お春ちゃん、現れる


「あの時の子やな。エライ子や。よう来たな。」
「オッチャン」
トモちゃんが驚いて振り向きました。
お春ちゃんは助手席に座っていました。今、ヨッコラショッとドアを開けて、降りてきました。その時、まあばあちゃんは、ようやく邦ちゃんの家に着きました。
「この前、病院の前で会うたな。オッチャンの顔を覚えてるやろ。」
「はい、……逃げ出してごめんなさい。」
「ええんやで、邦ちゃんの事、心配してくれて来てれたんやろ? よう謝りに来てくれたな。かしこい子や。」
オッチャンの言葉に、女の子は申し訳なさそうに肩を小さくしました。
お春ちゃんが、ようやく邦ちゃん達の方へ車をつたってやって来ました。トモちゃんがお春ちゃんに優しく手を添えています。
「この人が、邦ちゃんのお母さんやで、この人にも謝っときや。」
女の子は泣きはらし目でお春ちゃんを見ると、頭を下げました。
「酷い目に合わせてごめんなさい。」
「ホンマ言うたら、私はまだ怒ってる。」
その言葉に、女の子の肩がビクッと揺れました。
「せやけど、邦子がええ言うてんのに、私が何も言う事あらへん。」
お春ちゃんの言葉に、女の子は水を浴びせられたように、固まっていました。お春ちゃんは、女の子にニカッと笑うと、
「これから、安全運転で頼むで、暴走自転車は勘弁してや。」
と、女の子の肩を優しくポンポンと叩きました。
「お春おばあちゃん、どこに行ってたの?」
トモちゃんが、聞くと、
「私か? 神経痛で腰がたてへんもんやから、お医者さんに連れて行ってもろててん。」
「お春ちゃん、神経痛出てしもたの。」
まあばあちゃんが、心配して聞くと、
「そやねん。この年末に情けないわぁ。」
と言って、薬袋を見せました。

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間に合うかしら……


その頃、まあばあちゃんは慌てて、恭子ちゃんに置手紙を残すと、ジロとミミちゃんにお留守番をたのんで、シルバーカーを押して邦ちゃんの家に向かいます。
トモちゃんといたあの女の子は、邦ちゃんにぶつかった女の子に違いありません。
(どうしよう……。今、お春ちゃんとあの子が会ったりしたら、お春ちゃん、頭に血が上って倒れてしまうかもれしないわ……。)
お春ちゃんは、邦ちゃんが怪我をしたあの日から、
「なんで、邦子ばっかりこんな目に遭わなならんねん。ほんまに! 邦子に酷い目にあわせたヤツ。見つけたらただではおかんで! ほんまに!」
と、顔を真っ赤にして怒っています。
本当にカー! となって、ひっくり返ってしまうかもしれません。そう思うと居ても立ってもいられなくなって、まあばあちゃんは、一生懸命シルバーカーを押します。
(どうして、トモちゃんに、一緒に行くと言わなかったのかしら……)
突然の事で、気が回らなかったことをまあばあちゃんは後悔しました。
(とにかく、急がなくては)
まあばあちゃんは、さらに足を速めました。
「あら?」
トモちゃんに、女の子に、邦ちゃん……。
お春ちゃんの姿が見当たりません。
拍子抜けしましたが、夕飯時にいないなんて、お春ちゃんはどこに行ったんでしょうか?

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やっと……


邦ちゃんが、何にも言わないので、トモちゃんは、どうしたのかと見上げると、邦ちゃんはハッとしたように、
「心配してくれてたんやね。ありがとう。でも、ほら、もう元気になったから、大丈夫よ。気にしないで……」
「本当に?」
女の子は、やっと頭を上げて涙でグシャグシャになった顔で聞きました。
「ええ、本当よ。だから、もう泣かんといて……」
邦ちゃんは、女の子の肩にやさしく手を置いて言いました。
「ありがとう、わざわざ謝りに来てくれたんやね。」
(邦子おばちゃんは優しいなぁ。あんな、ひどい目に遭わされて。ちっとも責めないで許してあげるなんて……。)
トモちゃんは、女の子と邦ちゃんの様子にホッとしました。
女の子は、邦ちゃんにぶつかった時、怖くなって逃げたものの、やっぱり心配になって戻って来たそうです。でも、もうトモちゃんが側にいてすぐに男の人が来て、出ていく勇気がなくなってしまったという事でした。
後日、車いすの邦ちゃんを見て、逃げたことをすごく後悔しながらも、見ているだけでした。そして、学校の帰りにトモちゃんを見つけましたが、なかなか声を掛けられず、今日やっと話しかけたのでした。
女の子は、邦ちゃんに自転車でぶつかった日から、ずっと気にしていたのですね。
邦ちゃんを倒して、見捨てて、謝りもしない悪い女の子だと思っていたのに、ずっと苦しんでいたのですね。

