まあばあちゃんが来たよ



「だいぶ痩せてますし、足の骨折とは別に、前に怪我したものもありますね。」
そのコは、先生が触ったところが痛むらしく、つらそうに体を震わせました。
「そうですか。」
トモちゃんは、そのコの頭をあやすように撫でながら心配そうに言いました。
待合室 の方が騒がしいです。
「あら、ジロちゃんのお母さん。お姉ちゃん、診察室に入ってるわ。」
花ちゃんママの声が聞こえてきました。
ジロちゃんのお母さんとは、まあばあちゃんの事です。イヌ友の間では、まあばあちゃんは、“ジロちゃんのお母さん”と呼ばれています。トモちゃんは、慌てて、待合室に行きました。
「おばあちゃん、雨、降ってるのに、大丈夫?」
「大丈夫よ、この前、恭子ちゃんが“さすべぇ”つけてくれたの。トモちゃんこそ、頭、濡れたままだと、風邪をひくわよ。」
まあばあちゃんはトモちゃんにタオルと、上着の替えを持って来てくれたのでした。
小さなまあばあちゃんが背伸びするようにして拭こうとするので、トモちゃんはタオルを受け取って、
「あのコのところ、行こう。」
と診察室に案内しました。まあばあちゃんは心配そうにうなずきました。

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診察



診察台に乗せた、そのコはハッハッとせわしなく苦しい息をしていました。
「これは、ひどくやれているな。」
「先生、このコ、助かりますか?」
トモちゃんが心配そうに聞きました。
「とにかく診てみるからね。見つけた時、どんなふうやった?」
先生の問いかけに、一緒に来た初老の男の人が答えました。
「わしが居合わせませてん。この犬が道を横切って、危ない!思った時は、もう白い車に跳ね飛ばさましたんや。その車は、もう走っていってしまいましたが……」
「そうですか……」
「次の車が、まだ来てなかったら、慌てて端に寄せませてん。」
さっき、このコにうなられたと言ってたのに、きちんと車道から避けてくれたのですね。
先生は話を聞きながら、テキパキと診察を続けます。
先生が外からあちこち触ると、痛いらしくピクピクしていました。
トモちゃんがなだめようと、頭を撫でています。
「よくなれてるね。知ってるコ?」
「いいえ。今日、初めて見ました。この辺りのコじゃないんでしょうか?」
「先生も知らないコだなぁ。」
足の筋をゆっくり触ると
ギャンと鳴いて、その子の体が飛び跳ねました。
「ここ、折れてるなあ。他のとこも打ち身が酷いけど、内臓まではいってないみたいやな。一応、レントゲン撮ってみよか」
「あの、治療費は、わし、出しますから。しっかり診てやって下さい。」
突然、そんなことを言い出すので、トモちゃんも先生もすこし戸惑いました。先生はしっかり頷いて、
「全力を尽くします。」
と言いました。
事故に居合わせたこの男の人は、このコを助けてあげたいと思ったのでしょうね。
頑張って、ワンちゃん。みんなが応援してるよ。

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動物病院へ



まあばあちゃんは、トモちゃんの足に追いつけず、ジッと見送っていました。
トモちゃんは、雨の中を傘も差さず、怪我した犬を抱いて、小走りに病院を目指します。
「お姉ちゃん、ワシも行くわ。病院近いんか。」
さっきの初老の男の人がついてきました。
「はい。」
さっきも、倒れていたこのコを心配そうにのぞきこんでいたし、このコの事がすごく気になるのでしょう。
トモちゃんの腕の中のそのコは、時々、苦しそうに呻きます。
「もう少しで、病院だからね。頑張ってね。」
トモちゃんが、そのコを励ましました。
角を曲がると、動物病院の看板が見えました。
「あれか?」
「はい。」
扉を開けると、
「あら、ジロちゃんのお姉ちゃん。」
いつもお散歩で挨拶する。ワンちゃんのお母さんです。花ちゃんを抱っこして診察の順番を待っています。他にも二人待っています。
「こんばんは。花ちゃんママ。」
「そのコ、どうしたの?」
「車にひかれたみたいで……」
「まあ、酷いケガ!」
花ちゃんママはビックリして大きな声を出しました。
「先生、先生、ちょっと、来たって!」
先生が慌てた様子で診察室から出てきました。診察中だったらしい飼い主さんもワンちゃんを抱いて後から出てきました。
トモちゃんが、説明しようとするより先に、
「先生、この犬、自動車に、はね飛ばされましてな。体中、打ちつけてると思います。」
「早く、こっちへ!」
先生が診察室へ入るように促しました。


