不思議な縁

「そのあと、カイの亡骸を抱いて家に戻りました。泣きながらカイを抱いている私を見て、父に『たかが犬ぐらいで泣くな』と言われたことは今でも忘れられません。カイのことも忘れたことはありません。」
お豊ちゃん達は、じっと先生のお父さんのお話を聞いていました。
「この年になって甲斐犬に会うとは、……それに私のカイによく似ています。一瞬、カイかと思ったほどです。カイが今の私を憐れんでお迎えに来たのかと思いましたよ。」
「お父さん!」
先生が咎めるように言いました。
「あ、すまんすまん。」
お豊ちゃんが思い切ったように言いました。
「あの、わたし、きっとそばで見守っていると思うんです。ね、カイ。」
カイちゃんは、お豊ちゃんを嬉しそうに見上げました。
「私もそない思うわ。なんや不思議な縁や。堺ゆうたかて広いのに、太子の子犬が流れ流れてここに来たんやもんな。」
お春ちゃんが、感慨深げに言いました。


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カイの死

「大切にされてたんですね。カイちゃんは幸せだったでしょうね。」
お豊ちゃんが先生のお父さんに言うと、
「私のカイは、私が上京する日に死にました。私のせいで……」
「え……」
思わぬ答えに、お豊ちゃん達は固まってしまいました。
「私がバカだったのです……。犬が追いかけてきてるぞと、誰かが言いました。わたしは、もしやと思って外を見ると、カイでした。わたしは思わず、カイと叫んでしまったのです。カイは私の声を聞き逃しませんでした。」
「まさか……」
「カイは車輪に巻き込まれてしまいました。私があの時呼ばなければ……そう思うと悔やんでも悔やみきれません。」
先生のお父さんの目には涙が浮かんでいました。
「それで、その子は……」
「わたしは、次の駅で降りてカイを探しました。……カイは見つかりましたが虫の息でした。私が抱きしめると、私の目をじっと見つめて静かに目を閉じました。」
そこまで言うと、先生のお父さんは目がしらを抑えて肩を震わせました。


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先生のお父さんのカイちゃん

「そうだったんですか……。この子は強い子ですね。酷い目にあわされても、澄んだきれいな目をしている。」
先生のお父さんはカイちゃんの頭をなでながら、さらに言いました。
「私も犬が好きで、物心ついたころから我が家には犬がいました。小学生2年の誕生日の日に父がプレゼントしてくれたのが甲斐犬でした。私はその子犬にカイと名付けました。」
「まあ! この子と同じ名前ですね。」
先生のお父さんはうなずいてから、
「それからは、毎日何をするのも一緒でした。兄弟のいなかった私は、学校から帰ると、勉強するのも遊ぶのも寝るのもいつも一緒でした。本当に大好きでした。」
先生のお父さんはそう言って、不自由な体をなんとか動かすと、カイちゃんを抱きしめました。
カイちゃんが切なそうにク~ンと言いました。
「あ、ごめんごめん。ケガしてるのに、痛かったかい?」
と言ってカイちゃんから体を離しました。
カイちゃんは『痛くないよ』というように、先生のお父さんに頭をすり寄せました。
「お前は、今まで辛かった分、これからはみんなの2倍も3倍も幸せにならないとだめだよ。」
と先生のお父さんはカイちゃんに言いました。


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凛としたカイちゃん

次の日の朝、お豊ちゃんがハッピーちゃんとカイちゃんを連れて池にやってきました。
カイちゃんはハッピーちゃんに寄り添ってピンとしっぽを立てています。
キリッとした良い顔立ちです。女の子ですが男の子のように見えます。
「あ! 甲斐犬ですね!」
いつものように柵につかまりながら、一生懸命歩く練習をしている先生のお父さんが足を止めて嬉しそうに言いました。
「あ、ご存じなんですか?」
お豊ちゃんが驚いたように言いました。
「日本古来の犬ですよ。凛とした顔立ち、何事も聞き逃さないぴんと立った耳。なんて素晴らしいんでしょう。」
先生のお父さんはそう言って、片方の手を柵から離すとカイちゃんを撫でました。
「おや。この子どうしたんですか?」
先生のお父さんが、お豊ちゃんに聞きました。
「……そうなんです。この子、辛い目に遭っていたんです。」
お豊ちゃんはカイちゃんを迎えたいきさつを先生のお父さんに話しました。
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カイちゃんの幸せって?

「でも、ま、なんやな。ションボリした情けない顔した犬やと思ってたけど、結構元気やったんやな。」
「お春ちゃん……」
「そやけど、運のない犬やな。道歩いていたら、ようさん人おるのに、よりのよって、あんな暴力じいさんに拾われるやなんてなぁ。可哀そうに……」
「ほんとうに。」
「あー!」
「どうしたの!?」
お春ちゃんが急に大きな声を出したので、まあばあちゃんは驚いて聞きました。
「なんか無性に腹が立ってきたわ。あのじいさんの家に殴り込みに行ってきたろか!」
「お春ちゃん?」
「そやろ? あの犬の体キズだらけやったやんか! 殴った上に殴ってたんやで! 火ぃでもつけてきたろか!」
「何を言うの。お春ちゃん!」
「あ、でも家知らんわ。」
お春ちゃんの気迫で、まあばあちゃんもウッカリしていましたが、誰もおじいさんの家をを知りません。
「でも、知ってたところで、こんなヨロヨロしてたら、マッチ擦ってる間にこけてしまうな。年いってたら復讐にもいかれへんわ。」
お春ちゃんは急にションボリして言いました。
「お春ちゃん、もうそんなことは忘れましょう。今からカイちゃんが幸せに生きていけるようにお豊ちゃんとマコちゃんと一緒に考えましょう。ね。」


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
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