お豊ちゃんのお家へ



「それ、なあに?」
トモちゃんが、ハンドバッグの横に置いてある紙袋の事を聞きました。
「お供え物よ。」
「シルバーカーに入れていくの?」
「そうよ」
「…………」
「さっ、出来たわ。」
最後に紗の羽織を羽織って、姿見で後ろを確認して言いました。
「おばあちゃん、送って行くよ。和装でシルバーカーは動きにくいと思うよ。」
「大丈夫よ。近くだし……」
「はい! 保冷剤を首に巻いて!」
「ありがとう」
トモちゃんは、一緒に行こうと思っていたらしく、車いすを出してきました。制服をキチッと着たままでした。
いつもと違う様子にジロとミミちゃんも神妙にしています。一緒に連れて行ってとは言いませんでした。
外に出ると、夕方といってもまだまだ蒸し暑いです。半袖でも暑いのに、まあばあちゃん和服で大丈夫でしょうか?
「暑いね。おばあちゃん大丈夫?」
「トモちゃんが、冷たいの巻いてくれたから、気持ちいいぐらいよ。」
家を出て、しばらくたった頃、
「あっ」
トモちゃんが思わず、声を上げたのは、邦ちゃんが離婚する前に住んでいた家の前を通った時でした。
割れたり欠けたりした鉢植えがあちこちに転がっていました。
木も枯れてしまって、家が丸見えです。
穴の空いた網戸をそのまま使っていました。
(もう、住んでいないのかな?)
とトモちゃんが思った時、テレビの音が聞こえてきました。
(いるんだ。でも、邦子おばちゃんがいなくなって、この家は死んだみたいになっちゃった。……幽霊屋敷みたい……。おばあちゃんは、なんて思ってるのかなぁ)
そう思って、まあばあちゃんを見ると、そっちの方を見ないようにしているようでした。
(そうだよね。もう、関係ないもんね。)
でも、この家はお豊ちゃんのお隣にあるので、通らないわけにはいかないのです。
もし、あの怖いおばあさんが出てたら、大変です。
(ついてきて良かった……)
と、トモちゃんは思いました。


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喪服



「おばあちゃん、どうしたの? あ……ご不幸?」
まあばあちゃんが六畳間にお葬式に着る和服や小物を並べているので、トモちゃんが驚いて尋ねました。
「お豊ちゃんのご主人が亡くなったのよ」
「今夜、お通夜?」
「ううん。それがね。お葬式は家族葬っていって、もう済ませたんだって……。お線香だけでもあげに行こうと思って。こんな急に亡くなって、お豊ちゃん気落ちしてると思うから」
「以前、見かけた時は、元気そうに自転車乗ってたのにね。」
「そうなのよ。パチンコ屋さんから出たところで、フラフラ倒れて、救急車に運ばれて。そのまま……」
「へぇ……」
「この暑さだもの。みんな参ってるのよ。」
そう言いながら、まあばあちゃんは着物の襦袢に袖を通しました。
「ねぇ、おばあちゃん。着物なんて暑いよ。大丈夫?」
「大丈夫よ。大事なお友達だから、きちんとした格好で行きたいの。」
トモちゃんは、何か言いかけて黙りました。
「どうしたの?」
「ううん……」
「なあに? 気になるでしょ。」
「わたし、お葬式の事って、あんまり知らないけど。おばあちゃん、今日、知ったてことは、町内放送もなかったんでしょ?」
「そうよ。」
「お葬式、終わってるのに、和装の喪服って、重くないのかなって。その……。ひっそり? していたいのかなって……」
まあばあちゃんは、トモちゃんに言われるまで、そんな事、気づきませんでした。
お豊ちゃんは、内々に済ませたいのかもしれません。
「それに、膝も悪いし、お線香上げるの大変だよ。お洋服にしようよ。」
トモちゃんが珍しく、言い募りました。
「心配してくれてありがとう。でもね。大切なお友達だから、やっぱり着物にするわね。」
トモちゃんの気遣いは嬉しかったのですが、まあばあちゃんは、和装で行くことに決めました。


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久々の雨



まあばあちゃんが朝、目を覚ますと、雨が降っていました。
天気予報が当たりました。
以前の雨の予報は、雨マークが次の日へ次の日へと、どんどんズレて、しまいには消えてしまいました。
今回の予報も少し似ている気がしたので、雨マークが消えはしないかとヒヤヒヤしていたので、嬉しい限りです。
待ちに待った雨です。
連日、気温35度以上で、もうバテバテでした。
雨が降ったことで、埃っぽかった空気もシーンとしています。
なにより、グンと涼しいです。心が休まります。
今日のお散歩はお休みですね。いつもの雨なら、ミミちゃんは止むか止むかと外ばかり見に行っていますが、不思議なことに落ち着いた様子です。
ミミちゃんも久々の雨が嬉しいのでしょうか? 
庭の植木も生き生きしています。
しばらく、庭の様子を眺めていると、お母さんとトモちゃんが起きてきました。
「おばあちゃん、お早う!」
「お母ちゃん、お早う! やっと雨やね。」
「ほんと、でも、お仕事大丈夫?」
「うん。大丈夫。これくらいの方が、気持ちいいわ。いつもはイヤやけど、今日の雨はホッとするわ。」
お母さんが、ニッコリ笑って言いました。


