離婚届



今朝は、梅雨の晴れ間、しかもジメジメしていなくて爽やかな朝です。今日は2回お散歩が出来そうです。
「今日は気持ちよくお散歩が出来ますよ!」
まあばあちゃんの足元をクルクルまわっているジロとミミちゃんに言いました。
表に出ると、お春ちゃんが立っていました。まあばあちゃんは驚きました。
「お春ちゃん! どうしたの?」
この春、まあばあちゃんの近くに越してきたお春ちゃん。
朝一番の散歩を一緒にしています。いつもはまあばあちゃんがお春ちゃんを迎えに行きます。その次にお豊ちゃんを二人で迎えに行きます。最初に公園に行ってからこの町をくるくる散歩します。
ところが、お春ちゃんは先に来ていました。今日のお春ちゃんはなんだかゲンナリしていました。昨日はいつものお春ちゃんだったのに……
「お春ちゃん?」
まあばあちゃんがもう一度呼びかけると、お春ちゃんは悔しそうな顔をして、一枚の紙を差し出しました。
「まあちゃん、これ、見てよ……」
まあばあちゃんは老眼が強いので、一番大きい文字でも、すぐには見えません。
ジーッと見ていると、ボワッと文字が浮かんできました。その文字は……

―――離婚届――――

「お春ちゃん、これ……!」
「ポストに投げ入れられててん。封筒にも入れんと……」
お春ちゃんは苦しそうに表情をゆがませました。
さらに読み進むと、昭雄さんの記入欄の署名と捺印はすんでいました。
邦ちゃんの記入する欄に鉛筆で丸がしてありました。
邦ちゃんにハンコを押して、役所に出しておけと言う意味でしょう。
「これ、邦ちゃん、知ってるの……?」
「ううん。知らんと思う。夕刊取りに来た時は無かってん、朝刊の時に気ぃ付いたし。晩の雨で濡れてへんて事は、朝一に入れたんちゃうかな。」
邦ちゃんが、一番に取らなくて良かったと、まあばあちゃんはホッとしましたが、知らせないわけにもいきません。どうしたものでしょう……。
(なんで、邦ちゃんばっかりこんな目に……)
まあばあちゃんの目に涙が滲んできました。
こういう結果になることは、あの女の人が邦ちゃんの家に入り込んで来た時から、皆、覚悟していたでしょうが、どこかで希望も持っていました……。邦ちゃんのご主人の目が覚めるのではないかと―――
(離婚届をむき出しのままポストに投げ入れるなんて……)
まあばあちゃんは、邦ちゃんの気持ちを思うと胸が締めつけられるようでした。


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思い出



「どうしょう、まあちゃん、私、これ邦子に渡すなんて、できへんわ。」
「…………」
まあばあちゃんも答えが見つかりませんでした。
「昭雄さんの頭の中、どないなってんねやろ。腐ってるわ」
まあばあちゃんもそう思いました。
まあばあちゃんだって、これまでに、近所や会社で些細なことがきっかけで、もめてしまったり言い合いになったりしたことはありました。
ケンカをしていても、よく話し合えば、誤解が解けたり納得できたりと、分かり合えるものです。
でも、昭雄さんは……。

お春ちゃんは、投げ入れられた離婚届を握りしめて、真っ赤な目で言いました。
「こんな仕打ちされて、邦子が可哀想でたまらん!」
「お春ちゃん、それ、しまいましょう。人目に付くといけないから……」
「あ……うん。そやね……」
お春ちゃんは、慌てて巾着袋の中に離婚届を入れました。
通りの向こうからウォーキング中の人が、こっちの角からワンちゃんを散歩している人がと、あちこちから人が現れました。

お春ちゃんは、朝の散歩で、以前住んでいた家の前を通ります。
町の不動産屋さんに買い取ってもらったのですが、家は当時のままそこにあります。違うのは花好きなお春ちゃんがいないために、花は枯れて落ちた葉も散ったままになり、庭は荒れてしまっていますが……

