まあばあちゃんと百日紅の花



この頃は、朝夕に優しい風が吹いて、爽やかな秋の気配が感じられます。
今年の夏はことのほか暑くて、まあばあちゃんも大変でした。
まだまだお昼は日差しが強くて、まあばあちゃんを困らせますが、朝の空気は秋そのものです。
ジロとのお散歩も、とっても楽です。ジロの息もハアハアしません。
どんなに暑くてもジロは散歩が大好きです。だから、まあばあちゃんは少しぐらい足の調子が悪くても、ジロとのお散歩を休んだことがありません。今日もゆっくりとシルバーカーを押してジロと歩いていました。

家々の垣根を越えて覆いかぶさるように、美しいピンクの花をつけた百日紅が、
 〝今年は、去年より何倍も何倍も美しいですよ″と、まあばあちゃんに語りかけてくるようです。

まあばあちゃんは、花や木の話をすることが大好きです。
去年、トモちゃんとお使いの途中で見つけた見事に咲いた美しい薄紅の百日紅の木の下で、こんな話をしました。

「トモちゃん。百日紅の名前の由来知ってる?」
「サルも落ちるくらいツルツルしてるからって聞いたことあるけど……。ホントかな? ヤシの木の方が大変そう……」
現実的なトモちゃんに、まあばあちゃんはフフっと笑って、
「おばあちゃんも、そう聞いたよ 。でも、おばあちゃん、お猿さんはこの美しい花に見とれてツルっと滑ってしまったんだと思うの。」
「そっちの方がいいよね! こんなに見事だもん!」
「そうでしょう! トモちゃんのお花の本を見て驚いたわ。さるすべりは百日に紅と書いてあったのよ。何ともいえない美しい薄紅色の花をつけるこの木にはピッタリやと思った。さるすべりと百日紅、ほんとに美しい花ね」
そんな、トモちゃんとの会話を思い出したまあばあちゃんは、去年のあの百日紅の花に会いたくなってしまいました。
「ねっ、ジロ。少しだけ、おばあちゃんにお付き合いしてね」
まあばあちゃんとジロは、爽やかな風の吹く朝の道をゆっくりと、シルバーカーを押して、去年のあの美しい百日紅の花に会いに行きます。


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百日紅の花の下で

  
まあばあちゃんはジロと一緒にゆっくりと、シルバーカーを押して、去年見た百日紅の花が見事に咲いているお家の前までやってきました。
百日紅の花は、それは美しく咲き誇っていました。
(まあ! 今年も美しく咲いて……)
百日紅の花は爽やかな秋の風に揺れて、まるで、まあばあちゃんを待っていたかのようでした。
「お花お好きですか?」
板塀の戸口が開いて、まあばあちゃんよりは少し若くて、ほっそりした女の人が、声をかけてきました。
「あっ! こちらの方ですか? あまり見事な花なので……。見せていただいております」
「百日紅の花、お好きなんですか。」
「はい。」
まあばあちゃんは、小さくなって答えました。
塀越しとはいえ他人様のお家の花を、何の断りもなく図々しく見ていた自分が恥ずかしかったのです。、
「いつも、お孫さんと一緒に仲良く歩いておられますね」
その人は、優しい笑みを浮かべて、ゆっくりとした口調で言いました。
「私たちのこと、ご存知だったんですか」
その人の温かい心が伝わってきて、緊張していたまあばあちゃんの顔にもいつもの笑顔が戻ってきました。
「ぜひ、お庭の中もご覧ください。今なら虫の音も聞かれますよ。」
そう言って、その人はまあばあちゃんに庭に入るように勧めました。まあばあちゃんは、初めてお会いしたお人の家に入れて頂くのは、厚かましいのではと、ためらっていました。
「どうぞ、お入りくださいませ。虫の音がとっても美しいですよ」
その人は白髪頭をキラキラさせて、まあばあちゃんに手招きしました。
「わんちゃんも、どうぞ。」
まあばあちゃんとジロは、遠慮がちに庭に一歩足を踏み入れました。
そこは、まったくの別世界でした。
苔が敷き詰められ大小様々な庭石が調和良く点在して、ひんやりとした佇まいの美しい庭です。表の道路から見れば、枝もたわわな百日紅の花も庭の一部に同化して、鮮やかな緑の中にひっそりとピンクの花の色を添えていました。それはそれでとても良い感じがしました。
昔、ちいさなトモちゃんを連れて行った京都のお寺の庭の一部をそのまま切り取ってきたような、そんな見事な庭でした。
本当に手入れの行き届いた、住む人の奥ゆかしさを感じることの出来る庭でした。
それに何より嬉しかったのは、お庭の通路伝いに、しっかりとした手すりの付いていることでした。
「素晴らしいお庭ですね。」
まあばあちゃんは心からそう思って言いました。
「近頃は、からだの調子も良くなくて、野草が伸び放題になってしまいました。お恥ずかしいかぎりで御座います。」
その人は、謙遜しましたが、その野草が何とも言えない風情でした。
まあばあちゃんとジロは、しばらく、その見事な庭に見とれていました。