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あの時の女の子


トモちゃんがインターフォンを押しました。
「はーい!」
邦ちゃんの声が聞こえました。
「邦子おばちゃん、こんにちは! トモ子です。」
「あら、トモちゃん、ちょっと待ってね。」
「おばちゃん、ゆっくりね!」
「なあに、トモちゃん。」
邦ちゃんは、知らない女の子がいるので、とまどっている様子でした。
「あのね。このコ、邦子おばちゃんに謝りたいって……。」
「えっ……?」
「あの、私……、あの時、ぶつかった……」
女の子は、シドロモドロです。そして、いきなり、ガバっと頭を下げました。
「……ご、ごめんなさい。ぶつかって、怪我させたのに、逃げてしまってごめんなさい。」
「あの……」
邦ちゃんも、固まってしまいました。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
女の子は何度も謝ります
トモちゃんが、その女の子の背中をさすりながら邦ちゃんにいいました。
「今日の帰りにね。駅で声かけられたんよ。邦子おばちゃんに謝りたいって……」
女の子は頭を下げたままです。
「謝りたいと思って、ずっと、私たちを見ていたんやって、病院に通っていることも知ってたんやけど、なかなか声を掛けることが出来へんかったんやって……」
そう言うと、トモちゃんはコートからハンカチを出して、女の子の涙を拭いてあげました。
邦ちゃんは、呆然とした様子でトモちゃんと女の子を見ていました。

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トモちゃんと知らない女の子


「トモちゃん、まだかしら……」
まあばあちゃんは、トモちゃんが帰ってきたらすぐに、熱い甘酒が飲めるように何度も温めています。
甘酒のいい匂いが辺りに立ち込めています。
「トモちゃん、喜んでくれるかしら?」
まあばあちゃんが、ポツリと独り言を言った時、
「おばあちゃん、ただいま!」
「やっと、帰ってきた。」
まあばちゃんは、コンロの火を止めると、慌てて玄関に向かいます。
「トモちゃん、お帰りなさい。甘酒、作って待ってたのよ。」
まあばあちゃんが嬉しそうに言うと、トモちゃんは残念そうな顔をして、
「ごめんね。おばあちゃん、これから、邦子おばちゃん所に行ってくるね。」
「え? 今から……」
「うん。帰ったら話すから、行ってきます。」
それだけ言うと、カバンを置いて、トモちゃんは、行ってしまいました。
まあばあちゃんが、外に見送りに出た頃には、自転車のトモちゃんは、もう邦ちゃんの家に着いていました。
「あら? あの女の子、誰かしら?」
トモちゃんの隣に、まあばあちゃんの知らない女の子がいます。トモちゃんと同じくらいの年恰好です。制服はトモちゃんとは違うようです。
まあばあちゃんは目をショボショボさせながら目を凝らしました。
「まさか……」
まあばあちゃんは、ハッとしました。
「きっと、そうだわ。」
まあばあちゃんは心配になって、邦ちゃんの家に行こうと思いました。

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まあばあちゃんの甘酒


寒い日が続きます。今日は風も強いです
まあばあちゃんが、毎日行く公園の木も葉をすべて落としてしまいました。
その落ちた葉も、風に飛ばされて僅かに残るのみです。
枝だけになってしまった木は淋しそうに、風に揺らされていました。
「なんだか寂しくなったわねぇ……」
まばあちゃんがジロとミミちゃんに言いました。
寒いせいか、公園にはまあばあちゃん達の他には誰もいません。
「今日は、もう帰りましょうか……。そうだわ。こんな寒い日は、甘酒を作ってトモちゃんを待ちましょう!」
そう思いついたら、ワクワクしてきました。トモちゃんは、まあばあちゃんが作る甘酒が大好きなのです。
家について、ジロとミミちゃんの足を拭き終わると、二匹は我先にオコタの中に入りました。まあばあちゃんがオコタのスイッチを入れます。あんなに散歩に行きたがっていたのに、家ではこんなに寒がりなジロとミミちゃん。
「不思議な子達ねぇ」
まあばあちゃんは可笑しそうに微笑みました。
さっそく、甘酒つくりに取り掛かります。まあばちゃんの甘酒はとっても簡単です。
まず、酒粕をポンと一枚、鍋に入れてお湯で溶かします。
そして、お砂糖をスプーンに2、3杯。これをグツグツ煮ます。
次は土生姜をたっぷり入れます。さらにグツグツ……。
「どれどれ……」
まあばあちゃんは頃合いを見て味見しました。
「うん、おいしい!」
まあばあちゃんは満足そうに頷きました。
後は、トモちゃんの“ただいま”の声を待つだけです。