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虫のお知らせ 


「おはよう、まあちゃん。お盆すぎても暑いわねぇ。ほんとなら、朝晩は涼しくなるもんだけど……」
お春ちゃんが、先に公園に来ていました。お豊ちゃんも来ています。
「ほんとねぇ。でも、たまにスーッと冷たい風こない?」
と、まあばあちゃんが言うと、
「えー。ないわよ。ねぇ、お豊ちゃん。」
「うちも、ほんとに時々、あら?って時あるよ」
「あら、そう……。」
お春ちゃんは不満げに黙りました。そしてポツリと、
「前の家には、そんな風、流れてるんかもしれへんね。まあちゃんと同じころに建てた家やもん。確かに、今の家はだいぶ暑い気がする。狭いからかな……」
「でも、今年は特別、暑いから……」
話がそちらに行くとは思ってなかったまあばあちゃんは、内心オロオロしました。
(困ったわ。そんなつもりじゃなかったのに……)
ふと見ると、ミミちゃんがシルバーカーに飛びついて前足でトントン叩いていました。
その様子を見て、まあばあちゃんは思い出しました。
「お春ちゃん、水ようかんを作って来たんだけど、食べてくれる?」
「あら! 嬉しいわぁ! まあちゃんの水ようかんはホンマにおいしいもんね。」
「お豊ちゃんも、良かったら……」
「わぁ、嬉しい!」
「あら、まあちゃん、つまようじも入れてくれたぁる。ちょっと、いただいとこ」
そう言って、お春ちゃんはパクッと口に入れました。
「お茶も持って来てるんよ」
まあばあちゃんは、冷たい麦茶をコップに注ぎました。
話の流れが変わって、一安心のまあばあちゃんです。
―――コロコロ  コロコロ―――
3人の足元から、虫の音が聞こえてきました。
「あらぁ! もう、秋やねぇ。 いっぺんに涼しい気がするわ!」
お春ちゃんが、嬉しそうに言いました。
まあばあちゃんは、家を出る時に、庭で虫の声を聞いたことをウッカリ話しそうになりましたが、口をつぐみました。
またお春ちゃんを傷つけてしまうかもしれません。
―――スイーッチョン   スイーション―――
「うちらが暑い暑い、文句ばっかり言うてるから、そこまで秋が来てるで言うて、虫が教えてくれてるわ。」
お春ちゃんが言いました。
「ほんとやね。」
と、お豊ちゃん。
「虫のおかげで、秋を見つけたわね」
まあばあちゃんも、あちこちから聞こえてくる虫の声に嬉しくなりました。


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虫の音色



まあばあちゃんは、朝早くまだ薄暗いうちから、散歩の準備を始めます。家族で一番早起きです。
ジロとミミちゃんもクーラーの効いた部屋で、まだ寝ています。
まあばあちゃんの支度が済んだ頃に、パタパタと慌てて起きてきます。どうしてわかるのか、早く用意できても、遅い時でも、ピッタリに起きてきます。
今日は、まあばあちゃんが、昨日作った水ようかんをお豊ちゃんとお春ちゃんにと、シルバーカーに入れた頃に起きてきました。
今日もピッタリです。
ジロとミミちゃんは喜んでバタバタします。足音でみんなを起してしまわないかとヒヤヒヤします。
「シーッ、静かに! いい子にしてちょうだい。」
まあばあちゃんが言っても、止まりません。
早く出発するに限ります。
「さっ、行きましょうね。」
まあばあちゃんが、リードを持つと、ジロはミミちゃんもおとなしくなりました。
「あら!」
二匹がおとなしくなると、庭のそこここから、虫の声が聞こえてきました。
ヒンヤリした風も吹いています。
明け方はすっかり秋の気配です。
まあばあちゃんは庭の雑草をコオロギや鈴虫が来てくれるようにと、程よく残しています。
この音色は虫たちからまあばあちゃんへの贈り物かもしれませんね。