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ジロとミミちゃん


「どうぞ、こちらへ」
庭の中ほどにある木のテーブルのうえに、いい香りのする紅茶と手作りなのでしょうか、色とりどりの可愛いケーキを並べて、勧めて下さいました。
まあばあちゃんは、今までにこんな温かい御もてなしを受けたことがありません。
それに、こんな大きなお家の人と、知り合いになったこともありませんでしたから、まごついてしまいました。そこに、真っ白の小さな犬がジャンプしたかと思うと、その人の膝の上に乗って、まあばあちゃんとジロを見ていました。
「こんにちわ、この子、ジロと言います。仲良くしてくださいね」
まあばあちゃんは、そう言って、真っ白の小さな犬に声をかけました。
「この子の名前は、ミミといいます。ジロちゃん、宜しく御願いします」
その人は、大切そうに抱っこして。ミミちゃんの頭をちょっと抑えて、こんにちわの仕草をミミちゃんにさせました。
「ミミちゃんは、きれいなわんちゃんですね。なんという種類なんですか」
「プードルです」
「プードル・・・プードル・・・」
まあばあちゃんは、ミミちゃんの種類を覚えようと思って何度か繰り返してみました。
「ごめんなさいね。ミミちゃん。なかなか覚えられなくて、これからこのおばあちゃんにも、ミミちゃんと呼ばせてくださいね」
まあばあちゃんは、ミミちゃんに、そっと言いました。
「ジロちゃん。おとなしいですね。今おいくつですか」
まあばあちゃんは、ドギマギしました。
ジロはトモちゃんがシャンプーするのが好きでいつもサラサラしていますが、雪のように白く黒めがちな目のミミちゃんはピカピカに見えました。
朝市で仲良くなって、いつの間にか一緒に暮らすようになったのでこの子の歳はいくつか分からないのですと、小さな声で答えました。
「でも、この前、動物のお医者様に診ていただいたとき、推定6歳ぐらいだとおっしゃてました。」
まあばあちゃんは、とても、あの朝市でのジロのことは言えませんでした。
ガリガリにやせて、ドロドロになって淋しそうな目で、まあばあちゃんをじっと見つめて
(食べ物をください)って言っていたジロの姿を、まあばあちゃんは思い出したくありませんでした。
まあばあちゃんは、ジロの頭を撫ぜて、
「いまの私にとって、この子はなくてはならない大切な存在になりました。ね、ジロ」
ジロも、「そうだよ」と言わんばかりにしっぽをパタパタと嬉しそうに振っています。
ジロを見つめるまあばあちゃんの目に、うっすらと涙が滲んでいました。

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ミミちゃんの行く末



「ジロちゃんは幸せね、こんなに大事にされて」
その人はジロを優しく見つめて言いました。
「私もジロが、いてくれて幸せです。」
まあばあちゃんも、にっこり笑って答えました。
まあばあちゃんの足元でジロは眠そうにウツラウツラしています。
「美しいお庭を見せて頂いて、本当に有難うございました。あの、……そろそろお暇させていただきます。」
まあばあちゃんはそう言って深々と頭を下げて立ち上がろうとしました。すると、引き止めるように少し手を挙げて、
「あっ! 待ってください。……あの……」
その人は、そのまま思いつめた表情になってうつむいてしまいました。

