バーベキューに来て!



「姫ちゃんか。……うん、なかなかエエ名前や! 邦ちゃーん、邦ちゃーん。名前が決まったで!」
パタパタと、邦ちゃんが来ました。
「呼びました?」
耳が少し不自由な邦ちゃんは、最後の方が聞こえなかったようです。
「うん。あのな、ひろちゃんの新しい名前を決めてもろたで。」
「まあ! なんて言うの?」
邦ちゃんが、ひろ子ちゃんに聞きました。ひろ子ちゃんは、邦ちゃんに抱きつくと、
「姫ちゃんに決まったの!」
と言いました。
「そう! お姫様の姫ちゃんね。いい名前やね!」
「姫、おいで!」
さっきまで、ひろちゃんと呼ばれていた茶色い犬は、「姫」というのが自分の名前と分かったのか、すぐに飛んできました。
その様子を、微笑んでみていたトラックのお兄ちゃんは、
「じゃあ、そろそろ失礼します。遅くにすみません。ひろ子ちゃんのこと安心しました。いろんなお話が聞けて良かったです。それでは……」
「あっ、兄ちゃん、ちょっとだけ待っとって。野菜持って帰らへんか?」
「えっ?」
「ようけ出来て、なんぎしてんねん。奥さんに持って帰ったって」
「わぁ! ありがとうございます。」
「それとな、」
「はい。」
「次の日曜日、もし、良かったらワシんトコ来てほしいねん。」
トラックのお兄ちゃんは、不思議そうな顔をしました。
「……みんなを呼んでバーベキューしたいと思うねん。みんな言うても、散歩の仲間やねんけど……、ひろちゃんのお披露目パーティをしたいねんわ。みんなにひろちゃんを守ってもらわんとと思ってな。」
「そう言う事でしたら、ぜひ、お伺いします。」
トラックのお兄ちゃんは、嬉しそうに笑って返事しました。
「奥さんも一緒に来てもろて下さい。待ってますんで!」
オッチャンが張り切った様子で言いました。

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ひろちゃんを改名


ひろ子ちゃんがオッチャン達のところに、たくさんお菓子を入れた菓子盆を持ってきました。
「はい。お母さんが、どうぞって!」
ひろ子ちゃんが元気よく言いました。
「ありがとうなぁ。ひろ子ちゃんは、ホンマに礼儀正しい、ええ子やな。お父ちゃん、嬉しいわ。しかしなぁ、ひとつだけ困ったことがあるんや。」
ひろ子ちゃんは、キョトンとしています。トラックのお兄ちゃんも不思議そうです。まあばあちゃんとトモちゃんはピンときました。
「どんなことですか?」
トラックのお兄ちゃんが聞きました。
「兄ちゃんと別れた後に、ひろちゃんはひろちゃんいう名前の犬に出会ったんやけどな。わし、頭がこんがらがってきてな。なんせ、ひろちゃんて呼んだら、二人ともドーっと来るから、何言うんやったか忘れてしまうんや。」
「それは、ややこしいですね。」
トラックのお兄ちゃんは、苦笑いしました。
「そやねん。ややこしいて、しゃーないねん。それでな、ひろちゃん、頼みがあるんや。」
「頼み?」
「あのなぁ、犬のひろちゃんの方を改名してほしいんや。」
「かいめいってなあに?」
「改名って言うのは、名前を変えることや。せっかくひろちゃんが、犬のひろちゃんに、名前を教えてもらったんやけど、お父ちゃん、こんがらがってかなわんのや。それでな、犬のひろちゃんに、なんか新しいエエ名前を付けたってくれたら、お父ちゃん、嬉しいねんけど……」
ひろ子ちゃんは、ニッコリ笑うとしっかり頷いて、
「そしたら、ヒメ!」
「ひめ? 姫いうたら、お姫さんの姫か?」
「うん。ひろ子、お姫様大好きなんよ! 白雪姫でしょ、おやゆび姫でしょ、シンデレラ姫でしょ……」
「えらいようさん、お姫さんの名前知ってるんやなぁ。」
オッチャンが感心して言うと、ひろ子ちゃんは、
「うん。ひろ子、お姫様のお話大好きなの! おばあちゃんに教えてもらったの!」
「そうかそうか、お姫さんはええからなぁ。」
オッチャンは、ひろ子ちゃんの頭を撫でました。
まあばあちゃんは、そんな二人を嬉しそうに見つめています。

