震える小さな犬



昨日から凍えるような冷たい日が続きます。
天気予報では今日の最低気温は2℃と言っていました。
こんな冷たくて寒い日でも、ジロとミミちゃんはとても元気です。
早くお散歩に行こう!と、まあばあちゃんの周りをクルクルピョンピョンして飛び回ります。
空は朝から重たくてどんよりしているけれど、まあばあちゃんは、きょうも日課のお散歩に出掛けます。
「さっ、ジロもミミちゃんもお散歩に行きましょう。」
まあばあちゃんは、いつもの散歩コースをいつものようにゆっくりとシルバーカーを押して歩いていました。
最近はこの辺りも、古いお家を壊して、そのあとに新しく綺麗なお家が建ち並び始めました。その一軒のお家の庭に小さな犬小屋が置かれていて、茶色と黒の小さな犬がつながれています。ミミちゃんと同じくらいの大きさです。
この寒いのに座布団が1枚入っているだけでした。
その小いさな犬が外に出されたのは、二,三日前のことです。赤ちゃんが生まれたので、犬がいると赤ちゃんに悪いということらしいです。
こんなに寒いのに、急に外へ出されて小さな犬は震えています。まあばあちゃんは気になって、気になって仕方ありません。
まあばあちゃんが、ジロとミミちゃんを連れて側を通ると、
ワンワンワン! ワンワンワン!
と一生懸命吠えます。その声はまるで泣いているようです。
まあばあちゃんには、「寒いよ、寒いよ! 助けて!!」と言っているように聞えます。
一般的に犬は寒さに強いといわれていますが、そんなの嘘です。ジロのように中くらいの大きさの子でも今日のような寒い日は、ご飯とお散歩とトイレ以外はコタツから出てきません。もちろん、ミミちゃんも一緒です。
もし、その新しいお家の人と、出会うことができれば、まあばあちゃんは思い切って声を掛けたいと思っています。
「ワンちゃんも寒がりなんですよ。せめて玄関に入れてあげて下さい。」
ううん
「わんちゃんのことで、お困りでしたら、何かお手伝いさせてください。」
これも不躾かしら……。
初めて会う人に、いきなりこんなことを言っていいのかどうか、まあばあちゃんは悩みます。
でも、寒さに震えるあの小さな犬のことを思うと、居ても立ってもいられません。
朝の散歩で、会う人の中には、
「あそこの、わんちゃんのこと、ご存知ですか? 可愛そうで、私見てられなくて、散歩コースを変えましてん」
と、言う人もいます。でもまあばあちゃんはお散歩コースを変えることはありません。
あの子のお家の人に会えるかもしれないし、もしかしたら、

『もらってください』

と、張り紙がしてあるかも知れないからです。
まあばあちゃんは、今日もゆっくりとそのお家の横を通っていきます。

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助けたい


今日も寒いです。堺の町にもとうとう本格的な冬将軍がやって来ました。
「おばあちゃん、あんまり寒い日はお散歩休もうね。」
トモちゃんが心配して言いました。
「大丈夫よ。トモちゃん。これくらいの寒さ。」
「でも、今日の寒さはいつもと違うよ、おばあちゃん。」
「歩いたほうが、足に良いみたいなの。だから大丈夫、心配しないでね。」
「もう少ししたら、私、冬休みになるんだけどなあ。そしたら、一緒に行こうね。おばあちゃん。」
「楽しみね。トモちゃんと一緒だと楽しいもの。」
まあばあちゃんは、あの寒さに震えて泣いている小さな犬の事をトモちゃんに言っていません。
きっと、トモちゃんも苦しむことが分かっているからでした。
まあばあちゃんも、苦しんでいました。朝のお散歩の時間をいろいろ変えても、そのお家の人になかなか出会うことが出来ませんでした。
日に日に寒さは増すばかり。何回かそのお家の周りを回っても会うことが出来ません。まあばあちゃんは焦る心で、今日もそのお家の周りを回ります。
(助けたい、)
本当に心から、そう願うまあばあちゃんでした。
ジロは、そんなまあばあちゃんの心が分かるのか心配そうに小さな犬を見ています。
ミミちゃんには、分からないようです。立ち止まるとまあばあちゃんにジャレ付いてきます。その様子を見ていると、余計に小さな犬のことが哀れに思えました。
(もし、あの子が、私のところに来てくれたなら、お腹いっぱいご飯を食べて、あったかいお布団で寝させてあげるのに……)
まあばあちゃんの思いは募ります。

