まあばあちゃん、大泉緑地へ行く


日曜日の朝です。まあばあちゃんがお散歩の用意をしていると、トモちゃんが車椅子を出してきました。

「どうしたの、これ」
まあばあちゃんは不思議そうな顔をしてトモちゃんに尋ねました。

「インターネットでお母さんと一緒に注文したのよ。おばあちゃんを驚かそうと思って」
真新しい車椅子にはジロに似た犬の赤い座布団が置かれていました。
この前、行ったフリーマーケットでトモちゃんは、疲れてしんどそうにしているまあばあちゃんをシルバーカーに乗せて帰ってきました。
小さな体のまあばあちゃんでもシルバーカーに座っている姿はとても窮屈そうでした。

そこで、トモちゃんは思い切ってお母さんに相談して車椅子を買う事にしたのです。
車椅子に座ったまあばあちゃんはとても嬉しそうです。

「おばあちゃん、どう、座り心地?」
トモちゃんが聞きました。
「とってもいいよ。本当に」
まあばあちゃんは、生まれて始めて乗る車椅子が嬉しくてたまらないようです。
「でしょう。ねぇおばあちゃん、今から大泉緑地へ行かない?。ジロと一緒に」
「大泉緑地に?」
トモちゃんの言葉に、まあばあちゃんは目をまあるくして聞き返しました。
「そう、桜がとっても綺麗なんだって、言葉にならないくらいだって、友達に聞いたの、行こうよ。おばあちゃん」
大泉緑地というのは、まあばあちゃんの家からゆっくり歩いて30分位のところにあるとても大きな公園です。トモちゃんは、桜の花が大好きなまあばあちゃんと一緒に大泉緑地に行きたいと思ったのです。

トモちゃんはまあばあちゃんを乗せた車椅子をゆっくり動かしました。
「あら、おばあちゃん。ジロも一生懸命引っ張ってる」
さぁ、今日は二人と一匹。大泉緑地でお花見です。


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まあばあちゃんと田園風景と大泉緑地


まあばあちゃんの住んでいる町並みを抜けると、そこには田圃や畑が広がっていました。車椅子のまあばあちゃんはとっても嬉しそうです。まるで子供のようにはしゃいでいます。
あっちの景色、こっちの景色とキョロキョロと見ています。
車イスに座っているまあばあちゃんは、
こんなに遠くまで来ても少しも疲れません。
「車椅子っていいねぇ」
まあばあちゃんが車椅子の手すりを撫ぜながらしみじみいいました。
「いいでしょう。おばあちゃん」
「でも、わたしはまだまだしっかり歩けるのにもったいないよ」
「うん、だからね、遠い所へ行くときは車椅子で、近所のお散歩の時はおばあちゃんの愛用車でっていうのはどう。用途によって分けるのよ。かっこいいでしょう」
トモちゃんはまあばあちゃんを車椅子に乗せてゆっくり歩きます。
ジロも二人の歩調に合わせて歩いています。春の優しい風がまあばあちゃんのきらきら光る白い髪を揺らします。
「おばあちゃん、ほら、大泉緑地が見えて来たよ」
信号のむこうに、こんもりした森が見えています。
「トモちゃん、あれが大泉緑地なの」
「そうよ。おばあちゃん」
大泉緑地の入口は車椅子に乗ったまま入ることができます。
「便利になってるんだね。不思議だね」
まあばあちゃんは円形のくるくる回る車椅子専用の入口が気に入ったみたいです。

公園の中は、美しい芝生が敷き詰められ大きな木がいっぱいあって、まるで別世界です。
家から少し足を伸ばしただけでこんな所があるなんて!

