帰ってくる犬

「この犬は、遠い所へ捨てに行っても、どないかして帰ってきよる。この前、保健所に連れて行ったら、わしの手から抜けてしもて先に家に帰っとる。どないしても帰ってきよるから腹が立って腹が立って……」
そのおじいさんは、体をブルブルと震わせて言いました。
「どうして、そこまでしてこのコを捨てようとするんですか? あなただけが頼りなんですよ。ひどい人ですね。」
まあばあちゃんは、おじいさんをにらんでさらに続けました。
「いい年をして無責任だとは思いませんか? 恥ずかしくないんですか?」
まあばあちゃんが痛む背中をかばいながら言いました。
「うるさい! うるさい! うるさい!」
おじいさんは、また狂ったように怒鳴りだしました。
さっきまで、おじいさんの手をなめていた犬もおびえた様子で、まあばあちゃんに寄り添いました。ジロがそのコを慰めるように耳をなめてあげています。


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お巡りさんが来た

お春ちゃんもお豊ちゃんも、また叩かれるそう思って、目をつぶって身をすくませました。
「何すんねん! 返さんか!」
その声に、ハッと目を開けると、
マコちゃんがおじいさんから杖を取り上げていました。
いつの間にか人だかりが出来ていました。誰が呼んでくれたのか、お巡りさんも走ってきています。
「あ! お巡りさん! ええところに来てくれましたわ! この人、逮捕して! まあちゃんをその杖で思い切り叩いたんです。この目でしっかり見ました! 刑務所入れて!」
お豊ちゃんが、お巡りさんに縋りつくように言いました。
「そやで! 私もしっかり見たで! まあちゃんを杖でバシンバシン叩いたんや!」
お春ちゃんも興奮して言いました。
「何言うんや。くそばばあ! ワシは自分の犬叩いとったんや! このばあさんが勝手に出てきたんや。このばあさんが悪いんや!」
おじいさんは、まあばあちゃんを指さして言いました。
「何言うてんねん。あんたがこの犬叩きまくるから、まあちゃんがかばったんやろ! 犬にも心があるんやで! あんたの犬言うたかて殴ってええことなんかないわ! 見てみ、あんたのことおびえた目で見てるわ!」
「なにをぉ!」
おじいさんはお春ちゃんにこぶしを振り上げましたが、お巡りさんに押さえられました。
「お巡りさん、この人逮捕してくれるよね。こんな暴力じいさん、野放しにされたら危のうて道も歩かれへん。」
お春ちゃんがさらに大きな声で言いました。
お巡りさんが、ワンちゃんをかばったまま動かない、まあばあちゃんに声をかけました。
「お医者さんに行きましょうか? 背中は痛みますか?」
「はい。痛みます。」
まあばあちゃんははっきり答えました。


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年老いた犬

年老いた犬は何とか立ち上がり、よろよろと歩きだしました。
フラフラするたびに、杖で小突いたり、たたくそぶりを見せます。そのたびに犬もお豊ちゃんもビクッと体を震わせました。
そして、まあばあちゃんたちの前を通り過ぎるころ、またおじいさんが犬をグイッと引っ張っりました。案の定、老犬はコケてしまいました。
おじいさんはイラ立ちを隠さず、また杖を振り上げました。
バシッ
「「まあちゃん!!」」
お春ちゃんとお豊ちゃんが同時に叫びました。
叩かれたのは犬に覆いかぶさるようにしている、まあばあちゃんでした。
年老いた犬は、驚いたようにまあばあちゃんを見つめていました。が、自分を守ってくれる人だと直感したのか、まあばあちゃんの胸の中に小さく収まりました。
「邪魔や! くそばばあ! どかんかぁ!」
おじいさんが、顔を真っ赤にして怒鳴りました。
お春ちゃんもお豊ちゃんもオロオロするばかりです。
ジロがおじいさんの前に立ちはだかりました。
「この! クソ犬が!」
おじいさんはジロに向かって、杖を振り上げました。


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お豊ちゃんの視線の先

お豊ちゃんの笑いは止まりません。涙を流してヒーヒー言っています。
「お豊ちゃん、笑いすぎやで! ほんまにも!」
お春ちゃんも怒り出しました。すると、お豊ちゃんの笑いがピタリと止まりました。お春ちゃんは、びっくりして
「ほんまに怒ってるんちゃうで! どないしたんや?」
お春ちゃんは、あんまり突然に笑うのをやめたので驚いてお豊ちゃんに言いました。
「お豊ちゃん!」
お豊ちゃんは、ハッとすると、
「ごめんね。わたし、家に入るね。ごめんね。ごめんね。」
お豊ちゃんは。急に謝りだしました。
「急にどないしたんや。」
お春ちゃんとまばあちゃんは、お豊ちゃんの視線の先に気づきました。
杖を持ったおじいさんと年老いた犬が歩いています。おじいさんは杖を持っていますが、足が不自由というわけではないようでした。
犬は足が弱っているようで引きずられるようにして歩いています。おじいさんがいら立ったようにグイッと綱を引っ張ります。そのせいで年老いた犬は倒れてしまいました。
「こらあ!」
おじいさんが犬に怒鳴る声で、お豊ちゃんはビクッとなりました。
「しっかり歩かんかぁ!」
おじいさんは持っている杖を振り上げて犬に向かって思い切り振り下ろしました。バシッと鋭い音がここまで聞こえてきました。


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かっこいいお春ちゃん

「それにしたって、お春ちゃん、あんた、ようそんな『白です』なんて言うたね。」
お豊ちゃんがあきれ返って言いました。
「そやかて、ハンサムな声やったんやわ。ポーッとなってしもて。」
それを聞いてお豊ちゃんは笑い出しました。
「アハハハ、ハンサムな声って……。お春ちゃん、大丈夫?」
「ほんまに、知性的なええこえやってん。」
「そんな知性的な人が、パンツの色なんかき聞かへんよ。あはは!」
お豊ちゃんは笑いが止まらないようです。
「そ、それは、そうなんやけど……」
お春ちゃんもバツが悪そうに頭を掻きました。
「お春ちゃんこの間、オレオレ詐欺を撃退したのに、どうしたのよ。」
「え?」
お春ちゃんはキョトンとしています。
「ほら、『母さん、オレ、事故起こして人ひいてしもて、ヤクザやってん。お金持ってきたら許したる』って……」
「ああ。あれかいな。」
「そうよ。ほんだら、お春ちゃんは『うち、娘しかいてませんねん。間違ってはると思います』って」
「あれなぁ……ほんまやな。」
「お春ちゃん、かっこいいと思ったのに……、もう、『白です』なんて……もう!」
お豊ちゃんは、おなかを抱えて笑いました。
「まあちゃんには怒られるし、お豊ちゃんには笑われるし、今日は朝からさんざんやわ。」お春ちゃんは、渋い顔で言いました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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