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音の正体



雨の中、トモちゃんが、外に出ると、もう何人か集まっていました。
「大きな音したな!」
「家の塀にでも、ぶつかったなんかなと思ったで。」
「どこやろ? 車がないなぁ」
みんな思い思いの事を言ってますが、はっきりしたことは分からないようです。
まあばあちゃんが、やっと表に出てきました。
「トモちゃん、何があったの?」
「う~ん。わからへんの。何もないってことないと思うんやけど……」
二人で外に立っていると、雨足が強くなってきました。
「おばあちゃん、雨がたくさん降ってきたよ。家に入ろう。」
トモちゃんが、まあばあちゃんを家に入るよう促しました。
その時です。大きな声の男の人が言いました。
「なんや、犬か……。保健所か、市役所に、誰か電話しぃや。」
男の人は周りの誰かに言いました。
トモちゃんは愕然としました。
「ワンちゃんが、ひかれたんだ……。」
トモちゃんとまあばあちゃんは、雨の中、男の人がいたところに行きました。近くまで行くと、倒れている犬の側に、さっきの声の大きい人と、初老の男の人がしゃがんでいました。
犬は、まだ息がありました。
「生きてる!」
トモちゃんは傘を放り出すと、犬を抱きかかえました。まあばあちゃんが慌てて傘をトモちゃんにさしかけました。
遠巻きに見ていた、女の人達が、“いゃー、あんな汚いのよう触るなぁ”とか“気持ちワルゥ”と言っているのが聞こえました。トモちゃんはお構いなしです。
「病院に行こうね。痛いの治してもらおうね。」
「お姉ちゃんの、知ってる犬か?」
しゃがんでいた男の人が聞きました。
「いいえ。」
「わしが触ろうとしたら、唸るから……。」
「家にも犬がいるから、安心したのかもしれません。じゃ、失礼します。おばあちゃん、ちょっと行ってくる!」
トモちゃんは駆け出しました。


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台風が合体!?



「おばあちゃん、明日から大雨が降るから、お散歩休みやよ。」
「あら、」
「大きい台風が2つも来るらしいから。ほら、」
トモちゃんはテレビに映っている天気図を指さしました。テレビの中の予報士さんも台風の事を言っています。
明日、降る雨は、秋雨前線の影響のようですが、心配なことです。
ことに、伊豆大島にお住いの人達はどんな気持ちでこの予報を聞いているのでしょう。
まあばあちゃんも第二室戸台風の時に酷い目に合っていますが、比べ物になりません。
「ここ見て、二つの台風がこの辺りで合体するかもしれないんだって!」
「まあ……」
台風が合体するなんて、初めて聞きました。恐ろしい事です。
「お春ちゃんと邦ちゃん、二人きりで心配でしょうね……。お豊ちゃんは一人だし……」
まあばあちゃんは口をつぐんでしまいました。

―――キキーーィ~ッ―――ドン
大きなブレーキ音の後に、何かがぶつかった音がしました。
トモちゃんとまあばあちゃんは、顔を見合わせました。
「わたし、見てくる!」
トモちゃんが、タタッと玄関の方へ走って行きました。
「トモちゃん、おばあちゃんも行くから」
まあばあちゃんもヨッコラショッと膝を擦りながら、慌ててついて行きました。


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雨の日の楽しみ方


「ねぇ、トモちゃん、今頃パレード始まってるかしら?」
「パレードは11時からだって」
トモちゃんが、『広報さかい』と老眼鏡を持ってきました。
「ほら、ここに書いてあるでしょ。」
トモちゃんが指で示してくれました。
「あら、ほんと!」
「最初は古墳時代の衣装をまとった人の行列だって!」
「まあ。」
まあばあちゃんは体を乗り出して、記事を見ています。
「次は、中世だって書いてあるよ。」
「まあ! ほら、ここに黄金の日々って書いてあるわ。この頃の堺は本当にすごかったのよ。鉄砲の堺、刃物の堺っていわれてね。豪商と呼ばれる人達が活躍されてたのよ。」
まあばあちゃんは、まるで当時を知っているかのような話しぶりで、懐かしむように話しています。
「でも、雨天決行だから、大変だね。」
「そうなのよ。心配ね。」
まあばあちゃんも心配そうです。
どうか、風邪などひかれませんように……


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来年の堺祭り



今日、まあばあちゃんは、堺祭りに行けませんでした。
トモちゃんと二人で行くことにしていたのですが、雨が降ったので見送ることにしました。
「おばあちゃん、来年もあるから、そんなにガッカリしないで。」
「そうね。来年行きましょうね。」
まあばあちゃんはそう言って、トモちゃんににっこりしましたが、とっても心残りでした。まあばあちゃんの年になると、一年一年がとっても大事です。
トモちゃんは、来年と言ってくれますが、来年のまあばあちゃんが、同じくらい元気かどうか分かりません。
それにこんな雨の日は、健康のためにと欠かさず続けている散歩にも行けないので、気が滅入ります。
「ジロ、どうしたの?」
ジロがトモちゃんに、キュウと体をくっつけて甘えています。ジロがこんなに甘えるのは珍しいです。
「今日、お留守番を頼んでいたのに家にいるから、嬉しいのかな?」
トモちゃんがジロの首をクシャクシャしながら言いました。
「そうね。ジロ達は連れて行けないものね。」
まあばあちゃんが膝の上のミミちゃんを撫でながら言いました。
「ミミちゃんは、キャリーバッグに入れていけるけど、一緒に行っても、窮屈な思いするんじゃないかなぁ。」
「そうね。ずっといい子にしてないといけないものね。」
「じゃあ、来年は車で行こうよ!」
お母さんが、元気よく言いました。
「お母さん、車の運転できないやん」
「お父さんが連れて行ってくれるわよ。ね?」
新聞を読んでいたお父さんが、ビックリした顔をして、
「え? いゃ、ワシ、人ごみは、……なぁ。」
と言いよどんでいましたが、
「せやな。来年は一緒に行こうか……。よし、ジロ、ミミちゃん。来年は家族みんなで行こう。」
来年の堺祭りは、トモちゃん達にとって違った感じになりそうです。


