春ちゃんが、ポツリと言いました。

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おさわがせ


ツッカケを取りに来たのは、若い男の人でした。
お春ちゃんに呼び止められたことに驚いたのか固まっています。そして、遠慮がちに、
「あの……、これ、僕のです。」
「はぁ? そら、おかしいわ。車乗ってるのに、ツッカケ取りに来るって……」
「これ、まだ買ったばかりなんです。土足で乗るのイヤヤなぁと思って、車に乗るときは脱いでるんです。」
「…………」
三人とも意味が分からないのか首をかしげています。お春ちゃんが再び口を開きました。
「せやかて、おかしいわ。なんで、こんな何にもないところに、ツッカケ置いたぁるん?」
「そこのポストに手紙を入れるのに、履物ここではいたんです。家に帰って、はこうと思った時に、初めて忘れたことに気ィ付いたんです。途中で車を止めたのはココだけだったので、どこで忘れてきたのかは、すぐに分かりました。」
「せやかて、そんな朝早うにポストに入れるか?」
「僕、夜勤明けなんです。」
「ヤキンアケてなんや?」
お春ちゃんが、怪訝そうに聞きたので、まあばあちゃんは慌てて、
「お春ちゃん、お兄ちゃんは夜中じゅうお仕事されて、今から帰らはるところなんよ。もう、疲れてはるから、引き止めたら悪いわ。すいません。お騒がせして……」
「まあちゃん。」
お春ちゃんは、まだ、納得できない様子でしたが、まあばあちゃんは、
「すみませんでした。」
と、もう一度お兄ちゃんに謝りました。

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現場を仕切る


「これは、お巡りさん! ええ時に来てくれはったわ! あれ、見て下さいや。」
お春ちゃんは、ツッカケを指さして言いました。
「キレイに揃えられたツッカケが、道のど真ん中に置いてあるって不思議でしょ? 履いてた人はどないなったんでしょう?」
お豊ちゃんが、付け加えました。
「せやのに、遺書がないねん。どっか飛んでいってしもたんやろか? アレかいなと思って見に行ったらビニール袋やったしなぁ……」
お春ちゃんが、風に吹かれてフワフワ揺れている白いスーパーの袋を指さして言いました。
「お巡りさん、これは、事件やで……! これは、自殺に見せかけてた殺人かも知れん。ここにツッカケを揃えさせた後、どっかに連れて行って……、ああ、恐ろしい!」
お春ちゃんは、みなまで言うことが出来ず、身震いしました。
お巡りさんは、お春ちゃん達の言う事を、熱心な様子で聞いてくれています。
その時、
一台の赤い車がツッカケの前で止まりました。そして、あろうことかツッカケを取り上げました。
「あんた、ちょっと待ち、これから、刑事さんが現場を調べてくれるんやさかい!」
お春ちゃんが、慌てた様子で言いました。お巡りさんから刑事さんに変わっています。
お春ちゃんの方が、現場を仕切る刑事さんのようです。

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3人で手を合わせる


「せや、遺書はどこやろ?」
お春ちゃんが、キョロキョロしながら言いました。
「「遺書?」」
まあばあちゃんとお豊ちゃんが、一緒に聞き返しました。
「そうや、自殺やったら、遺書あるやろ? 探したらんと可哀想やで。」
確かに……と二人は思いましたが、返事が出来ませんでした。
「あ! あれちゃうか? なんや白いもんが落ちてるで。私、見てくるわ。」
お春ちゃんは、言うより早くシルバーカーを押して、一筋向こうの通りへ向かって歩いて行きました。
「お春ちゃん、たいしたもんやね。私、日頃、偉そうに言うてるけど、どうもこういうことは気後れするわ。」
と、お豊ちゃんが感心したように言いました。
「ほんとうね。」
まあばあちゃんも頷きました。
「あら。」
お春ちゃんは、もうこちらに向かってシルバーカーを押していました。まあばあちゃん達に向かって、首を横に振りながら近づいて行きます。
「どないしたん?」
お豊ちゃんが、聞きました。
「違うかったわ。スーパーの袋やったわ。ちっこいから遺書かと思ったんやけど……。可哀想に……。どっかにいってしもたんやろか……」
お春ちゃんは、申し訳なさそうに言いました。
「せやけど、仏さんはどこにいてはるんやろ?」
お豊ちゃんが、首をかしげました。
「ほんまやなぁ。これは、謎やな。」
お春ちゃんが、難しそうな顔で頷きました。そして、
「せや、うちら、まだ、手も合わせてへん。悪いことしたわ。早よ、成仏してもらわんと!」
お春ちゃんとお豊ちゃんは慌てて手を合わせました。
「ほら、まあちゃん、ボケッとせんと手ぇ合わしや!」
「あっ、はい。」
まあばあちゃんも急いで手を合わせました。
三人が、誰の物ともわからないツッカケに手を合わせていると、パトカーが止まりました。
「どうされました?」
若いお巡りさんが、まあばちゃん達に優しく尋ねました。

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早朝の怪


今朝は、お春ちゃんといっしょに散歩です。お春ちゃんのシルバーカーの中には、ふわふわのバスタオルの中で、大きな目を開けてお春ちゃんを見つめているミィちゃんがいます。
「あら、お春ちゃん、めずらしい」。
向こうから、ハッピちゃんを連れて歩いて来たお豊ちゃんが声を掛けてきました。
「せやねん、まあちゃんがな、散歩せなアカン言うて、誘いに来てくれてん。」
と、お春ちゃんが言いました。まあばあちゃんがそれに合わせてニッコリ頷きました。
「ほな、行こか。私、久しぶりやから、あんまり早う歩かれへんで……。」
自信の無さそうなお春ちゃんに、二人は、
「大丈夫や、ゆっくり行こう。」
「そうよ、おしゃべりしながら行くんだから。」
と、励ましました。
「せやな、ありがと。」
お春ちゃんは、嬉しそうに返事しました。そして、
「ん? あれ、なんやろ? ツッカケちゃうか……?」
まあばあちゃんとお豊ちゃんがお春ちゃんの指さす方を見ました。
「あら、ほんと、お行儀よく並んで……。」
「道路の真ん中に……」
車道の中央に、履物がきちんと揃えて置いてありました。まるで……
「自殺しはったんやろか?」
お豊ちゃんが、ハッピーちゃんを抱き寄せて言いました。
「履物を置いとく自殺いうたら、あんた、飛び降りか首吊りやろ。」
と、お春ちゃんが、呆れたように言いました。
「……お春ちゃん!」
まあばあちゃんは、罰当たりな言い方をするお春ちゃんを叱るように呼びました。
そんなこと言ったら、なんだか祟られそうな気がしたのです。
「せやな、こんなん言うとって、側で聞かれてたら、憑かれるかも知れんもんな……。」
お春ちゃんも、ハッとしたように自分の口を押えました。
ポツンと淋しげに残されたツッカケには、どんな意味があるのでしょうか…