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ハッピーちゃんのお部屋


「見て! 今、私一人で、部屋は空いてるから、ほら、ここをハッピーちゃんの部屋にしたんよ。」
「まあ、かわいらしい!」
まあばあちゃんはビックリしました。まるで子供部屋です。
ハッピーちゃんの座りやすそうなふわふわのベッドに。カマクラみたいな布の小屋。きちんとトイレシートもあります。
「これなあに?」
まあばあちゃんが聞くと、
「これは、ここに餌を入れておくと、時間になったら、エサが出てくるの。水や餌も、自動的に出るんよ。」
「へぇ! ハイカラやな!」
まあばあちゃんより先にお春ちゃんが素っ頓狂な声を上げました。
「樺山さん、これから、忘年会やら新年会やらで、忙しくなるらしいの。ほら、ハッピーちゃんのご飯のほかに、オヤツもこんなに……」
「ようさんやなぁ」
お春ちゃんが感心したように言いました。
「私にもお菓子やらお饅頭やら……気ィ使ってくれはって……。せや、お茶入れんと!」
お豊ちゃんは、はっと気づいたようにお湯を沸かしに行きました。
「年行くとイヤやねぇ。さっきからお茶しよ言うてんのに、ちょっと違う話したら、忘れてたわ。」
と、お豊ちゃんは苦笑いしました。
「それに、昨日ね、樺山さんといるところに、動物病院の先生に会ってね。先生、樺山さんの事、私の息子と間違えて、『息子さん、息子さん』て言うてくれはって、なんや嬉しかったわぁ。」
お豊ちゃんは、嬉しそうに涙をにじませて言いました。
「ハッピーちゃんのおかげでいい事がいっぱい起こるわ。この子はきっと天使やわ。樺山さん、お願い聞いてくれてホンマに感謝やわ。」
「そら、まあちゃんの友達やから、初対面やのに預けてくれたんやで。」
「ほんまやね。まあちゃんのおかげや。いい友達持ったわ。もう、いつ死んでもいいくらい幸せ……。」
お豊ちゃんがそう言うと、お春ちゃんが慌てて、
「ちょっと、ちょっと、うちらホンマに棺おけ近いんやから、縁起でもない事言わんといてや。」
「あら、ほんと。」
三人で顔を見合わせて、アハハとおなかが痛くなるくらい笑いました。

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おばあちゃん達のお茶会 


「あら、もう家に着いたわ。話しながらやと早いわねぇ。」
お豊ちゃんはそう言って、まあばあちゃんに笑いかけました。
「まあちゃん、おいしいお饅頭があるの。一緒にお茶しましょうよ。時間あるでしょ?」
お豊ちゃんはなんだか、ウキウキしている様子です。
「お春ちゃんも、呼んであげましょうよ。」
「あっ、いいわね。私、電話するわね。」
とお豊ちゃんが、小さな手提げバッグから携帯電話を取り出しました。
「あら、お豊ちゃん、携帯電話持ってるの?」
「ええ、娘が心配して、持たせてくれてん。大きいボタンだからよう見えるわ。まあちゃんは?」
「わたしも、持ってるの。みんなが出かけた後は、私一人でしょ? ほら、見て! トモちゃんが、押すところにシールを貼ってくれてるの。」
まあばあちゃんも携帯電話をカバンから出して、見せました。
「あら、かわいらしい。ネコちゃんに、ウサギちゃんのシールね。」
お春ちゃんに電話すると、すぐ行く言う事でした。
「じゃあ、お春ちゃんが来るまでに、熱いお茶を用意するわね。」
「その前にこの子たちの足をふかなくちゃ。」
まあばあちゃんが言うと、
「あら、ほんと、忘れるところやったわ!」
お豊ちゃんは、門扉を押し開けると、慌ててバケツに水をはりました。
そうする内にお春ちゃんが、到着しました。
「いらっしゃい。お茶を頂きましょう。お饅頭をいただいたの。」
「嬉しいわ。甘いもん大好きや。食べよ食べよ! わたしも、お菓子もってきたで。」
だんだん寒さが厳しくなってきたけど、おばあちゃんたちの楽しいお茶会が始まります。