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雨とお弁当



今日は、朝から、冷たい雨が降っています。
今日はジロとミミちゃんのお散歩はお休みです。
まあばあちゃんは、ケガをした邦ちゃんと気落ちしているお春ちゃんのために、お弁当を作っています。
海苔巻きに、卵焼き、鶏の照り焼きをテーブルの上に並べています。
あとは、お弁当パックに詰めるだけです。
「お! うまそう!」
お父さんが起きてきました。ジロとミミちゃんがパタパタし始めました。トモちゃんも起きてきたのでしょう。
「おはよう。お母ちゃん。」
続いてお母さんが起きてきました。
「昨日は、なんか寝つきが悪かッわ。」
邦ちゃんの事が、気になって眠れなかったのでしょうか。
まあばあちゃんはお弁当にオカズを詰め終わりました。
「あ! それ、邦子おばちゃんの?」
トモちゃんがお皿のおかずをつまみ食いしながら言いました。
「これ!」
まあばあちゃんが注意すると、トモちゃんがテヘヘと笑いました。
「わたし、持って行ってくる!」
「トモちゃん、待って、お母さんも行くから!」
「朝は忙しいから、私が行くわ。」
とまあばあちゃんが言うと、
「雨降ってるし、届けたらすぐ帰るから。」
そう言って、トモちゃんと恭子ちゃんは、邦ちゃん達にお弁当を届けに行きました。


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気落ち


「それで、どうしたの?」
「お春おばちゃん、ずっと泣いてたんやけど、そのうちに居眠りしだして……。で、その後、ちょっと二人でお茶して帰って来たんよ。」
「そう……」
まあばあちゃんはため息をつきました。時計を見ると、9時を過ぎていました。
「恭子ちゃん、おなか、空いたでしょ。今、オカズを温めるわね。」
「有り難う。私も着替えてくるわ。」
まあばあちゃんが恭子ちゃんのためにオカズを並べていると、シャッターの上がる音がしました。お父さんが帰って来たのです。
「お父さんだ!」
トモちゃんが玄関の方へかけて行きました。
暫くして、シャッターの閉まる音がして、トモちゃんとお父さんが家に入ってきました。
「お帰りなさい。」
と、まあばあちゃんが言うと、
「あれ、まだ飯食ってなかったん?」
と、お父さんが驚いてたずねました。
「それがね……」
着替えてきたお母さんが、お父さんに邦ちゃん達の事を話しました。
「――――そら、邦ちゃん、大変やなぁ。」
お父さんは、ポツリと言いました。
ほんとに邦ちゃんは災難続きです。
お春ちゃんは、何かと言っては散歩を休みがちなので、きっと、明日は来ないでしょう。とにかく気落ちした、お春ちゃんにしっかりしてもらわなくてはと、まあばあちゃんは思いました。
(明日、朝ご飯を届ける時に、なにか、パッと心が明るくなるようなお話できないかしら?)
まあばあちゃんは、悩みました。

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恭子ちゃんの見た邦ちゃん達……


―――バターン ガチャーン―――
「あっ! お母さん帰ってきた。」
トモちゃんは、そう言うなり玄関に出迎えに行きました。
「お帰りなさい!」
「お帰り。恭子ちゃん。」
恭子ちゃんの様子はちょっとムスッとしていました。
「どうしたの?」
まあばあちゃんが聞くと、
「邦ちゃんの家に着いたら、玄関は開けっ放しやし。なんや不用心やなあと思って。玄関から何回も呼んでるのに、返事ないの。それでどうしたもんかと思ってたら、泣き声が聞こえてくるやんか! 邦ちゃん、また悪なったんかと思って、慌てて上がったら……」
「どうだった!?」
「泣いてるの。お春おばちゃんやねん。」
「ええ?」
まあばあちゃんは、ビックリしました。
「お春おばちゃん言うたら、邦ちゃんがケガして、この先どうしようって泣いてるの。邦子が働かれへんかったら、食べていかれへんって、ワンワン泣いてるの。」
「……まあ……」
「それをけが人の邦ちゃんが、お春おばちゃんの背中を擦って慰めてるの。」
まばあちゃんは首をかしげてしまいました。
「お春おばちゃん、酷いよ。あれじゃ、邦ちゃん、大変よ……」
恭子ちゃんは大きくため息をつきました。


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一段落……?



「お父さん、もう帰ってくるのかしら?」
「どうなんだろ? お母さん、何も言わずに行っちゃったね。」
気になりましたが、もう一回邦ちゃんの家に行くのは気が引けました。トモちゃんまで顔をだしたら、邦ちゃんはすごく気を使うでしょう……。お父さんに電話をしてみましょうか?
「とりあえず、オカズをあたためておきましょうね……」
まあばあちゃんがそう言って玄関に上がった時、家の電話が鳴りました。
―――ラララララ♫―――
〝エリーゼのために″です。お母さんの携帯からです。
トモちゃんが慌てて受話器を取ると、
「ごめーん。今日、お父さん、仕事先の人と、ご飯食べに行ってん。わたし、もうちょっと、邦ちゃんトコにいるから、先にご飯食べといてな。」
それだけ言うと、恭子ちゃんは電話を切ってしまいました。
「トモちゃん、お母さんから?」
「うん。先に食べといてって」
「お父さんは?」
「お仕事の人と食べてるんだって……」
「そう、じゃ、今日は簡単にしましょうか?」
「うん。もう、できてるんでしょ。」
「そうよ。すぐに温めるわね。」
ジロとミミちゃんが心配そうにこっちを見つめているのに、気付いたトモちゃんが、
「ごめん。ごめん。心配したよね。」
そう言ってトモちゃんは、ジロとミミちゃんを抱きしめました。