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子は宝


オッチャンは、家に着くまでの間に、ひろ子ちゃんがオッチャンの子になるまでの経緯を話しました。トラックのお兄ちゃんは、あんまりな話にどう返事していいのか分からない様子でした。
オッチャンは、玄関に入ったところで、
「どや、明るいとこ来たら、よう分かるやろ?」
トラックのお兄ちゃんは、納得したように頷きました。
ひろ子ちゃんは、「ただいま~」と言って、家の中に入って行きました。
髪には可愛い花のヘアピンをつけて、くま柄のトレーナーにピンクのジーパンを着たひろ子ちゃんは、見違えたように生き生きとしています。
「会った時の服とか、よう覚えてないんですけど、なんかヨレヨレでボロボロやったように思います。ガリガリやったし。なんちゅうか、オドオドしてるというか……せやのに、おばあちゃんのことを話し始めると、目が輝きだして……。話が止まらんようでした。」
「あんな小さい子が、一人で、ばあちゃんとこまで行こうとしたんやからなぁ。」
オッチャンは、涙を浮かべて言いました。
「オレ……、わたし、来月、初めての子供が生まれるんです。ひろ子ちゃんの話を聞いて、親として、しっかり生きていかなアカンと、あらためて思いました。」
オッチャンは、その言葉に、しみじみ頷いて、言いました。
「せや、子は宝やで。ホンマにそやで。ワシらかて、ひろ子ちゃんが来てくれることになって、ホンマに嬉しい。この歳になって、頑張らなという力が体の奥から湧いてくるようや。」
みんなが家に入ってこないので、様子を見に来た邦ちゃんが、
「あらあら、こんなところで立ち話もなんですから、上がって下さい。」
「あっ、ほんまや! 気ィつかんでゴメンやで。上がって上がって!」
と、オッチャンが慌てたように言いました。

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ひろ子ちゃんが、変わった?


トラックのお兄さんによると、ひろ子ちゃんは、まだ人通りの少ない道路の端を一人で歩いてるところを見かけて声を掛けたそうです。
「あんな早くに一人で歩いてるんで、驚きました。それで、どこ行くんやって尋ねたら、おばあちゃんとこへ行くのって、嬉しそうに言うんです。」
まあばあちゃんは、その言葉を聞いてホロッと涙がこぼれそうになりました。
「それで、おばあちゃんはどこに住んでるんやて聞いたら、堺って言うからビックリして!それで、ひろ子ちゃんは、はがきを見せてくれたんですけど、反対方向歩いてるし。」
「まあ……」
まあばあちゃんは、胸がキュッとなりました。
「あの、ひろ子ちゃんに、だいぶお急ぎのように聞いたんですけど、お仕事大丈夫でしたか?」
「あっ! 大丈夫です。間に合いました。でも、ひろ子ちゃんを途中で置いてきて、あれから、一日中、気になって仕方なかったんですわ。」
「オッチャンと、ひろ子ちゃんじゃない?」
トモちゃんが、手を向こう側にむかって大きく手を振りました。
まあばあちゃんが、そちらを見ると、オッチャンとひろ子ちゃんが手を繋いで迎えに来ている姿が見えました。ひろ子ちゃんは、オッチャンの手を離れて、こちら側に元気よく走ってきました。ひろ子ちゃんは、トラックのお兄さんに気が付いて、
「今日は本当にありがとうございました。」
キチンと手をそろえて、丁寧に頭を下げました。
「良かった、良かった。無事に着いたんやな。あれから、おばあちゃんに会えたかどうか心配してたんよ。ごめんやで、途中で降ろしてしもて。」
と言って、ひろ子ちゃんの頭をクシャクシャとしました。
「なんか、朝と感じが違うような気がするねんけど……、暗いからかなぁ?」
トラックのお兄ちゃんは不思議そうに頭をかしげました。
まあばあちゃんは、どうしてなのかすぐに分かりました。オッチャンも気付いたらしく、
「まっ、わしの家に来てくださいや。そこで、ちゃんとお話しますさかい。」
と、言いました。

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ひろ子ちゃんの家に行こう!


「あっ! いや! あの子が無事に着いたんならいいんです。トラックもジャマになるし……」
大きなトラックが、気になるようでした。
「それならこっちに寄せて下さい。ここまで家なんです。」
と、トモちゃんが、少しくぼんだようになった空きスペースを手でさしました。
「ひろ子ちゃん家まで、すぐそこなので、停めて行ったほうがいいと思います。おばあちゃん、私、オッチャンに電話してくるね。」
と言って、家に入っていきました。
「あの、ひろ子ちゃんは、こちらにいるんやないんですか?」
トラックのお兄ちゃんは不思議そうに言いました。
「はい。その事もお話ししたいし、ひろ子ちゃんを見つけて下さった時の様子もお聞かせいただけたらと思いまして。さっ、こっちに停めて下さい。」
まあばあちゃんに勧められて、トラックのお兄ちゃんは上手に空きスペースにトラックを駐車しました。トラックの方がずいぶん大きく見えたのに、ギリギリまで寄せて止めると、ほとんどが入ってしまいました。
トモちゃんのお父さんも運転がとても上手ですが、お兄ちゃんはもっと上手かもしれないと思いました。
「驚いた、運転、上手ですねェ。」
まあばあちゃんが感心して言うと、トラックのお兄ちゃんは照れくさそうに頭をかきました。
「おばあちゃん、シルバーカー持って来たよ。私も行く~。」
と、トモちゃんが、ジロちゃんとミミちゃんも連れて出てきました。
「まあ、トモちゃんも?」
「うん。お父さん達、まだ、帰ってこないんだって! オッチャンもひろ子ちゃんの恩人に早く会いたいって!」
「恩人?」
トラックのお兄ちゃんは目を丸くして言いました。
「そう! じゃあ、一緒に行きましょう。」
まあばあちゃんは、嬉しそうに笑いました。

