堺の町は桜色



今日は少し曇り空ですが、まあばあちゃんとトモちゃんは朝から大泉緑地に行く準備をしています。
「おばあちゃん、早く行こう」
トモちゃんがまあばあちゃんの車イスをいそいそ出しながら言いました。
「そんなに急がなくても大泉は逃げていきませんよ。」
まあばあちゃんは笑いながら言いました。
まあばあちゃんが車イスに座るとミミちゃんが〝乗せて乗せて″とピョンピョンします。
トモちゃんがまあばあちゃんの膝の上にミミちゃんを乗せました。
「ミミちゃん、お利口にしているのよ、向こうに行ったら可愛いお友達がいっぱい出来るわよ。」
と、まあばあちゃんがミミちゃんに言いました。
ちょっと、おすましなミミちゃん、お友達はできるでしょうか?
ミミちゃんにとって、今日は初めての大泉緑地です。
トモちゃんがゆっくりと車イスを押します。ジロがそれに合わせて歩きます。
いつもの公園の前を通ります。毎年見事な桜を見せてくれます。
「ここの桜も見ごろね。」
春は、学校や公園、池の周りに前栽と桜がそこここに溢れています。
「うん! これは大泉の桜のトンネルは見事になってるね~」
「そうね! 楽しみね」
まあばあちゃんにとって楽しい1日なりそうな予感がします。


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今年も大泉緑地に行こう!



テレビではあっちこっちの桜が満開です。
東京の上野公園では満開の桜の下でお弁当を食べたりお酒をいただいたり、みんな楽しそうです。
「おばあちゃん、明日、大泉に行く? もうそろそろ咲いてるんじゃない?」
「そうね。明日なら八分咲きくらいかしら。大泉の桜はホントに綺麗ね。」
目を閉じると、美しい桜が浮かんできます。
「じゃあ、明日は大泉に行こう!」
「ありがとう。トモちゃん、おばあちゃんは幸せものね」
まあばあちゃんは泣き虫です。
嬉しくても悲しくても小さな目をショボショボさせて涙をためて、笑ったりションボリしたりします。
トモちゃんの心が嬉しくて、また涙を浮かべていました。
「ジロ! ミミ! 明日は大泉まで行くわよ!」
トモちゃんはキューッとジロとミミちゃんに抱きつきました。
二匹は、トモちゃんに抱きつかれて嬉しくなったらしく、はしゃぎだしました。
「ねっ、オニギリ持って行こうよ! オニギリ食べながらお花見しよう!」
トモちゃんは、おばあちゃんのオニギリが大好きです。
「そうね! そうしましょう。」
まあばあちゃんはにっこり笑いました。

明日が楽しみですね。
きっと、大泉緑地の桜は見事ですよ。


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よみがえった整理ダンス



トモちゃんが見せてくれた古びた整理ダンスの引き出しには自動車のワックスや布きれが入れてありました。
他の引き出しには、お父さんとお母さんのスニーカーのストック。その次の引き出しにはまあばあちゃんの散歩用の靴の予備……トモちゃんの靴。
一番下の引き出しには、庭の手入れをする道具など、ちょっとしたものが入っていました。
「まあ、便利よさそうね。」
まあばあちゃんはニコニコして言いました。
「おばあちゃん、まだ空いてる引き出しあるよ。なんか入れる?」
「ほんと、何を入れましょう。」
「そうだ! この前買ったお散歩のリードのストック入れよ。取ってくる」
そう言うと、トモちゃんはタタッと行ってしまいました。
捨てられそうだった古びた整理ダンスは、今度はガレージの片隅で再び息を吹き返しました。
今度はみんなの物を入れます。
まあばあちゃんはホッとしました。苦労して買ったものなので、やっぱり愛着があったのです。
まあばあちゃんは、長い間、共に生きてきた古い整理ダンスに手を置いて、
「良かったね。また頑張りましょうね」
と言いました。


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粗大ごみの申し込み



トモちゃんが早速、粗大ごみの申し込みの電話をかけています。
「……はい。……整理ダンスをお願いしたいんですが……。……はい」
トモちゃんが緊張気味に答えています。
「……え!?」
トモちゃんが驚くので、まあばあちゃんも心配になって側に行きました。
「あ~。すみません。測るの忘れてました。また改めてお電話します。」
そう答えると、受話器を置きました。
「どうしたの? トモちゃん」
まあばちゃんは心配でトモちゃんが電話を切るなり尋ねました。
「私、整理ダンスの大きさを測るの忘れててん。ちょっと測ってくるね。おばあちゃん」
トモちゃんは、そう言うと小走りで縁側から庭に降りていきました。
トモちゃんが、あんまりパッパと動くので、まあばあちゃんは電話の近くの壁にくっついてトモちゃんの邪魔にならないようにしました。
「どうしたの? トモちゃん。」
トモちゃんの様子が変です。引き出しを開けてポカンとしています。
「あのね。引き出しがちょっと開いてたから変だなと思って見てみたら。いろいろいっぱい入れてる。お母さん、私に申し込みを頼んだの忘れてるな……」
まあばあちゃんも整理ダンスの中を見たくなりました。
縁側は、まあばあちゃんが降りやすいように、手すりと低い階段をつけてありますが、それでもゆっくりしか降りることができません。
「ちょっと待ってね。 今行くからね。」
「大丈夫? ゆっくりね」
トモちゃんが手すりの反対側から手を添えてくれました。

整理ダンスの所まで来ると、
「ほら!」
トモちゃんが楽しそうに引き出しを見せてくれました。
「あら、まあ!」
それを見た、まあばあちゃんは、なんだか嬉しくなってきました。