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動物病院からの帰り道


「まあちゃん、病院終わったら、ホッとするねぇ。」
お豊ちゃんが、疲れたような顔をして言いました。
「ほんとね。ハッピーちゃんの注射があったから。余計緊張したしね。」
「ハッピーちゃんの注射もだけど、私、耳の掃除ビックリしたわ。飛び上がったわ。先生、どんどん水みたいなものをジロちゃんの耳に入れるんやもん。耳掃除、言うたら、面棒かなんかのやわらかいもんで汚れを取るんやと思ってたから。」
「私も、初めて見た時はビックリしたわよ。でも、耳を振らなくなるし、ニオイもないからいいわよ。それに掃除をしないと、耳垢でかぶれてしまうから、この子達にはあうみたい。」
「でも、家でも洗ってるんでしょ? 大変でしょう?」
「トモちゃんとやってるんだけど、コレしなくちゃいけないって分かってくれたら。お利口にしてるわ。」
「ミミちゃんは?」
「先生みたいに、遊びながらやってるんよ。」
「私にできるかしら?」
「ハッピーちゃんは怪我が良くなってからだろうし。おとなしい子だから大丈夫よ。私も手伝うわ。」
まあばあちゃんが、お豊ちゃんを励ますと、うんと頷きました。
「それから、ノミのお薬って何?」
「これは、3カ月に1度くらいに、今日いただいた薬を首筋の所につけるの。その前後二日間はお風呂に入れないの。」
「あら、お風呂大好きなジロちゃんは大変ね。」
「そうね。」
「ノミのお薬は、簡単にできそうね。」
お豊ちゃんは、ホッとした顔をしました。
「ハッピーちゃん頑張ろうね。」
と、お豊ちゃんがハッピーちゃんに声を掛けると、嬉しそうに振り向きました。
初めてワンちゃんの世話をすると言うので、少し心配していましたが、ハッピーちゃんとお豊ちゃんは、とっても気が合うように思えました。これなら樺山さんも安心して預けられますね。
お豊ちゃんは、やる気十分ですしね。

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お豊ちゃん、初めての動物病院へ


「お! 来たか来たか。」
動物病院の先生は、ジロとミミちゃん、ハッピーちゃんの姿を見ると、嬉しそうにみんなの頭を撫でました。
「おや、ジロとミミちゃんは、今日はどうしたのかな?」
「今日は、正月前だからと思って、ダニ除けのお薬と耳洗いのお薬を貰いに来ました。」
「じゃー、体重測ろうか?」
そう言って、診察台に乗せられました。体重を量られると、次は体温を測ります。ジロは嫌そうな顔をして先生を見ました。
「いつも通りですね。ジロはちょうどいい体格してるから安心やな。耳はきれいやけど、どうします?」
「お願いします。」
「はい。」
先生は手慣れた様子で、軽くジロの顔を支えると、ジロの耳の中にどんどん液体を注ぎ込みました。
「ええ!」
お豊ちゃんは、小さく声を上げて自分の口を押えました。そして、目を丸くしています。
先生は、しばらくジロのミミをもんだ後、ティッシュで簡単にふき取り、ジロの顔から手を離しました。ジロは勢いよく耳を振ります。もう片方も同じことをして、塗り薬を付けます。
「はい、おしまい。ジロはいい子やから助かるわ。」
先生はジロの頭を撫でながら言いました。ジロも嬉しそうです。
「次は、ミミちゃんやな。ミミちゃん噛むからな~。凶暴なお嬢さんや。」
ミミちゃんも次は自分だと分かるのか、ウーと言って、拒否します。先生は、ミミちゃんを抱き上げると、高い高いをして遊びました。ミミちゃんはしばらくするとご機嫌になりました。そこですかさず耳洗いに入ります。
ミミちゃんはしまった! というように慌てて暴れましたが、ミミちゃんの時はいつの間に来た助手さんも手伝って、耳洗いを済ませました。
終わったら、先生はもう一度ミミちゃんを高い高いしてくれました。
「さぁ、次はハッピーやな。どうかな傷を見せてくれるかな。だんだん良くなってるな。もうちょっとかかるけどな。」
ハッピーちゃんは注射を打たれても、静かにしていました。助手さんも軽く顔を支えているだけです。
お豊ちゃんの方が、ハッピーちゃんの注射されてるのを見て、緊張のせいで倒れそうです。
まあばあちゃんは、一緒に来て本当に良かったと思いました。