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インターフォンの音の主


「どなたかしら?」
「見てくるね。」
トモちゃんが、席を立つと、
「スミマセーン。夜遅くにすみません。こちらにひろ子ちゃんという子が来たか教えてもらえませんか?」
インターフォンの受話器をとる前に大きな声がしました。
「はーい!」
と、トモちゃんは大きな声で返事しました。
「ねぇ、おばあちゃん、ひろ子ちゃんを送ってくれたトラックのおっちゃんかな!」
と言いながら、玄関の方へ走って行きました。
まあばあちゃんは、一度ゆっくり座ってしまうと、なかなか立てないので、慎重に立ちます。
「すみません。大声出して……。」
年若い男の人が、トモちゃんにペコペコ頭を下げていました。
まあばあちゃんはひろ子ちゃんの話から、年配の人のように思っていたので、少し驚きました。
その人は、まあばあちゃんに気付くと、
「あの! すみません。あんな小さな子を途中で道に置いてしまって……。ずっと気になってたんです。住所ははっきり書いてあったんで、送ってあげたかったんですけど、時間がギリギリになってしもて……。ほんと、すみません! あっ、ちょっと待っててください。」
慌ててトラックのところへ行くと、エンジンを止めて、また戻ってきました。
「あの子、無事に着きまたか?」
と、心配そうに聞きました。
「はい。あなた様のおかげで、無事に着きました。本当にありがとうございます。」
まあばあちゃんは深く頭を下げました。そして、
「近くにいるので、どうぞ会ってやってください。」
と、案内するように手を小さく差し出して言いました。

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得がたいもの


トモちゃんとまあばあちゃんは、陽が落ちた頃、オッチャンの家から戻ってきました。
「お茶にしましょうか……。」
「あは、今日は、一日中、お茶ばかり飲んでる気がする~。」
トモちゃんが、笑いました。
「じゃあ。やめとく?」
まあばあちゃんが、少し寂しそうに言うと、
「ううん。飲む。邦子おばちゃんのお茶も美味しいけど、ウチでお茶を飲むと家だなぁって感じがして好き!」
「それじゃあ、お茶を入れるわね。」
「うん! ねぇ!」
「なあに?」
「良かったね。ひろ子ちゃん、きっと幸せになれるね。優しいお母さんとお父さんが出来たんだもの。」
「ほんとうね。」
「おばあちゃんは? 寂しくない? ひろ子ちゃんに来てほしかったんじゃない?」
まあばあちゃんはそれには答えず、
「邦ちゃんのためにこうなって良かったと思うの。邦ちゃん、幸せになれると思うわ。」
「え?」
トモちゃんがキョトンとして言いました。
「おばあちゃんもそうだったからね。恭子ちゃんが娘になってくれて、トモちゃんが生まれて……本当に幸せ……! 邦ちゃんも、ひろ子ちゃんを育てていくうちに得がたいものを得られると思うわ。」
「得がたいもの……」
「そうよ。この世で一番かけがえのないものよ。」
まあばあちゃんは、静かに微笑んで言いました。

―――ピンポーン、ピンポーン―――

インターフォンが鳴りました。
「誰だろ?」
トモちゃんが、席を立ちました。

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買い物に行ってきた!


「はぁ~。疲れた~。」
トモちゃんが、ドッコイショと大きな荷物を置きました。
「これ、なに言ってるの。トモちゃんは……。」
まあばあちゃんがトモちゃんに呆れ顔で言いました。
あれから、みんなでひろ子ちゃんのお洋服や学用品をそろえに行ったのです。
「ただいま~!」
ひろ子ちゃんは、元気いっぱいに言うと、家の中に入っていきました。
「ジロちゃん、ミミちゃん、チビちゃん、ひろちゃん、ただいま~」
4匹が庭から、居間から、縁側の下からと元気よく迎えに出てきてくれました。
「お茶でも入れましょうね。」
邦ちゃんも、慌てたように家に入ってきて言いました。
「邦子おばちゃん、私が運ぶよ。」
と言って、邦ちゃんの荷物を受け取りました。
「そやで、邦ちゃん、荷物はおいときや。」
と言って、オッチャンもたくさんの荷物を持って、家に入ってきました。
ひろ子ちゃんが、ぱっと中から出来て、
「おかえりなさ~い!」
と、邦ちゃんに抱きつきました。
「おばあちゃん、おかえりなさーい」
ひろ子ちゃんは、“おかえり”という言葉を言うのが嬉しいらしく、みんなに抱きついて、一人一人に“おかえりなさい”と言いました。
「ひろ子ちゃん、ランドセルを背負ってるとこ、もう一回見たいな。」
と、トモちゃんが言うと、ぱぁっと明るい顔をして、ランドセルのラッピングを小さな手で丁寧に解くと、大事そうに取り出しました。そして、キュッと大事そうに抱きしめると、背負って見せてくれました。
よく似合ってるね! ひろ子ちゃん。

