お春ちゃん、しっかりして……



「あの女の人は、昭雄の仕事を手伝っている人なの。」
昭雄さんとは、邦ちゃんのご主人の事です。
「仕事? 去年、定年退職なさったと聞いたけど、何か新しいお仕事を始められたの?」
まあばあちゃんは、ためらいがちに聞きました。
「そうなのよ。コンピューターの仕事をするらしいのよ。」
お春ちゃんは、なんだか誇らしげです。
まあばあちゃんは、お春ちゃんの様子に肩透かしを受けた気持ちになりました。
昭雄さんが邦ちゃんを置いてけぼりにした事を気にしてないようです。
まあばあちゃんは、お春ちゃんの様子にもどかしさを感じました。
「わたしね、お春ちゃん、昭雄さんが女の人を乗せているので、飛び上がるほどビックリしてしまったの。まさか、仕事を手伝っている人だと思わなかったから、……どういうご関係なのかなって……」
まあばあちゃんは、お春ちゃんに少し、いいえ、とても腹が立ってきました。
(邦ちゃんがどんなに悲しい思いをしているか、お春ちゃん少しも気づいてないの?)
「お春ちゃん、昭雄さんのその仕事はいつ頃から?」
「さあ、いつ頃だったかしら。そうねぇ……、定年退職後、すぐだったかしら……」
「そう。」
お春ちゃんのさっきの話し方だと、
置いてけぼりにされたことは分かっているはずなのに、邦ちゃんの悲しい心はまったく伝わっていないようです。
まあばあちゃんは、邦ちゃんの心を思うと、やりきれない気持ちでした。
「成功したら、すごく儲かる仕事らしいのよ。だから、いろいろ大変よ。邦子も。」
自慢の息子が大きな仕事を始めるので、お春ちゃんは張り切っているようです。
まあばあちゃんは、それよりも邦ちゃんの事が気がかりでした。
「昨日、邦ちゃんに声をかけられなくて、ゴメンね。たくさんの荷物で重そうだったのに。
……いつもあの時間にお買い物してるの?」
「いつもあのくらいよ。あれは手伝いに来てる人の夕食の買い物帰りだったの。毎日お土産もいるから大変なのよ。」
「あの薄気味……、女の人の?」
(何ですって! 邦ちゃんはあの薄気味悪い女の人の為に夕食を作っていたの!? 
自分の言ってること分かっているの? お春ちゃん、しっかりして……)
まあばあちゃんは、お春ちゃんとお話しているのが居たたまれなくなってきました。


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あの人は誰


今朝は一段と冷え込みます。
まあばあちゃんの心の中まで凍えそうな冷たい風が吹いてます。
昨夕の邦ちゃんのことで、まあばあちゃんの心はとても重苦しいです。
(今日は、お春ちゃんのお家の前を通りたくない……どうしよう道を変えようかしら……)
昨日の邦ちゃんの姿は気の毒すぎて……、お家の前を通っていて、お春ちゃんか邦ちゃんに出会ったら、いつも通りに振る舞える自信がありませんでした。
(今日はこの角を曲がろう……。ごめんね。お春ちゃん)
「あら!」
まあばあちゃんはビックリしました。
お春ちゃんが、まあばあちゃんに手を振っています。
もう道を変えることは出来ません。

もし、お春ちゃんがあの女の人の話をしなかったら、いつも通りに振る舞おう!
もしも、相談されたら、しっかり受け止めよう!!
まあばあちゃんはそう心に決めました。

邦ちゃんはとっても心の優しい娘さんです。
明るくて、優しくて、シャキシャキよく働く本当にいい娘さんです。
すこし耳が聞こえにくいため、邦ちゃんは他の人より大きな声ではっきり話してくれます。それをまあばあちゃんは、とても有難く思っていました。
体が弱くて入退院を繰り返しているお春ちゃんは、どれだけ邦ちゃんに助けられていることか……それはどれだけ感謝してもしきれないほど有難いものです。
「まあちゃん、待ってたの。ねえ、ちょっといつもの公園に行かない?」
まあばあちゃんは、お春ちゃんに誘われるまま公園に向かいました。ジロとミミちゃんも一緒です。いつもと違うふたりの雰囲気にとても心配そうです。
「まあちゃん、昨日、うちの子に出会ったでしょう。」
(邦ちゃん、知っていたの……)
まあばあちゃんは、あの場に居たことを申し分けなく思いました。
女の人を助手席に座らせたご主人に、自分は置いてけぼりをされるなんて、
そんな場面を見られるなんて、
邦ちゃんはきっと恥ずかしい思いをしたに違いありません。
(ごめんね。邦ちゃん)
まあばあちゃんは涙が滲んできました。
「邦子がね、まあちゃんのこと、嬉しかったって言ってたわ。」
「えっ?」
「まあちゃんが、ずっと邦子の後をゆっくりついて来てくれてたこと嬉しかったって。ほんとに有難う。」
「そんな……」
まあばあちゃんは言いかけて言葉を飲み込みました。

―――そんな筈はない。あんな辛い思いをしているのに。
〝嬉しい″なんて言葉が出るはずがない―――

まあばあちゃんの脳裏に、
クラクションの音。
照らし出された車中の二人。
邦ちゃんを見ながら薄ら笑い浮かべていた、あの薄気味悪い女の人の顔がよみがえってきました。

「お春ちゃん、昨日のあの女の人はいったいどなたなの……」
まあばあちゃんは、思い切って聞くことにしました。


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見てはいけないもの……


まあばあちゃんは、後ろめたい気持ちでいっぱいでした。
邦ちゃんにとって誰にも見られたくない姿のはずです。

力なく肩を落として、まあばあちゃんの少し前を歩いていく邦ちゃん。
泣いているのでしょう……細い肩が小さく震えています。
でも、両手に重い荷物を持っていて、涙を拭くこともできません……
あの助手席に座っていた女の人は、いったい誰なのでしょう。
まあばあちゃんは、嫌な胸騒ぎがして心配でなりませんでした。

沢山の荷物を持ってあげたいと思いましたが、
でも、今声をかけたら、
さっきの様子を見ていたことを邦ちゃんに気付かれてしまうでしょう。
見られていたなんて知ったら、さらに酷く傷ついてしまいます。
邦ちゃんの後をゆっくりと距離を置いて、重い心でシルバーカーを押して歩きます。
よくないことが起こっていなければ良いけれど……