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仲良しケンカ


「あっ! ばあちゃん、良かった良かった! ここにおったんか!」
後ろから声を掛けてきたのは、チビちゃんのおっちゃんでした。
「どうしたの? こんなに朝早く……。」
まだ6時前です。暗い夜空の東の隅っこに朝日がうっすら見えるころです。
冷たい風の吹く冬枯れの公園でおばあちゃん3人が集まって話をしているところへ、オッチャンがチビちゃんを自転車の前かごに乗せてやって来たのです。
「今日は、もう出なアカンねん。チビ預かってもらおうと思ってな。朝の早よからごめんやで。」
「よくココって分かったわねぇ。」
まあばあちゃん感心しました。
「いやいや、ちゃうねん。朝早すぎるから、どうないしょうかなぁと思ってな。ばあちゃん、朝早うに、散歩行ってたなと思って、こっち来たんや。会えて良かったわぁ。会われへんかったら連れて行こうと思っててん。」
一緒に連れて行くとなると、チビチャンは長い時間、車の中でおとなしくすることになります。やんちゃなチビチャンにはつらい事です。
オッチャンはホッとした様子で、まあばあちゃんのシルバーカーにチビちゃんを乗せました。
ミミちゃんはひざ掛けにくるまってホカホカした顔で座っています。まあばあちゃんはチビチャンにも毛布を掛けました。二匹は仲良く毛布にくるまっています。
「あらまあ、仲良うになって! この子ら吠えてばっかりやったんちゃうん。」
「ケンカしたり、じゃれたり、くっついて寝たり、いろいろよ。」
と、まあばあちゃんが答えると、
「そうかいな。人間と一緒なぁ。」
と、お春ちゃんはしんみりした様子で言いました。

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ハッピーちゃんの注射


「へぇ、ハッピーちゃん、散歩うまいなー。」
お春ちゃんが感心して言いました。
「そうなんよ。私に合わして歩いてくれるんよ。」
「なんや、酷い目に遭わされとったいうから、もっとイライラしてると思うとったわ。私も見習わなアカンわ。いつまでも、昭雄さんとあの女の人の事でクヨクヨしとったらアカンわ。なぁ、ハッピーちゃん」
お春ちゃんが名前を呼ぶと、嬉しそうに見上げました。
「ハッピーちゃん、エリザベスカラー取れて良かったわね。」
と、まあばあちゃんが言いました。
「そうなんやけど、今日は、動物病院にハッピーちゃんの診察してもらいに行くの。注射を打つんですって……。私、動物病院なんて、初めてやから緊張するわ~。」
と、お豊ちゃんは胸に手を当てて言いました。
「あら、じゃあ一緒に行かない? ジロとミミちゃんのお薬買うころなの。」
と、まあばあちゃんが言うと、
「え、ジロちゃんにミミちゃんまでどっか悪いの?」
二人とも驚いて聞きました。
まあばあっちゃんは面喰いましたが、ああという顔をして、
「違うんよ。耳を洗うお薬と、ダニ除けのお薬を定期的にもらいに行ってるの。でも、ジロが病院嫌いなもんだから、ついつい後回しになってしまって……」
「あら~、ジロちゃん、私と一緒ね。私も病院が苦手なんよ。」
と、お豊ちゃんが言うと、ジロは、少し前足でステップを踏むような仕草をしました。
「ハッピーちゃんは病院が好きなんですって。」
「あら、いいわね。うちは毎度大変よ。」
まあばあちゃんが感心して言いました。
そういうわけで、お豊ちゃんとまあばあちゃんは一緒に動物病院に行く約束をしました。

