悲しい知らせ


まあばあちゃんが、庭で花の手入れをしていると、コトンと小さな音がして、ポストに手紙が届きました。その音を聞いた時、胸騒ぎを感じたまあばあちゃんは、土いじりの手を洗うのもそこそこに、慌ててポストの手紙を取りに行きました。

ミミちゃんのお母さんが入院している病院からでした。

まあばあちゃんは震える手で、手紙にはさみを入れると、白い便箋を取り出しました。
内容は、ミミちゃんのお母さんが亡くなったことでした。看護師さんがミミちゃんのお母さんにお願いされて、手紙を下さったとの事でした。
「まだ、お若かったのに……」
まあばあちゃんは、声を殺して泣きました。
胸の震えが止まりません。

まあばあちゃんは、ミミちゃんのお母さんによく手紙を書きました。
いたずらなミミちゃんのこと、おりこうさんのミミちゃんのこと。
早くお元気になられるように祈っていること。
季節の押し花や落ち葉を手紙に添えて送りました。

ミミちゃんのお母さんも送った押し花に一緒に活けると映える花を教えて下さったり、元気になったらまた訪れたい場所など、色んなことをお返事に書いてくれました。

気分の良い日が続いてると、前の返事には書いてあったのに……
呆然として座り込んでしまったまあばあちゃん―――
ジロとミミちゃんはまあばあちゃんの悲しみを癒そうとするように、いつまでも寄り添っていました。

公園の子犬のこと……
ミミちゃんのお母さんのこと……
本当に、悲しいことが続くものです。

まあばあちゃんは、やさしいミミちゃんのお母さんのご冥福を祈りました。

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最後の手紙



ミミちゃんのお母さんが亡くなったことが記されていた手紙を受け取って程なく、まあばあちゃんの手元に、弱々しい文字で綴られた手紙が届きました。

ミミちゃんのお母さんからの最後の手紙です。

いつもいつも励ましの手紙をくれたまあばあちゃんへの感謝の手紙でした。
ミミちゃんの日常を書いて教えてくれたこと。
手紙に添えられていた、落ち葉や、押し花のこと。
つらい入院生活もまあおばあちゃんのお手紙がどれほど励みなったか―――
その1つ1つに、丁寧なお礼の言葉が添えられていました。
元気になって、まあばあちゃんと一緒に朝の散歩に行きたいとも……

―――しかし、死期を近くに感じていることも書かれていました―――

まあばあちゃんは、涙で曇る目をぬぐいながら、コクンコクンと頷いて、何度も何度も読み返しました。

ミミちゃんのお母さんと交わしたお手紙の他愛無いけど、暖かいやり取りが思い出されます。
ミミちゃんのお母さんは、まあばあちゃんのことをジロちゃんの〝お母さん″と書いていました。まあばあちゃんはこの年になって〝お母さん"と呼ばれるのは気恥ずかしくて、『おばあさん』と呼んで下さいと、ミミちゃんのお母さんに、お返事したことがありました。
お返事には、
『私もですよ。でも、ミミちゃんのお母さんと書かれた文字を見るのはとても嬉しいです。いくら年をとっても、「おばあさん」より「お母さん」と呼ばれるほうが嬉しいですね。クスッ!』
と、書かれていました。
今、その一つ一つのたわいないやり取りが思い出されて、まあばあちゃんの胸は切なさで締め付けられます。