助手席に座って、邦ちゃんを嘲るように笑って見ていたあの薄気味悪い女の人。
それを呆然と見ていた痛々しい邦ちゃんの姿。
まあばあちゃんの脳裏に焼き付いてはなれません。
そして、むごいことに、邦ちゃんは、
ご主人と、あの薄気味悪い女の人が自動車で先に着いている家に、帰って行かねばなりません。
本当に気がかりです。
(邦ちゃん、今どんな気持ちで歩いているの……)
まあばあちゃんは、今すぐにでも抱きしめて慰めてあげたいのに、そうする事さえできない無力な自分を責めました。


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お春ちゃんの娘さん―邦ちゃん


ご近所で、ご不幸が会ったので、まあばあちゃんはジロとミミちゃんに、お留守番を頼んで駅前のスーパーにお香典袋を買いに出掛けました。
まあばあちゃんは絶対にお香典袋を買い置きしません。ご不幸があればその都度、駅前のスーパーにお香典袋を買いに行きます。
もう、夕暮れだというのにシルバーカーを押してまあばあちゃんが歩いています。お祝い袋なら山ほど買って、専用の引き出しに入れてあるのに、本当に大変です。
お香典袋を買って、
トモちゃんのためにおいしいお菓子も買って、
お利口なジロとイタズラっ子のミミちゃんの待ってるお家へと急ぎます。

(あっ! 邦ちゃんだわ)
帰り道、少し先を歩いているお春ちゃんの娘さんの邦ちゃんに気付きました。
邦ちゃんは小さい時の病気が元で少し耳が不自由になり、自転車に乗れません。最近は膝も良くありません。
右手でパンパンになった買い物カートの上にトイレットペーパーを乗せて、
左手には、はち切れそうなくらいに入れたスーパーの大袋を持っています。
まあばあちゃんは、荷物持ちのお手伝いをしようと思いました。まあばあちゃんのシルバーカーに荷物を乗せてあげようと思ったのです。
邦ちゃんを大きな声で呼び止めようと 息を吸い込みました。

“ププ~プ~プウ”

突然、クラクションの音がしました。
まあばあちゃんはビックリして振り返りました。
すると、お店の明かりに車中が映し出されていました。
邦ちゃんのご主人と女の人です。
前髪が長くて目はよく見えませんでしたが、
薄い唇でニヤーッと笑って、沢山の荷物を持って大変そうな邦ちゃんを見ていました。
まあばあちゃんはゾクッとしました。
今までいろんな人を見てきましたが、あんなおぞましい笑い顔は見たことがありませんでした。

ご主人の車は、邦ちゃんを乗せずに走り去って行きました。

まあばあちゃんには、
何故、ご主人は、自分の奥さんである邦ちゃんを車に乗せずに行ってしまったのか、
何故、邦ちゃんのご主人は助手席にあんな薄気味悪い女の人を乗せているのか理解できませんでした。

邦ちゃんは、薄暗がりの中、山ほどの荷物を抱えたまま呆然と立ち尽くしていました。


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年はいっても……


「お豊ちゃん、おみかん食べましょ。」
不思議ですね。
まあばあちゃん、お豊ちゃんの名前を“ちゃん付け”ですらすら言えました。
遠い昔からの友達だったように、
「お豊ちゃんと呼ばれると幼い頃に戻っていったような気がします。」
と、お豊さんも嬉しそうです。
「なんだか、楽しくなって来ますね。“ちゃん”って付けられると若返った気持ちになってきますね。」
「本当ですね。」
まだ友達になったばかりでぎこちない二人ですが、まあばあちゃんの顔もお豊さんの顔もニコニコしてとても幸せそうです。
いくつになっても友達が出来るって良いものですね。
お豊さんもこれからはまあばあちゃんに、いろいろ話を聞いてもらえるでしょう。
そうすれば、心の負担も少なくなって楽しい時間が多くなるでしょう。
「あら、公園の木の芽、少し膨らんできたように思いません?お豊ちゃん。」
「ほんと! これは桜の木ですね。まあちゃん。」
「そうですよ。お豊ちゃん。春になったら、ここで一緒にお花見しましょうね。」
「えぇ、えぇ! まあちゃん。」
お豊さんは、ほんの少し膨らみかけた小さな小さな桜の若芽をじっと見つめていました。お豊さんの目には美しいピンクの花を満開に咲かせた桜の様子が見えているのかも知れません。
「まあちゃん、私、今とても幸せな気持ちです。これからはもっと自信を持って生きて生きたい。そう思います。話を聞いて頂けて心が軽くなりました。こんなに嬉しかったことはありません」
「良かったですね。お豊ちゃん、」
「ほんとに、まあちゃん。有難うございます。」
お豊さんはそう言って、まあばあちゃんに深々と頭を下げました。
少し日が翳って冷たい風が吹いてきました。ミミちゃんがまあばあちゃんの膝にそばえてきました。さっきまで足元で丸くなって、まあばあちゃんの足を温めていてくれたジロも立ち上がってきました。
「はい、はい、分かりましたよ。」
ジロとミミちゃんは、まあばあちゃんにお家に帰ろうと言っているんです。
「お豊ちゃん。今日は有難うございました。また、お会いしましょうね。」
まあばあちゃんは、ジロとミミちゃんの頭を撫ぜながら、ゆっくりと立ち上がって、お豊さんに、丁寧に」頭を下げました。
「はい、私こそ、有難うございました。」
お豊さんも立って、名残惜しそうに、まあばあちゃんに頭を下げました。
お豊さんに別れを告げて、まあばあちゃんはシルバーカーにミミちゃんを乗せてゆっくり、歩きます。ジロはパタパタと嬉しそうに跳ねながら歩き出します。まあばあちゃんは、振り返って、お豊さんに手を振ります。嬉しそうなお豊さん。
今日も良い日でよかったね。まあばあちゃん。

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悲しい心に、優しい風が……


「ね、お豊さん。私たちの人生もあと少しです。もう、今日を限りでそのことは忘れましょう……。ほら、楽しい事を考えるのですよ。」
そう言って、まあばあちゃんは、シルバーカーからミカンを二つ出して、お豊さんに1つ渡しました。
「まあ、おいしそうなみかん。」
お豊さんは本当に嬉しそうにニッコリ笑いました。
まあばあちゃんもお豊さんに、つられてニッコリしました。
お豊さんは照れ臭そうに、
「私も、杉野さんのようにまあちゃんとお呼びしてもいいですか。」
「えぇ、えぇ。そのように呼ばれると、私も嬉しいです。何だか若返ったみたいで……。少し恥ずかしい気もしますが。」
まあばあちゃんは、そう言うと、頬を染めて小さく笑いました。
「じゃあ、私もお豊ちゃんとお呼びしてもいいですか。」
いくつになってもお友達が出来るというのは楽しいことです。
「本当ですか。私、今までそういう風に呼ばれたことがないんです。とっても幸せな気持ちです。」
お豊さんの心の中で、(お豊ちゃん、お豊ちゃん)まあばあちゃんに呼ばれる声が響きます。嬉しさで胸の奥がジーンとしてきます。
(友達って、いいな。)
そんな感じです。お豊さんの顔が明るくなってきました。さっきまでとは違って生き生きした感じに見えます。