お春ちゃんは家の前まで来ると、静かに立ち止まります。
お春ちゃんは時が止まったような眼をして、家を見つめています。
邦ちゃんの小さい頃などを思い出しているのかもしれませんね。長年住んでいた家です。たくさんの思い出が詰まっているのですから……
 

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大嫌い



「お春ちゃん、どうしたん!」
お豊ちゃんが、目を真っ赤にして涙を我慢しているお春ちゃんに驚いて言いました。
「お豊ちゃん、これがポストに入れられ取とってん……」
お春ちゃんは、そっと巾着袋を開けて離婚届を見せました。
「! ……」
お豊ちゃんは、言葉を失いました。
「わたし、邦子に、どない言うて……。この事、話したらええんやろ……」
お春ちゃんは力なく言いました。
まあばあちゃんも、ずっとその事で頭を悩ませていました。邦ちゃんの心の傷が軽く済むようにするには、どう言えばいいのか……。
それに、昭雄さんには言ってやりたいことが山ほどあります。自分がどんな大切な人を捨てたのか“あんなに、気立てが良くて働き者の奥さんをあんな目に合わせて、みんな昭雄さんの事を酷いと思っていますよ”それから……それから……
「そんなん、話すことないわよ! 破ってポストに返しといたらええのよ!」
いつもおとなしいお豊ちゃんとは思えない言葉に、お春ちゃんの涙は引っ込みました。まあばあちゃんもビックリしました。
「お豊ちゃん?」
「だって、そうじゃないの! そんなん離婚なんてしたらアカン、あの人らの思う壺じゃないの! あんな薄気味悪い人ら、私だって大嫌いや! 言う通りなんてしたらアカンよ!」
お豊ちゃんが、ポロポロ泣き出しました。まあばあちゃんとお春ちゃんは驚いて言葉が見つかりませんでした。
お春ちゃんが、ハッとしたように向こう側を見つめました。
「……邦子……」
まあばあちゃんとお豊ちゃんが驚いて振り返りました。
邦ちゃんが、こちらへ向かって走っていました。


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怒り



「おはようございます!」
走ってきた邦ちゃんは、息を弾ませながら、まあばあちゃんとお豊ちゃんに、会釈しました。
「邦子、そんなに走って、足、大丈夫か?」
お春ちゃんが邦ちゃんを気遣いました。
「大丈夫よ。」
邦ちゃんは今にも泣き出しそうでした。
まあばあちゃんは、こんな込み入った話を外でしているなんてと気がつき、ガレージの中に入るようにすすめました。まあばあちゃんの家のガレージはシャッターがあるので外からは見えにくいのです。
ジロはみんなの様子に何かを感じているらしく、おとなしく家に入りました。ミミちゃんは、“エエー!ヤダッ”と踏ん張りましたが、
「後でちゃんと行きますからね」
と抱えられてしまいました。門を閉めてリードを離しても、ミミちゃんはまあばあちゃんの足元にまとわりついています。ジロがミミちゃんの首をカプッとかむと、裏庭へ走って行きました。ミミちゃんは怒ってジロを追っかけて行きました。

「邦子、どないしたんや。」
お春ちゃんが、一番に口を開きました。
「お母ちゃん、ポストに離婚届、入ってた?」
みんな、シーンとなりました。
「な、なんで、それを……」
驚きのあまり、お春ちゃんの声はひっくり返っています。
「今ね、家に電話がかかってきたの。離婚届をポストに入れといたから、名前書いて役所に出しとくようにって」
「それ、昭雄さんから……」
「ううん。たぶんあの女の人の母親……」
「邦子、お母ちゃん、昭雄さんに文句言うてくるわ!」
お春ちゃんは、声も体もプルプル怒りで震えています。
「お母ちゃん、もういいの。そんなんやめて! 今日、役所に行ってくるから……」
邦ちゃんは、お春ちゃんを止めています。
まあばあちゃんは、どうしていいか分からず、ただ茫然としていました。


