ほんとは……


お花ちゃんの家で刺し子の練習をしている時、まあばあちゃんはトモちゃんが、USJに行く話をしました。
「へぇ。ええなぁ。なんかテレビでえらい宣伝してるなぁと思ててんけど、へぇ! わたしも連れて行ってほしいわ。」
とお春ちゃんが面白そうに言いました。
「無理無理、すっごい広い遊園地なんだから、いくらもしないうち疲れてしまうわよ。」
「ほんまやなぁ! あははは! トモちゃんの話を待った方がええわ。」
お豊ちゃんが暗い顔して、固まっています。刺し子を縫う手も止まっています。
「お豊ちゃん、あんた、どないしたん。暗い顔して……」
「そうなん、トモちゃんがUSJに……、そう……」
「なんやな。しっかりしぃや。」
「……うちの娘もUSJに行きたいらしくて、家族で大阪に来るんよ。その時、うちに泊まりたいって……」
「あんた、娘夫婦が来るって言うのに暗い顔やな~。それに大阪に来るんやったら、お豊ちゃんの家に泊まるのは当たり前やろ?」
「でも、娘言うたかて、邦ちゃんより年上やで? 孫かて40前や。そんなん家族そろってくる?」
「それも、そやなぁ。」
お春ちゃんも困惑顔です。
「それに、もう何年も会ってないし……。私、会うの怖いわ……。」
「あんた、ボケたんか、旦那の葬式の時に会ったやろ。小遣いくれる優しい娘やって言うてたやんか。」
お春ちゃんが、そう言うと、お豊ちゃんはボロボロ涙をこぼしました。
ハッピーちゃんが、お豊ちゃんの側にピタッと寄り添いました。お豊ちゃんが優しくハッピーちゃんの頭を撫でました。
「あれは、ウソやねん。父親の葬式にも来ない薄情な娘やし……。お金なんかくれたことない。み~んなウソやねん。ごめんね、ウソばっかりで……」
お豊ちゃんはそう言うと、声を張り上げて泣きました。

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ある日……


「まあちゃん、これ見て……。私、どうしたらいいかなぁ。」
お豊ちゃんが、一冊の通帳を見せてくれました。まあばあちゃんが、お豊ちゃんの言いたいことが分からず、戸惑っていると、
「これ、樺山さんが、いつもお世話になってるからって、くれはってん。」
それを聞いて、まあばあちゃんはお豊ちゃんの言いたいことが分かりました。
ハッピーちゃんが来てから、お豊ちゃんは明るくなりました。以前の樺山さんを知りませんが、きっと樺山さんもでしょう。
樺山さんに急な仕事が入った時など、留守中にお豊ちゃんがハッピーちゃんを引き取りに行くこともあります。また、お豊ちゃんが、何日も続けてハッピーちゃんを預かることもありました。そして、樺山さんが倒れて救急車で運ばれたことがあったのですが、その時、食事を作ったのがきっかけで、樺山さんのお家に上がるようになり、掃除したり食事を作るようになりました。
樺山さんは、それをとても感謝されていて、それを形にしたかったのでしょう。
「まあちゃん、どう思う? 頂いてもいいのかなぁ。ハッピーの事は私が好きでしてることだし、食事って言っても年寄りが作るものだもの。大したこと出来てないんよ。」
と、照れ臭そうに笑いました。そしてその笑いがふっと消え、淋しそうに
「あんな息子がいたらなぁって思うわ。……」
と言いました。
お豊ちゃんの現状を考えると、まあばあちゃんは言葉が見つかりませんでした。
<"樺山さんが入院した時のお話">