小春日和の日差しに、爽やかな風がサーッと吹きました。
「いい風ですね。」
お豊さんが、スッキリした顔で言いました。
お豊さんの悲しみは深いけれど、心の持ち方でずいぶんと変わるものです。

(お豊ちゃんの悲しみを、この優しい風がみんな運んでくれますように……。)
まあばあちゃんは祈りました。

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悲しくても…つらくても…


まあばあちゃんは、お豊さんの目をしっかり見つめて、こう言いました。
「でもね、お豊さん。もうそろそろ、その殻を破って、悲しみやつらさと戦わなければなりませんよ。自分の心からは逃げられませんから。それが難しいなら、……今まで言われてきたその言葉を、お豊さんの心の壷に閉じ込めて蓋をしてしまうのはどうですか?」
まあばあちゃんは、お豊さんに『嘘つき』という言葉を使いませんでした。
お豊さんの心にまた傷つけると思ったからです。
人の悲しみやつらさというものは幾通りもあります。お豊さんが『嘘つき』といわれた経緯は分かりませんが、よほどの事だったのでしょう。
四十年もの間苦しんで来たんですものね。
まあばあちゃんの言葉を真摯な面持ちで聞いていたお豊さんは、
「……主人も苦しんでいると思います。事の始まりは私の実家のお金の事でした。お金も無いのに、父が自分の家には貯金が沢山あると言って主人に自慢したらしいのです。私たちはお見合いでしたので、仲人さんのお薦めもあって結婚したのですが、後々、実家にお金が無いことが主人に分かって……。その頃から、毎日のように『騙された、騙された』と、言われるように……」
お豊さんは話すのが苦しそうでした。
今までの苦しかったことをまあばあちゃんにみんな聞いてもらいたい、そんな感じでした。
「それは、苦しかったでしょうね。私たちの時代の人間は、我慢我慢でしたもんね。親や主人の言いなりで、自分の思いなんてありませんでしたから。」
まあばあちゃんには、お豊さんの苦しみが手に取るように分かりました。

まあばあちゃん達の若い頃は、親の言いなり、ご主人の言いなり……自分の気持ちや考えが通ることなどありません。
お豊さんのように実家の負い目で苦しんでいる人は少なくないでしょうね……


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嘘つきと呼ばれて……


「お豊さん、ひとりで苦しんで来られたんですね。」
まあばあちゃんの言葉に、お豊さんの返事はありませんでした。
ただ低い嗚咽だけが……。
「お豊さん、うんと泣きなさい。今まで抱えてきた辛い思いを全部、泣いて涙で流してしまうのですよ。そうすれば、心が楽になってきますよ。」
まあばあちゃんは、お豊さんの肩に優しく手を置いていいました。お豊さんはコクンコクンと、流れる涙を拭きもせず頷きました。
まあばあちゃんだって、ウソをついたことがあります。
一度や二度ではありません。ついたウソもいろいろです。

物知りのフリをしたり、
夕飯のおかずをちょっと大げさに言ったり、
すごく貧しいのに、馬鹿にされまいと見栄をはってついたウソ。

お豊さんはどんなウソを言ってこんなに苦しんでいるのか分かりませんが、人間同士、一つの歯車の噛み違いが、どんどんずれて、最後には元に戻らなくなってしまうことがあります。
お豊さんは、その歯車の犠牲者かも知れません。
こうして話していると、
いつもお春ちゃんに聞いているお豊さんとは大分違う人のようです。
影でまあばあちゃんの悪口を言っている人のようにはとても思えません。
それどころか、お豊さんの話し方や雰囲気は、穏やかでお話していると暖かな気持ちになります。
まあばあちゃんは、今まで自分勝手にお豊さんのことを誤解していた自分を恥ずかしく思いました。
「私だってこの年まで長々と生きているんです。大きな嘘も小さな嘘も沢山ついてきたと思います。〝嘘も方便″とも言います。嘘にもいろいろあると思うんです。大切な人を守るための嘘もありますし……
もう、心に区切りを付けて、そのことで悩むのはやめにしましょう。」
まあばあちゃんは、お豊さんを励まそうと力強く言いました。
「でも、嘘つきと言われて送る人生は、とても辛いですよ、恥ずかしいことですよ。」
お豊さんは涙をいっぱいためた目で、まあばあちゃんを見つめて、淋しく笑いながら言いました。

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まあばあちゃんとお豊さん


寒い日が続きますが、
お昼ご飯を食べた後のお散歩は、ほっこり暖かい太陽の光が差してきて、日向ぼっこが出来るような日もあります。
今日はそんな感じの良い日です。
まあばあちゃんは、ジロとミミちゃんを公園に連れてきて、足元で遊ばせています。
小春日和というのでしょうか。のどかでベンチに座っていると、うつらうつらしてくるような穏やかな日です。
「気持ちの良い日ですね。ここ、座らせて頂いてもよろしいですか。」
声をかけてきたのはお豊さんでした。
あまり親しくない人でしたが、お散歩友達のお春ちゃんに、お豊さんのことを聞いてよく知っていました。
あまり良い噂の聞かない人でした。
まあばあちゃんは、
「どうぞ。」
と、言いながら緊張している自分を感じました。
(まあちゃん、あんたの悪口も結構、言われてるから。気ぃ付けや。)
お春ちゃんは、こうも言っていました。
(お豊さんは、嘘つきらしいよ。お豊さんの旦那が言うてるんやから、間違いないよ。)
まあばあちゃんは、お春ちゃんにそう聞かされていました。
お豊さんとこのようにお話をするのは初めてのことです。
少し体を硬くしているまあばあちゃんに、お豊さんは、
「私のこと、杉野さんから、お聞きになっておられるでしょうけど……」
杉野さんというのはお春ちゃんのことです。
「もう四十年ほど前になるでしょうか……。
この町に越してきた頃は、住みよかったです。良い人ばかりでした。
でも私が悪かったのでしょうね。
情けないことに何が原因なのか分からないのですが、いつの頃から嘘つきって、言われるようになってしまって……」
お豊さんの話は続きます。
「主人が杉野さんに、私のことを嘘つきって言っているのを耳にしたこともありました。だから、誰にも信じてもらえず、主人といても心はいつも一人ぼっちだったように思います。……ただ娘と母だけは、いつも私のことを信じてくれました。それだけが救いの人生でした。」
お豊さんの話に、頷くことも出来ずただ黙って聞いていました。
時間が重く流れていきます。