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決意



邦ちゃんは、母親のお春ちゃんをなだめるために、優しく背中をさすりました。
「お母ちゃん、私、これでよかったと思ってるんよ。いつまでもこのままじゃ前に進まれへんもん。今日、離婚届を出しに行ったらホッとするように思うわ。ごめんね。お母ちゃん、苦労ばっかりかけて……」
邦ちゃんの声は震えていました。そして、大粒の涙が後から後から落ちていました。
「邦ちゃん、それでいいの?」
まあばあちゃんは、堪らず聞きました。
「はい。こうなったのは、私も悪いと思うんです。子どもができなかったこともあると思います。結婚しているといっても、昭雄さんは会社、私はパート。休日と言っても、私は、掃除に洗濯、昭雄さんはゴロ寝してテレビばかり見てるし。会話もなくて……。だから主人は、つまらなかったのかもしれません。」
淋しく笑って、邦ちゃんは続けました。
「それに、私、今の方が楽しいんです。母といろんな話をして、幸せです。他愛無いことを褒め合ったり、笑ったりすることがこんなに楽しいなんて……。もうずいぶん長い間、忘れていました。」
邦ちゃんは泣きすぎて、鼻が真っ赤になっていましたが、目の光はしっかりしていました。迷いは感じられませんでした。まあばあちゃんが小さく頷くと、邦ちゃんはお春ちゃんの肩をそっと抱きしめて言いました。
「だから、ごめんね、お母ちゃん、離婚してスッキリしたいの……。」
「……邦子! 邦子~~!」
お春ちゃんは邦ちゃんにしがみついてワンワン泣き出しました。
 

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邦ちゃんのいなくなった家 

 

二人の姿を見ていると、まあばあちゃんも、ひとりでに泣けてきました。
こんなに優しい邦ちゃんがどうしてこんな目に合わなくてはいけないのでしょう……

邦ちゃんは、今時のお嫁さんには珍しく、一所懸命、昭雄さんのために尽くしてきたと思います。昭雄さんはいつ見ても、キチッとアイロンのかかった服を着ていました。自動車もピカピカに磨かれていました。庭もキレイな花を上手に並べて、小さいながらどこかの外国のお庭のようでした。

―――今は――――

庭の花は枯れ果てて、草はボウボウ。車は埃だらけ……。
少し前に見かけた昭雄さんは、ヨレヨレの服を着ていました。お春ちゃんの引っ越しの時と同じ服を着ていたような……

同じ家なのに邦ちゃんがいなくなったことで、こうまで変わるものかとまあばあちゃんは驚いていました。
邦ちゃんを追い出して、女の人が二人も家にいるのに、酷い有様です。
お春ちゃんと邦ちゃんが、まだ隣に住んでいた頃は、
“車を洗いに来い”だの“飯を作りにこい”だのと、邦ちゃんを呼びつけていたそうですが、そんなことは同居している女性に頼むか昭雄さんが自分ですればよい事です。昭雄さんが邦ちゃんに言ったのですから、
―――出て行け―――