小さな犬は、吹きさらしの場所に小さな小屋を置いてもらって暮らしています。

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まあばあちゃんの願いごと



今日からトモちゃんの学校の冬休みが始まりました。
「う~、寒む~。あっ! おばあちゃん、もう散歩に行くの? 私も一緒に行きたい!」
まあばあちゃんがごそごそとジロとミミちゃんに胴輪を付けて、散歩に行く準備をしていると、トモちゃんが声をかけてきました。
「あら、トモちゃん、今日からお休みなんでしょう? ゆっくりすればいいのに。」
「ううん、私も一緒にお散歩に連れてって、おばあちゃん。」
「寒いわよ、トモちゃん。」
「平気よ。ジロたん、ミミちゃん、私も一緒に連れてってね」
ジロもミミちゃんも、トモちゃんが一緒に散歩に行くと聞いて嬉そうにピョンピョンしています。でも、まあばあちゃんは、ちょっと困っていました。
トモちゃんにまだ小さな犬の事を話していないからでした。
トモちゃんに、あの可愛そうな小さな犬のことをどう説明するか悩んでいる間に今になってしまいました。
今日は違う道を行く?
でも、あの小さな犬に会いたいし、それに今日こそお家に人に会えるかもしれません。
本当に迷います。
「どうしたの? おばあちゃん、考え込んで。」
トモちゃんが心配そうにのぞきこみます。
「大丈夫? 足、痛いの? 神経痛でた?」 
優しいトモちゃんは、まあばあちゃんの体の心配をしています。
優しいけど大きくなってシッカリしてきたトモちゃん。
まあばあちゃんは、思い切ってトモちゃんに打ち明ける決心をしました!
「トモちゃん。おばあちゃんね、今とても悩んでいることがあるの。トモちゃんにお話を聞いてもらった方がいいのか、それも悩んでいるの。」
「おばあちゃん。私が悩んでるときは何でも聞いてくれるやん。おばあちゃんが悩んでるときは、私も一緒に悩みたい。だからどんなことでも教えてほしいな。」
まあばあちゃんは、あの小さな犬のことを、できるだけトモちゃんの心が傷つかないように言葉を選んで話しました。トモちゃんはこわばった顔をして小さな犬のことを聞いていましたが、
「おばあちゃん、その子のところへ早く行こう!」

―――外へ出ると、空はまだうす暗がりです。―――
凍えるような寒さの中、まあばあちゃんとトモちゃんは、ジロとミミちゃんを連れてあの小さな犬のところへと向かいました。
まあばあちゃんの頬に冷たい外気が刺さります。
お家の人に愛されることも無く、寒さに震えながら小さく丸くなっているあの子。
助けられない自分が情けなくなって泣けてきました。
ワンワンワン! ワンワンワン!
まあばあちゃんは、小さな犬の鳴く声にハッと我に返りました。
「おばあちゃん、この子ね。」
まあばあちゃんは、頷きました。
道路から小さな犬のいる場所までには、幅50センチぐらいの溝があります。またぐのには少し広すぎて、深さも50センチぐらいはあるようです。溝の底に水は無く乾いていました。
―――空が大分明るくなってきました。―――
トモちゃんは溝の中にピョンと飛び降りました。柵の下側の狭い隙間から前足や顔を出して、必死でトモちゃんを呼びます。
トモちゃんは柵の隙間に手を入れて小さな犬を撫でました。
「おばあちゃん、この子ガリガリ……。背中の骨が出てるよ。」
まあばあちゃんは、飛び上がるほどビックリしました。