日差しは暖かいのに、
小鳥は楽しそうに、さえずっているのに、
まあばあちゃんには、遠い景色のように見えました。
まるで、時が止まったような錯覚に陥ります。

お豊さんの苦しんでいる心が、
まあばあちゃんに、ひしひしと伝わってきました。

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松の内の魔法


松の内が明けて、お正月気分も終わりです。お正月は三ヶ日と言いますが、松の内の間は、どうも落ち着かないものです。
まあばあちゃんもそうです。
元旦のお雑煮から始まって、2日の福起こしでおぜんざいを作って、次は7日の七草粥、そして11日のお鏡開き……。
どれもまあばあちゃんにとって、大切な行事ばかりです。
風邪でもひいて、一つでも行事が出来なかったら、この1年間ずっと落ち着きません。
「一年の計は元旦にあり」といいますが、まあばあちゃんの一年の計は、この松の内にあるように思います。
松の内と言われる一月十五日までの行事をきっちりと行うことで、この1年間、福の神様に健康と幸せを守っていただけると信じているのです。
今年も、風邪もひかず、一月十五日までを無事過ごせたので
(この1年間は、きっと幸せ)
そう思うと、まあばあちゃんの心はひとりでに弾んできます。
よかったね。まあばあちゃん。
今年もきっと良い年になると思いますよ。

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どちらが偉いの?



お昼の時間は、洗濯やら掃除やらで滅多にテレビを見ることのないまあばあちゃんでしたが、残念なことに外は強い雨が降っています。
部屋の中はぼんやりしてうす暗がりです。
心までジメジメしてくるような感じです。
まあばあちゃんは、久しぶりにテレビをつけることにました。
各党の政治家の人たちが出演していて、アナウンサーの人が政治家の人たちにいろいろ尋ねる番組でした。
まあばあちゃんはあまり政治に詳しくありません。
だけど、まあばあちゃんの生まれた時からのことを考えると、世の中は便利になり、みんなお金持ちになりました。
だって、昔のようにお醤油が無いからといって、お隣に借りにいくこともありません。
お洒落なシステムキッチンの下には、お醤油のストックが一杯あるからです。
どこのおうちにもテレビや冷蔵庫やクーラーがあります。
まあばあちゃんの若いころには、どれも無いものばかりです。
だから、まあばあちゃんは、いつも感謝しながら暮らしています。
まあばあちゃんに政治のことはあまり分かりませんが、この世の中の便利になったのは、日本の政治のおかげだと思っているのです。
お昼の番組でテレビのアナウンサーが、いろいろな話をする中で、日本の総理大臣のことを『阿部さん、阿部さん。』と、呼んでいるのが気になりました。
まるで、お友達感覚です。

仮にも一国の総理大臣に対してですよ!

他にもありました。
番組に出演している大臣の人に、『茂木さん』と声をかけていました。
『茂木大臣』と、言わなくて良いのかしら……?
まあばあちゃんは、やきもきしてテレビを見ていました。
アナウンサーの人が政治家の人たちに、威圧的で本当にエラそうな言い方で話している様子がとても気になりました。

いろいろな質問をすることは、とても大切ですが、
もう少し敬意を払って欲しいと、強く思いました。

時代の流れなのでしょうか? 
テレビを見ていると、アナウンサーの方が偉い人のような……
そんな風にまあばあちゃんには見えました。
  
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成人式の日のまあばあちゃん


今日は成人式です。
テレビ画面に、美しい娘さんたちの姿が映っています。
今年は、赤やピンクや白など、色とりどりの大きな花で髪を飾っている振袖姿の娘さんの姿が目立ちます。
まあばあちゃんは、その美しい娘さんたちの姿に目を細めて見つめていました。
この日、折悪しく、関東から以北は爆弾低気圧の影響で大雪になってしまいました。
人生の大切な日にとんでもないことになってしまいました。
豪華な振袖は雪で濡れるわ、足元も、ビショビショです。白い足袋は汚れて、もう散々です。
まあばあちゃんの住んでいる堺の町も今日は雨でした。だから、大好きな散歩に行くことが出来ませんでした。
毎年、お散歩中に成人式に向かう美しい振袖姿の娘さんの姿を見るのが楽しみにしているのですが、今年は、残念ながらまあばあちゃんの楽しみは無くなってしまいました。
そのため、テレビの中の美しい娘さんの姿を見て楽しんでいます。
どの娘さんも今日のお天気なんかなんのその、気にしている様子もありません。明るく爽やかで、向けられたマイクに向かって、これからの人生の抱負を語っていました。東北の復興のこと、選挙権のこと、これからお酒が飲めると笑っている人や夢や希望を語っている娘さんもいました。
これからの日本を背負っていく人たちです。まあばあちゃんは、テレビを見ながらその一言一言に頷いていました。もう何年かするとトモちゃんも成人するでしょう。
美しい振袖姿のトモちゃんを見るのが、まあばあちゃんの夢です。

