まあばあちゃんと白い紙


「ねっ、おばあちゃん。その白いはがきみたいのは、なあに」
トモちゃんがまあばあちゃんの大事そうに持っている白い紙を覗き込むように見て言いました。
「ほらっ」
まあばあちゃんが、トモちゃんに白い紙を渡しました。
「警察?」
それは警察の人からのものでした。
「昨夜この辺りをパトロールしました」と書いています。
走り書きだけどとても優しい文字です。
「ありがたいね。本当に」
「すごいね。おばあちゃん。この町を守ってもらってるのよね。私たち安心ね」
「本当に、有難いね」
まあばあちゃんは、また白い紙に頭を下げました。
トモちゃんは、新しい自転車の前かごに高校の鞄を乗せて言いました。
「おばあちゃん。行ってきます」
「気を付けて行くんだよ」
「うん、じゃあね」
トモちゃんは、買ってもらったばかりの自転車に乗ると、駅の方に向かって走って行きました。
何度も振り返ってまあばあちゃんに、手を振るトモちゃん。
まあばあちゃんも、トモちゃんが振り返る度に何度も手を振り返してこたえました。
まあばあちゃんはトモちゃんの成長していく姿がとても嬉しいのです。
嬉しくて、嬉しくて、まあばあちゃんは、元気に走っていくトモちゃんの姿が見えなくなるまで、ずっと、見送っていました。


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まあばあちゃんの朝


まあばあちゃんがお散歩に出かけようとしたときです。
ポストに白いはがきぐらいの紙が入っているのが見えました。
「まあ、ありがたいこと」
と言って、白い紙にペコペコ頭を下げてお礼をいっています。
「どうしたの、おばあちゃん」
トモちゃんが声をかけてきました。
「まあ!トモちゃん。早いねえ。もう、行くの?」

今日からトモちゃんは高校一年生。
新しい制服が眩しく見えます。
キョトンと見とれているまあばあちゃんにトモちゃんが言いました。

「今日から高校生だもの、電車に乗って学校に行くから家を出るのが早くなったのよ。どう、おばあちゃん、この制服」
トモちゃんが、まあばあちゃんの前でくるくる回ります。
そして、お姫様みたいなお辞儀をしました。
「トモちゃん、立派になったねぇ」
まあばあちゃんは、もう目に涙をためています。
まあばあちゃんはとても感動派なのです。
今までにも、トモちゃんは新しい制服を着て、何度も何度もまあばあちゃんに見せてくれたのに。
やっぱり、
目に涙をためています。
それもその筈トモちゃんはまあばあちゃんが憧れていた高校に入る事が出来たのです。
だから、まあばあちゃんにとってトモちゃんの制服姿はとても感慨深いものがあるのです。
まあばあちゃん、嬉しい事が一杯で幸せね。



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まあばあちゃんと高校生の男の子


今日はまあばあちゃんはお医者さんに行く日です。
だからジロはお留守番。

まあばあちゃんは診察を終えた後、ゆっくりとシルバーカーを押して歩いていました。
そして垣根越しの白い花に見とれていました。
モクレンでしょうか。

突然

何かがぶつかってきて倒れました。

女の子を後ろの荷台に乗せて
ジグザグに走る二人乗り自転車にぶつかったのです。
後ろに乗った女の子が足をブラブラさせています。
あの足がまあばあちゃんに当たったのです。
そして、そのままスピードを出して行ってしまいました。
まあばあちゃんは、思わずヨロけて転んでしまいました。
足が不自由なまあばあちゃんは、なかなか立ち上がる事が出来ません。
あせればあせるほど、余計に体が動きません。

その時です。
優しい手が伸びてきてまあばあちゃんを助け起こしてくれました。
「おばあちゃん、大丈夫」
それは制服を着た高校生くらいの男の子でした。
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
まあばあちゃんは手を合わせて何度も何度もお礼を言いました。
世の中にこんなに優しい男の子がいるなんて。
「じゃあ」と言って、自転車で遠ざかっていく爽やかな男の子の後姿を
まあばあちゃんは嬉しくて、ずっと見つめていました。