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一筋の光



「ジロのおやつ、持ってるよね? あと、お水もないみたい」
トモちゃんはうろたえているまあばあちゃんに言うと、溝から出て、シルバーカーの中のジロのおやつを取って、また溝の中へ……
「さあ、お腹すいてるでしょう。いっぱい食べるのよ。」
小さな犬は、トモちゃんの手からひったくるように食べました。
そして、トモちゃんが手のひらでお椀の形を作って、お水を入れるとそれもガブガブ飲みました。
「今日は、これでおしまい。お昼に来て。飼い主さんに言ってあげるね。ご飯と毛布を下さいって。」
(トモちゃんは、強い。)
まあばあちゃんは、そう思いました。悪びれる様子も無く堂々としていて・・・・。
「おばあちゃんは駄目ね。……人様の犬に食べ物をあげてるところを見られて、見咎められたらとかなんて思ってビクビクして。……情けないわ。あの子、骨が出るくらいやせていたっていうのに。」
シルバーカーのハンドルを握る、まあばあちゃんの手袋の上にポタポタ涙のシミが出来ました。
「おばあちゃん?」
「トモちゃんはえらいわ。おばあちゃん、この寒いのに毛布を掛けてあげたいとか思っていたけど。……結局、何もしてないんだもの。本当に自分が情けないわ」
まあばあちゃんは、自分の至らなさがつくづく嫌になって泣きました。
「この溝が邪魔で、おばあちゃんには無理やよ。また、お昼に来よう。あの子のことお家の人に御願いしてみようよ。」
力強いトモちゃんの言葉に、まあばあちゃんは、何度もうなずきました。
「大丈夫よ。おばあちゃん。あの子もお腹がいっぱいになったから、寒さも少しマシだと思う。」
「そうね、そうね。」
まあばあちゃんは、涙を拭いながら頷きました。
「お昼に来るからね。待っててね。バイバイ。」
トモちゃんが、明るく手を振ると、その小さな犬は立ち上がって、連れてってというように、柵にしがみついてピョンピョンしました。
(トモちゃん、有難う。ほんとに有難う。)
まあばあちゃんは、小さな犬に明るく手を振るトモちゃんに、小さな犬が少しだけ幸せな気持ちになっているような気がして、一筋の光が見えたような気がしました。

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“小さな犬”の幸せ


「おばあちゃん、あの子のところにいってみない。今頃だと奥さんが庭をお掃除したり、洗濯物を干したりしてはる時間やから、絶対会えるよ。車イス出してくるね!」
「あ! トモちゃん。おばあちゃん、歩いていくわ。」
「大丈夫?」
「大丈夫! 最近足の調子はいいの。」
トモちゃんの気遣いは嬉しかったのですが、もしも、あの子のお家の人に会えた時、
車椅子に乗っているよりも、しっかり自分の足で歩いている姿の方が良いと思ったのです。

まあばあちゃとトモちゃんは小さな犬の所へ急ぎます。
「トモちゃん、あの子のお家の人に会えるといいね。」
まあばあちゃんは、心配そうにともちゃんに言いました。

―――まあばあちゃんは、あの子のお家の人に会いたくて、1日のうちに何回もジロとミミちゃんを連れて、あの子の家の周りをくるくる回っていました。
だけど、一度もお家の人の姿を見たことがありません。
いるのかいないのかシーンとしたお宅でした。まあばあちゃんは、シルバーカーをゆっくり押して歩いています。
心は走って行きたいのですが、まばあちゃんはもう速く歩くことは出来ません。
「おばあちゃん、シャッターが開いてる! 良かったね。お家の人いるよ。」
この頃の新築のお家は、雨戸に変わってシャッターになっています。
「インターホン、押してくるね。おばあちゃん。」
「そんなことして、大丈夫かしら。」
まあばあちゃんは、不安そうです。
「でも、インターホン、押さないとあの子のこと御願いできないよ」
「そうね。」
トモちゃんはインターホンを押して、しばらく待ちました。
でも返事はありません。
もう1度、押すことにしました。……やっぱり、返事はありませんでした。