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怒られた……


「お母ちゃん! トモちゃん! いったい今までどこに行ってたの!!!」
家に着くとお母さんが目を三角にして怒っていました。
「家に帰ったら、電気が点けっぱなしなのに、二人ともいないし!! ジロとミミちゃんも慌ててるし! 何してたの!!」
「ゴメンね。恭子ちゃん!」
「出かけるなら出かけるで、連絡がいるでしょう!」
恭子ちゃんの言う事はもっともです。
恭子ちゃんはすごく心配してくれていたのが、ヒシヒシと伝わってきます。
恭子ちゃんのあまりの勢いに、まあばあちゃんは黙ってしまったので、トモちゃんが話をしました。
「あのね。お母さん、邦子おばちゃんの乗ってた自転車が倒されて、おばちゃん、肋骨が二本折れて、足も腫れ上がってるの。」
「ええ!」
恭子ちゃんは飛び上がって驚きました。
「それで、病院行ったり、いろいろ手伝って遅くなってしまってん。ごめんね。お母さん。」
「そうやったん……」
恭子ちゃんは、ハァーと息を吐きました。
「それでね。思いつく事はしてきたんだけど……。あれで良かったか心配なん。大丈夫かなぁ。お母さん。」
と、トモちゃんが言うと、
「私、様子見てくる!」
恭子ちゃんは、パパッとつっかけを履くと出かけて行きました。


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気がかり



「そうね。チビちゃんのお父さんに相談してから、お手紙出すか決めるわ。向こう様に迷惑がかかったら、ひろ子ちゃんにも悪いでしょ?」
「向こう様って、ひろ子ちゃんのおばちゃんの事? 手紙を出したぐらいで迷惑なんてかかるかなぁ?」
とトモちゃんは不思議顔です。
トモちゃんは、よそ様のお家でお世話になったことがないので、その微妙なところが分からないのでしょうね。小さなことで、いろいろ気を使うものなのです。
良かれと思ってしたことが、裏目に出ることもあります。
ことに、ひろ子ちゃんのように事情がよく分からない場合は、良く考えて行動しないと……
「だって、おばあちゃん、ひろ子ちゃんの事が気になるんでしょ?」
トモちゃんは、手紙を書けばいいのにと勧めます。
「そうね。でも、もう少し考えさせてね。」
「……うん。」
それにしても、今日はいろんなことがありました。
邦ちゃんは大ケガするし、ひろ子ちゃんはこちらに戻ってこないらしいし……
どうして、世の中ってこんなに悲しいことが多いのでしょう……
まあばあちゃんはショボンとなって、シルバーカーを押しました。
トモちゃんは、まあばあちゃんの肩にそっと手を置きました。


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もう一つの心配事



お春ちゃんの家からの帰り道、トモちゃんがポツリポツリと話しました。
「あのね、おばあちゃん……」
「なあに?」
「お医者さんで、邦子おばちゃんを待ってるときね……」
「うん」
「オッチャン、おばあちゃんに謝らなアカンねんて、悩んでたよ。」
「なにを……」
まあばあちゃんはそう言いましたが、本当は心当たりがありました。
ひろ子ちゃんの事です。何か悪い知らせでしょうか?
「ひろ子ちゃんの事……」
トモちゃんが小さな声で言いました。
「ひろ子ちゃんがどうしたの?」
「もう、こっちには帰ってこないんだって……。ひろ子ちゃん、おばさんの家から学校に行くことになったって。担任の先生に言われたって……」
まあばあちゃんにとって、予想外の答えでした。
「でも、ひろ子ちゃんは、お母さんがいらっしゃるのよ……。どうして……」
まあばあちゃんは、言葉を失ってションボリしました。
「ねえ、おばあちゃん、お手紙書いてみたらどうかな?」
「お手紙……」
「ひろ子ちゃんに暑中見舞いのお返事書いたでしょ? 住所は分かるんだし、どうしてますかって、お手紙出しても変じゃないと思うけどなぁ……。心配やん。なんか……」
トモちゃんもモヤモヤするようでした。


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お春ちゃんの感謝



邦ちゃんの歩く様子を見て、オッチャンが
「なぁ、ばあちゃん、邦ちゃん、思ったより早よ、治りそうやな。」
まあばあちゃんもホッとした様子でうなずきました。
「ほな、邦ちゃん、明日の6時ごろ迎えに来まっさ。」
「え?」
邦ちゃんがキョトンとしていました。
「明日も医者に行かなアカンやろ?」
邦ちゃんの目に涙が浮かんできました。
「いいんですか? 今日も散々お世話になったのに……。本当に有り難うございます。」
邦ちゃんは心をこめてお礼を言いました。
「お春ちゃん、明日の朝ごはん、持ってくるから、ゆっくりしててね。」
「まあちゃん、ありがとう。おおきにな。」
「ほな、そろそろ失礼するわ。」
オッチャンがペコッと頭を下げて、先に玄関の方へ向かいました。お春ちゃんが慌てて見送りに行きました。
まあばあちゃんとトモちゃんも後に続きました。