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お春ちゃんに抱かれて


まあばあちゃんがお春ちゃんの家に戻ると、お豊ちゃんが脱脂綿に牛乳を吸わせて飲ませていました。
おなかが空いているのか、口のあたりにこぼれている牛乳をなめるのに必死です。
「哺乳瓶、持って来たわ。」
「あ、ありがとう、そこに牛乳あんねん。そろそろ、ひと肌やと思うわ。」
用意された牛乳を哺乳瓶に入れて、お豊ちゃんに渡しました。哺乳瓶を口に当ててやると、美味しそうにゴクゴク飲んでいます。
「お腹すいてるから、ごくごく飲むわ。」
お豊ちゃんが、ホッとしたように言いました。
しばらくすると、おなかがいっぱいになったのか、電池が切れたようにクタッとなってしまいました。
「死んだんか?」
お春ちゃんが、ビックリして子猫を覗き込みました。
「お腹がいっぱいになったから眠ったのよ。ほら、フワフワととても気持ちのいい息してるわ。」
まあばあちゃんが、子猫の口をハンカチで優しく拭いながら言いました。
「ボテッとなったから、、死んだんか思ったわ。ああ、ビックリした。そうかおなか一杯になったからかいな。」
「ほら、あんた、抱いてみ!」
お春ちゃんはお豊ちゃんから子猫を受け取ると、優しく抱きしめました。
子猫は、お春ちゃんが頬ずりしてもギュッと抱きしめてもフワフワ眠ったままです。
「ホンマに死んだんか思ってビックリしたで、お豊ちゃんがガブガブ飲ませるもんやから、
良かった、良かったなぁ。」
どこかカチンとくるお春ちゃんの言い回しでしたが、お豊ちゃんは何も言いませんでした。
幸せそうに子猫を抱いているお春ちゃんを見ていると、温かい気持ちになったからです。
「あんたに、抱かれて安心してるわ。」
と、お豊ちゃん。
「そうか?」
お春ちゃんは、さらに嬉しそうに笑いました。

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お春ちゃん と ねこ


まあばあちゃんがお昼ごはんを持って、お春ちゃんの家に行くと、中からミャーミャーと可愛い鳴き声が聞こえてます。ジロとミミちゃんは、その鳴き声を聞いてまあばあちゃんを見上げます。
小さな声なので、外にいるまあばあちゃんには聞こえないようでした。まあばあちゃんはいつものように、
「こんにちは~」
と、ガラガラと玄関を開けました。
「いらっしゃい!」
今日は、お春ちゃんがバタバタと迎えに来てくれました。いつものお春ちゃんなら、『上がって、上がって~、いつもおおきに』と声で呼ぶだけです。
「お春ちゃん、どうしたの?」
「どないしたらええのんか、まったく分からへんから、まあちゃん、来るのん待ってたんや。今朝なぁ、ネコが、こども生んどってな。これは困ったわと思って、シーッシーッって追い払ったら、この子だけ置いて行ったんや。」
「ミルクあげた?」
「それが、皿に入れたんやけど、飲めへんのや。どっか悪いんやろか?」
お春ちゃんはそう言って、子猫をそっとまあばあちゃんに渡しました。
まあばあちゃんが子猫の口のところに、小指を添えてみると、チュパチュパと吸いました。
「お春ちゃん、哺乳瓶持って来るわね。この子は、まだお皿では飲めないわ。」
まあばあちゃんは、そう言うとジロとミミちゃんをお春ちゃんに預けて、哺乳瓶を取りに家へ戻りました。

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頷ける


「でも、あんた、この間、犬の世話が面倒やて言うてやろ。」
「まあ、そうやねんけど……。邦子に出ていかれてしもて、私も淋しいねん。」
「それは、あんたが、昭雄さんを家に上げるからやろ。あんな男がおったら邦ちゃんの居場所なんかないやんか。あんたが邦ちゃんを追い出したんも同じなんやで。」
「追い出したって、ちょっと話してただけやんか。」
「家に上げたらアカンよ。この間かて、あんたがフニャフニャしてるから、あの薄気味悪い女も乗り込んできたやんか。まあちゃんがおらんかったら、ここ別荘にされて、犬飼うどころか、あんたが、また追い出されてたわ。だいたい……」
言い過ぎたと思ったらしく、お豊ちゃんはそこで黙りました。お春ちゃんが邦ちゃんを悪く言うので、お豊ちゃんはカッとなったのでしょう。
「あんた、昭雄さん、どない?」
お豊ちゃんの口調は落ち着いたものになっていました。
「それがな。お豊ちゃん、昭雄さんいうたらな。弁護士に頼むことにしたから、あんた、近々出て行くことになりまっせて言うたら、バッタみたいに飛んで帰って行ったわ。なんか可笑しゅうて。わたし、あんな人を大学でのカッコエエ人やと思ってんやと思うと、自分が情けないわ。」
「お春ちゃん、カッコええやん!」
「そやろ! それでな、昭雄さん、犬が怖いねんやんか。」
「ああ、……そない言うてたね。」
「犬がおったら、昭雄さんよう入ってけぇへんと思って。」
これには、お豊ちゃんは渋い顔をしました。
「それにな、樺山さんみたいに助けてもらえるやろ」
「そらないわ。」
「なんでよ。」
「いまだに、ジロちゃんの名前もよう覚えてへん、あんたにワンちゃんに愛情を注げると思われへん。ハッピーが樺山さんのこと分かったんは、樺山さんがハッピーを大事に思ってて、ハッピーも樺山さんが大好きやから起きた奇跡なんよ。そんな計算ばっかりやったらアカンわ。散歩かて続かんわ。ゴハンも忘れるんちゃうか。」
「それくらい、その気になれば出来るわよ。」
「散歩もご飯も一日だって休まれへんよ。この子らは、散歩とご飯だけが楽しみなんやから。」
「あんた、雨の日、散歩は行ってへん言うてたやんか。」
「そらそうやけど、アンタみたいに気の向いたときだけいうわけにはいかんで。なあ、どない思う? まあちゃん」
いきなり話を振られて言葉に詰まりましたが、まあばあちゃんは、お豊ちゃんの話の方が頷けることばかりでした。

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お春ちゃんが、犬を?