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授かり物


「ばあちゃん、ごめんやで。ひろちゃんは、子どものない、わしらに神さんが授けてくれた幸せやと思うんよ。ばあちゃんに頼まれたようにできんで堪忍な。」
オッチャンは、そう言って、まあばあちゃんに頭を下げました。
「ううん。私の方こそ、お礼を言わなくちゃと思います。ひろ子ちゃんの事、宜しくお願いします。感謝してもしきれません。」
まあばあちゃんは、そう言って、涙を指でそっと拭いました。
まあばあちゃんは、ひろ子ちゃんを引き取る決意していましたが、いつの間にかオッチャンの子どもになる話になっていました。ほんとうに自然に……
子どもを引き取って育てていくというのは大変なことです。なのに、気負うような重い空気が流れずに、ひろ子ちゃんは、オッチャンの子どもになりました。
「さぁ。ばあちゃん、わしもええ嫁さんもろて、可愛い子どももできた。これから、一生懸命働くで!」
そう言って、胸を張るオッチャンを、まあばあちゃんは頼もしい気持ちで見上げました。
「邦ちゃんは優しいお母さんになるわね。」
まあばあちゃんは、ひろ子ちゃんと楽しそうに話している邦ちゃんを見て、嬉しそうに言いました。
ジロやミミちゃんやチビちゃんに交じってひろ子ちゃんの茶色い犬も一緒にひろ子ちゃんと邦ちゃんを囲んでいます。
「なあ、ばあちゃん、あの様子見てたら、みんな幸せになれるような気がするわ。わし、頑張るで!」
オッチャンは、ニコニコ笑って言いました。

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お母さん


「お父ちゃんって呼んでいいの?」
ひろ子ちゃんが大きな目をパチクリしながら、オッチャンを見つめました。
「それから、邦ちゃんの事をお母ちゃんって呼んでくれへんか?」
ひろ子ちゃんは、さらに大きく見開きました。
「いきなりの事やから、すぐにというわけにはいかんやろ。ゆっくりでエエから……」
オッチャンは、そう言ってひろちゃんを降ろすと、邦ちゃんに言いました。
「ごめんやで、邦ちゃんに相談せんと、勝手に決めてしもて……」
オッチャンはそう言ってペコッと邦ちゃんに頭を下げました。
「いいえ、いいえ。私もひろちゃんが子どもになってくれたらいいなぁと思っていたんです。だから、ひろちゃんが私たちの子どもになってくれるなんて、夢のようです。私、ひろちゃんのお母さんになれるように一生懸命、努力します。」
邦ちゃんはひろちゃんを愛おしそうに見つめながら言いました。
ひろ子ちゃんは、まあばあちゃんの手を握ったまま、固まっています。
自分の目の前で起こっている事が信じられないようです。
オッチャンは、そんなひろ子ちゃんを見て、
「そんなに緊張せんでええ、ゆっくりでエエから、邦ちゃんをお母ちゃんて呼んだってな。」
ひろ子ちゃんは、しっかり頷くと、邦ちゃんを見ました。
邦ちゃんが両手を差し出すと、ひろ子ちゃんは邦ちゃんの胸の中にすっぽり納まりました。
ひろ子ちゃんは、小さく
「お母ちゃん」
と呟きました。

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お父ちゃん


「ほんと? お姉ちゃん!」
「ほんと、ほんと!! だから、ひろ子ちゃんは、お姉ちゃんとずっと一緒にここに居ればいいの!」
トモちゃんはそう言って、ひろ子ちゃんの顔を両手で挟んで、オデコをくっつけました。
ひろ子ちゃんは、喜んで部屋中を走り回りました。そして、まあばあちゃんにピトッと抱きつきました。
「おばあちゃんともずっと一緒?」
「そうよ。」
まあばあちゃんは、ひろ子ちゃんの頭を撫でました。すると、トモちゃんが、
「ひろ子ちゃん、おばあちゃんは、厳しいよ~。勉強しないと、こーんな顔で怒るんだよ~。」
トモちゃんが自分の目じりに指を当てて、吊りあげました。
「ひろ子、いっぱい勉強する。たくさんたくさんするよ!」
「よし! じゃあ、お姉ちゃんがビシビシしごいてあげるからね。」
「うん。」
「なんや。二人の話を聞いとったら、トモちゃんが一番、おっかないな~」
と言って、オッチャンがひろ子ちゃんの頭を撫でました。
「ひろ子、毎日ちゃんと学校行って、お姉ちゃんに、教えてもらって、いっぱい勉強したい!」
「そうか、そうか、ひろちゃんは勉強が好きなんやな。オッチャンも教えたるで。」
そう言いながら、オッチャンがひろ子ちゃんをほいっと抱きかかえて、ちょっと照れくさそうに笑いながら、続けました。
「ひろちゃん、頼みがあるんやけど、これからな、わしの事をお父ちゃんて呼んでくれへんか?」