「あっ、これ、良かったら食べてね。」
車に乗り込むオッチャンに、まあばあちゃんがお弁当を渡しました。
「わっ! わしの分も作ってくれたんか! おおきに、おおきに!」
オッチャンは大喜びです。
「ほな、また明日!」
オッチャンは元気よく言うと、車を出しました。まあばあちゃんとお春ちゃんとトモちゃんはオッチャンの車を見送りました。
「オッチャンが、いてくれて良かったね!」
トモちゃんがまあばあちゃんに言いました。
「ほんとうに……」
今日、もしオッチャンが通りかからなかったら、本当に大変でした。オッチャンに大感謝です。
「ホンマに、大助かりや。ベッドまで用意してもろて。アレなかったら、私らじゃどないもこないもイカンかったわ。どないお礼言うたらええか分からへん。」
お春ちゃんはそう言うと、まあばあちゃんとトモちゃんに、改まって頭を下げました。
「まあちゃんもトモちゃんも、今日はホンマに有り難う。」
「どうしたの。改まって……」
「いつも感謝してるんや……。でも、いつもちゃんと言えてないなぁと思って……」
お春ちゃんは照れ笑いしながら言いました。
「困った時はお互い様よ。」
「ホンマに有り難う。」
「じゃあ、また明日。」
まあばあちゃんとトモちゃんは、お春ちゃんに手を振りながら離れて行きました。


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ベッドは便利


まあばあちゃんは家に着くと、さっそく弁当箱におでんを詰めました。
今日の夕飯のメニューはおでんなのです。
恭子ちゃん達は帰るのが遅くなりそうなので、温めればすぐにおいしくなるオカズにしていました。
そこに焼き鮭と卵焼きをつけました。
おでんの量は減ってしまったので、恭子ちゃん達には、サバと和え物を付けることにしました。

シルバーカーに入れて出発です。
「お春ちゃん、夕飯持って来たわよ。」
「 ありがとう! いつも間にか、まあちゃん、おれへんなぁ思ったら、いやぁ、ホンマにありがとう。今日はもう作る気力がなくて、どうしようか思っててん。おおきに!」
お春ちゃんが、お弁当を受け取って、邦ちゃんに言いました。
「邦子、まあちゃんが、夕飯持って来てくれたで。」
「わぁ。ありがとございます。」
邦ちゃんが起き上がろうとしました。
「あ! もうそのままで……」
「そうだ! 邦子おばちゃん、立ち上がれる? その……」
トモちゃんは、邦ちゃんが一人でおトイレに行けるか心配しているようでした。
それを邦ちゃんも察したのか、
「おトイレ行けるか、ちょっと立ってみるわね。」
邦ちゃんは器用に足を滑らせると、手すりを使って上手に立ち上がりました。
横に立てかけてあった。杖も上手に自分で取りました。
お布団と違ってベッドだと上半身を起こすだけでイスに腰掛けた状態になるので、うまく出来るようでした。

お春ちゃんも、まあばあちゃんも、オッチャンも、トモちゃんも、邦ちゃんが上手に歩くのでホッとしました。


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お布団とベッド



「ばあちゃん、どないしたんや?」
邦ちゃん達の様子を心配そう……というよりも深刻な顔で見ている、まあばあちゃんにオッチャンが聞きました。
「お布団で、明日から大丈夫かしら、起き上がれるかしら……」
「ほんまやなぁ。気ィ付かんかったわ。邦ちゃん、布団やったら起き上がるの大変ちゃうか?」
「え?」
邦ちゃんも言われて、ハッとしたようでした。
「家に嫁さんの使ってたベッド、まだ、ほらんと置いたぁるねんけど、持って来てもええか?」
「いいんですか? 奥さんの……」
邦ちゃんが申し訳なさそうに言いました。
「もう長い事、使ってないから、いけるかどうか、ちょっと見てから、良さそうやったら持ってくるわ。」
と、言うと部屋を出て行きました。

暫くして、トモちゃんとまあばあちゃんが、お春ちゃんの家の前で待っていると、オッチャンが邦ちゃんの自転車と組み立て式のベッドを軽トラの荷台に積んで戻ってきました。
トモちゃんとオッチャンでベッドのパーツをお春ちゃんの家に運び込みました。
オッチャンがテキパキとベッドを組み立てて行きました。
最後に手すりを取り付けました。
「これ、電動式やから。このボタンで背中が持ちあがるねん。それから……」
とベッドの説明を邦ちゃんにしていました。
「これはわしが作ったヤツやねんけど、飯食う時便利かなぁと思って持って来てん。イヤやなかったら使って。」
と言って、ベッドで食事をする時に便利よさそうな小さなテーブルを見せました。
「有り難うございます。何から何まで……」
邦ちゃんは涙ぐんで言いました。

まあばあちゃんも、まさか今日の内にベッドが用意できると思っていなかったので、心底ホッとしました。すると、なんだかお腹が空いてきました。きっとみんなも空いているでしょう。お春ちゃんも今日は食事を作る気になれないのではと思いました。まあばあちゃんは、手軽に食べられるものを作ってこようと思いつきました。そして、そっと、お春ちゃんの家を出ました。