樺山さんも元気になって、またいつものお豊ちゃんの生活に戻りました。
今日も楽しくお春ちゃんの家でお昼ご飯を食べています。
「お豊ちゃん、樺山さん、元気になって良かったわね。」
と、まあばあちゃん。
「あんたも、ほんまに物好きやなぁ。犬を預かった上に今度は大層なことやったな。せやけど、樺山はんも、まだ、うちらよりだいぶん若いのに、頼りないこっちゃ。」
このお春ちゃんの物言いには、お豊ちゃんもさすがにムッとしたらしく、
「あんた! 何言うてんの。樺山さんは夜遅くまで仕事して無理がかかったのよ。うちらみたいな隠居生活とは違うわ。お春ちゃんこそ、足やら腰やら痛い言うて、何にもしないで、一日ゴロゴロしてばかりやないの! あんた、そのうち寝たきりになるで! 明日の朝からでも散歩においで!」
と、言いました。まあばあちゃんは、お春ちゃんは応戦するのかと思ったのですが、
「ほんまにそやな。お豊ちゃんの言う通りや。私かて歩かなと思ってるねん。でもなぁ、いったん歩かへんようになったら、なんか面倒くそうなってなぁ……。それに、朝もなかなか起きられへんねん。私も犬飼おうかな……」
「ええ!」
お豊ちゃんが目を丸くしました。
「なによ。なんでそんなに驚くのん? 私、犬すきやで。なぁ、えーっと、あんた、名前なんやったかいな……。えっとー……」
と言って、寝ているジロの頭を撫でました。ジロはそっと避けるように顔をずらしました。

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うまいなぁ


「うまいなぁ! 母が作ってくれたメシみたいです。」
樺山さんが美味しそうにパクパク食べています。
「まあ、一流の料理人さんにそんなこと言われるなんて、もったいないわ。」
お豊ちゃんは嬉しそうに返事しました。
「それより、ゆっくり噛んで、おなかの中に入れないとダメですよ。」
と、お豊ちゃんが言うと、樺山さんが、
「こんなうまいメシは、ホントに久しぶりです。」
とニコニコ笑って言いました。
お豊ちゃんは、どうして樺山さんがそんなにおいしく感じるのか、分かるような気がしました。
(樺山さんは、いつも一人ぼっちで食べていたから今日は特に美味しく思うんだわ。)
お豊ちゃんは、優しい樺山さんの淋しい一面を見たような気がしました。
そして、樺山さんのお仕事の都合で預かってるとはいえ、いつもハッピーちゃんといることが申し訳なく思いました。
お豊ちゃんもハッピーちゃんが来て、ほんとにご飯がおいしくなりました。作ってる時からソワソワして幸せそうに見上げてくれるので、嬉しくなります。
おいしく作らなくっちゃと気合が入ります。
そのハッピーちゃんは、今、お豊ちゃんの膝に頭をおいてスヤスヤ寝ています。
(それにしても……、この子は、どうして樺山さんの異変に気が付いたのかしら)
と、お豊ちゃんは思いました。
(そういえば、まあちゃんが……)
―――ジロはね、お父さん達が帰ってくる30分前にいつもはしゃぎだすの。
だからね、おかずを温めたりするのが良い頃合いにできるから大助かりなの―――
と、少し自慢そうに言っていたのを思い出しました。
ハッピーちゃんが目を覚まして、キレイな澄んだ瞳でお豊ちゃんを見つめます。
お豊ちゃんは、愛する人たちのことを感じる力を神様から授かってるのかもしれないと思いました。

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ハッピーちゃんに感謝


あれから三日たちました。樺山さんは、すっかり良くなって家に帰ってきました。
今日は、樺山さんが退院するというので、お豊ちゃんは、すぐに休めるようにと、お布団を敷いておいたり、お昼の支度をしていました。
家に帰ってきた樺山さんは、一番にお豊ちゃにお礼を言いました。
樺山さんは、今日一日だけゆっくりして、すぐに仕事に行くという事でした。
「まあ、お休みとれないんですか?」
お豊ちゃんが、驚いて言いました。
「はい、結婚式が立て続けに入っていて、なかなか……」
梅田のホテルで料理人をしている樺山さんは、時間が不規則で、いつも忙しい人です。
「私の事、気付いて下さって、本当にありがとうございます。」
と、樺山さんは改めてお礼を言いました。
「あっ、違うんです。ハッピーが気づいたんですよ。居間で寝そべっていたのに。急に落ち着かなくなって、バタバタしだして。どうしたのかしらと見ていたら、私の袖を、こう引っ張って、連れて行こうとするんです。ハッピーは、それはもう必死でした。」
お豊ちゃんはその時の様子を、身振り手振りを交えて一所懸命に伝えました。
樺山さんは、お豊ちゃんの話に大きく頷くと、側で幸せそうに樺山さんを見上げているハッピーを強く抱きしめました。
「お前の事、お豊さんに預けたままほったらかしの、お父さんなのに、助けてくれたんだね。有り難う。有り難う。」
樺山さんは、声を殺して泣いていました。震える肩からハッピーに対する感謝の気持ちが伝わってきます。お豊ちゃんは、そっと二人の肩に手を置きました。
「おなかすいたでしょ。お昼ご飯作っておきましたよ。」
樺山さんは、泣き顔を見られたくないのか、ハッピーちゃんを抱いたままこくんと頷きました。
「ごめんなさいね。台所を勝手に使わせてもらって……」
ニコニコ顔のお豊ちゃんが用意していたのは、やわらかめに炊いた温かいご飯と、なすびのお浸しと、ふっくら美味しそうな鮭の蒸し焼きでした。

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ハッピーちゃんの様子が!