―――どうか、それまで長生きさせてください―――
まあばあちゃんは、そっと手を合わせて神様に祈っていました。

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みかんのおすそわけ


家族の分をお盆に取ってもまだまだみかんはたくさんあります。
まあばあちゃんは何かいいことを思いついたらしく、ニコッと笑うとヨッコイショとゆっくり立ち上がり、 スーパーの袋にミカンを詰め始めました。
男の人の1人暮らしのところに小さな犬が来て、お世話が大変だろうと、まあばあちゃんは、あれからおせち料理に、ぜんざい、肉じゃがと、その時々に作ったお料理を届けています。
まあばあちゃんは、小犬のチビちゃんとオッチャンの喜ぶ姿が嬉しくて、ついついお伺いするのかも知れません。
今日も早速インターホンを押すと、返事の変わりに、家の中からバタバタという音がして小犬のチビちゃんが飛び出てきました。
「あっ、ばあちゃん。」
と、チビちゃんの後ろから嬉しそうなオッチャンの声。
小犬のチビちゃんは、まあばあちゃんと一緒に来たジロとミミちゃんに、まとわりついて遊んでいます。出てきたオッチャンにみかんを渡して、次に、こいもと鳥肉に人参の赤みを添えた煮っ転がしを渡しました。
「いっつも、悪いなあ。」
オッチャンは、やっぱり嬉しそうです。
まあばあちゃんも嬉しいです。自分の作った料理をこんなに喜んでもらえて……。
挨拶を終えて帰るとき、必ずチ~ンというお鈴の音が聞えてきます。
(奥さんにお供えして下さってるんだ。)
嬉しくて、まあばあちゃんの心もジ~ンとあつくなってきます。次に向かったのは、柿ノ木のあるお家です。去年もおいしい柿を頂きました。
「まあ、おいしそうなみかん。」
出てきた奥さんが、まあばあちゃんのお渡ししたみかんを袋の隙間から覗き込んで嬉しそうに言いました。
まあばあちゃんもニコニコ顔で笑い返します。
「去年は、お世話になりました。今年もよろしく御願いいたします。」
まあばあちゃんと奥さんの二人は、ちょっと遅いお正月の挨拶を交わして、お互いに笑い会ってしまいました。挨拶を終えて帰ろうとするまあばあちゃんに奥さんが声をかけてきました。
「あの~、これをトモちゃんに……」
そう言って、奥さんは、お饅頭やカステラが入った箱をまあばあちゃんのシルバーカーの中に入れて下さいました。
「主人と二人なので、頂き物がたまってしまって。」
「有難うございます。」
まあばあちゃんは、たくさんお菓子を頂いて、嬉しいけれど困ってしまいました。
(みかんをお届けして、こんなに高価なお菓子を頂くなんて……)
まあばあちゃんは、申し訳なく思ってしまいました。
奥さんはとても嬉しそうです。
まあばあちゃんは、何度もお礼を言って帰ります。
ジロとミミちゃんが、まあばあちゃんの周りをピョンピョンします。
奥さんはその様子をニコニコしながら見ていました。

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みかんが送られてきたよ




この頃、冷たい朝が続きます。
でも、お昼頃になれば少し暖かな日差しが現れてほっとした気持ちになります。
洗濯物もよく乾きますし、まあばあちゃんの心も軽やかです。
今日のお昼ご飯は、お粥さんにお餅を入れて、食べることにしました。
まあばあちゃんは、お餅が大好きです。お昼は一人でもジロとミミちゃんがいるのでちっとも寂しくありません。
お湯を沸かして、その中にご飯を入れてお粥さんを作ります。その間にオーブンでお餅を焼きます。まあばあちゃんは少しこんがり焼くのが好きです、焼いたお餅にちょっとだけお醤油を落として、その上にお粥さんをかけていただきます。
まあばあちゃんは、今日もそうして、ジロとミミちゃんと一緒にお昼ご飯を頂いています。
―――ピ~ンポ~ン―――
インターホンが勢いよくなりました。
「あら、どなたかしら。」
まあばあちゃんが、ゆっくり立ち上がって、玄関の方に向かいます。
「お届けもので~す。」
元気の良い、配達の人がもう1度インターホンを押して、大きな声を出して呼んでいます。
お届け物は艶やかな橙色のミカンでした。
差出人はトモちゃんのお父さんで、受取人はまあばあちゃんになっていました。
(きっと、この前、和歌山にお仕事に行った時のものだわ。)
早速、電話でおミカンが届いたことをお父さんに知らせました。
「母さん、ミカンが好きだからと思って……」
お父さんはあまりミカンが好きではありません。1箱の内の1個食べるのがやっとです。でも、ひとりで留守番をしているまあばあちゃんの為によく出先から、好物を見つけては家に送ってくれます。
お父さんの優しい心が嬉しくてウキウキしてきます。
まあばあちゃんは、箱を開けるとおいしそうなミカンを取り出してお仏壇にお供えします。
トモちゃんのお父さんは、お仕事で遠くへ行ったときは必ずその土地の名産品をお土産に買ってきてくれます。
京都のときはお漬物や生八橋だったり、奈良だったら近鉄奈良駅前の大きな大きな三笠饅頭だったりします。
今回の和歌山のお仕事の場合のように土地の人に送って貰うときもあります。
さすが、ミカンの名産地、有田ミカンは最高においしいでしょう。
トモちゃんが学校から帰ってきたら、一緒にミカンを食べようとおもいました。まあばあちゃんは、果物の中でおミカンが一番好きです。
十日の日に御参りしたえべっさんの福が回ってきたのかもしれませんね。橙色の艶やかなミカンが、コタツの上で、お盆に載せられて、まあばあちゃんとトモちゃんを待っています。

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鏡開きの朝


まあばあちゃんは、お散歩から帰って来るとすぐに昨日作っておいた、ぜんざいを温めています。
「あら、おばあちゃん。今日はパンを焼かなくていいの?」
と、学校へ行く支度の終わったトモちゃんが声をかけてきました。
「あら、トモちゃん。学校の用意は終わったの。」
「はい。朝ごはんのお手伝いをしようと思って・・・。」
「今日はね、鏡開きだから、朝はおぜんざいを頂こうと思って・・・・。」
「わ~い、嬉しいな。」
トモちゃんは、ぜんざいが大好きです。
「だから、トモちゃんはお鏡を全部集めて来てくれる。」
まあばあちゃんに言われて、トモちゃんは家中の鏡餅を集めて来ました。
神様のお鏡、床の間のお鏡、お父さんの机の上のお鏡、そしてトモちゃんの勉強机のお鏡、
全部集めて来ました。
以前の鏡餅は、お家の庭に石臼を出してきて、家族みんなで大騒ぎしながら、お餅をついていました。前の日にもち米を洗った後、そのまま水につけて置きます。
そして、あんこを作ります。それは、みんなまあばあちゃんの仕事です。
朝早く起きて、昨日つけておいたもち米を、大きなざるに上げて水を切ってから、せいろに入れて煮えたぎったお湯の上に乗せて蒸します。おいしく蒸せた頃を見計らって、石臼の中に入れます。
そして、杵を持って気合満々のお父さんがお餅をつき始めます。
その頃のまあばあちゃんは今と違ってシャキシャキ動けます。お父さんの振り下ろす杵にリズムを取って、手際よく手水を取っていきます。
「はい。いいわよ。」
まあばあちゃんの掛け声に、お父さんはついたお餅を餅とり粉をたっぷり振るった大きな桶に移します。すると、まあばあちゃんは、手早くお餅を小口に千切っていきます。それを丸めるのはお母さんの役目です。
丸めたお餅を、「こうじゅうたん」という木の箱にならべていくのはトモちゃんです。
小さなトモちゃんは、餅とり粉で体中真っ白になってお餅を並べていました。
「まるでトモちゃんがお餅みたいね。」
まあばあちゃんがクスクス笑っていました。