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お布団


「あっ!おばあちゃんだ。」
邦ちゃん達を乗せたオッチャンの車がお春ちゃんのお家に近づいたころ、トモちゃんが気づきました。
邦ちゃんの家の前で、まあばあちゃんがシルバーカーに座って待っていました。いつごろから待っていたのでしょうか…太陽はとっくに沈んでいます。街灯がまあばあちゃんを照らしていました。
車がお春ちゃんの家の前で止まると、お春ちゃんが窓から声を掛けました。
「まあちゃん、待っててくれたん!」
「心配で、居ても立ってもいられなかったのよ。……邦ちゃん、具合どう?」
「肋骨が2本折れてるて……」
「まあ……」
「お春おばあちゃん、カギ開けて~!」
「ほんまや。ボンヤリしてるわ……、ごめんやで、トモちゃん……」
お春ちゃんが、ドッコイショッと車から降りると、玄関のカギをあけました。それから、手すりにつかまって玄関を上がると、電気のスイッチを入れました。
辺りがパッと明るくなります。
「邦子おばちゃん、もう寝たほうがイイよね。お布団敷いていい?」
「ごめんやで、何から何まで……」
「お布団どこ?」
お春ちゃんが押入れを開けるとお布団が入っていました。
トモちゃんがテキパキと邦ちゃんのお布団を敷きました。
そこへ、邦ちゃんを寝かせました。
「トモちゃん、ゴメンやねんけど……」
「なあに?」
「私のも敷いてくれへんかな……。いつもは邦子に敷いてもろてて……」
「どこに敷くの?」
「この辺りに……」
邦ちゃんの隣を示しました。
「変なこと頼んで、ホンマにごめんやで……」
お春ちゃんは、トモちゃんに手を合わせました。


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待合室で……



トモちゃんとオッチャンとお春ちゃんの3人は看護師さんに待合室で待つように言われました。
オッチャンは車に置いてきたチビちゃんの様子を見に行っていましたが、戻ってきました。
「どや、診察終わったか?」
「まだ……大丈夫かなぁ……」
「そうか……。もう、だいぶ時間たってるのにな……」
お春ちゃんを見ると、ショボーンと小さくなってしまって、何にも言いません。いつもの辛口のお春ちゃんは見る影もありません。
「お春おばあちゃん……」
ハッとしたように、お春ちゃんはトモちゃんを見ました。
「ああ、ゴメンゴメン。ボンヤリしてたわ。」
診察室の扉が開きました。
「あっ、邦子おばちゃんだ。」
「邦子! 邦子! どないや?」
「肋骨が2本折れてるって、ベルトで体を固定して治すの。今、ミイラみたいなの巻いてるんよ。」
「邦子、足は?」
「だいぶ腫れてるけど、骨は折れてないって。痛み止めの注射を打ってもらったから、少し楽になってきたわ。」
「そうか。えらい目にあったなぁ」
思ったよりも酷くなくて、お春ちゃんはホッとしていました。
邦ちゃんが痛みに耐えている様子に気が気じゃなかったので、みんなホッとしました。

邦ちゃんにとって大変な一日になりましたが、トモちゃんやオッチャンの親切で、少しは救われたのではないでしょうか? 
いつも、邦ちゃん達母子を気遣ってくれる、周りのみんなが、今の邦ちゃん達の心の支えです。


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病院へ……

 
トモちゃんが、お春ちゃんの家に戻ると、オッチャンが邦ちゃんを乗用車に乗せるところでした。トモちゃんも手伝って、なんとか、邦ちゃんをオッチャンの乗用車に乗せました。
痛みがひどくなっているようです。
お春ちゃんはオッチャンの方の後部座席に乗りました。邦ちゃんのために助手席をグーンと後ろに動かしたので、トモちゃんが狭くなった方の後部座席に乗ることになりました。トモちゃんが扉を開けると、チビチャンが飛びついてきました。みんながパタパタしているので、チビチャンもハタハタしています。
「チビちゃん。びっくりしてる。ゴメンね。」
と言うと、トモちゃんはキュッとチビちゃんを抱っこして車に乗り込みました。
「ほな、出すで」
オッチャンはゆっくり車を発進しました。
「駅前の外科が一番近いやろ。」
「はい。そこで……」
邦ちゃんは返事をするのも大変そうです。
しばらく車を走らせると、病院に着きました。
「わたし、看護師さん呼んでくる。」
「頼むわ」
とオッチャンが返事しました。
オッチャンが車を邦ちゃんが降りやすいと場所に停める間に、トモちゃんが病院に走って行きました。
「すみません。怪我して動けないので、手伝っていただけますか?」
と受付の看護師さんに言うと、すぐに看護師さんの一人が来てくれました。
「どうしました?」
「自転車で、こけて、足が動かないみたいなんです。」
「車いすを持って行きますね。」
看護師さんと邦ちゃんの所に戻ると、邦ちゃんが体の向きを扉の方に向けているところでした。
「じゃあ、私の方に体を倒して頂けますか?」
細身の看護師さんが言いました。
邦ちゃんは言われたとおりにしようと思うのですが、痛みのせいか体が言う事をきかないようでした。
「大丈夫ですよ。信じて下さい。」
邦ちゃんも太ってはいませんが、看護師さんはさらにほっそりしています。
「看護師さん、ワシしますわ。力だけはありますよって」
「ご主人さん、ありがとうございます。お願いします。」
「邦ちゃん、ちょっとの間ゴメンやで。」
「すみません。」
オッチャンは軽々と邦ちゃんを持ち上げると、車いすに乗せました。
邦ちゃんもホッと息をつきました。