「おばあちゃん、お家の人、出て来はらへん。」
「お買い物かしら。」
「居留守…はないよね。うーん。」
まあばあちゃんとトモちゃんの不安は募るばかりです。朝のお散歩の時と違い、陽も高くなって来て暖かくなってきました。
ミミちゃんはジロにジャレついています。
小さな犬は柵から飛び出ようと思うのか必死で飛んでいます。
ワンワンキュ~ンキュ~ンと悲しい声でまあばあちゃんとトモちゃんに鳴きます。
「待っててね。つらいでしょう。もう少しだけ我慢してね。」
トモちゃんは、柵の隙間から手を入れて、やせ細った小さな犬を撫でました。
「はい、お腹空いてるでしょう。いっぱい食べるのよ。」
やっぱり、小さな犬はお腹が空いているのか、ドッグフードをトモちゃんの手からガツガツ食べました。
「ごめんね。チビちゃん。あったかい毛布、貰って上げられなくて。お昼にまた来てお願いしてあげるから待っててね。」
トモちゃんは、そう言って小さな犬から離れると、疲れた顔をしているまあばあちゃんをシルバーカーに乗せて、家に帰ることにしました。
「おばあちゃん、私、もう1度お昼に出直してくるね。」
「おばあちゃんも、一緒に連れて来てね。」
なかなか小さな犬のお家の人に会えなくて、ションボリしているまあばあちゃん。
小さな犬の幸せは、まだまだ、遠いところにあるのでしょうか……

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びっくりトモちゃん


「チビちゃん。お腹空いたでしょ。」
あれから、三日、小さな犬のお家の人に会えないでいます。
今日もトモちゃんはドッグフードを持ってきました。もちろん、まあばあちゃんも一緒です。
「ちょっとだけ、お肉が付いてきたね。」
トモちゃんは、小さな犬を優しく撫ぜながら言いました。。
「どないしたんや!」
突然の大きな声に、トモちゃんはビックリしてひっくり返りそうになってしまいました。
「もう~。オッチャン! ビックリするじゃない。」
いつも、おいしい野菜を届けてくれるオッチャンでした。
「こっちの方が、びっくりしたで。トモちゃんが溝にはまっとるさかい。それに、ばあちゃんは心配そうに見とるし。ホンマにどないしたんや。」
「シーッ! もう、オッチャン、声が大きいよ!」
オッチャンは、訳が分からないという顔をしています。
「あのね、ここに、小さな犬がいるの。」
どれどれというようにオッチャンは、ヨッコイショと溝をまたいで、柵を覗き込みました。
「なんか外国の犬やなあ、黒と茶色の。えっらい痩せとんで、トモちゃん。」
「もう、オッチャン! 声が大きいよ。ここのお家の人に聞えたらどうするの。」
「なんでやな。痩せとるもんに痩せとる言うてどこが悪いねん。飯ぐらい腹一杯食わしたらんと! こんな綺麗な家に自分らは住んでて、犬には飯もやらんのかいな。どういうこっちゃねん。ほんまに。」
涙もろいオッチャンの目は、少し潤んでいました。
もし、お家の人が中にいて聞えていたらどうしよう! トモちゃんはドキドキしました。
本当は、小さな犬のお家の人と穏やかにお話して、家の中に入れられない事情があるなら、自分たちに託してほしいと言ってみるつもりでした。
「もう、オッチャンのおかげで、ムチャクチャやわ……」
「なんでやな、この犬、ほっといたら死んでまうがな、ちっさいのに、ほんまに殺生なことしよる。この寒いのに毛布の1枚も入れたらんと!」
オッチャンは、怒っていました。怒りのあまり手がぶるぶる震えています。
「じゃあ、オッチャン。そろそろ帰るね。私たち。」
「ああ、早よう帰りや、だいぶ冷えてきたし。ばあちゃんも風邪ひいたらあかんで、ほな、さいなら。」
トモちゃんは、オッチャンを一人残して帰るのは心配だったけれど、まあばあちゃんの体のことも気になって、一旦家に帰ることにしました。