懐かしい思い出です。今は、鏡餅の中に真空パックされた丸いお餅が入っていてとても便利になりました。でもまあばあちゃんはお餅をついていた頃を思い出して今でもよく懐かしんでいます。
「トモちゃん、おぜんざいが出来ましたよ。お父さんたちを呼んできてくれる。」
おいしいおぜんざいを、朝から頂いて、みんなお腹いっぱいになりました。
お父さんなんか、2杯もお変わりしていました。嬉しそうなまあばあちゃんの顔。
今日も爽やかな朝を迎えることが出来ました。よかったね、まあばあちゃん。

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えべっさん


えべっさんは、商売繁盛の神様です。
トモちゃんの学校も始まって、また、まあばあちゃんはジロとミミちゃんを連れて歩いています。
トモちゃんのいないお散歩は、なんとも淋しいものです。
いつも通っている道なのに、こうも違うものでしょうか……
ジロとミミちゃんも何だか元気がありません。

でも、今日から、えべっさんが始まります。

まあばあちゃんは、一生懸命働いているトモちゃんのお父さんとお母さんのために、えべっさんに御参りに行こうと思いました。
宵恵比寿、本恵比寿、残り恵比寿、この3ヶ日の何時に御参りしようかしら?
まあばあちゃんは迷いました。
宵恵比寿に行くと、一番福がもらえるかな? それとも本恵比寿のほうが……、いやいや残り恵比寿のほうが大きな福がもらえるかしら……。
まあばあちゃんは欲張りなことを考えている自分に気づいて、ひとりで笑ってしまいました。
十日の本恵比寿の日、去年の笹をシルバーカーに乗せて、ジロとミミちゃんと一緒に歩いているまあばあちゃんの姿がありました。まあばあちゃんの町の神社は氏神様も、えべっさんもなのです。神社に着くと去年の笹をお返しします。大きな回収箱の中に、去年の笹を入れなければなりません。御参りに来た人はその大きな回収箱の中にドンドン去年の笹を投げ入れていきます。背が低くて小さなまあばあちゃんは、うまく投げ入れることが出来ません。まあばあちゃんは、どうしたらいいのか困っていました。……。ジロとミミちゃんを連れてマゴマゴしていました。あきらめて笹を持って帰ろうとした時、親切な女の人が、
「笹を、入れましょうか。」
といって、投げ入れて下さいました。
「有難うございます。」
まあばあちゃんは、何度も頭を下げてお礼を言いました。この年になると本当に人様の親切が身に沁みるものです。
それから、新しい笹に、蓑やら小判の形をしたお飾りを付けてもらって帰るのです。
あっ、そうそう、
町会から頂いた抽選券も引かなければなりません。
「おばあちゃん、1等を当ててね。」
って、今朝、トモちゃんが嬉しそうに言ってたことを思い出して、クスッと笑ってしまいましたが、引くからにはイイものが当たってほしいものです。
まあばあちゃんは気合いを入れて引きました!
さて、まあばあちゃんが、引いたくじは~!

……たわしでした。

「ジロちゃん、ミミちゃんご苦労様でしたね。それでは帰りましょうね。」
まあばあちゃんは、ミミちゃんをシルバーカーに乗せて、ジロと一緒に帰ります。
笹の間から顔を出してミミちゃんは、キョロキョロ周りを見ています。
そうするうちに疲れたのかシルバーカーの中で眠ってしまいました。
まあばあちゃんとジロは、商売繁盛の福笹を持って幸せそうな顔をしてゆっくりと帰っていきました。
「商売繁盛、笹、持って来い』と、楽しそうに歌いながら・・・・

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まあばあちゃんの七草粥


「♪♬ナズナ七草唐土の鳥が、日本の土地に渡らぬさきに……♫」
今日は、七草粥の日です。まあばあちゃんは、朝から七草粥の歌を口ずさみながら菜っ葉を切っています。
「ねえ、おばあちゃん、唐土の鳥ってどういうこと。」
「さあ、おばあちゃんも、よく知らないんだけど……。おばあちゃんのお母さんもこの歌、歌って七草粥を作っていたものだから、いつの間にかマネをして歌ってたのね。」
小さい頃から、トモちゃんは、まあばあちゃんの歌う七草粥の歌を不思議な気持ちで聴いていました。ナズナ七草と唐土の鳥が、どうも関係あるように思えません。日本の土地に渡らぬさきにトントントントン、なんて一体どういう意味なんでしょうか。不思議です。
とにかく、まあばあちゃんの歌う七草粥の歌を一緒に歌っている間に、おいしいお粥が出来てしまいました。不思議なリズムに、不思議な歌詞、どこか懐かしいような・・・、
「昔の人の言い伝えかしら、ほら、ナズナ七草というのは、病気をしないようにと食べるものでしょう。唐土の鳥というのは、中国の鳥ということでしょう。唐土の鳥が悪い病気を持って来るまでに七草粥を食べて病気を退治しましょう。という意味かしらと、おばあちゃんは思ってたの。」
「そんなことを言ったら、唐土の鳥が怒っちゃいそうね。昔の人はひどいこと言うね。」
まあばあちゃんとトモちゃんは、ふたりで大笑いしてしまいました。
まっ、それはともかく、七草粥はとてもおいしいく出来ました。今年もきっと健康で楽しく暮らすことが出来るでしょう。そう思うまあばあちゃんとトモちゃんでした。