まあばあちゃん良かったね、いい人に助けてもらえて。


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まあばあちゃんと捨て犬ジロ

この日、まあばちゃんは近くの公園で開かれる朝市に出かけました。
おいしい果物とパンを買うためです。
ご近所の人もたくさん来て買い物をしています。
まあばあちゃんも楽しく立ち話をしています。

買い物も終えてお家に帰ろうとするまあばあちゃんの後を何かついてくるんです。
まあばあちゃんはシルバーカーを止めてゆっくり後ろを振り返りました。
「どうしたの」
まあばあちゃんが声をかけたのは、
やせてどろどろに汚れた茶色の犬でした。
もう、子犬ではありません。
少し大人の犬です。

とってもお腹を空かしているみたいなのです。まあばあちゃんは、さっき買ったばかりのパンを二つシルバーカーから取り出してその犬に少しずつちぎって食べさせました。
それはまあばあちゃんのお昼ご飯でしたが二つともその犬にあげてしまいました。
次の朝、その犬はジロと名付けられまあばあちゃんと、一緒に楽しそうに歩いていました。
いつでもどこでもジロはまあばあちゃんと、一緒です。
良かったねジロ。まあばあちゃんの子になれて!


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空いっぱいの桜の花



「わあぁぁ、」
それはまあばあちゃんのびっくりした声。
その先にあるのは不思議なピンクの世界。


そう、さくら、さくら、さくら


そこは桜だけの世界。
まるで天から降りそそぐようにまあばあちゃんを包んでいく桜の花びら。
まあばあちゃんは、花びらを手に取ろうと思い切り体を伸ばしています。
「こんなに美しい桜を見たのは、生まれて初めてよ。
ここの桜は日本一。日本一よ」
まあばあちゃんは、魔法にかかったように降り注ぐ花びらを呆然と見ていました。

優しい風に誘われて

ひらひら、ひらひら

まあばあちゃんの行く道をふさぐように。
まあばあちゃんの白い髪にも、ジロの背中にも、そして、トモちゃんの服の上にも桜の花びらは降りそそぎます。
「おばあちゃん、本当に信じられない美しさね」
「なんという、贅沢なんだろうね。こんな美しい桜を見られるなんて。長生きして良かったわ。私って本当に幸せね。有難うトモちゃん」
まあばあちゃんは涙をうるませて、そう言いました。
トモちゃんも幸せでした。
美しくピンクに染まった桜の絨毯の上を、トモちゃんの押すまあばあちゃんの車椅子はゆっくり進みます。
「おばあちゃん、ここ、桜広場っていうみたいよ」
「桜広場、いい名前だね」
「おばあちゃん、ここで、休憩しょう」
「そうね」
まあばあちゃんとトモちゃんとジロの二人と一匹は日当たりの良い場所を選んで一服することにしました。桜の花に興奮して疲れたのか、初めての車椅子での長旅で疲れたのか、まあばあちゃんは、うとうとし始めました。幸せそうな顔をして、
「おばあちゃん。大好き」
トモちゃんは、まあばあちゃんの耳元でそっと言いました。