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もう少しもう少し


「ふぅ! 今日も暑いわね」
ギラギラ照り付ける太陽の下で、まあばあちゃんは洗濯物を干していました。
カンカン照りのおかげで、沢山の洗濯物は次から次へと乾いていきます。
洗濯物を干し終えてまあばあちゃんは縁側の陰で、一服しました。
陰に入ると、幾分、暑さが和らぎます。
だけど、
この暑い中をトモちゃんのお父さんとお母さんは、毎日、仕事に精出しています。
「よいしょっと」
まあばあちゃんもお父さんたちに負けまいと、次はお掃除に取り掛かります。
その前に、手作りのすごーくしょっぱい梅干しと冷たい麦茶を頂いて、熱中症予防です。
掃除機を一通りかけると、拭き掃除に取り掛かります。拭き掃除を終えると、頭から汗だくです。
まばあちゃんは、パシャパシャと水で顔を洗うと、ホッとした気持ちになりました。お父さんたちにはかないませんが、一仕事終えると、スッキリした気持ちになります。
「今日は、トモちゃんのオヤツ何がいいかしら?」
まあばあちゃんは冷蔵庫を覗くと、昨日、トモちゃんがあんこをホットケーキに挟んだものをまあばあちゃんに作ってくれました。その時 使いきれなかったアンコが入っていました。
「これを使いましょう!」
まあばあちゃんはいい事を思いついたようです。
早速、寒天を溶かしながら、フンフン鼻歌を歌います。
「♪なぜか~忘れぬ~人ゆえに~♫」
と『緑の地平線』を歌い始めました。歌っているうちに寒天がしっかり溶けました。
次はアンコと砂糖を加えます。そして塩を一つまみ。
「♫若く明るい歌声に~雪崩は消える、花も咲く~♫」
歌は、『青い山脈』に変わりました。
アルミのタライにガラガラっと氷を入れて、混ぜながら、粗熱を取ります。
「さっ、後は冷蔵庫に入れて冷えるのを待つだけね。」
トモちゃんの喜ぶ顔が目に浮かびます。
ふと、時計を見ると、お昼前です。
まあばあちゃんは、パパッっと冷ご飯をオニギリにすると、残っているオカズで簡単にお昼ご飯を済ませました。
―――バシャ! バシャ! ―――
今朝、ジロ達が水遊びしていたタライの水を、庭にまきます。玄関にも裏庭にも、植木にもかけてあげます。
タップリかけると、暑い空気が、湿気を帯びたひんやりした感触に変わりました。
まあばあちゃんは縁側で、縫い物を始めました。
夏の蒸し暑い中を、スーッと一筋、気持ちのいい風が流れて行きました。盆前には無かったことです。例年と違ってなかなか“朝晩が涼しくなる”ところまで行きませんが、それでも、秋の気配が、ほんの少しずつ近寄ってきてくれています。
―――もう少しもう少し、暑さ寒さも彼岸まで―――
ジロとミミちゃんとチビちゃんは、裏庭の涼しい風の吹き抜けるところで、お腹を出して寝ています。
この時期、この家の一番涼しい場所らしいです。ジロ達は一足早く秋を見つけたのかもしれませんね。


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仲直り



「あら! ミミちゃん!」
オッチャンを見送ってから、ジロ達の様子を見に来ると、ミミちゃんがタライから飛び出て走り回っていました。すっかり涼しくなったらしく元気いっぱいです。
「ミミちゃんおいで、拭き拭きしましょうね。」
呼ばれると嬉しくなるミミちゃんは、タタッとまあばあちゃんの元へ走り寄ってきました。
チビちゃんは、ミミちゃんを見ていて、自分も拭いてほしくなったのか、ジタバタしています。
(もしかして華麗なジャンプを見せてれるかもしれないわ)
と思い、しばらく見ていましたが、チビチャンは、ウルウルした目で、まあばあちゃんに訴えかけるので、根負けしてチビちゃんを出してあげました。
「チビちゃん、どうやって入ったの?」
と聞いてみても、嬉しそうにオッポを振っているでけです。
ミミちゃんとチビちゃんをふいたのを見計らったのように、ジロがタライから出てきました。ブルブルと水を弾き飛ばすと、まあばあちゃんの所にきました。
ジロは本当に気遣いのできる子です。
ジロを拭いている間に、チビちゃんとミミちゃんは眠くなったのか、寄り添って眠っています。
「見て、ジロ、あんなにケンカしてたのに、仲良く寝てるわ。」
いつもいつも顔を合わせると吠えあって、最後は仲良し。面白いコンビですね。
まあばあちゃんは、嬉しそうにその様子を見ていました。


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チビちゃんも行水


「わっ、エエもんに入れてもろて」
まあばあちゃんがお弁当を保冷バッグの中に入れてくれてるので、オッチャンは感動いました。「これだけ暑いと、心配だから。なるべく日陰に置いてといてね」
「おおきに。」
「ふふ、静かだと思ったら……」
あんなにケンカしていたのに、チビちゃんとミミちゃんは仲良く遊んでいます。
「あれ、いつの間に、チビはタライに入ったんや?」
「そう言えば……」
チビチャンは胴長短足のせいか、ジャンプ力がまるでありません。
どうやって入ったのでしょうか?
ジロが入れてあげたのでしょうか?
謎です。
まあばあちゃんもオッチャンもチビちゃんがタライに入る瞬間を見逃してしまいました。
「う~ん。わからん……」
オッチャンはこれから仕事に行かないといけないのに、チビちゃんの不思議に考え込んでいます。
「ほら、もう行かないと!」
「おお、せや、忘れとったわ。ほな、おおきに! チビの事、頼みます。行ってきますわ。」
オッチャンは、自転車にサッと乗ってまあばあちゃんに頭を下げると、自転車をこぎ始めました。
「行ってらっしゃい。暑いから気を付けてね!」
オッチャンはまあばあちゃんに手を振って答えました。