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まあばあちゃんの初詣


まあばあちゃんとトモちゃんは、ほっこり暖かな元旦の午後、忘れられたような小さなお宮さんの鳥居の前にいました。
「おばあちゃん、ここ誰もいないね。私らだけやね。」
トモちゃんが、不安そうに言いました。
「朝来れば、だいぶ違ってたかも。ごめんねトモちゃん。」
反対側の町に行けば、少し大きな神社があるのですが、その神社はきっと、人が多くてジロとミミちゃんが可哀想と思ってまあばあちゃんとトモちゃんのふたりは、この小さな神社に御参りに来たのでした。
「まあ、可愛いわんちゃんですねえ。」
そう声掛けられて振り向くと、そこに綺麗な着物をきた五十歳くらいの上品で美しい女の人が立っていました。
「お参りですか。」
その人は、まあばあちゃんとトモちゃんに声をかけてきました。
「はい。初めてお参りさせて頂くのですが、静かなお宮さんですね。」
と、まあばあちゃんが答えました。
「ええ、毎年、元旦はここにお参りさせてもらうのですが、静かで身が清められるような気持ちになります。」
その綺麗な人は、着物姿でかがみながらジロとミミちゃんを撫ぜて言いました。
「いい子たちですね、ふたりとも。お名前はなんと言うのですか。」
そう言ってその綺麗な人は、まあばあちゃんたちに優しく笑いかけました。
「大きい子がジロ、白い子がミミと言います。良かったねぇ。ふたりとも可愛がってもらって。」
まあばあちゃんも嬉しそうに、笑い返します。
「御一緒に御参りしませんか。」
綺麗な人に言われて、まあばあちゃんはゆっくりと、シルバーカーを押します。地面の音がシャリシャリと聞えて、何やら改まった気持ちになります。綺麗な人が、お賽銭を入れた後、まあばあちゃんとトモちゃんも、お賽銭を入れました。そして、両手を打ち合わせてお祈りしました。
(今年も、いい年でありますように。)と、
そして、どちらともなくお礼を言って、別れました。
「また、お会いできると嬉しいですね。」
綺麗な人は最後に、そう言ってくださいました。
綺麗な人の姿が、お宮さんから消えると、トモちゃんがぽつんと言いました。
「おばあちゃん。綺麗やったね、今の人。私、神様かと思ったわ。」
「ほんとね。あんまり綺麗なので、おばあちゃん、見とれてしまったわ。」
「わたしも。」
まあばあちゃんとトモちゃんのふたりは、あの綺麗な人に出会ったことが、夢なのか現実なのか……分からないといった様子でした。
「ねっ、おばあちゃん。来年の元旦も、ここに来よう!」
とトモちゃんが言うと、まあばあちゃんも嬉しそうに頷きました。
「昔はね、さっきの人みたいに、みんな晴れ着を着てお正月は神社に御参りしていたものよ。いつの間にか、普段着で御参りするようになってしまって、おばあちゃん、神様に申し訳ないことをしてしまったわ。」
まあばあちゃんは、そう言って、小さな神様に、また手を合わせていました。
トモちゃんは、晴れ着を持っていません。来年は、可愛いトモちゃんに晴れ着を着せてこの小さな神社に御参りしたいと思いました。
「おばあちゃん、私たちはこれで十分、それより元旦だけじゃなく、ここに御参りに来ようね。」
まあばあちゃんは、明るいトモちゃんの声に(うん、うん)と嬉しそうに頷きました。
「あれ、見て、おばあちゃん。八坂神社って石に彫ってる。あの京都の八坂神社と同じ字よ。」
「八坂神社は、すさのおうの尊をおまつりしているのよ。お国を守るとても強い神様なのよ。本当に良い神社に御参りできたわね。トモちゃん。」
まあばあちゃんは、晴れ晴れとした顔で、嬉しそうに言いました。
お正月、ほんとに良いこと続きです。良かったね、まあばあちゃん。

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まあばあちゃんのおせち料理


まあばあちゃんとトモちゃんがお家に帰ってくると、お父さんとお母さんが、コタツのテーブルの上に綺麗におせち料理を並べて、お祝いの支度をしていました。
「まあ、おいしそう、」
まあばあちゃんが嬉しそうに目を細めて言いました。
「さあ、お雑煮も出来ましたよ。」
と、おかあさん。
「なんだか、身が引き締まるね。」
と、トモちゃん。
「さっ、みんなで新年の挨拶をしよう。今年も健康で幸せに暮らせますように。」
お父さんの呼びかけで、まあばあちゃんはじめ、家族のみんなで晴れ晴れと新年の挨拶をしました。
ジロとミミちゃんもいつもと違う家族の雰囲気に、緊張して座っています。それを見てトモちゃんが、
「見て見て! ジロとミミちゃんもかしこまってる。かわいい。」
「あら、本当ね!」
と、まあばあちゃん。
「さっ、ご馳走を頂きましょう。」
と、お母さん。
「ねっ、おばあちゃん。黒豆はまめまめしく働けるようにって食べるのね。」
トモちゃんが黒豆を取り分けながら言いました。
「そうよ。くわいは芽が出るように、れんこんは向こうが見えるようにってね。」
と、まあばあちゃん。年末の慌ただしい中、2日間かけて一生懸命おせち料理を作っていたまあばあちゃん。
「おかあちゃん、牛蒡と昆布巻きを食べると長生きするのよ。しっかり食べて長生きしてね、頼りにしてるんだから。」
まあばあちゃんは、おかあさんにハッパを掛けられています。
まあばあちゃんの作る牛蒡や昆布巻きは柔らかくて、とってもおいしんです。
「ねえ、おばあちゃん。今頃、オッチャンとチビちゃんもおばあちゃんのおせち料理食べてるかな。」
トモちゃんが、ジロとミミちゃんに出し巻き卵をあげながら言いました。

大晦日におせち料理を届けたときのオッチャンの嬉しそうな顔と言ったらありませんでした。顔をくしゃくしゃにして喜んでくれました。
「これは、オッチャンの分で。こっちはチビちゃんの分よ。オッチャンの分は、チビちゃんに上げたら駄目よ。チビちゃんの分は、オッチャンが食べてもいいけど。」
と、トモちゃんが言ったら、
「おお! チビちゃんの分も作ってくれたんや! ありがとうな!」
と言って、満面の笑顔でした。

今年も良いことがいっぱいありそうな……。そんな予感のするお正月の朝でした。


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まあばあちゃんのお正月


去年、いろいろありましたが心の晴れ晴れとしたお正月を迎えることができました。
ジロもミミちゃんも、この寒いのにとっても、嬉しそう。
「さあ、お散歩に行こう!」
トモちゃんが声をかけると、ピョンピョンしています。