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まあばあちゃんと田園風景と大泉緑地


まあばあちゃんの住んでいる町並みを抜けると、そこには田圃や畑が広がっていました。車椅子のまあばあちゃんはとっても嬉しそうです。まるで子供のようにはしゃいでいます。
あっちの景色、こっちの景色とキョロキョロと見ています。
車イスに座っているまあばあちゃんは、
こんなに遠くまで来ても少しも疲れません。
「車椅子っていいねぇ」
まあばあちゃんが車椅子の手すりを撫ぜながらしみじみいいました。
「いいでしょう。おばあちゃん」
「でも、わたしはまだまだしっかり歩けるのにもったいないよ」
「うん、だからね、遠い所へ行くときは車椅子で、近所のお散歩の時はおばあちゃんの愛用車でっていうのはどう。用途によって分けるのよ。かっこいいでしょう」
トモちゃんはまあばあちゃんを車椅子に乗せてゆっくり歩きます。
ジロも二人の歩調に合わせて歩いています。春の優しい風がまあばあちゃんのきらきら光る白い髪を揺らします。
「おばあちゃん、ほら、大泉緑地が見えて来たよ」
信号のむこうに、こんもりした森が見えています。
「トモちゃん、あれが大泉緑地なの」
「そうよ。おばあちゃん」
大泉緑地の入口は車椅子に乗ったまま入ることができます。
「便利になってるんだね。不思議だね」
まあばあちゃんは円形のくるくる回る車椅子専用の入口が気に入ったみたいです。

公園の中は、美しい芝生が敷き詰められ大きな木がいっぱいあって、まるで別世界です。
家から少し足を伸ばしただけでこんな所があるなんて!

まあばあちゃんは木に取り付けられた名前入りの札を見ては、「くぬぎ」「かえで」と大きな声で読み上げていきます。
よく見ると「くぬぎ」の真ん中の字が抜けています。
「く〇ぎ」ってなってます。
まあばあちゃんは、それを見て自分で字を入れて読んでいたのです。
「おばあちゃんっていっぱい木の名前を知ってるんだ」
「そりゃあ、小さいときは山奥で育ったんだから」
まあばあちゃんは、それからも嬉しそうに木の札を読み上げていきます。

大泉緑地の中では、マラソンをする人。散歩する人、それぞれが自分なりの楽しみ方をしています。
ここは、とっても良いところです。
ジロも広々とした大泉緑地が気持ち良いのか足取りが軽やかです。
トモちゃんは、まあばあちゃんと大泉緑地へ来て良かったと思いました。



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まあばあちゃん、大泉緑地へ行く


日曜日の朝です。まあばあちゃんがお散歩の用意をしていると、トモちゃんが車椅子を出してきました。

「どうしたの、これ」
まあばあちゃんは不思議そうな顔をしてトモちゃんに尋ねました。

「インターネットでお母さんと一緒に注文したのよ。おばあちゃんを驚かそうと思って」
真新しい車椅子にはジロに似た犬の赤い座布団が置かれていました。
この前、行ったフリーマーケットでトモちゃんは、疲れてしんどそうにしているまあばあちゃんをシルバーカーに乗せて帰ってきました。
小さな体のまあばあちゃんでもシルバーカーに座っている姿はとても窮屈そうでした。

そこで、トモちゃんは思い切ってお母さんに相談して車椅子を買う事にしたのです。
車椅子に座ったまあばあちゃんはとても嬉しそうです。

「おばあちゃん、どう、座り心地?」
トモちゃんが聞きました。
「とってもいいよ。本当に」
まあばあちゃんは、生まれて始めて乗る車椅子が嬉しくてたまらないようです。
「でしょう。ねぇおばあちゃん、今から大泉緑地へ行かない?。ジロと一緒に」
「大泉緑地に?」
トモちゃんの言葉に、まあばあちゃんは目をまあるくして聞き返しました。
「そう、桜がとっても綺麗なんだって、言葉にならないくらいだって、友達に聞いたの、行こうよ。おばあちゃん」
大泉緑地というのは、まあばあちゃんの家からゆっくり歩いて30分位のところにあるとても大きな公園です。トモちゃんは、桜の花が大好きなまあばあちゃんと一緒に大泉緑地に行きたいと思ったのです。

トモちゃんはまあばあちゃんを乗せた車椅子をゆっくり動かしました。
「あら、おばあちゃん。ジロも一生懸命引っ張ってる」
さぁ、今日は二人と一匹。大泉緑地でお花見です。