まあばあちゃんが泣いているのに気付いて、お豊ちゃんが肩をそっと抱いてくれました。


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用済み


「昭雄さん、邦子が用済みになったんやなぁ」
お春ちゃんの言葉に、まあばあちゃんもお豊ちゃんも飛び上がりました。
邦ちゃんは、濡れたまつげを伏せたまま、うつむきました。
まあばあちゃんは、思わず大きな声で怒りました。
「お春ちゃん! なんてこと言うの!」
お豊ちゃんは固まっています。
「……こうなったら、見栄も何もないわ……。まあ、聞いて……」
お春ちゃんは諦めたように話しはじめました。
「昭雄さんには、兄と姉がおるねんけど、両親とも邦子が介護したんや。父親のほうは大病患って寝たきりや。母親もシモの世話が嫌で、自分はちっともせんと、みーんな邦子に押しつけたんや。そのうちに母親も痴呆になって、夜な夜な徘徊するのを邦子が探し回っててんよ。それだけやない。家中、ウンコ垂れながすんや。昭雄さん言うたら、母親に汚いあっちいけ言うし……邦子は耐えてに耐えて……。最後にこの仕打ちかと思うと殺してやりたいくらい腹立つわ……!」
まあばあちゃには、かけるべき言葉が見つかりませんでした。
どんな慰めの言葉も無意味でしょう。
体が弱く病気がちのお春ちゃんを気遣って優しい娘さんだと思っていた邦ちゃん……。そんな大変な中から、お春ちゃんの様子を見に来ていたのです。
みんな、言葉もなく、うつむいていました。


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泣いている4人と恭子ちゃん



「あら、お早うございます。みんな揃ってどうしたの? お茶入れるから上がったら?」
トモちゃんのお母さんの恭子ちゃんです。
今気づいたような話しぶりですが、みんなのただならない様子にいつ声を掛けたらいいのか悩んでいました。そうするうちに、おばあちゃんの大声です。恭子ちゃんは思い切って話しかけてみました。
すると、4人とも泣いています。
「恭子ちゃん……」
まあばあちゃんは呟くように言いました。
「行ってきます」
遠慮がちな小さな声がしました。トモちゃんです。心配そうにまあばあちゃんを見ながら、みんなに会釈して出かけて行きました。
(もうトモちゃんが出かける時間になっていたんだわ……)
まだいくらも経っていないような気持ちだったので、まあばあちゃんは、驚きました。
「どうしたの? 何があったの?」
恭子ちゃんも邦ちゃんの家の事情は知っていますが、このことをお春ちゃん達の前で説明することに戸惑いました。すると、邦ちゃんが口を開きました。
「離婚届に署名して今日にも役所に出しとくようにって、電話があったんよ。ポストに昭雄さんの署名を済ませたのが入ってるからって……」
「そうなん……」
恭子ちゃんはまあばあちゃん達のように、驚きませんでした。
「恭子ちゃんは、ビックリしないの? ポストに離婚届が投げ入れられてたんよ。むき出しでよ……!」
まあばあちゃんは恭子ちゃんに思わず聞きました。
「あんな常識知らずの人でなしよ。何をしてもおかしくないやん。」
「それは、そうだけど……」
まあばあちゃんは恭子ちゃんがパキパキ言うのでマゴマゴしてしまいました。
「良かったやん。邦ちゃん。あんな邦ちゃんの良さも分からないアホとは、さっさと別れて、慰謝料がっぽり貰わなくちゃ……」
お春ちゃんもお豊ちゃんも恭子ちゃんの言葉にアングリしています。さっきまで昭雄さんのひどい仕打ちに涙していたのに、恭子ちゃんは昭雄さんと事を構える話をしています。
恭子ちゃんには良い案があるのでしょうか?