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『広報さかい』を読んで



『広報さかい』には、行政の仕組み、防災の事、転入転出の手続きの事などが詳しく書かれています。
まあばあちゃんが洗濯から戻ると、トモちゃんが広報さかいを読んでいました。
「トモちゃん、何かいいこと書いてる?」
「あっ、おばあちゃん! ううん。お母さんがタンスの粗大ごみの申し込みしといてって言うてたから、載ってるかなあと思って探してるの」
「ああ、それなら冷蔵庫の所に貼っているわよ。ゴミの分け方から何から。粗大ごみの事も書いてるわ」
「あれ? そうだった? 気が付かなかった。」
「一緒に見ましょ」
トモちゃんは照れ臭そうに笑いながら返事しました。
「うん」
まあばあちゃんの言うとおり、冷蔵庫の側面に貼っているシールにゴミの事が、事細かに書いてあります。
「へぇ。分かりすく書いてあるね。あっ、粗大ごみ申し込みの電話番号書いてある。」
トモちゃんが番号をメモしながら、
「広報さかい。はじめてしっかり読んだけど。いろんな活動してるんやね」
「そうよ。いい事いっぱい書いてあるでしょう。」
今月の広報さかいには街をきれいにする人の写真や安心して暮らせる街づくりについて詳しく書かれています。
まあばあちゃんは月末に来る『広報さかい』を読むのをいつも楽しみにしています。


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お彼岸団子


まあばあちゃんはおはぎを作るのが大好きです。
お彼岸の中日は、朝からおはぎをいっぱい作っています。
「これはチビチャンところ」
まあばあちゃんがおはぎをキレイに並べています。
「これは、柿の木の奥さんに、そしてこれはお春ちゃんにお豊ちゃん」
チビチャンのお父さんは野菜作りが大の得意です。今なら、大根、キャベツ、ホウレン草をたくさん作ってまあばあちゃんに届けてくれます。

まあばあちゃんもいろいろおかずを作ってチビチャンのお家に届けるのが楽しみの一つになっています。
今日は、春分の日で学校が休みのトモちゃんと一緒におはぎと晩御飯のおでんを届けに行きます。
「オッチャンいるかな?」
トモちゃんがインターフォンを押しました。縁側からチビチャンがワンワンワンと鳴きながら飛び出してきました。トモちゃんがチビチャンを抱き上げると、トモちゃんのほっぺをペロペロとなめました。それを見たミミちゃんは負けじと抱っこ抱っことピョンピョンしています。
ジロはいつものようにまあばあちゃんの側で静かにしています。
「おおきに、おおきに!」
オッチャンは縁側からトモちゃん達を見るなり言いました。
「今日はお彼岸やから、ばあちゃんのおはぎを待っとたんや。いつもありがとうな」
オッチャンの嬉しそうな顔。
「はい!どうぞ!!」
トモちゃんはオッチャンにおはぎを渡しました。
「おおきに! おおきに!」
オッチャンはおはぎが特別好きなようで、大喜びです。
「オッチャン、インターフォンに出ないと……。誰か分からないよ。」
ニュースで怖い事件をよく目にします。トモちゃんは確かめずに出てきたオッチャンが心配になりました。
「そんな事ないで。こいつが喜んでパタパタするからバッチリ分かるで。な!」
と、チビチャンの頭を撫でました
「ほんと?」
チビチャンが喜ぶと聞いて、トモちゃんは嬉しくなりました。
「おまえは、いつも賢いなあ。ほな、かあちゃんにお供えしてくるわ。」
オッチャンが感心して、おとなしくしているジロの頭を撫でました。
「オッチャン、またね。」
しばらくすると、チーンという音が聞こえてきました。
オッチャンは、奥さんの仏前で手を合わせているのでしょう、
まあばあちゃんとトモちゃんは、顔を見合わせてニッコリしました。

「あら! ジロちゃんのお母さん! 今から伺おうと思ってたんですよ!」
タロちゃんのお母さんでした。
「うちのお彼岸団子です。ぜひ食べていただきたくて」
「わあ」
「まあ」
二人とも嬉しくなりました。
以前いただいた菱餅もとっても美味しかったですものね。嬉しい春の出来事ですね。



チビチャンは小さな犬に、タロちゃんのことはタロちゃんにお話があります。読んでいただけたら嬉しいです。

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まあばあちゃんのタンス貯金


お昼前にタンスが配送されてきました。
トモちゃんと二人で通販カタログから選びました。昔は本からああでもないこうでもないと想像していましたが、今はパソコンで、気になる個所を拡大出来て、目が見えにくくなってきた、まあばあちゃんはとっても助かります。

選んだのは明るい茶色の整理ダンスです。親切な配送のお兄さんは希望の場所においてくれたので、することといえば中に入れるだけです。
「あれ、おばあちゃん何してるの?」
まあばあちゃんが雑巾をもってタンスを拭いています。
「タンスを拭こうと思って……」
「新品なのよ?」
「うちの子になるんだか、“ようこそ来てくれました”ってきれいにしてあげるのよ」
「なるほど! わたしも一緒にする。」
「大丈夫よ。サッとするだけだから。トモちゃん。前のタンスから、いろいろ持って来てくれる?」
「はーい」
古いタンスはお母さんとトモちゃんで縁側によけておきました。
綺麗好きのまあばあちゃんは洋服も何もかもパッと運べるようにしてあります。トモちゃんはまとめてある分をガバっと抱えました。すると、
「ん?」
ヒラっと古い赤茶けた封筒が落ちました。
「おばあちゃん。封筒が入ってたよ。大事な物じゃないの?」
「あら! これ……」
まあばあちゃんが封筒の中を開けると、聖徳太子様の絵の千円札が三枚出てきました。
「これ、タンス貯金よ。戦後は、銀行も今みたいにしっかりしてなかったから。困った時の蓄えをこうしていたのよ」
「へぇ」
「忘れているなんて、もったいない事をするわね。」
まあばあちゃんは、しんみり言いました。
「聖徳太子って一万円札があるのはと知ってたけど、千円があるなんて初めて知ったわ。」
「昔は一万円札なんてなかったのよ。途中からできたのよ。」
「へぇ。」
「こんなこと言うと今のお札に怒られるかも知れないけど、おばあちゃんは一番高いお札は聖徳太子様が一番似合うと思うの」
まあばあちゃんは目を潤ませてお札を大事そうにさすりながら言いました。きっと苦労した時のこと思い出しているのでしょうね。
「ねっ、おばあちゃん、本当に困った時のために、新しいタンスにこのお札納めておこう。きっと私たちを守って下さるよ。」
とトモちゃんがそう言うと、まあばあちゃんは嬉しそうに笑いました。