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お春ちゃんが笑った


お昼ご飯を食べ終えてお茶を頂いてとき、お春ちゃんが、
「お豊ちゃん、あんた、娘さん来たん?」
「ううん。」
「もう、夏休み終わってしまうやんか。孫ちゃん、可哀想やんか。」
「よう知らん。それに、孫って40くらいやろ? 来たいんやったら、自分らで来れるんちゃう? だいたい友達同士とかで行くのが普通やと思うねん。うちらの40いうたら、子どもが所帯持つ頃やんか……」
「ほんまやなぁ」
「私、不気味やわ。怖いわ。」
「来るんかどうかだけでも、電話して聞いたらわ。」
お春ちゃんがそう言うと、
「わたし、娘の連絡先知らんのよ。」
「ええ! 知らんの?」
「あの子、連絡しない子やねん……、あの子の若い頃に、アパートの電話番号へかけてみてたら“現在使われておりません”って言われたから、勤め先に電話したら、もう何年も前にやめたって言われて……」
「孫の顔って、初めて見るんか?」
「ううん。小さい頃にフラッと連れて来て、それきり……」
お豊ちゃんは、フウッとため息をついて、
「お春ちゃん、このだし巻き、冷蔵庫に入れとこか?」
そう言って、食べ切れなかっただし巻き卵の皿にラップをかけました。
「ありがとう。助かるわ。」
「冷凍室に、まあちゃんが買ってくれたカツオのたたきあるけど、切っとこか?」
「頼むわ。ありがとう!」
お春ちゃんがご機嫌に返事しました。
そう言いながら、お豊ちゃんは洗い物を始めていました。その間、お春ちゃんは座ったままです。
「あんたも、返事ばっかりしてんと、ちょっとは動かなアカンで……」
お豊ちゃんが呆れたように言いました。
「へへへ。ほんまや。あははは。」
お春ちゃんは、ケラケラ笑っていました。

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お野菜を届けに


「おばあちゃん、行ってきまーす!」
トモちゃんが、元気よく自転車をこいで行きました。
「行ってらっしゃい。気をつけてね。」
まあばあちゃんは、トモちゃんが見えなくなるまで手を振ってから、家の中に入りました。
今日から二学期が始まりました。
今日から、毎日学校です。夏休み中もクラブ活動で半分は学校に行っていましたが、やっぱり本格的に学校が始まると、どこか寂しく感じるものです。
時計を見ると、まだ7時過ぎでした。
「洗濯機を回すのはまだ早いわね。……そうだ、お豊ちゃんに、お野菜持って行きましょう!」
まあばあちゃんは、お豊ちゃんのためにシルバーカーに野菜を積み始めました。
「ええっと、キュウリとナスビとゴーヤ……。これでいいわね。ジロ、ミミちゃん、そこまでだけどお外に行く?」
ジロもミミちゃんもお出かけが大好きなので、まあばあちゃんが誘ったらいつも嬉しそうにオッポを振ります。
「まだまだ暑いから、保冷材をつけましょうね。はい出来た。……じゃ、行きましょうか!」
ジロとミミちゃんにリードをつけて出発です。
「ほら、もうついた、お豊ちゃんのお家よ。」
まあばあちゃんが、インターフォンを押そうとした時、
「なんや! なんで、犬なんか入れたんや! うちらに毛ぇ付くやんか!」
女の人の怒鳴り声が聞こえてきました。
(……まさか、お豊ちゃんの娘さん?)
門扉は半開きになっていました。その隙間に少しだけ体を入れると、ハッピーちゃんが陽の当たる外につながれているのが見えました。まだまだ日差しに当たると、暑い時期です。ハッピーちゃんは、ハアハアいっていました。そして怯えた様子で小さくなっていました。
ハッピーちゃんの周りには、クッションやゲージが放り出されていました。
まあばあちゃんは、急いで表に出てインターフォンを押すと、
「お豊ちゃーん! お豊ちゃん、いますかー!」
と大きな声でお豊ちゃんを呼びました。

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突然に……



「まあちゃん……」
お豊ちゃんが泣きはらした目をして、表に出てきました。すると、家の中から、
「誰?」
と、大柄な女の人がお豊ちゃんに聞きました。
お豊ちゃんはビクッとして俯いてしまったので、まあばあちゃんが、
「お早うございます! 私、お豊ちゃんの友達です。今日は、お豊ちゃんにお野菜を食べてもらいたいと思って持って来たんです。」
女の人は、ふうんというように頷きました。家の中でザワザワしている様子が伝わってきます。娘さんのご主人や子どもさんの気配でしょうか?
「お豊ちゃん、これ……」
と言って、まあばあちゃんはお野菜を渡しました。
「ありがとう……」
お豊ちゃんは、無理矢理に笑顔を作ってお礼を言いました。
「お豊ちゃん、ハッピーちゃんを連れて帰っていい?」
お豊ちゃんは、暑そうな息をしているハッピーちゃんを辛そうに見て、
「ありがとう、そうしてもらえたら助かるわ。」
お豊ちゃんは、ハッピーちゃんの側に行くと、そっと顔を覗き込んで、“ごめんね”と言うようにおでこをコッツンコしました。そして、ハッピーちゃんをまあばあちゃんに渡しました。
今朝、散歩した時とは別人のようにやつれていました。
さっきから、まあばあちゃん達をつまらなそうに見ている女の人は、お豊ちゃんの娘さんなのでしょうか? まあばあちゃんはお豊ちゃんに確かめたい気持ちでしたが、急なことで、気持ちが落ちつてないだろうし、さっきからずっとこっちを見張るように見ているので、とても話せる状態ではありません。
「ゲージ、邪魔だったら、後で恭子ちゃんに取りに来てもらうわね。」
お豊ちゃんは、涙をこらえるようにウンウン頷きました。
まあばあちゃんは、放り出されているハッピーちゃんの持ち物の中から、お豊ちゃんが、ハッピーちゃんを刺繍したクッションを選んで、軽くはたくとシルバーカーに乗せました。