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まあばあちゃんとニュース

今日、まあばあちゃんは報道特集というテレビを見ていました。
遠い北の国北海道で、
二人の女の人が部屋の中で亡くなっていたというニュースです。
働き者のお姉さんと体の不自由な妹さんの二人暮らしで、
生活に苦しんだ上の事でした。
食べる物も無く助けを求めたお役所の人にも、見放され死んでいったのです。
テレビから流れてくる姉妹の悲しい生き方を見てまあばあちゃんの目から涙があふれてきました。
「今の世に、こんな悲しい生き方があるなんてねぇ。わたしらも戦争の時、食べ物もなくて家も焼かれて、あの時は本当に苦しかったよ。
でも、周りのみんなも苦しかったから頑張れたんだよ。
この豊かな時代になんでこんな死に方をしなければならないんだろう」
まあばあちゃんは、静かに涙をぬぐって言いました。



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まあばあちゃんと薬袋

雨上がりの朝、
まあばあちゃんとジロがいつものように散歩していたら
道の片隅に紺色の巾着袋が落ちていました。

まあばあちゃんは少し気になりましたが
拾うのが恥ずかしくて行き過ぎようとしました.

でも、もし困っている人がいたらと思って手に取りました。
昨夜の雨で巾着袋は、ぼとぼとになっていました。

中を開けるとビニール袋に包んだ薬袋が入っていました.
病院の名前も書いていました。

まあばあちゃんは1㎞先にある駅前の交番まで行こうと決心しました。
「足の悪いわたしに、そこまで行けるかしら」
まあばあちゃんは毎日散歩しています。

だけど、

それは町内をくるくる歩いているだけであまり遠くへ行ったことがありません.
若いときは毎日駅まで歩いて電車に乗って働きに行っていました。

だけど今はシルバーカーを押してお家の近くをくるくるです。
アスファルトの道はシルバーカーのおばあちゃんにとっては、
なかなかに厄介で小さなタイヤがすぐに道のでこぼこを拾って大変なのです。

歩道の段差を越えアスファルトの穴ぼこに苦労しながらやっと交番に着きました。

「おばあちゃんご苦労さまです。必ずこの人に届けますからね」
優しいおまわりさんが、まあばあちゃんをねぎらってくれました。

久しぶりに善い事が出来たと思ってまあばあちゃんの心は晴れ晴れしていました。
まあばあちゃん、またシルバーカーを押して帰るのね。
ジロと一緒に。


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まあばあちゃんと桜の花


まあばあちゃんは、お花が大好きです。その中でも桜の花が一番大好きです。
さぁ、春です。お日様は朝からぽかぽか、とっても気持ちのいい日です。まあばあちゃんもうきうき、そわそわ、今朝もジロとお散歩です。昨日の公園の桜の様子からみると、今日は、きっと満開のはず。
「ねっ、ジロ。今日は公園の桜を見て行こうね」
まあばあちゃんがお散歩で通る公園に大きな桜の木があります。大きく枝を広げた桜の木の姿は、それはそれは見事な物です。いつもの公園がいっぺんに華やかになります。
まあばあちゃんはゆっくりシルバーカーを押して公園に向かいます。
「まあちゃん。」
「あら、お春ちゃん」
お春ちゃんがまあばあちゃんを公園の入り口で待っていました。
「よくなったの、お春ちゃん」
先日、救急車で、病院に運ばれていったお春ちゃんがいたのです。
「いつもの病気、ほら、ここの調子が、また悪くなって」
と、お春ちゃんが胸に手を当てて言いました。心臓が悪いのです。
「大丈夫。無理したらだめよ」
「うん、いつもの事だから」
お春ちゃんは笑いながら答えました。
「それより、まあちゃん。桜の木の下へ行こう。きっと来ると思って待っていたのよ」
お春ちゃんはクリーム色の肩掛けを掛け直すと「さぁ、ジロも」と、言って、まあばあちゃん達を促しました。
そして、まあばあちゃんとお春ちゃんは大きな桜の木の下のベンチに仲良く腰掛けて、美しい桜の花に見とれていました。いつまでも、いつまでも。
さくら