古びたタンスから現れた聖徳太子様はきっと新しいタンスに移って、お家を守ってあげようと思って下さったのかもしれませんね。


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まあばあちゃんの整理ダンス



暖かな日差しの午後、トモちゃんは、まあばあちゃんの整理ダンスの下に粉のような木屑が落ちているのに気づきました。タンスを見ると、正面に小さな穴が開いています。
虫食いです。
その整理ダンスはまあばあちゃんが戦後、若い頃に買ったものです。それまでの持ち物は大阪大空襲でみな焼けてしまったそうです。
お金がたまって一番先に買った家具です。
お母さんがいくら新しいものを買おうと言っても、
「もったいないわ。まだまだ使えるから」
と言って、ずっと大切に使っています。まあばちゃんにとっては色んな思い出が詰まった大事なタンスなのでしょう。
「おばあちゃん、このタンス虫食ってるよ。」
「あら! たいへん!」
おばあちゃんは針と糸を持って、
「♪虫さん虫さん。ごめんなさい♫」
と、調子をつけて歌いながら、器用にその穴を糸で埋めました。よく見ると、他にも2,3か所そんな風に埋めてあるところがありました。
「おばあちゃん、このタンスはもう買い替え時期よ。古すぎて、虫さんのアパートになってるよ。」
「でも、もったいないわ。まだまだ使えるのに」
「でもね、タンスも大事だけど、虫さんがいるってことは、お家に良くないんじゃないかなって思うよ。」
「あら、そうなの?」
「だって、家も木で出来てるでしょ? もしかすると家中、虫さんのアパートになったりして!」
と、トモちゃんはまあばあちゃんをちょっとおどかしました。
「まあ!」
「冗談よ。でも、さんざん使ったんだから、もうこのタンスも休みたいんじゃないかな。おばあちゃんがこのタンスに思い出が詰まってるのは分かるけど……」
「そんな、このタンスに大事な思い出なんかないわ。」
「じゃ、引き出しの中になおしてる物も粉が付いたら可哀想だよ。春に新しいタンスが来たら、きっと気持ちいいよ!」
「そうね。でも、捨てるのは申し訳ないような気がして……」
何に申し訳ないのか、トモちゃんは聞きませんでした。
まあばあちゃんは、ウッカリ何か物に傷をつけたりすると、
(ごめんなさいね)とあやまります。
タンスに申し訳ないと思っているのでしょう。タンスに心はないかもしれないけど……
まあばあちゃんは、物を大切にする優しい心を持っているのですね。


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暑さ寒さも彼岸まで


もう3月も半ばだというのにグッと冷えてまあばあちゃんの住む堺の町も田んぼや畑に霜が降りている日が多いです。
梅の花も色あせてきましたし、早咲きの桜も散り始めています。なのに朝はまだまだ冷たいです。
「おばあちゃん、暑さ寒さも彼岸までね。」
とトモちゃんが言うと、おばあちゃんは急に笑い出しました。
「おばあちゃん、どうしたの?」
「あはは。ああ可笑しい。あははは」
トモちゃんはまあばあちゃんが何を笑っているのか分からずキョトンとしています。
「だって、トモちゃんたら年寄りみたいなこと言うんだもの。あははは」
まあばあちゃんがトモちゃんに年寄りなんて言うからトモちゃんもなんだか可笑しくなってきました。
「そう? だって、おばあちゃん、この時期になると、そう言うよ? あはは」
まあばあちゃんが笑ってるのを見ていると、トモちゃんもなんだか笑けてきました。
そう言えば、トモちゃんは近所のおばさんとかにおばあちゃん子だねとよく言われるし、
ティッシュをチッシュと言っていて友達に笑われたこともありました。
でも、まあばあちゃんが大好きなトモちゃんは笑われたって、ちっとも気にしません。
二人でケタケタ笑っていると、ジロとミミちゃんがどうしたの? と言うようにじゃれ付いてきました。

―――暑さ寒さも彼岸まで―――

公園の前にあるモクレンも大きな蕾を膨らませて、今にも綺麗な花を咲かそうとしています。
様々な花が今か今かと蕾を膨らませて待っています。
お花が咲いたら、まあばあちゃんはジロとミミちゃんを連れてお花を訪ねて歩くのでしょうね。楽しみですね。