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不安が的中


「80過ぎのバアサンに友達やて、気持ち悪いなぁ。」
玄関にボサッと立ったまま、大柄な女の人は、大きな声で独り言を言いました。
(え?)
聞こえよがしに言われて、まあばあちゃんはビックリしました。
(この女の人が、本当にお豊ちゃんの娘さん?)
いつも人に気遣っているお豊ちゃんの娘だとは、にわかには信じられない事でした。
お豊ちゃんはすまなそうに目を伏せました。
娘だからと言って、叱れるような雰囲気ではありませんでした。
頭からお豊ちゃんの事を馬鹿にして、威圧していました。
お豊ちゃんの不安は的中してしまいました。
まあばあちゃんは、フッと挨拶しかしたことのないお豊ちゃんのご主人の顔が浮かんできました。
お豊ちゃんの年金の保険料を惜しがって払わなかったご主人のせいで、年金のないお豊ちゃん。娘さんはご主人に似てしまったのでしょうか?
「じゃ、ハッピーちゃん、連れて行くわね。またお昼ご飯の時でも、お話ししましょうね。いつものようにお春ちゃんの家で待ってるからね。」
お豊ちゃんは、少しだけ嬉しそうに笑って、頷きました。
「じゃ、ハッピーちゃん、わたしと行きましょうね。」
まあばあちゃんと、ジロとミミちゃんとハッピーちゃんは歩き出しました。
ハッピーちゃんは心配そうに何度も何度も振り返っていました。

―――この日、お豊ちゃんは、お昼を食べに来ませんでした。―――

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お春ちゃんも心配


「お豊ちゃん、来るの遅いなぁ。どないしたんやろ?」
お春ちゃんは玄関の方を見て言いました。
「……そうね。」
まあばあちゃんは、今朝、お豊ちゃんの家で見たことをどう話せばいいのか悩んでいました。
「なんや、気のない返事やな。まあちゃんは、お豊ちゃんの事が心配と違うん? 私なんか、年がら年中イヤミばっかり言われて、お豊ちゃんの心配する事なんかないと思ってたけど、こんな風に連絡もよこさんと急に来ぇへんかったら、心配でしゃーないわ。」
「…………」
「せやかて、おかしいと思わへんか? この犬だけ、まあちゃんに預けて自分だけ来ぇへんて……。あの子、あれで、キッチリした性格やから待ち合わせたら、いつも一番に来てるねんで、連絡すんのもキッチリしてるし……」
まあばあちゃんは、答えに詰まりました。
「なぁって!」
お春ちゃんは、残りのウインナーをパクパクっと食べると、
「私、ちょっと、お豊ちゃんの家に行って来るわ。もしかしたら、倒れてて救急車呼んだらんとアカンかもしれん。」
「ま、待って、うまく話せないかもしれないけど、ちょっと、聞いてくれる?」
事情も知らずに行ってしまったら、どんなに驚くか、それに、あの大柄な女の人にいきなり怒鳴られるかもしれません。
まあばあちゃんは大慌てで止めました。

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お豊ちゃんに会わせて!


「それ、おかしいで。ホンマにお豊ちゃんの娘なん?」
お春ちゃんが、ビックリして言いました。
「お豊ちゃんに確認したわけじゃないけど……。とても、話が出来る雰囲気じゃなかったのよ。」
「ほな、確かめに行こう! 今度は私がインターフォン押すわ。この子らは、ここに置いといたらええやん。部屋も冷えてるし。暑いとこ歩くことないで。」
まあばあちゃんは、頷きました。一人では心細く思いましたが、今度は二人で行くので心強く感じました。

