第一段階終了!?

お春ちゃんの言葉に、男の人はさわやかに笑って頭を下げました。先生もにっこり笑って恥ずかしそうにうつむきました。
お春ちゃんは、まじまじと男の人を見ました。
傍で見ると、なかなかのハンサムさんです。涼しげな眼もとに引き締まった口元。鼻筋が通った顔立ちで、少し見とれるようなか人です。
「すみませんでしたな。えらい時間取らせてしもうて、せっかくカッコウ良うに走ってはんのに」
お春ちゃんが男の人の手を取って言いました。
「本当に痛いところはないんですね?」
「無いです無いです。ありがとうさんでした。ほんに助かりました。」
男の人はお花ちゃんに笑った後、先生にも頭を下げて颯爽と走って行ってしまいました。
「よぉーし! 第一段階は終了や。よぉーし!」
お春ちゃんは、何やら鼻息荒く気合を入れています。
「どうしたの? お春ちゃん。」
いつもと違うお春ちゃんに、お豊ちゃんが声をかけました。
「まだ、誰にも言われへんねん。言われへんから大変なんや。」
お春ちゃんはそう言ってまた気合を入れました。


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いつものように

今日もみんなで池をお散歩しています。
いつものさわやかな男の人がやって来ました。
そして、いつものように、お春ちゃんたちの横を頭を下げて通り過ぎようとしたとき、お春ちゃんが、
「ギャーッ」
と大きな声を上げて、柵につかまりながらゆっくりと倒れました。
先生が慌てて助け起こしに来ました。お豊ちゃんと吉川さんもビックリして助けに来ましたが、お春ちゃんは二人の手を振り払って、
「あんたらは来んといて!」
と、えらい剣幕で言いました。二人はびっくりして固まっていました。
先生には、「ありがと、ありがと」と言って膝をなでながらお礼を言っていますが、
「イタタ、イタタ」
と言ってなかなか立とうとしません。
「大丈夫ですか?」
あの男の人が心配そうに近づいてきました。男の人はお春ちゃんをやさしく抱きかかえながら助け起こしました。
「すんまへんな~。すんまへんな~」
「どこか痛いところはありませんか?」
と優しくお春ちゃんに聞いてくれました。
「はい。もう治りました。こけたときはビックリしてしもうて。いつもはこの子が助けてくれるんですわ。優しい子でこんな年寄りの世話も嫌がらずしてくれるんですわ。よろしゅうお願いします。」
お春ちゃんはにっこり笑っていいました。


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池に移る山並み

池に来るようになってから、先生のお父さんは日ごとに良くなっていく様子が、目に見えて分かりました。
清々しい朝の空気と、
一日の始まりとなる朝の光が、きっと体にいいのです。

今日も、先生のお父さんは、柵につかまりながら歩く練習をしています。
まだ、太陽は金剛山に隠れて見えません。
「この池の周りを一周いうのは相当あるなぁ。結構しんどいわ。」
お春ちゃんが汗をふきながら言いました。
なんだかんだ言いながら、2週目に入りました。
「あ、お日さん出てきたわ。」
お春ちゃんが嬉しそうに言いました。
2週目に入るころに、やっと太陽は顔を出します。
先生のお父さんが太陽に手を合わせました。
お春ちゃんもお豊ちゃんも先生のお母さんも先生も。
まあばあちゃんがいつもお日様に手を合わせるので、みんなもいつの間にか、手を合わせるようになりました。
先生のお父さんは、また歩き始めます。何度も休憩しては、太陽と池に映る山並みに見とれています。
このころになると、ランナーの人が走ってきます。
中年くらいの人
若い女の人
次々に現れて、池の周りを走り始めます。
「私らは、あないにはなれんなぁ。」
お春ちゃんは、ランナーの人に見とれて言いました。


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日の出

「歩くことが体にいいと分かっていても、なかなか続けるのは大変なことですね。」
先生のお父さんがしみじみ言いました。
「そうですね。一緒に頑張りましょう。」
とまあばあちゃんが励ましました。
「ねえ! まあちゃん、お春ちゃんが言ってたあの池はどう? 金剛山から朝日もみれるし!」
お豊ちゃんが言いました。
「あ、いいわね!」
「池に太陽が映って、本当にきれいだもの。」
「ほんまや。初日の出以来、行ってへんしな。」
というわけで、池に行くことになりました。

「お、もう明るいな。……まだ4時半過ぎたところかいな。へぇ、もうこんな明るいんかぁ。」
お春ちゃんが、池に着いたとたん嬉しそうに言いました。
「公園のところだと、なかなか明るくならないのに、不思議ね。」
まあばあちゃんも嬉しそうです。
「こんないいところが近くにあったんですねぇ。」
先生のお父さんも広々とした池を見て言いました。
「そうでっしゃろ。」
お春ちゃんが返事しました。
「はい。それに、池の周りの柵がいいですね。」
公園の柵と違って、池の周りの安全柵は途切れることなく設置されています。
歩く練習にとっても良さそうです。
「鳥がたくさんいますね。」
「そうですねん。カモやらシラサギやら……」
池の中には群れになってカモが寝ています。白鷺はゆったりと歩いています。ほんとにのどかな風景です。
「あ、まあちゃん見てみ!あっこからお日さんが顔出すで!」
お春ちゃんの指さす方向を見ると、金剛山から、真っ赤な太陽が頭を出しています。
「きれいやな~」
お春ちゃんが大きな声で言いました。池の周りには家もないので、みんなで歩いて話をしていても気を使うことがありません。
「ここへ来て良かったなあ。見てみ。ジロもハッピーもミミちゃん喜んでるわ。」
「明日から、ここに来ましょう。」
先生のお父さんが嬉しそうに言いました。


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こう来ない!

本当にあの時は大変でした。
「もう、私のことなんか放っといてよ! 外になんか出たら、娘が婿さんに追い出されたんやて言うて人に笑われる!」
「それじゃ、お春ちゃんは一生、家から出ないつもり?」
「まあちゃんは、『散歩、散歩』って散歩ばっかり! それしか言うことないんか?」
「だって、そんな寝てばっかりいたら、寝たきりになるよ! それこそ笑いもんよ! 誰も同情なんかしてくれないわよ。」
「そんなん分かってるわ! もう帰って!」
毎日毎日、まあばあちゃんはお春ちゃんの家を訪ねては、外に連れ出そうとしましたが、お春ちゃんとの会話はいつまでたっても平行線です。

ある日、まあばあちゃんは意を決しました。
「うるさいな。もう帰ってよ!」
「わかった。帰るわ。もう来ないから。」
「へ?」
「もう二度と来ないわ。お春ちゃんなんか知らない。勝手にすればいい。そうやって一生自分のこと憐れんで生きればいいのよ。」
「ま、まあちゃん?」
お春ちゃんは慌てました。まあばあちゃんは、こうと決めるとなかなか大変に頑固なのです。
「じゃ、さよなら。」
お春ちゃんは大慌てで、
「待って、待って! 行く行く! 散歩に行こう!」

と、言うわけでお春ちゃんは、散歩に再び行くようになりました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
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