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目が覚めると……


ひろ子ちゃんは、目が覚めるとガバッっと起き上がって、
「たいへん! ひろ子、オバサンところに帰らなくちゃ、また、怒られる!」
今まで、怖い夢を見ていたはずなのに、ひろ子ちゃんは、慌てて起き上がると、両手を膝の前について、
「おばあちゃん、ありがとうございました。ひろ子、オバサンところに帰ります。もう、おばあちゃんに会えなくなっちゃうと思って、夢中で来ちゃったけど、早く帰らないと、また怒られるもん。」
ひろ子ちゃんは、急にパタパタと部屋の中を走り回りました。
「ひろ子ちゃん、ここにいらっしゃい。」
まあばあちゃんが呼ぶと、ひろ子ちゃんは、まあばあちゃんの前にチョコンと座りました。
「もうね。ひろ子ちゃんは、どこにも行かなくていいの。おばあちゃんと一緒に暮らしましょう。」
ひろ子ちゃんは、まあばあちゃんの言う事が分からないのか、キョトンとしています。
「今日ね。ひろ子を連れに、男の人が遠くから来るって言ってたよ。」
ひろ子ちゃんは、怖くなってきたのか、ブルブル震えだしました。
「こーんな大きな人なんだって!」
ひろ子ちゃんは、両手を広げてブンブン振りました。それからヒックヒックと鳴きだしました。
「ひろ子ちゃん、そんな人は来ないよ。オッチャンが追っ払ってくれたから。」
と、トモちゃんが言うと、
「ほんとう!」
ひろ子ちゃんは、ビックリしたよう顔をしました。涙も止まっています。
「ほんとよ。オッチャンは強いから、その男の人はどこかへ行っちゃった。」
「ひろ子はどこにも行かなくていいの?」
「そうやよ。ずっと、ここに居ればいいの。」
ひろ子ちゃんの顔が、パーッと太陽のように明るくなりました。

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泣き声


「こんなところで、立ち話もなんですから、早く上がって下さいな。」
と言う邦ちゃんに、オッチャンは、嬉しそうな顔をして、
「そやな。」
と言いながら、家に上がってきました。邦ちゃんは、オッチャンの着ていたベージュのジャケットを受け取りながら、
「ひろ子ちゃん、奥で眠ってるんですよ。顔を見てあげて下さいね。私、お茶を入れてきます。」
えーん えーん
ひろ子ちゃんの声です。トモちゃんが、走って行きました。邦ちゃんとオッチャンもすぐに慌てて行きました。
ひろ子ちゃんは、グスングスンとえづきながら泣いていました。まあばあちゃんは、心配そうにひろ子ちゃんのおでこを撫でています。ひろ子ちゃんの手は、まあばあちゃんの手をギュッと握っていました。
「どないしたんや!」
オッチャンが、まあばあちゃんに聞くと、
「つらい事を思い出して泣いているのね。」
まあばあちゃんは、ひろ子ちゃんの髪を優しく指ですきながら答えました。
「起こした方がええんちゃうか?」
「でも、このまま起こしたら、辛い事を覚えたまま目をさますでしょう? 自然に起きたほうが忘れてしまうんじゃないかと思うの。」
「それもそうやけどなぁ……」
オッチャンも困ったように腕を組んで考え込みました。
「あっ、ジロ! 待って!」
トモちゃんが、止めるより先に、ジロがひろ子ちゃんの涙をペロペロなめました。すると、ひろ子ちゃんは、ぱっちり大きな目を開けました。

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解決への一歩


「帰った?」
ひろ子ちゃんの所に戻っていたトモちゃんが様子を見に来ました。
「ひろ子ちゃんのことは?」
トモちゃんが、心配そうに聞きました。
「うん、どこへも行かんでええで!」
「良かった!」
トモちゃんが、パンと手をたたいて喜びました。でも、邦ちゃんは、少し複雑そうな顔をしていました。
「あっさり話が進んで、良かったですけど、なんだか、淋しい気持ちもしますね。やり切れないというか……」
「ひろ子ちゃんのオバハンの事やな?」
「ええ……」
「それがなぁ。邦ちゃん、ひろちゃんの家に行ったらな。エライ騒ぎやったんや。ひろちゃんがおらん言うてな。引き取り手がのうなったらどないするつもりや言うてな……。えらい怒鳴っとたわ。」
「大変だったんだ。」
と、トモちゃんが、目を丸くしていいました。
「大変なことあるかないな。」
「おばはんが、このまま帰ってけぇへんかったらええのに! 言うたから、ほなウチに来てまっさかい。もらって行きまっさ。言うたら、なんも言わんようになったわ。」
「なんか、お役所関係とかややこしそう……」
「迎えに来た人が居合わせたさかいな。後は、その人に立ち会ってもろて、きっちり話をしてきたから。まぁ、ひろちゃんの母親がどう言うか分からんけど、見つからんもんはしょうがないしな。あっ、安心してや。学校もここから通えるで。」
「オッチャン、すごい、いきなり行って、みんな解決してきたんやね。カッコイイ!」
オッチャンは、トモちゃんの言葉にガハハと照れ臭そうに笑いました。