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ハッピーちゃんとお豊ちゃん


「あら、お豊ちゃん、どうしたの?」
お豊ちゃんがハッピーちゃんを連れています。お春ちゃんも一緒です。
「お豊ちゃん言うたらな。焼肉食べてるとき、ハッピーちゃんの話がでたやろ。」
そう言えば、樺山さんが仕事に行く間、ハッピーちゃんが一人になるので、恭子ちゃんが預かる約束をしていました。
「柿を頂きに行ったときね。ハッピーちゃんに初めて会うたんやけど、このコ、優しい子で、頭を撫でたら顔をペロペロしてくれてね。なんだか幸せであったかい気持ちになったの。そんな気持ち久しぶりでねぇ。樺山さんと恭子ちゃんの話を聞いて、申し出てみたんよ。」
「せやん。あんた、ぜひ私に預からせてください言うてペコペコしてたもんなぁ。」
「そうやった? おかしかったかしら。なんか夢中になってしまって。あの時に言われへんかったらチャンス無いと思って……」
お豊ちゃんは、恥ずかしそうに赤くなっていました。
「まあちゃんとこのジロちゃんとミミちゃんも、柿、好きやって聞いたから、オヤツで一緒に食べて……、ハッピーちゃんも好きやったわ! ご飯は煮魚にしたの。美味しそうにパクパク食べてくれたわ。」
お豊ちゃんは嬉しそうに話を続けます。
「でね、私もまあちゃんの真似をして、夜は一緒に寝たの。ワンちゃんてあったかくて気持ちいいのね! ここんところ寝つきが悪かったのにぐっすり寝れたわ。」
お豊ちゃんが言うと、おはるちゃんが驚いて、
「それはええな。薬代が助かるなあ。」
と言いました。お春ちゃんもハッピーちゃんを撫でましたが、少し頭を傾けただけで、顔をペロペロはしませんでした。
「このコは、お豊ちゃんが好きみたいやなぁ。」
お春ちゃんは、顔負けしたように言いました。それを見て、お豊ちゃんは、泣き出しました。お春ちゃんがビックリして、
「どないしたん!?」
と聞きました。まあばあちゃんも驚きました。
「わたし、主人にいつもダメやダメや言われてきたから、こんなふうに好かれて、すごく嬉しい……。」
「なんや、大げさやなぁ。それに、ウチらかてアンタの事好きやで。なあ、まあちゃん。」
「そうよ。」
と、まあばあちゃんは答えましたが、なぜ、お豊ちゃんが泣いたのかなんとなく分かりました。
きっと、“他の人より自分を好いてくれた。”
このことに感動したのではないでしょうか。
お豊ちゃんのご主人は冷たい人だったし、娘さんは優しいけれども、今は遠くに暮らしている。そんな時、ハッピーちゃんの優しさにふれて、胸が熱くなったに違いありません。
ハッピーちゃんも酷い目に遭った経験があるから、お豊ちゃんの心の内を汲んで、今の様な態度をしたのかもしれません。
まあばあちゃんはそんなお豊ちゃんとハッピーちゃんを見て、切ないような、ホッとするような……。そんな気持ちになりました。

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一人ぼっち



「母の年金でローンを払ってるって言うのに、ちっとも大事にしないで、それでも長男かと思いました。今日、母を迎えに行こうと思ってるんです。」
とコナン君のお母さんは言いました。
「でも、立ち入ったことを言うようだけど、私もこの歳だから分かるけど、これから病気がちになるから、入用なことが増えるわよ。」
まあばあちゃんは年金の事が心配になって言いました。
「そうなんですけど、兄と話すと気疲れして、家に帰ってもぐったりしてしまうんです。」
その言葉を聞いて、まあばあちゃんも黙ってしまいました。
(本当だわ。こういう事は自分が一番考えているものよ。)
まあばあちゃんは、余計なことを言ってしまったとコナン君のお母さんに申し訳なく思いました。そして、
「娘の方が、気楽で楽しいものよ。」
まあばあちゃんが言うと、コナン君のお母さんは小さく微笑みました。
薄暗い部屋に一人で置いておかれるより、娘の所に身を寄せた方が、どれほど幸せなことでしょう。
老いてくると、あちこち痛くなったり病気になったりしてきて、不安な気持ちになることが増えます。そんな時、自分に優しくしてくれる家族が側にいるということは、どれほど心強い事か……。
それにここに来れば、まあばあちゃんやお春ちゃんにお豊ちゃんと仲良し3人組がいます。お友達になって、お茶をして、昔話でもすれば、心も若返るというものです。
年寄りの幸せなんて、あったかいお茶とお菓子と話し相手がいれば十分なのです。
一人ぼっちは嫌なのです。
「お母さんと早く、お友達になりたいわ。」
まあばあちゃんがそう言うと、コナン君のお母さんは、泣きそうな顔をして笑いました。頷くように二度、頭を下げました。

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コナン君のお母さんの悩み


今日は、12月だというのに、ポカポカ陽気です。
今日は一日過ごしやすそうです。
公園の落ち葉も夜露に濡れて、キラキラ輝いています。だんだん葉を落として、少なくなっているけれど、キレイな紅葉です。
「あら?」
コナン君のお母さんがコナン君を連れて歩いて来ます。でも、肩を落としてうつむいています。コナン君もお母さんを心配そうに見上げながら歩いています。
「お早うございます。」
まあばあちゃんが挨拶しました。……が、気付かず通り過ぎてしまいました。
まあばあちゃんは、もう一度、今度はさっきよりも大きな声で、
「コナン君のお母さん! お早うございます!」
「あ! お早うございます。」
コナン君のお母さんは慌てたように振り返りました。
「ごめんなさい。ボンヤリしていて……。」
「大丈夫? 元気がありませんよ。」
まあばあちゃんがそう言うと、コナン君のお母さんは泣きそうな顔をして、
「この間、母のお話聞いていただいたでしょう?」
「お母さんどうかされたの?」
先日、聞いた話では、コナン君のお母さんのお母さんは、お兄さんの所にいて、薄暗い部屋を一つあてがわれて、一人でいるとの事でした。
「この間、また、兄の所に行って、母を引き取りたいって話をしたんです。そしたら、『そら、困るわ。ちゃんとしてんのに』って言うんです。でも、私、粘って、連れて帰る約束をしました。」
そこまで言うと、深いため息をついて、黙ってしまいました。
「どうしたの?」
まあばあちゃんが聞くと、
「『連れて行くのはかまへんけど、年金を家のローンに当ててるから。それは渡されへんで』って言うんですよ。」
コナン君のお母さんは、悔しそうに言いました。
まあばあちゃんもびっくりして黙ってしまいました。