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オッチャンの胸の中に


「トモちゃん、今晩からまた寒くなるらしいわよ。」
まあばあちゃんが、不安そうに言いました。
きっとあの小さな犬のことを気にしているんでしょう。
「心配やね。あの子、今夜も寒さに耐えながら眠るんやね……」
トモちゃんはもどかしくてしかたありませんでした。
自分の無力さが悲しくてなりませんでした。
どうすれば小さな犬のお家の人に会えるのか―――
「トモちゃん?」
トモちゃんが押し黙ったので、まあばあちゃんは心配そうにトモちゃんを見ました。
「ねえ、おばあちゃん。私、明日からあのお家の側で頑張ってみる。1日中、家から出てこないなんて考えられないもの。」
「そんな……、一人じゃ心配だわ」
「大丈夫! ジロとミミちゃんを連れて行くわ」
「トモちゃん、行く時はおばあちゃんも一緒に連れて行って欲しいの。」
「明日は今日より、うんと寒くなるのよ。体に障るよ。私にまかせて! おばあちゃんが元気じゃないとチビちゃんが家に来たとき大変だもん!」
このままだと、まあばあちゃんは心配し過ぎて体を壊すと思いました。
なんとかして、あの小さな犬のお家の人に会わなければとトモちゃんは決心しました。
「ねっ、あの子が家に来た時おばあちゃんが風邪ひいてたらガッカリすると思うの!」
トモちゃんが、頑固に言うので、まあばあちゃんは仕方なく頷きました。

―――翌朝―――
「トモちゃん、お願い! やっぱり一緒に連れて行って……!」
まあばあちゃんは、もう一度トモちゃんにお願いしました。
「……おばあちゃん……」
「お願い! おばあちゃんも連れて行って、あの子の顔を見に行きたいの。」
もし、トモちゃんがダメと言っても、シルバーカーを押してついて行こうと決心していました。
トモちゃんは気が進まない様子でしたが、おばあちゃんの決意が伝わったのか、あきらめたような顔をして頷きました。

今日はグンと冷えて雪も降って来そうなドンヨリとした曇り空です。
まあばあちゃんは居ても立ってもいられません。
トモちゃんたちは、あの子の元へと急ぎます。
「ばあちゃーん! トモちゃーん!」
「オッチャン」
「おう、トモちゃん。今、トモちゃんの家に行って来たんやで。インターホン押しても、返事なかったから、こっちやと思うて、走って来たんや。」
おじさんは、ハアハア言いながら、自転車をカチャと立てて言いました。
「ええもん見したろか、トモちゃん。」
おじさんは、そう言って、ダウンのジャンバーのチャックを下げました。
「オッチャン! この子……」
「そや、チビちゃんや! あの子や。おばあちゃん、あの子あの子。」
小さな犬は、おっちゃんの胸の中でフワフワ眠っていましたが、ふっと目を覚まして、トモちゃんを見つめました。トモちゃんが手を差し出すと胸の中に飛び込んできました。

トモちゃんが、まあばあちゃんの膝の上に乗せると、まあばあちゃんの手をペロペロなめました。ジロとミミちゃんも嬉しいのかチビちゃんにクンクンしています。
チビちゃんも幸せそうにしっぽをハタハタさせて答えていました。

よかったね“チビちゃん”