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迎えに来た人


「これ見て、どない思います?」
オッチャンは、黙ったままの男の人に言いました。
「そんな訳なんで、ひろちゃんは、一応ウチで預かってもよろしおまっか?」
「そうお願いできれば、ひろ子ちゃんが喜ぶと思います。」
「邦ちゃん、ここへ来る途中な、このお人にひろ子ちゃんを連れて行くのは、ちょっと待ってもらうように頼んだんや。ほなら、気ぃよう了解してくれはった。」
「そうですか。」
邦ちゃんは、少し微笑んで頷きました。それから、男の人に、お辞儀をしてから、
「ひろ子ちゃんは、私が大切に預からせていただきますので、よろしくお願い致します。」
「わしの嫁さんに任しといたら、間違いない思うんですわ。」
オッチャンは、自慢げに言いました。
「そうですか! お優しそうな奥さんで! ひろ子ちゃんの事、宜しくお願い致します。手続きはこちらでちゃんとしますんで。」
「よろしゅう頼みます。ひろちゃんにはいつでも会いに来てやってください。それに、ひろちゃんのお母さんと連絡が取れたら、ここにいると教えてやってください。」
オッチャンが、男の人に話していると、邦ちゃんが、
「ひろ子ちゃんの顔を見て行かれますか? 今、眠っていますので。」
「え? あ~いえいえいえ。お話を聞けただけで十分です。私は、引き取りに来ただけですので……」
「でも……」
「手続きの際に係りの者が伺う事があるかもしれませんが、その時は、宜しくお願いします。では、失礼します。」
「そうですか、わし、送って行きますわ。」
と、オッチャンが言うと、
「いやいやいや。お気持ちだけで……」
と、ペコペコ、ペコペコして、足早に帰って行きました。

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ひろちゃんの服


ひろ子ちゃんが、楽しい夢の中にいる頃、オッチャンが帰ってきました。
「今、帰ったで。おっ、トモちゃんも来とったんか。」
「オッチャン、どうだった?」
トモちゃんは、心配でオッチャンに一番に聞きました。
邦ちゃんが、奥の部屋から慌ててきました。
「うん。大丈夫やで。ばあちゃんは?」
オッチャンが、邦ちゃんに聞きました。
「ヒロ子ちゃんが寝てしまって。まあおばちゃんの手を離さないの。」
「そうかそうか。あのな、わしが、ひろちゃんのオバハンところに行ったらな……。ちょっと待ってや。」
オッチャンは、そう言いながら、玄関の外へ出ました。
「すいませんなぁー。ちょっと、こっちに入ってくれはりますか。」
と、誰かを呼んだ。
オッチャンに呼ばれた人は、やたらとペコペコしているのに、心の中で見下しているような、嫌味な感じの男の人でした。
邦ちゃんとトモちゃんは、少し緊張しました。
「邦ちゃん、この人なぁ。ひろちゃんを引き取りに来たお人でなぁ。ひろちゃんがばあちゃんを訪ねてきた話をしたんや。」
隣で、男の人がウンウンと頷きました。
「邦ちゃん、ひろちゃんが着てた服を持ってきてくれへんか?」
「はい。」
邦ちゃんは、返事すると、すぐに持ってきました。
「これ、着てたんですわ。どない思います? もう、フロに入れたからあれですけど、顔も手も真っ黒でしてんで。どないしたら、こないに、きたのうなるんかいうくらいでしたわ。」
オッチャンの話を聞きながら、邦ちゃんの持って来た服を見ていました。

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スヤスヤ


「じゃ、そうと決まったら、向こうにする話も変わってくると思うし、邦ちゃんの旦那さんが帰ってきたら、また、話しよ!」
恭子ちゃんが、邦ちゃんの旦那さんというと、邦ちゃんは、恥ずかしそうに頬を染めてニッコリ笑って頷きました。
「じゃ、私、明日までの納品分を片付けたら、また来るね!」
そう言って、恭子ちゃんは、仕事場に戻って行きました。恭子ちゃんがいなくなったとたん、家の中がシーンとしています。嵐が過ぎ去った後のようです。
「お母さんは、迫力あるね。いつもだけど、我が道を突き進むというか……。おばあちゃんも大変だよ。」
トモちゃんの大人びた言葉に、まあばあちゃんも邦ちゃんも大笑いしました。
ひろ子ちゃんは、何が可笑しいのか分からず、キョトンとしています。
「トモちゃん、さっき、みんなでお茶を頂いてたのよ。美味しいお茶を入れるから、テーブルに行きましょう。
「おねぇちゃん、おいしいよ。行こう。」
と、ひろ子ちゃんがトモちゃんの手を引っ張りました。
「あっ、レモンケーキだ! 美味しそう!」
「さっ、お茶をどうぞ。」
邦ちゃんが、みんなのお茶を入れ替えてくれました。
「美味しい!」
トモちゃんが。ケーキを頬張って幸せそうに言いました。
「ねっ、ひろ子ちゃん、美味しいね。あれ……」
「あら!」
「まあ……」
ひろ子ちゃんは、レモンケーキを持ったまま、コックリコックリと居眠りしています。
富田林からここまで、一人で来て。それから、色んなことが目まぐるしくあって、疲れたんでしょうね。
邦ちゃんがお布団を敷いてくれました。トモちゃんが抱いて行って、そっと寝かせました。
安心したのか、スースー寝息を立てて、ピクリともしません。
時々、ニコッと笑います。
楽しい夢を見ているのでしょうか?