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重い心



「ほな、わし、乗用車の方、持ってくるわ。軽トラやと乗ってるのキツイやろ。すまんけど、邦ちゃん、自転車借りるで。」
「すみません。有り難うございます。」
邦ちゃんは申し訳なさそうに頭を下げました。
「私も一緒に行く! おばあちゃんに言ってくるね。」
トモちゃんは自転車に乗ると、急いで家に帰りました。

トモちゃんはガラガラっと引き戸の玄関を開けると、
「おばあちゃん、ただいまぁ! 私、オッチャンと一緒に邦子おばちゃんを病院に連れて行くね!」
「お帰りなさい。トモちゃん、邦ちゃんがどうかしたの?」
まあばあちゃんが慌てた様子で、トモちゃんの所に来ると、心配そうに聞きました。
「邦子おばちゃん、自転車、倒されてん。足、ものすごい痛そうやねん。それで、病院で診てもらおうって」
「まあ!」
まあばあちゃんは、飛び上がってビックリしました。
どうして邦ちゃんばっかり……!
「それでね、お春おばあちゃんは泣いてばっかりやし、オッチャン一人じゃ大変でしょ? 行ってきまあす。」
トモちゃんはパパッとTシャツとジーパンに着替えると、急いで出かけて行きました。

風のように行ってしまったトモちゃんの制靴を靴箱になおしながら、
(……どうして、邦ちゃんばっかり……、前向きに頑張ってる邦ちゃんに、どうしてこんなに悪いことが続くんだろう……)

辛いことばかり続く邦ちゃんの心を思うと、まあばあちゃんの心も鉛が入ったように重くなりました。


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お春ちゃん、落ち着いて



オッチャンは邦ちゃんを気遣ってか、ゆっくり運転しています。対向車が来た時は道幅が少し広くなった場所に車を寄せて、通り過ぎてもらいます。
トモちゃんの方が先に邦ちゃんの家に着きました。
トモちゃんはお春ちゃんの家のインタフォンを押して、お春ちゃんを呼びました。
『ハーイ』
暫くしてから返事がありました。
「お春おばあちゃん。トモ子です。」
『あらぁ! トモちゃん、なに、どないしたん、すぐ行くわ。』
大きな声で、
「ちょっと待ってやぁ。ゆっくりで、ごめんやでぇ。」
と家の中からトモちゃんに言っているのが聞こえます。
「お春おばちゃん、ゆっくりでいいからね。」
とトモちゃんも大きな声で返しました。
そうするうちに、邦ちゃんを乗せたオッチャンの軽トラがお春ちゃんの家に着きました。
オッチャンは、すぐに荷台から、邦ちゃんの自転車を降ろしました。
家から出てきたお春ちゃんが、オッチャンに気づいて、
「まあ、先日はどうも有り難うございました。ホンマに助かりました。」
とペコペコ頭を下げました。
「今日は、なんですか?」
「それがですな。邦ちゃんが女の子にぶつかられて、自転車ごと、こけてしもたんですわ。」
「ええ!」
「ごめんね。お母ちゃん。」
邦ちゃんは降りようとゴソゴソしています。
「あっ! 邦ちゃん、もうちょっと乗っとり。それで、居合わせた、トモちゃんとわしとで邦ちゃんを送って来たんですけど……。だいぶ痛いみたいやし、このまま病院に行った方がええと思いますねん。」
お春ちゃんは、
「すみません。すみません。どうぞ宜しく、お願いします。」
とお春ちゃんは、半泣きになってペコペコ頭を下げてました。


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お家へ……



「こんなにタイミングよくオッチャンが通るなんて、ウソみたい。ホント良かった!」
トモちゃんは、どうして邦ちゃんがこんな事になったのか話しました。
「それは、えらい目に合うたなぁ。動けますか。大分強ように打ったんちゃいますか? 救急車呼びますか?」
救急車と聞いて邦ちゃんは飛び上がって、
「そんな、大げさな。大丈夫です。もう少し休めば自分で帰れます。」
と、邦ちゃんは口だけ元気なのですが、なかなか動けないようでした。
「ほな、わしの車で送りましょか? 引っ越しの時に教えてもろてるから、家、分かりますから。」
「いえ、そんな、もったいない。大丈夫です。」
(こんなに遠慮ばっかりしてる優しい邦子おばちゃんを、どうして叔父さんは苛めたんだろう。)
そう思うと、トモちゃんは悲しくなりました。
「オッチャンに送ってもらおうよ。邦子おばちゃん。ねっ! 無理してたら、もっと悪くなるよ。」
トモちゃんが強く言うと、邦ちゃんは申し訳なさそうに頷きました。
「すみません。宜しくお願いします。」
邦ちゃんはトモちゃんに支えられて、どうにか立ちましたが
「イタ、イタタ……」
と、とても痛そうにしていました。
オッチャンも反対側を支えようとしましたが、余計に痛がるので、オロオロしていました。
邦ちゃんは痛めた足と腰をかばいながら、なんとかオッチャンの軽トラに乗りました。
「すまんなぁ。乗用車の方やったら良かったのにな。今日は畑の帰りやねん。乗るの大変やな。」
オッチャンは気の毒そうに言いました。
「とんでもない。ありがとうございます。」
「トモちゃんも乗るか?」
「私、自転車だから。このまま帰る。邦子おばちゃんの自転車、乗っけてもいい?」
「おお、そうやった。すまんすまん。」
おっちゃんが、邦ちゃんの自転車を軽トラの荷台に乗せてくれました。
「すみません。有り難うございます。」
邦ちゃんは何度もお礼を言いました。
「ほな、先に行くな。」
そう言って、オッチャンは車を出しました。
トモちゃんはすぐに自転車をこぎました。