―――暫くの沈黙の後、
「……どうされましたか?」
まあばちゃんの問いかけに、その人は思い切ったように顔を上げました。
「初めてお会いして……こんな御願いをするのは本当に……心苦しいのですが…。あのう…このミミを預かって頂くことは、出来ませんでしょうか?」
体調が思わしくないため、先日、検査を受けたところ病気が見つかり、入院しなくてはいけないとのことでした。ご主人は10年ほど前に亡くなり、それからずっと一人住まいでした。二人の息子さんがいらっしゃるのですが、どちらもマンション住まいで、動物は飼ってはいけない規則がある上に、お兄さんのお嫁さんは犬嫌いで、弟さんの子どもは動物のアレルギーを持っているとの事でした。
まあばあちゃんは、お話を静かに聞いていましたが、ミミちゃんの頭をなでて言いました。
「ミミちゃん。暫く、おばあちゃんのお家へ遊びに来ませんか。ジロの遊び相手になってくださいね。」
「よろしいんですか……? 本当に? …あ…ありがとうございます」
その人は、目頭をそっと抑えて、涙声で何度も何度もお礼を言いました。
「こんな、年寄りなので、至らぬことも多くございますが・・・。大切にお預かりいたします。」
その人は、ミミちゃんを大切そうに抱いて、外に置いていたまあばあちゃんのシルバーカーに乗せました。傍にミミちゃん用の可愛いお洋服を置くと、可愛い骨の模様のついたピンクのリードをまあばあちゃんに渡しました。
ミミちゃんは自分の運命を知っているのか、まあばあちゃんのシルバーカーに入れられたまま必死にシッポを振っていました。なくことありませんでした。ただ、黒いつぶらな瞳でジッと、その人を見つめていました。
「こちらの方にも散歩するので、またお声をかけてください。」
まあばあちゃんがそう言うと、その人は悲しそうに目を伏せました。涙が一杯たまっていました。
まあばあちゃんは丁寧に頭を下げてから、シルバーカーをゆっくり押しました
シルバーカーの中にミミちゃんを乗せて、ゆっくりゆっくり帰るまあばあちゃんとジロの後姿を、その人はいつまでも見送っていました。
ミミちゃんもその人の方を向いて静かにシッポを振っていました。


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トモちゃんとミミちゃん 


   
まあばあちゃんは、背中に視線を感じながら、ゆっくりとシルバーカー押しています。
振り返れば、きっとミミちゃんを連れてあの人のところへ戻って行ってしまいそうで…
ミミちゃんはあの大きな家から一度も出たことがないと聞きましたが、初めての世界なのに、驚きも慌てもせずに落ち着いた物腰で、まあばあちゃんのシルバーカーに乗ったまま、あっちこっちの景色を見ていました。
「ミミちゃん。初めてのお外はどうですか? 怖くないですか」
まあばあちゃんは、ミミちゃんにそっと、声を掛けました。
ミミちゃんはまあばあちゃんに、ちいさな尾っぽを一生懸命振りました。ジロも気づかってかミミちゃんの鼻の頭をペロッとなめました。
シルバーカーから、飛び降りようともせず、お利口にしているその姿は、いじらしくて、まあばあちゃんの涙を誘いました。
(ミミちゃん心配しないで、仲良く暮らしていきましょうね。うちには、やさしいトモちゃんもいるし……ねっ、ジロ)
まあばあちゃんは、そう心の中でつぶやきました。
「ほら、お家が見えてきましたよ。ミミちゃん」
まあばあちゃんが、ほっとしてそう言いました。あれ、向こうからトモちゃんが走ってくるではありませんか。
「心配したのよ、おばあちゃん。」
そう言ったかと思うと
「キャー!! 可愛い!! どうしたの? この子」
トモちゃんは、ミミちゃんを抱き上げると嬉しそうに言いました。まあばあちゃんは、心の準備も出来ないまま、トモちゃんが駆け寄ってきたものだから、どう説明しようかと、まごついてしまいました。
「ジロ、よかったね。兄弟が出来て・・・・」
トモちゃんはミミちゃんを抱っこして、くるくる回りながらジロに言いました。