まあばあちゃんは、不安な気持ちで樺山さんのお家に向かいます。まあばあちゃんは、ジロに、
「ハッピーちゃん、具合が悪くなったのかしら……。どう思う?」
ジロは落ち着いた様子で、オッポをゆっくり振りました。
樺山さんのお家に着きました。恐る恐るまあばあちゃんはインターフォンを押しました。中から、
「はーい!」
と、お豊ちゃんの元気な声がしました。お豊ちゃんが来るより先にハッピーちゃんが迎えに出てくれました。
「? ハッピーちゃん、大丈夫なの?」
見たところ、ハッピーちゃんはとっても元気そうです。
「あっ、まあちゃん、来てくれてありがとう。」
お豊ちゃんも変わりないようです。
「お豊ちゃん、どうしたの?」
「それがね。昨日の晩に、急にハッピーが落ち着かない様子で家じゅう走り回ったり、私の服を引っ張ったり、そらもうバタバタして、そうかと思うたら門扉をガタガタさせて、私を振り返るの。私、落ち着かせようと思って、抱っこしようとしたら違うというように体をよじって、また門扉をガタガタさせるから、リードをつけて表に出たら、ハッピーは、グイグイ引っ張って、樺山さんの家に行ったんよ。」
「まあ……」
「ハッピーが、樺山さんの家の門扉を壊れそうになるくらいガタガタさせて、ウォーンオォーンって大きな声で吠えるの。仕方ないから、門扉を開けて、ハッピーだけ庭に入れたんよ。私は、インターフォンを押したけど、返事ないし。その間中、ハッピーがずっと呼んでるのに、出てけぇへんて変やと思って、樺山さんから預かってた鍵で中に入らせてもらってん。そしたら、玄関あけた途端、ハッピーがものすごい勢いで中に入っていったの。私も慌ててついて行ったら、樺山さん倒れてて……」
「ええ!!」
まあばあちゃんは、飛び上がって驚きました。
「もう、ビックリして、頭回らんかったけど、とにかく救急車を呼んで。……ほんで、入院て言われるし、健康保険証を持って来てほしいて言われるし。あっ、でも発見が早かったから大丈夫ってお医者さん、言うてはったわ。」
「そう、良かったわ。」
まあばあちゃんは、ホッと息をつきました。
「もう、目ェも覚ましはったし、着替えと健康保険証の場所、教えてくれはったから、取りにきてん。また、病院に行ってくるわ。」
「そう……。それにしても、ハッピーちゃん、よく分かったわね。」
「そやねん。心筋梗塞って1分2分が勝負なんやて、ハッピーが気づいてくれへんかったら、樺山さん、今頃どないなってたのかと思うと、ゾッとするわ。」
そう言って、お豊ちゃんは、体をブルッと震わせました。
「ちょっと、心細かってん。来てくれてホッとしたわ。ありがとう。」
と、まあばあちゃんの手を握って言いました。

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お豊ちゃんが来ない


「お豊ちゃん、どうしたのかしら?」
いつもお昼を一緒に食べているお豊ちゃんが、まだ来ません。
「せやな、どないしたんやろ? 今日から、犬連れてこれるいうて、張り切ってたのになぁ。」
「お春ちゃん、私、ちょっとお豊ちゃんの様子を見てくるわ。」
まあばあちゃんは、すごく心配になりました。几帳面な性格のお豊ちゃんが、約束の時間に遅れるなんて、今まで一度だって無かったのです。
「ジロ、ミミちゃん、お豊ちゃんの所に行こう!」
まあばあちゃんは、急ぎ足でシルバーカーを押して、お豊ちゃんの家に向かいました。

―――ピンポーン、ピーンポーン―――
「お豊ちゃーん、お豊ちゃーん!」
シーンとしています。まあばあちゃんはもう一度押してみましたが、やはり返事はありませんでした。いつも迎えに来てくれるハッピーちゃんもいません。
「ハッピーちゃん、ハッピーちゃーん!」
家の中はシーンとしていました。人気がないようです。
「ま、まさか……」
まあばあちゃんは、門扉を開けて庭に入る事にしました。
お豊ちゃんが、倒れているのかもしれないと思ったからです。それに、ハッピーちゃんは樺山さんのところに戻っていて、ここにいないのかも……
まあばあちゃんの心臓は、キューッと締め付けられるようでした。
「あら!」
引き戸の玄関の格子の所に、手紙がはさんでありました。
“まあちゃんへ”
中を開けると、
“樺山さんの所に行ってます。”
と、書いてありました。急いで書いた様子が伺える乱れた字でした。
「ハッピーちゃんに何かあったのかしら……。」
まあばあちゃんは、心配になって、樺山さんの家に向かいました。

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なき声


ワン、ワン、キュルンキュルーン~
お春ちゃんの家でお昼を食べていると、となりのお宅から犬の鳴き声が聞こえてきました。
「あら、ワンちゃんのいるお家があるの?」
「せやで、ここ犬入れてもええねんて。わたしも、犬、飼おうかなぁ。昭雄さん、犬が嫌いやねん。でも、散歩たいへんやしなぁ。」
まあばあちゃんは、あいまいに笑って返事をしませんでした。
お春ちゃんは、飽きっぽいところがあるので心配でした。ワンちゃんを迎え入れたら、飽きちゃったでは済まないのです。
まあばあちゃんは、ワンちゃんのことを愛で生きていると思っているので、きちんと愛情を注がないと死んでるも同然だと思っているのです。それに、そうでないと、お散歩も続かないし、病気になってしまった時もシッカリ看病できないと思っているからです。でも、いい事を思いつきました。
「ねぇ。お春ちゃん、ワンちゃんを入れてもいいなら、ジロとミミちゃん、連れてきてもいいかしら。」
「あっ、ええで! 賑やかでええわ。ホンマや。気ィ付かんでごめんやで。」
「わたしも、ハッピー連れてきてもいい?」
「ええで!」
まあばあちゃんもお豊ちゃんも、家に置いてきたことを気にしていたので、嬉しくなりました。

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相談で


「優しい弁護士さんで、良かったわぁ。もっと怖いんかと思ってたわぁ。」
お春ちゃんはウットリしたように言いました。
「ほんと、偉い人ほど、偉そうにせぇへんねんねぇ。」
お豊ちゃんも頷いています。弁護士さんとのお話は、分かりやすく解決しそうな気がしてきました。
3人でお手紙に書いたのですが、お春ちゃんは、開口一番にお春ちゃんのご主人が、頭金やローンも払ってきたのに追い出されたと、悔し涙を浮かべて言いました。すると、弁護士さんは、今、昭雄さんが住んでいる、建物と土地の所有者について聞きました。
お春ちゃんは、アッと声を上げました。
「そうや。あれ、私の名義になってるはずや。私、邦子と昭雄さんが隣に住んでくれることになった時、嬉しゅうて昭雄さんの名義にしたかったのに、お父さんが止めとき言うて……! 私、大事なもんまとめたぁる入れモンがあるねん。そこに入ってると思うわ!」
これで、きちんと確かめて、お春ちゃんの記憶通りなら、良い方向に向かうでしょう。
昭雄さんとまた揉めることになるでしょうが……。
弁護士さんがついて下さるから安心です。
「もし、返してもらえたら、また、大きな家に住めるわ。お豊ちゃんも隣にいるし、嬉しいなぁ。」
お春ちゃんは小躍りして喜んでいます。
「せやけど、あの家、ものすごい事になってるんやろな。」
と、心配顔のお春ちゃんにお豊ちゃんが、
「わたしも、お掃除手伝うから」
と言いました。