まあばあちゃんは木に取り付けられた名前入りの札を見ては、「くぬぎ」「かえで」と大きな声で読み上げていきます。
よく見ると「くぬぎ」の真ん中の字が抜けています。
「く〇ぎ」ってなってます。
まあばあちゃんは、それを見て自分で字を入れて読んでいたのです。
「おばあちゃんっていっぱい木の名前を知ってるんだ」
「そりゃあ、小さいときは山奥で育ったんだから」
まあばあちゃんは、それからも嬉しそうに木の札を読み上げていきます。

大泉緑地の中では、マラソンをする人。散歩する人、それぞれが自分なりの楽しみ方をしています。
ここは、とっても良いところです。
ジロも広々とした大泉緑地が気持ち良いのか足取りが軽やかです。
トモちゃんは、まあばあちゃんと大泉緑地へ来て良かったと思いました。



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空いっぱいの桜の花



「わあぁぁ、」
それはまあばあちゃんのびっくりした声。
その先にあるのは不思議なピンクの世界。


そう、さくら、さくら、さくら


そこは桜だけの世界。
まるで天から降りそそぐようにまあばあちゃんを包んでいく桜の花びら。
まあばあちゃんは、花びらを手に取ろうと思い切り体を伸ばしています。
「こんなに美しい桜を見たのは、生まれて初めてよ。
ここの桜は日本一。日本一よ」
まあばあちゃんは、魔法にかかったように降り注ぐ花びらを呆然と見ていました。

優しい風に誘われて

ひらひら、ひらひら

まあばあちゃんの行く道をふさぐように。
まあばあちゃんの白い髪にも、ジロの背中にも、そして、トモちゃんの服の上にも桜の花びらは降りそそぎます。
「おばあちゃん、本当に信じられない美しさね」
「なんという、贅沢なんだろうね。こんな美しい桜を見られるなんて。長生きして良かったわ。私って本当に幸せね。有難うトモちゃん」
まあばあちゃんは涙をうるませて、そう言いました。
トモちゃんも幸せでした。
美しくピンクに染まった桜の絨毯の上を、トモちゃんの押すまあばあちゃんの車椅子はゆっくり進みます。
「おばあちゃん、ここ、桜広場っていうみたいよ」
「桜広場、いい名前だね」
「おばあちゃん、ここで、休憩しょう」
「そうね」
まあばあちゃんとトモちゃんとジロの二人と一匹は日当たりの良い場所を選んで一服することにしました。桜の花に興奮して疲れたのか、初めての車椅子での長旅で疲れたのか、まあばあちゃんは、うとうとし始めました。幸せそうな顔をして、
「おばあちゃん。大好き」
トモちゃんは、まあばあちゃんの耳元でそっと言いました。



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大泉緑地バンザイ


大泉緑地はとっても良い所です。近頃のまあばあちゃんの一番のお気に入りの場所です。近くには中央環状線という大きな道路が走っていて側に工場やクリーンセンターがあります。だけど、大泉緑地の中に入ると、そこは別世界。静かで緑豊かな木々が美しく整備されて立ち並んでいます。大きな池や小高い丘もあって、そこ、ここに四季の美しい花々が咲いている花壇がたくさんあります。あの、美しい満開の桜の日からまあばあちゃんは、日曜日になると、トモちゃんに車椅子を押してもらってこの大泉緑地に連れて来てもらうのが一番の楽しみになりました。
まだ大泉緑地にきて間もないのに、
「おはようございます。お元気ですね」
とご夫婦で散歩している人に声をかけて頂いたり、犬を連れている人には「お近くですか、お孫さんと一緒でよろしいですな」とか「いい犬やな」といって、ジロの頭を撫ぜてもらったり。なにやらほのぼのするいい空気があります。人も犬も緑の木々もぜ~んぶよくって、最高の気持ちになります。それが大泉緑地です。それにもうひとつ、とっても嬉しいことは犬を連れて散歩している人がいっぱいいることです。見たことも無い美しい犬、
ボルゾイ、アフガン、むちゃくちゃ可愛い犬、ジャックラッセル、チワワ、プードル、その子達の飼い主さんはまあばあちゃんに「とってもかわいっくて賢いんですよ」と口々におっしゃいます。ジロもいっぱいお友達が出来ました。まあばあちゃんの車椅子に乗ってくる子もいます。いつもまあばあちゃんを独り占めしているジロまでその子に負けまいと甘えてきます。まあばあちゃんはみんなを撫ぜるのに大忙しです、人も犬もこころの中までリフレッシュ出来てそれは素晴らしい所です。まあばあちゃん、次の日曜日もまた、トモちゃんと一緒に来れるといいね。



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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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