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みんなも師走で


「お母ちゃん、暮れの大掃除は、私、次の連休から始めるからね。」
と、恭子ちゃんが言いました。
「おばあちゃん。私、期末テストを終わったら、手伝うからね。」
と、トモちゃん。
「ありがとう。大丈夫よ。ぼちぼち片付けていくから。大晦日に簡単なおせちを作ろうと思うから、その時は、二人とも手伝ってね。」
と、まあばあちゃん。
やっぱり、12月になると、みんなお正月が気になるのですね。
なんだか気ぜわしい気持ちになって来ました。でも、嫌な感じはしません。
なにか、いい事をくるのでは? というような気がして、楽しみなのに緊張するような不思議な気持ちになります。
元旦はおせちとお雑煮を食べて、二日に福おこしと言って、まあばあちゃんは必ずぜんざいを作ります。三日目からいつも通りの食事です。
(いつもよりちょっと贅沢して、すき焼きなんていいわね。)
気の早いまあばあちゃんは、来年の事を思ってワクワクしています。

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師走


12月になりました。
12月になったと言うだけで、昔は師走と言っていたように、にわかに年の瀬という気がします。
まあばあちゃんは12月になると、まず、お正月さんに来ていただけるようにと、精一杯家をキレイにします。
「まあちゃん、もう12月やて、早いなぁ。今年は、邦子が怪我してしもたから、私が頑張らなアカンねん。早い目に正月の準備せななぁ。」
と、今朝、お春ちゃんが言っていました。
「体が動くうちは、幸せよ! 私も今日から掃除を始めようと思ってるの。」
と励ますつもりで言ったのですが、
「まあちゃんは、張り切ってるなぁ」
お春ちゃんは、力のない声で言いました。
「さて、始めますか!」
12月は普段できないところをしっかり掃除します。まずは台所から、今日は、流しの下の醤油やポン酢など、中に置いているストックを取り出して拭きます。昔は楽々取り出したものですが、最近はだんだん瓶が重く感じるようになってきました。あっ! 瓶ではなくペットボトルでしたね。次はガスレンジです。
換気扇は、イスに乗って取り外さないといけないので、最近は恭子ちゃんが洗ってくれます。12月は恭子ちゃんもとても忙しくなるので、出来るだけ頼みたくないのですが、あんまり高い場所は、怖くなってきたまあばあちゃんでした。
次は、水屋です。お皿やコップの下に敷いている。タオルを新しいものに取り換えました。今年一年あまり使わなかった食器は新聞紙に巻いて段ボール箱の中にしまいました。
掃除って不思議ですね。ちょっと手を入れるだけで、スッキリした空気がどこからか流れてきます。清々しい気持ちになります。
本当はもう少し、片付けたいのですが、あまり根を詰めても疲れてしまっては続かないので、今日はここまでにしました。
ジロも、さっきまでコタツで寝ていたのに、一緒にいてほしいのか、周りをウロウロしだしました。
まあばあちゃんは、ジロに、
「そろそろ、お茶にしましょうね。」
と声かけて、掃除道具を片付け始めました。