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相談の準備


無料相談の日は案外早く来ました。
「まあちゃん、来週、来てくださいって、区役所の人が言うてくれはったよ。」
「じゃあ、その日にお豊ちゃんも誘ってみんなで行きましょう。どれくらい時間もらえるの?」
「30分やねんて。」
「まあ、そんなに短いの……。うまく説明できるかしら……」
まあばあちゃんは、弁護士さんにお春ちゃんの事情を分かってもらえるか心配になりました。
「ああ、まあちゃん、私、弁護士さんみたいな、エライ人とうまくしゃべれるかなぁ。心配やわ。」
「うーん。30分ねぇ……」
お春ちゃんとまあばあちゃんは、心配してるところが違うようです。
「お春ちゃん、昭雄さんとのこれまでの事を話していたら、30分なんて、あっという間に立ってしまうわねぇ。そうだわ! 紙に書いて読んでもらったらどうかしら。」
「ええ、紙に書くの? いやー、私、そういうの苦手やわ。字も汚いし、目もよう見えへんもん。」
「相談て、何回か受けてくれるの?」
「同じ内容の相談に一回やて……、それ、何回も言うてはったわ。」
「じゃあ、この一回を大事にしないと……」
「なぁ、まあちゃん書いてぇな。まあちゃんは字ィきれいし。なっ、頼むわ。」
「でも、それは、お春ちゃんが自分の気持ちを書かないと、アカンのと違う?」
「私、まあちゃんには包み隠さず話してるもん。私が書いてもまあちゃんが書いても同じやよ。ホンマに頼むわ。このとおり!」
お春ちゃんは、まあばあちゃんにパンと手を合わせてお願いしました。
「じゃあ、3人で考えて書きましょう。」
まあばあちゃんは、しぶしぶ引き受けました。
こういう事は、本人が一番熱心にならないといけないのに、人任せにしたがるお春ちゃん、大丈夫でしょうか?

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無料法律相談


「大丈夫か? どないしたんや? 警察よんだで!」
田口さんでした。ここの大家さんで不動産屋さんもしている人です。一人暮らしのお春ちゃんを心配して、ときどき様子を見に来てくれます。以前、お春ちゃんが家を出ることになった時も力になってくれた人です。
警察と聞いてビックリしたのか、昭雄さんは女の人の手をひいて慌てて家を出て行きました。女の人は、不満そうにこっちを見ながら、昭雄さんの手を叩きました。
「田口さん」
「大丈夫かいな。なんや大きな声が聞こえてきたから、とっさに言うてしもてんけど、良かったか?」
ほんとうに警察が来たら大ごとだと少し心配したまあばあちゃんは、田口さんの言葉にホッとしました。
「有り難うございます。助かりました。」
「さっきの二人連れって……」
お春ちゃんは、恥ずかしくなったのか下を向いてしまいました。
田口さんも思い当たるのか、口をつぐみました。
「ほな、わし、寄るとこあるから、もう行くわ。また、なんでも言うて。」
と言って、自動車で行ってしまいました。

「お春ちゃん、よう頑張ったなぁ!」
お豊ちゃんがお春ちゃんとまあばあちゃんを交互に見つめながら、言いました。
まあばあちゃんは、まだボーっとしたままです。
「まあちゃんに手を上げるなんて、ビックリしたわ。まあちゃんが、あんなに頑張ってくれてるのに、私も頑張らなアカンと思って! ありがとう! まあちゃん!」
「…………」
まあばあちゃんは、緊張しすぎたせいか、まだボーっとしています。
「まあちゃん!」
お春ちゃんが、もう一度強く呼びました。
「えっ? ああ、お春ちゃん、すごくシッカリ昭雄さんに応対したからビックリしたわ。」
まあばあちゃんは夢から覚めたような顔をして言いました。
「なぁ……。まあちゃん。」
「なあに? お春ちゃん。」
「私、まあちゃんの言うように、役所の無料相談っていうのに行ってみようかな……。」
と、お春ちゃんが不安そうな声で言いました。
「それがいいわ。きっといい知恵を授けて下さるわよ。」
「昭雄さんて、ちょっと気にそわんことがあると、ガッと雰囲気が怖なるんやんか。それがどうも……」
お春ちゃんは、そこまで言うと、黙ってしまいました。
(ああ、それで……)
まあばあちゃんは、今までのお春ちゃんの不可解な行動が分かったような気がしました。暴力を振るわれるかもしれないと感じ、思い切ったことが出来なかったのかもしれません。
でも、堺には困った人たちのために、無料で弁護士さんがお話を聞いてくれる無料法律相談というものがあります。
きっと、お春ちゃんの心強い味方になってくれるはずです。
「まあちゃん、お豊ちゃん、その時は、一緒に行ってな。」
と、お春ちゃんがすがるような目で言いました。
「もちろんよ。」
と、まあばあちゃん。
「うん。一緒に行こう。」
と、お豊ちゃん。
三人は手を取り合って、頷きました。

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目が覚めたお春ちゃん


お春ちゃんの声は、意外にシッカリしていました。
「昭雄さん、その女の人来たんやし。ちょうどよろしいわ。あんたとその女の人の関係を私に分かるように説明してください。」
お春ちゃんは、まあばあちゃんをかばうように側ににじり寄って、キッと昭雄さんを見据えて言いました。
昭雄さんは、プイッと目を逸らしました。
「昭雄さんはよう答えんようやから、アンタに聞きますわ。この男の人は、あんたのなんですのん。」
お春ちゃん達は座っているし、昭雄さんたちは玄関先とはいえ、立っているので、そのままでも見下すような格好になります。さらに、女の人は顎をしゃくったような角度でジーッとしお春ちゃんを見ているので、まるで、見下げるようでした。
でも、お春ちゃんは、負けていませんでした。
「それに、あんた、自分の母親まで連れて来て、一緒に連れてきた男の子の父親はいったい誰や? まさか昭雄さんとの間の子と違いますやろな。」
昭雄さんと女の人は、返事をするわけでもなく、ジーッとしています。
「それに、なんですか、昭雄さん、あんた、病院に行くから金貸してくれ言うといて、今から、その女の人と、焼き肉に行くて……! なんで、そんなことに私がお金貸さなアカンの。もう、いいかげんここに来んといて。ここから早よ出て行って、昭雄さん!」
お春ちゃんは、突っ立っている昭雄さんと女の人に叩きつけるように言いましたが、二人は、ジーッと動きません。
「そこに、ずっと立ってたかて、お金はビタ一文貸せへんで! 貸せるようなお金もないしな。あんたとそこの女の人に、ケツの毛まで抜かれて!」
それでも、二人は、ジーッと立っていました。