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また、始まりました。


「ばあちゃん、すまんなぁ。チビのこと。頼まれてくれるかな」
表から大きな声が聞こえてきます。
「はい! はーい!!」
まあばあちゃんは慌てて表に行きました。
「毎日、暑いわねぇ。今から?」
「せやねん。いつもごめんやで」
オッチャンはすまなそうに言いました。今日は朝から仕事に行くのでチビちゃんを預けに来たのです。
「ちょっと待っててね。お弁当を作ってあるの。あっ、チビちゃん、お水、大丈夫だったら行水させてあげて」
そう言うと、まあばあちゃんは家の中に入って行きました。
ジロはまるで温泉に入っているみたいな顔で使っています。ミミちゃんはジロの背中に頭を置いてフワフワ浮いています。
チビちゃんがオッチャンの腕から器用にすり抜けると、ミミちゃんにワンワン吠え始めました。ミミちゃんもウトウトしていたのに、ハッと起きてタライの縁に手をかけてワンワン吠え返しました。タライに入れまいとしているようです。
「また始まった。」
オッチャンがチビちゃんの頭をコツンとしましたが、お構いなしです。
お弁当を持って出てきた、まあばあちゃんもそれを見て思わず笑ってしまいました。


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タライで行水



今日も朝から暑いです。
トモちゃんはクラブ活動で学校へ行っています。
1度目の散歩は5時前、2度目の散歩は7時過ぎです。7時といっても、太陽は勢いよく照り付けてきます。
それでも、散歩が大好きなジロとミミちゃんは、今日も、まあばあちゃんを急かして、カンカン照りの中を2度目の散歩も歩きます。
ジロとミミちゃんは首に保冷剤をつけ、まあばあちゃんも保冷剤と大きなつばの麦わら帽子をかぶって、熱中症対策は万全です。
「今日は、近くをクルッと回って終わりにしましょうね。」
と言いましたが、まあばあちゃんはもっと小さく回ろうと思っていたのに、大回りをさせられました。
ジロもミミちゃんもハァハァと暑そうにしています。
暑くて大変そうなジロ達を見ていて、いいことを思いつきました。
家についてジロとミミちゃんの足を軽く拭くと、
「ちょっと、待っててね」
と言って物置に行ってしまいました。
戻ってきたまあばあちゃんは昔使っていた大きな金ダライをヨッコラショ、ドッコラショと運んできました。
水道のレバーをひねると、タライに垂らしたホースから水が出てきました。
午後からだと、まるで湯沸かし器から出てきたみたいですが、午前中まだ冷たくて気持ちのいい水が出てきます。
ミミちゃんは、水がたまる前からタライに飛び込みました。
天神さんの頃にタライプールをしてみたのですが、その時は誰も入ってくれなくて、庭に打ち水して終わりましたが……。
今回は、どうしたのでしょう? ミミちゃんはやる気満々です。ジロは今回も及び腰ですが、興味はあるようです。チョンチョンと足を入れて何やら確かめています。
「ジロ、入ってみたら? 気持ちいいわよ」
ジロは恐る恐る入ると、チャプンとおしりをおろしました。ミミちゃん足がつかなくなるくらい水がたまると泳ぎ始めました。なかなか上手です。
まあばあちゃんはジロの背中にお水を掛けながら、言いました。
「この前は、初めてでビックリしたのかな? 早く二回目すれば良かったね。」
ジロとミミちゃんのハァハァが、だんだんおさまってきました。


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町内の盆踊り



まだまだ暑い日が続きます。
蒸し暑く、まとわりつくような暑さです。
天神祭もテレビで見たし、富田林の花火もしっかり見たし、次はいよいよ町内の盆踊りです。
近くの小さな公園でそれぞれの町内で催されます。
こんな小さな盆踊りにも屋台が来て、金魚すくいやリンゴ飴にアイスクリンといろんな物を売っています。
トモちゃんは毎年、踊っているかと思えば、近所の子と屋台を回ったりと大忙しです。
子ども達の盆踊りの曲は、定番の一休さんやアラレちゃん音頭に踊るポンポコリン、去年はミッキーマウスの曲を加えたようです。
可愛い子ども達が可愛い浴衣を着て走り回ってる姿は微笑ましい限りです。