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まあばあちゃんの心配


まあばあちゃんはあれからお春ちゃんの事が心配でなりません。
だからお春ちゃんの家の前をゆっくりゆっくり通ります。
ひょっとしたらこの間の娘さんがお春ちゃんの事を教えてくれるような気がして。
「お春ちゃん。早く良くなるといいのにね」
まあばあちゃんはジロにそっと言いました。
「年をとると自分でも分からない間にあっちこっち悪くなって嫌よね。ジロ」
まあばあちゃんもこのところ体の調子がよくありません。足や腰が痛くて痛くて、寒さのせいでしょうか。春は三寒四温といって冷たい日と暖かい日が変わるがわる訪れて、まあばあちゃんの体を痛めつけます。
「この季節、今は辛いけどしばらくすると暖かい春になるね。もうちょっとの辛抱だね。そうしたら、お春ちゃんも病院から帰って来るね」
見上げると白梅や紅梅が家々の塀から顔を覗かせています。
桜の咲く春はもうそこまで来ています。
まあばあちゃんの「早くよくなって」と思う願いはきっとお春ちゃんに届くはず。
ジロはゆっくりシッポを振りって、まあばあちゃんをじっと見つめていました。



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まあばあちゃんの涙(お春ちゃんどうしたの)


今朝、まあばあちゃんは寝過ごしてしまいました。昨日の夜、大好きな舘ひろしのドラマがあったからです。
「まあばあちゃん、早く、早く」と言うようにジロがベットの回りをクルクルします。
「はいはい、分かりましたよジロ。ごめんね、お寝坊しちゃって」
まあばあちゃんは急いで服を着ようとしますが若いときの様になかなかうまくいきません。
「はい、おまちどうさま」
まあばあちゃんは、ジロに言葉をかけながら、昨日約束したお春ちゃんの事がとても気になっていました。
「ごめんね、お春ちゃん。もう、一人で先にお散歩行ったかもしれないね」
ジロも心配そうにまあばあちゃんを見上げます。やっぱり、お春ちゃんは家の前にいませんでした。
まあばあちゃんはしょんぼりして、申し訳なさそうに家の前をゆっくりと通り過ぎて行こうとしました。
そのときです。玄関の戸が開いてお春ちゃんの娘さんが出てきました。
「ごめんなさい。昨夜、母の様子がおかしくなったので、救急車で病院に運ばれていったんです。申し訳ありませんが」
お春ちゃんの娘さんはそこまで言うと急いで家の中に入って行きました。
まあばあちゃんは、心配でなりませんでしたが詳しい事も聞けず呆然としていました。
まあばあちゃんは、いたたまれず、心の中で手を合わせてお春ちゃんの無事を祈りました。
まあばあちゃんの小さな目から出た涙がジロの頭の上に一粒、二粒とこぼれ落ちました。


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まあばあちゃんとお春ちゃん


お春ちゃんはまあばあちゃんのお散歩なかまです。
まあばあちゃんは暑くても寒くても雨降り以外は、いつもお日様が明るくなってきたらジロと一緒にシルバーカーを押して歩きます。
でも、お春ちゃんは冬の間はお休みです。日差しがほんのり暖かくなって来たころからお散歩に出てきます。
九十歳と八十五歳、どちらもちょっぴり足が悪くて体が少し不自由ですが、お春ちゃんの足はまだシルバーカーを必要としません。
「痛い、痛い」と言って足を撫でながら杖を突いてゆっくり歩きます。そんな二人がいつのまにか気があってお話するようになったのです。
「まあちゃん、明日から私も歩こうと思うの、よろしくね」
その日、お春ちゃんはまあばあちゃんが自分の家の前を通るのを待っていました。
「こんなの作ってみたの、お家へ帰ったら食べてね」
それはおいしそうなぼたもちでした。まだ、ほっこりと暖かさが残っていて手のひらに感じます。
「有難う。お春ちゃん」
まあばあちゃんは大事そうにシルバーカーの中に入れました。
一緒にいるジロもクンクン嬉しそうです。よかったね、まあばあちゃん。