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こぶし

「そんな事、お前に関係ないやろ! 」
昭雄さんは、真っ赤になって怒って、こぶしをまあばあちゃんに向かって振り上げました。
「どうぞ、殴るなり蹴るなりして下さい。その方が、警察の方にも来ていただけるし、私は、ちっとも怖くありませんよ。」
昭雄さんは、振り上げたこぶしを下ろすことも出来ず、ブルブル震えていました。
その時です。
「あんた、いつまで待たせるねん。」
昭雄さんが連れてきた、あの薄気味悪い女の人でした。
「いや、ちょっと……」
昭雄さんは、振り上げたこぶしで頭をかきながらバツの悪そうな顔をしていました。
「早よ、焼き肉、食べに行こ。おなか空いてしゃーないわ。」
そう言いながら、玄関の中に入ろうとしました。
「ちょっと! そこからは一歩たりとも、入ることは許しませんよ。」
いつものまあばあちゃんからは想像もつかないような大きな声で言いました。
薄気味悪い女の人は、ビクッとして入るのをやめました。でも、言っているのが、年老いたおばあさんだと分かると、
「ハッ、あんた、ここの家のもんと違うやろ。なに偉そうに言うてるねん。」
いつ動くか分からないような緩慢な動作なのに、言葉の刺々しさと言ったら剣山のようです。
「金は? 早よ行くで。」
「ちょっと、待ってや。……まだやねん。」
「はぁ? 何してんねん。早よせぇや。」
そう昭雄さんに言うと、まあばあちゃんを睨みつけました。まあばあちゃんも睨み返しました。
暫く、薄気味悪い女の人とまあばあちゃんは睨み合っていました。
長い前髪の奥から睨んでくる様子は、不気味でさえありましたが、引くわけにはいきません。
「昭雄さん、私も聞かせてほしいですわ。この女とアンタとの関係を……」
―――沈黙を破ったのはお春ちゃんでした。

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知りたいこと


「そうかもしれませんが、お春ちゃんは、私にとって大事な友達ですから……。お春ちゃんは、もう渡すお金は無いと言ってるんですから、あきらめてはいかがですか?」
お豊ちゃんもお春ちゃんも、まあばあちゃんの強気の言葉に、目を丸くしています。
昭雄の怒鳴り声にビクつくどころか、丸くなった背中をしゃんと伸ばし、しっかりした口調で問いただしています。
いつも控えめなまあばあちゃん、トモちゃんや恭子ちゃんに世話を掛けないようにと健康に気を使ってるまあばあちゃん、年寄りが人様の迷惑にならないようにと、気にしてばかりいるまあばあちゃん。
「まず、お金を借りに来る前に、あなたは考えましたか? どれほどひどい事を邦ちゃんとお春ちゃんにしたか……」
「あいつが勝手に出て行って、こっちも大変なんや。なんも知らんくせに、黙っとけ!」
お春ちゃんもお豊ちゃんも、この言葉にあんぐり口を開けていましたが、まあばあちゃんは、かまわず話を続けました。
「あなたは、まだ、お若いのですから、働くべきだと思います。堺には、六十を過ぎてからも働けるシルバー制度がありますし、おたくが連れてきたあの女の人は、邦ちゃんよりもずいぶんとお若いようですから、働かなくては駄目ですよ。二人で力を合わせて働けば、何とかなるものです。あなたも年金だけがたよりの、年老いたお春ちゃんにお金を借りにくるのは心苦しいのでは?」
「…………」
昭雄さんは、その問いに返事できるわけもなく、まあばあちゃんをギロっと睨みつけました。
それは恐ろしい顔で睨んでいましたが、
「昭雄さん」
まあばあちゃんは、居住まいを正して言いました。
「なんや……!」
昭雄さんが投げやりな返事をしました。
「今、一緒に住んでいる女の人二人と、男の子一人は、どういった人達なんですか?」
まあばあちゃんの問いかけに、お春ちゃんもお豊ちゃんも、凍りついてしまいました。
一番知りたいことだけど、一番、危険な質問……。
昭雄さんが激高しないかと二人はビクビクしていました。
まあばあちゃんだって、怖くないわけではありません。まあばちゃんのように小柄のお年寄りにとって、良くない心を持った大きな男の人は脅威です。
でも、どこの誰ともわからない女の人のために食事作らされたり、土産を持たせたり、女の人のお世話を嫌だと言えば、昭雄さんに追い出された邦ちゃん。
邦ちゃんの失われた時間は帰って来ませんが、せめて、昭雄さんとどういう関わりのある人間が乗り込んできたのかくらい、知りたいだろうと思ったのです。

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本音


「そんな事言われても、私も、ホンマにお金あらしまへんのや。貸したげとうても無いもんは無いんですわ。あんたにさんざん貸して、のうなったんですわ。それから、昭雄さん、私にお母さんなんて呼ばんといて下さい。邦子があんたの嫁やった時、私の事、一回もお母さんなんて、呼んでもろた事ないですよって。」
昭雄さんは、お春ちゃんの言葉に驚いたようでした。露骨に嫌な顔をしましたが、気を取り直したように、
「そんなことありませんよ。今までも、これからも大事なお母さんですから。お願いです。今回だけ融通してもらえませんか? 実は、支払いが溜まっていて、今日の夕方にどうしてもお金を持って行かんとアカンのです。」
と、昭雄さんは言いました。優しそうに取り繕っているけれど、素直にお金を貸してくれないお春ちゃんへの苛立ちが見え隠れしていました。
「お母さん……!」
「…………」
お春ちゃんは口をつぐんだまま石のように黙ってしまいました。
「あのですね。昭雄さん、一度、お春ちゃんと心を開いて話し合ってみてはどうでしょう。邦ちゃんとその母親のお春ちゃんは、昭雄さんにとって、どういう立場になるのか、教えてくれませんか?」
まあばあちゃんは、滅多に立ち入ったことはしません。でも、こんなお春ちゃんを見て黙っていられませんでした。
まあばあちゃんのショボショボした小さな目に凛とした光が宿ります。
昭雄さんは、まあばあちゃんの言葉を聞いたとたん、火をつけられたみたいに過剰に反応しました。
「うるさい、ババアやな。差し出がましい事、言うな!」
いきなり、まあばあちゃんを怒鳴りつけました。