まあばあちゃんは、ご祝儀を収める時にいただいたウチワでそよそよ仰ぎながら、
(今年の盆踊りはどんなかしら?)
と思いながら、公園の広場に飾られた提灯を見上げていました。


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まあばあちゃんの8月15日



8月15日、この日は、靖国神社、沖縄戦、大空襲やシベリア抑留など、戦争について様々の事がテレビや新聞で取り上げられます。
68年経った今も、戦争経験者や遺族の心に深い傷跡を残しています。
その傷か癒えることはないでしょう。
この時期、大戦中を再現したドラマがよく放送されますが、これを見るとまあばあちゃんは、当時の事を思い出して勝手に涙が出てきます。
それでも、この日は、この国を守るために戦って亡くなった方々のために、
この平和はこの人たちの犠牲の上に成り立っていることを忘れないために、
そして、
若い世代に戦争の悲惨さ、苦しさ、惨めさ、恐ろしさを伝えるために
目を逸らしてはならないと思っています。

この日、家族みんなで黙とうを捧げます。


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まあばあちゃんの終戦



もうすぐ8月15日がやってきます。

おばあちゃんにとっての8月15日は、大阪の町に爆弾が降らなくなった日です。
いつ空襲警報がなるかわからない、緊迫した状態から解放された日です。
戦争に負けたのに、
“爆撃に怯えなくていい”
そのことに心底ほっとしたのです。
とはいえ、それからの食糧事情は今まで以上に厳しくなりました。配給は無くなるし、物の値上がりは大変なもので、大混乱です。
その他にも、心配なことがありました。
アメリカ兵が日本にやってきて、女の人を襲ったり、鉄砲で撃ち殺すという話をあちこちで聞きました。まあばあちゃん達年頃の娘さんたちは、アメリカ兵が来たらどこへ隠れようかとさんざん悩んでいました。が、今日の食べ物に困る始末ですし、男の人がいないので、力仕事もしなくてはいけません。
ジッとしている暇などないのです。
ある日、まあばあちゃん達3人で大きな重い石をどかすために、一人がつっかえ棒でグイッと石を傾けて後の二人でグリグリとずらしていましたが、なかなか思うように進みません。暑いしお腹は空いてるしでフラフラです。
「ハ~イ」
「ヘ~イ」
と背の高い二人のアメリカ兵が立っていました。こんなに大きな人は見たことがありませんでした。
まあばあちゃん達3人はビックリして声も出ませんでしたが、アメリカ兵二人はニコニコして、石を持つそぶりをしています。どこへ置くのかと聞いているようでした。
まあばあちゃん達は、その石といくつか他の石もどかしてもらいました。まあばあちゃん達の苦労がウソのように簡単に運んでいきます。ペコペコ頭を上げていると、もう用事はないと思ったのか、車に乗ってどこかへ行ってしまいました。
帰り道、子ども達がアメリカ兵に何かを貰っていました。
こちらに向かってきた子どもに、
「どうしたの?」
と聞くと、
「見てや! これ、もろてん! チョコレートやで! 妹に食わしたるねん!」
と言うと走って行きました。
その子は母親の事を口にしませんでした。
(空襲で亡くなったのかも……)
空襲で街を火の海にしたのも。今、親切にしてくれているのもアメリカ兵……
そして、戦争に協力しない態度をとれば容赦なくヒドイめに合わせに来た憲兵や警察……
「戦争が終わって本当に良かった。」
まあばあちゃんは我知らず呟いていました。すれ違って行ったアメリカ兵が何かを手に握らせてくれました。
さっきの子どもがもらったものと同じチョコレートでした。


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遅い暑中見舞い



―――コトン―――
まあばあちゃんが散歩から帰って来て、ジロとミミちゃんの足を拭いていると、ポストにお手紙が入りました。
ポストを開けると、一枚のはがきが入っていました。

しょちゅうみまい
おばあちゃん大好き


という文字と、ひろ子ちゃんとまあばあちゃんが笑っていて、その周りを朝顔で囲ってある絵がありました。なかなか上手にかけています。
「まあ、大好きですって!」
まあばちゃんは照れ笑いしました。
小さい文字が見えないので、老眼鏡をかけて改めて見ると、

“おばあちゃん、お元気ですか? ひろ子は元気です。おばあちゃんとひろ子とひろ子のあさがおをかきました。”

文面からは読み取ることが出来ませんが、おばさんとはいえ、初めて会う人の所で厄介になるのは肩身の狭い事です。
心細い思いでいるのではと、心配になりました。
まあばちゃんは、さっそくお返事を書きました。
“ひろ子ちゃん、かわいいお手紙ありがとう! 
9月になったら、ひろ子ちゃんに会えますね。
たのしみにしています。”