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まあばあちゃんの口ぐせ

まあばあちゃんが幸せって思うとき
まあばあちゃんには一日に何度か繰り返す言葉があります。
「私は幸せだね。こんなに幸せでいいのかしら」
おいしいお茶をいれてもらったり、立ち上がるときに、
ちょっと手を添えて助けてもらったりすると、
必ず、そういって、いつも家族の人に感謝しています。
朝の散歩で、
「おはようございます。おばあちゃん、いつもお元気ですね。」
近所の人に声をかけられると、
「有難う御座います。いつもお声をかけて下さって」
と答えます。
まあばあちゃんの心は「おはようございます」
と言われるたびに心がきゅっとなって、
幸せな気持ちになるんです。
だから朝のお散歩は、
まあばあちゃんの一番、幸せな時間なんです。
「ねっ、ジロ、私たちは幸せだね」
まあばあちゃんがジロに声をかけました。
すると、ジロは、まあばあちゃんを見上げます。ジロは言葉では、なんにも言わないけれど、
体中で「僕も幸せだよ、まあばあちゃん大好き」って、言っているみたいに見えます。
まあばあちゃんが幸せなのはどんな小さなことにも感謝して生きる心が幸せを呼び寄せているんだと思います。
そうだねジロ。


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楽しいことがいっぱいだった区民祭り

トモちゃんがキュッと抱きしめるとジロもピョンピョン跳ね回ります。ジロは嬉しくて仕方がないみたいです。
「ジロも嬉しいのね。」
トモちゃんがジロの頭をなでました。
「有り難うございました」
トモちゃんはビーズのお姉さんとお花のおじさんに丁寧に頭を下げると、おばあちゃんを乗せたシルバーカーをくるりと家の方向に向けました。
「大丈夫かい」と、お花のおじさんが、
「気をつけてね」と、ビーズのお姉さんがにこやかに笑いながら手を振ってくれました。
「有り難うございました。」
トモちゃんとおばあちゃんは何度も手を振って帰りました。
「おばあちゃん、フリーマーケットに来て良かったね。」
「うん。いい人ばかりだったね。」
まあばあちゃんの幸せそうな笑顔。もういつものまあばあちゃんです。お野菜はなかったけど、嬉しいことがいっぱいあったね。パタパタシッポを振って歩くジロを見れば分かります。



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おばああちゃんの幸せ口ぐせ

「おばあちゃん、いいお花あった?」
まあばあちゃんが膝の上のパンジーに見とれていると、ビーズのお姉さんが声をかけてきました。
「さっきは有り難うございました。ほら、こんなにお花を頂いて」
おばあちゃんはビーズのお姉さんににっこり笑っていいました。
「おばあちゃん、私の分も持ってきたのよ、おばあちゃんならきっと大切にしてくれると思って」
ビーズのお姉さんの花は美しいピンクの桜草でした。
「あら、可愛いお花」
まあばあちゃん膝の上はまたまた増えて、お花畑みたいになりました。ビーズのお姉さんはまあばあちゃんのお花を紙袋に丁寧に入れてくれました。
「こんなにいっぱい頂いて有り難うございます。」
まあばあちゃんはビーズのお姉さんとお花のおじさんに何度も頭を下げてお礼を言いました。
「ねっ、トモちゃん。私って幸せだねぇ」
「おばあちゃんの口ぐせだね」
トモちゃんは幸せそうに笑うおばあちゃんをキュッと抱きしめました。
人に親切にしてもらうって本当に嬉しいですね。