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噂をすれば……


お春ちゃんは詳しい事を言わないけれど、あれからずっと昭雄さんはお春ちゃんの家に来てお金の無心に来ていたのです。
1万、2万と、こまめにお金を借りに来ているのか、何か理由をつけてまとまったお金を借りに来ているのか……。どちらにしても、何度も貸していれば、大きなお金になります。邦ちゃんが家を出てから、足繁く来ているとすれば、たいそうなお金になってるのではと、まあばあちゃんは心配になりました。

「せっかくのずんだ餅、私も、喉通らへんようになってきたわ。」
とお豊ちゃんが言いました。まあばあちゃんのずんだ餅もお皿に乗ったままです。
何だか、3人とも心が重くなってきました。部屋の空気も湿っぽくなってきました。
「お母さん、こんにちは。」
男の人の声がしました、ドキッとして振り向くと、
―――昭雄さんが立っていました。
昭雄さんは、まるで自分の家にみたいに、スタスタ玄関を上がって、まあばあちゃん達がお茶をしてるところまで入ってきました。長屋の二間なので玄関と居間は目と鼻の先です。
まあばあちゃんは、ジロとミミちゃんを連れてこなかったことを後悔しました。
お春ちゃんは部屋を借りているので、屋内にジロ達を入れることが出来ないのです。外に置いておくと暑いので、連れてきませんでした。でも、昭雄さんは犬が嫌いなので、 玄関に待っててもらったら、家に入って来れないかもしれなかったのに……
「お母さん、ごめん、ちょっと頼みごとがあるんやけど……」
「頼みごとって、また金ですかいな。もうお金やったらあらしまへんで。」
昭雄さんは初めて断られたのか、意外そうな顔をしました。そして、ちらっとまあばあちゃんとお豊ちゃんの方を見ました。
「お母さん、すみません。体調が悪いので、医者に行きたいんやけど、お金が苦しくて、助けてもらえませんか?」
ちっとも体調が悪いようには、見えませんでしたが、少しすまなそうな顔をして、お春ちゃんに言いました。

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また来る


「あんた、一回でも、お金返してもろたことあるんか?」
「・・・・・・・・」
「お春ちゃん!」
「……一回もない……」
「借用書は? ちゃんと、取ったぁるか?」
お春ちゃんは、ハッとしたように顔を上げ、またガックリとうなだれました。
「……とってない。借用書の事なんか頭になかったわ……」
「……あんたなぁ。私と違って、ご主人にちゃんとお金残してもらってんのに何してんの。あんな男、借用書なかったら踏み倒すで。口約束だけやったら、知らん顔すると思うわ。あの陰気な女の言いなりになって、あんたに金をせびりに来てるんやから……」
お春ちゃんは、下を向いたまま固まっています。
「お春ちゃん、しっかりしぃや。私ら年寄りはお金だけしか頼るもんないんやで。それ、取られたら、どないして生きていくの? こんな90近いおばあさん。だれも雇てくれへんで。」
お豊ちゃんの目にも、涙が滲んでいました・
お春ちゃんも鼻をすすっています。
「なんや、もうせっかくのずんだ餅がのど通らへんわ。元気出していこう。もう、昭雄さんにお金貸したらアカンよ。また、来たら今までのお金返すのが先やって言いや。」
「ほんまや。お豊ちゃんの言う通りや。早よせんと、お金返してもらわん間に、私の方があの世に行ってしまうかもしれんわ。今日もあの男来るかもしれへんと思うたら、私、怖なってきたわ。どないしたらええと思う?」
「どないって……、そうや、しっかり鍵かけて、家に入れんとこ!」
「うん。」
「門もシッカリ閉めて、会わんようにするんよ。」
「せやかて、あんな門、すぐに開くで。」
「あの男に、お春ちゃんが、来ていらんと思ってるて分からせることが大事なんよ。あの男はお春ちゃんの事をええように出来ると思って、図に乗ってるんやから。」
「うん、うん、そやな。うん。」
お春ちゃんは、心細そうにうなずきました。
まあばあちゃんもお豊ちゃんも知恵を絞ってみましたが、なかなかいい案が浮かばないのでした。

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暗い気持ち


「お春ちゃん、えんどう豆、沢山もらって、まだまだお饅頭つくれるんよ。明日にでも、まあちゃんと一緒に3人で作ろう。な!」
と、お豊ちゃんが言うとお春ちゃんは、
「やっぱり、作るより食べる方がええな。」
と言いました。この頃、何かにつけてやる気のないお春ちゃんです。話をしていても元気がありません。体の弱いお春ちゃんの事です。またどこか悪くしてるのかと心配になった、まあばあちゃんは、聞いてみました。
「お春ちゃん、体の調子この頃どう?」
「どっこも悪いとこあらへんで。せやのに、体が重いねん。お医者さんも不整脈もないし、なんでやろって言うてたわ。」
「あんた、昭雄さんに貸したお金、返してもらってないんちゃうん?」
お豊ちゃんが、心配そうに言いました。
お春ちゃんは、ドキッとした顔をして、フイッとあっちを向いてしまいました。
「お金が返ってけぇへんから、しんどいんやで。しっかりせんとまた借りに来るで。何ものうなってからでは、どないも出けへんで。」
お豊ちゃんは、うっすら涙を浮かべていました。
お春ちゃんが、がっくり肩を落として深いため息をつきました。
「ほんまや。お豊ちゃんの言う通りや。私も頭では分かってるんやで。この男は悪いヤッチャ。邦子を散々に苛めて追い出した絶対許されへんヤッチャって……。せやのに、『お母さん、お母さん、助けて下さい。頼るのは、もうお母さんしかないんですわ。』言うて、ペコペコされたら、またお金貸してしまうねん。私の頭、いったいどうなってんねんやろ。」
お春ちゃんは、頭を抱えてワンワン泣き出しました。
まあばあちゃんとお豊ちゃんは、お春ちゃんの背中を優しくなでました。
そうであってお欲しくないと思っていましたが、
お春ちゃんは、いまだに昭雄さんにお金を無心されていたのですね。
そして、貸してしまっていたのですね。
まあばあちゃんとお豊ちゃんは、暗い気持ちになりました。