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柿長者


今、まあばあちゃんのお家に柿が、いっぱいあります。
「ねっ、おばあちゃん、うちの家は今、柿長者ね!」
と嬉しそうなトモちゃんの顔。
ジロもミミちゃんも柿が大好きです。まあばあちゃんは、みんなのために毎日柿をむいています。大きくて甘くて、とっても美味しい柿です。
昔から『柿が赤くなると医者が青くなる』と言いますし、おいしい上に風邪が引きにくくなるとなれば、言う事なしですね。
お春ちゃんもお豊ちゃんも柿が大好きなので、今頃ほくほくした気持ちでしょうね。
外は冷たい風が吹いています。寒い冬がやってくる気配です。
まあばあちゃんは風がこの葉をすべて落としてしまう前にと、よく公園に紅葉を見に行きます。もちろん、ジロとミミちゃんも一緒です。
桜の木の前にベンチがあります。そのベンチに座って桜もみじを楽しみます。
こうしていると、昔の事がつらつらと思い出されます。
貧しかった子供時代
戦争ばかりの娘時代、
優しくしてくれた人や親切にしてくれた人を懐かしく思い出します。
そして、トモちゃんの小さな頃のこと。
恭子ちゃんは、ずっとお父さんの仕事の手伝いをしているので、トモちゃんの世話はほとんどまあばあちゃんがみてきました。
可愛い可愛いトモちゃん。いつも手を繋いで出かけました。
動物が大好きなトモちゃんは、天王寺動物園が一番のお気に入りでした。
まあばあちゃんがよく連れて行ったので、トモちゃんは神社やお寺も好きです。
京都の紅葉も、今頃は燃えるように美しいでしょうね。
まあばあちゃんが浸っていると、ジロが
“そろそろ寒くなってきたよ”と言うように、まあばあちゃんの手に鼻を乗せてきました。
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ハッピーちゃんの縁


人の縁って不思議ですね。
北新地なんて、まあばあちゃんが一生、行くことないと思ってた高級なお店の料理人さんが、まあばあちゃん達のためにお肉を焼いてくれたり……
どこが違うのか、最近はたくさん食べられなくなっていたお肉がスルスルと入っていきます。
「うちら幸せやねぇ……。一流の料理人さんに、こんな美味しいお肉を食べさせてもらえるなんて。」
とお春ちゃんがニコニコして言いました。
「お肉屋さんでの会話がなんか違うなぁって思ったんですけど、プロだったからなんですなぁ。ワシらの時と態度が違うような気がしました。」
とトモちゃんのお父さんが納得したよう顔をして言いました。
「でも、リュウマチってもったいないですね。」
恭子ちゃんが残念そうに言うと、お春ちゃんが、
「せやけど、リュウマチって、今、エエ薬が出てるって聞いたけど……」
「はい。お陰様でだいぶ治ってきました。でも、だいぶ間が空いてしまったので、腕が鈍っていると心配しとったんですが、皆さんに褒めてもらえて、少し自信が持てました。」
「そうですよ。こんなにおいしいんですもん!」
恭子ちゃんがそう言って、またお肉を頬張りました。
「実は、梅田のホテルから声かけてもろてるんです。行ってみようかと思います。」
「それがイイですよ。人間、動けるうちは、働かないともったいないですからね。」
コナン君のお母さんが言いました。
「そうなんですけど、ワシ、一人暮らしなもんで、その間、ハッピーを一人にしてしまいますから、悩んでるんですわ。」
「ハッピーちゃんのことなら、家でお預かりますよ。」
恭子ちゃんが、ニッコリ笑って言いました。
「いやぁ、しかし、ハッピーは大きいし……」
「大丈夫ですよ。ハッピーちゃんはいい子だし。うちの子らとも仲良しだし。」
ハッピーちゃん達の方を見ると、それぞれ紙皿を置いてもらって、次のお肉を待っています。
「ありがとうございます。ハッピーのおかげですなぁ。ホンマにええ人らと知り合いになれて、ワシは幸せですわ。」
樺山さんは、はにかんだように笑いました。

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北新地の料理人さん


「さあ、どんどん焼いていきましょう!」
恭子ちゃんが元気よく言いました。
バーベキューの準備が出来ました。特大の網にお肉や野菜をどんどん乗せていきます。
美味しいにおいが辺りに立ち込めてきました。
まあばあちゃん、お春ちゃん、お豊ちゃんのおばあちゃんたちはそれぞれのシルバーカーがイス替わり。邦ちゃんは車イスです。
みんなそれぞれがトングを持ってお肉をひっくり返していますが、どこかぎこちない手つきです。その中で樺山さんはキレイな手つきでお野菜やウィンナーをひっくり返していきす。不思議なことに樺山さんがひっくり返すと、ウィンナーは転がって戻ったりしません。いろんな大きさの食材がキレイに並んでいます。焼きあがると、まあばあちゃん達シルバーカーチームの食べるペースに合わせて、お皿にお肉を入れていきます。
「ハッピーちゃんのお父さん、お肉を焼くの上手ですねぇ。」
コナンくんのお母さんが感心して言いました。
「わし、北新地で料理人してましてん。」
「北新地!」
みんなビックリして一斉に樺山さんを見ました。
みんな大阪の中心地にあるというぐらいしか知りません。後は歌で聞いたくらいです。
「ほー! 一流のところで働いてはったんですなぁ」
オッチャンがビックリしたような顔をして言いました。
「あはっ。ちょっと前までは……。今はリュウマチで休んでるんですわ。」
樺山さんは淋しそうに笑いました。

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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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