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三寒四温


「う~。寒い。昨日はぬくかったのに~」
トモちゃんが、朝から寒い寒いと言っています。
「三寒四温と言うのよ。あったかくなったり寒くなったりを繰り返して春になって行くのね」
この頃は朝とお昼の寒暖の差が激しくて、まあばあちゃんの体にも堪えます。
でも、これが来れば春はもうそこです。
「そうだね。でも、これだけ温度差が大きいと風邪ひくよ。おばあちゃんも気を付けてね。」
「おばあちゃんは大丈夫よ。風邪には強いんだから」
「でも……」
トモちゃんは心配そうにしていました。
「それにね。今日はとってもいいこと聞いたの!」
「え! なになに?」
「隣町の桜の木が満開なんですって!」
「え? もう? 早くない?」
「サクランボのなる木で花は少し早いそうなの。とっても綺麗だそうよ。お豊ちゃんとその桜の木を見に行くって約束したの。トモちゃんも一緒に行きましょう」
「へぇ! サクランボの桜? 行く行く!」
トモちゃんも嬉しそうです。ジロとミミちゃんもなんだかウキウキしているように見えます。
いくつになっても友達とのお出かけは楽しいものですね。


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携帯電話はとっても便利



「「おばあちゃん、今日、お昼ご飯を食べたら、ジロとミミちゃんを連れて、お散歩に行こう!」」
とトモちゃんが言うと、
「はい! 分かりました。行きましょう♪ 行きましょう♪」
まあばあちゃんが節をつけて嬉しそうに返事しました。
「「それでは、向かって右側の受話器が下りているマークのボタンを押して電話をお切り下さい。」」
トモちゃんがアナウンス風に言うと、
「右? 受話器? どれどれ?」
まあばあちゃんは人差し指をウロウロさせて困っています。
「おばあちゃん、このボタンよ。」
トモちゃんがまあばあちゃんの携帯電話の電源ボタンを指さすと、
「ああ! これ!」
とホッとしたように、キューッとボタンを押して電話を切りました。
「はぁー。なかなか、おばあちゃんには難しいわ」
「うーん。 ……そうだ! ちょっと待ってて」
トモちゃんは何か思いついたらしく、自分の部屋に行きました。
すぐに戻ってきたトモちゃんはまあばあちゃんの携帯電話にシールを張りました。
通話ボタンにぱっちりした目の可愛いワンちゃんのシール、通話終了ボタンに眠っているネコちゃんのシールを張りました。
「あら! 可愛くなった! この子ジロに似てるわね。」
まあばあちゃんは嬉しそうに犬のシールを撫でています。
まあばあちゃんの携帯電話から着メロがなりました。
『犬のおまわりさんです。』
まあばあちゃんは
「♪♫ 迷子の迷子の子ネコちゃん~あなたのお家はどこですか~♫♪」
と音の調子に合わせ体を揺らしています。
まあばあちゃんがあんまりご機嫌に歌っているので、トモちゃんは一番を歌い終えるのを待ってから、
「……おばあちゃん、ワンちゃんのとこ押してみて?」
「はい!」
「「おばあちゃん聞こえる?」」
「はい! 聞こえますよ!」
「「なんかお話しして」」
「うーん。何をお話ししましょう」
突然、お話ししてと言われて困り顔のまあばあちゃんに、トモちゃんは
「「じゃ、今度はネコちゃんシールのボタン押して、そしたら電話が切れるよ」」
「はい! わかりましたよ」
まあばあちゃんはネコのシールのボタンをキューッと押しました。
ワンちゃんボタンとネコちゃんボタンを繰り返す押すうちに、だんだん慣れてきました。
「おばあちゃん、次は私にかけてみて」
「ええ!? 出来るかしら……」
まあばあちゃんは心配そうです。
「大丈夫よ。この1のボタンを押してから、ワンちゃんのボタンを押すと……。ほらね?」
トモちゃんの電話が鳴り始めました。
「あらまあ! たくさん押さなくてもいいのね」
「そうよ! 試してみて」
「はい! わかりました!」
さっきより少し慣れた手つきでボタンを押すと、トモちゃんの電話が再び鳴りました。
まあばあちゃんも固定電話のプッシュ式は使えるのですが、携帯電話だとどうも難しく考えてしまうようです。
「「はい! トモちゃんです。」」
「トモちゃんですか? お昼ご飯は何がいいですか?」
「「おばあちゃんは?」」
「トモちゃんと一緒がいいよ」
「「オニギリと卵焼きが食べたいです。」」
「はい! わかりました。そうしましょう!」
緊張していて言葉がちょっとカタイですが、まあばあちゃんは携帯電話を掛けられるようになりました。


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まあばあちゃんと携帯電話


「どうしたの?」
トモちゃんがまあばあちゃんの肩にポンと手を置いて心配して尋ねると、
「わ!! びっくりした。」
と大きな声を出しました。
まあおばあちゃんがあんまり驚くのでトモちゃんもビックリしました。
「ああ、トモちゃん……。おはよう。ああ、驚いた。」
「どうしたの?」
「おばあちゃん、なかなか覚えられなくて、お父さん、何回も教えてくれはるんやけど、難しいわ」
まあばあちゃんの手には携帯電話が握られていました。
「母さん、散歩好きやろう? 最近は足を延ばしてるみたいやから、ちょっと心配になってな」
「でも、おばあちゃんには、なかなか難しいわ」
まあばあちゃんは淋しそうに笑いました。
まあおばあちゃんの手の中にある携帯電話は大きな文字でとっても使いやすそうです。お父さんの気遣いが感じられます。
まあばあちゃんは、編み物やお裁縫は得意なのですが、機械の事はとんとダメです。
液晶テレビになった時も、ボタンが多くて四苦八苦していました。なので、データ放送のニュースや天気は今でも自分で見ることは出来ません。チャンネルを変えるのがやっとです。
「おばあちゃん、ちょっと電話かして」
トモちゃんはまあばあちゃんから携帯電話を受け取ると、まあばあちゃんの電話番号を自分の携帯に登録して、まあばあちゃんに返しました。
「おばあちゃん、今から、おばあちゃんの電話を鳴らすよ。」
「まあ! トモちゃんが一番ね。」
暫くすると、まあばあちゃんの携帯電話なり始めました。
「あっ、トモちゃんって書いてあるわ!」
そう言って、まあばあちゃんは嬉しそうに携帯電話を見ています。
トモちゃんはその様子を見て、
「おばあちゃん、このボタン押してみて」
「これね……」
「耳に当ててみて」
とトモちゃん。まあばあちゃんが携帯電話を耳に当てると、
「おばあちゃん、聞こえますか。トモ子よ」
「あら、トモちゃんの声が聞こえるわ」
と嬉しそうに笑いました。