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豆ごはん と おまんじゅう


お春ちゃんは、邦ちゃんが家を出たため、今一人で暮らしています。
まあばあちゃんとお豊ちゃんは、お春ちゃんの淋しい気持ちが少しでも和らげばと、お昼にお弁当を持って訪ねています。
今日は豆ごはんです。豆ごはんは、お春ちゃんの大好物です。まあばあちゃんもお豊ちゃんも大好きです。
「友達は、ええなぁ。それに比べて、邦子は出て行ったきり、顔も見せへん。」
「そんな事ないわ。邦ちゃんは、お春ちゃんのこと、いつも心配してるんよ。」
「ほな、来たらええやんか……」
「だから、それはね……」
そこまで言って、まあばあちゃんは、口をつぐみました。もう、何度も言っている事です。
なぜ、邦ちゃんが、ここに来ないか、その理由は明らかなのに、どうして分かってくれないのか……。
邦ちゃんが、来ない理由……それは、お春ちゃんが、昭雄さんを今も家に入れているからです。
(どうして、分かってあげないの?)
まあばあちゃんは歯がゆく思いました。
 今、食べてるお豆さんは、邦ちゃん達が、心を込めて作ったものす。
まあばあちゃんもお豊ちゃんも、このえんどう豆は邦ちゃんからの物だと、何度も言おうと思ったのですが、あんなに優しい邦ちゃんの悪口ばかり言ってるお春ちゃんに伝えることが出来ませんでした。
もし、お春ちゃんが、「そんなら、いらんわ」なんて言ったりしたら、邦ちゃんの心遣いを無駄にしてしまう事になるかもしれません。

今日は、食が進むのか、お春ちゃんは、パクパク食べています。
先日、お豊ちゃんが、
「邦ちゃんみたいなええ娘持ってんのに、へそ曲げてるあんたの心が分からんわ!」
と言っていましたが、まあばあちゃんもお春ちゃんの心が分かりません。
「豆ごはんも美味しいけど、このお豆さんで作ったまんじゅうも美味しいな!」
お春ちゃんは、大きな口を開けて、二個目のおまんじゅうを頬張りました。
「まあちゃんは、まんじゅう作るのが、上手やな!」
「これ、お豊ちゃんが作ったのよ。わたしはお手伝いしたの。」
「ええ! アンタら二人で作ったんかいな。私も誘ってくれたら良かったのに……」
「昨日、誘ったやんか。あんた、そんなめんどうくさい事イヤヤ言うてたやんか。」
と、お豊ちゃんが言いました。
「そうやったかいな。まんじゅう作るんやったんか。私、なんか勘違いしてたんやなぁ。まんじゅう作るんやったんかいな。それやったら、わたし、行ったのに……」
お春ちゃんは、急にションボリしてしまいました。

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ランドセル背負って!


ひろ子ちゃんは、あの日からずっと、元気よく学校に通っています。真新しいランドセルを背負って。
オッチャンはと言うとあっちこっちから、頼まれた大工仕事に精を出して頑張っています。邦ちゃんは、二人のためにご飯を作ったりおやつを作ったり、洗濯したり掃除したりと、忙しい毎日を送っています。
姫ちゃんも先住犬のチビちゃんと仲良くしているようです。ひろ子ちゃんも姫ちゃんも痩せ細っていましたが、今はふっくらしています。チビちゃんと姫ちゃんは、ひろ子ちゃんが学校から帰ってくるのを何より楽しみにしているらしく、ひろ子ちゃんの「ただいま」の声が聞こえるより先に迎えに行くそうです。足音で分かるのかもしれませんね。
そして、3人が揃うと、次はオッチャンが帰ってくるのをみんなで待っているそうです。
そして、オッチャンが帰ってくると、みんなで「おかえりなさい!」と出迎えて、邦ちゃんの作ってくれた美味しい夕飯をいただくのです。.
オッチャンは、まあばあちゃんに出会うたびに、
「ばあちゃん、わしは、幸せもんやなぁ。天下一のええ嫁さんと、可愛い子どもらに囲まれて、世の中がバラ色に見えるわ。人間、淋しいのが一番、アカンようになるな。ほんまに今の幸せは、ばあちゃんのおかげやと思ってるんや。」
と言って感謝してくれます。まあばあちゃんもオッチャンの話を聞くと心がほのぼのしてきます。

―――これで、お春ちゃんがオッチャンと邦ちゃんのことを受け入れてくれたら……
お春ちゃんの事を考えると、気が重くなります。
いまだに、昭雄さんと会っているようです。あんな酷い人とお付き合いしているお春ちゃんの心が、まあばあちゃんには分かりません。
お春ちゃんは、またつらい目に遭わされるに違いありません。
お豊ちゃんもまあばあちゃんも、心配で何度も会わないように言ってるのですが、糠に釘です。
お春ちゃんは、オッチャンの事を「苦手でムシがすかん」、邦ちゃんの事を、「どこの馬の骨がわからん子どもを拾ってきて、何を考えとんのや邦子は……」など、愚痴ばかり言っています。
お春ちゃんは、あの薄気味悪い女の人が出て行って、邦ちゃんと昭雄さんが元通りになることを望んでいるのでしょうが……、それは、無理なことです。壊したのは昭雄さんなのだし、自分のしたことを悪いとは全く思っていないのですから……。
そして、邦ちゃんも新しい幸せを見つけました。
でも、昔から、頑固なお春ちゃんです。諦めることが出来ないのでしょう……
まあばあちゃんは、深いため息をつきました。

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スヤスヤ


「おや? 見てみ、二人で寝てしもてるで!」
オッチャンがニカッと笑って言いました。まあばあちゃんも見ると、ひろ子ちゃんは姫ちゃんに抱きついたまま寝ていました。姫ちゃんも寝ています。
「あら、ほんと!」
邦ちゃんが、タオルケットを持って来て、二人に掛けました。
「疲れたんやなぁ。」
二人は、スヤスヤ寝ていて、ピクリとも動きません。
「こんなに小さいのに、よう頑張ったわ。」
オッチャンが、ひろ子ちゃんの頭を優しくなでました。
まあばあちゃんもひろ子ちゃんを寝顔を見ていると、心の底からホッとするのを感じました。

オッチャンの家からの帰り道、まあばちゃんとトモちゃんとジロとミミちゃんと並んで帰っていると、トモちゃんが、
「おばあちゃん、お父さん、帰って来てる!」
「あら! 急ぎましょう。」
お父さんはトラックのお兄ちゃんと何か話しているようです。大きな声で笑っています。
まあばあちゃん達が、着くまでに、トラックのお兄ちゃんは、勢いよく走り去っていきました。
お父さんとお母さんが、丁寧に頭を下げていました。

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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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