ぐ~んと冷えて凍えるような寒さです。
あれ、まばあちゃんのいつものお散歩コースになぜかたくさんの人が集まっています。
「どうしたんでしょうねぇ。トモちゃん。」
今朝のまあばあちゃんは、車椅子で散歩です。
ミミちゃんはまあばあちゃんの膝の上で、膝掛けに包まってぬくぬくおねんねです。ジロはまあばあちゃんの車椅子を一生懸命引っ張ってトモちゃんのお手伝いです。
「おばあちゃ~ん、トモちゃ~ん。こっちへいらっしゃいよ~。」
いつものお散歩で親しくなった人たちが集まっていました。
「日の出、日の出、初日の出よ。」
トモちゃんが、みんなに誘われて、小走りで駆け寄ると、
「ほら、今年はあそこにあった、大きな建物が無くなって、此処が、ご来光を見る特等席やよ。絶景でしょう。」
と、優しそうなおばさんが、教えてくれました。
「わ~。ほんと。おばあちゃん、見てみて。」
トモちゃんは、感動してまあばあちゃんに大きな声で言いました。
「ほんとに、有難いわね。」
今年、初めての太陽は、金剛葛城連峰を黄金色に染めて今まさに、その姿を現そうとしていました。
「ご来光や、今年のご来光は最高やな~。」
誰ともなく、パンパンと両手を叩いて、今年、初めての太陽にお祈りしています。
トモちゃんが、車椅子のまあばあちゃんに目を落とすと、両手を合わせてお祈りしている姿がありました。
(おばあちゃん。何をお祈りしているのかな。チビちゃんのこと、仁徳天皇様のこと……)
トモちゃんは、お散歩のとき、朝の清々しい太陽に毎日祈っているまあばあちゃんを知っています。今日はいつもより真剣にお祈りしているように思いました。
「おばあちゃん、何を御願いしていたの?」
トモちゃんが、まあばあちゃんにそっと顔を寄せて、小さな声で聞きました。
「今日はね、お礼を言ってたの。毎日、幸せに暮らすことが出来て本当に有難うございますって、神様にお礼を言ってたの。」
「そうなんだ。」
まあばあちゃんは、トモちゃんの手を優しく握って、
「トモちゃん有難う。」
って言いました。
(今年もおばあちゃんが幸せな年でありますように……)
トモちゃんは、金剛葛城連峰を黄金色に染めて崇高な姿を現し、神々しく輝く太陽に向かって、まあばあちゃんの幸せを祈りました。

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トモちゃん先生


「ん? このポロポロしてるのなんや?」
手入れされずにいたせいでゴワゴワになった毛に、粉のような物がこびりついています。
ハッとして手や服を見ると、トモちゃんも、まあばあちゃんも、オッチャンにも茶色の粉がついていました。
「これ、ウンコだ……」
小さな犬の体についていたウンコが干からびて粉のようになっていたのです。
「ははっ! こりゃ、えらいこちゃな。みんなウンコまみれやがな。」
オッチャンは、服に付いた干からびウンコをはたきながら笑って言いました。
「わし、気ぃ付かんかったから、こいつを布団の中に入れて一緒に寝てしもうたがな。」
「へぇ、オッチャン、優しい。」
「寒いとこに、長いこと放っとかれとったから、温めたらなアカンと思ってな。ほんまにえらい目に合わされてたんやな。」
オッチャンはそう言うと、まあばあちゃんの膝の上でちぎれるほどしっぽを振っている小さな犬を抱き上げました。
「今晩から、晩酌の相手が出来て、わしも嬉しいよ。」
オッチャンは、ウンコまみれの小さな犬に頬擦りして言いました。
「おっちゃん、あかんよ。晩酌の相手なんて。ワンちゃんはね、濃い味付けの食べ物はアカンのよ。体に悪いねんよ。」
「へぇ、そうなんか。」
「そうよ。」
「ほな、何を食わしたったらいいんや。」
オッチャンは真面目な顔で聞きました。
「ドッグフードよ。スーパーにゴハンとかオヤツとかいろいろあるの。選ぶの楽しいよ」
そう言ってトモちゃんは、まあばあちゃんの車椅子から、この子に食べさせようと思って持ってきたドッグフードをおじさんに渡しました。
「よっしゃ、今から買いに行ってくるわ。」
「オッチャン、私、チビちゃん洗っとくわ。」
「えっ、洗えるんか。」
「もちろん。気持ちよくなって、すごく喜ぶよ。」
トモちゃんは、オッチャンから小さな犬を受け取ると、優しく抱きなおして小さな犬に言いました。
「サッパリしましょうね! じゃ、キレイにしたら、オッチャンの家に連れてくね。」
「トモちゃんは、何でも知ってるんやな。犬の大先生やな。これから、何でも教えてもらわんとあかんな。ほな、行ってくるわ」
「いってらっしゃい!」
オッチャンは、嬉しそうに笑うと、自転車を元気よく走らせてスーパーへと行きました。

幸せな年の暮れになりました。
今日から心も晴れ晴れ、
お正月の神様をお迎えするために大掃除をします。


年の暮れの話がお正月の更新になってしまいました。
申し訳ありません。


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ああ、幸せ


「オッチャン、どうしたの。この子。」
「あれから、ずっと見張ってたらな、夜中にあそこの家の者が帰って来てな。」
「えっ、オッチャン、あれから、ずっと……? 夜中まで?」
トモちゃんは、オッチャンの優しさに驚きました。
「せや、ほっとく訳にいかんやろ。こんなに小さいのに毛布の1枚も入れてもらわんと、この寒さや。死んでしまうと思ってな。」
「夜中って、ものすごく寒かったんじゃない。オッチャン。」
トモちゃんが、心配顔で聞きました。
「あっは。トモちゃんが心配することないで、寒い思いしとるこの子には悪いと思ったけど、途中から車に乗り換えて、あの家の横で張り付いてたんや。」
「オッチャン、あの家の人に怒られへんかった。」
「なんで、怒られなあかんのや、ほっといたらお宅の犬、死んでしまいまっせって、言うただけや。」
「あの家の人、なんて言わはったん。」
「自分の家に犬が居るのを忘れてたって、感じやったな。」
トモちゃんはオッチャンの一言に、とっても腹が立ちました。
(忘れてたって、それどういうこと!? この子は生きてるのに! )
愛くるしい目をした黒と茶の小さな犬は、幸せそうにまあばあちゃんの膝の上でうずくまっています。
「これからは楽しく暮らそうね」
トモちゃんは、そう言って小さな犬を撫ぜました。
「せやから、簡単に、引き取ってきたよ。」
「よかった。」
トモちゃんは、安心したように息をつきました。
「私、オッチャンが、なんだか、神様に見えるわ。」
「そうかあ。トモちゃんが、そう言ってくれるんなら、オッチャンは明日から、賽銭箱をぶら下げて歩かなあかんな。」
オッチャンは、ガハハハと、大きな声で嬉しそうに笑いました。
トモちゃんも、まあばあちゃんも、嬉しくて、久しぶりに心から笑いました。

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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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