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心愛ちゃんと一緒に……

お春ちゃんが回覧板を回して帰ってくると、まあばあちゃんがお茶を入れて待ってくれていました。
「まあちゃん、行ってきたで!」
「ありがとう。さっき邦ちゃんから電話があってね。心愛ちゃん、家にいてもらっていいでしょうかって……」
「それで、どない返事したん!?」
お春ちゃんは身を乗り出して聞きました。
「よろしくお願いしますって」
「そうか……、婿さんもできた人やし、安心やわ。そやけど、学校でなんぞ聞かれへんか?」
「邦ちゃんが学校に説明しに行くって言ってたわ。」
「そうか。これからは邦子の家から通うんやもんなぁ……」
「ええ、でも、心愛ちゃんはいい子だけど、親御さんのことを思うと、ちょっと心配よね。怖い気もするわ……」
「婿さん、しっかりしてるから解決してくれるわ。」
「…………」
「そやけど。吉川さんはうちらを食いモンにした挙句に、孫娘をほったらかしで自分は寝たきりかいな。どっしゃない、ばあさんやな。ホンマに……! これからどないするつもりや! 思い出したら腹立ってきたわ。」
「ほんとに、これからどうすればいいのか……」
肝心の息子さんは母親と娘がいるのに家を売ってしまい、心愛ちゃんに会いにも来ていないようです。
まったく何を考えているのか……


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お春ちゃんの話したいこと

それから、しばらくたった気持ちのいい秋の午後、まあばあちゃんは縁側で縫物をしていました。
お春ちゃんはその横に座布団を置いて座りました。
「気持ちのええ日やなぁ……」
「ほんとに、縫い目もよく見えるしね。」
「なぁ、まあちゃん」
「なあに?」
「心愛ちゃんの第一印象ってどんなやった?」
「どんなって? 礼儀正しいお嬢さんだなって思ったわ。」
まあばあちゃんが言うとお春ちゃんは、
「心愛ちゃん、なんか寂しそうな感じがするなぁて思わへんかった。?」
「そうね……」
「私は、なんか物悲しい感じのする子やなって思ってん。言葉遣いも丁寧で、ハキハキしてるけど、なんかどっか元気ない感じなんやわ。」
「私たちに気を使いすぎて、可哀そうなぐらいだったわね。」
「そやろ……? やっぱり不幸な子やってんなぁ。なぁ、まあちゃん……」
「なあに?」
「…………」
「どうしたの?」
お春ちゃんは、しばらく黙っていましたが、
「お茶、飲まへん?」
と、言いました。
お春ちゃんは、何かを話したいようですが、言い出せない。そんな感じでした。


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心愛ちゃんの境遇

まあばあちゃんは、お春ちゃんが泣き止むまで背中をさすってあげました。
「あのなぁ、あの子なぁ……後妻に小さい時からイジメられてイジメられてな、冬に夏服、夏に冬服、着て学校通てたらしいわ。寒い冬に外に放り出されたり……そらぁ、ひどかってんて……」
「吉川さん、止めなかったのかしら……」
「あ、それやねん……、まあ、あの人もたらい回しに嫁さんにイジメられてた言うてたからなぁ……」
「…………」
「なあ、まあちゃん、心愛ちゃんが、突然、孫です言うてビックリせぇへんかったか?」
「吉川さんからお孫さんのお話、聞いてなかったもの。すごく驚いたわ。」
「そやろ? 私なんか腰抜けるぐらいビックリしたわ。うちら、話いうたら、トモちゃんとひろ子のことくらいしかあらへんやん? 心愛ちゃんなんか可愛らしい子やんか、そやのに自分の自慢ばっかりして、名前聞いたことなかったなぁ」


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心愛ちゃんの家族

「まあちゃん! まあちゃん! エライこと聞いてきたで!」
お春ちゃんは美容室から帰ってくるなり、慌てた様子で言いました。
「どうしたの?」
「帰りに饅頭屋、寄ってんけどな、エライこと聞いてきたわ!」
「どうしたの?」
「先、お茶ちょうだい!」
まあばあちゃんがお茶を入れると、お春ちゃんはゴクゴクと飲み干しました。
お茶を飲んで落ち着くと、急にしんみりして、
「あのな、まあちゃん、心愛ちゃんのことやねん……」
「心愛ちゃん?」
「そうや……あの子な、後妻にイジメられてたんやて……」
「じゃあ……、私たちが見たのは……」
「継母や……」
「心愛ちゃんのお父さんは……」
まあばあちゃんは言いかけてやめました。
家を売りに出した父親です。母親の吉川さんや心愛ちゃんのことを気遣うとは思えません。
「父親もイジメてたらしいわ。」
「…………」
「それが、もう……えらいイジメられようやねん。聞いてられへんかったわ。」
お春ちゃんはわんわん泣きだしました。


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お夕飯どうですか?

家に着くと、邦ちゃんが心配して家の前で待っていてくれました。
ひろ子ちゃんも一緒です。
「お帰りなさい。良かった。ありがとう。」
邦ちゃんの言葉にオッチャンは小さく笑ってうなずきました
「心愛ちゃん、ご飯の準備の途中だから、ひろ子と見てきてくれる?」
邦ちゃんが助手席のドアを開けて言いました。
心愛ちゃんは邦ちゃんを苦しそうな瞳で見ると、
「はい。」
と小さく言って車を降りました。
「いやぁ、良かったわ。悪い人に連れていかれてしもたら大変なことになるところやったわ。」
「ホンマです。間に合って良かったですわ。」
「まあちゃんの機転のおかげやな。」
「いてくれて良かったわ。本当に……」
「ねぇ、お母さん、今日は一緒にお夕飯食べない?」
邦ちゃんがお春ちゃんを誘うと、
お春ちゃんはオッチャンに手伝ってもらって車から降りたところでしたが、
「おおきに、そやけど、うちらも夕飯の準備しかけて、ほったらかしで来てるんやわ。心愛ちゃんは無事やったし、帰るわ。あんた、降ろしてもろたのに、すまんな。家まで送ってくれるか?」
と言って、お春ちゃんはヨッコラショっと再び車に乗りました。


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堺の町のまあばあちゃん

Author:堺の町のまあばあちゃん
堺の町に住む、ひとりのおばあちゃんのお話です。
住み慣れた町の人々との交流や孫のトモちゃんや犬のジロとの生活を通して力強く生きていく姿を物語に書きたいと思います。 
宜しくお願いします。
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