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新しい気持ちになるために



「邦ちゃん、準備してる?」
恭子ちゃんの問いかけに、邦ちゃんはピクッとなって下を向きました。
「邦ちゃん、どうしたの?」
恭子ちゃんが心配そうに邦ちゃんの顔を覗き込みます。
「ごめんね。恭子ちゃん……。」
「恭子ちゃん、準備って何? 何の話をしてるの?」
まあばあちゃんが恭子ちゃんに聞きました。
「うん、昭雄さんもあの前髪の女の人も、邦ちゃんに酷いことばっかり言うから、録音したらって言うててん。こういう問題は証拠がないと声の大きい方が得をすると思って……」
「恭子ちゃんは、ありがとう。ごめんね。心配かけて……、でも昭雄さん、もうお金なんてないと思うし……。私、早く離れたい……。もう、疲れてしまってん。」
「でも、こんなに酷い目にあってるのに、気がすまへんのと違う?」
「ううん。これでいいの。離婚できるだけでいいの……」
「邦ちゃん……!」
「今日、ヘルパーの仕事は午後からだから……、区役所開いたら、一番に行ってくるわ……」
「じゃ、私もついて行くわ!」
「一人で大丈夫よ。私もこれからはしっかりしなあかんから…」
「邦子、私も行くわ……」
「だめだめ! 邦ちゃんは今までの事を断ち切るために、行くんだから。お春おばちゃんは来ちゃダメ。私たち二人で行くわ」
恭子ちゃんにきっぱり言われて、お春ちゃんは少しショボンとなりました。でも、まあばあちゃんは……
(それがいいかもしれない……。お春ちゃんは一緒に行かないほうが良いかもしれない。
私もお春ちゃんもお豊ちゃんも、どうにかして昭雄さんに邦ちゃんを想ってくれるようになってほしい。女の人と別れてほしいと……、こんな事になっても、まだ、心のどこかで望んでる。これでは、気持ちで負けてしまうわ……。きっと恭子ちゃんが正しいわ。)

まあばあちゃんは、恭子ちゃんが来てくれたことで、みんなの気持ちが少しだけ前を向いたような気がしました。


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区役所へ



今日、邦ちゃんは離婚届を提出するために、区役所に向かいます。
恭子ちゃんの
―――今までのことを断ち切るために―――
この言葉を聞いたとき、邦ちゃんは、まるで雷に打たれたように固まっていました。。
きっとこの言葉は、邦ちゃんの心の中で言葉にならずにモヤモヤしていた塊を言い当てたものだったのでしょう。
自分から離婚を切り出す勇気も、また、こんな形で離婚を突き付けられても、心ならずも言いなりの邦ちゃん。心はずたずたに違いありません。

そうです。
同じ離婚届を提出するといっても、邦ちゃんの気持ち次第で、全く違う意味を持ってきます。

自分の意志で
今までの事を断ち切るために
離婚届けを提出するのです。

まあばあちゃんとお春ちゃんは、結局心配で、散歩と称してもう一度外へ出ました。邦ちゃんより先に区役所に行って見守ろうと思ったのです。
お豊ちゃんにも来てもらおうと思いましたが、お豊ちゃんの家は、昭雄さんと女の人の家族が住んでいる家の隣なので、行くのは止めることにしました。

もう陽が高くなってきました。ガンガン太陽が照りつけてきます 。
「お春ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫や。いつも散歩で歩いてるもん」
お春ちゃんは汗を拭きながら、言いました。そうはいっても、散歩は家の近くをぐるぐる歩いているだけだし、公園で休むこともできます。
駅に行くよりは近いのですが、区役所までの道には木陰で体を休める場所はありません。
区役所が見えてきました。
「やれやれ、やっと着いた……」
お春ちゃんは、疲れたように花壇の側のベンチに腰掛けました。
まあばあちゃんもお春ちゃんの隣に座りました。
花壇には綺麗な花が彩りよく植えられていましたが、今日の二人は花なんてちっとも見ていませんでした。
「あ! 邦子や!」
邦ちゃんが自転車に乗ってやってきました。
「あら、邦ちゃん、自転車乗れるの?」
前髪の女の人を助手席に乗せたご主人に、邦ちゃんが置いてけぼりにされたあの日、たくさんの荷物を持って歩いていました。
「あんまり得意とちがうねんけど、ヘルパーの仕事するんやったら自転車ぐらいは乗れんとどうもならんみたい……」
「そう……」
恭子ちゃんは一緒ではありませんでした。
邦ちゃんは一人で提出することにしたようです。
少し足が不自由な邦ちゃんは、ちょっとだけ不器用に自転車を降りると、駐輪場に止めました。


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Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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