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どうしたの? まあばあちゃん



日曜日の朝、トモちゃんはずいぶんお寝坊をしました。
昨夜、本を読んでいて、夜更かしをしてしまったのです。
ハッと目が覚めると、時計の針は8時を指していました。
(あー。おばあちゃん、もう散歩に行っちゃったな~。起こしてくれればよかったのに~!)
トモちゃんは慌てて起きると、トモちゃんの起きたことに気付いたジロとミミちゃんが飛びついてきました。
「お帰り! おばあちゃんは早起きだから、もう帰って来たんやね。」
ジロとミミちゃんを抱きしめながら言いました。
外からお母さんの鼻歌が聞こえてきます。洗濯物を干してるのかな?
「おばあちゃんはどこかな?」
ジロとミミちゃんに聞くと、ジロはクルッと回ってトモちゃんにおしりを向けて、ゆっくりシッポを振ると、顔だけを振り向いて、こっちこっちと言っているような仕草をします。
ジロについて行くと、縁側にいるお父さんとおばあちゃんを見つけました。
今日は天気が良くて暖かい日差しがガラスから差し込んできて、ほっこり暖かく気持ちがいいです。
でも、座布団に座っているまあばあちゃんの小さな丸い背中は固まったように動きません。とても緊張しているようです
まあばあちゃんの前に座っているお父さんの顔も真剣そのものです。
なんだか声をかけにくい雰囲気ですが、思い切って声をかけてみました。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
こちら側を向いていたお父さんは挨拶を返してくれましたが、おばあちゃんは固まったままです。
いつもみたいに笑ってくれません。
振り返ってくれません。
ピクリとも動きません。
小さな丸い背中を向けて、下を向いたままでした。



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赤いランドセル



あの日テレビで見た赤いランドセルはどうなったでしょう。
積み上げられた瓦礫の中に、鮮やかな赤色のランドセルが映し出されていました。
赤いランドセルの持ち主の行方を思わなかった人は、一人もいなかったのではないでしょうか。

持ち主の女の子は無事なのかしら? 
ケガをしていないかしら? 
寒い思いをしてないかしら?
おなかをすかせてないかしら?
お母さんといるのかしら……
みんなひどく心配したにちがいありません。

―――無事でありますように―――
まあばあちゃんも手を合わせて祈りました。

さっき、“みんなひどく心配した”と書きましたが、違いました。一人だけ平気な人がいました。
当時の首相、菅直人氏です。
大勢の人を連れて、視察と言う名の見物をしていた元首相はあのランドセルを見てヘラヘラ笑いながら、
「あのランドセルは何やら直人が送ったものだろうか」
と言っていました。
ちょうどこの頃、タイガーマスクの伊達直人の名で恵まれない子どもたちのためにランドセルと送っていた人がいました。その人の名前と自分の名前をかけたのですね。
酷い人です。
こんな心無い言葉を口にする人が日本の総理大臣だったなんて、たいへん恥ずかしい事です。

日本国中の人があの赤いランドセルの女の子を心配しているというのに……

まあばあちゃんは今もあの赤いランドセルの女の子が無事なのか心配しています。


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3月11日



今年も3月11日が来ました。
2年前のあの日。
恐ろしい津波が東北地方の美しい町、村、思い出、そして命を飲み込んでしまいました。
こんなことが起こるなんて信じられません。
いったい誰が想像したでしょう。

あの日、まあばあちゃんは、
(あら、揺れてる? 地震)と思ってテレビをつけました。
東北地方で大地震があったとニュースが流れていました。
暫くすると、大津波があれよあれよと、すべてを飲み込んでいきました。
津波の先を横切るように自動車が走っています。
まあばあちゃんは我知らず「逃げて逃げて」と叫んでいました。
そして津波がひいた後は、何にも…なんにも無くなっていました。

まあばあちゃんは、その映像を見た時、大阪大空襲で無残な焼野原になった、あの光景が強烈に蘇ってきました。
遠い昔の事なのに、鮮烈にあの光景が思い出されました。
空を覆い尽くすような飛行機の大群が落とした焼夷弾が、雨あられのように降って来て、そこらじゅうが火の海でした。
運よく入れてもらえた防空壕から出てきたときに最初に見た光景は……