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ああ、幸せ


「オッチャン、どうしたの。この子。」
「あれから、ずっと見張ってたらな、夜中にあそこの家の者が帰って来てな。」
「えっ、オッチャン、あれから、ずっと……? 夜中まで?」
トモちゃんは、オッチャンの優しさに驚きました。
「せや、ほっとく訳にいかんやろ。こんなに小さいのに毛布の1枚も入れてもらわんと、この寒さや。死んでしまうと思ってな。」
「夜中って、ものすごく寒かったんじゃない。オッチャン。」
トモちゃんが、心配顔で聞きました。
「あっは。トモちゃんが心配することないで、寒い思いしとるこの子には悪いと思ったけど、途中から車に乗り換えて、あの家の横で張り付いてたんや。」
「オッチャン、あの家の人に怒られへんかった。」
「なんで、怒られなあかんのや、ほっといたらお宅の犬、死んでしまいまっせって、言うただけや。」
「あの家の人、なんて言わはったん。」
「自分の家に犬が居るのを忘れてたって、感じやったな。」
トモちゃんはオッチャンの一言に、とっても腹が立ちました。
(忘れてたって、それどういうこと!? この子は生きてるのに! )
愛くるしい目をした黒と茶の小さな犬は、幸せそうにまあばあちゃんの膝の上でうずくまっています。
「これからは楽しく暮らそうね」
トモちゃんは、そう言って小さな犬を撫ぜました。
「せやから、簡単に、引き取ってきたよ。」
「よかった。」
トモちゃんは、安心したように息をつきました。
「私、オッチャンが、なんだか、神様に見えるわ。」
「そうかあ。トモちゃんが、そう言ってくれるんなら、オッチャンは明日から、賽銭箱をぶら下げて歩かなあかんな。」
オッチャンは、ガハハハと、大きな声で嬉しそうに笑いました。
トモちゃんも、まあばあちゃんも、嬉しくて、久しぶりに心から笑いました。

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トモちゃん先生


「ん? このポロポロしてるのなんや?」
手入れされずにいたせいでゴワゴワになった毛に、粉のような物がこびりついています。
ハッとして手や服を見ると、トモちゃんも、まあばあちゃんも、オッチャンにも茶色の粉がついていました。
「これ、ウンコだ……」
小さな犬の体についていたウンコが干からびて粉のようになっていたのです。
「ははっ! こりゃ、えらいこちゃな。みんなウンコまみれやがな。」
オッチャンは、服に付いた干からびウンコをはたきながら笑って言いました。
「わし、気ぃ付かんかったから、こいつを布団の中に入れて一緒に寝てしもうたがな。」
「へぇ、オッチャン、優しい。」
「寒いとこに、長いこと放っとかれとったから、温めたらなアカンと思ってな。ほんまにえらい目に合わされてたんやな。」
オッチャンはそう言うと、まあばあちゃんの膝の上でちぎれるほどしっぽを振っている小さな犬を抱き上げました。
「今晩から、晩酌の相手が出来て、わしも嬉しいよ。」
オッチャンは、ウンコまみれの小さな犬に頬擦りして言いました。
「おっちゃん、あかんよ。晩酌の相手なんて。ワンちゃんはね、濃い味付けの食べ物はアカンのよ。体に悪いねんよ。」
「へぇ、そうなんか。」
「そうよ。」
「ほな、何を食わしたったらいいんや。」
オッチャンは真面目な顔で聞きました。
「ドッグフードよ。スーパーにゴハンとかオヤツとかいろいろあるの。選ぶの楽しいよ」
そう言ってトモちゃんは、まあばあちゃんの車椅子から、この子に食べさせようと思って持ってきたドッグフードをおじさんに渡しました。
「よっしゃ、今から買いに行ってくるわ。」
「オッチャン、私、チビちゃん洗っとくわ。」
「えっ、洗えるんか。」
「もちろん。気持ちよくなって、すごく喜ぶよ。」
トモちゃんは、オッチャンから小さな犬を受け取ると、優しく抱きなおして小さな犬に言いました。
「サッパリしましょうね! じゃ、キレイにしたら、オッチャンの家に連れてくね。」
「トモちゃんは、何でも知ってるんやな。犬の大先生やな。これから、何でも教えてもらわんとあかんな。ほな、行ってくるわ」
「いってらっしゃい!」
オッチャンは、嬉しそうに笑うと、自転車を元気よく走らせてスーパーへと行きました。

幸せな年の暮れになりました。
今日から心も晴れ晴れ、
お正月の神様をお迎えするために大掃除をします。


年の暮れの話がお正月の更新になってしまいました。
申し訳ありません。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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