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導き


「お母ちゃんのストールの暖かさは今でもよく覚えている。お母ちゃんは、私がお腹を空かせているのに気付くと、手提げ袋からお饅頭をだして、私に食べさせてくれたんよ。あんな、美味しいもん初めて食べたから、よく覚えてる」
恭子ちゃんのまつげは濡れていました。
「あの頃の私は、親戚中の厄介者で、たらい回しにされて生きてたわ。どんなに一所懸命に働いても、怒鳴られたり叩かれたり。そこの家の子達はテレビ見たりお菓子食べたりしてるのに、私は、掃除や洗濯ばかりしてたわ。『無駄飯食い』がとか『このウスノロが』とか言われて大きくなったわ。」
「お母さん……」
トモちゃんが居たたまれなくなったのか、恭子ちゃんを呼んだ。
「トモ子はホントに優しい子やね。お母さんの辛い体験を、いつも真剣に聞いてくれて……。お母ちゃんには、こんな事、詳しいによう言わんかったんよ。ごめんね。でも、わたし、お母ちゃんに引き取られてなかったら、死んでるか、とんでもない不良になってると思うわ。私の場合は負けん気ばっかり強くて可愛げがなかったように思うし……。」
恭子ちゃんは、少し苦笑いをしました。
「なに言ってるの、恭子ちゃん、助けられたのは、私の方よ。あなたがいてどれだけ心強かったか……。こんな頼りない母親なのに、大事にしてくれて……。あれからの私は恭子ちゃんだけを見て生きてきたわ。優しい人と結婚してくれて、可愛いトモちゃんを生んでくれて……。私にとって、これほどの幸せなことは無いと思ったわ。いつもいつも感謝してきたわ。恭子ちゃんは、私の太陽よ。」
まあばあちゃんは、小さな目にたまった涙をシワシワの手で拭いました。
子のない母と母のない子が神様の導きで出会い、貧しいながらも片寄せあって生きてきました。
この縁に感謝して生きてきました。

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過去


「今度ね、ひろ子が行くところはね。すんごーく遠いところなんだけど、おばあちゃんにお手紙いっぱいかけるんだって! たくさん紙ももらえるの。色鉛筆もいっぱいあるって! だから、お花も鳥もいっぱい描いて、おばあちゃんにも見てもらうの。」
「遠いところって……どこ?」
トモちゃんが、心配そうに聞きました。
「わかんない……」
ひろ子ちゃんの顔から笑顔が消えて、小さな声で言いました。

「そんなところ行くことないわよ! ひろ子ちゃん、もう、どこへも行かんでいいの。うちにおいで!」
「お母ちゃん!」
「まあ、恭子ちゃん!」
振り返ると、恭子ちゃんでした。急いで来たのでしょう。作業着のままです。
「なんだか、ひろ子ちゃんを見ていると、私の小さい時を思い出して……。」
恭子ちゃんの目は涙でいっぱいでした。恭子ちゃんはしゃがむと、
「おいで」
と言って、ひろ子ちゃんを手招きしました。
ひろ子ちゃんは、引き寄せられるように恭子ちゃんの胸の中に納まりました。
「……恭子ちゃん」
邦ちゃんが、声を掛けると、
「邦ちゃんも気付いてると思うけど、私、お母ちゃんの本当の娘じゃないの。」
邦ちゃんは黙っていました。何か言えるような雰囲気ではありませんでした。まあばあちゃんは、どまどったような顔をしていました。トモちゃんはジロに抱きついて困ったような顔をしていました。
「だって、そうでしょ? 50以上離れている親子なんてありえないもの。あの日のことは、はっきり覚えてる。ひろ子ちゃんより、ちょっと大きかったかなぁ。おなか空いて空いて、家にも居場所がないから、公園の隅っこにいたら。お母ちゃんが、公園に来たわ。お母ちゃんは、公園のベンチに座って、本をカバンから取り出して、読み始めた。優しそうな人だなあと思って、見ていたら、私、いつの間にか、お母ちゃんの目の前にたってたんやね。お母ちゃんは私に気づくと、大きなストールの中に入れてくれた。あの暖かさは今でもはっきり覚えてる……」
恭子ちゃんは、ひろ子ちゃんをギューッと抱きしめながら言いました。