 一面の焼野原 

あるものと言えば、無残に焼けた家と、遺体。
思い出も何もかもが炎に焼き尽くされました―――

復興への道は遠く険しく、長すぎる避難生活のために被災された方々の気力が奪われ憔悴しているように思います。

けれど、諦めたらそこで終わってしまいます。
まあばあちゃんは、どうかくじけないで欲しいと祈りました。


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お豊ちゃんと雛祭り


お春ちゃんがお花見の約束をして帰った後、まあばあちゃんとお豊ちゃんはポツンと二人残されたような気持ちになりました。
「まあちゃん、私ね、まあちゃんと一緒にお雛祭りをしたかったの。」
と寂しそうに笑ってお豊ちゃんは言いました。
「わたしね、小さいころから、お雛祭りってしたことがなくて、ずっと憧れていたの……。お雛様飾って、ぼんぼりに明かりを灯して仲良しの子を呼んで……。ひな寿司やひなあられを食べたり、白酒を頂いたり……。そんなことを死ぬまでに一度でいいからしてみたいなと思って、ここでまあちゃんを待っていたの。」
「お豊ちゃん」
「主人はそういう催しが嫌いで、娘にもしてやれなくて……。でも、“お前の家は嘘つきや”って言われると言えなくて……。あの子にも悪いことしたわ……」
お豊ちゃんは、涙ぐんでいました。
「お豊ちゃん、ごめんなさい」
「どうしたの? まあちゃん」
お豊ちゃんは、まあばあちゃんが急に謝るので、ビックリしていました。涙も引っ込んだみたいです。
「だって、お豊ちゃんのやさしい気持ちにちっとも気づかなくて……」
まあばあちゃんは本当は、悲しい気持ちと言いそうになったのですが、そんな言葉は余計お豊ちゃんを悲しい気持ちにさせると思って、置き換えました。
「ねえ、お豊ちゃん今から、お雛祭りをしましょう、おいしいお寿司を頂いて、白酒のかわりに暖かいお茶をいただきましょう。」
不思議なものです。今からお雛祭りをしよう……そう思っただけで、
コロッと見え方が変わります。
お豊ちゃんの作ってくれた美味しい手まり寿司が、雅な感じに見えてきました。
お茶も風流に感じます。
「♫♪灯りをつけましょ、ぼんぼりに~お花を活けましょ桃の花~♪♬」
とまあばあちゃんは口ずさみました。お豊ちゃんも合わせて一緒に歌い始めました。
ジロはいつものようにまあばあちゃんの足元で丸くなっています。ミミちゃんはシルバーカーで眠っています。
「お豊ちゃん、私なんてね。年頃になるまでお雛祭りがあることも知らなかったわ。貧しくて……。お雛祭りをしたのは、トモちゃんが生まれてからよ。あの子が生まれてから、幸せが来たように思うの。コロコロとよく笑って、家族みんなの心を明るくしてくれたわ。あの子にお雛さまを飾ったからかしら。」
「トモちゃんはいい子だもんね。まあちゃんは幸せものよ。」
お豊ちゃんはしみじみ言いました。
トモちゃんの事を褒めてくれたので、まあばあちゃんは嬉しそうに微笑みました。
「だからね。お雛様に招いてもらうのは、私も生まれて初めてなのよ。だから本当に嬉しいわ。来年もしましょうね。」
まあばあちゃんの言葉を聞いたお豊ちゃんは嬉しそうに笑いました。

まあばあちゃんの時代、お雛祭りをしてもらえた子どもはどれくらいいたのでしょうか?
お豊ちゃんもまあばあちゃんも、厳しい時代を生き抜いてきたのですね。
まあばあちゃんの話を聞いたお豊ちゃんは、まあばあちゃんにも辛い時期があったのだと分かって、とても親しみを感じて、“私も元気を出して頑張らなくちゃ”と思ったのではないでしょうか。

●お豊ちゃんとまあばあちゃんの出会いです。
  お豊さん

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手まり寿司



まあばあちゃんがお豊ちゃんとおいしくお寿司をいただいていると、お春ちゃんが来ました。お春ちゃんの姿を見て、お豊ちゃんの緊張したのが伝わってきます。
「二人でなにしてるの?」
お春ちゃんが尋ねてきました。
「お昼を食べてるのよ」
とまあばあちゃんが返すと、お豊ちゃんが少しかたい笑顔で
「一緒にいかがですか」
とお春ちゃんに手まり寿司を勧めました。
「まあ、おいしそう! キレイね」
お春ちゃんが、目を丸くしました。
「お豊ちゃんが、作ったのよ。おいしいわよ!」
「へぇ~!うまいもんね。……へぇ」
お春ちゃんも感心しています。
「どうぞ!」
お豊ちゃんがもう一度勧めました。
「いいの? じゃあ」
お春ちゃんが嬉しそうに、手まり寿司を一つ手に取りました。上手にラップを巻いてあるので、クルッと上手に必要な分だけラップをめくれます。
「見て見て、通りを歩いてる人たち不思議そうに見てる。この寒いのに年寄り三人何してるんだろうって思ってるんよ。ははは」
お春ちゃんはケタケタ笑いました。
「そ、そうね。今日はあったかいと思ったんだけど、お弁当は早かったかしら……」
お豊ちゃんが心配そうに言いました。
「大丈夫よ! あったかいお茶があるし。お天道様がこんなに元気なんやから。こんなん寒いうちに入らないわよ! それにしても、おいしいわね! このお寿司! あんた上手ね!」
お春ちゃんが、お寿司があんまり美味しいので、ご機嫌です。
「ね! 今度、桜が咲いたら、ここでお花見しよう!」
お春ちゃんが公園にある桜の木を見て言いました。
まあばあちゃんとお豊ちゃんが、桜の見上げると、ふくらんだ蕾は花を咲かせる日を待っていました。もう少しすると薄っすらとピンク色になってきます。そうなると開花は近いですね。

―――まあばあちゃんは邦ちゃんの事をずっと心配していたので、お春ちゃんが明るい様子に少しホッとしました。
(邦ちゃん、少しはいい方向に行ってるのよね? そうよね? お春ちゃん)
まあばあちゃんは心配ばかりしていて、いい案の一つも浮かばない自分に歯がゆく思いながら、お春ちゃんを見つめていました。 ―――

「ここに3人で集まりましょう!」
とお春ちゃんが言うと、
お豊ちゃんとまあばあちゃんはうんうん頷きました。

もう二十日もたてば桜も満開でしょう!