「ほな、押すで。」
お春ちゃんが気合いを入れて言いました。まあばあちゃんも緊張します。
―――ピンポーン、ピンポーン―――
返事はありません。お春ちゃんはもう一度押しました。
―――ピンポーン、ピンポーン―――
しばらく待っていましたが、やっぱり返事がありません。
今度は、
―――ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン―――
と連打しました。すると中から、
「なんや! うるさいなぁ!! 誰や!」
今朝見た大柄な女の人が、出てきました。
「あんたが、なかなか出てけぇんからや! うちら、お豊ちゃんの友達やねん! 会いに来たから、お豊ちゃん、呼んできて!」
お春ちゃんは、気合いを入れてきたせいか、なかなかの気迫です。負けていません。
「うるさいなぁ! ばあさんは帰れ!」
「今日、約束してたのに、なんで来ぇへんかったんか聞きたいから、お豊ちゃん、出して!」
「帰れ、帰れ!」
「あんた、閉じ込めてんとちゃうか? お豊ちゃーん、お豊ちゃーん! お春がきたで、顔見せてぇな!」
家の中で、人の気配はするのに、誰も出てくる様子はありませんでした。
「しつこいなぁ。朝から、バアサンばっかり気持ち悪いわ。」
ひどい言葉を言われましたが、お春ちゃんは、怯みませんでした。
「あんた、ほんまにあの優しいお豊ちゃんの娘か? 成りすまし違うか? ほんまは他人なんやろ?」
「はぁ? 何言うてんの?」
「今から、町会長さんに話して、警察にも言うで!」
お春ちゃんは、さらに強く言いました。

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お春ちゃん、行こう。


こんなにお春ちゃんが大きな声を出しても、お豊ちゃんは出てくる気配がありません。
「あの、鉢植えはどうして捨てているんですか?」
まあばあちゃんは、庭に放り出されて転がっているいくつもの鉢植えに気付いて、女の人に言いました。
今のまあばあちゃんの位置からハッピーちゃんのゲージは見せませんが、きっと上からどんどんいろんな物を投げ捨てているように思いました。
「はあ? いらんもんやから、出したぁるねん。見たら分かるやろ!」
「あんた、あれ、お豊ちゃんが、育ててる花やんか! なんでそんなんするん!」
お春ちゃんが、真っ赤になって怒りました。
「ばあさん、あんまり怒ったら血圧上がってあの世に行くで~」
とからかうように大柄な女の人は言いました。
まあばあちゃんは、これ以上言っても無駄だと思いました。
「お春ちゃん、もう行きましょう!」
「なんでや! お豊ちゃんに会わせてもうてないで!」
「町会長さんに、話を聞いてもらいましょう。」
そして、大柄な女の人をチラッと見て、
「自分の父親のお葬式にも出ない娘さんなんて、もし本人でも恐ろしいもの。お春ちゃん、行きましょう!」
まあばあちゃんは、先に歩き出しました。
「ちょっ、ちょっと、私も行くから待ってよ!」
お春ちゃんも慌ててついてきました。

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どういうこと?

「ええ? そら、おかしいな……」
町会長さんは、お昼ご飯を食べ終えて、お茶を飲んでいました。急に伺ったのに、応接室に通してくださって、奥さんがお茶を出して下さいました。
「田岡さんに、娘さんなんていたはったんか?」
町会長さんは、怪訝そうな顔をして言いました。
「お盆前に、娘さんからユーエフ何とか言う遊園地に行く言うて、その時にお豊ちゃんの家に泊まるって電話が来たらしいんです。何年も連絡無かったのにって。お豊ちゃんいうたら、喜ぶどころかえらい不安がってたけど、ほんまに大変なことになったわ。」
会長さんは、分からないというように首を振っています。
「何とか言うて下さいよ。娘がそないなことするって、私、おかしいと思いますねん。あんな来るなり、家の中のもん放り出すって! 犬のモンだけやないんですよ。お豊ちゃんの花やら小物やら、何でもかんでも庭に放り投げたぁるんです。そら、ヒドイもんなんです。」
お春ちゃんが、興奮して言いました。
「わし、ご主人のお葬式行ったんやけど、わしと奥さんだけやったんやで? 娘さんおったんやったら呼びはるやろ?」
会長さんが首をひねりました。
「それが、行方知れずやったみたいなんですわ。」
「行方知れず?」
「はい。たまにフラっと帰ってくることもあったそうなんですけど……。……え? あれ? 会長さん、今、葬式に出た言いました?」
お春ちゃんは、不思議そうに言いました。
「そうなんや、田岡さんの奥さん、放送はせんと、ひっそり葬式したい言わはってな。慎ましいええ葬式やったで。」
「うちら、友だちやのに、葬式、知らんかったんやで……」
お春ちゃんは、訳が分からないという顔をしました。

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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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