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オッチャン、通らないかなぁ……

 

人通りの多い夕方―――
二人の様子を見ても知らない顔をして行ってしまう人。大丈夫ですかと声を掛けてくれる人も何人かいましたが忙しい時間帯です。みなすぐに帰ってしまいました。
トモちゃんは邦ちゃんの背中が痛くないように、ブロック塀と邦ちゃんとの間に体操服を差し入れました。
「トモちゃん、ありがとう。もうすぐ動けるからね。」
「大丈夫? あの子、立ち止まりもせんと、逃げてしもたね。でも、わたし、あの制服、知ってる。きちんと謝ってもらうからね。」
トモちゃんはプンプンと怒っています。
「いいの、いいの。そんなんせんといて……。お願い。」
邦ちゃんは、トモちゃんに、こんな事しながら知らん顔して逃げてしまうような恐ろしい子と関わってほしくないのでしょう。必死で止めていました。
(どうしよ。お父さんに電話しようかな……。今日は工場って言ってたよね。
でも、邦子おばちゃん、遠慮しまくるだろうな。
お母さんは運転できないしなぁ……。困ったな。オッチャン、通らへんかな。)
「ん?」
向うからオッチャンの自動車にそっくりの車が見えます。どんどん近づいてきます。
「やっぱり!」
「どうしたの? トモちゃん?」
トモちゃんは大きく手を振りました。
「オッチャン! オッチャーン!! こっちこっち!」
「どないしたんや。トモちゃん。邦ちゃん! 大丈夫か!」
オッチャンは慌てて車を道の端に寄せると、飛び出てきました。
「邦子おばちゃん、動けないねん。」
「そら、大変や。邦ちゃん、痛いかもしれへんけど、ちょっと持ち上げるで。」
「すみません。」
オッチャンは邦ちゃんをグイッと抱えると、トモちゃんが上手に自転車をよけました。
「有り難うございます。」
邦ちゃんが恐縮した様子で言いました。
トモちゃんがさっきの体操服をボストンバッグに入れて、邦ちゃんのイスがわりにしました。
「トモちゃん、こんな事したらもったいないわ!」
「大丈夫、今日は、体操服しか入ってないの。教科書はこっち」
そう言って、自転車の前かごを指さしました。
「本当にありがとうね。」
邦ちゃんは、申し訳なさそうにお礼を言いました。


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暴走自転車



(あ! 邦子おばちゃんだ。)
トモちゃんは、学校からの帰り道、遠目に自転車で走っている邦ちゃんを見つけました。
少し足の不自由な邦ちゃんは、どんどん他の人に抜かれて行きます。トモちゃんももう少しすれば追いつけるでしょう。
―――ビュンッ―――
トモちゃんの横を何かがすごい勢いで過ぎて行きました。
はっと前方を見ると、自転車でした。
大通りをひとつ裏に入った自転車に乗る人が主に使っている道で、そんなに道幅は広くありません。
邦ちゃんに、もうぶつかりそうです。
トモちゃんは、
「危ない!」
と叫びましたが、自転車は邦ちゃんにぶつかってしまいました。
邦ちゃんはヨロっとなり、自転車ごと倒れて、ブロック塀と自転車に挟まれてしまいました。
「ちょっと! 待ちよ!」
と、さらに大きな声で叫びましたが、自転車はスピードを緩めることなく走り去って行きました。
「邦子おばちゃん、大丈夫!?」
「ああ、トモちゃん……」
邦ちゃんは運悪く不自由な足の方をブロック塀で強く打ち、さらに塀と自転車の間に体が挟まったようになってしまい、体制を立て直せないでいました。
トモちゃんはなんとか助け起こそうとするのですが、自転車を起こそうとすると不自由な方の足が体を支えているので、足を外せません。かと言って、邦ちゃんを抱えるにも自転車が邪魔になって、うまくいかないのです。
(困った……)
トモちゃんが悩んでいると、
「トモちゃん、制服汚れるから、ほっとき。すぐには動かれへんけど、うまいことするから……」
「足、痛い?」
「まだ、ちょっとね。トモちゃん、お家帰らんと……」
「痛みが治まったら、立てるよね。待ってる。」
トモちゃんは、邦ちゃんに自転車の重さがかからないように支えたまま言いました。
「トモちゃんは、優しい子ね。」
邦ちゃんは、トモちゃんの言葉を聞いて、ホッとしたように言いました。


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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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