●まあばあちゃんの心配している邦ちゃんの事です。
(邦ちゃんはお春ちゃんの娘さんです。)
  邦ちゃん
●お豊ちゃんがお春ちゃんを苦手に思っているのは……
  お豊さん

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公園にて



まあばあちゃんは今日も、ジロとミミちゃんを連れてお散歩に出かけます。
今日は、ほこほこあったかいです。

(にぎやかなお雛祭りが出来て良かったわぁ)
まあばあちゃんはシルバーカーを押しながらお雛祭りの事を思い出してニコニコしていました。
(日曜日とお雛祭りが重なるなんて、珍しいわね。来年はどうかしら? また重なってほしいわ)
まあばあちゃんが作ったお雛様をトモちゃんに喜んでもらえたし、白酒も美味しくいただいたし……それに、タロちゃんのお母さんに郷里のひし餅を頂いたり!
そんなことを考えながらゆっくりと公園に向かっていました。
「あら!」
お豊ちゃんがこちらに手を振っています。
「まあちゃん、こっちこっち」
お豊ちゃんはお昼前の散歩に合わせてくれたのでしょうか?
「どうしたの? お豊ちゃん」
「ううん。何でもないんだけど、まあちゃんに会いたくなって待ってたの。」
お豊ちゃんは前よりウンと明るくなりました。
「まあちゃん、ここに座って」
お豊ちゃんはそう言って冷たく固いセメントのベンチに二枚の座布団を置いてまあばあちゃんに勧めました。なんだか準備万端です。
「お雛様は過ぎたんやけど……お寿司を作ってきたのよ! 今日は、あったかいし。まあちゃんと一緒に食べたくて!」
「まあ! お豊ちゃん、ありがとう!」
「お茶も用意してきたから。さっ、頂きましょう」
お豊ちゃんは風呂敷をほどいて、お重箱の蓋をあけました。
「まあ! きれいねぇ! これ、お豊ちゃんが作ったの? へぇー、職人さんみたい!」
まあばあちゃんはビックリしました。サケや卵焼きをちりばめて、手毬のように可愛い丸の形にして、それを一つずつ丁寧にラップで巻いて、お重箱の中に整然と並べられていました。
「まあちゃん、褒めすぎよ。早く召し上がれ!」
お豊ちゃんは、照れ笑いしながらポットのお茶をコップに注ぎました。
優しいお豊ちゃんの心が伝わってくるような可愛い手毬寿司でした。
「おいしいわ。すごく上手!」
お豊ちゃんの作ったお寿司はとてもおいしくて、
まあばあちゃんはトモちゃんにも食べてほしくなりました。
(こんなにきれいには作れそうにないけど、味のつけ方を聞いてみようかしら!)
 とまあばあちゃんは思いました。


お豊ちゃんとの出会いです。
お豊ちゃん


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ひし餅



―――ピンポーン―――
まあばちゃんがお掃除している時にインターホンが鳴りました。
「どちらさまですか?」
「この前は有り難うございました。あの、タローの……。先日は有り難うございました。」
「あら!」
あのタローちゃんのお母さんです。まあばあちゃんが慌てて玄関に出ていくと、嬉しそうなタローちゃんとタローちゃんのお母さんが立っていました。
ジロは先に行ってまあばあちゃんを待っていました。
「突然、押しかけて申し訳ありません。」
「いえいえ、どうされたんですか?」
「ちょっと、母が体調を崩したので田舎に帰ったんです。あの、これお土産です。」
「……まあ…、お母様、お体、大丈夫なんですか?」
まあばあちゃんは心配そうに聞きました。
「はい。大したことなくて、私の顔を見たらすぐに元気になりました。」
「良かったわ」
まあばあちゃんも近頃はあちこち弱ってきているので、そういう話を聞くと自分の事のように心配になります。
「私の田舎ではひな祭りが盛んでひし餅をたくさん作るんです。お醤油をつけて食べると、ほんとにおいしいんですよ。ジロちゃんのお母さんにも食べていただきたくて!」
そう言って、タロちゃんのお母さんはずっしりと重たい紙袋を手渡してくださいました。
「まあ! 有り難うございます。」

トモちゃんが学校から帰ってきてお茶の時間になりました。
「今日ね。タロちゃんのお母さんにひし餅頂いたのよ」
「へぇ、この間、一緒に散歩した子ね。おいしそう!」
と言って、さっそくトモちゃんは一口頬張りました。
「不思議な味ね。おばあちゃん。」
「団子粉で作ったひし餅よ。ヨモギの香りして、とってもおいしいわ。」
「うん。なんか懐かしい味がするね」
まだ高校生のトモちゃんが“懐かしい”なんて言うからまあばあちゃんはクスッと笑ってしまいました。
でも、本当にそうです。

タロちゃんのお母さんの故郷の味は、何やら懐かしい古き良き日本の味がしました。



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お雛祭り



まあばちゃんは整理ダンスの上に自分が作ったお雛様を飾りました。
トモちゃんは、喜んでくれるでしょうか?
まあばあちゃんは膝が弱くなってから、お布団から起き上がるのが大変になったので、ベッドで寝ていました。それを見て、お布団は片付けられるけどベッドもいいなあということになって、パパッとみんなベッドにしました。
そのために場所がなくなって、七段のお雛様を飾れなくなってしまいました。
それをまあばあちゃんは寂しく思っていました。