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花でいっぱいになったおばあちゃん

「ほらこれなんんかどうだね」
おじさんはキレイなパンジーの中でもとりわけ良いのを2つ選んで、おばあちゃんの膝の上に置きました。
「これ頂いてもいいんですか?」
「ほらここに、お花無料プレゼント。お一人様2個って書いてあるやろ?」
おじさんは手書きの看板をコンコンと叩いて言いました。
「これ、わしが書いた看板なんやけど、肝心の花がうまくかけなくてなあ。さあ嬢ちゃんも選んだ選んだ」
人の良いおじさんに急かされて、トモちゃんもまあばあちゃんと同じパンジーを選びました。
まあばあちゃんの膝の上は可愛いパンジーでいっぱいになりました。


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まあばあちゃんとお花のおじさん

まあばあちゃん達が広場の隅っこで仲良くたこ焼きを食べていると、向こうの方から大声で呼ぶおじさんがいます。
「私たちのことかしら?」
まあばあちゃんとトモちゃんは勘違いかなと思って辺りをキョロキョロと見回しましたが、それらしい人はいません。
「やっぱり、私たちの事かな?」
いぶかしげにしている二人におじさんはなおも大声で手招きしています。
「おばあちゃん、いってみよ」
トモちゃんは、空になったたこ焼きの入れ物を紙に包んでゴミ箱に入れました。
「早く早く!花が無くなっていしまうよ!」
おじさんがまあばあちゃん達に言いました。
「さっき、うちの娘のところで何か買ってくれたやろ? ありがとな!」
おじさんはビーズのお姉さんのお父さんだったのです。
「ほら、今なら、まだあるけど早く取っとかんとみてる間になくなるで」
おじさんの前に並べられた箱の中に黄、白、ピンク、紫のきれいなパンジーがいっぱい入っていました。





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またまた、フリーマーケットで

「でもね、おばあちゃん。ここは楽しいよ。いろんなものがいっぱいあって」
トモちゃんは広々としたフリーマーケットを見て言いました。
たくさんの人がそれぞれ自分たちの欲しいものを求めて、ガヤガヤとにぎやかに行きかっています。ジロがいるので中には入って行けませんが、遠目で見ていても楽しそうです。
「トモちゃん見ておいで、私はジロとここにいるから。」
「でも、おばあちゃんも一緒じゃないと楽しくないもん」
そう言ってトモちゃんは、まあばあちゃんを乗せたシルバーカーをくるりと回しました。
フリーマーケットの反対側にはいか焼き、広島焼き、リンゴ飴、タイ焼き屋さんという風に屋台がいっぱい並んでいました。
「おばあちゃん、おなかすいたね。何か食べよ」
「そうね。いい匂いね」
まあばあちゃんとトモちゃんはたこ焼きを買いました。そして二人とジロはフウフウしながらたこ焼きを食べました。
ジロが一番嬉しそうに見えるのがおかしいですね。



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まあばあちゃん!これがホントのフリーマーケットよ

この区民祭りのフリーマーケットは、まあばあちゃんの思っていたのとは違って家庭の不用品を持ってくるというものでした。
フリーマーケットのことがよく分からないので、先日いった公民館と同じように思っていたのです。

「ここは、お野菜売ってるところがないのかなあ」
トモちゃんはまあばあちゃんを喜ばせようと思って、キョロキョロと探しましたが,やはり野菜は売っていませんでした。それに、ちゃんと説明しておかないと、今日みたいに遠い道のりを一人でトコトコとフリーマーケットを目指して来てしまうかもしれません。
「おばあちゃん、フリーマーケットっていうのはね。お家で使わなくなったけど、まだまだ着れそうな服とか、ほら、お祝いのお返しでたまった食器とか毛布とかそんなのを必要な人に買ってもらうところなんよ。おばあちゃんはお野菜が欲しかったんでしょう。」
「うん」
トモちゃんの言葉にまあばあちゃんは小さく頷きました。
「やっぱり」
トモちゃんはにっこり笑って言いました。