(ひろ子ちゃんが幸せでいるといいけれど……)
まあばあちゃんはポストにはがきを入れた後、手を合わせていました。


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チビちゃんをひきとりに


今日は、チビちゃんをまあばあちゃんに預けていました。
チビチャンを迎えにまあばあちゃんの家に向かう途中、もし、邦ちゃんにあったらどんな顔をすればいいのか悩んでいました。邦ちゃんの家はまあばあちゃんの近所です。もし会っても、邦ちゃんはオッチャンに気付いていないのですから、普段通りでいいはずなのですが、どうにも気持ちが落ち着きません。
邦ちゃんの家の前に来てしまいました。外国の言葉が聞こえてきました。韓国ドラマが好きなお春ちゃんが見ているのでしょう。
邦ちゃん親子が今住んでる家は、生垣が低く、家の様子がぼんやり見えます。
音の方に目を向けると、テレビを見ながら美味しそうにアイスを頬張っていました。
あの様子を見る限り、邦ちゃんはお春ちゃんに仕事の事を話していないのでしょう。
「はやいとこ、チビもらいに行って帰ろう」
自分を元気づけるように独り言を言うと、道を渡るために自転車の向きを変えました。
「こんにちは! あら? チビちゃんは?」
邦ちゃんです。
いつも一緒にいるチビちゃんが側にいないことに気付いて、邦ちゃんが聞きました。
「えっ? あ……いやいや今日は出かけるんで、ばあちゃんに預けてましたんや。いやいや、今日はホンマに暑いですなぁ。あんたも夏バテに気ぃ付けてな。……わしもこう暑いとかなんわ……」
まさか本当に会うと思っていなかったオッチャンは、邦ちゃんが現れたことで、しどろもどろです。邦ちゃんの家で立ち止まっていたことも、バツが悪く感じました。
邦ちゃんはキョトンとしていましたが、
「チビちゃん、とっても可愛いですもんね。」
とニッコリ笑ってくれました。
思いがけず、明るい笑顔を見せてくれた邦ちゃん。オッチャンは少しだけホッとした気持ちになりました。


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いじわるばあさん



邦ちゃんの難儀を助けられなかった事に、モヤモヤしながら仕事をしていると、邦ちゃんを怒鳴っていたおばあさんが杖を突きながらオッチャンの仕事の出来具合を見に来ました。
ちょうど終わったところで、道具を片付けているところでした。
そのおばあさんはわざとらしい笑顔を浮かべて言いました。
「キレイにしてもらってご苦労さんやね。次は床の張替えを頼みますわ。」
「ぃや~……。そうですなぁ……」
そう言って、首をひねると、
「あきませんか? もちろん材料代は出しますよって、このとおりですわ」
拝むような恰好をして、慌てたように頼み込んできました。
オッチャンは断りたい気持ちでいっぱいでしたが、受けることにしました。
邦ちゃんは、ヘルパーとして、またこの家に来るでしょう。
良い案はありませんが、なにかの助けになれればと思ったのです。
一人暮らしのこのおばあさんは、足が不自由でいつも命令ばかりしています。ご近所さんにも命令口調です。自分のモノサシで気に入った人がいると、その人にはヘコヘコするといった具合です。
ヘルパーさんにも命令口調ですが、邦ちゃんには特にきついように感じました。
「奥さんとこは、身の回りの事を助けてくれる人が来てくれて、助かりますなぁ」
「何言うたはりますねん。金、払って来てもろてますねんで、なけなしの年金から払ってんねん。せいぜい働いてもらわんと!」
おばあさんは、フンと鼻を鳴らして、いまいましいそうに言いました。
その言葉にオッチャンはさらに暗い気持ちになりました。


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オッチャンの心の内



「申し訳ありません。一生懸命いたしますので、どうぞよろしくお願いします。」
邦ちゃんはそう言って、畳に頭をこすりつけるようにして、謝っていました。
オッチャンはいっそ割って入ろうかと思いましたが、このおばあさんが、また邦ちゃんの勤め先に文句を言ったりしたら、邦ちゃんはそこで居場所を失うかもしれません。オッチャンが、あーだこーだと悩んでいるうちに、邦ちゃんは手際よく家事をこなして、料理まで作っていました。
「出来ることと言ったら家事くらいなので」
そう言って、ヘルパーになることを選んだ邦ちゃん。
しかし、ヘルパーとして働く邦ちゃんの大変な様子を目の当たりにして、テキパキと働く邦ちゃんにオッチャンは脱帽しました。
(邦ちゃんの母ちゃんは知ってるんやろうか? ばあちゃんは知らんやろなぁ……。知ったら、心配するやろなぁ……)
先日、邦ちゃんの引っ越しを偶然手伝うことになった時、まあばあちゃんやその家族にもとっても好かれているのが分かりました。
辛い目にあって、元気はありませんでしたが、それでも笑顔を絶やさず、コロコロとよく働く感じのいい人でした。それだけに、怒鳴られてる姿を見てられませんでした。
(ここのばあさん、八十才や言うとったな。ばあちゃんとはえらい違いや。ここのばあさんみたいな年寄りにはなりとうないわ。)
オッチャンは心の底から思いました。