「わぁ! 可愛い!これ、 おばあちゃんが作ったの?」
「あら! おかえりなさい。トモちゃん」
「上手ね。すご~い!」
トモちゃんは整理ダンスの上に飾られたお雛さまを見て、大喜びしています。
「お雛様を飾れなくなったでしょう。だから、あんまり上手に作れなかったけど、飾ってみたの。」
綺麗な和布を幾重にも重ね合わせて作られていました。
「若い頃に残り布で作ったことがあるの。思い出しながら作ってみたのよ。」
トモちゃんが嬉しそうにお姫様を手に取って抱くと、まあばあちゃんは出来栄えを確かめるように撫でました。
「おばあちゃん、ほんとうに上手ね!」
トモちゃんは感心しました。
お姫様の髪飾りと扇子は金色の折り紙で、着物はきれいな桃色を基調にした和布。おびな様は紫の布で作られていました。
きっとまあばあちゃんは何日もかかって作ったのでしょうね。
「おばあちゃん、ありがとう!」
トモちゃんは嬉しくて心から感謝しました。
「さっ、トモちゃん、お雛様のお祝いをしましよう。」
まあばあちゃんは毎年お雛さまを飾っても飾らなくても、お白酒を用意して菱餅を焼いてくれます。
ピンクと白と若草色の三色のひし形のお餅です。
まあばあちゃんとトモちゃんがお餅を食べていると、お母さんが帰ってきました。
「あら、おひなさん! これお母ちゃんが作ったの! へぇ~上手やねぇ!」
とお母さんが驚いています。
「七段飾りのトモちゃんのお雛さま、みんなベッドにかえてから出せなくなったもんね。」
と、お母さん。
「よおし! 来年はベッドをどれか片付けて、七段のお雛さんをお祭りましょう」
「わたし、おばあちゃんのでいいよ。可愛いよ!」
とトモちゃん。
「七段のお雛さんの横にこのお雛さんも置けばいいじゃない。にぎやかでいいと思うよ。」
「じゃあ、私のベッドを片付けようよ。わたしはおばあちゃんと一緒に寝るから大丈夫よ!」
(まあ、なんとにぎやかなこと)
まあばあちゃんはトモちゃんとお母さんのやり取りを小気味よく聞いていました。
来年、飾られるお雛様の事を思い浮かべて微笑みました。


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ジロの友達



まあばあちゃんが知らないワンチャンを連れて散歩していると、離れたところから声がします。前の方から聞こえるようです。
「タロー、タロー」
女の人の心配そうな声が聞こえます。
ジロと嬉しそうに歩いていたワンちゃんがその声に反応しました。
(きっとこの子のお母さんね。このまま行けば、次の十字路で出会うかしら?)
そう思ったまあばあちゃんは、足を速めにしました。
タローを呼ぶ声はどんどん近づいてきます。
「あっ、タロー!」
六〇半ばくらいの奥さんが、小走りにまあばあちゃんの所にやって来ました。ご主人らしい人が自転車で後から追いついてきました。
「タローちゃんおりこうさんですね。」
そう言って、まあばあちゃんは奥さんにリードを差し出しました。
「ありがとうございます。リード、持って来てます。あら! この子、向こうの角のお家の子ですね。」
驚いた様子で言いました。
「はい。そうですよ。どうして分かるんですか?」
まあばあちゃんはジロの事を知っているようなのでビックリしました。
ジロは嬉しそうに、まあばあちゃんと奥さんをかわるがわる見ています。
「ええ、お庭に離してはるでしょ? 散歩のとき柵を挟んで、仲良くしてもらってるのよね」
と奥さんがタローちゃんに言いました。ご主人もうんうんと頷いています。
まあばあちゃんの知らない間に、ジロはお友達が出来ていたんですね。
「いつもガレージで、日向ぼっこしているのよね」
ジロの頭を奥さんが撫でながら言いました。
「お名前なーに?」
「ジロと言います。」
「タロジロで南極探検の子たちみたいですね!」
奥さんはコロコロ笑いました。
「あら、ほんとだわ。」
まあばあちゃんもコロコロ笑いました。
「あら、ちっちゃくて、かわいい子もいるんですね。」
ミミちゃんの事です。タロちゃんのお母さんは初めて見るようです。ミミちゃんも自由にしているのですが、お家の中にいたのかもしれませんね。
ミミちゃんは今日のお散歩ではシルバーカーから出ようとしませんでした。最初は怖がっているのかと思いましたが、どちらかと言うとツンツンしているようです。タロちゃんがシルバーカーをのぞくと逃げるわけでもなくプイッとしていました。困ったものです。
ひとしきり話して、ご夫婦と別れた後、
「タロちゃんは、ジロの事、きっと大好きなのね」
まあばあちゃんはジロにそっと言いました。
ジロは耳を立てて、ゆっくりしっぽを振りました。
まあばあちゃんはその様子に、心がほのぼのするのを感じました。


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どこの子かな?



朝、まあばあちゃんが散歩に行こうとすると、柴犬?のような薄茶色の犬が門扉の外で、お座りしていました。
「あら、どうしたの? どこの子かしら……」
薄茶のワンちゃんはお座りしたまましっぽをパタパタ振っています。
ジロがどうしたの? というようにと鼻をその子にくっつけてクンクンました。
ミミちゃんは自分より大きな見かけない犬に、怖がっています。
ジロにはとっても強気なのに、あの強気なミミちゃんはどこへ行ったのでしょう。
茶色の首輪をしていますが、リードはありません。
(おなかがすいているのかしら……)
そう思ってジャーキーをあげてもあまり欲しくないようです。やせてもいません。むしろふっくらしています。
(家を間違えたのかしら? それなら、歩いているうちにこの子のお家に行きあたるかもしれないわ)
まあばあちゃんはそう思って、とにかく散歩に出ることにしました。
まばあちゃんがシルバーカーをゆっくり押すと、その子も嬉しそうにスキップするみたいにしてついてきます。
怖がる人がいてはいけないので、シルバーカーに入っているリードをその子につけました。
初めて一緒にお散歩するのに、ジロと並んで上手に歩いています。
とっても楽しそうです。
(こんなに、お利口さんな子が迷子になるかしら…?)
不思議に思うまあばあちゃんでした。


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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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