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世界で一番好き


「ひろ子が外にいる時ね。アリさんが行列で歩いていたの。」
「ふうん。」
「それで、ひろ子、行列の間を指で区切ったの。そしたら、先のアリさんはそのまま行っちゃったけど、後から来たアリさんは、ワイワイガヤガヤどっちへ行ったらいいんだって、クルクルするの。ひろ子の前で困っているの。ひろ子は慌てて先に行ったアリさんの方に、また指で道を書いたら、一匹のアリさんが、先のアリさんの方に行ったの。そしたら、ドンドンみんなついて行っちゃった。その時、何匹かのアリさんが、もうこんな事しないでくださいねって、ひろ子に言ったの。ひろ子もごめんなさいってあやまったの。」
「ありさんは、その後、どうしたの。」
「忙しいからってドンドン行っちゃった。ひろ子も一緒に行きたいなって言ったらね。ひろ子は大きすぎてダメって言われたの。」
「そうか……。ダメって言われたの。もうちょっと頑張れば、アリさんのお家に招待されたかもね。ひろ子ちゃん、どうぞって。」
「でも、ダメって、知らない顔してどんどん行っちゃった。」
「じゃ、ジロ達の言う事分かる?」
「うん。わかる。クラスの子はひろ子の事、バイキンが来たとか、クサイクサイて言うけど、ジロたんとミミたんは、ひろ子の事、大好きって言ってペロペロしてくれた。おばあちゃんは、ひろ子が叩いたり蹴られたりしてる時、助けてくれた。ほんでね。ほんでね。キュッと抱っこしてくれた。」
「ひろ子ちゃんは、おばあちゃんの事が大好きなんだ!」
「世界で一番好き! だーい好き!!!」
ひろ子ちゃんは、ニッコリ笑って幸せそうに笑いました。
(だから、あんな遠いところから、おばあちゃんに会いたくて、来たんだ。こんなに小さいのに、必死で来たんだ。)
そう思うと、トモちゃんはいたたまれなくなって、小さなひろ子ちゃんの体をキュッと抱きしめました。

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茶色い犬の名前


「なんて、お名前?」
トモちゃんは頭を撫でながら、ひろ子ちゃんを見て尋ねました。
「ヒロちゃんて言うの!」
「え? ひろ子ちゃんと同じ名前?」
「え~と……。うん!」
ひろ子ちゃんはトモちゃんを見て、嬉しそうに笑いました。
「ひろ子ちゃんとひろちゃんかぁ……。ややこしいなぁ。どうして、この子の名前知ってるの?」
「うん。あのね。ひろ子ね。パンをあげた時、お名前なあに? て聞いたの。そしたらね! この子がね、お名前なあにって聞いてきたの。そんでね。『私の名前はひろ子よ』って教えてあげたらね。私もひろ子というのよってオッポをブンブン振ったの!」
「へぇ!」
「だから、おんなじ名前だなって分かったの!」
ひろ子ちゃんは、えへんと胸を張って言いました。
トモちゃんにチビちゃんがじゃれついて来ました。
(そういえば、チビちゃんも、ちっちゃいからチビちゃんって呼んでたけど、嬉しそうにピョンピョンしてくれたなぁ。)
「へぇ、ひろ子ちゃんは、この子の言う事分かるんだ。」
「うん!」
「じゃあ、ジロやミミちゃんやチビちゃんの言う事は?」
「分かるよ! アリさんの言う事も分かるよ!」
「へぇ! ひろ子ちゃん、アリさんの言う事も分かるんだ!」
「うん!」
トモちゃんは、嬉しそうに話すひろ子ちゃんが可愛くなって、「かしこいねぇ」と言って、キュッと抱きしめました。

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初めまして、トモ子です。


「トモちゃん、今日、学校だったの?」
邦ちゃんが、不思議そうに聞きました。
「そうだよ。新入生のクラブの勧誘の作戦会議。」
「ああ、そうよね。……今、入学式の時期なのねぇ。」
邦ちゃんは、なるほどというように頷きました。そして、少し寂しそうな顔をしました。邦ちゃんには、子どもがいないので、すぐにピンと来ないようでした。そのことを淋しく感じたのかもしれません。
「そうなの!」
と、邦ちゃんに返事すると、トモちゃんは小さく屈んで、
「初めまして、私、トモ子です。トモ子お姉ちゃんって呼んでね。」
「はい!」
ひろ子ちゃんは、緊張気味に返事しました。少し体が硬くなっています。一度に知らない人に会うので、ついて行けないのでしょうか。
「ヨロシクね!」
「トモ子お姉ちゃんに、お名前教えてくれるかな?」
「わたし、ひろ子です。」
「そう、ひろ子ちゃん! 可愛い名前やね!」
そう言って、トモちゃんは、ひろ子ちゃんの頭を撫でました。そして、ひろ子ちゃんの後ろにくっついている茶色い犬に気付いて、
「そのコはお友達?」
ひろ子ちゃんは、またコクンとうなづきました。
「そう、ワンちゃんも、ヨロシクね!」
と、トモちゃんが笑うと、ひろ子ちゃんも笑いました。
茶色い犬が、甘えるようにトモちゃんの鼻をクンクンしました。
「あはは、可愛いね。」
と、トモちゃんが頭を撫でると、ジロが、茶色い犬に“隣を開けてよ!”というようにグイグイっと体を入れてきました。

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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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