おやすみ

「お春ちゃん、私たちも寝ましょう。」
「そやな。ストーブ代ももったいないしな。」
そう言って、お春ちゃんはファンヒータの電源を切りました。
お春ちゃんはお布団に入ってからもなかなか寝付けないらしく、寝返りばかり打っていましたが、そのうちスースーと寝息が聞こえてきました。まあばあちゃんもその寝息に誘われて、いつの間にか眠っていました。
まあばあちゃんもお春ちゃんもいつもの時間に目は覚めたのですが、夕べ眠るのが遅かったせいか頭の芯がキリキリと痛みます。
「まあちゃん、今日は散歩堪忍してもらえへんか。眠とうて目が明かへんわ。」
「そんな時は、眠ったほうがいいわよ。」
まあばあちゃんも、いつもより少し遅く起きることにしました。
お春ちゃんを起こさないようにそっと起きると、朝ごはんの支度をはじめました。
トモちゃんも、休みなので今日はお弁当はいりません。
ジロとミミちゃんは足元で寝ています。
冷蔵庫を開けると、リンゴとトマトとレタスがありました。
まあばあちゃんは、久しぶりに厚焼き玉子のサンドイッチを作ることにしました。
トモちゃんもお父さんも恭子ちゃん、そしてお春ちゃんもおいしい匂いに引き寄せられて、キッチンに集まってきました。


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こじれたら……

しょんぼりしているお春ちゃんに、まあばあちゃんは、
「そんなにしょげないで、お春ちゃん。私たちの時代は助け合わないと生きていけない時代だったから、つい自分の出来ることだったらって思ってしまうのよ。」
「それ、それやねん! 物のない時代やったからなぁ。」
「私たちはいい娘に恵まれたけど、もし違っていたらと思うと他人事じゃないもの。だから役に立てたらと思ってしまうのよ。」
「でも、なんか思ってたことと違うような気がするねん。してもろたら、わたしら自分のできる範囲やけど、ちゃーんとお返ししてきたで。まあちゃんかて、そやろ?」
「そうね。自分なりにしてきたつもりよ。」
「吉川さんの家賃も半年も立て替えてるやろ? 私、大家さんから言われてん。ちゃんと返してもろてるかって?」
「なんて答えたの?」
「そのうちなって答えてんけど、ホンマにちゃんとせんとアカンな。」
「…………」
「吉川さんて小学校の先生やって言うてたのに、子どもらにちゃんと教えてきたんやろか? 借りた金は返さんでええとか言うてへんやろな……」
「…………」
「人に塩梅したるときは気持ちええけど、ちょっとこじれたら自分だけやのうて、周りにも迷惑かけるなぁ。」
お春ちゃんはそう言って、冷たくなったお茶を一口、口に含みました。


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怒られた

「恭子ちゃん?」
恭子ちゃんが何にも言わないので、まあばあちゃんが恐る恐る声をかけました。
「私、もうあきれ返って物も言えんわ。」
「…………」
「…………」
二人とも黙ってしまいました。
「お春ちゃんは、家を借りたげた上に家賃まで払って、お母ちゃんは毎日毎日ご飯作ったげて。その相手は18万円の年金をもらってると……」
「恭子ちゃん、あんな……」
「何考えてるの。いい年して。お母ちゃんに何かあったら、どうするの? 家賃は邦ちゃんが払って、ご飯は私が作るの?」
まあばあちゃんとお春ちゃんは言葉に詰まりました。
ボケないように編み物したり、寝たきりにならないように散歩をしたり、早いうちから老い支度をしていましたが、吉川さんのことはウッカリしていました。
本当にそうです。
「お父さん、私ら明日も朝早いからもう寝よ!」
そう言うと恭子ちゃんはタタッと二階に上がっていきました。
「お母さん、おやすみなさい。」
お父さんがペコッと頭を下げて言いました。
「お父さん、早く!」

残された二人は、肩を落としてしまいました。
「ホンマやな。恭子ちゃんの言う通りや。もし、いきなり、うちらがポックリ言ったら、邦子と恭子ちゃんに迷惑かかるんやな。」
「うん。」
「ごめんな。まあちゃん。もとはと言えば、私のせいやのに、まあちゃんまで怒られてしもうたな。私ってなんでこうなんやろう……」
お春ちゃんは、しょんぼりして言いました。


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今日のお昼に……

「まあちゃん。どないしよう。吉川さんは昭雄さんとは違うなあ。」
恭子ちゃんの言葉がグサリと来たのか、縋るような目でまあばあちゃんに言いました。
「吉川さんも気にしてはったけどね。」
「貯金通帳、新しく作ったんでしょ?」
恭子ちゃんが言うと、
「そ、それがね。新しい通帳も息子さんに管理されてしまったそうで、お金のことは吉川さんも気にしてたわ。」
まあばあちゃんは暗い顔して言いました。
「息子さんのところへ帰ってもらえば?」
恭子ちゃんが言うと、
「そんなんよう言わんわ。おっとろしい嫁さんのところへ帰れって言えるか?」
お春ちゃんが恭子ちゃんの言葉にビックリして言いました。
「吉川さんも苦しんでるのよ。息子さんのところへ帰るの怖いし、お金は返せないしって泣いてたわ。」
まあばあちゃんの言葉に何か引っかかりを感じたのか、恭子ちゃんが、
「それ、いつの話?」
「え? 今日のお昼よ。」
「お昼?」
「ええ、ご飯を届けに行ったとき……」
恭子ちゃんがアングリして言いました。
「未だに、ごはん届けてるの?」
まあばあちゃんは、思わず言い訳しました。
「ちょっと余分に作るだけだもの。大した手間じゃないのよ。」
「…………」
恭子ちゃんは黙ってしまいました。


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「あ、そうだ。吉川さんのこと、どうなったん?」
恭子ちゃんが思い出したように言いました。
「え?」
「…………」
まあばあちゃんもお春ちゃんもドキッとしました。
「お春ちゃん、お金返してもらったん?」
恭子ちゃんがお春ちゃんに聞きましたが、
「それがなぁ……」
「どうするの? だいたい18万円も年金あるのにおかしいやんか。早く返してもらわんと!」
「あのな、恭子ちゃん、そんなん言うけどな……、なかなか、息子からお金もらわれへんらしんやわ。」
「もう半年ぐらいたってるんちゃうん? 去年の秋からでしょ?」
「ま、まあそうやな。」
「毎月毎月どんどんたまって、返してもらえなくなるよ。しっかりしないと第2の昭雄さんになるよ!」
「わたしって、なんでこないなるんやろ……」
お春ちゃんはそう言って目に涙をためました。
「お春ちゃん、人が良すぎるよ。かわいそう、かわいそうって言ってる間にどんどん深みはまるよ。」
恭子ちゃんはきっぱり言いました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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