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トモちゃんと二人で


「はい!これはおまけです。」
ビーズのお姉さんがジロの首輪にイチゴの形のビーズをつけてくれました。
「有り難うございます。こんなに良くして下さって。」
まあばあちゃんはペコペコ頭を下げて何度もお礼を言いました。
「おばあちゃん向こうの広場の隅っこのところで無料の花を配ってるのよ。行ってみはったら?」
とビーズのお姉さんが言いました。
まあばあちゃんは行ってみることにしました。

孫娘のトモちゃんはまあばあちゃんの事がいつもと様子が違うように思えて気になって仕方がありませんでした。
なんとなく元気がないように思うのです。ジロもそう思うのが、まあばあちゃんの手の下に頭を持って行ってたり鼻でツンツンしたりペロペロしたりと頻りにかまいます。ビーズを買った時も嬉しそうにしてるんだけど、何か違うんです。
「あっ、そうか」
トモちゃんは気づきました。

おばあちゃんは、きっとこの前の公民館の時みたいにお野菜をいっぱい買いたかったんだ。


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まあばあちゃんとビーズの犬

孫娘のトモちゃんはまあばあちゃんをシルバーカーに乗せて、ゆっくりゆっくりジロと一緒に押しています。
「おばあちゃん、ほら!あの人もあっちへ行く人もワンちゃん連れてはるよ。見て見て、あの人なんか4匹も!だから心配しないでね。」
フリーマーケット会場にジロが入ったらダメなのではと心配するまあばあちゃんにトモちゃんが答えました。
でも今日のフリーマーケットはこの前とはずいぶん違いました。
おばあちゃんが期待した新鮮な野菜はありませんでした。まあばあちゃんはちょっぴり残念でした。
トモちゃんがビーズを売っているお姉さんのところで止まりました。
「ねっ、おばあちゃん。この子ジロに似てるー!これ買おうっと。いくらですか?」
それは白と茶色のビーズで作った。犬の形をしたストラップでした。
「一つ1500円です」
トモちゃんはお姉さんから二つ買いました。
おばあちゃんとお揃いです。まあばあちゃんは財布にトモちゃんは携帯電話につけてもらいました。




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まあばあちゃんとトモちゃん

春のお日様はとても暖かだけど、まあばあちゃんの心は暗く沈んでしまいました。まるで重い荷物を背負ったように足取りも重く、ゆっくりうつむきがちに歩いていました。悲しくて周りがまるで見えませんでした。
その時です。
「おばあちゃん」
と聞きなれた声がしました。孫娘トモちゃんでした。ジロもいます。まあばあちゃんに体を寄せて幸せそうにシッポを振っています。
「どうしたの?さっきから呼んでるのに?」
心配そうに聞いてきます。
「うん。ごめんやで」
「あちこち探したんよ。ねっ、ジロ! お母さんがひょっとしたら隣町のフリマかもって言うから、こっちへ来てみたんよ。」
孫娘のトモちゃんはまあばあちゃんの肩をキュッと抱き寄せて言いました。
まあばあちゃんを包み込む空気がゆっくり変わっていきます。
暖かい風のように。
「あれ、おばあちゃん。何も買わなかったの?」
まあばあちゃんは返事に困りました。
さっきのつらい事は言いたくありません。
どう言おうか悩んでいると、
「ねっ、おばあちゃん。もう1回フリマに行こうよ。」
と、トモちゃんが言いました。
「おばあちゃん、ずいぶん歩いて疲れたんちゃう?ここ座れば?」
と、トモちゃんはまあばあちゃんをシルバーカーの上に乗せて歩き出しました。ジロのリードはまあばあちゃんが持ちました。
「おばあちゃん見て、区民祭りってあっちこっちに書いてあるわ。ほらね。」
今日のフリーマーケットは区民祭りのイベントだったのです。






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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
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