あの見事な百日紅のある美しい庭の主は、もうこの世にいないのだと思うと、また涙が溢れてきました。

ミミちゃんのお母さんとの出会いです。
まあばあちゃんと百日紅とミミちゃん

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トモちゃんが帰ってきた


「わわわ! どうしたの? ジロ! ミミちゃん!」
いつもはトモちゃんが帰ってくると、ジロとミミちゃんがタタッと嬉しそうに走って出迎えてくれます。おばあちゃんが台所から「トモちゃん、お帰り」と大きな声で言ってくれるのに。
様子が変です。
今日は2匹とも、とっても焦ってワタワタしてトモちゃんに何かを知らせようとしています。
トモちゃんは慌てて、おばあちゃんを探すと、飛び上がって驚きました。
真っ暗です。
部屋の灯りを慌てて点けると、コタツの中で倒れたように横になってるまあばあちゃんがいました。
「おばあちゃん!! 大丈夫?!!!」
「……ああ、トモちゃん」
おばあちゃんが力なく返事しました。
「おばあちゃん、大丈夫?」
「お帰り。いつの間にか、寝てしまったのね。ごめんねぇ。」
トモちゃんはまあばあちゃんが返事をしてくれたのでホッとしました。
「……ミミちゃんのお母さん……亡くなったの」
ポツリと言うとまた目が潤んできました。
「……うん……」
泣き疲れて魂が抜けたようになっている、まあばあちゃんをゆっくり抱き起こしました。
「おばあちゃん、熱いお茶を入れるから、一緒に飲もう」
トモちゃんにそう言われて、まあばあちゃんは、ハッとしました。
「ごめんね、トモちゃん。おばあちゃんがお茶の支度をするからトモちゃんは、早く、着替えてらっしゃい。」
いつものまあばあちゃんは、トモちゃんが学校から帰ってくる時間を見計らってお茶とおやつの用意をして待ってくれています。
今日のまあばあちゃんは気持ちが沈んで、体が思うように動かないみたいです。
「今日ね、ミミちゃんのお母さんが亡くなられたという手紙を頂いたの……」
まあばあちゃんは、お茶の入ったコップを持ったまましょんぼりして言いました。
「おばあちゃん、びっくりしたでしょう。」
「えぇ ……」
「でもね、おばあちゃん。ミミちゃんのお母さんは体は無くなっても、魂になってミミちゃんを見守って下さってると思う。」
ハッとして、まあばちゃんはトモちゃんを見ました。ミミちゃんのお母さんなら、きっとそうしてるとまあばあちゃんもそう思ったのです。
「それに、ミミちゃんのお母さん、もう、痛い思いをせずにすむのよ。」
トモちゃんは続けて言いました。
「……そうね。本当に、そうだわ」
「悲しんでばかりいたら、ミミちゃんのお母さんも困ってしまうと思うよ。ほら、ミミちゃんも心配してる」
ミミちゃんは、いつもと違うまあばあちゃんの様子にどうしてよいか分からないようで、少し離れたところから心配そうに見つめていました。
「ごめんね。心配かけて、ミミちゃん、こっちおいで」
ミミちゃんは少し小首を傾げてから、元気よくまあばあちゃんに走り寄りました。
「私、ミミちゃんのお母さんは、ミミちゃんの幸せを一番、願ってる思うよ。」
「トモちゃんの方がしっかりしてるね。おばあちゃんがこんなだと、ミミちゃんも不安になるわね。そんな事、ミミちゃんのお母さんも望んでないもんね。」
「そうだよ! おばあちゃん!」
幼い頃から、元気で優しくて可愛い、まあばあちゃんの宝物のトモちゃん。
トモちゃんと話してるうちに、だんだんと心落ち着いてきました。

すぐに悲しみは癒えなくても、落ち込んでばかりいてはみんなが心配するよ。まあばあちゃん。 元気出して……!


ミミちゃんのお母さんとの出会いです。
まあばあちゃんと百日紅とミミちゃん

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もう1通の手紙



ミミちゃんのお母さんの手紙と一緒に同封されていたもう1通の手紙は、息子さんからのものでした。
内容は病気の母にずっと手紙を送り続けたまあばあちゃんへの感謝の気持ちとミミちゃんのお礼でした。
簡潔な文面でしたが、息子さんの心がよく表れていて、息子さんがミミちゃんの事を気にかけていたことも分かりました。

外は冷たい木枯らしが吹いているけれど、まあばあちゃんの心はとても静かでした。
まあばあちゃんが送った手紙や写真は、ミミちゃんのお母さんの願いで全て棺の中に収めたと書いてありました。
まあばあちゃんは、ふっとミミちゃんのお母さんが、ミミちゃんの側で笑っているような錯覚にとらわれました。
「これからは、いつでもミミちゃんに会いに来てくださいね」
まあばあちゃんは、そっとミミちゃんのお母さんに語りかけるのでした。
しばらくして、まあばあちゃんはミミちゃんのお母さんの息子さんに手紙を書きました。

―――お母様から頂いたお手紙はこれからもずっと大切にしてまいります。
あの日、百日紅の美しい花の傍でお母様と楽しくお茶をいただいた時は、こんなに早く悲しい別れが来るなんて思いもしませんでしたが……。
ミミちゃんは、私たちの家族として大切に致します。そして、この年寄りを気遣って、お母様の最後の手紙をお送りくださり有難うございました。―――

自分の書いた手紙を見直しながら、まあばあちゃんは本当にいい人に出会えた喜びを噛締めていました。


ミミちゃんのお母さんとの出会いです。
まあばあちゃんと百日紅とミミちゃん

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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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