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まあばあちゃんの言い訳 


「トモちゃん。おばあちゃんね。今朝…、帰りが遅くなってごめんね。」
まあばあちゃんは、トモちゃんに心配かけて申し訳ない気持ちとミミちゃんのことを一言も相談せずに預かったことを悩んでいました。
「ううん、私、気になって探しに行ったの。そしたら、駅前の大きなお家の塀の傍におばあちゃんの車がおいてあったでしょう。でも、おばあちゃんがいないのでビックリしたよ。側の門扉が開いたままになってたし、お邪魔してるのかなぁと思って、呼び鈴を押そうとしたら、おばあちゃんの笑い声が聞こえてきたから、そのまま帰っちゃたの。ごめんね。おばあちゃん。」
(そうだったの、トモちゃんは私を心配して探してくれてたのね。)
まあばあちゃんは自分を心配して探してくれていたトモちゃんに感謝していました。
「学校の時間、大丈夫?」
「まだ、大丈夫よ」
まあばあちゃんは、さっき渡されたミミちゃんのお洋服をトモちゃんに見せました。
「わぁ、可愛い。」
トモちゃんは、ミミちゃんのお洋服に感動していました。
「これは、レインコートね。」
ピンクの肉球模様のお洋服を見てトモちゃんが言いました。
「冬用のコートもあるの? ミミちゃんはオシャレね。」
トモちゃんは、まあばあちゃんの差し出すミミちゃんのお洋服を、右手で丁寧に畳んで、左手でミミちゃんを抱っこして言いました。
「ごめんね、トモちゃん。ミミちゃんのこと…。なんの相談もせずに、勝手にお預かりしてきて。」
「どうして? おばあちゃん。私だってこんな可愛いミミちゃんを預かってくださいって、御願いされたら、「はい」って言ってしまいまちゅ。」
と言って、トモちゃんは、ジロとミミちゃんを両手に抱き寄せて、頬擦りしました。
「ジロは、これからお兄ちゃんだね。可愛い妹が出来てよかったね」
ジロは、トモちゃんのほっぺをぺろぺろなめて、シッポをちぎれるほど振っています。
きっと、ジロも嬉しいのでしょうね。


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まあばあちゃんのおはぎ 

   
今日は、日曜日。ミミちゃんをお預かりしてから3日たちました。
ミミちゃんを預かったあの日、おいしい手作りケーキを頂きました。みんなでおいしくいただきました。そのお返しといってはナンですが、まあばあちゃんは朝から張り切っておはぎを作っています。
小豆を煮て、もち米を蒸して、手際よく、重箱に並べていきます。
「わぁー、おいしそう」
トモちゃんが起きてきました。
「あら、ジロもミミちゃんも起きてたの。」
トモちゃんは、まあばあちゃんの足元で嬉しそうにシッポを振っている二匹に、かがみこんで頬擦りしました。
「おばあちゃん、ひとつ、食べてもいい。」
そう言って、トモちゃんはおはぎを頬張ると「おいしい」といって、ジロとミミちゃんにも小さく切ってあげました。ジロもミミちゃんも甘いものが大好き。ホントはダメだけど少しだけネ!
「どうしたの、こんなにたくさん」
「ちょっと、作りすぎたかしら。」
まあばあちゃんは、テーブルの上にきれいに並べらたおはぎを見て、困った顔をして笑いました。
「ミミちゃんのお母さんに、お届けしようと思って作ってみたんだけど…」
「ああ、それで! きっと喜ぶよ。じゃあ、おばあちゃん、私も一緒に行く!」
「ありがとう。きっと心配されてると思うから、元気な様子を見せて安心してもらえたらと思うのよ。」
「そうやね! ミミちゃん、だいぶ家になれたみたいだし、ジロとも仲良しだしね。」
そうなんです。トモちゃんの言うとおり、ミミちゃんはずーっと昔からこの家にいたような錯覚をおこすくらい馴染んでいます。
ミミちゃんは、朝、目が覚めると一緒に寝ているまあばあちゃんとジロを起こします。
今までは、まあばあちゃんの目が覚めたとき、ジロを起こして散歩に行っていました。
でも、今、家一番の早起きはミミちゃんです。ミミちゃんは散歩が大好きです。
お散歩のとき、まあばあちゃんの、シルバーカーにピョーンと飛び乗って、今か今かと、まあばあちゃんとジロを待っています。ジロはシルバーカーを押すまあばあちゃんに、寄り添うように歩きます。そんな2匹がまあばあちゃんは、可愛くてしかたありませんでした。