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オッチャンの心配事



オッチャンはまあばあちゃんと別れた後、大きなため息をつきました。
「この話は、ばあちゃんには言えんなぁ」
と、独り言を言いました。
 
オッチャンは、この頃、よく大工仕事を頼まれます。
手先が器用なのでご近所の門扉を直していたら、その仕事を見ていた人が家もお願いしたいと言う事で、それを続けているうちに、あっちこっちから声がかかるようになりました。
家を留守にする時間が長くなりそうなときは、まあばあちゃんにチビちゃんを預けます。

数日前、あるおばあさんの家の雨どいの修理を頼まれた時の事でした。
家の中から、怒鳴り声が聞こえてきました。ここのおばあさんの声です。
なにかあったのかとおばあさんの所へ行こうと思いましたが、驚いて隠れました。
怒鳴られていたのは……
(邦ちゃん!!)
邦ちゃんはこの家のおばあさんに、ペコペコ頭を下げて謝っていました。
オッチャンは思わず叫びそうになったのをなんとかひっこめました。
邦ちゃんは、ヘルパーをしていると聞きました。自分がしゃしゃり出ることで、仕事に来ている邦ちゃんに、かえって迷惑がかかるのではと思ったのです。
とはいえ、気になって聞き耳を立てていました。
「こんなカタワ者をよこしてから、こっちは金出してるねんで、馬鹿にされたらかなわんわ。」
邦ちゃんは、少し足を引きずっているけれど、そんなそしりを受けるいわれはありません。(このばあさん、なんちゅう事、言うんや!)
邦ちゃんに、酷い言葉を浴びせるおばあさんにオッチャンは腹が立ちました。


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チビちゃんのオッチャン、夏バテ?


「あっ、ばあちゃん! おはよう」
チビちゃんのオッチャンです。
「あら、お早うございます。」
「朝から暑いなぁ。ばあちゃん、熱中症に気ィ付けなアカンで。」
「ほんとに、夏バテにも気を付けないとね。」
ワンワンワン
ギャンギャンギャン
チビちゃんは自転車の前かごから、ミミちゃんはシルバーカーから吠えあっています。
「あらあら、また始まった。」
チビちゃんとミミちゃんは仲良くしてると思ったらケンカしたり、静かだなっと思ったら一緒に寝ていたりと、いつも忙しくしています。
ジロはというと、ケンカをしたことがありません。吠えることも滅多にありません。
「お前は賢いなぁ。平和主義やな。人間もこうでないとアカンなぁ」
オッチャンはしみじみ言いました。
どうもいつもの元気がないようです。記録的な猛暑が続いているせいでしょうか?
「元気ないわね。どうしたの?」
「そうかなぁ、元気やで?」
確かに体調が悪そうな感じはしないのですが、でも、どこか力ないようにまあばあちゃんは思いました。
「せやせや! 畑でナスビとキュウリとってきてん。また家の前に置いとくから、美味いもん作ってな!」
そう言うと、颯爽と自転車をこいで行ってしまいました。
いつもと同じような会話をしているのに、
なにかこう、元気がないというかしっくりこないというとか、うまく言葉にできないのですが、いつものオッチャンと違うように感じたまあばあちゃんでした。


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富田林の花火



今日は、富田林の花火大会の日です。
あの有名な裸の大将、山下清画伯も描いたあの花火です。
隣町の池に、遠目ながら綺麗に見える場所があると、朝の散歩で教えていただきました。
むかしは、高い建物がなかったためか、花火が今より近くて大きく見えたように思います。今は、キレイに見えるところが少なくなりました。
「前は、家の前からでも見えたのにねぇ……」
「おばあちゃん、花火みたいの? 行ってみる?」
「いいの?」
「行こうよ!」
「じゃあ、今日は洗い物が簡単なカレーにしましょう!」
「サラダつけてね!」
「はいはい」

夕食もすんで、いよいよ出発です。
トモちゃんが車いすを出してきました。車いすのポケットに懐中電灯を入れました。
タタッとジロとミミちゃんが走ってきました。
「今日はお留守番よ。人がたくさんいるから、大変よ。前に駅前に行ったでしょ? あれよりうんと多いよ。」
ジロはトモちゃんが言い聞かせると、おすわりしておとなしくなりました。ミミちゃんはまだパタパタしていましたが、しばらくすると、ジロのお腹に入っておとなしくなりました。

花火はまだ始まっていません。
「よかったね。始めるまでに着いたね。」
「ありがとう。トモちゃん。」

ピュー……ドーン

花火にみんなが歓声を上げました。
「わぁ! キレイ! 見に来てよかった!」
「ほんとに……」
(この花火、ひろ子ちゃんも見ているのかしら……)
夏休みの間、富田林に行くと言っていたひろ子ちゃん。
ひろ子ちゃんの事を思う時、心配で胸がキュッとなります。
どうか何事もありませんように……
まあばあちゃんは、夜空に咲く美しい花火に祈りました。



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ペット禁止



「かわいいなぁ。この子らがジロとミミなんや~。かわいいなぁ。」
「可愛いやろ! こっちがジロで、こっちがミミいうねん」
兄弟は、嬉しそうにジロとミミを撫でています。
「おばあちゃん、ミミ抱っこしてもいい?」
ミミちゃんはめいっぱいオッポを振って、お兄ちゃんの顔をペロペロしています。まあばあちゃんはニッコリして頷きました。
ジロは弟君に抱きつかれてちょっと暑そうにハアハアしています。
「今日から、学校休みやから、おばあちゃん、おらんと思ってた。得した気持ちや!」
お兄ちゃんは本当に嬉しそうに言いました。
「気持ちいなぁ。かわいいなぁ。ぼくもワンちゃんと住みたいなぁ」
お兄ちゃんは、羨ましそうに言いました。
「僕らの住んでるマンション、ペット禁止やから、ダメだって母さんが……」
弟君が、しんみり言いました。
「まあ……」
まばあちゃんは返事に困りました。
「でも、お父さん、早くお家を買えるように、頑張るって! そしたら僕らもジロとミミみたいな子といつも一緒にいられるね!」
弟君は、楽しみらしく、急に元気よく言いました。

(こんな小さな子達も自分たちの家の事情をよく考えているのね。)
ジロとミミちゃんから、いつまでも離れない兄弟を見て、少し切なくなりました。


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兄弟の気遣い



しばらく歩くと、公園があります。
さっきの兄弟が、公園の水道で手を洗っていました。
なにやら嬉しそうに話しています。
「兄ちゃん、捕まえたセミあそこで鳴いてる!」
弟が、高い木の枝を指さして言いました。
「どこどこ……。ほんまや、お前ようわかったなぁ」
「うん! 飛び出してすぐ、あそこにとまってん! でも、鳴かへんから心配しててん。」
兄弟はならんで、セミの鳴くのを聞いていました。
「兄ちゃん、あのセミ、ちょっと羽がかけてたけど、ちゃんと飛んでエライなぁ」
「ホンマやな」
「あっ、さっきのおばあちゃんや!」
こちら側を向いていた弟君がまあばあちゃんに気付きました。
兄弟はまあばあちゃんに手を振りながら走ってきました。
「おばあちゃん、ジロとミミさわってもいい?」
「あら、この子達の名前覚えてくれたの?」
「うん。朝、いつも会うもん!」
と言って、お兄ちゃんはジロに頬ずりしました。
「兄ちゃんな、ジロとミミなでるのは、手を洗ってからやって言うねん。ジロはいつもお風呂が好きでキレイ好きやからって!」
「まあ!」
まあばあちゃんは兄弟の優しい気遣いに感心しました。
この子達のお母さんはどんな人だろうと思いました。
こんなに優しい気遣いを出来る子に育てるなんて、素晴らしい事です。
まあばあちゃんは二人の兄弟を微笑ましい気持ちで見ていました。


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兄弟



パタパタ走ってきた二人の男の子は、おばあちゃんの所まで来ると、
「おばあちゃん、見て、セミとってん!」
虫かごの中には、大きいセミとそれより少し小さいセミが入っていました。
「まあ、上手ね!」
まあばあちゃんが感心したように言うと、隣に立っていた小学校に上がる前くらいの男の子が、自慢げに言いました。
「兄ちゃんが、とってん!」
「お兄ちゃん、上手ね」
「そうやで! 兄ちゃんは、木に登るのもうまいねん。絵を描くのもうまいねんで!」
「そう! 頼りになるお兄ちゃんね。お兄ちゃんは何年生?」
まあばあちゃんが尋ねると、お兄ちゃんが元気よく答えました。
「僕、2年生。こいつは年少組や!」
二人はきちんと大きな麦わら帽子をかぶり、手入れされたオシャレなTシャツをお揃いで来ていました。
2年ということは、ひろ子ちゃんより一つ年上です。
「今から、またセミをとりに行くの?」
「ううん。もう、しっかり見たし。絵も描いたから。とってきた公園に離しに行くねん。」
「そう、えらいわねぇ」
この子達のおかあさんは、この子達に、お勉強だけでなく、生き物を大切にする。そして弟を大切にするということをしっかり伝えることが出来てるのですね
この子達のお母さんは立派な考えをお持ちだと思いました。
「じゃあ、おばあちゃん、行ってくるね!」
「えらいわね。気を付けてね!」
まあばあちゃんは遠ざかる子ども達に、手を振りました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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