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ミミちゃんのお家へ


 
「おばあちゃん、今日は車椅子で行こう。おはぎ作りで疲れたでしょう。」
「そんな、もったいない。おばあちゃんは大丈夫だから。」
「いいの、いいの。おばあちゃん。早く、温かいうちにお届けよう。」
「ありがとう。トモちゃん。」
まあばあちゃんは、トモちゃんの押す車椅子でミミちゃんのお家に行くことになりました。
車椅子に乗ったまあばあちゃんの膝の上に、ミミちゃんはちょこんと乗ってシッポを振って待ってます。トモちゃんは、パスコのパンを買うともらえるリサとガスパール模様のトートバッグを、車椅子の後ろに掛けました。その中にまあばあちゃんの作ったおいしいおはぎをいれて…。
おはぎをいれた桜模様のお重箱にトモちゃんが可愛くラッピングしました。
こぐま模様の包装紙でラッピングしているとき、まあばあちゃんは、トモちゃんの心遣いの温かさに感心して見ていました。
(きっと、ミミちゃんのお母さんは、心から喜んで下さる。そんな気がするわ。トモちゃんありがとう。)
「トモちゃんは、なんでも上手に出来るのね。」
「これは、おばあちゃん譲りです。だって、おばあちゃんは、お世話になった人に何か持って行く時、必ず、綺麗な風呂敷に包んでるでしょ。あれと一緒よ。」
そう言いながら、トモちゃんは、こぐま模様の包装紙の上に、赤いリボンをかけました。
「あれ、私、間違たかなぁ。これじゃ、おばあちゃんのせっかく作ったおいしいおはぎが、ぜーんぶ、こぐまに食べられちゃいそう。赤と黄色のチエックの包装紙もあったのにあっちにすればよかったな。」
トモちゃんは、綺麗にラッピングした後、そう言ってちょっと、しょんぼりしていました。
「ううん、トモちゃん。おばあちゃんは、こぐまさんの方が良かったと思うわ。とってもかわいいもの。」
まあばあちゃんはションボリしている、トモちゃんに優しく笑って言いました。
本当にトモちゃんは可愛くラッピングしたんですよ。赤いリボンを幾重にも重ねて、バラの花の様に美しく飾りつけて。
さあ、あの美しい百日紅の花の咲く、ミミちゃんのお家に向かいます。
まあばあちゃんとトモちゃん。そして、ジロとミミちゃん。
「さあ、いくわよ。」
ゆっくりと車椅子が動きます。
トモちゃんの掛け声でジロが歩き出しました。
「まあ、ジロはいつもより張り切って・・・」
その声に振り返ったジロの嬉しそうな顔。まあばあちゃんと目が合って幸せそうに笑って返事をするようにシッポを振り返しました。ミミちゃんはまあばあちゃんの膝の上でうつらうつら。
「今日は、少し早起きだったから。」
まあばあちゃんは、膝の上のミミちゃんを、そっと撫ぜながら言いました。
爽やかな秋の日、ミミちゃんの一番大切な人に会いに行くのよ。目が覚めたとき、ミミちゃんはきっと、びっくりするくらい喜ぶでしょうね。

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ミミちゃんの家に着いたよ



あの美しい百日紅の花が見えてきました。ミミちゃんの家です。
(喜んでいただけるかしら。)
まあばあちゃんは、ミミちゃんの家が、近づくと急に自信が無くなってきました。
(みんなで、押しかけてきて迷惑じゃなかったかしら。)
だんだん、気の小さくなるまあばあちゃんでした。
「おばあちゃん。ミミちゃんのお家よ。」
と、トモちゃんが明るい声で言いました。
「いらっしゃるかしら。」
と、まあばあちゃん。
トモちゃんは、立派な門構えのミミちゃんのお家の側に、まあばあちゃんを乗せた車椅子を止めると、
「インターホン押して見るね。」
と言って、一回押しました。しばらく待ってみても物音一つしません。
「お留守みたいね…。おばあちゃん。」
がっかりしている様子のまあばあちゃんをみて、トモちゃんは、
「もう一度、インターホンを押させてもらうね。」
そう言って、再びインターホンを押しました。やっぱり何の返事もありませんでした。
「どうしようか。おばあちゃん。」
トモちゃんとまあばあちゃんは、困ってしまいました。
「ごめんね、トモちゃん。仕方ないから帰りましょうか。」
「……うん。」
トモちゃんは、しょんぼりしているまあばあちゃんの肩をきゅっと抱いて、
「また、来よう!  ねっ! これ見て!」
と、元気よく言うと、ウエストポーチから可愛い犬模様の封筒を取り出して、まあばあちゃんに見せました。
「あら、これは、この前トモちゃんが撮ったジロとミミちゃんの写真ね。二人とも可愛い顔をして。」
まあばあちゃんの顔が、ほころんでいくのがわかりました。
ジロとミミちゃんが仲良くお昼寝している姿や、まあばあちゃんに甘えている姿を撮ったものでした。
「きっと、ミミちゃんのこと心配してはると思うの。おばあちゃん、これポストに入れよう」
まあばあちゃんは、(うん、うん。)と頷きながら、トモちゃんに「ありがとう」といいました。
「さあ、帰りましょうか。」
トモちゃんとまあばあちゃんの二人は、どちらからともなく言って、車椅子を方向転換させました。
「ジロ、帰ろう。ミミちゃんごめんね」
なのに、ジロだけ帰ろうとしません。どうしちゃったの、ジロ。

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近所の奥さんが…



トモちゃんとまあばあちゃんが、帰ろうとしないジロをなだめていると、お買い物帰りの女の人が、つかつかと寄って来ました。
「あら、ミミちゃんじゃありませんか? ミミちゃんでしょう!」
「はい。」
まあばあちゃんは、ミミちゃんをお預かりしたいきさつを、詳しくその人に説明しました。
「こちらの奥さん、ミミちゃんの事を心配しはって、大分悪いらしいのに入院をためらってはったのよ。うちはネコがいるしねぇ」
まあばあちゃんは、あの日出会った上品で奥ゆかしさの漂うミミちゃんのお母さんのことを思い浮かべて、どんなに御辛かっただろうと思い、胸の奥が痛みました。
「―――もう、ここの奥さん、この家には帰ってこないかも……、息子さんも大変よねぇ」近所の人と思われるその奥さんから、いろいろ事情を聞いたまあばあちゃんは、いたたまれず、その場を離れようと思いました。
「……あ、あの…、いろいろ、教えていただいて、有難うございます」
深々と頭を下げてお礼を言うまあばあちゃんに、その人は、
「ミミちゃんも、良かったね。いい人にもらわれて。」
と、言いながら立ち去って行きました。
まあばあちゃんは、その人に小さく会釈すると、膝の上でキューンと鳴いたミミちゃんをそっと撫ぜました。
まあばあちゃんは、もう二度とこの家に来ることが無いかも知れない、と思いました。
(いつまでも…いつまでも…、まあばあちゃんの後ろ姿を祈るように見つめていたあの人は、この家にいないんだ・・・。)
留守だと思っていた先程とは違って…主のいない家の淋しさが、まあばあちゃんたちの胸にシンシンと伝わってきます。
(ミミちゃんは大切にお育てします。早く元気になって、逢いに来て上げてくださいね。)
まあばあちゃんは、祈るような思いでミミちゃんの家を後にしました。



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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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